JP2004116706A - 油圧駆動車両の走行制御装置および油圧駆動車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧力センサ41によりアクセルペダル22aの操作量を検出し、関数発生器501はアクセルペダル22aの操作量に応じたエンジン1の目標回転数Ntを出力する。圧力センサ42により走行駆動圧Pを検出し、走行駆動圧Pが所定値Pa以下のとき、関数発生器502は補正回転数Nsを出力する。目標回転数Ntから補正回転数Nsを減算したものを目標回転数指令値Nyとして出力し、エンジン回転数を目標回転数指令値Nyに制御する。
【選択図】図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイール式油圧ショベルなどの油圧駆動車両の走行制御装置、および油圧駆動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホイール式油圧ショベルのように、原動機により駆動される油圧ポンプから吐出される圧油の流量と方向を制御弁で制御し、その制御された圧油で走行モータを駆動して走行する油圧駆動車両が知られている(例えば特許文献1参照)。この種の車両では、アクセルペダルを踏み込むことにより制御弁を切り換えるとともに、走行モータの負荷圧力が大きくなると走行モータの押除け容積を大きくしてモータ速度を制御する。
【0003】
上記特許文献1記載の装置は次のように構成される。走行用制御弁の操作状態を検出するとともに、高速および低速に切り換え可能な走行用トランスミッションの切り換え位置を検出する。そして、制御弁が中立にあり、かつ、トランスミッションが高速位置にあることが検出されると走行モータの押除け容積を最大押除け容積まで増加させる。これによりアクセルペダルを踏まずに制御弁中立で車両を降坂走行する場合、モータ押除け容積が最大値まで増加し、大きな制動力を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−270788号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、降坂走行時には慣性力によって車両が加速され、走行負荷が軽くなる。そのため、例えばアクセルペダルを最大に踏み込んだ状態で降坂走行を行うと、エンジン回転数が定格回転数を上回り、ポンプ吐出量が増加して、走行モータが過剰に回転するおそれがある。このような走行モータの過回転を防止するためには、降坂走行時に走行モータの回転を抑制することが望ましい。
【0006】
しかしながら、上記公報記載の装置では、アクセルペダルを踏み込んだ状態で降坂走行を行うと走行モータの押除け容積は小さいままであり、降坂走行時のモータの過回転を抑制することができない。
【0007】
本発明は、降坂走行時の走行モータの過回転を防止することができる油圧走行車両の走行制御装置および油圧走行車両を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による油圧駆動車両の走行制御装置は、原動機により駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから供給される圧油により駆動される走行モータと、油圧ポンプから走行モータへ供給される圧油の流量を制御する走行用制御弁と、この走行用制御弁を操作する操作手段と、走行モータの過回転を引き起こす過回転発生状態を検出する過回転検出手段と、過回転検出手段により過回転発生状態が検出されると走行モータの回転を抑制するモータ過回転防止手段とを備えることにより上述した目的を達成する。
また、本発明による油圧駆動車両は、このような走行制御装置を備えることにより上述した目的を達成する。
【0009】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
