JP2004147201A - 損失傾斜可変フィルタ、光増幅装置および光通信システム - Google Patents

損失傾斜可変フィルタ、光増幅装置および光通信システム Download PDF

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Masaichi Mobara
茂原 政一
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Abstract

【課題】波長に対して損失が略線型であって当該損失傾斜が可変である利得等化器として好適に用いられ得る損失傾斜可変フィルタを提供する。
【解決手段】損失傾斜可変フィルタ100の入力端101に入力した光は、可変フィルタ110および固定フィルタ120それぞれを通過する際に波長に応じた損失を被って、出力端102より出力される。可変フィルタ110の結合効率が可変範囲内の何れかの状態にあるときには、可変フィルタ110および固定フィルタ120それぞれの損失スペクトルが互いに逆特性を有するものとなっていることにより、損失傾斜可変フィルタ100の全体の損失スペクトルは略平坦である。ペルチエ素子130による温度調整により可変フィルタ110の結合効率が変化することにより、損失傾斜可変フィルタ100の全体の損失スペクトルは、波長に対して損失が略線型であるままで、当該損失傾斜が変化する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力端に入力した所定波長帯域内の光に対して損失を与えて該光を出力端より出力する損失傾斜が可変のフィルタ、この損失傾斜可変フィルタを含む光増幅装置、および、この損失傾斜可変フィルタまたは光増幅装置を含む光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、信号光を光ファイバ伝送路により伝送することで大容量の情報を高速に送受信することができる。特に、波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)光通信システムは、信号光波長帯域に含まれる多波長の信号光を多重化して伝送するものであって、更なる大容量化を図ることができる。また、光通信システムでは、光ファイバ伝送路により伝送される間に信号光が損失を被ることから、損失を補償するために信号光を光増幅する光増幅装置が設けられる。
【0003】
光増幅装置としては、Er元素が添加された増幅用光ファイバ(EDF: Erbium Doped Fiber)を光増幅媒体として用いる光ファイバ増幅器(EDFA: Erbium Doped Fiber Amplifier)が知られている。このEDFAは、EDFに励起光(波長0.98μm帯または1.48μm帯)を供給することで、EDFにおいて波長1.55μm帯の多波長の信号光を一括して光増幅することができる。
【0004】
また、光増幅装置は、光増幅媒体における利得スペクトルが信号光波長帯域で平坦でない場合があることから、利得スペクトルを等化する利得等化器を更に備えている(例えば非特許文献1および非特許文献2を参照)。すなわち、利得等化器の損失スペクトルは光増幅媒体の利得スペクトルと同様の形状のものとされており、光増幅装置の全体の利得スペクトルが信号光波長帯域で平坦化される。
【0005】
【非特許文献1】
H. Nakaji, et al., ”Ultra−Wide Dynamic Range Erbium Doped Fiber Amplifiers Employing Variable Attenuation Slope Compensator”, OAA2000, OWA2 (2000)
【非特許文献1】
H. J. Patrick, et al., ”Analysis of the Resonance of Long Period FiberGratings to External Index of Refraction”, Journal of Lightwave Technology, Vol.16, No.9, pp.1606−1612 (1998)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のEDFの利得スペクトルは種々の要因(例えば、入力信号光強度、入力信号光波数、温度、など)により変動することが知られている。例えば、EDFは、波長1540nm以上の波長域では、波長に対して利得が略線型であって、その利得傾斜が入力信号光強度に依存して変化する。