JP2004138076A - 内燃機関のバルブタイミング変更装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング変更装置 Download PDF

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Abstract

 【課題】 スプロケットの潤滑不良が生じることを効果的に防止することが可能なバルブタイミング変更装置を提供する。
 【解決手段】 略筒状のハウジング本体5はタイミングチェーンが巻着されるスプロケット3を有し、カムシャフト1と一体に回転するベーン18は、ハウジング本体5内に作動油室19,20を隔成する。作動油室19,20に作動油を給排することによってハウジング本体5とベーン18を相対回動させる。スプロケット3は多孔質の焼結金属によってハウジング本体5と一体成形し、作動油室19,20の軸方向範囲かつ外周側に配置する。ハウジング本体5の両側は厚さの異なる板部材6,7によって封止し、薄く形成された板部材6は多孔質でない材料から形成する。
 【選択図】 図1

Description

 本発明は、内燃機関の運転中に吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更するためのバルブタイミング変更装置に関する。
 この種のバルブタイミング変更装置は、内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって回転されるスプロケットと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、スプロケットに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更するようにしてある。
 例えば、特許文献1には、内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって回転されるスプロケットと、このスプロケットと共に回転するハウジングと、このハウジング内に収容されて、カムシャフトと共に回転するロータと、このロータに放射方向に突出して設けられ、ハウジング内に複数の作動油室を形成する複数のベーンと、作動油室に作動油を供給及び排出する油圧吸排手段とを備え、作動油室に作動油を供給及び排出してハウジングとロータとを相対回動させるようにしたバルブタイミング変更装置が示されている。
 前記スプロケットはハウジングに一体に設けられており、このハウジング及びスプロケットは鋳鉄によって形成してある。
 また、前記スプロケットの外周には外歯が設けられ、タイミングチェーンが巻着されるようになっている。
特開平9−324611号
 ところで、前記スプロケット及びこれに噛み合うタイミングチェーンの潤滑はオイルパン内の潤滑油が用いられ、クランクシャフトの回転に伴うオイルスプラッシュを利用して行われるのであるが、スプロケットとタイミングチェーンとの噛み合い部分には潤滑油が供給されにくい。
 そのため、前記スプロケットがタイミングチェーンとの噛み合い部分において潤滑不良を起こす虞がある。
 本発明は前記従来の実情に鑑みて案出されたもので、スプロケットの潤滑不良が生じることを効果的に防止することが可能なバルブタイミング変更装置を提供することを目的とする。
 そこで、請求項1記載の発明は、内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって回転されるスプロケットと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、スプロケットに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更可能な内燃機関のバルブタイミング変更装置において、前記スプロケットが設けられ、このスプロケットと共に回転する略筒状のハウジング本体と、このハウジング本体の両側を封止する厚さの異なる板部材とから構成されるハウジング部材と、このハウジング部材に対して相対回動可能に設けられ、カムシャフトと共に回転し、ハウジング部材の内部に相対回動自在に収容され、ハウジング部材の内部に円周方向に複数の作動油室を形成するベーンと、前記ハウジング本体と前記ベーンとの間に形成された作動油室と、
 この作動油室に作動油を供給及び排出して、前記ハウジング部材と前記ベーンを相対回動させる油圧給排手段と、を備え、前記ハウジング本体は、外歯を有するスプロケットが多孔質材料によって一体成形されてなり、このハウジング本体に設けられたスプロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置され、薄く形成された前記板部材は多孔質でない材料によって形成されるようにした。
 斯かる構成においては、前記スプロケットが内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって回転され、バルブタイミング変更装置を介してカムシャフトが回転される。これによって、前記カムシャフトが吸気弁または排気弁を駆動する。
