JP2004111004A - 光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置および光再生装置 - Google Patents

光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置および光再生装置 Download PDF

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富永 淳二
Hiroshi Fuji
藤 寛
Takashi Kikukawa
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Abstract

【課題】貴金属酸化物層を有する光記録媒体に対する、再生時におけるSNRが高い、光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置および光再生装置を提供する。
【解決手段】貴金属酸化物層を含む光ディスク1に光を照射して、情報を記録再生する。該貴金属酸化物層に記録光2を照射して変形部を形成することにより情報を光ディスク1に記録し、上記光ディスク1に照射した再生光2の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出す。さらに、上記信号を微分することにより情報を再生する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の回折限界近傍、および光の回折限界より小さい寸法をもつ記録マークが記録され再生される光記録媒体に対し、少なくとも再生を行う、光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置および光再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像などの膨大な量の情報を処理するために、光記録媒体への光記録再生の高密度化がより必要とされてきている。そのため、高密度に記録された信号の読み出しに関する技術的検討が盛んに行われている。
【0003】
通常、レーザビームを用いた読み出し(再生)方法では、光の回折限界によって決まる解像限界が存在する。レーザビームの波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、光の回折限界はλ/(2×NA)となり、解像限界はλ/(4×NA)となる。
【0004】
つまり、カットオフ空間周波数は(2×NA)/λなので、記録マークの長さと、隣接する2つの記録マーク間にあるスペースの長さとが同じである記録マーク列は、その空間周波数(2×NA)/λ以下であれば、読み取り可能となる。この場合読み取り可能な空間周波数に対応するマーク長(スペース長)は、λ/(4×NA)となる。すなわち、配列ピッチλ/(2×NA)未満、マーク長λ/(4×NA)未満の記録マーク列を読み出して再生信号を得ることはできない。
【0005】
したがって、高密度に記録された信号を読み出すためには、解像限界をより小さくする、つまり、λを小さくする及び/又はNAを大きくすることが有効であり、これらに関して多くの技術的検討が行われている。
【0006】
一方、解像限界をより小さくしようとする検討とは別に、解像限界よりも小さい記録マークを記録して読み出すための技術として、超解像記録再生技術が提案されている。超解像記録再生技術としては、例えばレーザ照射によって開口等を生じる機能を有する層を媒体内に設けることによって、媒体内で実質的にNAを大きくする技術が提案されている。
【0007】
一例として、基板に成膜されたマスク膜を不可逆的に変形させることによって、超解像記録再生を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この公報では、光記録媒体は、Ge、Ga、Te、Sn、In、Se、Sb、Asのなかの少なくとも一つの元素を含む合金薄膜層であるマスク層を備えている。そして、記録の際には、上記光記録媒体に強い光を照射して、上記合金薄膜層の照射部分を変形させることで再生用窓を形成し、その下層の記録層に記録マークを形成する。また、再生の際には、この再生用窓を通して弱い光を照射して、回折限界以下のサイズの変形によって記録された記録マークを再生する。これらにより、超解像記録再生を可能としている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−185642号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−348377号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報の超解像記録再生技術では、再生信号のキャリア信号対雑音比(CNR:Carrier to noise ratio)が低く、このため実際にディジタル信号を再生するときの全周波数帯域における信号対雑音比(SNR:Signal to noise ratio)の低下につながり、実用レベルではない。そのため、超解像記録再生によって高密度の記録再生を行うことが困難であるといった問題を有している。
【0011】
このことは、解像限界よりも小さなサイズの記録マークを実用的な光ディスクの線速度で読み出すには、最終的に十分に高いSNRを必要とするということに由来する。最終的にSNRを上げるためには、特に、上記CNRの向上と、再生周波数帯域のノイズ低減が重要である。ところが、超解像記録再生においては、記録マークのサイズが解像限界よりも小さくなればなるほど、読み出される信号量も次第に減少し、CNRが低下する。さらに再生周波数帯域が、記録マークの縮小に伴って広くなり、ノイズ電力が増加する。つまり、CNRの低下とノイズ電力の増加によって、急速にSNRが低下する。上記公報の超解像記録再生技術においても、記録マークが小さいために、実用レベルのSNRを得ることができない。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、貴金属酸化物層を有する光記録媒体に対して、再生時においてSNRが高い光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置、および光再生装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光記録再生方法は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して、情報を記録再生する光記録再生方法であって、該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成することにより情報を光記録媒体に記録し、上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号を微分することにより情報を再生することを特徴としている。
