JP2004125526A - 磁性体の高精度検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性体からのピーク出力は、交流励磁波の周期に同期した現れるが、外乱ノイズには周期性がないことに着目して、読取媒体から出力された電気信号に励磁波の周期に同期した矩形波を掛け合わせることによってS/N比を高め、ノイズを的確に除去することを目的とする。
【解決手段】磁性体を磁化するために、時間に対して周期的に変化する磁界を与えるステップと、前記磁化または前記磁化と磁界を成分とする磁束密度の時間的な変化を検出し、時間に対して周期的に変化するピーク波形を出力するステップと、前記ピーク波形をデジタル化するステップと、時間周期に合わせて前記デジタル化された信号データを抽出し前記ピーク波形出力以外のノイズ出力を除去するステップと、からなる磁性体の高精度検出方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性体を検出する際の検出精度を高める方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷によって形成された磁気インクの検出や、転写法などによって形成された磁気記録材料の検出のために、補償コイルを設けなくても、補償コイルと同等の感度を持たせた磁気センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、安全保護紙に形成された固定、半固定情報を記憶する強磁性材料の真偽判定のために、強磁性材料が記憶する情報を磁気変化として読み出す磁気変化検出手段と、磁化特性として読み出す磁化特性検知手段によって、それぞれ事前に定めて記憶しているデータと照合する装置が紹介されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
紙幣、商品券、株券など金券類には、偽造防止のために強磁性材料が塗布されたプラスチックの細いフィルムが漉き込まれているものがある。強磁性体に熱や、切断などの外力を加えることによって、透磁率や、飽和磁化特性に変化が生じることが知られている。
例えば、強磁性体に熱を加えた場合には、加えられた部分の透磁率は加える前の1/10〜1/100に変化する。
また、強磁性材料を切断したり、加圧した場合にも磁気抵抗の変化が生じて、強磁性材料の一部に固定、半固定情報として記憶させることができる。
更に、前記強磁性材料は、その含有する金属の比率を変えて合金とすることが可能で、加える金属の比率が変わることによって磁気特性が変化するためにその特徴を検出して偽造防止手段として利用することができる。
【0004】
また、磁気材料の飽和特性要素の特徴を検出して偽造防止手段として利用することができる。
例えば、磁気材料固有の抗磁力(Hc)と、磁性材料の処方によって変化する磁性材料の磁束密度(Br)を飽和特性要素の特徴として利用することができ、これらの特性を特定することによっても偽造防止の手段として利用することができる。
【0005】
一方、前述の特許文献1に開示されている技術によって、磁性体の磁気特性を測定することは可能であるが、磁気センサ近傍に存在する強磁性体あるいは磁性金属による磁力線の片寄り対策や、検知コイルと補償コイルでの発生電圧間のバランス保持に関して何ら対策が講じられていない。
更に、前記バランスが崩れることによって、励磁電源の電圧成分が被測定磁性体による励磁電圧成分より大きくなり、磁気特性測定のS/N比を劣化させる原因となる。
そのために磁気センサを金属部分が多く使用されている搬送系を持つ機器などに組み込んで使用する場合には、ノイズの発生を避けるために取付け位置などの制約を受けるという課題も指摘されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−211095号公報
【特許文献2】
特開平7−32778号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、読取ヘッドの近傍の磁性金属によるノイズのために読取制度が向上しないという課題に対して、磁性体からのピーク出力は、磁性体を磁化するために与える磁界の周期に同期して現れるが、外乱ノイズには周期性がないことに着目して、読取媒体から出力された電気信号をA/D変換した後、磁性体に与える磁界の周期に同期したデータを抽出することによってS/N比を高め、ノイズを的確に除去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題の目的を達成するために、本発明の磁性体の高精度検出方法の請求項1に記載の発明は、磁性体を磁化するために時間に対して周期的に変化する磁界を与