 また、前記スプロケットに対するカムシャフトの相対回動は、スプロケットと共に回転するハウジング部材と、カムシャフトと共に回転するベーンとの間に形成される作動油室に作動油を供給及び排出して、ハウジング部材とベーンとが相対回動することによって行われる。この場合に、前記作動油室への作動油の供給及び排出は油圧吸排手段によって行われる。
 前記スプロケットに対してカムシャフトが相対回動されることによって、内燃機関の回転に対するカムシャフトの回転位相が変更され、吸気弁または排気弁の開閉タイミングが変更される。
 ここで、本発明にあっては、ハウジング部材のハウジング本体は、外歯を有するスプロケットが多孔質材料によって一体成形されており、このハウジング本体に設けられるスプロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置するようにしても良い。このようにした場合、前記作動油室に導かれた作動油が、作動油室内の圧力及び遠心力を受けて多孔質材料の空隙内に浸透保持され、スプロケットとタイミングチェーンとの噛み合い部分を潤滑する。
 このため、前記スプロケットがタイミングチェーンとの噛み合い部分において潤滑不良を起こす虞が有利に防止される。
 したがって、スプロケットの潤滑不良が生じることを効果的に防止することが可能なバルブタイミング変更装置が得られる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳述する。
 図1は本発明の実施の形態を示す内燃機関のバルブタイミング変更装置の要部を断面して示す説明図、図2は図1のA−A線断面図で、ボルトを取外して示す図面、図3は図1の要部を拡大して示す断面図である。
 図において、付番1で示されるカムシャフトは内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動可能であって、この実施の形態においては吸気弁を駆動するカムシャフトである。
 前記カムシャフト1は図外のシリンダヘッドに固定した軸受け2によって回転自在に支持されている。また、前記軸受け2よりも図1において右側のカムシャフト1の基幹部(図示せず)には、カムが形成されており、このカムによって吸気弁が開閉駆動されるようになっている。
 前記カムシャフト1は内燃機関に同期して回転されるスプロケット3によって回転駆動されるようになっており、このスプロケット3は、ハウジング部材4と共に回転可能となっており、また、カムシャフト1に対して所定角度相対回動可能となっている。
 即ち、前記スプロケット3は、略筒状のハウジング本体5とこのハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とから構成されるハウジング部材4の、ハウジング本体5の外周側に一体成形してある。ここに、この実施の形態において、前記ハウジング部材4は本発明の第1回転体に相当する。また、前記ハウジング部材4のハウジング本体5と板部材6,7は複数の連結ボルト8によって一体的に連結されている。
 前記スプロケット3の外周側には外歯9が形成されており、この外歯9には図外のクランクシャフトによって駆動されるタイミングチェーン10が巻着されるようになっている。
 前記スプロケット3はハウジング本体5の軸方向中心よりもカムシャフト1から離れた位置(図1において左寄り)に設けられていると共に、板部材6の厚さが板部材7の厚さよりも薄く形成してある。このため、前記スプロケット3はハウジング部材4(第1回転体)の軸方向中心位置よりもカムシャフト1から離れた位置に設けられていることになる。また、前記スプロケット3をハウジング本体5の軸方向略中心位置に設けることも可能で、この場合にも板部材6,7の厚さを調節することによって、スプロケット3をハウジング部材4の軸方向中心位置よりもカムシャフト1から離れた位置に設けることが可能である。
 前記ハウジング部材4は、スプロケット3及びハウジング本体5が燒結金属によって形成され、板部材6,7が鋼板等によって形成されている。即ち、前記スプロケット3及びハウジング本体5は多孔質材料から形成され、板部材6,7は多孔質でない材料から形成されている。
 また、前記ハウジング部材4内は全体として中空状になっており、略筒状のハウジング本体5の半径方向内方に向かって突出する複数(この実施の形態においては4個)の突起12を形成することによって、半径方向外方寄りに、中央部分で連結された4個の部屋13が形成してある(図2参照)。
 前記ハウジング部材4内にはベーン部材15が所定角度相対回動自在に収容されており、このベーン部材15とハウジング部材4とを主要素として、後に詳述する相対回動手段16が構成されている。ここに、この実施の形態において、前記ベーン部材15は本発明の第2回転体に相当する。
 前記ベーン部材15は、その胴部17から放射方向に突出する複数(この実施の形態においては4個)のベーン18を有しており、このベーン18を部屋13内に配置した状態でハウジング部材4内に収容されている。