【0014】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、上記信号を微分することによって低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができる。
【0015】
本発明の光記録再生方法は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成して、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号からマークポジションを情報として再生することを特徴としている。
【0016】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、本方法では、マークポジション記録を採用しているため、マークの中心位置を検出すればよく、その他の部分でのノイズに依存することなく信号が再生できる。すなわち、マークを読み出した波形のピーク位置(あるいはボトム位置)を回路によって検出すればよく、読み出した波形のその他の部分でノイズが多くても、マークの位置を検出できる。これにより、読み出し信号を実質的に高いSNRによって再生することができる。
【0017】
また、上記貴金属酸化物層に形成された変形部は、信号読み出しのための度重なる再生光の照射によって、劣化してしまい易いという耐久性の面の問題も有している。このことより、上記の従来例では耐久性の面で実用的な光記録再生を行うことができない。さらに、結果として超解像記録再生によって高密度の記録再生を行うことが困難である。
【0018】
そこで、本発明の光記録再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光が、前記記録光よりも強度が小さいことが好ましい。これにより、再生光の強度が記録光より小さいため、上記変形部の劣化を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の光記録再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数をNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0020】
また、本発明の光再生方法は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に再生光を照射して、情報を再生する光再生方法であって、該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を、上記再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号を微分することにより情報を再生することを特徴としている。
【0021】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に形成された変形部から読み出した信号を微分しているので、再生時に含まれる低域周波数のノイズをより低減することができる。これにより、読み出し信号のSNRを向上させることができる。
【0022】
また、本発明の光再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数がNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録されている情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0023】
本発明の光記録再生装置は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成して情報を記録する記録部と、変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、前記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、上記信号を微分することによって低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができ、実用的な再生が可能な光記録再生装置を提供することができる。
【0025】
また、本発明の光記録再生装置は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成することにより情報を記録する記録部と、変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、前記記録部は、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、前記再生部は、上記信号からマークポジションを情報として再生することを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、本光再生装置では、マークポジション記録を採用しているため、マークの中心位置を検出すればよく、その他の部分でのノイズに依存することなく信号が再生できる。すなわち、マークを読み出した波形のピーク位置(あるいはボトム位置)を回路によって検出すればよく、読み出した波形のその他の部分でノイズが多くても、マークの位置を検出できる。これにより、読み出し信号を実質的に高いSNRによって再生することができる。
【0027】
本発明の光記録再生装置は、上記の構成に加えて、前記再生光が、前記記録光よりも強度が小さいことが好ましい。これにより、再生光の強度が記録光より小さいため、上記変形部の劣化を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の光記録再生装置は、上記の構成に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数をNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0029】
本発明の光再生装置は、上記の課題を解決するために、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を貴金属酸化物層を含む光記録媒体に照射すると共に、該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部を備える光再生装置であって、上記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えていることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に形成された変形部から読み出した信号を微分しているので、再生時に含まれる低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができ、実用的な再生が可能な光再生装置を提供することができる。
【0031】
本発明の光再生装置は、上記の構成に加えて、前記集光手段の開口数をNA、前記再生光の波長をλとした場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0033】