以下、図1〜図7を参照して本発明による走行制御装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるホイール式油圧ショベルを示す。このホイール式油圧ショベルは、下部走行体81と、下部走行体81の上部に旋回可能に搭載された上部旋回体82とを有する。上部旋回体82には運転室83と作業用フロントアタッチメント84が設けられている。フロントアタッチメント84は上部旋回体82の本体に回動可能に連結されたブーム84aと、ブーム84aに回動可能に連結されたアーム84bと、アーム84bに回動可能に連結されたバケット84cからなる。ブーム84aはブームシリンダ84dにより昇降され、アーム84bはアームシリンダ84eにより昇降され、バケット84cはバケットシリンダ84fによりクラウドとダンプ操作が行われる。下部走行体81には、走行用油圧モータ85、トランスミッション86およびプロペラシャフト87が設けられ、プロペラシャフト87により前タイヤ88Fおよび後タイヤ88Rが駆動される。90はフェンダーカバーである。
【0010】
本発明の実施の形態に係わる油圧駆動車両の走行用油圧回路を図2に示す。この油圧回路はエンジン1により駆動される可変容量型油圧ポンプ10と、パイロット油圧回路20で操作され、油圧ポンプ10の吐出油の流量と方向を制御する走行用制御弁11と、走行用制御弁11で制御された圧油で駆動される走行用可変容量型油圧モータ12(図1の85)と、走行用制御弁11と油圧モータ12の間に介装されたカウンタバランス弁13と、油圧ポンプ10の押除け容積を調整するポンプレギュレータ10Aと、油圧モータ12の押除け容積を調整するモータレギュレータ14と、制御弁11と油圧モータ12を接続するメイン管路L1A,L1Bの最高圧力を規制するクロスオーバーロードリリーフ弁15,16とを備える。
【0011】
ポンプレギュレータ10Aはトルク制限部を備え、このトルク制限部にポンプ吐出圧力(走行駆動圧)がフィードバックされ、馬力制御が行われる。馬力制御とは図3に示すようないわゆるP−qp制御である。この馬力制御により、ポンプ吐出圧とポンプ傾転量で決定される負荷がエンジン出力を上回らないように、ポンプ傾転量が制御される。すなわち、上記フィードバック圧力Pがレギュレータ10Aに導かれると、図3のP−qp線図に沿ってポンプ傾転量qpが制御される。また、レギュレータ10Aには最大傾転制限部が設けられ、この最大傾転制限部によりポンプ最大傾転量が所定値qpmaxに制限される。所定値qpmaxはポンプ最大吐出量を規定するものである。なお、走行駆動圧Pは路面の勾配によって変化する。図3において、例えば降坂走行時はP≦P1、登坂走行時や走行開始時はP>P2であり、通常の平地走行時はP1<P≦P2である。また、ポンプ最大傾転量qpmaxは、例えばエンジン1を定格回転数で駆動した場合に走行モータ12が過回転とならないような値に設定される。
【0012】
モータレギュレータ14は、ピストン141とサーボ弁142とを備えている。ピストン141のロッド室141aは、管路L11を介してメイン管路L1AとL1Bの高圧油を選択するシャトル弁18に接続されている。ピストン141のボトム室141bは、管路L12を介してサーボ弁142に接続されている。サーボ弁142はシャトル弁18により選択された走行駆動圧によって切り換わる。走行駆動圧は、ポンプ圧力Pとして圧力センサ42で検出されて出力される。
【0013】
パイロット油圧回路20は、パイロット油圧ポンプ21と、アクセルペダル22aで操作される走行用パイロット弁22と、図示しない前後進切換スイッチの操作により前進位置、後進位置、中立位置に切り換えられる前後進切換弁23とを備えている。制御弁11はパイロット油圧回路20からの走行パイロット圧によってその切換方向とストローク量が制御される。走行パイロット圧は、パイロット圧Ptとして圧力センサ41で検出されて出力される。
【0014】
油圧ポンプ10から吐出される圧油は、制御弁11によりその方向および流量が制御され、カウンタバランス弁13を経て油圧モータ12に供給される。これにより油圧モータ12が回転する。油圧モータ12の回転はトランスミッション86に伝達されて所定のギヤ比で減速された後、プロペラシャフト87を介してタイヤ88F,88Rに伝達される。これにより油圧ショベルが走行する。
【0015】
図2は前後進切換弁23が中立(N位置)、パイロット弁22が操作されていない状態を示している。この状態では制御弁11にパイロット圧が作用せず、制御弁11は中立位置にある。したがって、油圧ポンプ10からの圧油は油圧モータ12に供給されず、車両は停止している。
