JP2004118070A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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JP2004118070A
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Hiromitsu Yanaka
谷中 宏充
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Abstract

【課題】赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能であり、高感度、且つ、現像性に優れたネガ型平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】支持体上に、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤と、(C)ラジカル重合性化合物と、を含有し、赤外線照射により硬化反応を生起する感光層と、乾燥時の膜重量が、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下のオーバーコート層と、を順次設けてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版原版に関し、詳細には、コンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なネガ型平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータのデジタルデータから直接製版するシステムとしては、▲1▼電子写真法によるもの、▲2▼青色又は緑色を発光するレーザを用い露光する光重合系によるもの、▲3▼銀塩を感光性樹脂上に積層したもの、▲4▼銀塩拡散転写法によるもの等が提案されている。
【0003】
しかしながら、▲1▼の電子写真法を用いるものは、帯電、露光、現像等画像形成のプロセスが煩雑であり、装置が複雑で大がかりなものになる。また、▲2▼の光重合系によるものでは、青色や緑色の光に対して高感度な版材を使用するため、明室での取扱いが難しくなる。▲3▼、▲4▼の方法では銀塩を使用するため現像等の処理が煩雑になる、処理廃液中に銀が含まれる等の欠点がある。
【0004】
一方、近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、これらのレーザは非常に有用である。しかし、実用上有用な多くの感光性記録材料は、感光波長が760nm以下の可視光域であるため、これらの赤外線レーザでは画像記録できない。このため、赤外線レーザで記録可能な材料が望まれている。
【0005】
このような赤外線レーザにて記録可能な画像記録材料としては、オニウム塩、フェノール樹脂及び分光増感剤より成る記録材料がある(特許文献1参照。)。この画像記録材料は、オニウム塩とフェノール樹脂により発現する現像液に対する溶解抑止効果を利用したポジ型の画像記録材料であり、本発明のようなネガ型ではない。一方、ネガ型の画像記録材料としては、赤外線吸収剤、酸発生剤、レゾール樹脂及びノボラック樹脂より成る記録材料が開示されている(特許文献2参照。)。しかしながら、このようなネガ型の画像記録材料は、画像形成のためにはレーザ露光後に加熱処理が必要であり、このため、露光後の加熱処理を必要としないネガ型の画像記録材料が所望されていた。
例えば、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物より成る、画像様露光後の加熱処理を必要としない記録材料が開示されているが(特許文献3参照。)、この画像記録材料は、重合反応時に空気中の酸素による重合阻害がおこり、感度の低下や、形成された画像部の強度が不充分であるという問題があった。
【0006】
この重合阻害を防止するための手段として、例えば、光透過性で感光性との接着性を有するオーバーコート層を設ける技術が開示されている(特許文献4参照。)。このようなオーバーコート層には通常酸素遮断性に優れ、入手が容易なポリビニルアルコールが用いられており、このようなオーバーコート層によって大気中の酸素を遮断することで、重合阻害が防止され、感度や保存安定性の向上効果が達成されている。
しかしながら、ポリビニルアルコールを用いたオーバーコート層を用いる場合、現像時にこのオーバーコート層を除去する必要上、オーバーコート層なしのものと比較して、現像時間に時間がかかったり、現像前に水洗を行い、オーバーコート層を除去する工程(以下、適宜、プレ水洗と称する)を経なければならないなど、煩雑な工程を必要とする欠点があった。
また、事前水洗槽または現像槽でオーバーコート層を除去する場合のいずれにおいても、膜重量が多い程、現像液のオーバーコート層成分の濃縮化が起こり、配管つまり等の問題が発生し易いため、実用上廃液量が多くなってしまうなどの問題があった。
【0007】
【特許文献1】
米国特許4,708,925号明細書
【特許文献2】
米国特許5,340,699号明細書
【特許文献3】
特公平7−103171号公報
【特許文献4】
特開平10−228109号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能であり、高感度、且つ、現像性に優れたネガ型平版印刷版原版を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、平版印刷版原版の感光層上に設けるオーバーコート層の膜重量を調整することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤と、(C)ラジカル重合性化合物と、を含有し、赤外線照射により硬化反応を生起する感光層と、
乾燥時の膜重量が、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下のオーバーコート層と、
を順次設けてなることを特徴とする。
また、本発明においては、前記オーバーコート層の成分として、ポリビニルアルコール及び酸変性ポリビニルアルコールのうち少なくとも一種を含有することが好ましい態様として挙げられる。
【0010】
本発明の平版印刷版原版は、感光層上に設けるオーバーコート層の膜重量を、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下とすることにより、オーバーコート層本来の目的である画像形成性及び感度の向上を確保しながらも、且つ、優れた現像性が得られるため、現像時間の短縮、またはプレ水洗などの煩雑な工程を省略することができる。
また、そのようなオーバーコート層の成分としては、変性されていないポリビニルアルコール及び酸変性ポリビニルアルコールのうち少なくとも一種を含有することが、酸素遮断性および現像除去性の観点から好ましく、なかでも酸変性ポリビニルアルコールは親水性が高く、現像除去性が一層向上するため特に好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤と、(C)ラジカル重合性化合物と、を含有し、赤外線照射により硬化反応を生起する感光層と、乾燥時の膜重量が、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下のオーバーコート層と、を順次設けてなるものである。
まず、本発明の特徴的な構成である、オーバーコート層について詳細に説明する。
【0012】
〔乾燥時の膜重量が0.05g/m2以上、1.0g/m2以下のオーバーコート層〕
[オーバーコート層の成分]
本発明に用いられるオーバーコート層の組成には特に制限はなく、例えば、米国特許第3、458、311号、特開昭55−49729号等に詳細に記載されている公知のものを用いることができる。このようなオーバーコート層に使用できる材料としては、水もしくはアルカリ水溶液に溶解できる天然高分子および合成高分子から選ばれ、塗布乾燥された時にフィルム形成できるものが好ましい。具体的には、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール、そのブチラール誘導体、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩等を挙げることができる。
【0013】
これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性の観点から好ましい。そのようなポリビニルアルコールとしては、無変性のポリビニルアルコールと、カルボン酸またはその塩、あるいはスルホン酸塩等により変性された酸変性ポリビニルアルコールとが挙げられる。中でも、親水性を高めた酸変性ポリビニルアルコールが現像性の観点から好ましく、具体的には,例えば、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコール等の酸変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、オーバーコート層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良く、また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
