JP2004147979A - 乗物シート用のクッション体 - Google Patents

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cushion body
central
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Tetsuya Kobayashi
哲也 小林
Yoshiyuki Murata
義幸 村田
Daisuke Takagi
大輔 高木
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Tokai Kogyo Co Ltd
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Araco Co Ltd
Tokai Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止することができるクッション体を提供すること。
【解決手段】クッション体1は,着座者の大腿部付近からの荷重を受ける第1中央部11と,着座者の臀部付近からの荷重を受ける第2中央部12とを有しており,第2中央部12の表面側には表層部15が配設されている。表層部15は,第1中央部11の表面111よりも突出しており,第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンよりも反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンよりなる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,乗用車,バス,トラック,電車,飛行機,船舶等の乗物におけるシートの座部に用いるクッション体に関する。
【0002】
【従来技術】
乗物用のシートクッションを構成するクッション体としては,ウレタン発泡体が多用されている。
例えば,特許文献1に示されるごとく,座面の尻下部を除く部位を,尻下部のウレタン発泡体よりも低密度でかつ反発弾性の高いウレタン発泡体にして構成したクッション体がある。そして,このクッション体によれば,乗り心地性能を確保しながら,シートクッションの耐久性及び軽量化を実現することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−33297号公報(第2−3頁,第1図等)
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,着座者がシートクッションに着座する際には,大腿部付近に比べ,臀部付近から局所的により大きな荷重がクッション体に作用する。そのため,臀部付近はより大きな反発力をクッション体から受けることになる。そのため,優れた座り心地を呈するためには,上記荷重をより効果的に受けるクッション体の構造の開発が期待されている。
【0005】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止することができるクッション体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
第1の発明は,発泡ウレタンよりなる乗物シート用のクッション体であって,該クッション体は,着座者の大腿部付近からの荷重を受ける第1中央部と,着座者の臀部付近からの荷重を受ける第2中央部とを有していると共に,該第2中央部の表面側には表層部が配設されており,
該表層部は,上記第1中央部の表面よりも突出しており,かつ上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンよりも反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンよりなることを特徴とする乗物シート用のクッション体にある(請求項1)。
【0007】
本発明のクッション体は,上記第1中央部と上記第2中央部とを有しており,第2中央部の表面側に配設した上記表層部により以下の優れた効果を実現することができる。すなわち,表層部は,第1中央部及び第2中央部を構成する発泡ウレタンよりも,反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンより構成している。
そして,着座者が上記クッション体を用いて構成したシートクッション(シートの座部)に着座するときには,その臀部付近が表層部及び第2中央部を弾性変形させ,その大腿部付近が第1中央部を弾性変形させる。
【0008】
このとき,上記表層部を構成する発泡ウレタンの上記性質により,第2中央部における表層部が着座者の臀部付近に与える反発力は,第1中央部を構成する発泡ウレタンが着座者の大腿部付近に与える反発力よりも小さくなる。そのため,臀部付近に対して局所的に大きな反発力が生じることを防止することができる。
また,上記シートクッションにおいては,着座時に小さい反発力で弾性変形が行われ,着座した状態においては,着座者の臀部付近の形状に沿った形状となる。それ故,着座時の違和感を低減させると共に,着座後の座り心地を向上させることができる。
【0009】