そこで、このように利得傾斜が変化する光増幅媒体の利得を常に等化し得る利得等化器として、波長に対して損失が略線型であって当該損失傾斜が可変である利得等化器が必要となる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、波長に対して損失が略線型であって当該損失傾斜が可変である利得等化器として好適に用いられ得る損失傾斜可変フィルタ、この損失傾斜可変フィルタを含む光増幅装置、および、この損失傾斜可変フィルタまたは光増幅装置を含む光通信システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る損失傾斜可変フィルタは、入力した所定波長帯域内の光に対して損失を与えて出力する損失傾斜が可変のフィルタであって、(1) 結合効率が波長に依存し、該結合効率が可変である可変フィルタと、(2) 所定波長帯域内の光に対して所定の損失スペクトルを有する固定フィルタと備えることを特徴とする。さらに、可変フィルタの結合効率が当該可変範囲内の何れかの状態にあるときに、所定波長帯域において可変フィルタおよび固定フィルタそれぞれのスペクトルが互いに逆特性であることを特徴とする。
【0009】
この損失傾斜可変フィルタの全体の損失スペクトルは、可変フィルタおよび固定フィルタそれぞれの損失スペクトルを総合したものであり、可変フィルタの結合効率が可変範囲内の何れかの状態にあるときに、所定波長帯域において略平坦なものとなっている。そして、可変フィルタの結合効率が調整されることにより、損失傾斜可変フィルタの全体の損失スペクトルは、波長に対して損失が略線型である状態を維持したまま、その損失傾斜が変化する。
【0010】
本発明に係る損失傾斜可変フィルタでは、可変フィルタは、順に融着接続された第1のシングルモード光ファイバ、グレーディドインデックス光ファイバおよび第2のシングルモード光ファイバを含むのが好適である。この場合には、グレーディドインデックス光ファイバの温度または張力が制御されることにより、可変フィルタの結合効率が調整され、損失傾斜可変フィルタの全体の損失スペクトルにおける損失傾斜が調整される。
【0011】
本発明に係る損失傾斜可変フィルタでは、グレーディドインデックス光ファイバの長さは、25mm以上であるのが好適であり、60mm以上であれば更に好適である。この場合には、可変フィルタの結合効率の波長依存性が有効に現れる。
【0012】
本発明に係る損失傾斜可変フィルタでは、第1のシングルモード光ファイバおよび第2のシングルモード光ファイバの双方または何れか一方の開口数が0.2以上であるのが好適である。この場合には、損失傾斜可変フィルタの結合の波長選択性が高まるので、傾斜の温度または湿度に対する変化率が大きくなる。
【0013】
本発明に係る光増幅装置は、(1) 所定波長帯域内の信号光を光増幅する光増幅部と、(2) 光増幅部と接続され、信号光に対して損失を付与する上記の本発明に係る損失傾斜可変フィルタと、(3) 損失傾斜可変フィルタの透過スペクトルを調整して、光増幅部および損失傾斜可変フィルタを含む全体の利得を所定波長帯域内で一定となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。また、利得等化器を更に備えるのも好適である。
【0014】
本発明に係る光増幅装置では、信号光は、光増幅部により光増幅され、損失傾斜可変フィルタにより損失を被る。この光増幅装置の全体の利得スペクトルは、光増幅部の利得スペクトルと損失傾斜可変フィルタの損失スペクトルとを総合したものである。損失傾斜可変フィルタに含まれる可変フィルタの結合効率を調整することで、光増幅装置の全体の利得スペクトルを所定波長帯域において平坦とすることができる。
【0015】
本発明に係る光通信システムは、上記の本発明に係る光増幅装置を含み、この光増幅装置により信号光を光増幅して伝送することを特徴とする。この光通信システムでは、上記の本発明に係る光増幅装置により信号光が光増幅されて伝送されるので、高品質の信号光伝送が可能である。
【0016】
本発明に係る光通信システムは、(1) 信号光伝送経路上に設けられ所定波長帯域内の信号光を光増幅する複数の光増幅装置と、(2) 複数の光増幅装置と接続され、信号光に対して損失を付与する上記の本発明に係る損失傾斜可変フィルタと、(3) 損失傾斜可変フィルタの透過スペクトルを調整して、複数の光増幅装置および損失傾斜可変フィルタを含む全体の利得を所定波長帯域内で一定となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。この光通信システムでは、複数の光増幅装置それぞれにより信号光が光増幅されるとともに、上記の本発明に係る損失傾斜可変フィルタにより波長に応じた損失が信号光に与えられて、全体の利得が所定波長帯域内で一定とされるので、高品質の信号光伝送が可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
