JP2004141011A - だし抽出用昆布の製造方法及びそれを用いた昆布加工食品 - Google Patents

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坂本 朱子
Toshiya Toda
戸田 登志也
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Abstract

【課題】簡易な方法で、味・香り・テクスチャーともに優れた本格的なだしを迅速に抽出できるだし用昆布及びそれを用いた昆布加工食品を提供することを目的とする。
【解決手段】昆布原藻を乾燥状態のまま特定の条件で加熱処理を行い、調理時の粘り成分となる昆布の表面組織を形成するヘテロ多糖類を低分子化させた、だし抽出用昆布製品及びそれを用いた昆布加工食品を製造する。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原料昆布の加熱処理を行うことで、技術の熟練を必要としない簡易な方法で、味・香り・テクスチャーともに優れた本格的なだしを迅速に抽出できるだし用昆布の製造方法及びそれを用いた昆布加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】昆布はその旨味や独特の風味及びテクスチャーから、佃煮・煮物・とろろ昆布・おぼろ昆布・菓子など日本古来からの伝統的な食品に利用される。数々の利用方法の中でも特に昆布だしは、昆布特有の旨味と好ましい風味を付与しながら素材の味を際立たせるという機能を有し、汁物、麺つゆ、鍋物、おでんなどの煮物、茶碗蒸しなどの蒸し物、天つゆなどの調味料、漬け物の調味等幅広く用いることができる。それ故に昆布だしは伝統的な日本料理のみならず日常的に食する家庭の料理や、外食産業などあらゆる食の場面において重要な役割を占めており、料理のおいしさを構成するもっとも大きな要素の一つと言える。また、最近では農薬や環境ホルモンなどの化学物質や狂牛病等の食の安全性への不安から旨味エキス原料としてのだし昆布そのものや、昆布だし素汁への関心が高まっている。
【0003】
良好な昆布だしは十分な旨味と磯臭などの不快臭のないさわやかで深みのある香りを有し、コクがあり、嫌味や粘りなどのくせの少ないものである。逆に劣悪な昆布だしは、旨味が不十分であったり、磯臭などの不快臭及び苦みや収斂味などの不快味が際立ってしまったり、粘りが強くて呈味やのどごしに悪影響を与えてしまうようなものと言える(非特許文献1)。これらに影響を与える要因となる成分の一つが、昆布の細胞間物質として骨格をなす、アルギン酸やフコイダンなどのヘテロ多糖類である。
【0004】
昆布中の多糖類は抗腫瘍や整腸作用等の種々の生理効果を持つ有用な成分である。その反面、昆布よりだしを抽出する際においては、高分子のままで粘りが非常に高い状態で存在する場合、調理上はむしろ種々の不都合をきたす場合がある。すなわち、昆布の骨格の役割を果たす多糖類である不溶性アルギン酸の状態によって昆布からのエキス分の溶出効率に影響を与える可能性がある(非特許文献2)。また、主に昆布だしの粘り成分となる多糖類である水溶性アルギン酸及びフコイダンの状態によって昆布だしやその他の昆布食品の粘度が変化し、のどごしや口当たり及び旨味や塩味等の呈味性に影響を与えてしまう。
【0005】
従来の昆布だし抽出手法では、このような多糖類の影響を回避した良好なだしを得るために、まず利尻・真・日高等の旨味に関与するエキス分が多く嫌味成分や粘りの少ない高等級の昆布を選ぶ。次にそれらを短時間または低温で抽出することで多糖類が必要以上に抽出されないようにしたり、逆にだし抽出時に強い熱をかけることによって、抽出された多糖類を低分子化させることで粘りの少ないだしを得るという方法がとられている。
【0006】
【非特許文献1】松本 仲子・加藤 尚巳・甲田 道子・菅原 龍幸 著、「こんぶだし汁の成分と嗜好」、日本家政学会誌、1989年Vol.40 No.10、883−889頁
