JP2004141013A - 糖尿病の発症危険性判定方法 - Google Patents

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Mitsuo Itakura
板倉 光夫
Hiroaki Yasukumo
安雲 浩明
Teiichiro Koga
古賀 貞一郎
Ichiro Watanabe
渡辺 一郎
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Abstract

【課題】糖尿病、特に2型糖尿病の相対的な発症危険度を判定するための簡便な方法を提供すること。
【解決手段】ヒトゲノムDNAを含む検体より、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目、同5’上流域の−26376番目、同イントロン3の−350番目、同イントロン4の2721番目、同5’上流域の−28256番目、同5’上流域の−27915番目、同イントロン3の3270番目、同イントロン3の3832番目、同イントロン3の−168番目のヌクレオチド、およびGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチドに存在する、いずれか一つまたは二つ以上の遺伝子多型、および/またはその組合せからなるハプロタイプを検出することにより、糖尿病の発症危険度を判定する方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖尿病の発症危険性判定方法に関する。より詳しくは、ヒトゲノムDNAを含む試料から、糖尿病の発症に関連した新規遺伝子多型を検出することにより、該試料提供者が糖尿病を発症する潜在的な危険度を判定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は近年その患者数が増加しており、成人病のひとつとして注目されている。糖尿病には、インスリン依存型の1型糖尿病と非依存型の2型糖尿病があるが、このうち2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病、NIDDM)は日本人に多い糖尿病のタイプであり、早期発見、早期治療がその予後の点から重要である。
【0003】
しかし、2型糖尿病はその成因が多様であり、予想される原因についての知見は乏しい。2型糖尿病におけるインスリン作用不足の原因としては、インスリン感受性機構の異常とインスリン分泌の低下が挙げられる。欧米では多くは前者、すなわちインスリン抵抗性が2型糖尿病の主な原因であるが、日本ではインスリン分泌不全が主な原因である場合も少なくない。
【0004】
一方、糖尿病はその合併症として、網膜症、神経症、動脈硬化、あるいは、腎症などを発症する。特に、糖尿病患者が腎症を併発すると、腎障害が原因となって高血圧症や高脂血症を悪化させ、患者の予後を更に悪化させる。そのため、糖尿病合併症の中でも、腎症の予防や治療は特に重要な問題となる。
【0005】
近年、分子生物学の急速な進展により、インスリン作用機作に関する知見が集積されてきた。インスリン受容体構造の解明にはじまり、受容体以降のシグナル伝達機構も次第に明らかとなってきた。こうしたなかで、従来の経口血糖低下薬とは作用メカニズムの全く異なる糖尿病治療薬〔α−グリコシダーゼ阻害薬:Acarbose, Voglibose(例えば、非特許文献1〜6参照)、インスリン抵抗性改善薬:Troglitazone, Pioglitazone(例えば、非特許文献7〜11参照)〕も登場し、発売された。一方、米国では1996年にビグアナイド剤が糖尿病治療薬として認可され、日常診療での糖尿病治療が可能となり注目を集めている(例えば、非特許文献12および13参照)。これらの薬剤はいずれも、日常診療で古くから汎用されてきたスルフォニル尿素(SU)剤とは異なり、膵β細胞からのインスリン分泌を促進することなく血糖を下げる作用を有している。
【0006】
現在、インスリン抵抗性を改善する働きをもった糖尿病治療薬の作用メカニズムとしては、以下の9項目が考えられている。インスリン受容体キナーゼの活性化、糖輸送担体の細胞膜への移行促進、糖代謝の律速酵素の働きや糖代謝異常の是正、肝糖新生の抑制、肝による糖取り込み促進、肝グリコーゲン生成の亢進、血中脂質の低下、血中脂質の低下に伴う肝糖新生の減少、血中脂質の低下に伴うインスリン感受性の亢進である。
【0007】
最近のファーマコジェノミクス研究の進展により、遺伝子多型と薬効、あるいは遺伝子多型と副作用の関係から、個々の患者に対する薬物の効果や副作用を、遺伝子診断で予測することが可能になりつつある。また、遺伝子多型と疾患との関係を調べることにより、一部の疾患の事前診断や予後の判定も可能になりつつある。前者の例としては、薬物代謝酵素の遺伝子多型の例が挙げられる。多型により活性が増加、あるいは、減少する薬物代謝酵素としては、シトクロムP4501A2、シトクロムP4502A6、シトクロムP4502C9、シトクロムP4502C19,シトクロムP4502D6、シトクロムP4502E1などが知られている。また、チオプリンメチルトランスフェラーゼ、N−アセチルトランスフェラーゼ、UDP−グルクウロノシルトランスフェラーゼ、および、グルタチオンS−トランスフェラーゼなど抱合酵素と呼ばれる一群の酵素群にも遺伝子多型が存在し、多型により活性が減少することが報告されている(例えば、非特許文献14参照)。後者の例としては、多型解析研究から見出された、疾患原因遺伝子が多数報告されている。例えば、▲1▼潰瘍性大腸炎の原因遺伝子としてのHLA、▲2▼慢性関節リウマチの原因遺伝子としてのTCRα、▲3▼アルツアイマー病の原因遺伝子としてのAPOE4、▲4▼精神分裂症の原因遺伝子としてのドーパミンD3受容体、▲5▼躁鬱病の原因遺伝子としてのトリプトファン水酸化酵素、▲6▼アルブミン尿症の原因遺伝子としてのアンジオテンシン前駆体、▲7▼心筋梗塞の原因遺伝子としての血液凝固因子VII、▲8▼肥満の原因遺伝子としてのレプチンなどが挙げられる(例えば、非特許文献15参照)。
【0008】
TNF−αは、各種炎症性疾患の病態形成に関与する重要な物質であると考えられているが、最近、TNF−α遺伝子の5’末端側上流域にこの遺伝子の発現を亢進する多型が存在することが見出された(例えば、非特許文献16参照)。これらの多型は、TNF−α遺伝子の発現量を亢進させるものであるため、多型を検出することにより、若年性関節リウマチ、慢性関節リウマチ、糖尿病等のTNF−αが関与する疾患の事前診断が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
糖尿病に関しても、遺伝子の変異と糖尿病発症との関連が検討されている。現在までに明らかになっている、単独の異常によって糖尿病を発症するとされている遺伝子としては、インスリン、インスリン受容体、インスリンプロモーター因子、グルコキナーゼ、ヘパトサイトニュークレアーファクター、アミリン、骨格筋グリコーゲン合成酵素、およびミトコンドリア遺伝子などがある。また、2型糖尿病の発症に関与すると考えられる遺伝子として、インスリンレセプターサブストレイト、グルコーストランスポーター、ミトコンドリアグリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、脂肪酸結合タンパク質、アドレナリンレセプター、グルカゴンレセプター、カリウムチャンネル、CD38などが挙げられる(例えば、非特許文献17参照)。
【0010】
また、最近、CD38におけるArg140Trp多型は、糖尿病のリスクを上昇させることが報告された(例えば、非特許文献18参照)。この多型は、日本人の糖尿病患者に約13%の頻度で見出されていることから、糖尿病の対するリスク診断に有用であると考えられている。
【0011】
ところで、グルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(以下「GFAT」という)は、ヘキソサミン生合成経路において、律速段階であるフルクトース−6−リン酸からグルコサミン−6−リン酸への反応を触媒する重要な酵素である。GFAT活性を阻害する薬剤は細胞内へのグルコースの取り込みを促進し、血糖値を低下させることができると考えられており、そのため糖尿病治療薬としての開発が期待されている。このGFAT阻害剤の作用機作は、以下のように説明される。ヘキソサミン生合成経路はその代謝過程において、UDP−N−アセチルグルコサミン、CMP−N−アセチルノイラミン酸等を産生するが、これらはタンパク質の糖化修飾やプロテオグリカンあるいはガングリオシド等の粗原料として流れていくと考えられている。一方、インスリンが細胞表面のレセプターに結合すると細胞内シグナルが活性化され、細胞内にプールされていた糖輸送担体(GLUT4など)が膜表層に移行し、グルコースの取り込みが促進される。取り込まれたグルコースは解糖系により代謝され、エネルギー源としてのATPを蓄積するが、過剰に取り込まれた場合はグルコース代謝物であるフルクトース−6−リン酸がヘキソサミン生合成経路へ流れることになる。流れたフルクトース−6−リン酸は、GFATによりグルコサミン−6−リン酸に変換される。詳細な機構は不明であるが、様々な状況証拠から、このグルコサミン−6−リン酸代謝産物が糖輸送担体の膜移行を抑制し、それによって細胞内へのグルコース取り込みが抑制されることが判明している(例えば、非特許文献19〜23参照)。これらのことから、ヘキソサミン生合成経路は、その一つの役割として、グルコースの過剰取り込みに対するフィードバック機構として機能するものと考えられる。そして、GFATはその経路における律速酵素として重要な役割を担う。
【0012】
また、最近、GFATのアンチセンスヌクレオチドを過剰発現させたトランスジェニックマウスではGFATの発現が構成的に抑制され、膵臓のβ細胞の選択的破壊薬であるストレプトゾトシンを投与すると、β細胞のアポトーシスが抑制されて、血糖値が改善されることが報告されている(例えば、非特許文献24参照)。糖尿病患者においては、このGFAT活性が一般的に高いことが知られており、高血糖値を示す一つの原因であると考えられる(例えば、非特許文献25参照)。ヒト由来のGFATは、現在GFAT1(例えば、非特許文献26参照)とGFAT2(例えば、特許文献2、および非特許文献27参照)の2種が知られている。GFAT1は681アミノ酸から、GFAT2は682アミノ酸からなる、それぞれ77kDaのタンパク質であることが報告されているが、GFAT1遺伝子については、その全長配列は未だ解明されていない。また、ヒトGFAT1と同GFAT2のアミノ酸配列相同性は78%である。また、マウス由来(例えば、非特許文献28参照)、酵母由来GFAT(例えば、非特許文献29参照)、あるいは、大腸菌由来GFAT(例えば、非特許文献30参照)も報告されているが、いずれもヒトGFATに高い相同性を示す。
【0013】
一方、ゲノム上GFAT1遺伝子の5’側に存在するHIRAインタラクティングプロテイン5(以下「HIRIP5」という)遺伝子は、既知蛋白との相同性より、ヒストンに結合し鉄代謝に関与することが予想されているが(例えば、非特許文献31参照)、その詳細な機能は全く不明である。また、このHIRIP5遺伝子、および前述したGFAT1遺伝子上に存在する多型と糖尿病との関係については、これまで何ら知られていない。
【0014】
糖尿病は、単一の遺伝子の変異や多型によって生じるというよりは、複数の遺伝子多型、あるいは、食生活などの外的要因で発症すると考えられており、その発症機構には未解明な点が多い。したがって、糖尿病の発症に関与する遺伝子やその多型については、今後さらにその研究を進めることが望まれている。
【0015】
【特許文献1】
国際公開第98/54361号パンフレット
【特許文献2】
特開平10−108683号公報
【非特許文献1】
ダイアビティース・フロンティア(Diabetes Frontier), 3, 557−564 (1992)
【非特許文献2】
ドラッグス(Drugs), 46,1025−1054 (1994)
【非特許文献3】
医学のあゆみ, 149, 591−618 (1989)
【非特許文献4】
臨床と研究,67, 219−233 (1990)
【非特許文献5】
臨床と研究, 69, 919−932 (1992)
【非特許文献6】
臨床医21(増刊), 578−587(1995)
【非特許文献7】
ダイアビティース(Diabetes), 37, 1549−1558 (1998)
【非特許文献8】
ライフ・サイエンス(Life Sci.), 67, 2405−2416 (2000)
【非特許文献9】
メタボリズム(Metabolism), 44, 486−490 (1995)
【非特許文献10】
ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New Engl. J.Med.), 331, 1188−1193 (1994)
【非特許文献11】
後藤由夫編,「新しい糖尿病治療薬」, 医薬ジャーナル社, 大阪, (1994)
【非特許文献12】
ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New Engl. J. Med.), 333, 541−549 (1995)
【非特許文献13】
ダイアビティース・スペクトラム(Diabetes Spectrum), 8, 194 −197(1995)
【非特許文献14】
中村祐輔編,「SNP遺伝子多型の戦略」, 中山書店, 東京, (2000)
【非特許文献15】
ネイチャー・ジェネティクス(Nat. Genet.), 22, 139−144 (1999)
【非特許文献16】
ティシュー・アンチゲンズ(Tissue Antigens), 51, 605−612 (1998)
【非特許文献17】
門脇孝編,「糖尿病の最前線」, 羊土社, 東京, (1997)
【非特許文献18】
ダイアベトロジア(Diabetologia), 41, 1024−1028 (1998)
【非特許文献19】
ファセブ・ジャーナル(FASEB J.),5, 3031−3036 (1991)
【非特許文献20】
ダイアビィトロジア(Diabetologia), 38, 518−524 (1995)
【非特許文献21】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.), 266,10155−10161 (1991)
【非特許文献22】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),266, 4706−4712 (1991)
【非特許文献23】
エンドクリノロジー(Endocrinology), 136, 2809−2816 (1995)
【非特許文献24】
プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイテット・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 97, 2820−2825 (2000)
【非特許文献25】
ダイアビティース(Diabetes), 45, 302−307 (1996)
【非特許文献26】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.), 267,25208−25212 (1992)
【非特許文献27】
ゲノミクス(Genomics), 57, 227−234 (1999)
【非特許文献28】
ジーン(Gene), 140, 289−290 (1994)
【非特許文献29】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),264, 8753−8758 (1989)
【非特許文献30】
バイオケミカル・ジャーナル(Biochem. J.), 224, 779−815 (1984)
【非特許文献31】
バイオケミカ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim. Biophys. Acta), 1517, 376−383 (2001)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、糖尿病、特に2型糖尿病の発症の危険度を判定するための判定方法、および該方法のための試薬およびキットを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、糖尿病患者および健常者から単離したDNA試料を対象として、HIRIP5遺伝子、およびGFAT1遺伝子中に存在する遺伝子多型の頻度を調べた結果、糖尿病患者に高い頻度で現れる複数の遺伝子多型が存在することを見出した。そして、該遺伝子多型を検出することにより、糖尿病を発症する潜在的な危険度を高い確率で判定できることを見出し、本発明を完成させた。
【0018】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(9)を提供する。
(1) ヒトゲノムDNAを含む試料において、下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つまたは二つ以上の位置に存在する遺伝子多型、および/またはその組合せからなるハプロタイプを検出することにより、該試料提供者の糖尿病の発症危険度を判定する方法。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
e)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)
f)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)
g)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)
h)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)
i)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)
j)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)
【0019】
(2) 糖尿病が2型糖尿病である、上記(1)記載の方法。
【0020】
(3) 検出対象が、下記a)〜d)の位置に存在する遺伝子多型、ならびに下記w)〜z)で示されるハプロタイプ、から選ばれるいずれか一つまたは二つ以上である、上記(1)または(2)に記載の方法。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
w)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)、およびHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
x)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
y)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
z)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
【0021】
(4) 検出が、RFLP法、PCR−SSCP法、ASOハイブリダイゼーション、ダイレクトシークエンス法、ARMS法、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、RNaseA切断法、化学切断法、DOL法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI−TOF/MS法、TDI法、モレキュラー・ビーコン法、ダイナミック・アレルスペシフィック・ハイブリダイゼーション法、パドロック・プローブ法、UCAN法、DNAチップまたはDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法、およびECA法からなる群より選ばれる一つまたは二つ以上の方法を用いて行われることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
【0022】
(5) 検出が、PCR−SSCP法またはダイレクトシークエンス法を用いて行われることを特徴とする、上記(4)記載の方法。
【0023】
(6) 下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つのポリヌクレオチド、またはその標識物;
a)配列番号1で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号352のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
b)配列番号2で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号278のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
c)配列番号3で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号311のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
d)配列番号4で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号262のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
e)配列番号5で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号258のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
f)配列番号6で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号299のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
g)配列番号7で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号288のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
h)配列番号8で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号310のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
i)配列番号9で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号313のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
j)配列番号10で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号632のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
(ただし、上記ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)。
【0024】
(7) 下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つのポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズし、該ポリヌクレオチドを特異的に増幅するための、15〜30塩基長のオリゴヌクレオチド、またはその標識物;
a)配列番号1で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号352のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
b)配列番号2で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号278のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
c)配列番号3で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号311のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
d)配列番号4で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号262のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
e)配列番号5で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号258のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
f)配列番号6で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号299のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
g)配列番号7で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号288のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
h)配列番号8で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号310のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
i)配列番号9で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号313のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
j)配列番号10で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号632のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
(ただし、上記ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)。
【0025】
(8) 上記(6)記載のポリヌクレオチドを固定した固相化試料。
【0026】
(9) 以下の1)〜3)から選ばれる少なくとも一つ以上を含む、糖尿病の発症危険性判定用試薬またはキット。
1)上記(6)記載のポリヌクレオチド、またはその標識物
2)上記(7)記載のオリゴヌクレオチド、またはその標識物
3)上記(8)記載の固相化試料
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、ヒトゲノムDNAを含む試料において、HIRIP5遺伝子および/またはGFAT1遺伝子上に存在する新規遺伝子多型を検出することにより、該試料提供者の糖尿病の発症危険度を判定する方法である。
【0028】
本明細書中において、「遺伝子多型」には、いわゆる単一ヌクレオチド多型(1塩基多型:single nucleotide polymorphism:SNP)、および連続した複数ヌクレオチドにわたる多型、の両方を含むものとする。すなわち、ヒトの集団において、ある一個体のゲノム配列を基準として、他の1または複数の個体ゲノム中の特定部位に、1または複数ヌクレオチドの置換、欠失、挿入、転位、逆位等の変異が存在するとき、その変異が当該1または複数の個体に生じた突然変異でないことが統計的に確実か、または当該個体内突然変異でなく、1%以上の頻度で集団内に存在することが家系的に証明される場合、その変異を「遺伝子多型」とする。
【0029】
以下、本発明の方法について詳細に説明する。
1.糖尿病の発症に関連した新規遺伝子多型
本発明で検出対象とする遺伝子多型は、糖尿病患者に高い頻度で現れることが確認された、HIRIP5遺伝子またはGFAT1遺伝子上に存在する新規遺伝子多型である。
【0030】
なお、本明細書中において、HIRIP5遺伝子における多型の位置は、GenBankに登録されている ▲1▼HIRIP5のcDNA(Accession番号:NM_015700.1)、▲2▼HIRIP5のゲノムDNA(Accession番号:AC114772.3)を基に記載するものとする。すなわち、Accession番号:NM_015700.1におけるHIRIP5遺伝子のオープン・リーディング・フレームの位置は259〜849番目の塩基となっていることから、NM_015700.1における259番目の位置(HIRIP5遺伝子の翻訳開始コドンATGのAに相当)をHIRIP5遺伝子のエキソン1の+1として、各多型の位置を記載する。ちなみに、現在のところ、HIRIP5蛋白のN末端アミノ酸配列に関する報告はないため、HIRIP5遺伝子の翻訳開始コドンの正確な位置は確定していない(例えば、上記の翻訳開始コドンATGの位置は、ローランらの報告[Biochim. Biophys. Acta, 1517, 376−383 (2001)]におけるATGの位置とは異なっている)。そこで、本明細書中においては上記の定義「NM_015700.1における259番目の位置をHIRIP5遺伝子のエキソン1の+1とする」をすることにより、HIRIP5遺伝子上における各多型の位置を特定することとした。