 前記ベーン部材15のベーン18が部屋13内に配置されることによって、この部屋13内にベーン18の円周方向両側に対峙して一対の作動油室19,20が区画形成される。即ち、前記第1回転体としてのハウジング部材4と第2回転体としてのベーン部材15との間に、作動油室19,20が形成されることになる。また、前記一対の作動油室19,20は、この実施の形態において4組形成されている。
 前記作動油室19,20間相互の封止は、ハウジング本体5の内周側に形成した突起12の先端に設けたシール部材21をばね部材22で押圧してベーン部材15の胴部17外周に摺接させると共に、ベーン18の先端に設けたシール部材23をばね部材24で押圧してハウジング本体5の内周に摺接させることによって成就するようにしてある。
 前記ベーン部材15には、作動油室19に連通する半径方向の油室側通路25及び作動油室20に連通する半径方向の油室側通路26が形成してあると共に、これら油室側通路25,26が開口する一端開放の穴27が軸方向に形成してある。前記油室側通路25,26は穴27の軸方向において相互に離れた位置に開口している。
 これによって、前記油室側通路25,26を介して作動油室19,20に作動油を選択的に供給及び排出することにより、ハウジング部材4とベーン部材15とが相対回動することができるようになっている。
 また、前記ベーン部材15はカムシャフト1に連結されている。即ち、前記ベーン部材15の穴27内にカムシャフト1の端部が挿入され、ベーン部材15の胴部17を軸方向に貫通するボルト29によってカムシャフト1に連結されている。
 ここに、前記スプロケット3はハウジング部材4に設けられている一方、カムシャフト1に連結されたベーン部材15はハウジング部材4対して相対回動可能となっているから、油室側通路25,26を介して作動油室19,20に作動油を選択的に供給及び排出することによって、ハウジング部材4とベーン部材15とが所定角度範囲内で相対回動できることになる。したがって、前記ハウジング部材4とベーン部材15とを主要素として、スプロケット3をカムシャフト1に対して相対回動させる相対回動手段16が構成されていることになる。
 前記ハウジング部材4とベーン部材15との間には、このハウジング部材4とベーン部材15との相対回動を規制する回動規制手段34が設けてある。前記回動規制手段34は、この実施の形態において、ベーン部材15に形成したシリンダ孔35内に、ばね部材36と共に収容することによってベーン部材15の軸方向に突出可能に設けられた係合部材37の先端を、ハウジング部材4(の板部材6)に設けた係合穴38に係合可能とした構成にしてある。
 前記シリンダ孔35は、ベーン部材15に、詳しくはベーン部材15の円周方向幅を大きくしたベーン18の1つに、軸方向に貫通して形成してある。前記シリンダ孔35の一方の開口端には、ばね部材36のためのばね受け39が圧入固定されており、このばね受け39は、好ましくはベーン18よりも高硬度材料から形成されている。また、前記ばね受け39の外周側の所定位置には空気抜きのための切欠き溝40が設けてあり、この切欠き溝40は、ベーン部材15の胴部17の側面に設けた半径方向の溝41に連通している。これによって、前記係合部材37の後端側に位置するシリンダ孔35の内部は、その開口端側で、切欠き溝40及び溝41を介して大気開放されていることになる。
 前記係合部材37は、先端側がテーパ状に形成されており、このテーパ状の先端側がシリンダ孔35内から突出可能である。また、前記係合部材37には、その先端に窪み42が形成されていると共に、後端側の端面に開放する盲穴43が形成してあり、これによって、軽量化が図られている。
 前記係合穴38は、この実施の形態においては、ハウジング部材4(の板部材7)よりも硬さの硬い材料からなり、係合穴38が形成された係合穴部材44をハウジング部材4(の板部材7)に埋設することによって形成してある。
 前記係合穴38の形状は、開口端側が大径のカップ状に形成されており、この係合穴38の底部には、係合部材37が係合した状態において油室45が形成されるようになっている。また、前記係合穴38内及び油室45内は、板部材7及び係合穴部材44に形成した油孔46を介して作動油室19に連通している。
 前記ベーン部材15に形成した穴27内に挿入されたカムシャフト1には、油圧側通路51,52が軸方向に形成してある。前記油圧側通路51,52はベーン部材15に形成した油室側通路25,26にそれぞれ連通すると共に、後述する油圧吸排手段に連通するようになっている。
 即ち、前記油圧側通路51は、カムシャフト1の端面から軸方向に先端側が開口しない盲穴状に形成されて、開口端が穴27の底部側で封止されている。前記油圧側通路51は、その開口端側においてこの油圧側通路51から分岐する半径方向通路53及びこの半径方向通路53が連通する周溝54を介して油室側通路25に連通している。また、前記油圧側通路51は、その先端側においてこの油圧側通路51から分岐する半径方向通路55及びこの半径方向通路55が連通する周溝56を介して後述する油圧吸排手段に連通するようになっている(図3参照)。
