JP2004113426A - ミシン及びこのミシンに装着される糸カセット - Google Patents

ミシン及びこのミシンに装着される糸カセット Download PDF

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大矢 一登
Yoshiyuki Okazaki
岡崎 好幸
Kuniharu Miyake
三宅 邦治
Hidetaka Inagaki
稲垣 秀高
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Abstract

【課題】糸カセットの小型化を図りつつ、ミシンの縫針の破損防止を図るようにすること。
【解決手段】アーム部の下端部には、カセット装着部が設けられている。糸駒63を収容した糸カセット50は平面視略台形状である。合成樹脂製のカセットケース51は、所定高さを有する外周壁部53と、この外周壁部53の下端で連続する底壁部54等を有している。糸カセット50に有する第1及び第2被係合部72,73を介してカセット装着部に装着することで、針上位置に位置する縫針30の外周側のうち、前側半周以上に対応するように、外壁部61と、外周壁部53の前側及び左側の周壁部分と、揺動通路56を形成する右側の通路壁部60と、縫製動作室57に対応する底壁部54等からなるガード壁部が位置した状態で囲まれている。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシン及びこのミシンに装着される糸カセットに関し、特に糸供給源を収納した糸カセットを、ミシンのアーム部のうちの縫針の付近のカセット装着部に装置するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用の刺繍縫いが可能な刺繍ミシンにおいては、糸駒から延びる上糸を、アーム部に設けられた糸調子器、天秤、糸取りバネ等に順々に引っ掛け、最終的に縫針の目孔に糸通しすることで上糸掛けを行って、刺繍縫いに供する加工布を刺繍枠にセットしてから、刺繍縫目を形成するようにしている。ところで、刺繍模様を複数色の刺繍糸でカラフルに刺繍縫いする場合には、糸色が異なる上糸を順次交換し、交換する毎に、その都度上糸掛け操作を行っている。
【0003】
そこで、上糸を交換する毎の面倒な上糸掛け操作を簡略化できるように、糸色の異なる上糸を巻装した糸駒を収容した糸カセットを複数種類、予め準備しておき、糸カセットを交換するだけで簡単に糸替えを可能にした技術が種々提案されている。例えば、特開平7−24173号公報に記載のミシンのカートリッジには、糸巻きを収容するとともに、針上位置のときの縫針を収容でき、更に縫針を固定する針抱きを収容した糸カセットが予め準備され、この糸カセットをミシン本体の側面に取付けるようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
更に、特開2002−191886号公報に記載のミシンには、アーム部の先端部の前面側にカセット装着部が設けられ、このカセット装着部に、糸駒保持部で保持された糸駒と、天秤の糸掛け部が上下に往復移動する移動領域と、糸調子器を収納可能な収容部等を設けた糸カセットを装着するようにし、この糸カセットから引き出した上糸を、ミシンに設けた天秤と縫針の目孔に順次糸掛けするようにしてある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−24173号公報 (第3頁、図1)
【特許文献2】
特開2002−191886号公報 (第7頁、図14、図17)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平7−24173号公報に記載のミシンのカートリッジにおいては、針上位置のときの縫針だけでなく、縫針を固定した状態で縫製動作に調時して上下動する針抱きを収容するようにしてあるため、カートリッジが大型化したり、コスト高になること等の問題がある。また、特開2002−191886号公報に記載のミシンにおいては、糸カセットに縫針や針抱きを設けないため、糸カセットの小型化が図れる反面、針抱きに取付けた縫針をアーム部に設けてあるため、従来と同様に縫針がアーム部の下端から下方に突出することになる。
【0007】