まず、光ディスク(光記録媒体)1に対して、情報の記録/再生を行う、本発明にかかる光記録再生装置について説明する。この光ディスク1の詳細な構造については、後述する。
【0034】
図1のブロック図に、本実施の形態にかかる光記録再生装置の主要部を示す。図1に示すように、上記光記録再生装置は、光学ピックアップ(光学系)3、アンプ4、再生回路5、トラッキング回路6、レーザドライバ7、記録回路8および微分回路9を備えている。そして、光学ピックアップ3、レーザドライバ7および記録回路8により記録部30が構成されている。また、光学ピックアップ3、アンプ4、再生回路5、トラッキング回路6、レーザドライバ7および微分回路9により再生部31が構成されている。
【0035】
上記光記録再生装置における情報の記録時には、記録回路8から出力された記録情報が、レーザドライバ7に送られる。上記レーザドライバ7は、記録情報に応じた駆動電流を光学ピックアップ3内の半導体レーザ(光源、図示せず)に送る。上記半導体レーザからは、駆動電流に応じて強度変調されたレーザビーム2(第1のレーザ光)が出射(照射)される。この出射されたレーザビーム2は、集光手段(図示せず)により光ディスク1に集光されて、光ディスク1に変形部を形成する。これにより、光ディスク1に情報の記録が行われる。
【0036】
また、上記光記録再生装置における記録された情報の再生時には、再生を指示する信号に基づいてレーザドライバ7が光学ピックアップ3内の半導体レーザに、記録時よりも弱い一定の第2レーザビーム2を出射させるように駆動電流を送る。これにより、上記半導体レーザから、記録時(第1のレーザビーム)よりも弱い第2のレーザビーム2が光ディスク1に出射される。この出射されたレーザビーム2は、光ディスク1に反射される。その反射光を、光学ピックアップ3内の検出器(図示せず)で検出して、電気信号に変換する。そして上記電気信号を、アンプ4によって増幅する。
【0037】
増幅された信号は、トラッキング回路6と微分回路9とに出力される。トラッキング回路6では、増幅された信号を基にトラッキングエラー信号を生成し、これに基づいてレーザビーム2を光ディスク1における所望のトラック(図示せず)に追従させる。また、微分回路9では増幅された信号を微分し、再生回路5に出力する。さらに、再生回路5では、微分された信号を2値化し、記録された情報の再生を行う。
【0038】
なお、本記録再生装置では、情報の劣化を防ぐために、上記記録回路8が、記録でも再生でもない、待機時と所望のトラックへとアクセスするアクセス時とには、半導体レーザより最も弱い第3のレーザビーム2が照射されるように、レーザドライバ7の駆動を制御する。これにより、常に、再生パワーのレーザビーム2が照射される構成に比して、光ディスク1における再生耐久性をより一層向上させることができる。
【0039】
ここでは、光記録再生装置は光ディスク1からの反射光を検出する構成となっているが、検出器を、光ディスク1を挟んで光学ピックアップと対向するように備えて、透過光を検出する構成としてもよい。
【0040】
ここで、本発明の前提となる本実施の形態で使用する光ディスク、および光ディスクへの情報の記録・再生方法について説明する。
【0041】
本発明者らは、貴金属酸化物層を有する光記録媒体において、貴金属酸化物層を記録層として用い、この層に解像限界より小さい微小な記録マーク又は解像限界より大きいが解像限界に近い微小な記録マークを記録し、閾値以上の再生パワーで再生を行うことによって、超解像再生において、高いCNR(Carrier to noise ratio)が得られると共に、高い再生耐久性が得られることを見出した。この光記録媒体、すなわち光ディスクについて以下に説明する。
【0042】
図2および図3に、本実施の形態で使用する光記録媒体が形成された円盤状の光ディスク1の断面図を示す。
【0043】
上記光ディスク1は、基板14上に、第1誘電体層15、貴金属酸化物層16、第2誘電体層17、光吸収層(相変化材料層)18、および第3誘電体層19をこの順に備えている。また、第1誘電体層15、貴金属酸化物層16、第2誘電体層17、光吸収層18、および第3誘電体層19により光記録媒体が構成される。なお、光ディスク1の構造は、これに限定されるものではない。
【0044】
光ディスク1におけるそれぞれの部材の厚さと材料は、基板14が0.6mmのポリカーボネート、第1誘電体層15が130nmのZnS−SiO、貴金属酸化物層16が4nmの酸化白金、第2誘電体層17が40nmのZnS−SiO、光吸収層18が60nmのAg−In−Sb−Te、第3誘電体層19が100nmのZnS−SiOである。
【0045】
また、上記基板14には、グルーブ21・21・21…と、ランド22・22…とが螺旋状に形成されている。ランド22およびグルーブ21の幅は、どちらも0.6〜0.7μmである。上記ランド22とは、隣り合うグルーブ21間の部分である。
【0046】
続いて、図2および図3を参照して、光ディスク1への情報の記録について説明する。なお、図2には光ディスク1における径方向(図1に示すx方向)の断面の構造を示し、図3には、光ディスク1における周方向(図1に示すy方向)の断面、言い換えると光ディスク1のグルーブ21に沿って切断した断面の構造を示す。
【0047】
上記で示した貴金属酸化物層16を含む光ディスク1に、第1のレーザビーム2(記録光)を集光して照射すると、空洞あるいはガス球よりなる変形部20を形成することにより情報を記録することができる。この変形部20は、上記グルーブ21に沿って形成される。この第1のレーザビーム2は、例えば、光の波長λと開口数NAを備える光学ピックアップ(光学系)から照射すればよい。前記ピックアップから照射された一定の径(λ/NA)の集光スポットを使用するが、照射されるレーザ光の照射時間を適切に短くするか、あるいは下げることにより、上記空洞あるいはガス球よりなる変形部20を、上記グルーブ21沿う方向においてλ/(4×NA)よりも短くすることができる。上記空洞あるいはガス球よりなる変形部20が生じる理由は、貴金属酸化物層16に第1のレーザビーム2を照射することによって、貴金属酸化物層16の貴金属酸化物が分解(爆発)し、この分解で発生した酸素ガスが、貴金属酸化物層16内で体積膨張を起こして貴金属酸化物層16を変形させると共に、第2誘電体層17と光吸収層18とを押し上げた結果、形成されたと考えられる。つまり、上記空洞あるいはガス球よりなる変形部20は、爆発後、元に戻らず保持され、情報の記録マークとなる。なお、上記第1のレーザビームは、貴金属酸化物層に変形部が形成される照射光強度、言い換えれば貴金属酸化物が分解(爆発)する照射光強度を少なくとも有するものとする。
【0048】
次に、上記光ディスクからの情報の再生方法について説明する。
【0049】