【0031】
すなわち、本発明にかかる遺伝子多型は、以下のa)〜j)の位置に存在する。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
e)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)
f)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)
g)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)
h)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)
i)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)
j)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)
【0032】
本発明の方法においては、上記a)〜j)から選ばれるいずれか一つまたは二つ以上の位置に存在する、遺伝子多型および/またはその組合せからなるハプロタイプを検出して、糖尿病の発症危険度を判定する。すなわち、判定は一つまたは二つ以上の遺伝子多型の検出結果に基づいて行っても良いし、二つ以上の遺伝子多型を組合せたハプロタイプの検出結果に基づいて行ってもよい。また、上記多型とハプロタイプを組み合わせて判定してもよい。
【0033】
2.ヒトゲノムDNAを含む試料の調製
本発明の方法で用いられる「ヒトゲノムDNAを含む試料」は、被験者および臨床検体等から単離されたあらゆる細胞(生殖細胞を除く)、組織、臓器等を材料として調製される。該材料としては、末梢血から分離した白血球または単核球が好ましく、特に白血球が最も好適である。これらの材料は、臨床検査において通常用いられる方法にしたがって単離される。
【0034】
例えば白血球を材料とする場合、まず被験者より単離した末梢血から常法に従って白血球を分離する。次いで、得られた白血球にプロテイナーゼKとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えてタンパク質を分解、変性させた後、フェノール/クロロホルム抽出を行うことによりゲノムDNA(RNAを含む)を得る。RNAは、必要に応じてRNaseにより除去することができる。ただし、ゲノムDNAの抽出は、上記の方法に限定されず、当該技術分野で周知の方法(例えば、Sambrook, J. et al. (1989):”Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.)” Cold Spring Harbor Laboratory, NY)や、市販のDNA抽出キット等を利用して行ってもよい。
【0035】
3.遺伝子多型の検出
次に、得られたヒトゲノムDNAを含む試料から、本発明者らによって解明された、糖尿病と極めて関連の深い新規遺伝子多型を検出する。以下、代表的な遺伝子多型検出方法について説明する。
【0036】
(1)RFLP(制限酵素切断断片長多型)法
遺伝子多型部位が制限酵素認識部位に含まれる場合、その制限酵素の消化により生じるDNA断片の長さの違いから、当該遺伝子多型の検出が可能である。この場合、▲1▼ゲノムDNAを制限酵素で分解後、サザンブロットを行なう方法と、▲2▼多型部位を含むDNA断片をPCR増幅後、制限酵素で切断し、電気泳動により切断されたDNA断片の大きさを解析する方法が挙げられる。▲1▼の方法で用いられるプローブとしては、目的の多型部位を含んで、かつその多型部位から5’末端側および3’末端側にそれぞれ約0.05〜2kbにわたる配列に相当するDNA断片(アイソトープ、ビオチンあるいは蛍光色素等で標識されたもの)が好ましい。また、▲2▼の方法に用いられるPCRプライマーとしては、多型部位を含む約0.05〜4kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0037】
(2)PCR−SSCP法(一本鎖DNA高次構造多型解析)
PCR−SSCP法は、遺伝子多型部位を含むDNA断片をPCRで増幅後、熱変性し、電気泳動により、高次構造の異なる1本鎖DNAを分離する方法である〔Biotechniques, 16,296−297 (1994), Biotechniques, 21, 510−514 (1996)〕。遺伝子多型の有無により、1本鎖DNAの泳動距離が異なるため、そのパターンを解析することにより、多型のタイピングが可能である。タイピングの標準とするために、予め多型部位のヌクレオチド配列が確認されているヒトゲノム由来のDNA試料を、PCRの際の鋳型DNAとして、被検試料と同時に用いることが好ましい。PCR増幅用プライマーとしては、5’末端を蛍光色素で標識した、多型部位を含む約50〜500bpのDNA断片を増幅するための15〜30merのオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0038】
(3)ASO(Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法
ASOハイブリダイゼーション法は、遺伝子多型部位を含むPCR産物をナイロンフィルターなどの支持体にドットブロットし、それぞれの遺伝子多型に対応したプローブとのハイブリダイゼーション後、そのプローブのTm値に準じた洗浄操作を行い、多型を検出(ミスマッチがあればハイブリッドが外れる)する方法である〔Clin. Chim. Acta, 189, 153−157 (1990)〕。プローブとしては、通常15〜25mer程度の合成オリゴヌクレオチド(シグナルを得るにはラジオアイソトープ、ビオチンまたは蛍光色素による標識が必要)が用いられる。また、PCRプライマーとしては、多型部位を含む約0.05〜4kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0039】
(4)ダイレクトシークエンス法
ダイレクトシークエンス法は、遺伝子多型部位を含むDNA断片をPCR増幅した後、増幅されたDNAのヌクレオチド配列を直接ダイデオキシ法により解析する方法である〔Biotechniques, 11, 246−249 (1991)〕。この方法で用いられるPCRプライマーは、好ましくは、多型部位を含む約0.05〜4kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。また、シークエンスプライマーとしては、好ましくは、多型部位から50〜300ヌクレオチド程度5’末端側の位置に相当する15〜30merのオリゴヌクレオチドを用いる。
【0040】
(5)ARMS(Amplification Refracting Mutation System)法
PCRでは、鋳型DNAにプライマーがアニールした後、DNAポリメラーゼにより5’末端側から3’末端側に相補鎖DNAが合成される。プライマーの3’末端ヌクレオチドにミスマッチがあると、PCRの効率が低下し、電気泳動による検出が不可能になる。ARMS法は、その3’末端ヌクレオチドが検出しようとする変異ヌクレオチドに相補的になるように設計されたプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物の有無で遺伝子多型を検出する方法である〔Nuc. Acids. Res., 19, 3561−3567 (1991), Nuc. Acids. Res., 20,4831−4837 (1992)〕。この方法で用いられるPCRプライマーは、1つは3’末端に多型部位が位置するように設計された、好ましくは15〜30merのオリゴヌクレオチドであり、もう1つは、好ましくは、多型部位から0.05〜2kb程度離れた部分の15〜30merのオリゴヌクレオチドである。
【0041】
(6)変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis、以下「DGGE」という)法
DGGE法は、PCR産物中の、ミスマッチを有するヘテロデュプレックスが、ホモデュプレックスよりも解離が容易であることを利用して遺伝子多型を検出する方法である〔Biotechniqus, 27, 1016−1018 (1999)〕。ヘテロデュプレックスは、解離が進むにつれ、ゲル電気泳動における移動度が低下するので、使用するポリアクリルアミドゲル中に尿素およびホルムアミドの密度勾配を設定しておくと、ホモデュプレックスとの移動度の差がさらに強調され、ミスマッチを含む2本鎖DNAの存在、すなわち変異の存在が検出される。この方法で用いられるPCRプライマーは通常、多型部位を含む約0.05〜0.5kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。
【0042】
(7)RNaseA切断法
RNaseA(RNA分解酵素)は、2本鎖RNAもしくはRNA/DNAコンプレックスを分解せず、1本鎖のRNAのみを分解する特性を有する。したがって、多型部位を含むDNA断片をPCR増幅した後、アイソトープ標識したRNAプローブを、変性して1本鎖にしたPCR産物とハイブリダイズさせ、RNaseA処理後、電気泳動により分離すれば、変異型とハイブリダイズしたRNAプローブはミスマッチ部位で切断されるため、2本のバンドとして検出できる〔DNA Cell. Biol., 14, 87−94 (1995)〕。この方法で用いられるRNAプローブとしては、多型部位を含む通常15〜30merのオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0043】
(8)化学切断法
多型部位を含むDNA断片をPCRにより増幅後、2本鎖DNAのミスマッチ部位の「c(シトシン)」に対してはヒドロキシルアミン、「t(チミン)」に対してはオスミウムテトラオキシドで別個に修飾し、ピペリジン処理をすると、糖が切断される。標識プローブを用いて2本鎖を形成させ、上記処理を行った後、電気泳動し、プローブのサイズが短くなっていれば変異が検出されたことになる〔Biotechniques, 21, 216−218 (1996)〕。この方法で用いられるPCRプライマーは通常、多型部位を含む約0.05〜4kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。
【0044】
(9)DOL(Dye−labeled Oligonucleotide Ligation)法
DOL法は、遺伝子多型を含むDNA断片をPCR増幅した後、蛍光標識された多型部位の直前の塩基まで含むダイプライマーと、それぞれのアレルに特異的な蛍光色素で標識されたダイターミネーターを耐熱性DNAリガーゼで連結させる方法である〔Genome Res., 8, 549−556 (1998)〕。この方法で用いられるPCRプライマーは、通常多型部位を含む約0.05〜2kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。
【0045】
(10)TaqMan PCR法
TaqMan PCR法は、蛍光標識したアレル特異的オリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)とTaqDNAポリメラーゼによるPCRを利用した方法である〔Genet. Anal., 14, 143−149 (1999), J. Clin. Microbiol., 34, 2933−2936 (1996)〕。この方法で用いられるPCRプライマーは、通常多型部位を含む約0.05〜2kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。また、TaqManプローブは、多型部位を含む15〜30塩基程度のオリゴヌクレオチドであり、5’末端は蛍光レポーター色素によって標識されており、3’末端はクエンチャー(消光物質)によって標識されている。このプローブを用いることにより、野生型と変異型のヌクレオチド変化の検出が可能である。
【0046】
(11)インベーダー法
インベーダー法では、2種類の非蛍光標識オリゴヌクレオチドと1種類の蛍光標識オリゴヌクレオチドが使用される。非蛍光標識オリゴヌクレオチドの一つは、その5’末端側に、検出しようとする多型部位の存在するゲノム配列(以下「鋳型」という)とは無関係な配列(以下「フラップ」という)を有しており、フラップより3’末端側は、鋳型の多型部位から5’末端側の配列に特異的な相補配列となっている(以下「アレルプローブ」という)。すなわちアレルプローブの鋳型に特異的な相補配列部分の5’末端は鋳型の多型部位に相当する。もう一つの非蛍光標識オリゴヌクレオチドは、鋳型の多型部位から3’末端側の配列に特異的な相補配列を有する(以下「インベーダープローブ」という)。インベーダープローブの3’末端も鋳型の多型部位に相当するが、鋳型の多型部位のヌクレオチドとは相補的でなくてもよい。蛍光標識オリゴヌクレオチド(以下「FRET(fluorescence resonance energy transfer)プローブ」という)は、3’末端側部分がフラップと相補的な配列であり、5’末端側はパリンドローム配列になっているため自ら二本鎖を形成している。またFRETプローブの5’末端近傍は蛍光色素で標識され、5’末端にはその蛍光を打ち消すクエンチャーが結合している。まず鋳型にアレルプローブとインベーダープローブをハイブリダイズさせると、アレルプローブと鋳型とが多型部位において相補的である場合は、その多型部位において、鋳型、アレルプローブの5’末端およびインベーダープローブの3’末端が特殊な構造を形成する。この構造を特異的に認識してエンドヌクレアーゼ活性を表す酵素(以下「クリベース」という)が、アレルプローブからフラップ部分を切り離す。遊離したフラップはFRETプローブの3’末端側とハイブリダイズする。このとき、フラップとFRETプローブとが、FRETプローブのクエンチャーが結合している5’末端の位置において、クリベースに特異的に認識される構造を形成するため、クエンチャーが結合している5’末端ヌクレオチドがクリベースによりFRETプローブから切り離されて、FRETプローブに残った蛍光色素が蛍光を発する。一方、鋳型配列に変異が存在し、アレルプローブと鋳型とが多型部位において相補的でなく、ミスマッチとなっている場合は、クリベースに特異的に認識される構造が形成されないため、フラップはアレルプローブから切り離されない。このとき、切り離されずにアレルプローブに残ったままのフラップもFRETプローブの3’末端側とハイブリダイズ可能であるが、アレルプローブから切り離されたフラップがハイブリダイズした場合と比較すると、クエンチャーが結合している5’末端ヌクレオチドがクリベースによってFRETプローブから切り離される反応効率が低いため、FRETプローブが発する蛍光強度も低い。以上の原理により、多型の検出が可能となる〔Science, 5109, 778−783(1993), J. Biol. Chem., 30, 21387−21394 (1999), Nat. Biotechnol., 17, 292−296 (1999)〕。