特に、アーム部を水平な縫製位置から上方に揺動させた退避位置に切換え可能に構成した場合、アーム部の下端から下方に突出した縫針の向きが下向きから前方斜め下方に向くようになるため、加工布が縫針に不用意に引っ掛かって破損する恐れがある、という問題がある。
【0008】
本発明の目的は、糸カセットの小型化を図りつつ、ミシンの縫針の破損防止を図るようにすること等である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るミシンは、所定の方向に伸長するアーム部に、縫針を取付ける針抱きと、縫針の付近に設けられたカセット装着部とを有し、カセット装着部に着脱可能に装着された糸カセットの糸供給源から引き出された糸を用いて、これら針抱きと縫針との上下動を介して加工布に縫目を形成するミシンにおいて、カセット装着部にアーム部の長手方向に延びる係合部を有し、糸カセットが係合部を介してカセット装着部に装置された状態において、針上位置に位置する縫針の先端部の外周側の前側に、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部が位置するものである。
【0010】
ミシンのアーム部のうちの縫針の付近に設けられたカセット装着部において、糸カセットを水平移動させることで、糸カセットがアーム部の長手方向に延びる係合部を介して着脱可能に装着される。この糸カセットの装着状態において、針上に位置する縫針の先端部の外周側の前側に、糸カセットのガード壁部が位置しているため、加工布等の物品がミシンのアーム部に接近しても、その物品は糸カセットのガード壁部を介してアーム部に接近することになる。
【0011】
請求項2に係るミシンは、請求項1の発明において、前記ガード壁部は、糸カセットのカセットケースの一部で構成されたものである。この場合には、糸カセット以外にガード部材を別途設けることなく、糸カセットをカセット装着部に装着するだけで、糸カセットのガード壁部が縫針の外周側の近くに位置する。その他、請求項1と同様の作用を奏する。
【0012】
請求項3に係るミシンは、請求項1又は2の発明において、前記アーム部には縫針の付近で揺動する天秤が設けられ、天秤が揺動する揺動通路が、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部の一部によって形成されるものである。この場合には、糸カセットのガード壁部を兼ねて揺動通路が形成される。その他、請求項1又は2と同様の作用を奏する。
【0013】
請求項4に係るミシンは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ミシンのアーム部は、水平な縫製位置と、この縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能に構成されたものである。この場合、アーム部を水平な縫製位置に切換えることで、加工布に縫製処理を施す。アーム部を上方へ揺動させた退避位置とに切換えることで、縫製に供する加工布を縫製位置にセットする等の作業を行う。
【0014】
このとき、アーム部の下端から下方に突出した縫針の向きが下向きから前方斜め下方に向くようになるため、加工布などの物品が縫針に接近して接触し易い状態であっても、加工布などの物品がアーム部に接近する場合でも、糸カセットのガード壁部に接近することになる。その他、請求項1〜3の何れかと同様の作用を奏する。
【0015】
請求項5に係るミシンは、請求項1〜4の何れかの発明において、前記アーム部が上下方向に立設する脚柱部から水平方向に伸長するものであり、縫針が下向きにアーム部下端から突出するものであり、縫針の先端部の外周側の前側に、脚柱部とは反対側で半周以上に亙って、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部が位置するものである。
【0016】
この場合、アーム部下端から下向きに突出する縫針の先端部の外周側のうち脚柱部とは反対側の前側において、半周以上に亙ってガード壁部が位置してガードされるため、加工布等の物品がアーム部に接近しても、糸カセットの広範囲に設けられたガード壁部に接近することになる。その他請求項1〜4の何れかと同様の作用を奏する。
【0017】