上記光ディスク1に、第2のレーザビーム2(再生光)を照射し、その光ディスク1における反射光又は透過光を検出して、上記変形部20から信号を読み出し、情報を再生することができる。なお、上記第2のレーザビームは、上記第1のレーザビームよりも照射光強度の弱い、貴金属酸化物が分解しない程度の照射光強度を有するものとする。しかしながら、この第2のレーザビームを照射し続けると、空洞あるいはガス球からなる変形部20が次第に劣化し、情報が破壊される。そこで、待機時あるいは上記光ディスク1の所望のトラックへのアクセス時には、光ディスク1に、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームよりも照射光強度の弱い第3のレーザビーム2を照射することにより、第2のレーザビームの照射による空洞あるいはガス球よりなる変形部20の劣化を抑える。また、この第3のレーザビーム2は、前記空洞あるいはガス球よりなる変形部20を含むトラックをトラッキングするのに十分な照射光強度を有するように設定することが好ましい。
【0050】
なお、上記第1〜3のレーザビームは同一の光学ピックアップ(光学系)から出力され、強度が異なるビームである。これに限らず、記録、再生、トラッキングのために別々のビームを用いる、いわゆるマルチビームの場合には、異なる光学系から第1〜第3のレーザビームを出力してもよい。
【0051】
上述のように、第3のレーザビームの照射によって、空洞あるいはガス球からなる変形部20の劣化を抑えることができるが、記録された情報を何度も再生して利用するような用途では、やはり第2のレーザビームの照射によって次第に空洞あるいはガス球が劣化する。したがって、第2のレーザビームの照射に耐え得る空洞あるいはガス球よりなる変形部20による記録が必要であった。
【0052】
本発明者らは、上記の光ディスク1への情報の記録・再生について以下のような実験により検証している。
【0053】
上記光ディスク1に対して、本発明者らは、波長λ=635nmの半導体レーザと開口数NA=0.6の対物レンズ11とからなる光学系を用いて、照射光強度(以下、レーザパワー或いはパワーと称する)8〜14mW、線速度6m/s、記録周波数15MHzの信号の記録を試みた。つまり、レーザビーム2のパワーを、8〜14mWの記録パワーと1mWのバイアスパワーとして、周波数15MHzで強度変調した。
【0054】
その結果、貴金属酸化物層16には、記録パワーのレーザビーム2の照射位置に対応して、空洞或いはガス球よりなる変形部(記録マーク)20が形成され、光吸収層18には、全面的に結晶化が起こった。
【0055】
これは、貴金属酸化物層16及び光吸収層18に、所定のパワー以上(ここでは、8mWより大きい)のレーザビーム2を照射することで、貴金属酸化物層16では貴金属酸化物の分解(爆発)が起こり、貴金属酸化物の分解で発生した酸素ガスが、貴金属酸化物層16内で体積膨張を起こして貴金属酸化物層16を変形させると共に、第2誘電体層17と光吸収層18とを押し上げた結果、貴金属酸化物層16に、空洞或いはガス球よりなる変形部20が形成されたと考えられる。
【0056】
透過型電子顕微鏡にて観察した結果、変形部20の長さは、記録パワーのレーザビーム2の照射時間に対応しており、200nmであることを確認した。ここで用いた半導体レーザの波長λと対物レンズの開口数NAとより、変形部20の解像限界(λ/(4×NA))はおよそ260nmとなる。したがって、ここで形成された変形部20は、解像限界以下の寸法となる。
【0057】
次に、上記半導体レーザのパワーを4mW(再生パワー)にして、貴金属酸化物層16に形成した変形部20の再生を試みた。その結果、この変形部20は解像限界以下の記録ピッチであるにもかかわらず、44dBもの高いCNR(Carrier to Noise Ratio)が得られ、実用上、十分なCNRを得られることを確認した。さらに、変形部20の長さを130nmへ短くしても、40dBの高いCNRが得られた。後述するが、この高いCNRをもつ読み出し信号における低周波数帯域のノイズを、微分回路によって低減し、高いSNRを得ることができる。
【0058】
また、本発明者らは、上記光ディスク1に対して、4mWの再生パワーにて連続再生を行うと、1万回前後の繰り返し再生が可能であることも確認した。さらに再生パワー照射し続けると、貴金属酸化物層16に形成された変形部20に劣化が生じ、再生品質が低下することも確認した。
【0059】
さらに、本発明者らは、光記録媒体における貴金属酸化物層16を酸化白金から酸化銀に代えた光ディスク1も試作し、上記と同様に記録再生を試みた。その結果、酸化銀よりなる貴金属酸化物層16であっても、酸化白金からなる貴金属酸化物層16と同様に、所定以上の記録パワーのレーザビーム2を照射することで、貴金属酸化物層16に空洞或いはガス球よりなる変形部20が形成され、再生信号においては、高いCNRが得られることを確認した。
【0060】
しかしながら、貴金属酸化物層16を酸化銀より形成した光ディスク1では、貴金属酸化物層16に酸化白金を用いた上記光ディスク1に比べて、再生信号の劣化の速度、つまり、変形部20に再生のために照射されるレーザビーム2にて、変形部20にて記録された情報が劣化する速度が速いことが確認された。このことより、光記録媒体における貴金属酸化物層16には、酸化白金を使用することで、高いCNRと高い再生耐久性が得られることを実験にて確認した。つまり、本実施の形態における貴金属酸化物層は、酸化白金からなることが好ましい。
【0061】
なお、本発明者らは、酸化銀よりなる貴金属酸化物層を用いた光記録媒体に対して記録/再生を行うことを公開している(特許文献2参照)。しかしながら、これにおいては、記録時のレーザパワーが上記の範囲よりも弱いため、貴金属酸化物層16には、空洞或いはガス球よりなる上記変形部20は形成されていない。そして、これを上記と同じ再生パワーで読み出すと、30〜40dBのCNRが得られるものの、数分で信号が劣化し、実用に耐え得る耐久性を得ることができなかった。なお、上記の光吸収層18を他の材料に置き換えても、大きなCNRは得られなかった。
【0062】
また、上述の通り、光ディスクに記録した情報の再生回数が1万回に向上した程度では、上記光ディスクの使用範囲が限定され、情報の保存のみにしか使用できない。これに対して本発明者らは、さらに再生回数を増加させることができる、光ディスクへの情報の記録方法を下記の通り見出した。
【0063】
光ディスク1への情報の記録方法は、光ディスクへ記録マークを形成する際の、直前と直後とで補助照射を行う方法である。つまり、照射するレーザビームのレーザパルスの波形を変化させ、記録マークの形成の直前と直後とでレーザビームの照射光強度を小さくする。これにより、光ディスク1に形成される記録マークの耐久性を高めることができる。さらに、記録マークと記録マークとの間に再生限界(λ/(4×NA))より小さいスペースを形成する場合には、補助照射を行わず、照射光強度を補助照射より小さくする(または0にする)。あるいは、補助照射の時間を短くしてもよい。つまり、記録マークの形成の直前と直後に比べてさらに照射エネルギーを少なくするために、補助照射の照射光強度を減らすか、あるいは照射時間を減らす。これにより、大きな再生信号波形を得ることができ、再生時の高いSNRを達成することができる。
【0064】