【非特許文献2】鈴木 健・吉江 由美子・白井 隆明・平野 敏行 著、「照射による昆布だし溶出の促進」、日本水産学会誌、1993年 Vol.59 No.10、1777−1781頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のような手法においては、高等級の昆布は高価であり、また抽出条件においても良好な昆布だしを得るためには温度・時間・昆布の量等のバランスは非常に微妙であるため調理技術の熟練を要する。そのため家庭などで日常的に使用したり、工業用に多量に生産する場合において制限が多く、容易には所望する品質の昆布だしを得ることができない。本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高価な原料や調理技術の熟練を必要としない簡易な方法で、味・香り・テクスチャーともに優れた本格的な昆布だしを迅速に抽出できるだし用昆布製品及びそれを用いた昆布加工食品を提供することをその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、昆布原藻を乾燥状態のまま加熱処理を行い、粘り成分であり、昆布の表面組織を形成するヘテロ多糖類を低分子化させただし抽出用昆布の製法を第1の要旨とし、上記製法により得られただし抽出用昆布であって、低分子化が任意の状態になされているだし抽出用昆布を第2の要旨とする。また、上記製法によるだし抽出用昆布を用いた昆布加工食品を第3の要旨とする。
【0009】
すなわち、本発明者らは前記課題を解決すべく、一連の研究を重ねた。その過程で、昆布原藻をだし抽出時に、事前に乾燥状態のまま加熱処理を行うことを想起した。そして、その加熱処理においてヘテロ多糖類が低分子化することで、エキス分の溶出が容易となり、調理が迅速となる上に粘度が低く、優れた呈味性を持ち、昆布特有の不快臭の少なく、また加熱によりほのかな焙煎風味が付与された好ましい香りを有する良好なだし昆布となることを突き止め、本発明に到達した。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
本発明に用いる昆布類は、通常だし昆布として用いられる真昆布、利尻昆布、日高昆布をはじめとした食用昆布であれば品種・等級を問わない。これらを単独、あるいは2種類以上組み合わせて使用することも可能である。昆布は表面の異物除去後、そのままか或いは、必要に応じて切断もしくは破砕する。
そのまま或いは切断・破砕した昆布は、乾燥状態のまま(水分含量10±5%)加熱装置に投入する。
【0012】
加熱装置は直火、ガスオーブン、電気オーブン、マイクロ波など加熱処理ができるものであれば、熱源や機器はいかなる規格のものでも良い。加熱時間・温度は用いる装置に応じて調節する必要があるが、加熱した昆布中のアルギン酸を無水炭酸ナトリウム水溶液によりアルギン酸ナトリウムとして抽出し、沈降平衡法によって重量平均分子量を測定したとき、分子量は加熱前の65〜95%となるのが望ましい。また、加熱処理時の昆布表面温度が80〜160℃程度であることが望ましい。ヘテロ多糖類の平均分子量が処理前の65〜95%である加熱処理昆布より抽出された昆布だしは、加熱未処理の昆布より抽出した昆布だしと比べてエキス分の溶出が迅速である上に粘度が低く、優れた呈味性を持ち、昆布特有の不快臭が少なく、また加熱によりほのかな焙煎風味が付与された好ましい香りを有する良好なものとなる。
【0013】
だしの粘度は、旨味や塩味・甘味などだしの味の感じ方や、のどごしに影響を与えるので、だしを取る際には粘りが出ないようにするのが昆布の調理技術の重要な要素であるが、本発明で示すように加熱処理によってそのような技術は必要がなくなり、だし抽出が容易になる。
【0014】
一方、加熱によってヘテロ多糖類の低分子化が起ると同時に「磯臭み」などの不快臭成分の揮発及び、アミノ−カルボニル反応や炭化などの加熱による別の化学反応も生じている。
【0015】
ヘテロ多糖類の分子量がもとの昆布の65%以下にまで低分子化する条件まで加熱された場合、エキス分溶出効率の改善やだしの粘度低下の目的は達せされるが、多糖類の低分子化と同時に旨味成分の加熱分解及びアミノ−カルボニル反応や、組織の炭化が急速に進行して昆布が著しく褐・黒変すると同時に好ましい香りが失われ、旨味成分であるグルタミン酸をはじめとしたアミノ酸やマンニットが消失してしまい、だし抽出用昆布として重要な要素である旨味や風味が著しく低下してしまう。また、エグ味や苦みなどが付与され、だし抽出用としては不適である。
【0016】