先ず、本発明に係る損失傾斜可変フィルタの実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100の構成図である。この図に示される損失傾斜可変フィルタ100は、入力端101に入力した所定波長帯域内の光に対して損失を与えて該光を出力端102より出力する損失傾斜が可変のものである。損失傾斜可変フィルタ100は、入力端101と出力端102との間に可変フィルタ110と固定フィルタ120とが直列に接続されて構成される。また、損失傾斜可変フィルタ100は、可変フィルタ110の温度を調整するペルチエ素子130をも備える。
【0019】
可変フィルタ110は、第1端110aと第2端110bとの間の光の結合効率が波長に依存する。そして、その結合効率は、可変であって、ペルチエ素子130による温度調整により制御され得る。固定フィルタ120は、所定波長帯域内の光を入力し損失を与えて該光を出力するものであり、所定波長帯域における損失スペクトルが固定のものである。そして、可変フィルタ110の結合効率が当該可変範囲内の何れかの状態にあるときに、所定波長帯域において可変フィルタ110および固定フィルタ120それぞれのスペクトルが互いに逆特性である。
【0020】
この損失傾斜可変フィルタ100では、入力端101に入力した所定波長帯域内の光は、可変フィルタ110の第1端110aから第2端110bへ通過する際に波長に応じた損失を被り、さらに、固定フィルタ120を通過する際にも波長に応じた損失を被って、出力端102より出力される。この損失傾斜可変フィルタ100において、入力端101から出力端102へ通過する光に対する損失スペクトルは、可変フィルタ110および固定フィルタ120それぞれの損失スペクトルを総合したものである。
【0021】
そして、可変フィルタ110の結合効率が当該可変範囲内の何れかの状態にあるときには、所定波長帯域において、可変フィルタ110および固定フィルタ120それぞれの損失スペクトルが互いに逆特性を有するものとなっていることにより、損失傾斜可変フィルタ100の全体の損失スペクトルは略平坦である。また、ペルチエ素子130による温度調整により可変フィルタ110の結合効率が変化することにより、損失傾斜可変フィルタ100の全体の損失スペクトルは、波長に対して損失が略線型であるままで、当該損失傾斜が変化する。
【0022】
図2は、他の実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100Aの構成図である。この図に示される損失傾斜可変フィルタ100Aは、図1に示された損失傾斜可変フィルタ100の構成に加えて、光カプラ140、モニタ部150および制御部160を更に備える。
【0023】
光カプラ140は、固定フィルタ120と出力端102との間に設けられ、固定フィルタ120から出力端102へ向かう光の一部を分岐して、その分岐した光をモニタ部150へ出力する。モニタ部150は、光カプラ140から到達した光を入力し、その光のスペクトルを検出する。そして、制御部160は、モニタ部150により検出された光のスペクトルに基づいて、ペルチエ素子130による可変フィルタ110の温度調整を制御して、これにより、損失傾斜可変フィルタ100Aの全体の損失傾斜を調整し、損失傾斜可変フィルタ100Aの出力端102より出力される光のスペクトルを略平坦に維持する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100,100Aに含まれる可変フィルタ110の構成図である。この図に示されるように可変フィルタ110は、第1端110aと第2端110bとの間に順に融着接続されたシングルモード光ファイバ111、グレーディドインデックス光ファイバ112およびシングルモード光ファイバ113を含む。なお、この図には、光軸を含む面で切断したときの可変フィルタ110の断面が示され、また、グレーディドインデックス光ファイバ112を導波する光の光路が模式的に示されている。
【0025】
シングルモード光ファイバ111は、高屈折率のコア領域111aと、このコア領域111aを取り囲む低屈折率のクラッド領域111bとを有しており、光をコア領域111a内に閉じ込めて該光を導波させることができる。同様に、シングルモード光ファイバ113は、高屈折率のコア領域113aと、このコア領域113aを取り囲む低屈折率のクラッド領域113bとを有しており、光をコア領域113a内に閉じ込めて該光を導波させることができる。
【0026】