そして,上記のごとく,上記表層部は上記第1中央部の表面より突出している。そのため,着座者の臀部付近は,着座動作のより早い段階で反発弾性の小さい表層部を弾性変形させ始めるため,着座時の衝撃を効果的に吸収することができる。また,上記表層部の突出により,臀部付近が最初に表層部を弾性変形させて,着座姿勢を素早く安定させることができる。
【0010】
さらに,上記表層部の突出している部分の周囲には,弾性変形を妨げる障害物がない。そのため,表層部の弾性変形の自由度が高くなり,表層部が十分に弾性変形することができる。
それ故,上記突出した表層部を有するクッション体によれば,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止することができる。
【0011】
また,上記クッション体を用いて構成したシートクッションを乗物に装着した状態においては,上記表層部を構成する発泡ウレタンが,悪路を低速走行中に発生し易い低周波振動(0〜5Hzの振動)を特に効果的に吸収し,上記第1中央部及び第2中央部を構成する発泡ウレタンが,一般路(例えばアスファルト路面)を高速走行中に発生し易い高周波振動(5Hzを超える振動)を特に効果的に吸収することができる。そのため,上記クッション体によれば,広範囲の周波数の振動を吸収することができる。以下に,この振動を吸収する性質を振動吸収性という。
【0012】
ここで,本発明において,上記反発弾性とは,JASO B408−89に従って求められる性質をいう。
また,上記ヒステリシスロスとは,JIS K6400に従って求められる性質をいう。
また,上記戻り時間とは,所定の荷重で,被測定物(発泡ウレタン)を所定の厚みに圧縮させた後,この圧縮を素早く解除してから元の厚みに戻るまでの時間をいう。
【0013】
また,本発明において,表面側とは,クッション体を用いて構成したシートクッションに着座者が着座したときに,この着座者に対向する側をいう(以下同様)。また,前方側とは,クッション体を用いて構成したシートクッションに着座者が着座したときに,この着座者の正面方向に位置する側をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1の発明(請求項1)においては,上記表層部の前方側には,上記第1中央部との間に溝状の中央スリットが形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には,表層部の弾性変形が第1中央部によって阻害されることがなく,上記表層部による優れた作用効果を低下させることがない。
【0015】
また,上記第1中央部及び上記第2中央部の左右両側には,一対の側部が配設してあり,上記表層部の左右両側には,上記一対の側部との間に溝状の側方スリットが形成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には,上記一対の側部により,上記クッション体を用いて構成したシートクッションに着座した着座者を左右両側より保持することができ,着座時の安定感が向上する。また,上記表層部の左右両側には,上記側方スリットが形成されているため,表層部が弾性変形し易くなり,表層部による優れた作用効果の低下を防止することができる。
【0016】
また,上記第2中央部の厚みと上記表層部の厚みとを合わせた全体の厚みに対する上記表層部の厚みの割合は,50%以下であることが好ましい(請求項4)。この場合には,上記表層部による優れた効果を実現することができると共に,振動吸収性等のクッション性能を発揮するために必要な第2中央部の厚みを確保することができる。
上記表層部の厚みが50%を越える場合は,表層部の厚みが大きく着座時の変形量も大きくなるため,着座者の臀部の深い沈み込みが発生し,安定感が低下して乗り心地が悪くなる。
【0017】
なお,クッション性能とは,クッション体の座り心地を左右する種々の性質をいう。例えば,具体的には,後述する官能試験結果で示すクッション感,フィット感,尻の落込み,着座時の硬さ感,姿勢保持性(ヒョコヒョコ感),腹部への圧迫感,ブルゴツ感等,及び後述する振動吸収性等をいう。
【0018】
また,上記全体の厚みに対する上記表層部の厚みの割合は,10〜40%であることがさらに好ましい(請求項4)。この場合には,上記表層部の厚みと上記第2中央部の厚みとの割合が最適になる。そのため,上記クッション体は,表層部のクッション性能と第2中央部のクッション性能とをバランスよく発揮することができ,優れた座り心地を呈することができる。
上記厚みの割合が10%未満である場合には,表層部の厚みが小さ過ぎて,上記表層部による優れた効果を発揮できないおそれがある。
【0019】
また,上記表層部を構成する発泡ウレタンの反発弾性は5〜40%であり,上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンの反発弾性は65〜85%であることが好ましい(請求項5)。
上記表層部を構成する発泡ウレタンの反発弾性が5%未満である場合には,反発弾性が小さ過ぎて,表層部のクッション性能が悪化してしまうおそれがある。
一方,上記表層部を構成する発泡ウレタンの反発弾性が40%を超える場合には,反発弾性が大きくて,臀部付近に局所的に大きな反発力が生じるのを防止して低周波振動を吸収することが困難になる。
【0020】
