JP2004143111A - 両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法 - Google Patents

両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法 Download PDF

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Takafumi Tsutsumi
堤 隆文
Mayumi Teshiba
手柴 真弓
Masahiro Yamanaka
山中 正博
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Abstract

【課題】栽培植物にとって有害な害虫の防除において、両性誘引剤による害虫の誘引と浸透移行性殺虫剤による害虫の殺虫を組み合わせて、効果的な害虫防除方法を確立する。
【解決手段】栽培植物に有害な害虫の雌雄個体を誘引する両性誘引剤を用いて害虫を誘引し、浸透移行性の殺虫剤を浸透させた植物体から殺虫剤成分を害虫に吸汁させ、殺虫剤の成分により殺虫する。この方法により、次世代を産卵する雌の成虫も含めて害虫を防除することができる。とくに植物に潅注した浸透移行性の殺虫剤の効果が長期間持続するので、長期間にわたり連続的な害虫防除を実施することができる。また、農場の周辺で害虫の誘引と殺虫を行うことにより、農場に害虫が侵入することを防ぐことができる。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両性誘引物質と殺虫剤を併用した害虫の防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
果樹にとって防除したい害虫のひとつとして果樹カメムシ類がいる。この果樹カメムシ類は果実を好んで吸汁するため、果実の奇形や落果を引き起こしてしまう。主たる発生源は森林であり、移動の過程で農場に侵入してくる。現在、これに対し、化学合成農薬などを用いた防除が農場内で実施されているが、発生量が多い年には防除効果が不十分であり、侵入前のカメムシに対する防除対策が必要である。しかし、森林に対する化学合成農薬の散布は環境汚染の見地から問題がある。そこで、農場に侵入する前の果樹カメムシ類を性フェロモン剤などの誘引物質で集め、殺すことが考えられる。
【0003】
しかし、性フェロモン剤では雄成虫のみが誘引され、次世代を産卵する雌成虫を直接的に除去できないため防除効果があまり期待できない。
この点に関して、雄および雌に対して誘引作用を示す集合フェロモンの研究が進み、チャバネアオカメムシなどの果樹カメムシ類の雄および雌に対して誘引作用を有する誘引剤として、2,4,6−デカトリエン酸メチルおよび(E,E,Z)−2,4,6−デカトリエン酸メチルならびにそれらを有効成分とする誘引剤が開発された(特許文献1参照。)。この誘引剤は、たとえば特許文献2に記載の方法によって製造することができる。
【0004】
このような両性誘引剤を利用して果樹カメムシ類を誘引し、誘引した害虫を、殺虫剤の散布、界面活性剤を添加した水への強制落下、粘着板の利用などにより殺虫して害虫を防除することができる。もちろん殺虫だけが目的ではなく、発生消長調査などのために捕獲する場合にもこの両性誘引剤を利用することができる(たとえば特許文献3参照)。
【0005】
一方、浸透移行性を有する殺虫剤を栽培植物に浸透移行させ、これを害虫に吸汁させて殺虫をはかる方法もある。たとえば、浸透移行性を有し、カメムシ類に吸汁阻害作用を示すニトロイミノ系殺虫剤などを水田の水面に施用して、カメムシ類による水稲斑点米の生成を抑制する方法が提案されている(特許文献4参照)。特許文献4には、前記ニトロイミノ系殺虫剤としてイミダクロプリドその他が挙げられている。このイミダクロプリドについては、たとえば特許文献5に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−295652号公報(段落番号0003−0006)
【特許文献2】
特開平9−176089号公報(段落番号0005−0012)
【特許文献3】
特開2002−125564号公報(段落番号0003−0014)
【特許文献4】
特開2002−104906号公報(段落番号0005−0008)
【特許文献5】
特開2002−212178号公報(段落番号0002−0004)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の両性誘引剤を用いて誘引した害虫を殺虫するのに、従来は殺虫剤の散布、界面活性剤を添加した水への強制落下、粘着板の利用などが行われていた。しかし、殺虫剤の散布の場合は、散布薬剤の有効期間が短いため、長期間の連続した誘殺を実施するには頻繁に散布を繰り返さなければならないという問題がある。また、他の方法の場合では、頻繁な給水や粘着板の交換、誘殺した害虫の定期的な除去などコスト的、労力的な負担が大きく、実施上の障害となっている。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、栽培植物にとって有害な害虫の防除において、両性誘引剤による害虫の誘引と浸透移行性殺虫剤による害虫の殺虫を組み合わせて、効果的な害虫防除方法を確立することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の害虫防除方法は、栽培植物に有害な害虫の雌雄個体を誘引する両性誘引剤を用いて害虫を誘引し、浸透移行性の殺虫剤を浸透させた植物体から前記殺虫剤の成分を前記誘引した害虫に吸汁させ、前記殺虫剤の成分により殺虫することを特徴とする。
【0010】