【0047】
(12)MALDI−TOF/MS法(Matrix Assisted Laser Desorption−time of
Flight/Mass Spectrometry)法
MALDI−TOF/MS法は、遺伝子多型のアレルに対応して異なるヌクレオチドを含む1本鎖オリゴヌクレオチドを合成してその質量を測定し、その差異を質量分析器により検出することによりタイピングする方法である〔Genome Res., 7, 378−388 (1997), Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 35, 545−548 (1997)〕。MALDI−TOF/MS法では、はじめに多型部位を含むDNA断片をPCR増幅し、その後、多型部位に隣接するプライマーを用いた伸張反応により、それぞれのアレルに特異的なDNA伸張反応物をマススペクトルに基づき解析する。このときに用いられPCRプライマーは、通常多型部位を含む約0.05〜0.5kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。また、多型を検出するためのプライマーは、多型部位に隣接した15から30merのオリゴヌクレオチドを用いる。
【0048】
(13)TDI(Template−directed Dye−terminator Incorporation)法
TDI法は、遺伝子多型を含むDNA断片をPCRで増幅させた後、多型部位の直前に設計されたプライマーを用いて、プライマー伸張反応により、それぞれのアレルに対応する異なる蛍光色素で標識されたダイデオキシヌクレオチドを多型部位に取りこませる方法である〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 10756−10761 (1997)〕。プライマー伸張産物は、DNAシークエンサー(ABIプリズム377、アプライドバイオシステムズ社製)などを用いて解析する。このときに用いられるPCRプライマーは、通常多型部位を含む約0.05〜1kbのDNA断片を増幅するための、15〜30merのオリゴヌクレオチドである。
【0049】
(14)モレキュラー・ビーコン(Molecular Beacons)法
Molecular Beaconsは両末端に発光抑制体(Quencher)と蛍光体(Fluorophore)を持ったオリゴヌクレオチドである。通常はステム部分が5−7ヌクレオチドでループ構造が15−30ヌクレオチドのステムループ構造である。したがって蛍光体は発光抑制体の働きにより、励起光照射下でも発光しない。一方、ループ構造内の塩基配列と相同なターゲットのDNAとループ構造内の塩基配列がハイブリダイズすると、発光抑制体と蛍光体の距離が離れるために蛍光体が励起光下で励起し蛍光を発する〔Nat. Biotechnol.,1, p49−53 (1998)、遺伝子医学、4,p46−48(2000)〕。Molecular Beaconのステム部分の塩基配列は、ターゲットDNAとは相補的でない。Molecular Beaconsのステム構造のTm値(溶解温度:melting temperature)は、ターゲットDNAとPCRプライマーのTm値より、7−10℃高くなるように設計する。そして、ターゲット領域をPCRで増幅させるときにMolecular Beaconsを反応液にいれて、PCRのアニーリング温度で励起光を当て蛍光を測定するとMolecular Beaconsがターゲット遺伝子に完全に相同な配列であればHybridizeするため蛍光を発する。逆にミスマッチがあれば、Molecular Beaconsはターゲットにハイブリダイズできず蛍光を発することができない。この方法により遺伝子多型を見つけることができる。
【0050】
(15)ダイナミック・アレル−スペシフィック・ハイブリダイゼーション法(Dynamic Allele−Specific Hybridization (DASH)法
ターゲットDNA(60−90塩基対)をゲノムDNAからPCRで増幅する際に、末端をビオチン化したプライマーを用いて行う方法である〔Nat. Biotechnol.,1, p87−88, (1999)、遺伝子医学, 4, p47−48 (2000)〕。PCR終了後、ビオチン化したプライマー側のストランド(strand)はストレプトアビジン(Streptavidin)でコーティングされたマイクロタイターウェルに結合する。これに対して未修飾のPrimer側のストランドは結合することができず、アルカリ溶液でリンスすると除去される。その後、このビオチン化したプライマーのストランドに対して、プローブDNA(15−21ヌクレオチド)をハイブリダイズさせる。この時に2本鎖DNAに特異的に結合し蛍光を発する蛍光物質(Syber Green I dye)を一緒に取込ませる。その後、この蛍光強度を観察しながら変性(denature)させる。ターゲットDNAとプローブDNAが完全に相補的でなくミスマッチが有ったときには完全に相補的である場合に比べ変性し発光しなくなる温度が低くなる。この温度の違いを観察することにより、遺伝子多型を検出することができる。
【0051】
(16)パドロック・プローブ(Padlock Probe)法
Lizardiらによって開発された方法である〔Nat. Genet., 3, p225−232 (1998)、遺伝子医学, 4, p50−51 (2000)〕。一本鎖ターゲットDNAにハイブリダイズするとプローブが環状になるように設計したプローブを用い、ターゲットDNAにハイブリダイズした後にDNAリガーゼで結合させて完全な環状にしその後アルカリフォスファターゼ(Calf intestinal Alkaline Phosphatase (CIAP))の脱リン酸化酵素でリン酸基を除去する。末端にミスマッチがあり環状になれなかった場合リン酸基がなくなり環状化できなくなる。この環状DNAに対してプライマー(1)を設計し、DNAポリメラーゼで複製してレプリコン多量体を得る。このレプリコンに対してもプライマー(2)を設計し、この2種類のプライマーを一緒に混ぜてDNAポリメラーゼで反応し、2本鎖DNAを増幅する。プライマー(1)はターゲットDNAとは相補的でない部分に設計し、プライマー(2)は環状になったプローブ(Padlock Probe)の末端部分(ターゲットDNAと相補的な配列(3’末端に遺伝子多型を含む)に設計し、多型検出には3’末端の一塩基置換させたプライマーを用いる。環状化したプローブ(Padlock Probe)に対してローリング・サイクル・反応(Rolling Circle−Reaction:RCR)を改良したハイパーブランチド・ローリング−サークル増幅法(Hyperbranched Rolling−Circle Amplification (HRCA))法を用いて増幅させた後に、Padlock Probe内にある制限酵素認識サイトの制限酵素で処理し、電気泳動でバンドの有無を確認する。
【0052】
(17)UCAN法
UCAN法[タカラ酒造株式会社ホームページ(http://www.takara.co.jp)参照]は、RNAをDNAが両側からはさんだ型のDNA−RNA−DNAプライマー(DRDプライマー)の3’末端のDNAを化学変化させておき、DNAポリメラーゼによる鋳型DNAの複製が起こらないようにしておく。次に、一塩基変換が起こっている可能性のある塩基部分に、RNA部分が結合するように設計したDRDプライマーと鋳型DNAを対合させる。DRDプライマーと鋳型が完全にマッチしている場合のみRNaseHにより、対合したDRDプライマーのRNA部分が切断される。この切断によって3’末端が新しく出現するのでDNAポリメラーゼによる伸長反応が進み、鋳型DNAが増幅される。一方、DRDプライマーと鋳型DNAがその場所でマッチしていない場合、つまりSNPが存在するときは、RNaseHがDRDプライマーを切断しないので、DNA増幅が起こらない。この遺伝子増幅の有無を検出することで遺伝子多型を検出することができる。
【0053】
(18)DNAチップまたはDNAマイクロアレイ
DNAチップまたはDNAマイクロアレイは多種類の多型部位を含むDNAプローブをガラス基盤上に固定したもので、これに標識した核酸試料をハイブリダイゼーションして、蛍光シグナルによって多型の有無を検出する。一般にガラス基盤上にcDNAを乗せていくものをDNAマイクロアレイ、DNAをガラス基盤上で合成していくものをDNAチップ(オリゴDNAチップ)という。基盤上に固定(または合成)されるプローブは、オリゴDNAアレイであれば、通常多型部位を含む20mer程度のオリゴヌクレオチド、cDNAマイクロアレイであれば、100〜1500mer程度の2本鎖DNAが用いられる。
【0054】
(19)ECA法
ECA(Electrochemical Array)法は、DNAの2本鎖に結合するインターカレーターの電気化学的性質を利用した遺伝子タイピング法である。すなわち、ゲノム上の多型を含む領域をPCR法により増幅し、基盤に固定化したそれぞれのアレルと相補するプローブとハイブリダイズ後にインターカレーターを作用させる。このとき、プローブに対して完全相補と不完全相補の場合で結合するインターカレーターの量が異なる。ECA法で用いるインターカレーターは、電気化学的性質を有するフェロセンという物質を含有しているため、結合したインターカレーターの量に比例して電気的シグナルが異なる。ECA法は、この違いを利用して遺伝子多型を検出する方法である〔Anal. Chem., 72, p1334−1341, 2000〕。
【0055】
以上は代表的な多型検出方法であるが、これらに限定されず、他の公知の遺伝子多型検出方法を本発明の判定方法のために利用することができる。また、本発明の方法においては、これらの遺伝子多型検出方法を単独で用いても、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の好適な実施形態の一つとして、後述する実施例では、PCR−SSCP法またはダイレクトシークエンス法を用いた判定方法を示す。
【0056】
4.糖尿病発症危険性判定用試薬、またはキット
本発明の判定方法では、糖尿病の発症に関連した遺伝子多型を検出するために、検出すべき遺伝子多型が存在する部位またはその近傍の配列を検出するためのプローブもしくは固相化試料、または該配列を特異的に増幅するためのプライマーが用いられる。これらのプローブ、プライマーおよび固相化試料は、本発明の判定方法を実施するための試薬、またはキットとして有用である。
【0057】
すなわち、本発明は、HIRIP5遺伝子またはGFAT1遺伝子上の遺伝子多型を検出するためのプローブ、プライマーおよび固相化試料、ならびにこれらの少なくとも一つ以上を含む、糖尿病の発症危険性判定用試薬またはキットを提供する。
【0058】
(1)プローブ
本発明の方法で用いられるプローブは、HIRIP5遺伝子、またはGFAT1遺伝子上の新規遺伝子多型を含む部位に特異的にハイブリダイズし、該多型部位を検出するためのポリヌクレオチドプローブである。
【0059】
そのようなプローブは、HIRIP5遺伝子(例えば、配列番号1〜9で示されるヌクレオチド配列)、あるいはGFAT1遺伝子(例えば、配列番号10で示されるヌクレオチド配列)上において、下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つのヌクレオチドを含む、16〜500塩基長、好ましくは20〜200塩基長、より好ましくは20〜50塩基長の連続したポリヌクレオチドとして設計される。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
e)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)
f)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)
g)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)
h)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)
i)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)
j)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)
【0060】
(2)プライマー
本発明の方法で用いられるプライマーは、HIRIP5遺伝子、またはGFAT1遺伝子上の新規遺伝子多型を含む部位を特異的に増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0061】
そのようなプライマーは、HIRIP5遺伝子(例えば、配列番号1〜9で示されるヌクレオチド配列)、またはGFAT1遺伝子(例えば、配列番号10で示されるヌクレオチド配列)上において、前項a)〜j)から選ばれるいずれか一つのヌクレオチドまたはヌクレオチド配列を含む連続したポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズし、該ポリヌクレオチドを特異的に増幅するための、15〜30塩基長、好ましくは18〜25塩基長程度のオリゴヌクレオチドとして設計される。
【0062】
増幅するポリヌクレオチドの長さは、用いられる検出方法に応じて適宜設定されるが、一般的には16〜1000塩基長、好ましくは20〜500塩基長、より好ましくは20〜200塩基長である。
【0063】
以上のことから、多型部位近傍の配列(例えば、配列番号1〜10のいずれか一つで示されるヌクレオチド配列)に含まれる、15塩基以上の連続したヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(あるいはオリゴヌクレオチド)は、上記プライマーまたはプローブとして利用することができる。
【0064】
本発明のプライマーまたはプローブには、その配列の末端に、検出のための適当な標識、例えば、蛍光色素、酵素、タンパク、放射性同位体、化学発光物質、ビオチン等が付加されたものも含むものとする。
【0065】
