JP2004124876A - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents

容量可変型斜板式圧縮機 Download PDF

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Masakazu Murase
村瀬 正和
Hiroaki Kayukawa
粥川 浩明
Hideki Mizutani
水谷 秀樹
Tatsuya Koide
小出 達也
Takahisa Ban
坂 高寿
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Abstract

【課題】動力損失をより一層低減可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供する。
【解決手段】第1軸受10とラグプレート14との間にはスラスト軸受13に作用するスラスト力を軽減可能な付勢力をもつ皿バネ20が設けられ、第1軸受10としての円錐コロ軸受がラジアル力及びスラスト力を受承する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両空調用等に用いられる容量可変型斜板式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両空調システムに用いられる冷凍回路には、冷媒ガスを圧縮するための圧縮機が組み込まれている。車両空調システムに用いられる一般的な容量可変型斜板式圧縮機(例えば、特許文献1の図8記載のもの)では、シリンダブロックに複数個のシリンダボアが互いに平行に貫設されており、このシリンダブロックの前方にフロントハウジングが締結され、内部にクランク室が形成されている。また、シリンダブロックの後方には吸入弁、弁板、吐出弁及びリテーナからなる弁機構を挟持してリヤハウジングが締結され、内部に吸入室及び吐出室を形成している。こうして、これらシリンダブロック、フロントハウジング及びリヤハウジングによりハウジングが構成されている。
【0003】
シリンダボア内には片頭ピストンが往復動可能に収容され、その片頭ピストンによってシリンダボア内の後方側に圧縮室が区画されている。また、フロントハウジングの軸孔には前方に位置する第1軸受が備えられ、シリンダブロックの軸孔には後方に位置する第2軸受が備えられ、これら第1、2軸受により駆動軸が回転可能に支承されている。この駆動軸は、前端部がフロントハウジングから突出し、車両のエンジン等の外部駆動源により駆動されるようになっている。また、シリンダブロックの軸孔には駆動軸の後端部と弁機構とに軸受を介して当接する支持バネが介装され、この支持バネによって駆動軸が前方に付勢されている。
【0004】
そして、クランク室内には、フロントハウジングの前方との間にスラスト軸受を介して駆動軸と同期回転可能なラグプレートが支承されている。そして、クランク室内には斜板がラグプレートとヒンジ機構を介して駆動軸に同期回転かつ傾動可能に支承されており、この斜板によって片頭ピストンが往復従動するようになっている。また、この圧縮機では、リヤハウジング内にクランク室、吸入室及び吐出室と連通し、クランク室内の圧力を制御する制御機構が備えられている。
【0005】
この圧縮機では、駆動軸が駆動されれば、斜板がその傾角に応じて揺動するため、片頭ピストンがシリンダボア内を往復動する。このため、吸入室内の冷媒ガスが圧縮室内に吸入され、圧縮室内で圧縮された冷媒ガスが吐出室内に吐出されることとなる。この間、制御機構がクランク室内の圧力を制御すれば、斜板の傾角が変更されるため、圧縮室から吐出室への吐出容量が変更されることとなる。つまり、クランク室内の圧力が高くされれば、斜板の傾角が小さくなり、吐出容量が小さくされる。また、クランク室内の圧力が低くされれば、斜板の傾角が大きくなり、吐出容量が大きくされる。
【0006】
また、この間、駆動軸に作用するラジアル力はフロントハウジング及びシリンダブロックとの間で第1、2軸受により受承される。また、冷媒ガスの圧縮反力はピストン、シュー、斜板及びラグプレートに伝達され、フロントハウジングとの間でスラスト軸受により受承される。さらに、この圧縮機では、クランク室が第2軸受を介してシリンダブロックの軸孔に連通し、かつ駆動軸の後端部には弁機構との間に支持バネが介装されているため、クランク室内の圧力及びその支持バネの付勢力も駆動軸及びラグプレートを介してそのスラスト軸受により受承される。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−13474号公報の図8