請求項6に係る糸カセットは、ミシンのアーム部の縫針の付近に設けられたカセット装着部に着脱可能に装着される糸カセットであって、糸供給源を備えこの糸供給源から引き出される上糸をミシンに設けられた縫針の目孔に供給する糸カセットにおいて、カセット装着部に設けられたアーム部の長手方向に延びる係合部に係合可能な被係合部と、所定方向に伸展したガード壁部とを備え、糸カセットは、係合部及び被係合部を介してカセット装着部に装着された状態において、ガード壁部が針上位置に位置する縫針の先端部の外周側の前側に位置するものである。
【0018】
ミシンのアーム部のうちの縫針の付近に設けられたカセット装着部において、糸カセットを水平移動させ、糸カセットの被係合部をアーム部の長手方向に延びる係合部に係合させることで、糸カセットが着脱可能に装着される。この糸カセットの装着状態において、針上に位置する縫針の先端部の外周側の前側に、糸カセットに有するガード壁部が位置するため、加工布等の物品がアーム部に接近しても、糸カセットのガード壁部に接近することになる。
【0019】
請求項7に係る糸カセットは、請求項6の発明において、前記ガード壁部は、糸カセットのカセットケースの一部で構成されたものである。この場合には、糸カセットをカセット装着部に装着するだけで、糸カセットのガード壁部で縫針の外周側をガードする。その他、請求項6と同様の作用を奏する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は、衣服の袖等の筒状の加工布に種々の刺繍模様を縫製可能な家庭用刺繍ミシンに本発明を適用したものである。尚、作業者は図1の左方から右方を向いて各種の作業を行うため、図1の左方を前方として以下説明する。
【0021】
図1、図2に示すように、刺繍ミシン1は、作業テーブル等に載置される水平なベース部2と、このベース部2の後端部分に上下方向に立設された脚柱部3と、この脚柱部3から前方へ水平に延びるシリンダベッド4と、脚柱部3の上端部から前方へ延びるアーム部6とを備えている。
【0022】
この刺繍ミシン1を用いて縫製を開始するに際して、作業者により縫製に供する筒状の加工布を、シリンダベッド4に外嵌状に設けた布保持枠5(図1参照)にセットする。この場合、アーム部6の前端部のヘッド部7に設けられた縫針や糸通し機構(図示略)等が邪魔になるため、アーム部6を水平な縫製位置から上方に揺動させた退避位置に切換えることで、加工布の布保持枠5へのセット作業を容易にできるようになっている。その後、再びアーム部6を水平な縫製位置に切換えることで、布保持枠5にセットした加工布に所望の刺繍縫製を行うことができる。
【0023】
脚柱部3の内部に有する本体フレーム10には、ミシンモータ11と、このミシンモータ11の回転駆動力をヘッド部7に設けられた縫針30や天秤31に伝達する駆動力伝達機構12などが設けられている。駆動力伝達機構12は、主軸14と、伝達軸13,15と、ベルト16,17と、ギヤ18,19と、プーリ20等で構成されている。ミシンモータ11の回転駆動力はベルト16を介して伝達軸13に伝達され、両ギヤ18,19を介して主軸14に伝達され、更に、ベルト17を介して伝達軸15に伝達される。ここで、手動操作により主軸14を回転させて縫針30を上下動させるためのハンドプーリ21も設けられている。ここで、駆動力伝達機構12を構成する部品は、主軸14,伝達軸13,15の軸方向において、適宜分散して配置されている。
【0024】
アーム部6に有するアームフレーム25には、伝達軸26と、回転板27と一体のプーリ28と、ベルト29等が設けられている。それ故、伝達軸15に伝達された回転駆動力は、プーリ20とベルト29とを介してプーリ28と伝達軸26に伝達され、最終的に回転板27が回転駆動される。アームフレーム25の後端部は、伝達軸15を本体フレーム10に回動自在に支持する左右1対のベアリング(図示略)を介して回動自在に外嵌され、アーム部6は、図2に実線で示す水平な縫製位置と、鎖線で示す揺動した退避位置とに切換え可能である。
【0025】
ヘッド部7には、縫針30と、アームフレーム25に上端部で前後に揺動自在に枢着された天秤31と、縫針30を保持する針抱き32と、針抱き32の上下動をガイドするガイド軸33と、上糸64に張力を付与する糸調子機構34と、縫針30の目孔30aに糸を通す糸通し機構(図示略)と、ガイド軸33の下端に設けられ加工布を上側から押える押え足35等が設けられている。
【0026】