上記第1中央部及び第2中央部を構成する発泡ウレタンの反発弾性が65%未満である場合には,反発弾性が小さくて,第1中央部及び第2中央部の高周波振動の振動吸収性等のクッション性能を発揮できないおそれがある。一方,反発弾性が85%を超える発泡ウレタンの製造は生産性が悪い。
【0021】
また,上記表層部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスは40〜80%であり,上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスは5〜30%であることが好ましい(請求項6)。
この場合のヒステリシスロスは,縦400mm,横400mm,厚み100mmの板状の被測定物(発泡ウレタン)を用い,これを50mm/minのスピードで元の自然体の厚みの75%の厚みまで圧縮した場合の値とした。その他,このヒステリシスロスを求める方法は,JIS K6400に従う。
【0022】
上記表層部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスが40%未満である場合には,反発弾性が大きくて,臀部付近に局所的に大きな反発力が生じるのを防止して低周波振動を吸収することが困難になる。一方,上記表層部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスが80%を超える場合には,クッション性能が悪化してしまうおそれがある。
上記第1中央部及び第2中央部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスが5%未満である場合には,第1中央部及び第2中央部の振動吸収性等のクッション性能を発揮できないおそれがある。一方,ヒステリシスロスが85%を超える発泡ウレタンの製造は生産性が悪い。
【0023】
また,上記第2中央部の厚みと上記表層部の厚みとを合わせた全体の厚みに対する上記第1中央部の表面より突出する表層部の突出量の割合は,10〜30%であることがさらに好ましい。また,さらに具体的には,上記表層部の突出量は,5〜50mmであることがさらに好ましい。
これらの場合には,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止する効果を容易に発揮することができる。
【0024】
上記突出量の割合が10%未満の場合には,上記突出による効果があまり得られない。一方,上記突出量の割合が30%を超える場合には,着座者に違和感を与えるおそれがあり,さらにシートクッションの外観意匠性も損ねるおそれがある。
【0025】
また,上記クッション体に一対の側部を配設した場合においては,上記表層部の最上面は,上記側方スリットにおける上記側部側の壁面の先端角部よりも上方に突出していることが好ましい。
この場合には,表層部の突出部分と側部の壁面との間隔が広くなるため,表層部の弾性変形が一対の側部によって阻害されることがなく,上記表層部による優れた効果を低下させることがない。
【0026】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の乗物シート用のクッション体にかかる実施例につき説明する。
図1〜図4に示すごとく,本例のクッション体1は,発泡ウレタンよりなり,自動車の前部座席のシートクッション(シートの座部)に用いるものである。
上記クッション体1は,着座者の大腿部付近からの荷重を受ける第1中央部11と,着座者の臀部付近からの荷重を受ける第2中央部12とを有しており,この第2中央部12の表面側には表層部15が配設されている。
また,表層部15は,第1中央部11の表面111よりも突出しており,第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンよりも反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンよりなる。
【0027】
以下に,これを詳説する。
図1,図3,図4に示すごとく,本例においては,上記第1中央部11及び第2中央部12の左右両側には,これらの表面よりも突出した一対の側部14が配設してある。この一対の側部14は,第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンと同じ発泡ウレタンよりなる。そして,一対の側部14は,上記クッション体1を用いて構成したシートクッションに着座した着座者を左右両側より保持する。
また,図1,図2に示すごとく,本例の第2中央部12の後方には,第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンと同じ発泡ウレタンよりなる第3中央部13が形成されている。
【0028】
図1,図2に示すごとく,上記表層部15の前方側には,第1中央部11との間に所定幅の溝状の中央スリット16が形成されている。また,表層部15の後方側には,第3中央部13との間に溝状の後方スリット17が形成されている。
また,図1,図3,図4に示すごとく,表層部15の左右両側には,一対の側部14との間に所定幅の溝状の側方スリット18が形成されている。この側方スリット18は,第1中央部11の表面111側と一対の側部14との間にも延長して形成されている。
【0029】