なお、上記補助照射は、上記第4のレーザビーム(補助照射光)により行う。また、この第4のレーザビームは、その照射光強度が第1のレーザビームよりも低く設定されている。本実施の形態では、この第4レーザビームは、上記第1〜3のレーザビームと同一の光学ピックアップ(光学系)から出力され、強度が異なるビームである。これに限らず、上記のように異なる光学系から第1〜第4のレーザビームを出力してもよい。この第4のレーザビームについても、上記記録回路8により照射光強度が制御されている。本光記録再生装置の光学ピックアップ3は、種々の強度を有する照射光を発する記録手段、補助照射手段、再生手段の機能を兼ね備えていると言える。
【0065】
この記録方法について、図4を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0066】
図4において、M1からM6は、光ディスク1上に形成された記録マークとしての個々の変形部20を示し、S1からS7は、この記録マークに挟まれたスペースを示している。また、図4において、上記記録マークM1〜M6及び、スペースS1〜S7の下側には、それぞれの記録マークおよびスペースを形成するときのレーザビームの各照射光強度(レーザパワー)P1、P4、P5を模式的に波形として示している。なお、上記の波形では、各照射光強度P1、P4、P5の強度の差をその高さによって表している。また、上記波形の横方向の長さは、光ディスク1の周方向(図1に示すy方向)の長さを表しており、この長さは各レーザパワーでの照射時間に比例する。本実施の形態では、マークポジション記録を採用しているため、ほぼ同一の形状の記録マークを形成している。したがって、各照射光強度P1における、上記波形の横方向の長さは、同じ長さに設定している。
【0067】
図4に示すように、記録マークM1〜M6を記録するときには、光学ピックアップ3から照射されるレーザビームは、第1のレーザビーム2(記録光)であり、その照射光強度はP1である。スペースS1〜S7を置くときには、光学ピックアップ3から照射されるレーザビームは、第5のレーザビーム2であり、その照射光強度はP5である。ここで、第5のレーザビームの照射光強度P5は、再生時に使用する第2のレーザビームの照射高強度P2と同じとする。さらに、上記記録マークM1〜M6形成の直前及び直後には、照射光強度がP4である第4のレーザビーム2(補助照射光)の補助照射が行われる。この補助照射によって、記録マークとしての変形部20の形状が安定化し、照射光強度がP2である第2のレーザビーム2による読み出し時に上記記録マークM1〜M6が劣化することを防止することができる。このように、記録マークの形状が安定すれば、読み出し時に大きな信号が得られ、十分なSNRを得ることができるとともに、繰り返し再生における耐久性を向上させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、上記スペースS1〜S7を置くときの第5のレーザビームにおける照射光強度P5を読み出し時の第2のレーザビームにおける照射光強度と同じにしているが、これらの照射光強度は必ずしもこれに限定されることはなく、P5よりも低くしても構わない。
【0069】
上記第4のレーザビームによって補助照射が行われる時間は、解像限界(λ/4NA)よりも短く設定することが好ましく、本実施の形態においては、上述の最短マークの長さ(200nm)形成される時の照射時間と同じ時間とした。これによって、記録マークM1〜M6周辺の温度が過度に上昇するのを避けることができ、変形領域(変形部)である記録マークが必要以上に大きくなってしまうことを防止することができた。
【0070】
また、本実施の形態においては、第1、第4、第5のレーザビーム2における各照射光強度の適切な値は、P1=8〜14mW、P2=6〜8mW、P3=1〜4mWであった。即ち、上記各照射光強度の大きさは、P1>P4≧P5となることが好ましい。これによって、照射光強度P4である第4のレーザビーム2による補助照射が適切に行われ、耐久性をより向上させることができる。
【0071】
さらに、S3、S4、S6のように、上記スペースの長さ(即ち、隣接する記録マークの間隔)が解像限界(λ/4NA)よりも短い場合は、補助照射を行わず、照射光強度をP5(あるいは照射光強度=0)とすると、再生時に高いSNRを得ることができた。即ち、図4に示すように、T1〜T6においては補助照射(照射光強度=P4)を行い、T7〜T9においては補助照射を行わない(即ち、照射光強度=P5)ようにすると、ディジタル復調に適した波形であって、しかも大きな信号が得られ、高いSNRを得られることが確認された。これによって、隣接する2つの記録マークの間隔、すなわちスペースの長さが、λ/4NAよりも短い場合の余分な過熱を抑え、記録マークが過度に大きくなることを防止することができ、より適切な記録マークの形成を実現することができる。
【0072】
以上のように、本実施の形態で使用する光ディスク1への記録方法と、その特長について述べた。しかしながら、上記に示した光ディスク1への情報の記録方法においては、情報の再生方法によっては、SNRが低下する可能性がある。そこで、このSNRの低下する原因について、図5および図6を参照して説明する。
【0073】
まず、図5に、上記光ディスクへの情報の記録直後に、記録した情報に対して読み出し信号の電力スペクトルを測定した結果を示す。この測定は、周波数15MHzの信号を線速度6m/s、レーザビームのパワーが10mWの条件にて記録した後、レーザビームのパワーを1mWに下げ、市販のスペクトラムアナライザに読み出し信号を入力して行った。上記10mWのレーザビームが第1のレーザビームに相当し、1mWのレーザビームが第3のレーザビームに相当する。なお、記録される信号は15MHzのキャリア信号となり、記録マークとスペースの長さは共に200nmであるため、解像限界よりも短い。このため、記録時は、図4における第1の照射光強度P1と、第5の照射光強度P5とを使用し、第4の照射光強度P4は使用しなかった。光ディスクに記録されたマークの長さは0.2μmであり、解像限界よりも短かく、読み出しのためのレーザビームのパワーが1mWであって、レーザビームのパワーが低すぎるため、超解像効果は得られず、15MHzのキャリア周波数には、読み出し信号のピークは現れない。
【0074】
図6は、読み出しのためのレーザパワーを第2のレーザビームの強度に相当する4mWに上げたときの、スペクトルの測定結果である。超解像効果が現れ、15MHzのキャリア周波数において、44dBのCNRが得られた。したがって、キャリア周波数近傍において実用的な信号品質が得られた。しかし、10MHz以下の低域においては、読み出しのためのレーザパワーが1mWの条件(図5)と比較してノイズが大きく上昇した。つまり、これは、レーザパワーの上昇に伴うノイズ信号の増幅効果に比べて、遥かに大きな上昇である。
【0075】
以上のことより、本発明者らの実験によれば、15MHzのキャリア信号を超解像効果によって読み出しできるが、これに伴って低域のノイズも上昇するため、SNRが低下するという問題点があることが判った。なお、上記は電力スペクトルの測定を行うために、記録される信号は15MHzのキャリア信号とし、記録マークとスペースの長さは共に200nmとしたが、実際のデータの記録時は、この長さに限らず、変復調に応じて複数の種類の長さとなる。