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の一般的な容量可変型斜板式圧縮機では、クランク室内でフロントハウジングとラグプレートとの間に設けられたスラスト軸受のみによって、圧縮反力、クランク室内の圧力及び支持バネの付勢力の全てを受承しており、スラスト軸受の転動径は第1、2軸受のそれよりも大きいことから、動力損失が大きいという不具合がある。
【0009】
この点、上記特許文献1開示の圧縮機では、シリンダブロックの軸孔内において、駆動軸の後端部と弁機構との間の支持バネを省略し、駆動軸の後端部に弁機構との間に微小な隙間をもつ筒状の規制部材を嵌合することとしている。この圧縮機では、スラスト軸受によって従来の支持バネの付勢力を受承する必要がなくなることから、動力損失を低減できる。
【0010】
しかしながら、この圧縮機においても、未だスラスト軸受が圧縮反力及びクランク室内の圧力の両者を受承しており、動力損失の効果が十分でない。特に、クランク室内の圧力が高く、吐出容量が小さい状態においては、圧縮反力はさほどの大きさではないものの、クランク室内の高圧が駆動軸の後端部を前方に付勢するため、この状態における動力損失を無視できない。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、動力損失をより一層低減可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、内部にシリンダボア、クランク室、吸入室及び吐出室を形成するハウジングと、該シリンダボア内に往復動可能に収容され、該シリンダボア内の後方側に圧縮室を区画する片頭ピストンと、前端部が該ハウジングから突出して外部駆動源により駆動され、該ハウジングの前方との間に第1軸受を介し、該ハウジングの後方との間に第2軸受を介して該ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、該クランク室内で該ハウジングの前方との間にスラスト軸受を介して該駆動軸と同期回転可能に支承されたラグプレートと、該クランク室内で該ラグプレートとヒンジ機構を介して該駆動軸と同期回転かつ傾動可能に支承され、該片頭ピストンを往復従動させる斜板と、該クランク室、該吸入室及び該吐出室と連通し、該クランク室内の圧力を制御する制御機構とを備え、該制御機構によって該斜板の傾角に基づく該片頭ピストンの往復動による該圧縮室から該吐出室への吐出容量を変更可能な容量可変型斜板式圧縮機において、
【0013】
前記第1軸受と前記ラグプレートとの間には前記スラスト軸受に作用するスラスト力を軽減可能な付勢力をもつ付勢手段が設けられ、該第1軸受がラジアル力及びスラスト力を受承することを特徴とする。
【0014】
本発明の圧縮機では、クランク室内でハウジングの前方とラグプレートとの間に設けられたスラスト軸受に作用するスラスト力を第1軸受とラグプレートとの間に設けられた付勢手段が軽減する。このため、スラスト軸受のころがり摩擦力が減り、動力損失が低減される。そして、この圧縮機では、ハウジングの前方に設けられて駆動軸を支承する第1軸受がラジアル力ばかりでなく、スラスト力も受承することから、作動に支障を来たさない。
【0015】
したがって、本発明の圧縮機では、動力損失をより一層低減することができる。
【0016】
駆動軸がクランク室内の圧力に基づく内圧力により前方に付勢される圧縮機である場合、付勢手段の付勢力はその内圧力の最大値よりも強いことが好ましい。こうであれば、スラスト軸受がクランク室内の圧力による内圧力を受承しなくなるため、効果が大きい。特に、クランク室内の圧力が高く、吐出容量が小さい状態における動力損失を確実に低減することができる。
【0017】
第1軸受としては、ラジアル軸受と、従来のスラスト軸受よりも転動径の小さいスラスト軸受とを採用することができる他、円錐コロ軸受を採用することができる。円錐コロ軸受を採用することが部品点数削減の意味で好ましい。
【0018】
付勢手段としては、第1軸受における駆動軸と同期回転するレースとラグプレートとの間に設けられる皿バネ、コイルバネ、ゴム等の弾性体を採用することができる。弾性体をそのようなレースとラグプレートとの間に設ければ、弾性体が駆動軸と摺接しないため、すべり摩擦力によって動力損失を生じない。これらのうち皿バネを採用することが好ましい。皿バネであれば、短軸化により圧縮機の小型化を実現できる。
【0019】