また,図2〜図4に示すごとく,上記中央スリット16と後方スリット17とは,クッション体1の表面側に向けて互いにほぼ平行に形成されている。また,一対の側方スリット18同士も,クッション体1の表面側に向けて互いにほぼ平行に形成されている。
【0030】
こうして,上記表層部15は,その前後左右に形成した各スリット16〜18により周辺が第1中央部11,第3中央部13及び一対の側部14から隔離されており,その裏面側において第2中央部12と結合されている。これにより,表層部15の周囲には自由に弾性変形することができる空間を形成できるため,第1中央部11,第3中央部13及び一対の側部14によって表層部15の弾性変形が阻害されることがない。
【0031】
また,図2に示すごとく,本例においては,上記第2中央部12の厚みと表層部15の厚みとを合わせた全体の厚みAが約100mmであり,表層部15の厚みBが約30mmである。そのため,全体の厚みAに対する表層部15の厚みBの割合は,約30%となっている。この場合,表層部15の厚みと第2中央部12の厚みとの割合が最適であり,上記クッション体1は,表層部15のクッション性能と第2中央部12のクッション性能とをバランスよく発揮することができる。
【0032】
また,上記第1中央部11の表面111から突出する表層部15の突出量Cは,約20mmである。そのため,上記全体の厚みAに対する上記突出量Cの割合は,約20%となっている。表層部15が第1中央部11よりも突出していることにより,着座時において,上記クッション体1は,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重を,大腿部付近から加わる荷重よりも効果的に先に受けることができる。また,この場合には,着座して各部が圧縮された状態において,臀部付近から表層部15に加わる荷重が,大腿部付近から第1中央部11に加わる荷重よりも大きいことにより,第1中央部11の表面111と表層部15の表面151とがほぼ同一平面となるため,大腿部付近と臀部付近との間で違和感を感じることがない。
【0033】
また,上記表層部15の突出により,この表層部15の前方側の端部には,段差部155が形成されている。ここで,本例の段差部155は,第1中央部11の表面111に対して略垂直に形成されているが,段差部155は,例えば,第1中央部11の表面111から表層部15の表面151に緩やかに繋がるような曲線状に形成することもできる。
この場合,第1中央部11の表面111と表層部15の表面151とが連続しているため外観がよい。また,カバーを取り付ける際にもつぶれ難く,着座時のしわの発生も少ない。
【0034】
また,図3に示すごとく,上記表層部15の表面151は,上記側方スリット18における側部14側の壁面142の先端角部143よりも突出している。また,側方スリット18における表層部15側の壁面152と側部14側の壁面142とは,平行に形成してあり,表層部15側の壁面152の先端角部153が側部14側の壁面142の先端角部143よりも突出した位置にある。これにより,表層部15が自由に弾性変形することができる空間を確保でき,一対の側部14によって阻害されることがない。
【0035】
また,上記表層部15を構成する発泡ウレタンは,その反発弾性が10〜20%の間の値となり,ヒステリシスロスが40〜80%の間の値になり,戻り時間が1〜10秒の間の値となるよう作製してある。
また,上記第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンは,その反発弾性が65〜75%の間の値となり,ヒステリシスロスが5〜30%の間の値になり,戻り時間が0〜0.5秒の間の値となるよう作製してある。
【0036】
なお,本例の反発弾性の値は,JASO B408−89に従って求められる値である。
また,本例の戻り時間は,直径20mmの押圧板を,縦100mm,横100mm,厚み50mmの被測定物(発泡ウレタン)に押し当てて,これを元の自然体の厚みの90%の厚みまで圧縮させた後,この押圧板を素早く取り除いてから元の自然体の厚みに戻るまでの時間とした。
【0037】
上記のごとく,本例の表層部15は,第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンよりも,反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンより構成している。
【0038】
そして,着座者が上記クッション体1を用いて構成したシートクッション(シートの座部)に着座するときには,その臀部付近が表層部15及び第2中央部12を弾性変形させ,その大腿部付近が第1中央部11を弾性変形させる。
このとき,上記表層部15を構成する発泡ウレタンは弾性変形し易く反発力が小さいため,第2中央部12における表層部15が着座者の臀部付近に与える反発力は,第1中央部11が着座者の大腿部付近に与える反発力よりも小さくなる。そのため,臀部付近に局所的に大きな反発力が生じるのを防止することができる。それ故,着座時の違和感を低減させることができる。
【0039】
また,上記表層部15は,その反発弾性が小さく変形し易い性質により,着座するときあるいは着座した状態において着座者の臀部付近の形状になじみ易い性質(追従性)を有している。そのため,表層部15は,臀部付近の形状にピッタリと沿うことができ,着座者に包み込まれるようなフィット感を与え,座り心地を向上させることができる。