本発明の害虫防除方法においては、第1に、両性誘引剤を用いることにより、次世代を産卵する雌の成虫も含めて害虫を防除することができるので、この防除を繰り返すことによって害虫を効果的に減少させることができる。また、第2に、浸透移行性の殺虫剤を浸透させた植物体から吸汁させて誘引した害虫を殺虫することにより、殺虫のための装置の保守作業などが不要となり、とくに植物に潅注した浸透移行性の殺虫剤の効果が長期間持続するので、長期間にわたり連続的な害虫防除を実施することができる。
【0011】
さらに第3として、両性誘引剤の利用と浸透移行性殺虫剤の利用を組み合わせることによって、植物栽培の場所で害虫の誘引と殺虫を同時に行うことができ、極めて効率的である。具体的な方法としては、たとえば土壌で植物を栽培中に浸透移行性殺虫剤の水和剤を潅注し、両性誘引剤を植物体の枝に針金で固定するなどして取り付けておけば、両性誘引剤に誘引されて飛来した害虫が、植物体から吸汁し、殺虫剤成分により死亡する。さらに、農場の周辺で害虫の誘引と殺虫を行うことにより、農場に害虫が侵入することを防ぐことができる。
【0012】
ここで、防除の対象とする害虫は果樹カメムシ類が主であるが、その他にも大豆や水稲を加害するカメムシ類も対象となる。果樹カメムシ類および大豆や水稲を加害するカメムシ類の両性誘引剤としては、チャバネアオカメムシの集合フェロモンをはじめ、ホソヘリカメムシの集合フェロモン、ミナミアオカメムシの集合フェロモンなどを含む誘引剤が挙げられる。また、果樹や大豆、水稲などを加害するカメムシ類を対象とする浸透移行性の殺虫剤としては、イミダクトプリド、チアメトキサム、アセアタミプリド、ジノテフランなどを含む殺虫剤が挙げられる。
上記の両性誘引剤と浸透移行性の殺虫剤を組み合わせて用いることにより、果樹や大豆、水稲などを加害するカメムシ類を極めて効果的に防除することができる。
【0013】
果樹カメムシ類には、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシなどが該当する。これらカメムシ類は、ミカン、ナシ、ビワ、カキ、ブドウ、ウメ、キウイフルーツなどの果実を好んで吸汁する。また、ホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシは大豆などの子実を、ミナミアオカメムシ、アオクサカメムシは稲穂や大豆子実、野菜類果実などを吸汁するので、農場にとっては防除すべき害虫の筆頭といえる。そして、チャバネアオカメムシの雌雄はチャバネアオカメムシの集合フェロモンに誘引され、ホソヘリカメムシとイチモンジカメムシの雌雄はホソヘリカメムシの集合フェロモンに誘引され、ミナミアオカメムシ、アオクサカメムシの雌雄はミナミアオカメムシの集合フェロモンに誘引される性質をもっている。
【0014】
たとえば、チャバネアオカメムシの集合フェロモンを含む誘引剤は、チャバネアオカメムシのほかツヤアオカメムシ、クサギカメムシなどの果樹カメムシを誘引することもできる(特許文献3参照)ので、浸透移行性殺虫剤を浸透させた植物体にこの誘引剤を取り付けるなどすれば、果樹カメムシ類を効率的に防除することができる。
誘引剤の使用形態としては、長期間にわたり一定の量の誘引物質が安定的に放出されるように製剤化したものが適している。
また、浸透移行性の殺虫剤の使用形態としては、土壌に散布可能な製剤であれば、水和剤、乳剤、水溶剤、粒剤のいずれも使用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、浸透移行性殺虫剤としてのイミダクロプリド顆粒水和剤を潅注した土壌で栽培している植物体と、両性誘引剤としてのチャバネアオカメムシの集合フェロモン製剤とを組み合わせて果樹カメムシ類を防除する実施例に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
〔実施例1〕
ナス(品種名:筑陽)1株をコンテナ(57×43×32cm)に定植し、高さが約1mになった時点でイミダクロプリド顆粒水和剤2000倍液を7リットル潅注し、その1日後、ナス上部の枝にチャバネアオカメムシ集合フェロモン製剤(長さ約10cmの細いチューブ状製剤、信越化学工業株式会社製)を1本取り付けた。当日の夜間には飛来したチャバネアオカメムシ成虫がナスを吸汁後落下することが観察された。また、翌朝にはナスの株元で死亡している64頭のチャバネアオカメムシ成虫が確認された。
【0017】
〔実施例2〕
イミダクロプリド顆粒水和剤2000倍液を7リットル潅注したコンテナ植えナスに、薬剤処理16日後と47日後にそれぞれチャバネアオカメムシ成虫を接種し、24時間後に回収して死亡状況を調べた。その結果、薬剤処理16日後では約87%の死亡率、47日後では約43%の死亡率が得られ、潅注した薬剤の効果が長期間持続することが確認された。
【0018】
〔実施例3〕
実施例1の条件、および、既存の捕虫器では捕殺能力が最も高いと言われているコガネコール黄色型の誘殺トラップ(サンケイ化学株式会社製)を用いた条件のもとで、6日間におけるチャバネアオカメムシの死亡数を調査した結果、実施例1の条件では1日平均約110頭、コガネコール黄色型の誘殺トラップでは1日平均約90頭の死亡数であり、本発明の方法の誘殺能力が高いことが確認された。
【0019】
【発明の効果】
本発明の害虫防除方法によれば、両性誘引剤を用いることにより、次世代を産卵する雌の成虫も含めて害虫を防除することができるので、この防除を繰り返すことによって害虫を効果的に減少させることができる。また、浸透移行性の殺虫剤を浸透させた植物体から吸汁させて誘引した害虫を殺虫することにより、殺虫のための装置の保守作業などが不要となり、とくに植物に潅注した浸透移行性の殺虫剤の効果が長期間持続するので、長期間にわたり連続的な害虫防除を実施することができる。さらに、両性誘引剤の利用と浸透移行性殺虫剤の利用を組み合わせることによって、植物栽培の場所で害虫の誘引と殺虫を同時に行うことができ、極めて効率的に害虫を防除することができる。また、農場の周辺で害虫の誘引と殺虫を行うことにより、農場に害虫が侵入することを防ぐことができる。