【0014】
このようなポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、重合度が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製の、KL−504、KL−506、KL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
【0015】
オーバーコート層の成分、即ち、PVAとしてどのような化合物を選択するか、添加剤の使用の要否やその添加量などは、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。
一般的には使用するPVAの加水分解率が高い程(オーバーコート層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。
【0016】
これらの観点を考慮すると、本発明のオーバーコート層としては、酸素遮断性に優れ、且つ、現像性の良好な前記酸変性PVA、詳細には、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ酸変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール等の酸変性ポリビニルアルコール等を用いることが最も好ましい。このような酸変性PVAは、例えば、株式会社クラレ製の、KL−504、KL−506、KL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、などの市販品としても入手可能である。
【0017】
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の記録層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
そこで、これら2層間の接着性を改すべく種々の提案がなされており、たとえば米国特許第292、501号、米国特許第44、563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、記録層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明におけるオーバーコート層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。
【0018】
さらに、これらのオーバーコート層に、露光に使う光(例えば、赤外線レーザならば波長760〜1200nm)の透過性に優れ、かつ露光に係わらない波長の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性を高めることができる。
【0019】
[オーバーコート層の塗布]
本発明に用いられるオーバーコート層は、通常、オーバーコート層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。
ここで使用する溶媒としては、水を主成分として用いるが、塗布液の表面張力、粘度等の塗布物性制御や下層の溶解性制御の点から、メタノール等のアルコール類、グリセリン等のグライコール類、エタノールホルムアミドなどのアマイド類、ジメチルスルホキシドを混合し使用できるが、これに限定されたものではない。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは0.01〜50質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。
【0020】
本発明に係るオーバーコート層塗布液には、塗布性を良化するために界面活性剤を添加してもよい。そのような界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、グリセロールモノウラレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、アルキルアリルエーテルホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸テルホルマリン縮合物等が挙げられる。
好ましい添加量は、溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)中、0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
【0021】
オーバーコート層の塗布・乾燥後に得られる塗布量は、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下であればよく、0.1〜1.0g/m2の範囲が好ましく、0.2〜0.75g/m2がさらに好ましい。
0.05g/m2未満であると、酸素遮断性に劣り、十分な感度が得られず、1.0g/m2より多いと、現像時におけるオーバーコート層の除去性に劣り、現像時間がかかったり、プレ水洗を行わなければならないなど、煩雑な現像工程を必要とする。
【0022】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布、エクストリュージョン塗布等を挙げることができる。
【0023】
〔感光層〕
本発明に用いられる感光層は、露光時の赤外光を吸収し、熱エネルギーに変換する(A)赤外線吸収剤と、該熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、を含有し、好ましくは膜強度向上の観点から、(D)バインダーポリマーを含有する。
以下、ネガ型平版印刷版原版の感光層に用いられる各化合物について詳細に説明する。
【0024】
[(A)赤外線吸収剤]
本発明に用いられる赤外線吸収剤は、吸収した赤外光を熱に変換する機能を有していれば特に制限はなく、公知の赤外線吸収剤を適宜選択して用いることができる。赤外線吸収剤が赤外線レーザにより露光され、発生した熱により、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解され、ラジカルや酸を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
【0025】
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0026】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0027】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0028】
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シアニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示されるシアニン色素が最も好ましい。
【0029】
【化1】
Figure 2004118070
【0030】
前記一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子または、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
【0031】
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z1−は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1−は必要ない。好ましいZ1−は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0032】
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
【0033】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0034】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0035】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点で好ましくない。
【0036】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0037】