【0040】
そして,上記のごとく,表層部15は第1中央部11の表面111より突出している。そのため,着座時において,着座者の臀部付近が着座のより早い段階で反発弾性の小さい表層部15を弾性変形させ始める。そのため,着座時の衝撃を効果的に吸収することができる。また,上記表層部15の突出により,着座時のふらつきが少なくなり,着座姿勢を素早く安定させることができる。
さらに,上記表層部15の突出している部分の周囲には,弾性変形を妨げる障害物がない。そのため,表層部15の弾性変形の自由度が高くなり,表層部15が十分に弾性変形することができる。
【0041】
また,着座後において,上記表層部15の突出により,大腿部付近による第1中央部11の変形量よりも,臀部付近による表層部15の変形量を多くすることができる。また,表層部15は,第1中央部11よりも反発弾性が小さいので変形量が多くても強い反発力を生じることがない。
それ故,上記突出した表層部15を有するクッション体1によれば,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止することができる。
【0042】
また,上記クッション体1を用いて構成したシートクッションを乗物に装着した状態においては,上記表層部15を構成する発泡ウレタンが,悪路を低速走行中に発生し易い低周波振動(0〜5Hzの振動)を特に効果的に吸収し,上記第1中央部11及び第2中央部12を構成する発泡ウレタンが,一般路(例えばアスファルト路面)を高速走行中に発生し易い高周波振動(5Hzを超える振動)を特に効果的に吸収することができる。そのため,上記クッション体1によれば,広範囲の周波数の振動を吸収することができる。
【0043】
また,上記表層部15を有するクッション体1の実施形態は,上述したものに限られず,以下の種々の実施形態とすることができる。
例えば,上記表層部15の前方側の中央スリット16及び後方側の後方スリット17は設けてなくてもよい。
また,上記表層部15は,第1中央部11の表面111と略同一高さに形成した第2中央部12の表面から突出するようにして配設されていてもよい。
また,上記表層部15は,第1中央部11の表面111よりも突出した第2中央部12の表面に配設してもよい。この場合には,第2中央部12は,第3中央部13の表面からも突出するよう形成しておくことができる。
【0044】
また,図5に示すごとく,表層部15は,第2中央部12の表面121から第3中央部13の表面131に延設してあってもよい。
また,表層部15と第2中央部12との間には,中間層としての仕切り材を配設しておくことができ,この場合には,臀部付近の過度の落込みを防止することができる。この仕切り材としては,例えば,可撓性を有するフィルム,不織布,パームロック等がある。
【0045】
また,上記優れた効果を有するクッション体1は,表面側に布やレザー等のカバー(図示略)を取り付けると共に,裏面側にシートフレーム19を取り付けて,シートクッションとすることができる。また,このシートクッションは,シートフレーム19に取り付けたレールフレームにより,自動車のボディに装着することができる。
そして,クッション体1は,剛性が高い金属製のシートフレーム19によって支持されて,そのクッション性能を発揮することができる。
【0046】
また,上記シートフレーム19は,上記第1中央部11,第3中央部13及び上記一対の側部14を支持するために鉄板を所定形状にプレス加工したフレーム部191と,このフレーム部191に設けた開口穴192に掛け渡した複数個のS字スプリング193とにより構成することができる。このようにして,上記クッション体1は,シートクッションとすることができる。
【0047】
本例においては,上記優れた効果を有するクッション体1のクッション性能を確認するために,以下の官能試験を行った。
この官能試験においては,上記クッション体1を用いて構成したシートクッションを自動車に装着し,実際にこの自動車を走行させたときに,シートへの着座者が感じた座り心地を評価した。
【0048】
また,座り心地に及ぼす個人差による影響を考慮して,5人の被験者を選定し,評価はこの5人の被験者による評価の平均値とした。ここで,レベリングされた5人の被験者としては,シートの乗り心地を評価するに十分な経験を有する者を選定した。
そして,上記官能試験においては,以下の第1官能試験及び第2官能試験を行った。
【0049】
(第1官能試験)
第1官能試験は,上記第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性を70%とした場合に,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性を3,5,20,30,40,48%と段階的に変化させて行った。
そして,クッション性能の評価においては,以下のクッション感,フィット感,尻の落込み,着座時の硬さ感,姿勢保持性(ヒョコヒョコ感),腹部への圧迫感及びブルゴツ感を5点満点で評価した。
【0050】
ここで,クッション感とは,シートクッションに着座したとき及び着座しているときにシートクッションが圧縮されたり元に戻ったりして弾性変形することにより得られる感覚をいう。このクッション感は,適度な弾性変形を行うときに評価が高い。