【0016】
図2の油圧回路は以下のように動作する。
前後進切換弁23を前進(F位置)または後進(R位置)に切り換え、アクセルペダル22aを踏み込み操作すると、パイロット弁22から出力されるパイロット圧油が制御弁11のパイロットポートに達し、制御弁11がパイロット圧に応じたストローク量でF位置側またはR位置側に切り換わる。これにより油圧モータ12が駆動され、車両が走行する。
【0017】
車両走行開始時には、制御弁11とカウンタバランス弁13との間の管路L1AまたはL1Bに負荷に応じた走行駆動圧が発生する。この圧力はトルク制御圧力としてシャトル弁18から管路L11を介してレギュレータ14に導かれ、これによりサーボ弁142がイ位置側に切り換わる。このサーボ弁142の切換わりによりピストン141のロッド室141aとボトム室141bが連通し、その双方にトルク制御圧力が導かれる。その結果、ボトム室141bの受圧面積はロッド室141aの受圧面積よりも大きいので、ピストン141は伸長し、油圧モータ12の押除け容積qは大きくなり、低速高トルクで車両が走行する。
【0018】
車両の定速走行により走行駆動圧が減少すると、レギュレータ14に作用するトルク制御圧が低下し、サーボ弁142がばね142cによりロ位置側に切り換わる。この切換によりボトム室141bが管路LDを介してドレン回路に連通され、ピストンは縮退する。これにより油圧モータ12の押除け容積qは小さくなり、高速低トルクで車両が走行する。
【0019】
ところで、降坂走行時には慣性力によって車両が加速されるため走行負荷が減少する。その結果、図4のエンジン特性に示すように、エンジン1を定格回転で駆動している場合には負荷の減少した分だけエンジン回転数Nが定格回転数N1を超えて増速するおそれがある(N1→N2)。降坂走行時にエンジン回転数Nが定格回転数N1を上回ると、ポンプ吐出量が定格最大吐出量(N1×qpmax)を上回り、走行モータ12が過回転してモータ寿命が低下する。このような走行負荷の減少がもたらす走行モータ12の過回転を防止するため、本実施の形態では以下のようにエンジン回転数を制御する。
【0020】
図5はエンジン回転数とポンプ傾転量などを制御する制御回路のブロック図であり、CPUなどで構成されるコントローラ50により各機器が制御される。エンジン(原動機)1のガバナ51は、リンク機構52を介してパルスモータ53に接続され、パルスモータ53の回転によりエンジン1の回転数が制御される。すなわち、パルスモータ53の正転で回転数が上昇し、逆転で低下する。このパルスモータ53の回転は、コントローラ50からの制御信号により制御される。ガバナ51にはリンク機構52を介してポテンショメ−タ54が接続され、このポテンショメ−タ54によりエンジン1の回転数に応じたガバナレバー角度を検出し、エンジン制御回転数Nθとしてコントローラ50に入力される。コントローラ50にはまた、走行パイロット圧Ptとポンプ圧(走行駆動圧)Pを検出する圧力センサ41,42がそれぞれ接続されている。
【0021】
図6は第1の実施の形態に係わるコントローラ50の詳細を説明するブロック図である。関数発生器501はアクセルペダル踏み込み量に応じた目標エンジン回転数Nt、すなわち、圧力センサ41で検出される走行パイロット圧力Ptとエンジン1の目標回転数を対応付けた関数(目標回転数特性)L1によって定まる目標回転数Ntを出力する。関数L1によれば、パイロット圧Ptの増加に伴い目標回転数Ntは定格回転数N1まで比例的に増加する。
【0022】
関数発生器502は走行駆動圧に応じた補正エンジン回転数Ns(以下、補正回転数Nsという)、すなわち、圧力センサ42で検出されるポンプ圧力Pとエンジン1の補正回転数を対応付けた関数(補正回転数特性)L2によって定まる補正回転数Nsを出力する。関数L2によれば、ポンプ圧Pが所定値Pa以下の範囲では、ポンプ圧Pの増加に伴い補正回転数Nsは徐々に減少し、ポンプ圧Pが所定値Paを越えると補正回転数Nsは一定(=0)となる。所定値Paは降坂走行開始時の圧力、すなわち図3のP1に設定する。
【0023】