グレーディドインデックス光ファイバ112は、高屈折率のコア領域112aと、このコア領域112aを取り囲む低屈折率のクラッド領域112bとを有している。コア領域112aにおける径方向の屈折率分布は、光軸に近いほど屈折率が高く、光軸から遠ざかるに従って次第に屈折率が低くなっていく。グレーディドインデックス光ファイバ112は、一方のシングルモード光ファイバ111のコア領域111aより出力された光を入力して、その光を他方のシングルモード光ファイバ113へ向けて導波させる。ここで、コア領域112aの屈折率が波長に依存している(すなわち波長分散を有する)ことから、シングルモード光ファイバ113への光の結合効率が波長により異なる。また、コア領域112aの屈折率が温度にも依存していることから、ペルチエ素子130による温度調整により結合効率が制御可能である。
【0027】
図4は、可変フィルタ110と等価な光学系を示す図である。グレーディドインデックス光ファイバ112と等価な光学素子として、色収差を有するレンズ112cが表されている。シングルモード光ファイバ111のコア領域111aより出力された光は、発散しながらレンズ112cへ入射して、このレンズ112cにより集光される。或る波長λの光は、シングルモード光ファイバ113のコア領域113aの端面位置に集光されて、コア領域113aへの結合効率が高い。しかし、レンズ112cが色収差を有していることから、波長λとは別の波長λ,λの光は、シングルモード光ファイバ113のコア領域113aの端面位置とは異なる位置に集光されるので、コア領域113aへの結合効率が低い。図3に示された可変フィルタ110でも同様であり、第1端110aと第2端110bとの間の光の結合効率は波長に依存する。なお、この可変フィルタ110に含まれるシングルモード光ファイバ110およびシングルモード光ファイバ113の双方または何れか一方の開口数は、一般に光通信に用いられているシングルモード光ファイバの開口数より大きいのが好適であって、0.2以上であるのが好適であり、この場合には、損失傾斜可変フィルタ100の結合の波長選択性が高まるので、傾斜の温度または湿度に対する変化率が大きくなる。
【0028】
図5は、可変フィルタ110の透過スペクトルを示す図である。ここでは、グレーディドインデックス光ファイバ112の長さを60mmとし、ペルチエ素子130による温度調整によりグレーディドインデックス光ファイバ112の温度を−20°〜+80℃の範囲で20℃刻みの各値とした。この図から判るように、可変フィルタ110の第1端110aと第2端110bとの間の光の結合効率は、波長に依存しており、しかも、その波長依存性が温度に依存する。なお、可変フィルタ110の結合効率の波長依存性が有効に現れるようにするには、グレーディドインデックス光ファイバ112の長さが25mm以上であるのが好適であり、また、その長さが60mm以上であれば更に好適である。
【0029】
図6は、固定フィルタ120の透過スペクトルを示す図である。ここでは、固定フィルタ120の透過スペクトルは、図5に示された温度20℃における可変フィルタ110の透過スペクトルと逆特性のものとされた。この図に示されるような透過スペクトルを有する固定フィルタ120は、例えば、誘電体多層膜フィルタやファイバグレーティングなどにより実現され得る。
【0030】
図7は、本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルを示す図である。損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルは、図5に示された可変フィルタ110の透過スペクトルと、図6に示された固定フィルタ120の透過スペクトルとを総合したものである。可変フィルタ110に含まれるグレーディドインデックス光ファイバ112の温度は、ペルチエ素子130による温度調整により、−20°〜+80℃の範囲で20℃刻みの各値とされた。
【0031】
この図から判るように、グレーディドインデックス光ファイバ112の温度が20℃であるときには、損失傾斜可変フィルタ100の透過率は、所定波長帯域において波長によらず一定値の−3dBである。グレーディドインデックス光ファイバ112の温度が20℃より高くなるに従い、損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルは、所定波長帯域において、波長に対して損失が略線型であって、当該損失傾斜が正の方向に大きくなってきく。一方、グレーディドインデックス光ファイバ112の温度が20℃より低くなるに従い、損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルは、所定波長帯域において、波長に対して損失が略線型であって、当該損失傾斜が負の方向に大きくなってきく。
【0032】
このように、損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルは、所定波長帯域において、波長に対して損失が略線型であって当該損失傾斜が可変であり、その損失傾斜が温度調整により制御可能である。したがって、この損失傾斜可変フィルタ100は、EDFの利得傾斜の変動を補償する利得等化器として好適に用いられ得る。図2に示された損失傾斜可変フィルタ100Aも同様である。