なお、本発明において用いられる蛍光色素としては、一般にヌクレオチドを標識して、核酸の定量、検出等に用いられるものが好適に使用でき、例えば、HEX(4,7,2’,4’,5’,7’−hexachloro−6−carboxyfluorescein、緑色蛍光色素)、フルオレセイン(fluorescein)、NED(アプライドバイオシステムズ社商品名、黄色蛍光色素)、あるいは、6−FAM(アプライドバイオシステムズ社商品名、黄緑色蛍光色素)、ローダミン(rhodamin)またはその誘導体(例えば、テトラメチルローダミン(TMR))等を挙げることができるが、これらに限定されない。蛍光色素でヌクレオチドを標識する方法は、公知の標識法のうち適当なものを使用できる〔Nature Biotechnology, 14, p303−308 (1996)〕参照」。また、市販の蛍光標識キットを使用することもできる(例えば、アマシャム・ファルマシア社製 オリゴヌクレオチドECL 3’−オリゴラベリングシステム等)。
【0066】
また、本発明のプライマーには、その末端に多型検出のためのリンカー配列が付加されたものも含むものとする。このようなリンカー配列としては、例えば、前述したインベーダー法で用いられるオリゴヌクレオチド5’末端に付加される、フラップ(多型近傍の配列とは全く無関係な配列)等が挙げられる。
【0067】
なお、本明細書中において、「ポリヌクレオチド」は核酸と同義であって、DNAおよびRNAの両方を含むものとする。また、2本鎖であっても1本鎖であってもよく、したがって、ある配列を有するポリヌクレオチドには、これに相補的な配列を有するポリヌクレオチドも常に包含される(オリゴヌクレオチドも同様)。さらに、ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表に示される塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする。
【0068】
本発明の1つの実施形態である、SSCP法およびダイレクトシークエンス法を用いた検出について、上記プライマーの好適な例を以下に示す。
【0069】
i)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号1のヌクレオチド番号1から351に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号152から351に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号11に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0070】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号1のヌクレオチド番号353から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号353から552に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号12に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0071】
ii)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号2のヌクレオチド番号1から277に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号78から277に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号13に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0072】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号2のヌクレオチド番号279から660に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号279から478に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号14に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0073】
iii)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号3のヌクレオチド番号1から310に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号111から310に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号15に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0074】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号3のヌクレオチド番号312から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号312から511に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号16に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0075】
iv)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号4のヌクレオチド番号1から261に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号62から261に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号17に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0076】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号4のヌクレオチド番号263から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号263から462に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号18に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0077】
v)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号5のヌクレオチド番号1から257に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号58から257に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号19に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0078】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号5のヌクレオチド番号259から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号259から458に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号20に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0079】
vi)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号6のヌクレオチド番号1から298に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号99から298に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号21に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0080】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号6のヌクレオチド番号300から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号300から499に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号22に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0081】
vii)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号7のヌクレオチド番号1から287に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号88から287に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号23に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0082】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号7のヌクレオチド番号289から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号289から488に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号24に示されるヌクレオチド配列。
【0083】
viii)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号8のヌクレオチド番号1から309に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号110から309に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号25に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0084】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号8のヌクレオチド番号311から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号311から510に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号26に示されるヌクレオチド配列。
【0085】
ix)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列番号9のヌクレオチド番号1から312に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号113から312に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列を選択する。例えば、配列番号27に示されるヌクレオチド配列が挙げられる。
【0086】
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列番号9のヌクレオチド番号314から720に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号314から513に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチド以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列を選択する。例えば、配列番号28に示されるヌクレオチド配列。
【0087】
x)GFAT1遺伝子のイントロン1の36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)の遺伝子多型検出用:
センス鎖プライマーとしては、好適には配列表の配列番号10のヌクレオチド番号132から631に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号432から631に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチドまたはそれ以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列、最も好ましくは、配列表の配列番号29に示されるヌクレオチド配列;
アンチセンス鎖プライマーとしては、好適には配列表の配列番号10のヌクレオチド番号633から782に示されるヌクレオチド配列中、より好適には同ヌクレオチド番号633から682に示されるヌクレオチド配列中の、15ヌクレオチドまたはそれ以上(好ましくは15〜30ヌクレオチド)の連続したヌクレオチド配列のアンチセンス配列、最も好ましくは、配列表の配列番号30に示されるヌクレオチド配列。
【0088】
上記プライマーまたはプローブとして用いられ得るポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法に基づき化学合成することにより得ることができる。これらのプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチドは、糖尿病発症危険性判定用試薬として利用できる。
【0089】
(3)固相化試料
本発明の固相化試料は、(1)記載のプローブとして用いられるポリヌクレオチドを、ガラス板、ナイロンメンブレン、マイクロビーズ、シリコンチップ、キャピラリー等の固相に固定することにより作製される。固相への固定は、予め合成したポリヌクレオチドを固相上に乗せる方法であってもよいし、目的とするポリヌクレオチドを固相上で合成する方法であってもよい。固定方法は、例えばDNAマイクロアレイであれば、市販のスポッター(Amersham社製等)を利用するなど、目的とする固相化試料に適した方法が、当該技術分野で周知である。このような固相化試料としては、例えば、遺伝子チップ、cDNAマイクロアレイ、オリゴアレイ、メンブレンフィルター等を挙げることができる。
【0090】
(4)キット
本発明のキットは、上記プローブまたはプライマーとして用いられ得るポリヌクレオチド、ならびに固相化試料から選ばれる少なくとも一つ以上を含む。本発明のキットは上記構成要素のほか、必要に応じて、ハイブリダイゼーション、プローブの標識、ラベル体の検出等、本発明の判定方法の実施に必要な他の試薬、器具等を適宜含んでいてもよい。
【0091】
5.検出結果の解析と評価