逆に、ヘテロ多糖類の分子量がもとの昆布の95%以上で殆ど低分子化されていない状態である場合は、エキス分の溶出効率も改善されず、だしの粘度も殆ど低下せず所望する昆布だしを得ることができない。また、不快な磯臭さの代表であるトリメチルスルフィドやアクリル酸などは揮発するものの十分ではなく、加熱処理の効果が少ない。以上の理由により昆布のヘテロ多糖類の分子量が元の昆布の65〜95%となる条件が、最適な加熱処理条件である。このような条件で加熱処理して製造しただし抽出用昆布製品は風味良好であり、添加物等も含まない安全な原料であるため、すまし汁、味噌汁、そば・うどんだし汁、麺つゆ、天つゆ、鍋もの、おでん等通常昆布だしを使用するあらゆる加工食品に制限なく応用できる。以下に本発明の実施形態を実施例によって示す。
【0017】
【実施例】
(実施例1)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた。加熱処理はアルミ皿に昆布同士が重ならないように広げ、電熱オーブン(ヤマト科学 DX31)にて60℃10分間乾熱処理を行ってだし抽出用昆布を得た。
【0018】
(実施例2)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた。加熱処理はアルミ皿に昆布同士が重ならないように広げ、電熱オーブン130℃10分間乾熱処理を行って本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0019】
(実施例3)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた。加熱処理はアルミ皿に昆布同士が重ならないように広げ、電熱オーブン130℃20分間乾熱処理を行って本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0020】
(実施例4)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた。加熱処理はアルミ皿に昆布同士が重ならないように広げ、電熱オーブン200℃10分間乾熱処理を行って本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0021】
(実施例5)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた。加熱処理はアルミ皿に昆布同士が重ならないように広げ、電熱オーブン200℃15分間乾熱処理を行って本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0022】
(比較例1)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない先端部及び両端部を切除したものを2×2cm角に切断しサンプルが均一になるように良く混ぜた、非加熱だし抽出用昆布を得た。
【0023】
実施例1から5及び比較例1の各だし昆布を75℃の蒸留水で膨潤後、蒸留水ごと磨砕し、そこに1%(w/v)になるように無水炭酸ナトリウムを添加し80℃の湯浴中で4時間抽出した。得られたペーストに蒸留水を加え、攪拌抽出後ろ過した。ろ液に10%HClを添加し生じたゲル状の析出物をろ過により回収し50%メタノールに溶解後水酸化ナトリウムにて中和した。ゲル上の析出物を50%メタノールで洗浄後、アセトン中でほぐして脱水し、30℃で一晩脱水することで昆布中のアルギン酸をアルギン酸ナトリウムとして得た。
【0024】
抽出によって得られた昆布中のアルギン酸ナトリウムを、pH6.5のリン酸ナトリウム緩衝液に溶解し0.7mg/ml溶液を調整した。同サンプルをゲルろ過により分離後、沈降平衡法によって重量平均分子量を測定した。加熱処理を行っていない比較例1の分子量を100%とした場合、実施例1は96.3%、実施例2は82.1%、実施例3は70.0%、実施例4は61.7%、実施例5は49.8%となった。
【0025】
次に、準備した各だし昆布を水分含量を差し引いた固形分が30gとなるように、実施例1:31.5g(水分含量5%)、実施例2: 30.9g(水分含量3%)、実施例3:30.9g(水分含量3%)、
