JP2004148024A - N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易に精度良く行える生体内のN−アセチルアスパレート(NAA)、グルタミンおよびグルタメート(Glx)の定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置を実現する。
【解決手段】TE=25msecのNAAおよびGlxを含む第1および第2のスペクトルを取得し、TE=60msecのNAAのみの第3および第4のスペクトルを取得し,これらのスペクトルの差分から概ねGlxからなる第1および第2の差分スペクトルを取得し、NAAのみの第2のスペクトルおよび概ねGlxのみからなる第1の差分スペクトルに対して、マーカットフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求めることとしているので、高精度に、しかも簡易に被検体内部のNAAおよびGlxを定量化することを実現させる。
【選択図】 図6
【解決手段】TE=25msecのNAAおよびGlxを含む第1および第2のスペクトルを取得し、TE=60msecのNAAのみの第3および第4のスペクトルを取得し,これらのスペクトルの差分から概ねGlxからなる第1および第2の差分スペクトルを取得し、NAAのみの第2のスペクトルおよび概ねGlxのみからなる第1の差分スペクトルに対して、マーカットフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求めることとしているので、高精度に、しかも簡易に被検体内部のNAAおよびGlxを定量化することを実現させる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プレス(press)法で取得されたスペクトル(spectrum)によるNーアセチルアスパレート(N−acetyl aspartate)、グルタミン(glutamin)およびグルタメート(glutamate)の定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気共鳴現象を用いたプロトンスペクトロスコピー(proton spectroscopy)による生体内代謝物質の定量的評価が行われている。ここでは、例えば、Nアセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメート等の定量的評価が行われるが、生体内を非侵襲的に検査できることから生体への負荷が軽く、有用なものとなっている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
ロスマン(D.L.Rothman)他著、「人脳におけるグルタメートの局所プロトンスペクトル(Localized 1H NMR Spectra of Glutamate in the Human Brain)」、マグネティックレゾナンス イン メディスン(Magnetic Resonance in Medicine),USA,1992,25,p.94−106)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によれば、簡易に精度良く代謝物質を定量化することができなかった。すなわち、精度良く代謝物質を定量化するためには、撮影時間の長時間化、特殊なパルスシーケンス(pulse sequence)あるいは解析ソフト等を別途準備する必要があった。
【0005】
特に、磁気共鳴周波数が近接する複数の代謝物質では、スペクトルが重なり合って存在しており、これら複数の代謝物質が混在するスペクトル(spectra)から特定の代謝物質のみのスペクトルを分離抽出することには、困難が伴っている。
【0006】
これらのことから、簡易に精度良く行える生体内のN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置をいかに実現するかが重要となる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、簡易に精度良く行える生体内のN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の観点の発明にかかるNーアセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法は、水信号抑制を含むプレス法を用いる異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定することを特徴とする。
【0009】
この第1の観点による発明によれば、水信号抑制を含むプレス法を用いる異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、さらに複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定することとしているので、共鳴周波数が近接し、かつ、異なる緩和時間を有するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートとの磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を、簡易に取得することができる。
【0010】