【0076】
以下には、本発明の光記録再生方法、光再生方法、光記録再生装置および光再生装置の構成、動作と特長に絞って説明する。
【0077】
つまり、本実施の形態では、図1に示した微分回路9によって信号を微分して再生すると、貴金属酸化物層を備えた光ディスクにおいて発生した低域ノイズが低減され、SNRを上げて信号を再生できることが判った。図7を用いて、本実施の形態にかかる光ディスクの具体的な再生方法について詳しく述べる。ここでは、記録マークはいわゆるマークポジション法に基づいて記録することとする。
【0078】
上記マークポジション法では、光ディスクに形成された記録マークの位置(中心位置)が「1」となるようにデータが記録される。つまり、再生時に光ディスクにおける記録マークの位置を検出して、これを「1」の信号として再生する。
【0079】
本実施の形態では、光ディスクに形成された記録マーク(変形部)を第2のレーザビーム(たとえば4mW)にて読み出し、図7に示すように、記録マークの位置に対応した読み出し波形(信号)を得る。この読み出し波形を、上記の微分回路9に通し、微分波形を得る。この微分波形をヒステリシスコンパレータにて2値化して、2値波形を得る。この2値波形における立下りが記録マークの位置に対応している。
【0080】
このマークポジジョン記録および微分回路を用いた再生方法は従来から良く知られている方法である。しかしながら、上記に示した超解像効果を発揮して飛躍的に記録密度を向上できる貴金属酸化物層を備えた光ディスク1では、読み出し信号の低域周波数にて大きなノイズが生じ、SNRが低下することが問題となっている。これに対して、本実施の形態では、読み出し波形を微分回路で微分することにより低域周波数におけるノイズを低減することができ、SNRを向上させることができるという大きな効果を得られることが判ったのである。また、光ディスクにマークポジジョン法に基づいて記録マークを形成することにより情報を記録し、該記録マークから読み出しを行うことにより、より一層SNRを向上させることができることが判ったのである。
【0081】
さらなる実験では、さらに記録マークの長さを短くし、0.13μmにおいても2値波形が得られ、十分に再生可能なことが判った。図11には、この時の読み出し信号の波形と2値信号の波形を示す。この図11より、高いSNRを維持しながら、再生に十分な品質の2値信号が得られているのが判る。この記録密度は、市販の高密度記録ディスクであるDVD(Digital Video Disc)における線密度の3倍に相当する(DVDの記録マーク長は0.4μmである)。つまり、超解像効果を維持したまま低域ノイズを低減し、SNRを向上させた結果、従来の記録密度を大きく上回る記録密度を得ることができることが判る。また、光ディスク(貴金属酸化物層)に記録されたマークはほぼ円形であり、トラック密度方向(図1におけるx方向)の径も0.13μmであった。マークポジション記録の場合は、光ディスクに記録されたマークの径が全て同じであるため、トラック密度を向上させることができる。したがって、光ディスクにおける面密度をさらに大きくすることが可能である。
【0082】
また、上記微分回路のカットオフ周波数をf(Hz)、回折限界の周波数f(Hz)とすると、以下の関係となる。実験の結果、良好なSNRを確保するためには、(1/5)×f≦f≦10×fの関係となった。さらに、ジッタやエラーを適切に低減するためには、f≦f≦5×fとなった。なお、回折限界の周波数fは、f=線速度×(2×NA)/λにて定義する。また、前記の式ではHz(ヘルツ)の単位で関係式を示したが、これに限らず、光記録媒体上の長さの単位であるm(メートル)を用いた関係式に変換しても構わない。
【0083】
なお、図1に示した微分回路9は、例えば、図8に示す差分回路9’に置き換えることができる。この差分回路9’では、増幅された読み出し信号S1は遅延回路91と差動増幅器92のプラス入力端子に入力される。遅延回路91の出力S2は差動増幅器92のマイナス入力端子に入力される。そして、差動増幅器92の出力S3は、図1における再生回路5に送られ、2値化されて再生される。
【0084】
図9は図8に示した差分回路9’における動作を示す図である。読み出し信号S1と遅延回路91によって時間Tだけ遅延された読み出し信号S2を差動増幅器92にて差動増幅すると、S3は読み出し信号S1のピークにてゼロクロスする信号となり、実質的に微分回路と同等な働きをする。また、遅延時間Tの逆数をとった周波数F(=1/T)に対して十分に低い周波数では、実質的に同じ信号同士を差動することになり、出力信号S3には出力は低下する。したがって、この差分回路9’は、周波数Fよりも十分に低い周波数をカットするハイパスフィルターとなり、上述の低域のノイズを低減することができる。したがって、微分回路9に限らず、マークポジション記録されたマークを再生可能な回路であれば、同様な効果が得られる。
【0085】
さらに、上記マークポジション記録を行うと、マークの長さが一定となり、記録が容易となる。たとえば、後述するマークエッジ記録においてはマークの長さが複数の種類となり、従来から、このマークの長さ毎に記録レーザパルスの波形を細かく制御するいわゆる記録ストラテジの技術が必要であった。この記録ストラテジ技術は、高密度記録なればなるほど、レーザとその駆動回路に負担が大きくなり、技術的な限界に近づいている。それに比べて、本発明の貴金属酸化物層を含む記録媒体にマークエッジ記録を行うと、マークの長さが一定となり、レーザとその駆動回路に負担を与えることなく、容易に記録密度が向上する装置が提供可能である。
【0086】
また、ここまでは貴金属酸化物層を備えるディスク(光ディスク1)において、マークポジション記録を行った場合に最大の効果が得られることを示したが、これに限らず、いわゆるマークエッジ記録においても低域のノイズを低減することができる。図10に、貴金属酸化物層を備えるディスク(光ディスク1)に形成した、マークエッジ記録を適用した場合の動作を示す図である。記録マークを読み出すと、読み出し波形においては、記録マークのエッジでハイレベルとローレベルとの間で反転する。この読み出し波形を微分すると1階微分波形が得られ、さらに微分すると2階微分波形が得られる。この2階微分波形のゼロクロス点を検出し2値化すると、記録マークに対応した2値波形が得られる。
【0087】