フィット感とは,シートクッションが臀部付近の形状に沿って弾性変形を行うことにより得られる感覚をいう。このフィット感は,シートクッションに包み込まれるような安定感を受けるときに評価が高い。
【0051】
尻の落込みとは,臀部付近がシートクッションに深く沈み込み,目線が下がったような印象を受ける感覚をいう。この尻の落込みは,浅すぎても深すぎても姿勢が崩れるため被験者に与える印象は悪く,適度に落込みがあるときが評価が高い。
着座時の硬さ感とは,シートクッションが適度な圧縮変形量を有するときに得られる感覚をいう。この硬さ感は,適度な硬さを感じるときに評価が高い。
【0052】
姿勢保持性(ヒョコヒョコ感)とは,走行時にシートクッションにより姿勢を安定して支えられる感覚をいう。この姿勢保持性は,できるだけ被験者の姿勢に変化が生じない方が評価が高い。
腹部への圧迫感とは,腹部の共振点(一般に4〜6Hz付近)に近い振動を受けたときに内臓が揺らされるような不快な感覚をいう。この圧迫感は,できるだけ小さい方が評価が高い。
ブルゴツ感とは,自動車の走行中に発生する振動(特に5Hzを超える高周波振動)が被験者に伝わることにより,感じる感覚(不快感)をいう。このブルゴツ感は,振動の伝わりが小さいほど評価が高い。
【0053】
上記第1官能試験を行った結果を,表1に示す。そして,表層部15の各反発弾性の値において,上記各クッション性能を評価した値の平均を総合として表す。そして,クッション性能の判定は,この総合が3点以上の場合を○,2.8点以上の場合を△,2.8点未満の場合を×とした。そして,この判定が,○又は△の場合に,実際のシートクッションとしての使用に適しているとした。
【0054】
【表1】
Figure 2004147979
【0055】
上記判定より,上記第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性を70%としたときに,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性が5〜40%であることにより,優れたクッション性能を発揮できることがわかった。また,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性は,20〜40%である場合に一層優れたクッション性能を発揮できることがわかった。
【0056】
(第2官能試験)
第2官能試験は,上記表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性を20%とした場合に,上記第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性を60,65,70,78,85と段階的に変化させて行った。
そして,この第2官能試験においても,クッション性能の評価は,上記第1官能試験と同様,クッション感,フィット感,尻の落込み,着座時の硬さ感,姿勢保持性(ヒョコヒョコ感),腹部への圧迫感及びブルゴツ感を5点満点で評価した。
【0057】
上記第2官能試験を行った結果を,表2に示す。同表の判定における○,△,×については上記と同様である。そして,この判定より,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性を20%としたときに,第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性が65〜85%であることにより,優れたクッション性能を発揮できることがわかった。また,第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性は,70〜85%である場合に一層優れたクッション性能を発揮できることがわかった。
【0058】
【表2】
Figure 2004147979
【0059】
以上の第1及び第2官能試験より,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性は5〜40%であり,第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性は65〜85%であることが好ましいことがわかった。
また,表層部15を構成する第1発泡ウレタンの反発弾性を20〜40%とし,第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する第2発泡ウレタンの反発弾性を70〜85%とすることが最適であることがわかった。
【0060】
(振動吸収性の確認試験)
本例においては,上記優れた効果を有するクッション体1のクッション性能をさらに確認するために,振動吸収性の確認試験を行った。この試験においては,以下のクッション体1を用いて構成したシートクッション(発明品)を自動車に装着し,実際にこの自動車を走行させたときに発生する振動がシートクッションを介して着座者に伝わる量を測定した。
【0061】
具体的には,自動車室内のフロア(床)部に第1振動センサを設置すると共に着座者に第2振動センサを取り付け,これら2つの振動センサにおける振動を周波数及び振幅として測定した。そして,各周波数において,第1振動センサにより測定した振幅の大きさX1に対する第2振動センサにより測定した振幅の大きさBの割合(X2/X1)を振動減衰率とした。