また、第2の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、水信号抑制を含むプレス法を用いるパルスシーケンスにより、被検体内部あるいはファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのプロトンスペクトルを取得する磁気共鳴撮像装置であって、前記パルスシーケンスのTEが異なる複数のスペクトルを取得する取得手段と、複数の前記スペクトルの差分を行う差分手段と、前記スペクトルおよび前記差分から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの最適なフィッティング関数を求めるフィッティング手段と、前記フィッティング関数から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この第2の観点の発明によれば、取得手段により、パルスシーケンスのTEが異なる複数のスペクトルを取得し、差分手段により、複数のスペクトルの差分を行い、フィッティング手段により、スペクトルおよび差分からN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの最適なフィッティング関数を求め、推定手段により、フィッティング関数からN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの前記被検体内の量を推定することとしているので、N―アセチルアスパレートと、グルタミンおよびグルタメートと、の磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を取得することができる。
【0012】
また、第3の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記取得手段が、前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第1および第2のスペクトルを備えることを特徴とする。
【0013】
この第3の観点の発明によれば、取得手段により、ファントムおよび被検体の第1および第2のスペクトルを、N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのT2緩和時間より充分に短いTEのパルスシーケンスにより取得することとしているので、N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを高い信号強度で取得することができる。
【0014】
また、第4の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記取得手段が、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に長く、前記N−アセチルアスパレートのT2緩和時間より短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第3および第4のスペクトルを備えることを特徴とする。
【0015】
この第4の観点の発明によれば、取得手段により、ファントムおよび被検体の第3および第4のスペクトルを、グルタミンおよびグルタメートのT2緩和時間より充分に長く、N−アセチルアスパレートのT2緩和時間より短いTEのパルスシーケンスにより取得することとしているので、N−アセチルアスパレートの磁気共鳴信号のみを含むスペクトルを取得することができる。
【0016】
また、第5の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記差分手段が、前記第1および第3、並びに、前記第2および第4のスペクトルの差分である第1および第2の差分スペクトルを備えることを特徴とする。
【0017】
この第5の観点の発明によれば、差分手段により、第1および第2の差分スペクトルを、第1および第3、並びに、第2および第4のスペクトルの差分により求めることとしているので、グルタミンおよびグルタメートをNーアセチルアスパレートから概ね分離することができる。
【0018】
また、第6の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記フィッティング手段は、マーカットフィッティング手段であることを特徴とする。
【0019】
この第6の観点の発明によれば、フィッティング手段として、マーカットフィッティング手段を用いることとしているので、短い時間で最適なフィッティングを行うことができる。
【0020】
また、第7の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記第4のスペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形のピーク周波数、半値幅、ピークを初期値とすることを特徴とする。
【0021】
この第7の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、初期値として、第4のスペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形のピーク周波数、半値幅、ピークを用いることとしているので、最適なフィッティング関数に近似した初期値とすることができる。
【0022】
また、第8の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記初期値を用いて前記第3のスペクトルのフィッティングを開始し、パラメータであるピーク周波数、半値幅、ピーク値を変化させ、最も適合するN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする。
【0023】
この第8の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、最も適合するN−アセチルアスパレート波形を、前記初期値を用いて第3のスペクトルのフィッティングを開始し、パラメータであるピーク周波数、半値幅、ピーク値を変化させ、求めることとしているので、短い時間で精度の高いフィッティングを行うことができる。
【0024】
また、第9の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記パラメータを前記第2の差分スペクトルにフィッティングし、前記第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする。
【0025】