本発明は、圧縮機が外部駆動源の駆動中、常に駆動軸が駆動されるものである場合に効果が大きい。すなわち、この種の圧縮機では、近年、車両の運転フィーリングの向上等の観点から、駆動軸と外部駆動源との間の電磁クラッチが省略され、外部駆動源の駆動中、常に駆動軸が駆動されるクラッチレス化が行われている。そして、このクラッチレスの圧縮機においては、起動時の負荷を少なくするため、最小吐出容量の状態で圧縮機が起動されるようにされ得る。このため、クラッチレスを図った従来の圧縮機において、吐出容量が小さい状態の動力損失が大きければ、起動時に大きな負荷が外部駆動源に作用し、好ましくない。これに対し、クラッチレスを図った本発明の圧縮機では、スラスト軸受に作用するスラスト力を付勢手段が軽減し、吐出容量が小さい状態の動力損失を低減することもできるため、起動時の負荷を小さくすることができる。
【0020】
また、本発明は、圧縮機がCOを冷媒ガスとする場合に効果が大きい。すなわち、COを冷媒ガスとする圧縮機では、環境にやさしいという利点を有しているものの、通常の冷媒ガスよりも10倍程度高い動作圧によってCOの圧縮を行わなければならないため、クランク室内の圧力が極めて大きくなってしまう。こうして、クランク室内の圧力が極めて大きくなれば、駆動軸の後端部を前方に付勢し得る内圧力が大きくなり、動力損失が大きくなってしまう。これに対し、本発明の圧縮機では、クランク室内の高圧に基づいてスラスト軸受に作用するスラスト力を付勢手段が軽減することから、動力損失の低減の効果が大きい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の容量可変型斜板式圧縮機を車両空調システムに具体化した実施形態1又は2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施形態1)
実施形態1の圧縮機では、図1に示すように、複数のシリンダボア1aと軸孔1bとマフラ室1cと吸入口1dとが形成されたシリンダブロック1の前端にカップ状のフロントハウジング2が締結され、シリンダブロック1の後端には吸入弁3、弁板4、吐出弁5及びリテーナ6からなる弁機構を挟持してリヤハウジング7が締結されている。シリンダブロック1、フロントハウジング2及びリヤハウジング7がハウジングである。そして、フロントハウジング2にも軸孔2aが形成され、シリンダブロック1の前端とフロントハウジング2とによって内部にクランク室8が形成されている。なお、図1に示す圧縮機の左側を前方とし、その右側を後方とする。
【0023】
クランク室8内では、軸孔2aに軸封装置9及び第1軸受10を介し、かつ軸孔1bに第2軸受11を介して駆動軸12が回転可能に支承されている。この圧縮機の特徴的な構成として、第1軸受10は円錐コロ軸受である。なお、第2軸受11はラジアル軸受である。第1軸受10は、図2及び図3に示すように、駆動軸12が圧入されて駆動軸12と同期回転するインナーレース10aと、フロントハウジング2に圧入されたアウターレース10bと、インナーレース10a及びアウターレース10bの間に介在する複数のコロ10cと、図示しない保持器とから構成されている。インナーレース10aの転動面は軸心と同軸の円筒面に形成されている。アウターレース10bの転動面は、軸心と同軸をなし、前方が小径をなすテーパ面に形成されている。各コロ10cは前方が小径の円錐台形状をしている。
【0024】
また、クランク室8内では、フロントハウジング2との間にスラスト軸受13を介して駆動軸12にラグプレート14が固定されている。そして、この圧縮機の他の特徴的な構成として、インナーレース10aとラグプレート14との間には、駆動軸12に挿入された付勢手段としての皿バネ20が設けられており、この皿バネ20の付勢力f0によりラグプレート14が後方を付勢されている。
【0025】
図1に示すように、ラグプレート14には後方に向かって一対のアーム15が突設されており、各アーム15には円筒状の内面をもつガイド孔15aが貫設されている。また、駆動軸12は斜板16の貫通孔16aを挿通しており、斜板16とラグプレート14との間には傾角減少バネ17が設けられている。また、駆動軸12の斜板16よりやや後方にはサークリップ25により復帰バネ26が設けられている。シリンダブロック1の軸孔1b内では駆動軸12の後端部に軸受27が設けられ、軸受27と吸入弁3との間には支持バネ29が設けられている。なお、従来の公報記載の圧縮機のように、軸受27及び支持バネ29に代えて規制部材を設けてもよい。
【0026】