 また、前記油圧側通路52は、カムシャフト1の端面から軸方向に先端側が開口しない盲穴状に形成されて、開口端が栓部材57によって封止されている。前記油圧側通路52は、その開口端側においてこの油圧側通路52から分岐する半径方向通路58及びこの半径方向通路58が連通通する周溝59を介して油室側通路26に連通している。また、前記油圧側通路52は、その先端側においてこの油圧通路52から分岐する半径方向通路60及びこの半径方向通路60が連通する周溝61を介して後述する油圧吸排手段に連通するようになっている(図3参照)。
 前記カムシャフト1に形成した油圧側通路51,52が連通する油圧吸排手段66は、油圧側通路51に連通する吸排通路67と、油圧側通路52に連通する吸排通路68と、これら吸排通路67,68をオイルポンプ69からの供給通路70と貯油タンク71に連通する排出通路72とに選択的に切換えて連通させるか、または遮断する切換え弁73と、この切換え弁73を制御する制御装置74とを主要素として構成してある(図1参照)。
 前記切換え弁73は、この実施の形態において4ポート弁が採用されている。また、前記切換え弁73を制御する制御装置74には、内燃機関の運転状態を示す各種信号が入力される。
 斯かる構成において、内燃機関の始動時で、前記オイルポンプ69から作動油が十分に供給されないとき、或いは制御装置74に最遅角状態を保つ信号が入力されている場合には、相対回動手段16のベーン部材15はハウジング部材4に対して最遅角位置にあって(図2参照)、回動規制手段34の係合部材37の先端は係合穴38に係合し、ハウジング部材4とベーン部材15とを連繋している。このため、図外のクランクシャフトからタイミングチェーン10を介してスプロケット3に与えられる回転駆動力は、ハウジング部材4及びベーン部材15を介してカムシャフト1に伝達される。尚、この場合に、前記ベーン部材15のベーン18は、ハウジング部材4内に部屋13を形成する突起12の側面に当接していない。
 前記カムシャフト1が回転することによって、内燃機関の吸気弁が駆動され、開閉制御されることになる。
 また、前記ベーン部材15がハウジング部材4に対して最遅角位置にあるとき、回動規制手段34の係合部材37はばね部材36によって押圧されて、その先端が係合穴38に係合しており、ハウジング部材4とベーン部材15との間の相対回動が規制されている。このため、前記カムシャフト1が図外の吸気弁を駆動する際に、このカムシャフト1に正または負の反転トルクが作用してもベーン部材15はハウジング部材4に対して相対回動することがないから、ベーン部材15のベーン18が突起12の側面に衝接して打音等を生じることが有利に防止される。
 次に、進角制御される場合は、前記油圧給排手段66の切換え弁73が制御装置74によって切換え制御され、給排通路67にオイルポンプ69からの供給通路70が接続されると共に、給排通路68が排出通路72に接続されることによって、オイルポンプ69からの作動油が給排通路67から、周溝56、半径方向通路55、油圧側通路51、半径方向通路53、周溝54及び油室側通路25を介して作動油室19内に導かれる。また、前記作動油室19内に導かれた作動油は、板部材7及び係合穴部材44に形成した油孔46を介して、係合部材37の先端が係合する係合穴38内及び係合穴38の底部に形成された油室45内に導かれる。
 同時に、前記作動油室20内が、油室側通路26、周溝59、半径方向通路58、油圧側通路52、半径方向通路60、周溝61及び給排通路68を介して排出通路72に連通することになる。
 前記作動油室19内及び回動規制手段34の係合穴38(及び油室45)内に作動油が導かれることにより、係合部材37には作動油室19及び係合穴38(及び油室45)の作動油圧力が作用し、この係合部材37はばね部材36のばね力に抗してばね受け39側に付勢され、シリンダ孔35内に押し戻される。このため、前記係合部材37の先端が係合穴38内から離脱して係合が解除され、これによって、ハウジング部材4とベーン部材15とは係合部材37による拘束が解除される。
 前記作動油室19内に作動油が供給される一方、作動油室20内が排出通路72に連通することによって、作動油室19内の油圧力がベーン18の側面に作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図2の矢印方向、即ち進角方向に回動させる。これによって、前記スプロケット3とカムシャフト1とが相対回動することになり、カムシャフト1のクランクシャフトに対する回転位相が変更されて、カムシャフト1は進角制御され、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁の開閉のタイミングが早められる。
 前記カムシャフト1が進角制御され、ベーン部材15がハウジング部材4に対して相対回動して最進角位置にある場合に、係合部材37は作動油室19内の油圧によってシリンダ孔35内に押し戻された状態が継続され、この係合部材37の先端は板部材6の側面に接することはない。