前記回転板27の外周近傍部に水平方向向きの駆動ピン36が固着され、その駆動ピン36は、天秤31の長手方向に形成された案内溝31aを貫通状に係合している。針抱き32に連結されたリンク部材37の上端部が駆動ピン36の先端部に連結されている。それ故、ミシンモータ11の回転駆動力が駆動力伝達機構12及びベルト29を介して回転板27に伝達され、回転板27の回転により駆動ピン36を介してリンク部材37が上下動して針抱き32及び縫針30がガイド軸33に案内されつつ上下動し、縫針30の上下動に調時して天秤31が前後方向に揺動する。
【0027】
アーム部6を覆うアームカバー45(図1参照)の右端部には、右方へほぼ水平に張り出した操作パネル46が設けられ、この操作パネル46には、文字や模様を表示可能な液晶ディスプレイ47が設けられている。この液晶ディスプレイ47の上面部には、刺繍模様を選択する為の模様選択キー等の複数の機能キーを備えたタッチパネル48が設けられている。
【0028】
ところで、このヘッド部7の下端には、糸駒63を収容した糸カセット50を装着するカセット装着部40が設けられており、この糸カセット50をアーム部6の長さ方向に移動することでカセット装着部40に装着でき、その装着動作に連動して、後述する二股状の案内部75aを有する糸誘導部材75で上糸64が糸通し機構の糸通しフックに誘導され、この糸通し機構により縫針30の目孔30aに上糸64が通される。また、後述する糸切れ検出体65の糸案内部材66,67の糸孔66a,67aの間で上糸64が張られることにより、天秤31及び糸調子機構34にも上糸64が掛けられるようになっている。ここで、糸誘導部材75の後端部には、糸カセット50の装着状態を検出するカセット検出スイッチ76が取付けられている。
【0029】
次に、刺繍ミシン1のヘッド部7、つまりアーム部6のうちの縫針30の付近に設けられたカセット装着部40やそのカセット装着部40に着脱可能に装着される糸カセット50について、図3〜図6に基づいて説明する。
【0030】
先ず、カセット装着部40について、図3に基づいて説明すると、ヘッド部7に対応するアームフレーム25の前端近傍部の左壁部25aの下端部には、下半部分を略逆コ字状に曲げ形成された第1係合部材41がビス42で固定され、この第1係合部材41の下端部に第1係合部41aが形成されている。更に、アームフレーム25の右壁部25bの下端部には、下半部分を略コ字状に曲げ形成された第2係合部材43がビス44で固定され、この第2係合部材43の下端部に第2係合部43aが形成されている。また、アームフレーム25の水平面の下面には、上糸64をこの糸通し機構に二股状の案内部75aで誘導する糸誘導部材75が下方に突出して配置されている。
【0031】
次に、糸カセット50について、図3〜図6に基づいて説明する。
【0032】
糸カセット50は、平面視略台形状であり、合成樹脂製のカセットケース51と、このカセットケース51の上側を部分的に覆う透明な合成樹脂製のカバー部材52とを有している。カセットケース51は、所定高さを有する外周壁部53と、この外周壁部53の下端で連続する底壁部54を有している。
【0033】
図6に示すように、カセットケース51には、円筒形の糸駒収容部55と、この糸駒収容部55に隣接させて、天秤31の下端部の前後方向揺動を許容する前後方向に長い揺動通路56と、この揺動通路56に隣接させて縫針30や押え足35、更には糸通し機構等の複数の縫製用部品を収容して縫い動作を行う縫製動作室57が夫々形成されている。そこで、カセットケース51には、糸駒収容部55を形成する円筒壁部58と、揺動通路56を形成する左右の通路壁部59,60と、縫製動作室57を形成する外周壁部53の一部である外壁部61等が設けられている。尚、通路壁部59,60は、天秤31からの糸抜け防止の為のものである。
【0034】
このように、これら複数の壁部58〜61やその他の補強壁部により、カセットケース51が補強された構造になっている。また、糸カセット50のガード壁部を兼ねて揺動通路56が形成されているため、糸カセット50の構造を簡単化することができる。尚、刺繍ミシン1に、天秤31ためだけの糸抜けの壁面を設ける必要もなく、刺繍ミシン1側の構成も簡素化されている。糸駒収容部55の中心部に枢支軸62が立設され、この枢支軸62に糸駒63が回転可能に装着されている。カセットケース51の後方の左端部側には、上糸64をガイドするガイド軸部65a(図7参照)を有し且つ上糸64の糸切れを検出するための糸切れ検出体65が回転可能に枢支されている。左側の通路壁部59の後端部には、上糸64を案内する糸孔66aを形成した板状の第1糸案内部材66が固着されている。