この第9の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、パラメータを第2の差分スペクトルにフィッティングし、第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形を求めることとしているので、第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレートを的確に評価することができる。
【0026】
また、第10の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記差分手段が、前記第2の差分スペクトルから前記N−アセチルアスパレート波形を差分したグルタミンおよびグルタメートスペクトルを備えることを特徴とする。
【0027】
この第10の観点の発明によれば、差分手段が、グルタミンおよびグルタメートスペクトルを、第2の差分スペクトルからN−アセチルアスパレート波形を差分して求めることとしているので、グルタミンおよびグルタメートのみのスペクトルを分離抽出することができる。
【0028】
また、第11の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記グルタミンおよびグルタメートスペクトルを用いて前記第1の差分スペクトルのフィッティングを行い、最も適合するグルタミンおよびグルタメート波形を求めることを特徴とする。
【0029】
この第11の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段は、グルタミンおよびグルタメートスペクトルを用いて第1の差分スペクトルのフィッティングを行い、最も適合するグルタミンおよびグルタメート波形を求めることとしているので、高い精度でグルタミンおよびグルタメートの量を求めることが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。また、以下において、N―アセチルアスパレートをNAA、グルタミンおよびグルタメートをGlxと略称する。
【0031】
まず、本発明の実施の形態にかかる磁気共鳴撮像装置の全体構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態1である磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、この磁気共鳴撮像装置は、マグネットシステム(magnet system)100、データ収集部150、送信駆動部140、勾配駆動部130、および制御処理部199を含む。
【0032】
マグネットシステム100は、主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106、送信コイル部108およびRFコイル110を有する。これら各コイル部およびコイルは、概ね円筒状の形状を有し、互いに同軸的に配置されている。マグネットシステム100の概ね円柱状の内部空間(ボア:bore)に、撮像の被検体1がクレードル(cradle)120に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。
【0033】
制御処理部199は、スキャンコントローラ(scan controller)部160、データ処理部170、表示部180および操作部190を含む。ここで、各種制御情報の入力は、操作部190からデータ処理部170に対して行われ、この制御情報は、パルスシーケンスとしてスキャンコントローラ部160に転送された後に、スキャンコントローラ部160によりデータ収集部150、送信駆動部140および勾配駆動部130の制御に用いられる。
【0034】
主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は、概ね被検体1の体軸の方向に平行である。すなわち、いわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は、例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、静磁場強度は、生体内代謝物質を分離して検出するために、高い強度が好ましく、例えば3テスラ(Tesla)のものが用いられる。
【0035】
勾配コイル部106は、互いに垂直な3軸すなわちx軸、y軸およびz軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を発生させる。
【0036】
送信コイル部108は、静磁場空間にある被検体1の体内に磁気共鳴を励起するための高周波磁場を形成する。また、RFコイル110は、クレードル120上に置かれ、被検体1と共にマグネットシステム100の中心部に配置される。このRFコイル110は、送信コイル部108により被検体1の体内に励起された磁気共鳴信号を受信する。
【0037】
勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0038】
送信コイル部108には送信駆動部140が接続されている。送信駆動部140は、送信コイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信し、送信コイル部108は、送信されたRFパルスからRF磁場をマグネットシステム100の中心部に形成し、被検体1を磁気共鳴の励起状態にする。
【0039】
RFコイル110には、データ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル110が受信した受信信号をサンプリング(sampling)によって取り込み、それをディジタルデータ(digital data)として収集する。
【0040】
勾配駆動部130、送信駆動部140およびデータ収集部150にはスキャンコントローラ部160が接続されている。受信制御部であるスキャンコントローラ部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御してデータの収集を遂行する。
【0041】