関数発生器503は、アクセルペダル22aが所定値以上操作されたとき、例えばフル操作されたときハイレベル信号を出力し、スイッチ504を閉じる。スイッチ504を閉じた状態では、減算器505は目標回転数Ntから補正回転数Nsを減算したものを目標回転数指令値Nyとして出力する。スイッチ504を開放した状態では、減算器505は目標回転数Ntをそのまま目標回転数指令値Nyとして出力する。
【0024】
目標回転数指令値Nyはサーボ制御部510でポテンショメータ54により検出したガバナレバーの変位量に相当する制御回転数Nθと比較され、図7に示す手順にしたがって両者が一致するようにパルスモータ53が制御される。
【0025】
図7において、まずステップS21で目標回転数指令値Nyと制御回転数Nθとをそれぞれ読み込み、ステップS22に進む。ステップS22では、Nθ−Nyの結果を回転数差Aとしてメモリに格納し、ステップS23において、予め定めた基準回転数差Kを用いて、|A|≧Kか否かを判定する。肯定されるとステップS24に進み、回転数差A>0か否かを判定し、A>0ならば制御回転数Nθが目標回転数指令値Nyよりも大きい、つまり制御回転数が目標回転数よりも高いから、エンジン回転数を下げるためステップS25でモータ逆転を指令する信号をパルスモータ53に出力する。これによりパルスモータ53が逆転しエンジン1の回転数が低下する。
【0026】
一方、A≦0ならば制御回転数Nθが目標回転数指令値Nyよりも小さい、つまり制御回転数が目標回転数よりも低いから、エンジン回転数を上げるためステップS26でモータ正転を指令する信号を出力する。これにより、パルスモータ53が正転し、エンジン1の回転数が上昇する。ステップS23が否定されるとステップS27に進んでモータ停止信号を出力し、これによりエンジン1の回転数が一定値に保持される。ステップS25〜S27を実行すると始めに戻る。
【0027】
以上のように構成された第1の実施の形態に係わる走行制御装置の動作をより具体的に説明する。
(1)平地走行、登坂走行
平地走行時または登坂走行時には降坂走行時に比べて走行負荷が大きいため、圧力センサ42により検出されるポンプ圧P(走行駆動圧)は所定値Pa(P1)より大きくなる。したがって、関数発生器502から出力される補正回転数Nsは0となり、スイッチ504の開閉、すなわちアクセルペダル22aがフル操作か否かに拘わらず、関数発生器501から出力される目標回転数Ntが目標回転数指令値Nyとして出力される。これによりエンジン回転数Nは、関数L1で規定されるアクセルペダル22aの操作量に応じた回転数Ntに制御される。
【0028】
(2)降坂走行
アクセルペダル22aをフル操作した状態で降坂走行すると、降坂走行時には走行負荷が小さいため、圧力センサ42により検出されるポンプ圧Pは所定値Pa以下になり、走行モータ12の過回転を引き起こす軽負荷状態が検出される。これにより関数発生器502からポンプ圧Pに応じた補正回転数Ns(>0)が出力され、目標回転数Nt(=N1)から補正回転数Nsを減算したものが目標回転数指令値Nyとして出力される。その結果、エンジン回転数Nは目標回転数Ntよりも補正回転数分Nsだけ小さくなるように制御され、走行負荷の減少によりエンジン回転数が増加しても定格回転数N1を越えることはない。したがって、ポンプ吐出量が定格最大吐出量以下に抑えられ、走行モータ12の過回転を防止することができる。
【0029】
この場合、坂の勾配が急なほどポンプ圧Pは小さくなり、関数発生器502からの補正回転数Nsは大きくなる。したがって、走行負荷が著しく減少した場合であっても、エンジン回転数の増加を確実に防止することができる。
【0030】
降坂走行時にアクセルペダル22aがフル操作されていないときは、スイッチ504は開放され、関数発生器501からの目標回転数Nt(<N1)が目標回転数指令値Nyとして出力される。この場合も走行負荷の減少によりエンジン回転数が増加するが、目標回転数Ntは定格回転数N1よりも小さいためエンジン回転数を定格回転数N1以下に抑えることができる。その結果、ポンプ吐出量が定格最大吐出量以下に抑えられ、走行モータ12の過回転を防止することができる。また、必要以上にエンジン回転数を低減することがないので、良好な走行性能を発揮することができる。なお、降坂走行時のエンジン回転数の増加をより低減するため、例えば降坂走行時にエンジン回転数を確実に定格回転数N1以下とするため、アクセルペダル22aをフル操作する前にスイッチ504を閉じるように関数発生器503の出力を調整してもよい。