斜板16の前端には各アーム15に向かって一対のガイドピン16bが突設されており、各ガイドピン16bの先端にはガイド孔15a内を摺動しつつ回動可能な球状の外面をもつガイド部16cが設けられている。また、斜板16の前後周縁にはそれぞれ対をなすシュー18を介して中空状の片頭ピストン19が設けられており、各片頭ピストン19は各シリンダボア1a内に収容されている。そして、シリンダボア1aと片頭ピストン19とにより圧縮室30が区画されている。
【0027】
フロントハウジング2から前方に突出した駆動軸12にはボルト23によりプーリ22が固定されており、このプーリ22はフロントハウジング2との間で玉軸受24により支承されている。プーリ22には外部駆動源としてのエンジンEGと接続されたベルトが巻きかけられている。
【0028】
また、リヤハウジング7内にはシリンダブロック1の吸入口1dに図示しない吸入通路により連通する吸入室7aが形成され、この吸入室7aはリテーナ6、吐出弁5及び弁板4に貫設された吸入ポート31により各シリンダボア1aと連通している。吸入口1dは冷凍回路の蒸発器EVに配管により接続され、蒸発器EVは配管により膨張弁Vを介して凝縮器COに接続されている。また、リヤハウジング7内には吸入室7aより外側に吐出室7bが形成されている。吐出室7bとシリンダブロック1のマフラ室1cとはリテーナ6、吐出弁5、弁板4及び吸入弁3を貫通する吐出通路7dにより連通されている。マフラ室1cは冷凍回路の凝縮器COに配管により接続されている。吐出室7bは弁板4及び吸入弁3に貫設された吐出ポート32により各シリンダボア1aと連通している。また、リヤハウジング7には、クランク室8、吸入室7a及び吐出室7bと連通し、クランク室8内の圧力を制御する制御機構34が収納されている。この制御機構34は、吸入室7aの圧力を検知等することによりクランク室8内の圧力を調整可能になっており、これにより斜板16の傾角に基づく片頭ピストン19の往復動による圧縮室30から吐出室7bへの吐出容量が変更可能になっている。
【0029】
上記のように構成された圧縮機は、冷凍回路内に充填された冷媒ガスとしてのCOを圧縮する仕事を行う。すなわち、エンジンEGが駆動されている間、ベルトでプーリ22が回転し、常に駆動軸12が駆動される。これにより、斜板16が揺動運動し、片頭ピストン19がシリンダボア1a内を往復動する。このため、冷凍回路の蒸発器EVの冷媒ガスが吸入口1dを経て吸入室7a内に吸入され、圧縮室30内で圧縮された後、吐出室7b内に吐出される。吐出室7b内の冷媒ガスはマフラ室1cを経て凝縮器COに吐出される。
【0030】
この間、駆動軸12に作用するラジアル力はフロントハウジング2及びシリンダブロック1との間で第1、2軸受10、11により受承される。また、冷媒ガスの圧縮反力はピストン19、シュー18、斜板16及びラグプレート14に伝達される。さらに、この圧縮機では、クランク室8が第2軸受11を介してシリンダブロック1の軸孔1bに連通し、かつ駆動軸12の後端部には弁機構との間に支持バネ29が介装されているため、クランク室8内の圧力及びその支持バネ29の付勢力も駆動軸12及びラグプレート14に伝達される。ここで、クランク室8内の圧力により駆動軸12が前方に付勢される内圧力をf1とし、支持バネ29の付勢力をf2とし、圧縮反力をf3とする。上記皿バネ20の付勢力f0は、最大の内圧力f1と支持バネ29の付勢力f2との合力よりも強く設定されている。
【0031】
かかる圧縮機において、車両が停止してエンジンEGが停止されたり、車両が加速を行ったり、エンジンEGは駆動されたまま車両空調システムのスイッチがOFFされたりした場合、制御機構34がクランク室8内の圧力を増大させ、斜板1が最小傾角で傾斜することとなる。こうして、圧縮室30が最小容量となり、冷媒ガスの吐出容量が最小となる。
【0032】
この状態では、内圧力f1は最大値となり、付勢力f2は一定であり、圧縮反力f3は僅かである。この後、エンジンEG及び圧縮機が起動されたり、車両が普通走行を行ったり、エンジンEGは駆動されたまま車両空調システムのスイッチがONされたりした場合、駆動軸12は、図2に示すように、内圧力f1と付勢力f2と僅かな圧縮反力f3との合力によって、前方に付勢される。このため、ラグプレート14も前方に付勢される。しかし、この圧縮機では、皿バネ20の付勢力f0が内圧力f1の最大値と支持バネ29の付勢力f2との合力よりも強く設定されているため、駆動軸12及びラグプレート14は後方に付勢されることとなる。このため、ラグプレート14とスラスト軸受13との間に微小なクリアランスが生じ、スラスト軸受13がスラスト力を受承しなくなる。このため、スラスト軸受13のころがり摩擦力がなくなり、動力損失が低減されることとなる。