Claims (4)

  1. 栽培植物に有害な害虫の雌雄個体を誘引する両性誘引剤を用いて害虫を誘引し、浸透移行性の殺虫剤を浸透させた植物体から前記殺虫剤の成分を前記誘引した害虫に吸汁させ、前記殺虫剤の成分により殺虫することを特徴とする両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法。
  2. 前記防除すべき害虫が果樹カメムシ類である請求項1記載の両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法。
  3. 前記両性誘引剤がチャバネアオカメムシの集合フェロモンを含むものである請求項2記載の両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法。
  4. 前記浸透移行性の殺虫剤がネオニコチノイド系のイミダクロプリドを含むものである請求項2または3記載の両性誘引剤と浸透移行性殺虫剤とを用いた害虫防除方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273779A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 有害生物防除組成物
CN103858843A (zh) * 2014-03-24 2014-06-18 宗世祥 一种诱捕柠条绿虎天牛的方法
JP2014515260A (ja) * 2011-05-19 2014-06-30 スターリング・インターナショナル・インコーポレイテッド 屋内のカメムシの誘引剤としてのムルガンチオール
CN105145515A (zh) * 2015-08-26 2015-12-16 中国农业科学院茶叶研究所 一种利用挥发物引诱剂防治和监测茶尺蠖的方法
WO2023095784A1 (ja) * 2021-11-24 2023-06-01 アース製薬株式会社 カメムシに対する殺虫剤の殺虫活性増強方法及び、カメムシに対する殺虫剤の殺虫活性増強剤

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