JP2004143368A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤および触媒とからなるエポキシ樹脂混合物と、充填材とからなるなるもので、充填材は、25℃における熱伝導率が5W/(m・K)以上で電気絶縁性を有し、粒度分布として粒径10〜50μmの粒子を70%以上含むもので、これに粒度分布が粒径10〜50μmの粒子を70%以上含む金属粉を加え、充填材と金属粉の体積分率の合計が30〜60%の範囲とし、かつ金属粉の体積分率を20%以下としたものである。
また、充填材をアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、結晶性シリカおよびジルコニウムの少なくとも1つとしてもよく、金属粉を銅または鉄としてもよい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータなどの電気機器のモールドに使用されるエポキシ樹脂組成物およびそのエポキシ樹脂組成物でモールドされた電気機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のモータなどにモールドされる樹脂組成物は、運転時のコイルからの発熱を放散するために、粒径が50μm以下の高熱伝導性セラミック(アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、結晶性シリカなど)を充填材として用いている。これらのセラミック充填材は、破砕によって粒度を調整した、破砕型形状ものが一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−234050号公報(第1―2頁)
【0004】
また、充填材の代わりに金属粉を用いたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献2】特開平8−126270号公報(第1―2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、破砕型セラミックを充填した樹脂は、球状や繊維状の充填材を充填した場合よりも、加熱硬化時の収縮や運転時のヒートサイクルなどによる熱応力によってクラックが発生しやすいと言う問題点が有った。
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、耐クラック性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明はつぎの構成にしている。
(1) エポキシ樹脂と硬化剤および触媒とからなるエポキシ樹脂混合物と、充填材とからなるエポキシ樹脂組成物において、前記充填材は、25℃における熱伝導率が5W/(m・K)以上で電気絶縁性を有し、粒度分布として粒径10〜50μmの粒子を70%以上含むもので、これに粒度分布が粒径10〜50μmの粒子を70%以上含む金属粉を加え、前記充填材と前記金属粉の体積分率の合計が30〜60%の範囲とし、かつ前記金属粉の体積分率を20%以下としたしたものである。
(2) 前記充填材がアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、結晶性シリカおよびジルコニウムの少なくとも1つからなるものである。
(3) 前記金属粉が銅または鉄からなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
破砕型セラミック充填材を充填した樹脂でクラックが発生しやすい理由は、粒子のエッジ部分や粒子内部のクラックが応力負荷時に樹脂のクラックの起点となり、また、セラミックはエポキシ樹脂との濡れ性が悪いため界面の接着強度が低く、応力負荷時に樹脂/充填材界面のはく離が樹脂のクラックの起点となっていた。さらに、クラックが進展して隣の粒子に到達したとき、隣の粒子の内部クラックや接着強度が低い粒子界面を通って、容易に進展していた。なお、エッジや内部クラックの原因は、脆性材料であるこれらのセラミックが、粒度調整のために破砕されることで発生していた。
【0009】
この問題を解決するため、内部クラックが無く、樹脂の補強効果の高い充填材を、従来の破砕型セラミック充填材とハイブリッドして樹脂部分を補強することで、破砕型充填材で発生・進展したクラックを停止させることができる。その充填材は、高熱伝導の樹脂組成物用では金属粒子が良い。金属は、高熱伝導性セラミック充填材と同等の熱伝導率を持ち、セラミック充填材の一部を金属に置き換えても樹脂組成物の熱伝導率の低下が小さい。また、エポキシ樹脂との濡れ性が良いので界面強度が高く、延性材料なので内部クラックによる割れが無いことから、クラックの起点とはなり難く、進展してきたクラックを容易には通さない。
なお、クラックの停止効果が高い充填材として、繊維やウイスカ、ゴム粒子、エンジニアリングプラスチック粒子があるが、繊維やウイスカをハイブリッドした場合、粘度上昇が大きくなって高充填できず熱伝導率が低下し、また、ゴム粒子やエンジニアリングプラスチック粒子を、粘度を維持するようにセラミック充填材の一部に置き換えてハイブリッドした場合は熱伝導率が低下することから、これらの充填材は本用途には適さない。