 次に、油圧給排手段66の切換え弁73が制御装置74によって切換え制御され、給排通路68にオイルポンプ69からの供給通路70が接続されると共に、給排通路67が排出通路72に接続されると、オイルポンプ69からの作動油が周溝61、半径方向通路60、油圧側通路52、半径方向通路58、周溝59及び油室側通路26を介して作動油室20に導かれる。また、前記作動油室19内の作動油は、油室側通路25、周溝54、半径方向通路53、油圧側通路51、半径方向通路55、周溝56、吸排通路67及び排出通路72を通じて貯油タンク71に排出される。
 前記作動油室19内の作動油が排出されることによって、係合部材37はこの係合部材37に作用するばね部材36のばね力によって付勢されるけれども、この係合部材37の先端が係合穴38に係合しない状態においては、ハウジング部材4とベーン部材15とは、回動規制手段34による拘束が解除された状態が継続される。
 前記作動油室20内に作動油が供給される一方、作動油室19内が排出通路72に連通することによって、作動油室20内の油圧力がベーン18の側面に作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図2において反時計方向、即ち遅角方向に回動させる。これによって、前記スプロケット3とカムシャフト1とが相対回動することになり、カムシャフト1のクランクシャフトに対する回転位相が変更されて、カムシャフト1は再び遅角制御され、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁の開閉のタイミングが遅らされることになる。
 前記カムシャフト1が遅角制御され、ベーン部材15がハウジング部材4に対して相対回動して最遅角位置となる場合に、係合部材37の先端はばね部材36のばね力によって係合穴38内に再び係合される。
 また、前記ベーン部材15がハウジング部材4に対して進角方向或いは遅角方向に回動している状態で、油圧給排手段66の切換え弁73が制御装置74によって切換え制御され、給排通路67,68と供給通路70または排出通路72との連通が遮断されると、ハウジング部材4とベーン部材15とは、相対回動の中間的な位置に保持される。これによって、前記スプロケット3とカムシャフト1とは相対回動の中間的な位置に保持されることになり、カムシャフト1は、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁を所望のタイミングで制御することになる。
 この場合には、前記作動油室19内は、所定の圧力状態が維持されていると共に、密閉された状態となっているから、係合部材37にはばね部材36のばね力が作用するけれども、この係合部材37は係合穴38に係合することがないから、ハウジング部材4とベーン部材15とは、回動規制手段34による拘束が解除された状態が継続される。
 ここで、本発明にあっては、第1回転体としてのハウジング部材4は、スプロケット3及びこのスプロケット3が設けられたハウジング本体5が燒結金属によって一体成形され、このハウジング部材4に設けられたスプロケット3は、作動油室19,20の軸方向範囲かつ外周側に配置されている。これによって、前記作動油室19,20に導かれた作動油が、作動油室19,20内の圧力及び遠心力を受けて多孔性を有する燒結金属の空隙内に浸透保持され、スプロケット3とタイミングチェーン10との噛み合い部分を潤滑する。
 このため、前記スプロケット3がタイミングチェーン10との噛み合い部分において潤滑不良を起こす虞が有利に防止される。
 したがって、スプロケット3の潤滑不良が生じることを効果的に防止することが可能なバルブタイミング装置が得られる。
 また、前記スプロケット3は、ハウジング部材4の軸方向中心よりもカムシャフト1から離れた位置に設けられているため、バルブタイミング装置の芯ずれやアンバランス等による振れ回りを防止することができる。即ち、バルブタイミング装置はベーン部材15がカムシャフト1の端部に取付けられるから、取付けの芯ずれやアンバランスがあると振れ回りを生じる虞があるが、本実施の形態にあってはスプロケット3に巻着されるタイミングチェーン10がカムシャフト1から離れた位置でバルブタイミング装置に拘束力を与えることになる。つまり、前記タイミングチェーン10の張力がハウジング部材4を含むバルブタイミング装置に振れ回りに対する拘束力として作用することになる。これによって振れ回りを防止することができるのである。
 また、前記ハウジング部材4が、スプロケット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、このハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とから構成され、スプロケット3がハウジング本体5の軸方向略中心位置に設けられることによって、ハウジング本体5の形成が容易になる。即ち、前記スプロケット3が設けられたハウジング本体5が軸方向の中心線に対して対称な形状となるから、燒結加工時において型形状が単純化されると共に、燒結金属の密度のばらつきが抑制され、ハウジング本体5の燒結成形が容易になるのである。