糖尿病患者および健常人における、前記新規遺伝子多型検出の統計解析結果から、本発明の方法は高い確率で糖尿病を発症する潜在的危険度の判定が可能であることが判明している。
【0092】
例えば、本発明の方法にしたがい、単離されたヒトゲノムDNAを含む試料における遺伝子多型を調べた結果、下記のいずれか一つまたは二つ以上の条件に該当した被験者に対しては、糖尿病を発症する危険度が相対的に高いとの情報を提供することができる。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)がc(シトシン)である遺伝子を有する被験者
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)がg(グアニン)である遺伝子を有する被験者
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)のt(チミン)の繰り返しが2回である遺伝子を有する被験者
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)のc(シトシン)である遺伝子を有する被験者
【0093】
また、二つ以上の遺伝子多型を組み合わせたハプロタイプを検出することによっても、糖尿病を発症する潜在的危険度の判定が可能である。たとえば、以下のw)〜z)のハプロタイプの一つまたは二つ以上を検出することにより、被験者が糖尿病を発症する危険度を判定することができる。
【0094】
w)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)、およびHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
x)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
y)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
z)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
【0095】
本発明によって、上記判定基準から糖尿病を発症する危険度が相対的に高いことが判明した被験者に対しては、その旨を告知し、予め糖尿病の発症を防ぐための対策を講じることができる。したがって、本発明は糖尿病を予防するための検査方法としてきわめて有用である。
【0096】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0097】
実施例1: 末梢血からのゲノムDNAの調製
日本人の健常人、および2型糖尿病患者の末梢血から白血球を分離した。この白血球より、自動DNA抽出装置(NA−1000:クラボウ社製)を用いて、各被験者のゲノムDNA試料を抽出した。得られたDNA試料について、260nmの吸光度を測定し、各試料のDNA濃度を算出した。その後、滅菌蒸留水を用いてゲノムDNAを50ng/μlに希釈し、PCR用試料とした。
【0098】
実施例2: PCR法による多型を含むDNA断片の増幅
実施例1で得られた各被験者のゲノムDNA試料を鋳型として、以下に記載する方法により、HIRIP5遺伝子上の9箇所の多型部位、およびGFAT1遺伝子上の1箇所の多型部位のうち、いずれか一つを含むDNA断片を増幅した。
【0099】
なお、本実施例で用いた各PCRプライマーは、5’末端をHEX(4,7,2’,4’,5’,7’−hexachloro−6−carboxy fluorescein、緑色蛍光色素)、NED(アプライドバイオシステムズ社商品名、黄色蛍光色素)、あるいは、6−FAM(アプライドバイオシステムズ社商品名、黄緑色蛍光色素)の蛍光色素で標識されたものをアプライドバイオシステムズ社に発注、購入した。
【0100】
1)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)がt(チミン)であるかc(シトシン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.18kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.1: 5’−AAGATGGCGGCGACGGCCAG−3’(配列番号11)
プライマーNo.2: 5’−CGGCTCCATCAGATGCACTAC−3’(配列番号12)
(No.1、No.2ともに、FAMで5’末端を標識)
【0101】
【表1】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、58℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0102】
2)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)がg(グアニン)であるか、c(シトシン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.10kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.3: 5’−CTTCTGGGAAAGAATTCATCCT−3’(配列番号13)、
プライマーNo.4: 5’−ACAGTCTGAGTATCTGGGCT−3’(配列番号14)
(No.3、No.4ともに、HEXで5’末端を標識)
【0103】
【表2】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、56℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0104】
3)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)t(チミン)の繰り返しが1回であるか2回であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.14kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.5: 5’−ACCAGTAAATTGAGAAACTGA−3’(配列番号15)
プライマーNo.6: 5’−AAGCCAGTAAATATGCAGAC−3’(配列番号16)
(No.5、No.6ともに、NEDで5’末端を標識)
【0105】
【表3】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、56℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0106】
4)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)がc(シトシン)であるか、t(チミン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.15kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.7: 5’−ACACCATTGCACTCTGGTCA−3’(配列番号17)、
プライマーNo.8: 5’−TTACCATTTACTGTTTCCTATTTT−3’(配列番号18)
(No.7、No.8ともに、HEXで5’末端を標識)
【0107】
【表4】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、53℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0108】
5)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)がg(グアニン)であるか、c(シトシン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.17kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.9: 5’−GTAGCCTGAATCAGGTTCCA−3’(配列番号19)
プライマーNo.10: 5’−ACCCTGTAGAAGACACGAGT−3’(配列番号20)
(No.9、No.10ともに、NEDで5’末端を標識)
【0109】
【表5】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、59℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0110】
6)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)がt(チミン)であるか、c(シトシン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.16kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.11: 5’−GCATTATGCGTTAGCCAGAC−3’(配列番号21)
プライマーNo.12: 5’−GGAGCGAGATACACTGGAAA−3’(配列番号22)
(No.11はFAMで5’末端を標識、No.12はHEXで5’末端を標識)
【0111】
【表6】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、56℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0112】
7)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)がg(グアニン)であるか、a(アデニン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.19kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.13: 5’−GGTCTTCAAGTGATCCTCCT−3’(配列番号23)
プライマーNo.14: 5’−GCTCACACAATCTGCTGCCT−3’(配列番号24)
(No.13はNEDで5’末端を標識、No.14はNEDで5’末端を標識)
【0113】
【表7】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、61℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0114】
8)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)がc(シトシン)であるか、t(チミン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.20kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.15: 5’−GTGGTTACATTAGTTCATCTT−3’(配列番号25)
プライマーNo.16: 5’−CATACACATATGACAGTATCT−3’(配列番号26)
(No.15はFAMで5’末端を標識、No.16はFAMで5’末端を標識)
【0115】
【表8】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、56℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0116】
9)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)がt(チミン)であるか、a(アデニン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.22kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.17: 5’−CCTAACATCATTAGCATATCA−3’(配列番号27)
プライマーNo.18: 5’−GCAAGTACGAGTATTAAAACA−3’(配列番号28)
(No.17はFAMで5’末端を標識、No.18はFAMで5’末端を標識)
【0117】
【表9】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃30秒、56℃30秒、72℃1分を37サイクル
【0118】
10)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目(配列番号10のヌクレオチド番号632)のヌクレオチドがc(シトシン)であるかt(チミン)であるかを検出するためのPCR:
以下のプライマーおよび反応条件でPCRを行い、多型部位を含む0.16kbpのDNA断片を増幅した。
PCRプライマー:
プライマーNo.19: 5’−CACCGAAGCTCGTGTGTGCA−3’(配列番号29)
プライマーNo.20: 5’−CGCCTTGGGCCTTAGCGGCA−3’(配列番号30)
(No.19はHEXで5’末端を標識、No.20はHEXで5’末端を標識)
【0119】
【表10】
Figure 2004141013
PCR条件:94℃1分、55℃1分、72℃2分30秒を40サイクル
【0120】
実施例3: HIRIP5遺伝子、およびGFAT1遺伝子の多型の検出
1)DNAシークエンサーによる解析
HIRIP5遺伝子、およびGFAT1遺伝子の各多型部位を同定するためのヌクレオチド配列の決定は、DNAシークエンサー(ABI PRISM 377:アプライドバイオシステムズ社製)を用いて常法により行った。
【0121】
その結果、以下の位置に各多型が存在することが確認された。
a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352);
b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278);
c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311);
d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262);
e)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258);
f)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299);
g)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288);
h)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310);