えるステップと、前記磁化または前記磁化と磁界を成分とする磁束密度の時間的な変化を検出し、時間に対して周期的に変化するピーク波形を出力するステップと、前記ピーク波形をデジタル化するステップと、時間周期に合わせて前記デジタル化されたデータを抽出し前記ピーク波形出力以外のノイズ出力を除去するステップからなることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、デジタル化されたデータを抽出する際の時間周期は、磁性体を磁化するために与えられる磁界の周期と同一で、かつ、時間幅が前記ピーク波形の半値幅以上であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の、磁性体の高精度検出方法について説明する。
図1は本発明の磁性体の高精度検出方法に関する好適な一実施形態について説明するための概念図、図2は、従来の一般的な信号検出のための方法についての説明図、図3は、交流励磁型磁気センサの等価回路図の一例、図4は、検知の対象として使用される磁性材料の特性について説明するための図、図5は、本発明の磁性体の高精度検出方法の手順についての説明図、図6は、表面に磁性材料が形成された金券の一例について説明するための図、図7は、紙に漉き込まれる安全線条の断面図、図8は、金券の表面に転写された磁性材料の断面図である。
【0011】
図1、図3を参照して本発明の磁性体の高精度検出方法に関する好適な一実施形態について説明する。
磁気センサを磁性材料の所定の位置に近付け、交流磁界を印加すると図1の出力波形図Aに示すような波形が現れる。
磁気センサは、図3に示すように3つのコイルで構成されていて、まず励磁コイル41に交流電流を与え、前述の交流磁界Hを磁性材料に印加する。
磁性体の磁束密度(透磁率)Beは、印加された交流磁界に対して非線系に変化し、これらの磁束密度の変化は、検出コイル42によって検出される。
検出コイルによって検出される電圧veは、ファラデーの誘導法則から次式(1)で求めることができる。
ve=−d/dt(N・∫(Be+Bo)Hdv)…(1)
【0012】
一方、補償コイル43からの電圧voは次式(2)となるように調整される。
vo=−d/dt(N・∫BoHdv)…(2)
そこで、式(1)、式(2)によって、検出コイル、補償コイルから検出される電圧の差を求めることによって、式(3)のごとく交流磁界に応じた磁性材料の磁束密度の変化を検出することができる。
ve−vo=−d/dt(N・∫Be・Hdv)…(3)
磁性材料の角形比が高い場合は、鋭いパルスが励磁交流磁界の周期に同期して現れる。
【0013】
磁気センサが読取回路で発生する電気ノイズや、外乱の磁気ノイズが検出された場合に、式(3)の信号と区別する必要がある。
式(3)で得られる電圧は、励磁コイルに印加した電圧の周期に同期して検出されるため、この周期に合わせて出力データを抽出することでS/N比を高め、ノイズを除去することができる。
この時に、抽出するデータの時間幅は、式(3)で得られる信号の出力の半値幅より大きな値にする必要がある。
【0014】
図1の出力波形図Aに示す波形と、検知される対象の磁気材料の保磁力値(+Hc,−Hc)が交わった位置に、図1の出力波形図Bに示す検出信号を発生させる。
検出される信号は、プラス波形と、マイナス波形が1/2周期ごとに現れる。
次に、図1の出力波形図Cに示すようにマイナスの信号波をプラスに変換する。
【0015】
出力波形図Cに示すように、読取回路で発生する電気ノイズや、外乱の磁気ノイズなどのノイズa1,ノイズcが信号波bの間に不規則に現れ、しかも信号派bと、ノイズ波a1の出力が近似である場合がある。
そこで、出力波形図Dに示すように、検知する信号出力の位置を磁性体の保持力により、また、信号出力の周期を磁性体に与える交流磁界の周期で決定し、出力波形図Aに示す1/2ptの間隔で信号抽出波dを生成する。
出力波形図Cで得られた信号電圧と前記信号抽出波によって出力波形図Eのごとく、信号波bと、ノイズ波の出力差を生じさせ、ノイズ波2a,ノイズ波cを除去する。
出力波形図Dの信号抽出波の高さと幅は、出力波形図Cの信号波の半値幅より大きな値に設定する。
【0016】
図2は、従来の一般的な信号検出のための方法についての説明図である。
出力波形図には、一定の周期で検出される信号波fと、不規則な周期で発生するノイズe,及びgが混在し、しかもノイズeの出力レベルと、信号fの出力レベルが略同等である。
この時にピーク出力値をvSでスライスするとノイズeも信号として取り込んでしまい、正しい判断ができなくなることがわかる。
【0017】
図4を参照して検知の対象として使用される磁性材料の特性について説明する。