【0033】
次に、本発明に係る光増幅装置の実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る光増幅装置10の構成図である。この図に示される光増幅装置10は、入力端11から出力端12へ至る信号光伝送経路上に、光カプラ21、光増幅部としてのEDF22、利得等化器23および損失傾斜可変フィルタ100を順に備えており、また、光カプラ21に接続された励起光源24をも備えている。
【0034】
光カプラ21は、入力端11に入力した信号光と励起光源24より出力された励起光とを入力し、これらを合波してEDF22へ出力する。EDF22は、Er元素が添加された光ファイバであり、励起光が供給されることにより信号光を光増幅することができる。利得等化器23は、EDF22の利得を等化して、利得傾斜を略線型のものとする。また、損失傾斜可変フィルタ100は、上述した本実施形態に係るものであり、利得等化器23により略線型とされた利得傾斜を平坦化する。
【0035】
この光増幅装置10では、励起光源24より出力された励起光は、光カプラ21を経てEDF22に供給される。入力端11に入力した信号光は、光カプラ21を経てEDF22に入力して、このEDF22において光増幅される。光増幅された信号光は、利得等化器23および損失傾斜可変フィルタ100それぞれにより波長に応じた損失が与えられて、出力端12より出力される。
【0036】
この光増幅装置10の全体の利得スペクトルは、EDF22の利得スペクトルと利得等化器23の損失スペクトルと損失傾斜可変フィルタ100の損失スペクトルとを総合したものとなる。或る条件下では、利得等化器23の損失スペクトルと損失傾斜可変フィルタ100の損失スペクトルとは、EDF22の利得スペクトルを等化するように設定されており、光増幅装置10の全体の利得スペクトルは、所定波長帯域において平坦とされている。
【0037】
しかし、入力信号光強度が変動すると、EDF22の利得スペクトルと利得等化器23の損失スペクトルとを総合した利得スペクトルは、略線型性を維持しつつも利得傾斜を生じる。このとき、損失傾斜可変フィルタ100に含まれる可変フィルタ110の結合効率を調整することで(具体的にはグレーディドインデックス光ファイバ112の温度をペルチエ素子130により調整することで)、損失傾斜可変フィルタ100の損失傾斜を調整して、これにより、光増幅装置10の全体の利得スペクトルを所定波長帯域において平坦とすることができる。
【0038】
次に、本発明に係る光通信システムの実施形態について説明する。図9は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この図に示される光通信システム1は、信号光伝送経路上に設けられたN段(Nは2以上の整数)の光増幅装置30〜30および損失傾斜可変フィルタ100を備えている。光増幅装置30〜30それぞれは、図8に示された構成から損失傾斜可変フィルタ100を除いた構成のものである。この光通信システム1における損失傾斜可変フィルタ100は、上述した本実施形態に係るものである。この光通信システム1では、信号光は、光増幅装置30〜30それぞれにより光増幅された後に、損失傾斜可変フィルタ100により波長に応じた損失が与えられる。
【0039】
この光通信システム1の全体の利得スペクトルは、N段の光増幅装置30〜30それぞれの利得スペクトルと損失傾斜可変フィルタ100の損失スペクトルとを総合したものとなる。或る条件下で、N段の光増幅装置30〜30それぞれの利得スペクトルは所定波長帯域において平坦とされている。
【0040】
しかし、入力信号光強度が変動すると、N段の光増幅装置30〜30それぞれに含まれる利得等化器による利得等化の作用が不完全なものとなって、利得傾斜が生じる。このとき、損失傾斜可変フィルタ100に含まれる可変フィルタ110の結合効率を調整することで(具体的にはグレーディドインデックス光ファイバ112の温度をペルチエ素子130により調整することで)、損失傾斜可変フィルタ100の損失傾斜を調整して、これにより、光通信システム1の全体の利得スペクトルを所定波長帯域において平坦とすることができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、損失傾斜可変フィルタ100,100Aに含まれる可変フィルタ110と固定フィルタ120との接続の順序は任意である。可変フィルタ110の結合効率を調整する手段は、ペルチエ素子に替えてヒータが用いられてもよく、また、上述したグレーディドインデックス光ファイバ112の温度を調整する手段だけでなく、グレーディドインデックス光ファイバ112の張力を調整する手段であってもよい。