【0062】
上記発明品としては,反発弾性が20%の第1発泡ウレタンよりなる表層部15と,反発弾性が78%の第2発泡ウレタンよりなる第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14とを有するクッション体1とした。
また,比較のために,反発弾性が70%の発泡ウレタンより全体を構成した従来のクッション体1を用いて構成したシートクッションを比較品とし,この比較品についても上記発明品と同様に上記試験を行った。
【0063】
図6に,上記測定を行った結果を示す。同図は,横軸を周波数[Hz]とし,縦軸を振動減衰率X[dB]としたものである。また,この振動減衰率Xは,X[dB]=20log10(X2/X1)として表した。
なお,この振動減衰率Xは,小さいほど振動吸収性がよいことを示す。例えば,0[dB]は,X2/X1=1で,振動の減衰がないことを表し,−20[dB]は,X2/X1=0.1で,自動車における振動の大きさが上記シートクッションを介して1/10に減衰したことを表す。
【0064】
図6より,周波数が7.5〜35Hzの広い範囲において,発明品の方が比較品よりも上記振動減衰率が小さいことがわかる。このことより,発明品,すなわち,反発弾性が20%の第1発泡ウレタンよりなる表層部15と,反発弾性が78%の第2発泡ウレタンよりなる第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14とを有するクッション体1は,振動吸収性が優れていることがわかった。
【0065】
以下に,参考として,下型3と上型4とよりなる成形型2によって,上記クッション体1を製造する方法につき説明する。
図7〜図9に示すごとく,下型3には,クッション体1における表面側を成形する表面側成形面31が形成されており,上型4には,クッション体1における裏面側を成形する裏面側成形面41が形成されている。そして,下型3と上型4とを閉じたときには,下型3の表面側成形面31と上型4の裏面側成形面41との間にクッション体1を成形するためのキャビティ20を形成する。
【0066】
このキャビティ20は,上記第1中央部11を形成するための第1キャビティ21と,上記第2中央部12を形成するための第2キャビティ22と,上記第3中央部13を形成するための第3キャビティ23と,上記一対の側部14を形成するための一対のサイドキャビティ24とよりなる。
【0067】
また,図7,図8に示すごとく,第1キャビティ21と第2キャビティ22との間における表面側成形面31には,上記中央スリット16を形成するための中央仕切り板26が配設してある。また,第2キャビティ22と第3キャビティ23との間における表面側成形面31には,上記後方スリット17を形成するための後方仕切り板27が配設してある。
【0068】
また,図7,図9に示すごとく,第1キャビティ21及び第2キャビティ22と一対のサイドキャビティ24との間における表面側成形面31には,上記一対の側方スリット18を形成するための一対の側方仕切り板28が配設してある。
また,中間層としての仕切材を有するクッション体1を成形する場合には,この側方仕切り板28に上記仕切材を取り付けて成形することができる。
【0069】
こうして,図7〜図9に示すごとく,第2キャビティ22の底側には,上記各仕切り板26〜28によって囲まれた表層部形成用キャビティ25が形成されている。また,この表層部形成用キャビティ25の底部251は,上記第1中央部11の表面111に対する表層部15の突出を形成するために凹状に陥没形成されている。
【0070】
以下に,上記表層部15を構成する発泡ウレタンを第1発泡ウレタンといい,上記第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を構成する発泡ウレタンを第2発泡ウレタンという。
上記クッション体1の成形においては,上記第1発泡ウレタンを形成するための第1原料,及び上記第2発泡ウレタンを形成するための第2原料を使用する。
上記第1原料及び第2原料は,ともにポリオール原料とイソシアネート原料との混合原料よりなる。この混合原料は,ポリオール原料樹脂,イソシアネート原料樹脂,水,触媒及び架橋剤等を混合したものであり,化学反応により発泡するものである。
【0071】
本例では,第1原料により形成する第1発泡ウレタンの反発弾性を,第2原料により形成する第2発泡ウレタンの反発弾性よりも小さくするために,第1原料に使用するポリオール原料樹脂の分子量は,第2原料に使用するポリオール原料樹脂の分子量よりも小さくする。
具体的には,反発弾性が5〜40%の第1発泡ウレタンを形成するために,第1原料におけるポリオール原料樹脂は,分子量が5000程度のポリオール原料樹脂と,分子量が300〜1000のポリオール原料樹脂とを混合したものとした。一方,反発弾性が65〜85%の第2発泡ウレタンを形成するために,第2原料におけるポリオール原料樹脂は,分子量が5500〜7500のポリオール原料樹脂とした。
【0072】