【0031】
以上説明した第1の実施の形態によれば以下のような効果を奏する。
(1) 圧力センサ42により走行駆動圧(走行負荷)Pを検出し、走行駆動圧Pが所定値Pa以下のとき、走行モータ12の過回転を引き起こす軽負荷状態を検出し、エンジン回転数指令値Nyを目標回転数Ntより低減するようにした。これにより降坂走行時にエンジン回転数が定格回転数N1を超えることを阻止することができ、走行モータ12の過回転を防止することができる。
(2) アクセルペダル22aがフル操作されているときにスイッチ504を閉じてエンジン回転数指令値Nyを低減するようにしたので、必要以上にエンジン回転数を低減することがなく、良好な走行性能を発揮することができる。
(3) 走行負荷が小さいほど補正回転数Nsが大きくなるように関数L2を定め、走行負荷が小さいほどエンジン回転数指令値Nyを大きく減少させるようにした。これにより坂の勾配が急でエンジン回転数が著しく増加した場合であってもエンジン回転数を定格回転数N1よりも確実に小さくすることができ、走行モータ12の過回転を確実に防止することができる。
【0032】
−第2の実施の形態−
図8〜10を参照して本発明による走行制御装置の第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、降坂走行時にエンジン回転数を制御して走行モータ12の過回転を防止するようにしたが、第2の実施の形態では、ポンプ最大傾転量を制御する。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0033】
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、ポンプレギュレータ10Aの構造および制御回路の構成である。図8は第2の実施の形態に係わるポンプレギュレータ10Aの詳細な構造を示す図である。なお、図2と同一の箇所には同一の符号を付す。
【0034】
図8に示すように、ポンプレギュレータ10Aにはトルク制限部110が設けられ、トルク制限部110には、ポンプ斜板111に連結されたピストン112を最大傾転制限部114に付勢するバネ113が介装されている。トルク制限部110にはポンプ吐出圧力Pがフィードバックされ、前述した馬力制御が行なわれる。すなわち、上記フィードバック圧力Pがトルク制限部110に導かれると、バネ力に抗してピストン112が駆動され、図3のP―qp線図に沿ってポンプ傾転量qpが低減される。一方、ポンプ圧力PがP2以下の領域では、ピストン112はバネ力により最大傾転制限部114で制限され、ポンプ傾転は最大傾転qpmaxとなる。
【0035】
さらにレギュレータ10Aには最大傾転制御部120が設けられている。最大傾転制御部120はピストン112と直列に配置されたピストン121を備え、ピストン121はばね122によりピストン112の反対方向に付勢されている。最大傾転制御部120は電磁比例減圧弁31を介して油圧源30に接続され、電磁比例減圧弁31はコントローラ50からの制御信号によって切り換えられる。電磁比例減圧弁31が位置イ側に切り換えられると、油圧源30からの圧油が最大傾転制御部120に作用する。これによりピストン121はバネ力に抗して図の右方へ移動し、ピストン112の移動範囲の上限をより小さい値に制限する。その結果、図11の点線に示すようにポンプ最大傾転量をqpmaxよりも所定量Δqpだけ低減する。電磁比例減圧弁31が位置ロ側に切り換えられると、最大傾転制御部120は図8に示すようにタンクに連通し、ポンプ最大傾転量はqpmaxとなる。
【0036】
図9は第2の実施の形態に係わる走行制御装置の制御回路のブロック図である。なお、図5と同一の箇所には同一の符号を付し、その相違点を主に説明する。コントローラ50には、走行パイロット圧Ptを検出する圧力センサ41と、エンジン1の実回転数Nを検出する回転数センサ43と、エンジン制御回転数Nθを検出するポテンショメ−タ54とが接続されている。コントローラ50は、以下のようにパルスモータ53と電磁比例減圧弁31に制御信号を出力する。