したがって、本発明はマークポジション記録に限定されるものではなく、マークエッジ記録においても適用可能である。しかしながら、このマークエッジ記録では、2階微分が必要である。2階微分を行うと1階微分に比べて高域周波数のノイズが相対的に大きくなりSNRが低下しやすい。つまり、低域周波数のノイズを低減しても、逆に高域周波数のノイズが大きくなりやすく、結局SNRの向上は小さい。したがって、貴金属酸化物層を備えるディスクにおいては、マークポジション記録が好ましい。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光記録再生方法は、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して、情報を記録再生する光記録再生方法であって、該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成することにより情報を光記録媒体に記録し、上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号を微分することにより情報を再生する方法である。
【0089】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、上記信号を微分することによって低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができるという効果を奏する。
【0090】
また、本発明の光記録再生方法は、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成して、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号からマークポジションを情報として再生する方法である。
【0091】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、本方法では、マークポジション記録を採用しているため、マークの中心位置を検出すればよく、その他の部分でのノイズに依存することなく信号が再生できる。すなわち、マークを読み出した波形のピーク位置(あるいはボトム位置)を回路によって検出すればよく、読み出した波形のその他の部分でノイズが多くても、マークの位置を検出できる。これにより、読み出し信号を実質的に高いSNRによって再生することができる。
【0092】
そこで、本発明の光記録再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光が、前記記録光よりも強度が小さいことが好ましい。これにより、再生光の強度が記録光より小さいため、上記変形部の劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明の光記録再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数をNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができるという効果を奏する。
【0094】
また、本発明の光再生方法は、上記の課題を解決するために、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に再生光を照射して、情報を再生する光再生方法であって、該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を、上記再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、上記信号を微分することにより情報を再生することを特徴としている。
【0095】
上記の方法によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に形成された変形部から読み出した信号を微分しているので、再生時に含まれる低域周波数のノイズをより低減することができる。これにより、読み出し信号のSNRを向上させることができる。
【0096】
また、本発明の光再生方法は、上記の方法に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数がNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録されている情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0097】
本発明の光記録再生装置は、以上のように、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成して情報を記録する記録部と、変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、前記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えている構成である。
【0098】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、上記信号を微分することによって低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができ、実用的な再生が可能な光記録再生装置を提供することができるという効果を奏する。
【0099】
また、本発明の光記録再生装置は、以上のように、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成することにより情報を記録する記録部と、変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、前記記録部は、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、前記再生部は、上記信号からマークポジションを情報として再生する構成である。
【0100】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に変形部を形成することによって記録し、その変形部から情報を読み出して再生することができる。この読み出しの際の信号には低域周波数のノイズが含まれるが、本光再生装置では、マークポジション記録を採用しているため、マークの中心位置を検出すればよく、その他の部分でのノイズに依存することなく信号が再生できる。すなわち、マークを読み出した波形のピーク位置(あるいはボトム位置)を回路によって検出すればよく、読み出した波形のその他の部分でノイズが多くても、マークの位置を検出できる。これにより、読み出し信号を実質的に高いSNRによって再生することができる。さらに実用的な再生が可能な光記録再生装置を提供することができるという効果を奏する。
【0101】
本発明の光記録再生装置は、上記の構成に加えて、前記再生光が、前記記録光よりも強度が小さいことが好ましい。これにより、再生光の強度が記録光より小さいため、上記変形部の劣化を抑制することができる。
【0102】
また、本発明の光記録再生装置は、上記の構成に加えて、前記再生光の波長をλとし、開口数をNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができる。
【0103】
本発明の光再生装置は、以上のように、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を貴金属酸化物層を含む光記録媒体に照射すると共に、該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部を備える光再生装置であって、上記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えている構成である。
