JP2004143003A - 銅赤色ガラスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベースガラスの酸化・還元雰囲気と鉄分の含有量に着目し、着色成分である銅、銅酸化物の発色を安定させるべく、各種金属及びその酸化物を添加することにより、量産規模で安定した銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.4とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.01〜0.5重量%であるベースガラスとし、前記着色材は、着色成分として銅又は銅酸化物の一方もしくは両方と、発色安定成分として錫、セレン、コバルト、クロム、ニッケル、マンガン等の金属又は該金属酸化物等のいずれか1種以上とを配合したフリットもしくはペレットとする。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、銅赤色ガラスの製造方法に関し、特にカララントフォアハースにおいて、着色材を添加することにより銅赤色を発色させる色ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の製法によると、銅赤色のガラスを製造する際、原料ガラス(ベースガラス)を溶融したバッチに着色成分として銅、酸化第一銅を加え、還元成分としてカーボンを添加することにより発色させていた。
【0003】
一般に銅赤色の発色をさせるためには、原料ガラス(ベースガラス)内を還元雰囲気にする必要がある。しかしながら、前記ガラス原料として多用されるフリントガラスは本来酸化雰囲気であるため、カーボン等の還元剤によりフリントガラスを強制的に還元雰囲気にすると、図4に示すように硫黄の酸化数が(6+)から(4+)に変化し、ガラスに不溶なSOガスがリボイル泡として発生する。このため、気泡混じりの製品となり、銅赤色の発色も一様ではなく不良品率が高かった。そのため、カララントフォアハース等を用いた製造方法には不向きとされ、小規模のバッチ毎の生産が主体となり、量産はなされてこなかった。
【0004】
前述したようにベースガラスを還元雰囲気に調整する煩雑さや発色の再現性の低さを解消するため、所定の原料からなる基本ガラスを溶融し、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝すことにより赤色を発色させる製法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。この製法にあっては、所定の原料からなる基本ガラスを予め調整しなければならず、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝す煩雑さから、コスト高になりやすい。
【0005】
その一方で、前記リボイル泡の発生を防ぐため、予め還元性を有する原料ガラス(ベースガラス)に前出の着色成分を添加し、発色させる方法が検討されてきた。還元性を有するベースガラスとしては、ビール瓶等に多用されリサイクル効率の良いアンバーガラスを用い、該アンバーガラスを溶融後、銅、酸化第一銅等の着色剤をフリット等としてカララントフォアハースにおいて添加する製法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前記製法にあっては、淡色から濃色のアンバーガラスが得られるものの銅赤色が得られたわけではなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−191898号公報 (第2−4頁)
【特許文献2】
特許第3276893号公報 (第1−2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、原料となるベースガラスの酸化・還元雰囲気と鉄分の含有量に着目し、銅赤色を発色するのに好適なベースガラス中の鉄分の含有量を見出したことによって、着色材として銅を含むフリット等をカララントフォアハースにおいて添加し量産規模で銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を得るに至った。
【0008】
この発明は前記の点に鑑みなされたものであり、原料となるベースガラスの酸化・還元雰囲気と鉄分の含有量に着目し、着色成分である銅、銅酸化物の発色を安定させるべく、各種金属及びその酸化物を添加することにより、量産規模で安定した銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.4とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.01〜0.5重量%であるベースガラスとし、前記着色材は、着色成分として銅又は銅酸化物の一方もしくは両方と、発色安定成分として錫、セレン、コバルト、クロム、ニッケル、マンガンの金属又は該金属酸化物のいずれか1種以上とを配合したフリットもしくはペレットとすることを特徴とする銅赤色ガラスの製造方法に係る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の規定する銅赤色ガラスの製造方法は、原料であるベースガラスを溶融窯において溶融後、これに接続するカララントフォアハース内で発色のための金属、金属酸化物を含む着色成分及び着色成分とは異なる発色安定成分の両者をフリットもしくはペレットの形態として添加混合する。続いて、成形機により適宜の形状に成形した後、600℃前後の加熱が行われる徐冷工程を経ることにより製品化するものである。
【0011】
一般に、ベースガラス中に含まれるFe2+(II価の鉄)の総鉄分(Fe2++Fe3+)に占める相対比率が高まると当該ベースガラス中の酸化・還元雰囲気は次第に還元雰囲気(還元性)になることが知られている。このため、図1に示すFe2+の相対比率(横軸)と酸化・還元雰囲気のなす関係において、Fe2+の相対比率の上昇に伴い、ガラスの色調は、概ね(1):白素地ガラス、(2):緑色ガラス、(3):枯れ葉色ガラス、(4):アンバー色ガラスの順に変化する。
【0012】