【0037】
図10は第2の実施の形態に係わるコントローラ50の詳細を説明する概念図である。なお、図6と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。第2の実施の形態では補正エンジン回転数Nsを求めることなく、アクセルペダル22aの操作量に応じた目標回転数Ntを目標回転数指令値Nyとして出力する。サーボ制御部210では前述したのと同様の処理を実行し、エンジン回転数を目標回転数指令値Nyに制御する。
【0038】
減算器511では回転数センサ43により検出したエンジン実回転数Nから目標回転数Ntを減算し、エンジン回転数の偏差ΔNを求める。関数発生器512はこの回転数偏差ΔNと補正傾転量Δqpを対応付けた関数L3によって偏差ΔNに応じた補正傾転量Δqpを出力する。関数L3によれば、偏差ΔNが0以下の範囲では補正傾転量Δqp=0であり、偏差ΔNが0より大きくなると補正傾転量Δqpは比例的に減少する。
【0039】
関数発生器513は、アクセルペダル22aが所定値以上操作されたとき、例えばフル操作されたときハイレベル信号を出力してスイッチ514を接点a側に切り換え、操作量が所定値未満のときはローレベル信号を出力してスイッチ514を接点b側に切り換える。スイッチ514が接点a側に切り換えられると関数発生器512から補正傾転量Δqp(≦0)とするような制御信号が出力され、スイッチ514が接点b側に切り換えられると設定器515から補正傾転量Δqp=0とするような制御信号が出力される。電磁比例減圧弁31はこの制御信号によって切り換えられ、ポンプ最大傾転量がqpmaxよりも補正傾転量Δqpだけ減少する。
【0040】
以上のように構成された第2の実施の形態に係わる走行制御装置の動作をより具体的に説明する。
(1)平地走行、登坂走行
平地走行時または登坂走行時には降坂走行時に比べて走行負荷が大きい。そのため、アクセルペダル22aをフル操作した状態で平地走行または登坂走行すると、関数発生器501から出力される目標回転数Nt(=N1)は回転数センサ43により検出されるエンジン実回転数Nよりも大きい、またはほぼ等しくなる。したがって、関数発生器512から出力される補正傾転量Δqpは0となり、電磁比例減圧弁31は位置ロに切り換えられる。これによりレギュレータ10Aでは傾転量制御部120によるポンプ最大傾転量制御が行われず、ポンプ傾転量はqpmaxを上限としてトルク制御部110に作用する走行駆動圧に応じて制御される。
【0041】
平地走行中にアクセルペダル22aを離して車両を減速すると、目標回転数Ntよりも実回転数Nの方が大きくなる。この場合、アクセルペダル22aをフル操作しないため、スイッチ514が接点b側に切り換えられ、Δqp=0である。したがって、この場合も傾転量制御部120によるポンプ最大傾転量制御は行われない。
【0042】
(2)降坂走行
アクセルペダル22aをフル操作した状態で降坂走行すると、降坂走行時には慣性力によって車両が加速されるため、実回転数Nが目標回転数Nt(=N1)よりも大きくなる。これにより関数発生器512からエンジン回転数の偏差ΔNに応じた補正傾転量Δqp(<0)が出力され、電磁比例減圧弁31が位置イ側に切り換えられる。その結果、補正傾転量Δqpの分だけポンプ最大傾転量が減少する。したがって、走行負荷の減少によりエンジン1および油圧ポンプ10の回転数が増加した場合であってもポンプ吐出量が定格最大吐出量(N1×qpmax)以下に抑えられ、走行モータ12の過回転を防止することができる。
【0043】
この場合、坂の勾配が急なほどエンジン回転数の偏差ΔNが大きくなり、関数発生器512からの補正傾転量Δqpは小さくなる。したがって、走行負荷が著しく減少した場合であっても、エンジン回転数の増加を確実に防止することができる。
【0044】