図4は、強磁性体と、純鉄などの一般的な磁性体について測定したB−H特性を重ねて表示したものである。
図4では強磁性体と、純鉄の飽和磁束をたまたま同一レベルで表示しているが、同一である必要はない。
プラスチックのフィルムや、紙などの上に磁性塗料を塗布し、または、蒸着などの方法で形成して磁性体を作製する。一般的には前記塗布、形成の際には磁石などを使用して磁性粒子を一定の方向に配向する。
このようにして作製した磁性体を一定の大きさの小片とし、B−H特性測定する測定機によって保磁力、残留磁束を測定する。
前述の一般的な純鉄を粉にしたものを樹脂に溶かして塗布した磁性体の小片をコイルの間に挿入し、コイルに直流電流を流す。
電圧を0から中央の矢印に沿って立上げ横軸に沿って電圧を上げて行くと点線の磁化曲線は飽和地点Bmに到達する。飽和地点Bmから電圧を下げてゆくと電圧が0になった時点で磁化曲線は縦軸とBr2で交わる。更に負の電圧を掛けてゆくと、左の矢印に沿った点線のごとく、ある時点で横軸に交わり一定の地点でマイナスに飽和する。
マイナスに飽和した地点から電圧を0まで上げると縦軸と交わり、更に電圧を上げて行くと右側の矢印に沿って横軸とHc2で交わる。更に電圧を上げて行くと飽和地点Bmに到達する。このような曲線をB−H曲線という。
【0018】
前記Bmを飽和磁束といい、Br2を残留磁束という。またHc2を保磁力という。また、Br2/Bmを角形比という。前述の配向処理を行うと角形比が向上する。また、角形比の大きな材料を使用すると配向を行わなくても角形比が大きな値を示す。
例えば、強磁性体を使用した場合、図4の実線で示した直線のB−H曲線を描く。この磁性体の場合は、BmとBr1は略同一となり、したがって角形比は1に近づく。
前述の保磁力値は、磁性体を構成する磁性材料で決まる値で、特殊な保磁力の磁気材料を使用した場合、センサに登録することで固有情報として偽造防止などに使用することができる。
前述の残留磁束値は、磁性体の処方によって、また磁性材料そのものによって特異性が発揮されるため偽造防止材料として使用される。
その際磁性体から検出される信号を正確に把握しなければならず、検出装置や検出環境から受信されるノイズを完全に除去することが大切なステップとなる。
【0019】
図5を参照して、本発明の磁性体の高精度検出方法の手順について説明する。
まず、検知対象物である磁性体に交流磁場与え信号波を生成する(S41)。
次に、出波を生成するために磁界の周期に同期したピーク値を特定し信号抽出波を生成する(S42)。
更に、信号抽出波形の時間幅を出力信号の半値幅以上に設定する(S43)。
次いで、順43で知った周期と、位置に合わせて信号波を抽出する(S44)。
最後に、信号以外の出力波を除去する(S45)。
【0020】
図6を参照して検知対象物の一実施形態である金券について説明する。
ベース材3の一部に磁性体1、または、磁性体2が形成されている。磁性体1は、安全線条(以下スレッドという。)で、磁性体2は、熱転写された磁性体の薄膜(転写箔)である。
ベース材3は、多くの場合紙である。
スレッドは、3〜15μmの厚さのポリエステルの薄いフィルムに強磁材料が薄く塗布、または、蒸着、または、スパッタリングされて1〜2mmの幅にスリットされる。スリットされたスレッドは、紙の抄造段階で紙の一部として漉き込まれる。
紙は、所定の大きさに裁断されて、印刷される。
スレッド1は、図6に示すように商品券として、仕上がった状態で短辺方向に平行に形成されている。
このスレッドは、通常商品券の片側表面にしか露出されない。商品券に漉き込まれたスレッドは、専用の磁気センサ付き読取装置で読取られ真偽のチェックが行われる。
強磁性材は、結晶性あるいはアモルファスのものであっても良く、Fe、Co、Niのいずれか1種または2種以上の組み合わせからなる磁気材料、またはこれらのいずれかが1種または2種を主成分として、これにほう素(B)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、燐(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリデブン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)から選ばれた数種の金属または非金属元素の添加物から構成される。
【0021】
スレッドの形態とは別に、強磁性材料を熱で商品券、車馬券、サッカー券、その他入場券、座席指定券、インスタント宝くじ、スキー場リフト券、観覧券、などの各種券紙に転写する場合がある。
例えば商品券という表示の傍にデザインの一部として磁性体を熱転写して転写された磁性体を磁気センサで読取り、正規の材料が使用されているかチェックする。