従って、原料であるベースガラスは、従来技術に述べたとおり、還元性成分の添加により、ガラスに不溶なSOガス(リボイル泡)発生を防ぐため、なるべく還元雰囲気のベースガラスとすることが好ましい。そこで、当該ガラス中のFe2+の相対比率を総鉄分中の40%以上、すなわち、Fe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.4を満たすことが望ましい。なお、リボイル泡の発生を防ぐためには、より還元雰囲気であることが望ましいため、Fe2+の相対比率がおおよそ70〜80%である(4):アンバー色のベースガラスを使用することが特に好ましい。
【0013】
そこで、発明者らは、ベースガラスの還元雰囲気を維持しつつ、良好な銅赤色の発色を得るベースガラスとして、主に食器類に用いられる淡色のアンバー色ガラス、ビール瓶、清涼飲料水用の瓶、試薬瓶等に利用される濃色のアンバー色ガラスの利用(カレットとしての再生利用を含む)が好適であることを見出した。
【0014】
前記淡色のアンバー色ガラス及び濃色のアンバー色ガラスにおいて、そのアンバー色の濃淡は含有される総鉄分の量に依存することが知られ、当該両アンバー色ガラス中の総鉄分の含有量は、酸化第二鉄(Fe)に換算して0.01〜0.5重量%の範囲に相当する。
【0015】
請求項に規定する着色材は、銅又は銅酸化物からなる着色成分と銅以外の金属又はその金属酸化物からなる発色安定成分を所定濃度ずつ含有し、ガラス質により両成分を溶着したフリットもしくはペレットの形態である。前記フリットもしくはペレットは、前出のカララントフォアハース内においてベースガラスに対し添加される。
【0016】
着色成分は、銅又は銅酸化物の一方もしくは両方を含み、金属銅(Cu)、酸化第二銅(CuO)、酸化第一銅(CuO)が用いられる。良好な発色のためにはベースガラスに酸化第二銅(CuO)換算で0.01〜0.70重量%、好ましくは0.14〜0.21重量%になるように調整のうえフリットもしくはペレットとして添加される。
【0017】
発色安定成分は、錫、セレン、コバルト、クロム、ニッケル、マンガンの金属又は該列記した金属酸化物のいずれか1種以上とする。前記発色安定成分は、ベースガラス中において還元剤、酸化剤として働き、銅による発色の安定化(銅のコロイド発達)に寄与することが類推される。また、これらの金属又はその酸化物を加えることによって、補色用着色剤及び色調調整剤としても有効に作用するものと考えられる。実施例における発色安定成分には、酸化第一錫(SnO)、金属セレン(Se)、一酸化コバルト(CoO)、酸化クロム(III)(Cr)、一酸化ニッケル(NiO)、二酸化マンガン(MnO)を用いたものである。各金属又は金属酸化物は、良好な発色のため、ベースガラスに対しそれぞれ以下の相対比率となるように添加されることが好ましい。酸化第一錫(SnO)は0.0061〜1.3重量%、金属セレン(Se)は0.00001〜0.05重量%、一酸化コバルト(CoO)は0.000002〜0.2重量%、酸化クロム(III)(Cr)は0.0001重量%〜0.1重量%、一酸化ニッケル(NiO)は0.0001〜0.3重量%、二酸化マンガン(MnO)は0.0001〜0.2重量%である。なお、炭素も0.000005〜0.16重量%、好ましくは0.0005〜0.10重量%添加することができる。また、上記金属に加えて、エルビウム(Er)、ネオジム(Nd)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)、金(Au)、カドミウム(Cd)を用いることもできる。さらには、金属及びその酸化物の他に塩化物、硝酸塩、硫酸塩、硫化物を利用することもできる。
【0018】
前出のフリットもしくはペレットにおいて、着色・発色安定成分のうち前記の金属及び金属酸化物はフリット化もしくはペレット化される過程中、種々の反応により酸化数の変化が起こりうるため、上記以外の酸化物を含む場合もある。
【0019】
カララントフォアハース内において、着色成分及び発色安定成分を含む着色材(フリットもしくはペレット)の添加されたベースガラスは、瓶、食器、装飾品、自動車用赤色管球、信号機等の種々の形状に成形後、徐冷窯において最高温度:550〜600℃のもと、60〜120分間かけて熱処理が行われる。前記ベースガラスの色は、成形段階でアンバー色が喪失し、無色透明あるいは若干の緑色、若干の青色をおびている。その後、徐冷(熱処理)を経ることにより、鮮やかな、かつ安定した銅赤色が発色する。
【0020】
【実施例】
以下の実施例において使用したベースガラスは、実施例1ないし3においては、当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄(Fe)に換算して0.015重量%とし、厚さ5mmにおいて、明度82%、主波長574nm、刺激純度20%の淡アンバー色のベースガラスである。実施例4ないし6においては、当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄(Fe)に換算して0.257重量%とし、厚さ5mmにおいて、明度17.1%、主波長586.2nm、刺激純度98.1%である濃アンバー色のベースガラスである。なお、以下の実施例に示すガラスの色調の値は、全てガラスの厚みを5mmとしたものである。
【0021】
(実施例1)
酸化第二銅(CuO)を13.965重量%、酸化第一錫(SnO)を5.98重量%、炭素を0.05重量%含むフリット(以下、文中においてフリットAと表記する)と、金属セレン(Se)を1.344重量%含む2種類のフリットを作成した。前記淡アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、当該ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記金属セレン(Se)を含むフリットが0.15重量%となるように、両フリットを均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度14.2%、主波長607nm、刺激純度66.9%の銅赤色ガラスを得た。
【0022】
(実施例2)
一酸化コバルト(CoO)を発色安定成分として1.0重量%含むフリットを作成した。前記淡アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、当該ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記一酸化コバルト(CoO)を含むフリットが0.1重量%となるように、両フリットを均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間除冷(熱処理)を行った。結果、明度13.5%、主波長607nm、刺激純度65.7%の紫色に近い銅赤色ガラスを得た。