 また、前記ハウジング部材4が、スプロケット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、このハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とから構成され、スプロケット3及びハウジング本体5のみが燒結金属によって形成されてなるから、作動油室19,20に導かれた作動油がスプロケット3及びハウジング本体5に効果的に浸透保持される。即ち、前記板部材6,7を多孔質でない鋼板等によって形成することにより、作動油が板部材6,7に浸透されることがなく、スプロケット3及びハウジング本体5に効果的に浸透されるのである。
 また、前記第ハウジング部材4が、スプロケット3が設けられた略筒状のハウジング本体5と、このハウジング本体5の両端側を封止する板部材6,7とを備え、ベーン部材15が、ハウジング部材4の内部に相対回動自在に収容され、ハウジング部材4の内部に円周方向に複数の作動油室19,20を形成するベーン18を備えてなるから、作動油室19,20が軸方向に比較的長く形成されることになり、スプロケット3の配置の自由度、即ち軸方向の配置の自由度を高めることができる。
 以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、第1回転体がハウジング部材4であり、第2回転体が、ハウジング部材4の内部に相対回動自在に収容され、ハウジング部材4の内部に円周方向に複数の作動油室19,20を形成するベーン18を備えたハウジング部材4である実施の形態について述べたが、第1回転体と第2回転体との間をはす歯歯車で連繋し、このはす歯歯車を第1回転体と第2回転体の間に形成した作動油室に導かれる作動油で作動させることによって、第1回転体と第2回転体を相対回動させる構成としてもよい。
 また、前記カムシャフト1を進角制御する実施の形態について述べたが、遅角制御するバルブタイミング変更装置に採用することも可能である。
本発明の実施の形態を示す内燃機関のバルブタイミング装置の要部を断面して示す説明図。 図1のA−A線断面図で、ボルトを取外して示す図面。 図1の要部を拡大して示す断面図
符号の説明
1…カムシャフト
3…スプロケット
4…ハウジング部材(第1回転体)
5…ハウジング本体
15…ベーン部材(第2回転体)
18…ベーン
19…作動油室
20…作動油室
22…ばね部材
23…シール部材
34…回動規制手段
66…油圧吸排手段

Claims (5)

  1. 内燃機関の回転に同期してタイミングチェーンによって回転されるスプロケットと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、スプロケットに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更可能な内燃機関のバルブタイミング変更装置において、
     前記スプロケットが設けられ、このスプロケットと共に回転する略筒状のハウジング本体と、このハウジング本体の両側を封止する厚さの異なる板部材とから構成されるハウジング部材と、
     このハウジング部材に対して相対回動可能に設けられ、カムシャフトと共に回転し、ハウジング部材の内部に相対回動自在に収容され、ハウジング部材の内部に円周方向に複数の作動油室を形成するベーンと、
     前記ハウジング本体と前記ベーンとの間に形成された作動油室と、
     この作動油室に作動油を供給及び排出して、前記ハウジング部材と前記ベーンを相対回動させる油圧給排手段と、
     を備え、
     前記ハウジング本体は、外歯を有するスプロケットが多孔質材料によって一体成形されてなり、このハウジング本体に設けられたスプロケットは、作動油室の軸方向範囲かつ外周側に配置され、
     薄く形成された前記板部材は多孔質でない材料によって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置。
  2. 前記ベーンに収容され、ばね部材で付勢されて軸方向に突出する係合部材と、厚く形成された前記板部材に設けられ、前記係合部材が係止可能な係合穴とによって構成された回転規制手段が設けられ、
     この回転規制手段は、作動油圧力が作用して拘束が解除されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング変更装置。
  3. 前記薄く形成された板部材は鋼板によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング変更装置。
  4. 前記ハウジング本体と板部材は、薄く形成された板部材側から挿通された複数の連結ボルトによって一体的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング変更装置。
  5. 前記多孔質材料は、作動油内の圧力及び遠心力を受けて作動油を浸透保持する焼結金属であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング変更装置。
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