これらの赤外線吸収剤の添加量は、本発明における感光層の、波長760nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の範囲となるようにすることが好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾向がある。光学濃度は前記赤外線吸収剤の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。感光層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
【0038】
[(B)ラジカル発生剤]
本発明において用いられるラジカル発生剤は、(A)赤外線吸収剤と組み合わせて用い、赤外線レーザーを照射した際にラジカルを発生する化合物を指す。ラジカル発生剤としては、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、ボレート化合物などが挙げられるが、オニウム塩が高感度であり、好ましい。本発明においてラジカル重合開始剤として好適に用い得るオニウム塩について説明する。好ましいオニウム塩としては、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(II)〜(IV)で表されるオニウム塩である。
【0039】
【化2】
Figure 2004118070
【0040】
式(II)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
【0041】
式(III)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
【0042】
式(IV)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
【0043】
本発明において、ラジカル発生剤として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
【0044】
本発明において用いられるラジカル発生剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0045】
これらのラジカル発生剤は、感光層塗布液の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で感光層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1質量%未満であると感度が低くなり、また50質量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのラジカル発生剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、これらのラジカル発生剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0046】
[(C)ラジカル重合性化合物]
本発明に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0047】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステルの具体例は、特開2001−133969号公報の段落番号[0037]〜[0042]に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。
【0048】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0049】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
【0050】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0051】
一般式(V)
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41及びR42は、H又はCH3を示す。)
【0052】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
【0053】
さらに、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0054】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0055】
これらのラジカル重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。
大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0056】
[(D)バインダーポリマー]
本発明においては、膜強度向上の観点から、感光層にはさらにバインダーポリマーを使用することが好ましく、バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、感光層を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0057】
特にこれらの中でも、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等のエチレン性不飽和二重結合と、カルボキシル基とを側鎖に有する樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0058】
また、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0059】
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0060】
本発明で使用されるポリマーの質量平均分子量については好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0061】
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0062】
本発明で使用されるポリマーは従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0063】
本発明で使用されるポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0064】
本発明で使用されるバインダーポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマーは、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%の割合で感光層中に添加される。添加量が20質量%未満の場合は、画像形成した際、画像部の強度が不足する。また添加量が95質量%を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機ポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0065】
[その他の成分]
本発明の平版印刷版原版の感光層には、前記の膜硬化に関する成分のみならず、平版印刷版原版としての特性やハンドリング性などを改良するため、さらに必要に応じて種々の化合物を添加してもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
【0066】
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層塗布液全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
【0067】
また、本発明においては、感光層塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
【0068】
また、感光層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0069】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0070】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0071】
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。その他、目的に応じて密着向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、スベリ剤等の添加剤を好適に配合することができる。
【0072】
さらに、本発明に係る感光層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0073】