降坂走行時にアクセルペダル22aがフル操作されていないときは、スイッチ515は接点b側に切り換えられ、ポンプ最大傾転量制御は行われない。この場合も走行負荷の減少により実回転数Nが目標回転数Ntよりも大きくなるが、目標回転数Ntは定格回転数N1よりも小さいためポンプ吐出量は定格最大吐出量以下に抑えられる。また、必要以上にポンプ吐出量を低減することがないので、良好な走行性能を発揮することができる。なお、降坂走行時のポンプ吐出量の増加をより低減するため、アクセルペダル22aをフル操作する前にスイッチ514を接点a側に切り換えるように関数発生器513の出力を調整してもよい。
【0045】
以上説明した第2の実施の形態によれば以下のような効果を奏する。
(1) 回転数センサ43によりエンジン1の実回転数Nを検出し、実回転数Nが目標回転数Ntよりも大きいとき、走行モータ12の過回転を引き起こす軽負荷状態を検出し、油圧ポンプ10の最大傾転量を低減するようにした。これにより降坂走行時にエンジン回転数の増加によりポンプ吐出量が増加することを阻止することができる、走行モータ12の過回転を防止することができる。
(2) アクセルペダル22aがフル操作されているときにスイッチ514を接点a側に切り換えてポンプ最大傾転量を低減するようにしたので、必要以上にポンプ傾転量を低減することがなく、良好な走行性能を発揮することができる。
(3) 実回転数Nが目標回転数Ntより大きくなるにつれてポンプ最大傾転量を大きく減少させるようにしたので、坂の勾配が急であっても走行モータ12の過回転を確実に防止することができる。
【0046】
なお、以上では、降坂走行時に走行負荷が軽くなって走行モータ12が過回転するという現象に着目し、走行駆動圧Pやエンジン実回転数Nと目標回転数Ntの偏差ΔNに基づいて走行モータ12の過回転を引き起こす軽負荷状態を検出するようにしたが、走行負荷と相関のある他の物理量に基づいて軽負荷状態を検出してもよい。また、走行負荷とは無関係に走行モータ12の過回転を引き起こす過回転発生状態を検出してもよい。なお、ここで過回転発生状態とは、走行モータ12が現に過回転している場合と、現に過回転してはいないが過回転する可能性が大きい場合の両方をいう。
【0047】
エンジン回転数を制御またはポンプ最大傾転量を制御することで、走行モータ12の過回転を抑制するようにしたが、これ以外の方法(例えば走行モータ12の傾転量制御、制御弁11の駆動制御、リリーフ弁15,16のリリーフ圧制御等)により走行モータ12の過回転を抑制するようにしてもよい。スイッチ504,513を省略し、アクセルペダル22aの操作量に拘わらず常に補正回転数Nsまたは補正傾転量Δqpを出力するようにしてもよい。
【0048】
制御弁11をアクセルペダル22a以外で操作してもよい。上記ではアクセルペダル22aの操作量に応じて制御弁11とエンジン回転数を制御するようにしたが(アクセル制御)、アクセルペダル22aの操作量に応じて制御弁11のみを制御してもよい(バルブ制御)。油圧モータ12を固定容量型油圧モータとしてもよい。第1の実施の形態において、油圧ポンプ10を固定容量型油圧ポンプとしてもよい。エンジン1の目標回転数Ntをアクセルペダル22aにより設定するようにしたが、他の操作部材(例えばレバーやスイッチ)により設定してもよい。
【0049】
以上ではホイール式油圧ショベルについて説明したが、走行モータ12で走行駆動する他の作業車両にも本発明を同様に適用することができる。また、油圧ポンプ10と走行モータ12を閉回路接続したいわゆるHST油圧回路によっても本発明は実現可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、走行モータの過回転を引き起こす過回転発生状態が検出されると走行モータの回転を抑制するようにしたので、降坂走行時に走行負荷が軽くなって走行モータが過回転することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるホイール式油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる油圧駆動車両の走行用油圧回路図。
【図3】第1の実施の形態に係わる油圧ポンプのP−qp特性を示す図。
【図4】図2に示すエンジンの回転数と負荷の関係を示す図。
【図5】第1の実施の形態に係わる走行制御装置の制御回路のブロック図。
【図6】図5に示すコントローラの詳細を説明する概念図。
【図7】図6のサーボ制御部で行われる処理の一例を示すフローチャート。