【0035】
右側の通路壁部60の後端部には、上糸64を案内する1対の糸孔67aを形成した平面視U字状の第2糸案内部材67と、これよりも前側に第3糸案内部材68とが夫々固着されている。縫製動作室57に対応する底壁部54の略後半分が切欠かれ、この底壁部54の後端に、後方且つ上側に延びる板状の糸ガイド部材69が一体形成されている。また、更に、外壁部61の後端近傍部には、前方向きに切欠かれた糸案内部61aが形成されるとともに、外壁部61の前端近傍部には、上糸64の自由端部を弾性的に保持する上糸保持部材70が設けられている。
【0036】
ここで、糸駒63から延びる上糸64の糸道経路を説明しておく。図4,図5に示すように、糸駒63から繰り出された上糸64は、先ず糸切れ検出体65のガイド軸部65aと、第1糸案内部材66の糸孔66a及び第2糸案内部材67の糸孔67aと、第3糸案内部材68と、糸ガイド部材69と、糸案内部61aとを順々に経て、最終的に糸保持部材70で保持されている。
【0037】
ところで、カバー部材52の上面において、その左右方向の中央位置より右寄りの位置には、前後方向に延びる、つまりアーム部6の長手方向に延びる正面視略逆L字状の第1被係合部72がカバー部材52と一体形成されている。また、外壁部61の後端部分の右側には、右方に突出した前後方向向き、つまりアーム部6の長手方向向きに延びる第2被係合部73が外壁部61と一体形成されている(図3参照)。それ故、第1被係合部72が第1係合部41aに係合可能であり、第2被係合部73が第2係合部43aに係合可能である。
【0038】
次に、このように構成された刺繍ミシン1及び糸カセット50の作用及び効果について説明する。
【0039】
糸カセット50を刺繍ミシン1に装着するに際して、先ず、糸駒63から延びる上糸64を図4に示すように所定の糸道経路に沿って掛けておく。次に、使用者は、糸カセット50を手で持って、ヘッド部7のカセット装着部40に移動させる。そして、第1被係合部72を第1係合部41aに対応させ、第2被係合部73も第2係合部43aに対応させる。この状態で、糸カセット50を水平状に後方に移動させる。
【0040】
その結果、図6,図7に示すように、糸カセット50は、これら第1及び第2被係合部72,73と、第1及び第2係合部41a,43aの係合状態を保持しつつ、後方の所定の取付け位置、つまり刺繍ミシン1のカセット装着部40に着脱可能に装着される。このとき、図7に示すように、糸カセット50の後端部に糸調子機構34が進入するとともに、第2糸案内部材67の内部に糸取りバネ74の先端部が進入し、揺動通路56内に天秤31の下端部が進入する。更に、縫製動作室57に、縫針30と、押え足35と、図示外の糸通し機構と、糸誘導部材75等が進入する。
【0041】
それ故、糸切れ検出体65から第1糸案内部材66に至る上糸64部分は糸調子機構34の両糸調子皿(図示略)間に挿入され、第1糸案内部材66から第2糸案内部材67に至る上糸64部分は天秤31に係合し、第2糸案内部材67に対応する上糸64部分が糸取りバネ74に引っ掛かる。更に、第3糸案内部材68から糸ガイド部材69に至る上糸部分は糸通し機構による糸通し動作により、縫針30の目孔30aに通される。このようにして、糸カセット50を水平に後方に移動させるだけで、カセット装着部40に容易に装着することができる。
【0042】
このように、糸カセット50を装着した状態においては、上糸64の端部は、糸保持部材70に僅かに引っ掛かっているが、縫製が開始されて、天秤31が上糸64を引っ掛けたときに、糸保持部材70に僅かに引っ掛かっている上糸64が外れて縫針30の方へ供給され、縫目が形成される。
【0043】
ところで、このように、糸カセット50をカセット装着部40に装着して、縫製準備が完了した状態では、図3に示すように、縫針30は針上位置に位置している。即ち、図7に示すように、針上位置に位置する縫針30の外周側のうち、前側半周以上が、外壁部61と、外周壁部53の前側及び左側の周壁部分と、揺動通路56を形成する右側の通路壁部60と、縫製動作室57に対応する壁底部54等からなるガード壁部により、つまりカセットケース51の一部で構成されたガード壁部が位置する状態で囲まれている。尚、縫針30の真下には壁底部54が設けられず、縫針30の上下移動が可能なように開口している。
【0044】