【0104】
上記の構成によれば、貴金属酸化物層を含む光記録媒体に形成された変形部から読み出した信号を微分しているので、再生時に含まれる低域周波数のノイズを低減することができる。これにより読み出し信号のSNRを向上させることができ、実用的な再生が可能な光再生装置を提供することができるという効果を奏する。
【0105】
本発明の光再生装置は、上記の構成に加えて、前記集光手段の開口数をNA、前記再生光の波長をλとした場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことが好ましい。これにより、記録密度を上げて光記録媒体に記録した情報の読み出し信号を、超解像再生効果によって増大させ、上記の微分あるいはマークポジション記録によって低域周波数のノイズを低減しながら、高いSNRで再生することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる光記録再生装置の主要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光記録再生装置で使用される光ディスクを径方向で切断した断面図である。
【図3】図1に示す光記録再生装置で使用される光ディスクを周方向で切断した断面図である。
【図4】図1に示す光記録再生装置で使用される記録時のレーザパルスの波形を示す図である。
【図5】本実施の形態にかかる光記録再生装置で使用される光ディスクにおける、記録直後のノイズスペクトルを示す図である。
【図6】本実施の形態にかかる光記録再生装置で使用される光ディスクにおける、再生のノイズスペクトルを示す図である。
【図7】図1に示す光記録再生装置における微分回路の動作を示す信号波形図である。
【図8】図1に示す光記録再生装置における微分回路に代わる別の回路例を示す図である。
【図9】図8の回路の動作を示す信号波形図である。
【図10】本実施の形態にかかる光記録再生装置にてマークエッジ記録を行った場合の再生動作を示す信号波形図である。
【図11】図10における読み出し信号の波形と2値信号の波形を示す図である。
【符号の説明】
1  光ディスク(光記録媒体)
2  レーザビーム
3  光学ピックアップ
4  アンプ
5  再生回路
6  トラッキング回路
7  レーザドライバ
8  記録回路
9  微分回路
30 記録部
31 再生部

Claims (12)

  1. 貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して、情報を記録再生する光記録再生方法であって、
    該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成することにより情報を光記録媒体に記録し、
    上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、
    上記信号を微分することにより情報を再生することを特徴とする光記録再生方法。
  2. 貴金属酸化物層を含む光記録媒体に光を照射して情報を記録再生する光記録再生方法であって、
    該貴金属酸化物層に記録光を照射して変形部を形成して、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、
    上記光記録媒体に照射した再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、
    上記信号からマークポジションを情報として再生することを特徴とする光記録再生方法。
  3. 前記再生光は、前記記録光よりも強度が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の光記録再生方法。
  4. 前記再生光の波長をλとし、開口数をNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録再生方法。
  5. 貴金属酸化物層を含む光記録媒体に再生光を照射して、情報を再生する光再生方法であって、
    該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を、上記再生光の反射光または透過光を検出することにより上記変形部から信号を読み出し、
    上記信号を微分することにより情報を再生することを特徴とする光再生方法。
  6. 前記再生光の波長をλとし、開口数がNAの集光手段を用いて該再生光を光記録媒体に照射する場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことを特徴とする請求項5に記載の光再生方法。
  7. 貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成して情報を記録する記録部と、
    変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、
    前記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えていることを特徴とする光記録再生装置。
  8. 貴金属酸化物層を含む光記録媒体に、記録光を照射して該貴金属酸化物層に変形部を形成することにより情報を記録する記録部と、
    変形部が形成された上記光記録媒体に、光源からの光を集光手段によって集光した再生光を照射すると共に、該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部とを備える光記録再生装置であって、
    前記記録部は、マークポジション記録により情報を光記録媒体に記録し、
    前記再生部は、上記信号からマークポジションを情報として再生することを特徴とする光記録再生装置。
  9. 前記再生光は、前記記録光よりも強度が小さいことを特徴とする請求項7または8に記載の光記録再生装置。
  10. 前記集光手段の開口数をNA、前記再生光の波長をλとした場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の光記録再生装置。
  11. 光源からの光を集光手段によって集光した再生光を貴金属酸化物層を含む光記録媒体に照射すると共に、該貴金属酸化物層に光が照射されて形成された変形部によって記録された情報を該再生光の反射光または透過光を検出し、該変形部から信号を読み出すことにより再生する再生部を備える光再生装置であって、
    上記再生部は、上記信号を微分する微分回路を備えていることを特徴とする光再生装置。
  12. 前記集光手段の開口数をNA、前記再生光の波長をλとした場合、前記記録光によって光記録媒体に記録される前記変形部の最小の長さが、λ/4NAよりも短いことを特徴とする請求項11に記載の光再生装置。
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