実施例4:30.6g(水分含量2%)、実施例5:30.6g(水分含量2%)、比較例1:33.3g(水分含量10%)を計量し、各々水1000mlに30分間浸漬した後、水ごとガスコンロで加熱した。10分間で液温を80℃まで上昇させ、加熱を止めて茶漉しを用いて抽出残さの昆布を除去した。得た抽出液に水を加えて1000mlにメスアップしたものを水冷により25℃まで冷却したものを昆布だしとし、自動アミノ酸分析器(島津製作所)によるアミノ酸含量測定、オストワルドガラス粘度計による粘度測定(蒸留水の粘度を1とした時の相対粘度で評価)及びパネラー20名に対し官能評価を行った。官能評価方法は味・香りなどの各項目について5点満点で評価を行った。結果は表1に示した。
【表1】
Figure 2004141011
【0026】
本発明により得た実施例2及び3は比較例1に比べて全体の呈味が強くなり、香りが良くなったとの評価であった。特に旨味が強く感じられるようになった。コク・味の幅についても有意な差ではないが評価は良く、グルタミン酸以外の旨味に関与する成分やその他の微量成分も効率良く抽出されたために味に深みが増したと考えられる。また独特の「磯臭い」「生臭い」と表現されるような不快臭・不快味が低減され、加熱によって付与されるほのかな焙煎香が良いと評価するパネラーが多く、本発明により風味が改善され良好なだしを容易に得る事ができることが示された。しかし、実施例1については香りがやや改善されたとの評価を得たものの、だし粘度なども殆ど低下が見られず、全体評価として比較例1と有意な差がなかった。また、実施例4及び5については、低分子化は十分なされたが、昆布が褐変化及び一部炭化しており、抽出しただしについてもグルタミン酸含量が極端に低下しているため旨味が少なく、色は濃い褐色で見栄えが悪く、苦み・エグ味が強いものとなり、通常の料理への使用は不適であった。
【0027】
すなわち分子量が元の昆布の95%以上である場合は比較例と比べて変化は確認できるが明確ではなく、逆に分子量が65%以下まで低下する加熱条件では前記のような悪影響が生じてしまう。故に本発明によるだし抽出用昆布は、ヘテロ多糖類の平均分子量が加熱処理前の65〜95%になる条件において、見栄え等に悪影響を及ぼすことなく旨味成分の抽出量、だしの粘度、香り、風味などの官能面を合せた全てにおいて最も良好である。
【0028】
次に前記同様に実施例2:31.5g(水分含量5%)と比較例1:33.3g(水分含量10%)を水1000mlに浸漬し、25℃においてだしの水抽出を行った。抽出開始より15、30、60、120、180、240分の各時間において各サンプルから10mlずつ採取し、アミノ酸含量を測定した。実施例2は比較例1に比べて短時間で平衡に達し、迅速にエキス分が抽出された。
【表2】
Figure 2004141011
【0029】
(実施例6)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない耳・赤葉部分を除去したものを2×2cm角に切断し、必要な分量を陶器皿に昆布同士が重ならないように広げ電子レンジ(500W)にて30秒間加熱処理を行い、本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0030】
(実施例7)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない耳・赤葉部分を除去したものを2×2cm角に切断し、必要な分量を陶器皿に昆布同士が重ならないように広げ電子レンジ(500W)にて90秒間加熱処理を行い、本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0031】
(実施例8)道南産真昆布表面の異物除去及びエキス成分の少ない耳・赤葉部分を除去したものを2×2cm角に切断し、必要な分量を陶器皿に昆布同士が重ならないように広げ電子レンジ(500W)にて120秒間加熱処理を行い、本発明によるだし抽出用昆布を得た。
【0032】
実施例6、7、8のだし抽出用昆布は前記同様の条件にてアルギン酸の分子量を測定した。また各だし昆布を固形分として30gとなるように実施例6:33.3g(水分含量10%)、実施例7:31.5g(水分含量5%)、実施例8:30.9g(水分含量3%)、比較例1:33.3g(水分含量10%)を各々水1000mlに30分間浸漬した後、水ごとガスコンロで加熱した。10分間で液温を80℃まで上昇させ、加熱を止めて茶漉しを用いて抽出残さの昆布を除去した。得た抽出液に水を加えて1000mlにメスアップしたものを水冷により25℃まで冷却したものについて専門パネル15名による官能評価を行った。官能評価方法は味・香りなどの各項目について5点満点で評価を行った。評価結果は表3に示した。