そして,クッション体1を発泡成形するに当たっては,上記表層部形成用キャビティ25に第1原料を注入し,また,上記第1〜第3キャビティ21〜23及び一対のサイドキャビティ24に第2原料を注入する。その後,下型3と上型4とを閉じて,第1原料及び第2原料を発泡させる。
【0073】
そして,図10,図11に示すごとく,第1原料は,上記表層部形成用キャビティ25内で発泡して上記表層部15を形成する。
また,第2原料は,第1〜第3キャビティ21〜23及び一対のサイドキャビティにおいて発泡して第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14を形成する。そして,表層部15と第2中央部12との間は,ウレタン結合により結合される。
こうして,反発弾性が5〜40%の第1発泡ウレタンよりなる表層部15と,反発弾性が65〜85%の第2発泡ウレタンよりなる第1〜第3中央部11〜13及び一対の側部14とを有するクッション体1を成形することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば,臀部付近から加わる局所的に大きな荷重に対して,大きな反発力が生じることを防止することができるクッション体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,クッション体を示す斜視図。
【図2】実施例における,図1のクッション体におけるA−A線矢視断面図。
【図3】実施例における,図1のクッション体におけるB−B線矢視断面図。
【図4】実施例における,図1のクッション体におけるC−C線矢視断面図。
【図5】実施例における,他のクッション体を示す図で,図1におけるA−A線矢視相当の断面図。
【図6】実施例における,振動吸収性の確認試験において,周波数と振動減衰率との関係を示すグラフ。
【図7】実施例における,クッション体を成形するための成形型を示す平面図。
【図8】実施例における,図7におけるA−A線矢視断面図。
【図9】実施例における,図7におけるB−B線矢視断面図。
【図10】実施例における,成形型にクッション体を成形した状態を示す図で,図7におけるA−A線矢視相当の断面図。
【図11】実施例における,成形型にクッション体を成形した状態を示す図で,図7におけるB−B線矢視相当の断面図。
【符号の説明】
1...クッション体,
11...第1中央部,
12...第2中央部,
13...第3中央部,
14...側部,
15...表層部,
16...中央スリット,
17...後方スリット,
18...側方スリット,
2...成形型,
20...キャビティ,
21...第1キャビティ,
22...第2キャビティ,
23...第3キャビティ,
24...サイドキャビティ,
3...下型,
4...上型,

Claims (7)

  1. 発泡ウレタンよりなる乗物シート用のクッション体であって,
    該クッション体は,着座者の大腿部付近からの荷重を受ける第1中央部と,着座者の臀部付近からの荷重を受ける第2中央部とを有していると共に,該第2中央部の表面側には表層部が配設されており,
    該表層部は,上記第1中央部の表面よりも突出しており,かつ上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンよりも反発弾性が小さいと共にヒステリシスロス及び戻り時間が大きい発泡ウレタンよりなることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  2. 請求項1において,上記表層部の前方側には,上記第1中央部との間に溝状の中央スリットが形成されていることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  3. 請求項1又は2において,上記第1中央部及び上記第2中央部の左右両側には,一対の側部が配設されており,
    上記表層部の左右両側には,上記一対の側部との間に溝状の側方スリットが形成されていることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,上記第2中央部の厚みと上記表層部の厚みとを合わせた全体の厚みに対する上記表層部の厚みの割合は,50%以下であることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  5. 請求項4において,上記全体の厚みに対する上記表層部の厚みの割合は,10〜40%であることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において,上記表層部を構成する発泡ウレタンの反発弾性は5〜40%であり,上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンの反発弾性は65〜85%であることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において,上記表層部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスは40〜80%であり,上記第1中央部及び上記第2中央部を構成する発泡ウレタンのヒステリシスロスは5〜30%であることを特徴とする乗物シート用のクッション体。
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