【図8】第2の実施の形態に係わる油圧駆動車両のポンプレギュレータの詳細を示す油圧回路図。
【図9】第2の実施の形態に係わる走行制御装置の制御回路のブロック図。
【図10】図9に示すコントローラの詳細を説明する概念図。
【図11】第2の実施の形態に係わる油圧ポンプのP−qp特性を示す図。
【符号の説明】
1 エンジン 10 油圧ポンプ
10A ポンプレギュレータ 11 走行用制御弁
12 走行用油圧モータ 22a アクセルペダル
31 電磁比例減圧弁 41,42 圧力センサ
50 コントローラ 53 パルスモータ
54 ポテンショメータ
Claims (9)
- 原動機により駆動される油圧ポンプと、
この油圧ポンプから供給される圧油により駆動される走行モータと、
前記油圧ポンプから前記走行モータへ供給される圧油の流量を制御する走行用制御弁と、
この走行用制御弁を操作する操作手段と、
前記走行モータの過回転を引き起こす過回転発生状態を検出する過回転検出手段と、
前記過回転検出手段により過回転発生状態が検出されると前記走行モータの回転を抑制するモータ過回転防止手段とを備えることを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記過回転検出手段は、前記原動機に作用する負荷の大きさを検出する負荷検出手段を有し、前記負荷検出手段により軽負荷状態が検出されると前記走行モータの過回転発生状態を検出することを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1または2に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記走行モータの駆動圧力を検出する駆動圧力検出手段を備え、
前記過回転検出手段は、少なくとも検出された駆動圧力が所定値以下のとき前記走行モータの過回転発生状態を検出することを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項3に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段を備え、
前記過回転検出手段は、検出された駆動圧力が前記所定値以下であり、かつ、前記操作手段が最大操作されると前記走行モータの過回転発生状態を検出することを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1または2に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記原動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記原動機を目標回転数に制御する回転数制御装置とを備え、
前記過回転検出手段は、少なくとも検出された前記原動機の回転数が前記目標回転数より大きいと前記走行モータの過回転発生状態を検出することを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項5に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記操作手段の操作量を検出する操作量検出手段を備え、
前記過回転検出手段は、検出された回転数が前記目標回転数より大きく、かつ、前記操作手段が最大操作されると前記走行モータの過回転発生状態を検出することを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記モータ過回転防止手段は、前記原動機の回転数を低減する回転数低減手段であることを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の油圧駆動車両の走行制御装置において、
前記油圧ポンプは可変容量型油圧ポンプであり、
前記モータ過回転防止手段は、前記油圧ポンプの傾転量を低減する傾転量低減手段であることを特徴とする油圧駆動車両の走行制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項記載の走行制御装置を有する油圧駆動車両。
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