その為、糸カセット50により加工布などの物品がアーム部6の下方に接近して縫針30に不用意に接近しないように構成されている。特に、縫製に供する加工布をセットするために、アーム部6を水平な縫製位置から上方へ揺動させた退避位置に切換えることで、図8に示すように、アーム部6の下端から下方に突出した縫針30の向きが下向きから前方斜め下方に向くようになるため、加工布などの物品が縫針30に接触し易い状態であっても、加工布などの物品の縫針30への接触を糸カセット50により確実に防止することができ、縫針30や物品の破損防止を図ることができる。
【0045】
また、糸カセット50には、主に糸駒63を収容するだけで、縫針30や針抱き32を設けないため、糸カセット50を小型化することができ、コスト的にも有利になる。
【0046】
次に、前記実施形態の変更形態について説明する。
【0047】
1〕カセット装着部40の近傍部に、ロック側にバネ付勢されたロックピンと、このロックピンのロック状態を解除するリリースレバーとを有するカセットロック機構を設け、糸カセット50をカセット装着部40に装着したときに、ロックピンの係合により糸カセット50をカセット装着部40にロック状態で保持するようにし、手動操作にてリリースレバーを操作したときに、ロックピンのロック状態が解除され、糸カセット50を手前に取外し可能に構成してもよい。このように構成すれば、使用可が知らないうちに、糸カセット50が勝手にカセット装着部40から脱落してしまい、縫針30が露出するようなことがない。
【0048】
2〕第1糸案内部材66、第2糸案内部材67及び第3糸案内部材68は、合成樹脂等で一体的に形成してもよい。
【0049】
3〕既存の技術や当業者に自明の技術に基いて種々の変更を加えることもあり得る。更に、糸カセットを着脱自在に装着するようにした各種のミシンに本発明を適用し得ることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、針上位置に位置する縫針の先端部の外周側の前側に、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部が位置するので、糸カセットをミシンのアーム部のカセット装着部に着脱可能に装着した場合、加工布や物品等がアーム部に接近したとしても、加工布や物品と縫針との不用意な接触を、糸カセットにより確実に低減することができ、縫針の破損防止を図ることができる。
【0051】
また、糸カセットには、主に糸供給源を収容するだけで、縫針や針抱きを設けないため、糸カセットを小型化することができ、コスト的にも有利になる。
【0052】
請求項2の発明によれば、前記ガード壁部は、糸カセットのカセットケースの一部で構成されたので、糸カセットを装着するだけで、物品と縫針との不用意な接触をカセットケースの一部のガード壁部で確実に低減することができる。その他、請求項1と同様の効果を奏する。
【0053】
請求項3の発明によれば、天秤が揺動する揺動通路が、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部の一部によって形成されるので、糸カセットのガード壁部を兼ねて揺動通路を形成することができ、糸カセットだけでなく、ミシン側の構造を簡単化することができる。その他、請求項1又は2と同様の効果を奏する。
【0054】
請求項4の発明によれば、アーム部を上方へ揺動させた退避位置とに切換えることで、縫製に供する加工布を縫製位置にセットする等の作業を行うことができる。この場合、アーム部が上方にあるために、加工布などの物品が縫針に接触し易い状態であっても、加工布などの物品の縫針への不用意な接触を糸カセットにより確実に防止することができる。それ故、特に縫針の破損防止を図ることができる。その他、請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。
【0055】
請求項5の発明によれば、脚柱部が上下方向に立設しており、その脚柱部からの加工布等の物品がアーム部の下方に接近することは少なく、縫針の先端部の外周側の前側に、脚柱部とは反対側で半周以上に亙って、カセット装着部に装着された糸カセットのガード壁部が位置するので、加工布等の縫針への不用意な接触を、糸カセットの広範囲に設けられたガード壁部により確実に低減することができる。その他、請求項1〜4の何れかと同様の効果を奏する。
【0056】