【表3】
Figure 2004141011
【0033】
マイクロ波加熱によっても比較例1に対するアルギン酸の分子量比が75.1%である実施例7より得られた昆布だしは、味・風味ともに良好であり、実施例2及び3と同等の品質であった。また、分子量比が97.3%である実施例6については実施例1と、分子量比が57.3%である実施例8については実施例4及び5と同等の品質を示していた。すなわち、昆布中のヘテロ多糖類を低分子化せしめる熱源をドライオーブン等による電熱等による直加熱から、マイクロ波による加熱に変えても同じように低分子化反応が生じ、その度合いが同程度であれば、同品質のだし抽出用昆布が得られ、それらから得られる昆布だしも同等の味・風味を持ったものとなる。
【0034】
(実施例9)実施例2のだし抽出用昆布20gを水1000mlに30分浸漬し、そのままガスコンロにかけ、約10分間で80℃まで昇温した。抽出残さ除去後、鰹節20gを投入して再沸騰後、さらに抽出残さを除去して、所謂一番だしを得た。
【0035】
(比較例2)比較例1のだし抽出用昆布20gを水1000mlに30分浸漬し、そのままガスコンロにかけ、約10分間で80℃まで昇温した。抽出残さ除去後、鰹節20gを投入して再沸騰後、さらに抽出残さを除去して、所謂一番だしを得た。
【0036】
実施例9及び比較例2各々に食塩4g、醤油1.5ml、酒50mlをあわせて加熱し、麩及び小口切りした葱と共に供してすまし汁として専門パネル10名により、各項目について2点比較により好ましい方を選ぶという手法で官能評価を行った。評価結果を表4に示した。表4に示したように、加熱処理だし抽出用昆布を使用した実施例9において味・風味ともに良好な調味だしとなり、高い支持を得た。
【表4】
Figure 2004141011
【0037】
次に表5の分量で調味料をあわせ、加熱して「かえし」を作り、実施例9及び比較例2の一番だし:かえし=10:1の比率で混合した調味だしを得、市販のうどんと共に供してうどんだしとして専門パネル10名により各項目について2点比較により好ましい方を選ぶという手法で官能評価を行った。評価結果を表6に示した。表6に示したように、加熱処理だし抽出用昆布を使用した実施例9において味・風味ともに良好な調味だしとなり、高い支持を得た。
【表5】
Figure 2004141011
【表6】
Figure 2004141011
【0038】
【発明の効果】以上に示したように、昆布は乾熱処理を行うことで、昆布の表面組織を形成するヘテロ多糖類が低分子化されることにより、簡易な方法で、味・香り・テクスチャーともに優れた本格的なだしを迅速に抽出できるだし抽出用昆布を得ることができる。
【0039】
特に、乾熱処理をヘテロ多糖類の分子量が元の昆布の65〜95%の範囲で行うことで、低分子化によるエキス分の抽出効率の上昇と、だしの粘性の低下という効果に加えて、「磯臭み」などの不快成分が低減され、香味が改善されると同時に、褐変化等の負の効果を防ぐことが出来、より良好なだし抽出用昆布となる。
【0040】
このような製法により得られただし抽出用昆布を使用することで、高等級の高価な昆布を使用せずとも良好な昆布だしを得ることが可能となり、だし抽出法においても熟練を要せず簡単に所望の昆布だしを得ることが出来る。それ故に家庭でも手軽に日本料理を作るなど料理の幅が広がり、工業的な加工品においても化学調味料に頼らない安全な製品を安価に生産することができるようになることが期待できる。

Claims (3)

  1. 昆布の表面組織を形成するヘテロ多糖類を加熱処理により低分子化する事を特徴とするだし抽出用昆布製品の製造方法。
  2. 昆布の表面組織を形成するヘテロ多糖類の平均分子量が処理前の65〜95%となる条件で加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のだし抽出用昆布の製造方法。
  3. 請求項1に記載のだし抽出用昆布を原料として用いることを特徴とする昆布加工食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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