i)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313);
j)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目(配列番号10のヌクレオチド番号632)
【0122】
2)SSCP法
実施例2で得られた各PCR産物を、ホルムアミド溶液:ローディングバッファー(0.03g/mlのブルーデキストランを含む0.05MのEDTA水溶液)=5:1の混合液に1/5量加え混合し、95℃で2分間の熱変性後、氷冷して電気泳動用試料とした。この試料を非変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、アレルの相違に基づくDNA断片の移動度の違いにより多型を検出した。
【0123】
電気泳動のゲルは、12%ポリアクリルアミドゲルにグリセロ―ルを5%添加したもの(ゲル厚さ0.2mm)を用いた。なお、測定条件の違いにより多型検出に変化がないことを確認するために、10%ポリアクリルアミドにグルセロ―ルを5%添加したもの、および12%ポリアクリルアミドゲルにグルセロ―ルを10%添加したものの2条件で行った。
【0124】
電気泳動は、DNAシークエンサー(ABI PRISM 377:アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、30ワット定電力でAフィルターを使用し、3〜12時間通電することにより実施した。蛍光バンドはDNAシークエンサーの検出機能を用いて検出した。電気泳動中は、ゲル板温度を保つため、冷却装置(RTE−III、NESLAB社製)で20℃に調節した水をゲル板外部に循環させるようにした。なお、各DNA断片の遺伝子型は、前項1)において多型部位のヌクレオチド配列を決定したDNA断片をポジティブコントロールとして判定した。
【0125】
実施例4: HIRIP5遺伝子およびGFAT1遺伝子の多型と糖尿病との関連
HIRIP5遺伝子と2型糖尿病との関連を関連解析法(アソシエーション法)により解析した。有意差検定にはχ2乗法を用いた。(フィッシャーら、バイオスタティスティクス(Biostatistics)、John Willey & Sons社、1993年)。ハプロタイプ解析は、Arlequinプログラムを用いて行なった(Laurent Excoffier 社製 統計解析ソフトウェア、URL:http://lgb.unige.ch/arlequin/)。有意差検定には、Fisherの直接確率計算法を拡張したexact test of population differentiation(PD検定)を用いた(「基礎医学統計学 改定第4版」、加納克己、高橋秀人共著、南江堂、1995年)。有意水準は危険率5%とし、危険率5%未満のものを有意差ありと判定した。
【0126】
1)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)との関係
日本人の健常人190名、日本人の2型糖尿病患者393名について、HIRIP5遺伝子5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)におけるアレル頻度を算出し、アソシエーション法により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表11に示す。
【0127】
【表11】
Figure 2004141013
【0128】
表11において、HIRIP5遺伝子5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)部位がチミンの場合は「T」、あるいは、シトシンの場合は「C」として表されている。表11の結果より、健常人と2型糖尿病患者との間において、HIRIP5遺伝子5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)多型のアレル頻度が統計的に有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)の多型を調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0129】
2)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)との関係
日本人の健常人191名、日本人の2型糖尿病患者390名について、2型糖尿病とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)多型のアレル頻度を算出し、アソシエーション法により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表12に示す。
【0130】
【表12】
Figure 2004141013
【0131】
表12において、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)部位がグアニンの場合は「G」、あるいは、シトシンの場合は「C」として表されている。表12の結果より、健常人と2型糖尿病患者との間において、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)多型のアレル頻度および遺伝子型頻度が統計的に有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)の多型を調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0132】
3)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)との関係
日本人の健常人190名、日本人の2型糖尿病患者394名について、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)におけるアレル頻度を算出し、アソシエーション法により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表13に示す。
【0133】
【表13】
Figure 2004141013
【0134】
表13において、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)におけるTの繰り返しが1回の場合は、「T」、あるいは、2回の場合は「TT」として表されている。表13の結果より、健常人と2型糖尿病患者との間において、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)多型のアレル頻度が統計的に有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)の多型を調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0135】
4)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)の多型との関係
日本人の健常人191名、日本人の2型糖尿病患者388名について、2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)多型のアレル頻度を算出し、アソシエーション法により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表14に示す。
【0136】
【表14】
Figure 2004141013
【0137】
表14において、HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)部位がシトシンの場合は「C」、あるいは、チミンの場合は「T」として表されている。表14の結果より、健常人と2型糖尿病患者との間において、HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)多型のアレル頻度が統計的に有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)の多型を調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0138】
5)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)多型とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)多型を組み合わせたハプロタイプとの関係
日本人の健常人191名、日本人の2型糖尿病患者386名について、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)多型とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)多型を組み合わせたハプロタイプ頻度を算出し、PD検定により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表15に示す。
【0139】
【表15】
Figure 2004141013
【0140】
表15において、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)がGである遺伝子をホモで有する被験者は「G/G」、当該部位がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「G/C」として表されている。また、表15において、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)がTである遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、当該部位がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「T/C」として表されている。表15の結果より、健常人と2型糖尿病患者との比較において、それぞれのハプロタイプにおける頻度分布が有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)多型とHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)多型を組み合わせたハプロタイプを調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0141】
6)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプとの関係
日本人の健常人185名、日本人の2型糖尿病患者357名について、HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプ頻度を算出し、PD検定により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表16に示す。
【0142】
【表16】
Figure 2004141013
【0143】
表16においてHIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)がGである遺伝子をホモで有する被験者は「G/G」、当該部位がA(アデニン)である遺伝子をホモで有する被験者は「A/A」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「G/A」として表されている。また、表16において、GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)がTである遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、当該部位がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「T/C」として表されている。表16の結果より、健常人と2型糖尿病患者との比較において、それぞれのハプロタイプにおける頻度分布が有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプを調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0144】
7)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプとの関係
日本人の健常人185名、日本人の2型糖尿病患者382名について、HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプ頻度を算出し、PD検定により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表17に示す。
【0145】
【表17】
Figure 2004141013
【0146】
表17においてHIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、当該部位がT(チミン)である遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「C/T」として表されている。また、表17において、GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)がTである遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、当該部位がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「T/C」として表されている。表17の結果より、健常人と2型糖尿病患者との比較において、それぞれのハプロタイプにおける頻度分布が有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプを調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0147】
8)2型糖尿病とHIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプとの関係
日本人の健常人186名、日本人の2型糖尿病患者385名について、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプ頻度を算出し、アソシエーション法により2型糖尿病との関連を解析した。結果を表18に示す。
【0148】
【表18】
Figure 2004141013
【0149】