【0023】
(実施例3)
酸化クロム(III)(Cr)を1.786重量%と酸化第二銅(CuO)を1.0重量%発色安定成分として含むフリットを作成した。前記淡アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、当該ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記酸化クロム(III)(Cr)と酸化第二銅(CuO)を含むフリットが0.112重量%となるように、両フリットを均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間除冷(熱処理)を行った。結果、明度14.0%、主波長607nm、刺激純度66.8%の黄味を含んだ銅赤色ガラスを得た。
【0024】
(実施例4)
酸化第一錫(SnO)を20重量%、炭素を3重量%含むペレットを作成した。前記濃アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記ペレットが1.0重量%、金属セレン(Se)を1.344重量%含むフリットが0.15重量%となるように、前記フリットA,前記ペレット,前記金属セレン(Se)を含むフリットの3種類を均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度10.6%、主波長605nm、刺激純度59.1%の銅赤色ガラスを得た。
【0025】
(実施例5)
前記濃アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記ペレットが1.0重量%、一酸化ニッケル(NiO)を10重量%含むフリットが0.05重量%となるように、前記フリットA,前記ペレット,前記一酸化ニッケル(NiO)を含むフリットの3種類を均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度10.3%、主波長604nm、刺激純度60.1%の黒味を帯びた銅赤色ガラスを得た。
【0026】
(実施例6)
二酸化マンガン(MnO)を9.765重量%と一酸化コバルト(CoO)を0.326重量%と酸化クロム(III)(Cr)を0.842重量%含むフリットを作成した。前記の濃アンバー色のベースガラスを溶融窯で溶融し、ベースガラス中において、前記フリットAが1.0重量%、前記ペレットが1.0重量%、前記二酸化マンガン(MnO)と一酸化コバルト(CoO)と酸化クロム(III)(Cr)を含むフリットが0.082重量%となるように、前記フリットA,前記ペレット,前記二酸化マンガンと一酸化コバルトと酸化クロム(III)を含むフリットの3種類を均一に混合し着色材とした。前記着色材をカララントフォアハースにおいて添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度9.5%、主波長605nm、刺激純度60.3%の黒味を帯びた銅赤色ガラスを得た。
【0027】
実施例1ないし6における各波長(nm)と透過率(%)の関係は図2及び図3に示すとおりである。
【0028】
なお、フリット、ペレットの含有成分は実施例に用いた割合に限定されるものではなく、フリット、ペレット中に含有される成分の量及びベースガラスに対する添加量は、目標とする銅赤色ガラスの明度により適宜変更される。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の銅赤色ガラスの製造方法によると、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比がFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.4(還元雰囲気)であるベースガラスを使用したため、カララントフォアハースにおいて酸化還元反応を伴ったリボイル泡の発生を減少させることができ、鉄分(酸化第二鉄(Fe)に換算)の含有量を0.01〜0.5重量%以下にすることにより、食器、瓶、自動車用赤色管球、信号機、サイドマーカーランプ等の種々のガラス製品において、着色成分としての銅(酸化物を含む)による銅赤色の良好な発色を実現することができた。
【0030】
また、着色材は、着色成分である銅(銅酸化物)と発色安定成分である錫、セレン等の金属及びその酸化物を含むため、当該ベースガラス中において、銅及び銅酸化物による発色に際し、より好適となるべく酸化還元雰囲気の調整を行うことができる。
【0031】
さらに、カララントフォアハースにおいて、着色成分、発色安定成分をフリットもしくはペレットの形状として添加するため、量産化が容易となり、適宜含有成分量及び添加量を調整することにより所望の銅赤色ガラスを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】総鉄分に占めるFe2+の相対比率とガラスの色調を表現する模式図である。
【図2】実施例1ないし3の銅赤色ガラスの透過率曲線である。
【図3】実施例4ないし6の銅赤色ガラスの透過率曲線である。
【図4】硫黄の酸化数の変化と硫黄のガラス中の状態を表現する概略図である。

Claims (1)

  1. 溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、
    前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.4とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.01〜0.5重量%であるベースガラスとし、
    前記着色材は、着色成分として銅又は銅酸化物の一方もしくは両方と、発色安定成分として錫、セレン、コバルト、クロム、ニッケル、マンガンの金属又は該金属酸化物のいずれか1種以上とを配合したフリットもしくはペレットとすることを特徴とする銅赤色ガラスの製造方法。
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