光通信システムは、1または複数の光増幅装置10(図8)を含み、この光増幅装置により信号光を光増幅して伝送するのも好適である。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、損失傾斜可変フィルタの全体の損失スペクトルは、可変フィルタおよび固定フィルタそれぞれの損失スペクトルを総合したものであり、可変フィルタの結合効率が可変範囲内の何れかの状態にあるときに、所定波長帯域において略平坦なものとなっている。そして、可変フィルタの結合効率が調整されることにより、損失傾斜可変フィルタの全体の損失スペクトルは、波長に対して損失が略線型である状態を維持したまま、その損失傾斜が変化する。したがって、この損失傾斜可変フィルタは、波長に対して損失が略線型であって当該損失傾斜が可変である利得等化器として好適に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100の構成図である。
【図2】他の実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100Aの構成図である。
【図3】本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100,100Aに含まれる可変フィルタ110の構成図である。
【図4】可変フィルタ110と等価な光学系を示す図である。
【図5】可変フィルタ110の透過スペクトルを示す図である。
【図6】固定フィルタ120の透過スペクトルを示す図である。
【図7】本実施形態に係る損失傾斜可変フィルタ100の透過スペクトルを示す図である。
【図8】本実施形態に係る光増幅装置10の構成図である。
【図9】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、10…光増幅装置、21…光カプラ、22…EDF、23…利得等化器、24…励起光源、30…光増幅装置、100,100A…損失傾斜可変フィルタ、101…入力端、102…出力端、110…可変フィルタ、111…シングルモード光ファイバ、112…グレーディドインデックス光ファイバ、113…シングルモード光ファイバ、120…固定フィルタ、130…ペルチエ素子、140…光カプラ、150…モニタ部、160…制御部。

Claims (8)

  1. 入力した所定波長帯域内の光に対して損失を与えて出力する損失傾斜が可変のフィルタであって、
    結合効率が波長に依存し、該結合効率が可変である可変フィルタと、
    前記所定波長帯域内の光に対して所定の損失スペクトルを有する固定フィルタと
    を備え、
    前記可変フィルタの結合効率が当該可変範囲内の何れかの状態にあるときに、前記所定波長帯域において前記可変フィルタおよび前記固定フィルタそれぞれのスペクトルが互いに逆特性である
    ことを特徴とする損失傾斜可変フィルタ。
  2. 前記可変フィルタが、順に融着接続された第1のシングルモード光ファイバ、グレーディドインデックス光ファイバおよび第2のシングルモード光ファイバを含むことを特徴とする請求項1記載の損失傾斜可変フィルタ。
  3. 前記グレーディドインデックス光ファイバの長さが25mm以上であることを特徴とする請求項2記載の損失傾斜可変フィルタ。
  4. 前記グレーディドインデックス光ファイバの長さが60mm以上であることを特徴とする請求項2記載の損失傾斜可変フィルタ。
  5. 前記第1のシングルモード光ファイバおよび前記第2のシングルモード光ファイバの双方または何れか一方の開口数が0.2以上であることを特徴とする請求項2記載の損失傾斜可変フィルタ。
  6. 所定波長帯域内の信号光を光増幅する光増幅部と、
    前記光増幅部と接続され、前記信号光に対して損失を付与する請求項1記載の損失傾斜可変フィルタと、
    前記損失傾斜可変フィルタの透過スペクトルを調整して、前記光増幅部および前記損失傾斜可変フィルタを含む全体の利得を前記所定波長帯域内で一定となるように制御する制御部と
    を備えることを特徴とする光増幅装置。
  7. 請求項6記載の光増幅装置を含み、この光増幅装置により信号光を光増幅して伝送することを特徴とする光通信システム。
  8. 信号光伝送経路上に設けられ所定波長帯域内の信号光を光増幅する複数の光増幅装置と、
    前記複数の光増幅装置と接続され、前記信号光に対して損失を付与する請求項1記載の損失傾斜可変フィルタと、
    前記損失傾斜可変フィルタの透過スペクトルを調整して、前記複数の光増幅装置および前記損失傾斜可変フィルタを含む全体の利得を前記所定波長帯域内で一定となるように制御する制御部と
    を備えることを特徴とする光通信システム。
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