表18においてHIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)がT(チミン)である遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、当該部位がA(アデニン)である遺伝子をホモで有する被験者は「A/A」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「T/A」として表されている。また、表18において、GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)がTである遺伝子をホモで有する被験者は「T/T」、当該部位がC(シトシン)である遺伝子をホモで有する被験者は「C/C」、両遺伝子をヘテロで有する被験者は「T/C」として表されている。表18の結果より、健常人と2型糖尿病患者との比較において、それぞれのハプロタイプにおける頻度分布が有意に異なることが示された。このことは、HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)多型とGFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)多型を組み合わせたハプロタイプを調べることにより、糖尿病を発症する相対的危険度を判定できることを示すものである。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、糖尿病、特に2型糖尿病の相対的危険度を簡便に判定することができる。すなわち、本発明は糖尿病の発症危険性判定方法と該方法のための材料を提供する。
【0151】
【配列表】
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
Figure 2004141013
【0152】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1−変異の説明:(T)と(C)の置換による一塩基多型
配列番号2−変異の説明:(C)と(G)の置換による一塩基多型
配列番号3−変異の説明:(T)の一塩基挿入による多型
配列番号4−変異の説明:(T)と(C)の置換による一塩基多型
配列番号5−変異の説明:(C)と(G)の置換による一塩基多型
配列番号6−変異の説明:(T)と(C)の置換による一塩基多型
配列番号7−変異の説明:(A)と(G)の置換による一塩基多型
配列番号8−変異の説明:(C)と(T)の置換による一塩基多型
配列番号9−変異の説明:(T)と(A)の置換による一塩基多型
配列番号10−変異の説明:(T)と(C)の置換による一塩基多型
配列番号11〜30−人工配列の説明:プライマー

Claims (9)

  1. ヒトゲノムDNAを含む試料において、下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つまたは二つ以上の位置に存在する遺伝子多型、および/またはその組合せからなるハプロタイプを検出することにより、該試料提供者の糖尿病の発症危険度を判定する方法。
    a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
    b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
    c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
    d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
    e)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)
    f)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)
    g)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)
    h)HIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)
    i)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)
    j)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列番号10のヌクレオチド番号632)
  2. 糖尿病が2型糖尿病である、請求項1記載の方法。
  3. 検出対象が、下記a)〜d)の位置に存在する遺伝子多型、ならびに下記w)〜z)で示されるハプロタイプ、から選ばれるいずれか一つまたは二つ以上である、請求項1または2記載の方法。
    a)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−34642番目のヌクレオチド(配列番号1のヌクレオチド番号352)
    b)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−26376番目のヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド番号278)
    c)HIRIP5遺伝子のイントロン3の−350番目のヌクレオチド(配列番号3のヌクレオチド番号311)
    d)HIRIP5遺伝子のイントロン4の2721番目のヌクレオチド(配列番号4のヌクレオチド番号262)
    w)HIRIP5遺伝子の5’上流域の−28256番目のヌクレオチド(配列番号5のヌクレオチド番号258)、およびHIRIP5遺伝子の5’上流域の−27915番目のヌクレオチド(配列番号6のヌクレオチド番号299)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
    x)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3270番目のヌクレオチド(配列番号7のヌクレオチド番号288)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
    y)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の3832番目のヌクレオチド(配列番号8のヌクレオチド番号310)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
    z)GFAT1遺伝子の第1イントロンの36番目のヌクレオチド(配列表の配列番号10のヌクレオチド番号632)、およびHIRIP5遺伝子のイントロン3の−168番目のヌクレオチド(配列番号9のヌクレオチド番号313)に存在する遺伝子多型を組合せたハプロタイプ
  4. 検出が、RFLP法、PCR−SSCP法、ASOハイブリダイゼーション、ダイレクトシークエンス法、ARMS法、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、RNaseA切断法、化学切断法、DOL法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI−TOF/MS法、TDI法、モレキュラー・ビーコン法、ダイナミック・アレルスペシフィック・ハイブリダイゼーション法、パドロック・プローブ法、UCAN法、DNAチップまたはDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法、およびECA法からなる群より選ばれる一つまたは二つ以上の方法を用いて行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 検出が、PCR−SSCP法またはダイレクトシークエンス法を用いて行われることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つのポリヌクレオチド、またはその標識物;
    a)配列番号1で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号352のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    b)配列番号2で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号278のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    c)配列番号3で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号311のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    d)配列番号4で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号262のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    e)配列番号5で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号258のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    f)配列番号6で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号299のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    g)配列番号7で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号288のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    h)配列番号8で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号310のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    i)配列番号9で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号313のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    j)配列番号10で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号632のヌクレオチドを含む16〜500塩基長の連続したポリヌクレオチド
    (ただし、上記ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)。
  7. 下記a)〜j)から選ばれるいずれか一つのポリヌクレオチドの一部にハイブリダイズし、該ポリヌクレオチドを特異的に増幅するための、15〜30塩基長のオリゴヌクレオチド、またはその標識物;
    a)配列番号1で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号352のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    b)配列番号2で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号278のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    c)配列番号3で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号311のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    d)配列番号4で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号262のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    e)配列番号5で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号258のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    f)配列番号6で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号299のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    g)配列番号7で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号288のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    h)配列番号8で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号310のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    i)配列番号9で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号313のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    j)配列番号10で示されるヌクレオチド配列上において、ヌクレオチド番号632のヌクレオチドを含む16塩基長以上の連続したポリヌクレオチド
    (ただし、上記ポリヌクレオチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)。
  8. 請求項6記載のポリヌクレオチドを固定した固相化試料。
  9. 以下の1)〜3)から選ばれる少なくとも一つ以上を含む、糖尿病の発症危険性判定用試薬またはキット。
    1)請求項6記載のポリヌクレオチド、またはその標識物
    2)請求項7記載のオリゴヌクレオチド、またはその標識物
    3)請求項8記載の固相化試料
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WO2020105562A1 (en) * 2018-11-20 2020-05-28 Okinawa Institute Of Science And Technology School Corporation Method for evaluating risk of type 2 diabetes using blood metabolites as an index

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