本発明の平版印刷版原版を製造するには、通常、感光層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0074】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感光層の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0075】
本発明に係る感光層塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光層の材料固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0076】
[支持体]
本発明の平版印刷版原版に用い得る支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等を挙げることができる。
【0077】
本発明で使用する支持体としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れたアルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金。Al−Mg−Si系合金などが挙げられる。
【0078】
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む前記の如き合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。アルミニウム板としては、純アルミニウムが好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように、アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。前記アルミニウム板の厚みとしては、およそ0.1〜0.6mm程度が好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが特に好ましい。
【0079】
前記アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。
【0080】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。陽極酸化による、陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m2以上が好ましい。陽極酸化皮膜の量が、1.0g/m2未満の場合には、耐刷性が不十分であったり、平版印刷版として用いた場合には、非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなることがある。前記陽極酸化処理を施された後、前記アルミニウムの表面は、必要に応じて親水化処理が施される。
【0081】
また、このようなアルミニウム支持体は陽極酸化処理後に有機酸またはその塩による処理または、感光層塗布の下塗り層を適用して用いることができる。
【0082】
なお支持体と感光層との密着性を高めるための中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さは任意であり、露光した時に、上層の感光層と均一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましくは60〜100%である。
【0083】
支持体表面に以上のような処理或いは、下塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
【0084】
平版印刷版用支持体として好ましい特性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmである。0.10μmより低いと感光層と密着性が低下し、著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大きい場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像が見難くく、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0085】
以上のようにして、所定の処理を行って得られた支持体上に、先に述べた感光層、及び表面保護層、さらには、中間層、バックコート層等の他の任意の層を形成することで、本発明の平版印刷版原版を得ることができる。
本発明の平版印刷版原版は、赤外線レーザにより画像記録を行われる。本発明においては、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると感光層の硬化が十分に進行しなかったり、また、露光のエネルギーが高すぎると感光層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷したりすることがある。
【0086】
本発明における露光は光源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
【0087】
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
【0088】
本発明の平版印刷版原版の現像、製版に用いられる現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0089】
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0090】
自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
【0091】
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
【0092】
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版原版を上記方法により製版した印刷版を使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0093】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。本発明により得られた平版印刷版も、この自動現像機にて処理を施すことができるものである。この自動現像機は一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。この方法によれば、経時的な炭酸ガスによる現像性の低下や現像液に起因する耐刷性の低下の懸念がないため、これらの自動現像機のいずれにも本発明に係る方法を好適に適用することができる。
【0094】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
【0095】
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。
【0096】
整面液が塗布された平版印刷版は、必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0097】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
【0098】
このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0099】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜3、比較例1〜3〕
[支持体の作成]
厚さ0.30mmのアルミニウムウエッブ(材質1050)を、表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0100】
次いで支持体と記録層の密着性を良好にし、砂目立て処理を行った。1%の塩酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0101】
さらに、電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。作成したアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被服量は20mg/m2であった。
【0102】
[下塗り]
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被服量は10mg/m2であった。
【0103】
<下塗り液>
・2−メタクリロイルオキシエチルリン酸            0.4g
・メタノール                          20g
・イオン交換水                         80g
【0104】
[感光層]
先に、以下の感光層塗布液にバインダーとして添加する高分子化合物(P−1)を合成した。
<高分子化合物(P−1)の合成>