【0033】
その際、皿バネ20に生じるスラスト力はインナーレース10aを介して第1軸受10に受承される。つまり、インナーレース10aによって皿バネ20が駆動軸12と摺接しないため、すべり摩擦力によって動力損失を生じない。こうして、この状態では、第1軸受10だけでスラスト力及びラジアル力を受承しているため、作動に支承を来すことがない。また、第1軸受10として円錐コロ軸受を採用しているため、部品点数を削減することができる。
【0034】
こうして最小容量で起動される際の第1軸受10及びスラスト軸受13による動力損失の低減は、以下のように説明できる。つまり、第1軸受10に生じる摩擦力をF1、摩擦係数をμ1、スラスト力をN1とすると、次式が与えられる。
【0035】
F1=μ1×N1
【0036】
次に、第1軸受10に作用するスラスト力N1は、クランク室8内の圧力をP、駆動軸12の直径をDとすると、次式で与えられる。
【0037】
N1=P×π/4×D
【0038】
次いで、第1軸受10に生じるトルクT1は、第1軸受10の転動径をR1とすると、次式で与えられる。
【0039】
T1=F1×R1
【0040】
こうして、上述した式より、第1軸受10に生じるトルクT1は、次式で与えられる。
【0041】
T1=μ1×P×π/4×D×R1
【0042】
他方、スラスト軸受13に生じる摩擦力をF2、摩擦係数をμ2、スラスト力をN2、転動径をR2とすると、スラスト軸受13に生じるトルクT2は、上述と同様に次式で与えられる。
【0043】
T2=μ2×P×π/4×D×R2
【0044】
こうして、第1軸受10及びスラスト軸受13に生じる全体のトルクTは、次式で与えられる。
【0045】
T=T1+T2
=P×π/4×D×(μ1×R1+μ2×R2)
【0046】
その際、実施形態1では、上述のように、最小容量で起動される際、スラスト軸受13にトルクT2が生じていない。このため、全体のトルクTは、
【0047】
T=T1
=μ1×P×π/4×D×R1
【0048】
となる。このため、第1軸受10及びスラスト軸受13の両方にトルクを生じさせるより、転動径の小さい第1軸受10だけにトルクを生じさせる方が駆動軸12に大きな負荷をかけないことがわかる。つまり、実施形態1の圧縮機では、動力損失が低減されることとなる。このため、エンジンEGに作用する起動時の負荷を小さくすることができる。特に、この圧縮機では、環境にやさしいCOを冷媒ガスとして用いるため、この効果が顕著である。
【0049】
また、この圧縮機では、エンジンEGが駆動された状態で制御機構34がクランク室8内の圧力を減少させると、斜板1が最大傾角で傾斜することとなる。こうして、圧縮室30が最大容量となり、冷媒ガスの吐出容量が最大となる。
【0050】
この状態では、内圧力f1は最小値となり、付勢力f2は一定であり、圧縮反力f3は最大になる。このため、駆動軸12は、図3に示すように、内圧力f1と付勢力f2と大きな圧縮反力f3との合力によって、前方に付勢される。このため、ラグプレート14も前方に付勢される。この場合、皿バネ20の付勢力f0は圧縮反力f3が最大になることにより負け、皿バネ20は第1軸受10のインナーレース10aとラグプレート14との間で押し潰され、駆動軸12及びラグプレート14は前方に付勢されることとなる。
【0051】
その際、ラグプレート14はスラスト軸受13で支承されることとなるが、皿バネ20の付勢力f0がラグプレート14を後方に付勢しているため、スラスト軸受13が受承するスラスト力を軽減することができる。つまり、上述の式において、スラスト軸受13に生じるトルクT2が小さくなる。このため、実施形態1の圧縮機では、吐出容量が大きい状態の動力損失も低減することとなり、エンジンEGに作用する駆動時の負荷を小さくすることができる。
【0052】
したがって、実施形態1の圧縮機では、動力損失をより一層低減することができる。
【0053】
また、この圧縮機では、皿バネ20が第1軸受10のインナーレース10aとラグプレート14との狭い間で付勢力f0を発揮しているため、駆動軸12の短軸化を図ることができ、小型化が実現されている。
【0054】
なお、この圧縮機の駆動軸12にプーリ22等を直接設けず、電磁クラッチを設けた場合であっても、電磁クラッチによってエンジンEGが駆動軸12と連動している間は同様の効果を発揮することとなる。
【0055】
(実施形態2)