また、充填材の粒径については、10μm以下の粒子が多数を占める粒度分布を持つ場合は、粘度上昇が大きくなって高充填できずに熱伝導率が低下し、50μm以上の粒子が多数を占める粒度分布を持つ場合は、コイル素線間に樹脂組成物の充填不良が生じる恐れがあるため、粒径は10μm以上、50μm以下の範囲に70%以上を占める粒度分布にて検討した。充填材の体積分率については、各充填材の体積分率の合計が約60%を超えると、充填材間の干渉によって樹脂組成物の粘度上昇が大きくなるため、体積分率の上限を60%として検討し、各充填材の体積分率の合計が小さいと、クラックが充填材間のマトリックス樹脂中を通過して充填材の補強効果がなくなるため、体積分率の下限を実験にて見出した。金属充填材の体積分率については、エポキシ樹脂組成物の電気絶縁特性を考慮して、20%を上限として検討した。
【0010】
次に、本発明の実施例を説明する。
マトリックス樹脂に種々の充填材を配合したエポキシ樹脂組成物からなる試料を作製し、耐クラック性を評価した。マトリックス樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828)100部と芳香族アミン型硬化剤(エピキュアZ)を室温にて混合した樹脂とした。破砕型セラミック充填材は、粒度分布が5μmから70μmのもので、粒径が10μm以上50μm以下の粒子を70%含み、平均粒径が15μmのアルミナを用いた。金属充填材は、ふるいかけにて最大粒径を50μmとし、粒径が10μm以上50μm以下の粒子を70%含む銅粉を用いた。エポキシ樹脂組成物の各構成材料の混合は、銅粉を酸洗浄と有機溶剤洗浄の後、不活性ガス中で乾燥させ、アルミナを空気中加熱乾燥の後、不活性ガス中で冷却し、常温のエポキシ樹脂、硬化剤、充填材を所定の割合で不活性ガス中にて配合し、ニーダにて混合処理した。試料は図1に示すように、上記のエポキシ樹脂組成物で封止した硬化物とした。すなわち、脱脂処理した鉄製のM12のスプリングワシャ1を設置した直径30mm、厚さ6.3mmの円筒鋳型内に上述のエポキシ樹脂組成物2を流し込み、100℃、10hrの加熱条件にて硬化させたものである。
耐クラック性の評価は、図1の試料を用いて図2に示す条件で定義した耐クラック性指数測定法にて熱衝撃試験を行った。すなわち、ステップ1の条件より熱衝撃を加え、クラックが発生した場合のステップ数を各試料の耐クラック性指数とし、クラックが発生しなかった試料は次のステップの条件にて熱衝撃を加えた。各試料にクラックが発生したときの指数の総和を、試料数で除したもの(平均値)を、その実施例または比較例の耐クラック性指数とした。なお、硬化時にクラックの発生した試料は指数0とし、全ステップを通過した試料は指数16とした。
耐クラック性の評価結果を表1に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、充填材体積分率が同じ場合は、例えば実施例1,2と比較例1の関係や、実施例3,4と比較例2の関係に見られるように、銅の体積分率が高くなるほど耐クラック性指数は高くなる傾向を示しており、本発明の顕著な効果を確認することができた。また、充填材体積分率の下限については、30%充填した実施例3,4と比較例2では本発明の効果を確認できたのに対し、20%充填した比較例3、4では指数が0となり、本発明の効果が確認できないほど耐クラック性に劣っていた。よって、充填材体積分率は30%以上必要であることが確認された。
なお、本実施例では熱伝導率が高いセラミック充填材としてアルミナを用いたが、この他に、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、結晶性シリカ、炭化ジルコニウムなどを用いても良い。また、金属充填材も銅に限定されるものではない。
【0013】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電気機器をモールドするエポキシ樹脂組成物を、充填材は、25℃における熱伝導率が5W/(m・K)以上で電気絶縁性を有し、粒度分布として粒径10〜50μmの粒子を70%以上含むもので、これに粒度分布が粒径10〜50μmの粒子を70%以上含む金属粉を加え、充填材と金属粉の体積分率の合計が30〜60%の範囲とし、かつ金属粉の体積分率を20%以下としたので、熱伝導性を低下させずに耐クラック性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱衝撃試験に供した試験片の断面図
【図2】熱衝撃試験の試験条件と耐クラック性を示す指数の定義図
【符号の説明】
1 スプリングワシャ
2 エポキシ樹脂組成物
Claims (3)
- エポキシ樹脂と硬化剤および触媒とからなるエポキシ樹脂混合物と、充填材とからなるエポキシ樹脂組成物において、
前記充填材は、25℃における熱伝導率が5W/(m・K)以上で電気絶縁性を有し、粒度分布として粒径10〜50μmの粒子を70%以上含むもので、これに粒度分布が粒径10〜50μmの粒子を70%以上含む金属粉を加え、前記充填材と前記金属粉の体積分率の合計が30〜60%の範囲とし、かつ前記金属粉の体積分率を20%以下としたことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - 前記充填材がアルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、結晶性シリカおよびジルコニウムの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記金属粉が銅または鉄からなることを特徴とする請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
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2002
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