データ収集部150の出力側は、データ処理部170に接続されている。データ収集部150が収集したデータは、データ処理部170に入力される。データ処理部170は、例えば計算機等を用いて構成される。データ処理部170は、図示しないメモリを有する。メモリはデータ処理部170用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。
【0042】
データ処理部170は、スキャンコントローラ部160に接続されている。データ処理部170は、スキャンコントローラ部160の上位にあってそれを統括する。本装置の機能は、データ処理部170がメモリに記憶されたプログラムを実行することによりを実現される。
【0043】
データ処理部170は、データ収集部150が収集したデータをメモリに記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。このデータ空間は1次元フーリエ(Fourier)空間を構成する。データ処理部170は、この1次元フーリエ空間のデータを1次元逆フ−リエ変換することにより被検体1あるいはファントム(phantom)のプロトンスペクトルを生成する。
【0044】
データ処理部170には表示部180および操作部190が接続されている。表示部180は、グラフィックディスプレー(graphic display)等で構成される。操作部190はポインティングデバイス(pointing
device)を備えたキーボード(keyboard)等で構成される。
【0045】
表示部180は、データ処理部170から出力されるスペクトルおよび各種の情報を表示する。操作部190は、使用者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。使用者は表示部180および操作部190を通じてインタラクティブ(interactive)に本装置を操作する。
【0046】
RFコイル110は、円筒形型のコイルで、例えばフェイズドアレイ(phased array)型あるいはバードケイジ(birdcage)型等のコイルが使用される。
【0047】
スキャンコントローラ部160のパルスシーケンスとしては、水脂肪抑制部を有するプレス法が用いられる。図2に、本実施の形態にかかるプレス法のパルスシーケンスを示す。図2は、横軸に共通の時間軸を有する、送信駆動部140,勾配駆動部130、データ収集部150の動作を示すタイムチャートである。このパルスシーケンスは、前半の水抑制部と、後半のプレス部とからなる。
【0048】
図2(A)は、送信駆動部140からRFコイル110に出力されるRF信号波形、およびRFコイル110からデータ収集部150が受信する受信エコーを示した。なお、ここに示されているのは、RF信号の包絡線波形であり、内部に磁気共鳴周波数のRF信号を含むものである。
【0049】
また、図2(B)、図2(C)および図2(D)は、z軸方向、y軸方向およびx軸方向に勾配駆動部130から出力される勾配波形である。この勾配波形は、マグネットシステム100のボア内に生成される線形勾配磁場の勾配の大きさを現す。
【0050】
ここで、水抑制部においては、水プロトンのみを限定的に励起するため、狭周波数帯域を有する時間幅の広い90度パルスが3回印加され、各パルスごとにx軸方向、y軸方向およびz軸方向のスポイラー(Spoiler)勾配により励起磁場が分散され水プロトン信号を抑制する。
【0051】
また、プレス部においては、選択的な励起を行う90度パルスおよび2つの180度パルスが存在する。90度パルスは、同時に出力されるz軸方向の勾配磁場によりz軸方向の限定された領域を励起状態とする。その後、180度パルスは、同時に出力されるx軸方向の勾配磁場によりx軸方向の限定された領域で励起磁場の反転を行い、さらに次の180度パルスは、同時に出力されるy軸方向の勾配磁場によりy軸方向の限定された領域で励起磁場の反転を行う。
【0052】
そして、90度パルスおよび2つの180度パルスのパルス間隔で決定される所定時間の後に、受信エコーが観測される。なお、プレス部にある90度パルスの中心位置から、受信エコーの中心位置までの時間をTEと称する。
【0053】
ここで、図3にデータ処理部170の機能ブロック図を示す。データ処理部170は、スペクトル取得手段301、差分手段302、マーカットフィッティング(Marquardt Fitting)手段303および推定手段304を含む。
【0054】
スペクトル取得手段301は、図2に示したパルスシーケンスにより取得される受信エコーを、逆フーリエ変換することにより、限定された領域に存在する代謝物質のスペクトルを取得する。差分手段302は、スペクトル取得手段301で取得されたスペクトルあるいはフィッティング波形の差分を行い、差分スペクトルを算出する。
【0055】
マーカットフィッティング手段303は、スペクトル波形に対して、共鳴周波数、半値幅、ピーク値をパラメータとして共鳴波形のフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求める。例えば、各パラメータ値の共鳴波形と、フィッティング先のスペクトル波形との差分により波形の誤差を求め、誤差の最も少ないパラメータ値の共鳴波形を最適なフィッティング波形とする。
【0056】
推定手段304は、フィッティング波形の面積を求め、この面積を既知の代謝物質を含むファントムのスペクトル面積情報と比較することにより、被検体1のスペクトル情報の定量化を行う。
【0057】
つづいて、図4および5のフローチャートを用いて、NAAおよびGlxの定量化を行う動作について説明する。
【0058】
まず、データ処理部170は、NAAおよびGlxを定量化する際の基礎データとなるファントムのスペクトルを取得する(ステップS401)。この際、ファントム内には、一例として、PH7.0に調整されたリン酸バッファーにNAA、Glxおよびクレアチンとグルタミンとの混合物が所定量溶解される。
【0059】