1000mlフラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド70gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。以下に示す化合物(A−1)33.5g、メタクリルアミド6.8g、メタクリル酸メチル12.0g、メタクリル酸6.9g、V−59(和光純薬製)0.538gのN,N−ジメチルアセトアミド70g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで、反応溶液を冷却した後、水3.5Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物を48.5g得た。得られた高分子化合物をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、124,000であった。また、滴定により酸価を求めたところ、1.30meq/g(計算値1.35meq/g)であり、正常に重合が行われたことが確認された。
【0105】
200ml三口フラスコに、得られた高分子化合物26.0g、p−メトキシフェノール0.1を入れ、N,N−ジメチルアセトアミド60gに溶解した。溶解した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)30.4gを滴下ロートを用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸17mlを溶解させた水2Lに投入し高分子化合物(P−1)を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物(P−1)を18.2g得た。得られた高分子化合物(P−1)のH−NMRを測定したところ、化合物(A−1)由来の側鎖基の100%がエチレンメタクリレート基に変換されたことが確認された。また、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、114,000であった。さらに、滴定により酸価を求めたところ、0.9meq/g(計算値0.8meq/g)であった。
【0106】
【化3】
Figure 2004118070
【0107】
次に、下記感光層塗布液を調整し、上記下塗り済みのアルミニウム板にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は2.0g/m2であった。
【0108】
<感光層塗布液>
・以下に示される構造の赤外線吸収剤             0.10g
・以下に示される構造のラジカル発生剤            0.15g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート          1.0g
・上記で得られた高分子化合物(P−1)            1.0g
・クリスタルバイオレット                  0.06g
・フッ素系界面活性剤                    0.01g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアロイルメチルアミド                 0.02g
・メチルエチルケトン                    14.0g
・メタノール                         6.5g
・1−メトキシ−2−プロパノール              10.0g
【0109】
【化4】
Figure 2004118070
【0110】
さらに、下記オーバーコート層塗布液をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥し、本発明の平版印刷版原版を得た。なお、塗布・乾燥後のオーバーコート層の膜重量(g/m2)を表1に記す。
【0111】
<オーバーコート層塗布液>
・ポリビニルアルコール                    2.5g
(PVA105:クラレ(株)製、ケン化度98.5%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン                    0.5g
(K30、東京化成工業(株)製 分子量4万)
・非イオン性界面活性剤                   0.05g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水                      96.95g
【0112】
〔感度および現像性の評価〕
上記で得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244にて、露光エネルギーを変えてテストパターンを画像状に描き込んだ。
次に、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940Hに、現像液DV−2(希釈して、pH12.0(25℃)としたもの)を投入し、上記平版印刷版原版を搬送速度を変えて通し、印刷版の画像部が取り切れるのに必要な現像液浸漬時間を測定した。この時、先の画像描き込みにより、露光部が十分に硬化し、画像が形成されていた露光エネルギーを測定し、感度とした。数値が小さいほど高感度であることを示す。感度および現像に要した時間の結果を表1に記す。
【0113】
【表1】
Figure 2004118070
【0114】
表1によれば、オーバーコート層の膜重量を、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下に調整して設けた本発明のいずれの平版印刷版原版も、オーバーコート層本来の目的である感度の向上効果を確保しながらも、且つ、プレ水洗などの煩雑な工程を含まない、短時間の現像処理により非画像部が除去されたことが確認された。
一方、オーバーコート層を設けなかった比較例1の平版印刷版原版は、現像時間は短いものの、感度に劣っており、比較例2および3の平版印刷版原版は、感度には優れるが、オーバーコート層の膜重量が多いため実施例に比較して現像に時間を要することが分かった。
【0115】
〔実施例4〜6、比較例4、5〕
上記実施例1〜3における、オーバーコート層中のポリビニルアルコール(PVA105:クラレ(株)製、ケン化度98.5%、重合度500)を、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(KM−118:クラレ社(株)製、ケン化度95.5〜98.5%)に変更して、オーバーコート層の塗布量を下記表2に記したものに変更した以外は、実施例1〜3と同様にして、平版印刷版原版を作成し、同様の評価を行った。結果を表2に併記する。
【0116】
【表2】
Figure 2004118070
【0117】
表2によれば、オーバーコート層の膜重量を、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下に調整して設けた本発明のいずれの平版印刷版原版も、オーバーコート層本来の目的である感度の向上効果を確保しながらも、且つ、プレ水洗などの煩雑な工程を含まない、短時間の現像処理により非画像部が除去されたことが確認された。また、実施例1〜3と比較しても現像性が向上していることがわかった。
一方、オーバーコート層の膜重量が1.0以上である比較例4および5の平版印刷版原版は、感度には優れるが、実施例に比較して現像に時間を要することが分かった。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接記録可能であり、高感度、且つ、現像性に優れたネガ型平版印刷版原版を得ることができる。

Claims (2)

  1. 支持体上に、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤と、(C)ラジカル重合性化合物と、を含有し、赤外線照射により硬化反応を生起する感光層と、
    乾燥時の膜重量が、0.05g/m2以上、1.0g/m2以下のオーバーコート層と、
    を順次設けてなる平版印刷版原版。
  2. 前記オーバーコート層が、ポリビニルアルコール及び酸変性ポリビニルアルコールのうち少なくとも一種を含有する請求項1記載の平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2088468A1 (en) * 2008-02-06 2009-08-12 FUJIFILM Corporation Method of preparing lithographic printing plate and lithographic printing plate precursor
JP2011148315A (ja) * 2004-08-24 2011-08-04 Fujifilm Corp 平版印刷版原版および平版印刷方法

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