実施形態2の圧縮機では、図4に示すように、実施形態1の第1軸受として、円錐コロ軸受に代え、ラジアル軸受40と、ラジアル軸受40と転動径が等しく小さいスラスト軸受50とが設けられている。ラジアル軸受40は軸封装置9側に設けられており、スラスト軸受50は皿バネ20側に設けられている。他の構成は実施形態1と同様である。
【0056】
上記のように構成された圧縮機では、皿バネ20に生じるスラスト力をスラスト軸受50で受承し、駆動軸12の駆動によって生じるラジアル力をラジアル軸受40で受承している。
【0057】
その際、ラジアル軸受40に生じるトルクをT1とし、スラスト軸受50に生じるトルクをT2とすると、ラジアル軸受40及びスラスト軸受50の転動径を共にR1とすると、全体のトルクTは、上述したように次式で与えられる。
【0058】
Figure 2004124876
【0059】
こうして、この圧縮機においても、スラスト軸受50の転動径をスラスト軸受13の転動径より小さくすることで全体のトルクTを小さくすることができる。このため、駆動軸12にかかる負荷を減らすことができるため、動力損失の低減効果を奏する。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係り、容量可変型斜板式圧縮機の縦断面図である。
【図2】実施形態1に係り、圧縮機の一部を拡大した縦断面図である。
【図3】実施形態1に係り、圧縮機の一部を拡大した縦断面図である。
【図4】実施形態2に係り、圧縮機の一部を拡大した縦断面図である
【符号の説明】
1a…シリンダボア
8…クランク室
7a…吸入室
7b…吐出室
1、2、7…ハウジング(1…シリンダブロック、2…フロントハウジング、7…リヤハウジング)
30…圧縮室
19…片頭ピストン
EG…外部駆動源(エンジン)
10、40、50…第1軸受(40…ラジアル軸受、50…スラスト軸受)
11…第2軸受(ラジアル軸受)
12…駆動軸
13…スラスト軸受
14…ラグプレート
16…斜板
34…制御機構
20…付勢手段(皿バネ)
10a…レース(インナーレース)

Claims (6)

  1. 内部にシリンダボア、クランク室、吸入室及び吐出室を形成するハウジングと、該シリンダボア内に往復動可能に収容され、該シリンダボア内の後方側に圧縮室を区画する片頭ピストンと、前端部が該ハウジングから突出して外部駆動源により駆動され、該ハウジングの前方との間に第1軸受を介し、該ハウジングの後方との間に第2軸受を介して該ハウジングに回転可能に支承された駆動軸と、該クランク室内で該ハウジングの前方との間にスラスト軸受を介して該駆動軸と同期回転可能に支承されたラグプレートと、該クランク室内で該ラグプレートとヒンジ機構を介して該駆動軸と同期回転かつ傾動可能に支承され、該片頭ピストンを往復従動させる斜板と、該クランク室、該吸入室及び該吐出室と連通し、該クランク室内の圧力を制御する制御機構とを備え、該制御機構によって該斜板の傾角に基づく該片頭ピストンの往復動による該圧縮室から該吐出室への吐出容量を変更可能な容量可変型斜板式圧縮機において、
    前記第1軸受と前記ラグプレートとの間には前記スラスト軸受に作用するスラスト力を軽減可能な付勢力をもつ付勢手段が設けられ、該第1軸受がラジアル力及びスラスト力を受承することを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
  2. 前記駆動軸は前記クランク室内の圧力に基づく内圧力により前方に付勢されるものであり、前記付勢力は該内圧力の最大値よりも強いことを特徴とする請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。
  3. 前記第1軸受は円錐コロ軸受であることを特徴とする請求項1又は2記載の容量可変型斜板式圧縮機。
  4. 前記付勢手段は、前記第1軸受における前記駆動軸と同期回転するレースと前記ラグプレートとの間に設けられた皿バネであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の容量可変型斜板式圧縮機。
  5. 前記外部駆動源の駆動中、常に前記駆動軸が駆動されるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の容量可変型斜板式圧縮機。
  6. COを冷媒ガスとすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の容量可変型斜板式圧縮機。
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