請求項6の発明によれば、糸カセットがカセット装着部に装着された状態において、ガード壁部が針上位置に位置する縫針の先端部の外周側の前側に位置するので、ミシンのアーム部のカセット装着部に着脱可能に装着した場合、加工布等の物品の縫針への不用意な接触を、糸カセットにより確実に低減することができ、縫針の破損防止を図ることができる。
【0057】
また、糸カセットには、主に糸供給源を収容するだけで、縫針や針抱きを設けないため、糸カセットを小型化することができ、コスト的にも有利になる。
【0058】
請求項7の発明によれば、前記ガード壁部は、糸カセットのカセットケースの一部で構成されたので、請求項2と同様の効果を奏する。その他、請求項6と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る刺繍ミシンの側面図である。
【図2】刺繍ミシンの内部機構を部分的に示す側面図である。
【図3】ヘッド部の要部縦断正面図である。
【図4】糸カセットの右側面側からの斜視図である。
【図5】糸カセットの左側面側からの斜視図である。
【図6】カセットケースの平面図である。
【図7】ヘッド部に装着した糸カセットの平面図である。
【図8】退避位置に揺動したアーム部の側面図である。
【符号の説明】
1   刺繍ミシン
6   アーム部
30  縫針
31  天秤
32  針抱き
40  カセット装着部
41a 第1係合部
43a 第2係合部
50  糸カセット
51  カセットケース
53  外周壁部
54  底壁部
56  揺動通路
61  外壁部
72  第1被係合部
73  第2被係合部

Claims (7)

  1. 所定の方向に伸長するアーム部に、縫針を取付ける針抱きと、前記縫針の付近に設けられたカセット装着部とを有し、前記カセット装着部に着脱可能に装着された糸カセットの糸供給源から引き出された糸を用いて、これら針抱きと縫針との上下動を介して加工布に縫目を形成するミシンにおいて、
    前記カセット装着部に前記アーム部の長手方向に延びる係合部を有し、
    前記糸カセットが前記係合部を介して前記カセット装着部に装置された状態において、針上位置に位置する前記縫針の先端部の外周側の前側に、前記カセット装着部に装着された前記糸カセットのガード壁部が位置することを特徴とするミシン。
  2. 前記ガード壁部は、前記糸カセットのカセットケースの一部で構成されたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記アーム部には前記縫針の付近で揺動する天秤が設けられ、前記天秤が揺動する揺動通路が、前記カセット装着部に装着された前記糸カセットの前記ガード壁部の一部によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  4. 前記アーム部は、水平な縫製位置と、この縫製位置から上方へ揺動させた退避位置とに切換え可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシン。
  5. 前記アーム部が上下方向に立設する脚柱部から水平方向に伸長するものであり、前記縫針が下向きに前記アーム部下端から突出するものであり、前記縫針の先端部の外周側の前側に、前記脚柱部とは反対側で半周以上に亙って、前記カセット装着部に装着された前記糸カセットの前記ガード壁部が位置することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のミシン。
  6. ミシンのアーム部の縫針の付近に設けられたカセット装着部に着脱可能に装着される糸カセットであって、糸供給源を備えこの糸供給源から引き出される上糸をミシンに設けられた縫針の目孔に供給する糸カセットにおいて、
    前記カセット装着部に設けられた前記アーム部の長手方向に延びる係合部に係合可能な被係合部と、
    所定方向に伸展したガード壁部とを備え、
    前記糸カセットは、前記係合部及び前記被係合部を介して前記カセット装着部に装着された状態において、前記ガード壁部が針上位置に位置する前記縫針の先端部の外周側の前側に位置することを特徴とする糸カセット。
  7. 前記ガード壁部は、前記糸カセットのカセットケースの一部で構成されたことを特徴とする請求項6に記載の糸カセット。
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