図6に示す媒体を使用して媒体の真偽を確認する場合、スレッドや、転写箔により磁性体が形成された部分に磁気ヘッドで情報を書き込んでそれを読み取ったり、使用されている材料の特徴(材料の保磁力、残留磁束、周波数等)を確認することにより媒体が正規の媒体であるか否かチェックをする。
【0022】
図7は、紙に漉き込まれるスレッドの断面図である。
スレッド1は、プラスチックのベース材料12の表面に軟質磁性材料11が塗布されている。
軟質磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルトなど強磁性材料を主成分とした非晶質金属であり、その特徴としては、透磁率が高い、保磁力が小さい、磁歪を広い範囲で制御できる、電気抵抗が大きくその温度変化が小さい、ヒステリシス損失、渦電流損失が少ない、などの優れた性質を持っている。
特に、保磁力が小さいことから、各種磁気信号読み取りセンサー用軟質磁性材料としても使用される。
また、透磁率、角形比が高いことから大バルクハウゼン効果による磁気信号検知体としても利用される。
【0023】
図8は、金券の表面に転写された転写箔の断面図である。
転写箔2は、主に紙3をベースとする印刷物の表、または、裏側にデザインの一部として転写される。
転写されている磁性材料21の面積は磁気ヘッドの検出感度、トラック幅に応じて、適当な大きさに選ぶ。紙の表面に熱可塑性の接着剤22でデザイン化された形状で転写される。 磁性材料は、前述の強磁性体でも良いし、酸化鉄を樹脂で固めた磁気塗料でも良い。熱転写で自由な形状で転写可能なように、磁性材料21の厚さは0.05〜3μmの厚さとする。
【0024】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明において、磁性体を磁化するために時間に対して周期的に変化する磁界を与えるステップと、前記磁化または前記磁化と磁界を成分とする磁束密度の時間的な変化を検出し時間に対して周期的に変化するピーク波形を出力するステップと、前記ピーク波形をデジタル化するステップと、時間周期に合わせて前記デジタル化されたデータを抽出し前記ピーク波形出力以外のノイズ出力を除去するステップにより、また、デジタル化されたデータを抽出する際の時間周期は、磁性体を磁化するために与えられる磁界の周期と同一で、かつ、時間幅がピーク波形の半値幅以上であることにより、磁性体からのピーク出力は、磁性体を磁化するために与える磁界の周期に同期して現れるため、また、外乱ノイズには周期性がないことによって、読取媒体から出力された電気信号をA/D変換した後、磁性体に与える磁界の周期に同期したデータを抽出することによってS/N比を高め、ノイズを的確に除去することができ、磁性体を高精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施形態について説明するための概念図
【図2】従来の一般的な信号検出のための方法についての説明図
【図3】交流励磁型磁気センサの等価回路図の一例
【図4】検知の対象として使用される磁性材料の特性について説明するための図
【図5】本発明の磁性体の高精度検出方法の手順についての説明図
【図6】表面に磁性材料が形成された金券の一例について説明するための図
【図7】紙に漉き込まれる安全線条(スレッド)の断面図
【図8】金券の表面に転写された磁性材料の断面図
【符号の説明】
1   安全線条(スレッド)
2   (磁性材料の)転写箔
3   紙(商品券)
11、21 磁性材料
12  プラスチック基体
22  接着剤
41  励磁コイル
42  検出コイル
43  補償コイル
a1、a2、c、e、g ノイズ波形
b、f 信号波形
d  信号抽出波
vS スライスライン
Br1、Br2 残留磁束
Bm 飽和磁束
Hc1、Hc2 保磁力値

Claims (2)

  1. 磁性体を磁化するために、時間に対して周期的に変化する磁界を与えるステップと、
    前記磁化または前記磁化と磁界を成分とする磁束密度の時間的な変化を検出し、時間に対して周期的に変化するピーク波形を出力するステップと、前記ピーク波形をデジタル化するステップと、
    時間周期に合わせて前記デジタル化された信号データを抽出し前記ピーク波形出力以外のノイズ出力を除去するステップと、
    からなることを特徴とする磁性体の高精度検出方法。
  2. 前記デジタル化されたデータを抽出する際の時間周期は、磁性体を磁化するために与えられる磁界の周期と同一で、かつ、時間幅がピーク波形の半値幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性体の高精度検出方法。
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