そして、このファントムは、オペレータにより、図1に示したRFコイル110内の被検体1の位置に配置され、図2に示したプレス法を用いたパルスシーケンスにより、受信エコーを取得する。パルスシーケンスのTEは、NAAおよびGlxのT2緩和時間より充分に短い時間、例えば25msecと、GlxのT2緩和時間より充分に長く、NAAのT2緩和時間よりも充分に短い時間、例えば60msecとの2種類のTEで、受信エコーの取得が行われる。
【0060】
そして、これら受信エコーは、スペクトル取得手段301により、逆フーリエ変換され、TE=25msecの場合の第1のスペクトルと、TE=60msecの場合の第3のスペクトルとが取得される。なお、この際、ファントム内のNAAおよびGlx量と、スペクトル面積との対応マップが同時に作成される。
【0061】
その後、データ処理部170は、被検体1のスペクトルを取得する(ステップS402)。この際、被検体1は、オペレータにより、図1に示したRFコイル110内に配置され、図2に示したプレス法を用いたパルスシーケンスにより、受信エコーを取得する。パルスシーケンスのTEは、NAAおよびGlxのT2緩和時間より充分に短い時間、例えば25msecと、GlxのT2緩和時間より充分に長く、NAAのT2緩和時間よりも充分に短い時間、例えば60msecとの2種類のTEで、受信エコーの取得が行われる。
【0062】
そして、これら受信エコーは、スペクトル取得手段301により、逆フーリエ変換され、TE=25msecの場合の第2のスペクトルと、TE=60msecの場合の第4のスペクトルとが取得される。
【0063】
その後、データ処理部170は、第1〜第4のスペクトルの差分スペクトルを算出する(ステップS403)。ここで、データ処理部170は、差分手段302を用いて、第1と第3のスペクトルの差分である第1の差分スペクトルと、第2と第4のスペクトルの差分である第2の差分スペクトルと、を算出する。
【0064】
ここで、図6の表を用いて第1〜第4のスペクトルおよび第1〜第2の差分スペクトルについて説明する。図6の表の各欄に記載されたスペクトルは、取得されるスペクトルを模式的に示したものであり、各スペクトルの横軸は、同一の周波数軸を構成している。
【0065】
TE=25msecのパルスシーケンスを用いて取得されるファントムの第1のスペクトルは、NAAおよびGlxのT2緩和時間が25msecより充分に長いので、NAAおよびGlxのピークを有する。このスペクトルは、NAAピーク1およびピーク2の2つのピークを有し、Glxは、これらピークの中間のNAAピーク2に近接した位置に存在する。
【0066】
TE=25msecのパルスシーケンスを用いて取得される被検体1の第2のスペクトルは、第1のスペクトルと概ね同様のスペクトルであるが、NAAおよびGlxのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0067】
TE=60msecのパルスシーケンスを用いて取得されるファントムの第2のスペクトルは、NAAのT2緩和時間が60msecより充分に長く、GlxのT2緩和時間が60msecより充分に短いので、Glxのピークは存在せず、NAAピークのみが第1のスペクトルと同一位置に存在する。なお、NAAのピーク値は、TEが35msec長くなった分、T2緩和により減衰し、小さなものとなる。
【0068】
TE=60msecのパルスシーケンスを用いて取得される被検体1の第4のスペクトルは、第3のスペクトルと概ね同様のスペクトルであるが、NAAのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0069】
ファントムの第1のスペクトルと第3のスペクトルの差分である第1の差分スペクトルは、NAAのピーク波形が差分により概ね消滅するので、Glxのピークを抽出することができる。ただし、TEが異なるので、NAAの緩和時間の差に起因するピーク値の差分であるΔNAAピーク1およびピーク2のスペクトル波形は残存する。
【0070】
被検体1の第2のスペクトルと第4のスペクトルとの差分である第2の差分スペクトルも、第1の差分スペクトルと概ね同様であるが、GlxおよびΔNAAのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0071】
ここで、図4に戻り、データ処理部170は、第4のスペクトルのNAAピーク2のピーク値、半値幅および周波数を計測し、以下で行うマーカットフィッティング手段303の初期値を算定する(ステップS404)。
【0072】
その後、マーカットフィッティング手段303により、NAAおよびGlxの最適なフィッティング波形を求める。まず、ステップS404で算定した初期値を用いて、第3のスペクトルのNAAにフィッティングを行う(ステップS405)。さらに、ステップS404で算定した初期値を用いて、第2の差分スペクトルのΔNAAピーク1にフィッティングを行う(ステップS406)。ここで、ΔNAAピーク2にフィッティングを行うこともできるが、Glxと周波数が大きく異なり、重なり合う部分の少ないΔNAAピーク1にフィッティングを行うことが、フィッティング精度上好ましい。
【0073】
その後、ステップS406で求めたフィッティング波形を、同じく第2の差分スペクトルから差分する(ステップS407)。これにより、Glxスペクトルを生成する。
【0074】
図7にステップS406およびステップS407の処理を図示する。図7(A)は、第2の差分スペクトルであり、ΔNAAピーク1に図中点線で示されたフィッティング波形が示されている。図7(B)は、図7(A)の第2の差分スペクトルからΔNAAピーク1のフィッティング波形を差分したGlxスペクトルである。これにより、ΔNAAピーク1が概ね消滅するので、Glxスペクトルのフィッティングをより高精度に行うことができる。
【0075】
その後、ファントムの第1の差分スペクトルに対して、ステップS407で求めたGlxスペクトルをフィッティングする(ステップS408)。そして、ステップS405の第3のスペクトルとフィッティング波形の差分およびステップS408の第1の差分スペクトルとフィッティング波形との差分を求めフィッティング波形の誤差を算出する(ステップS409)。
【0076】
その後、パラメータの変更を行うかどうかを判定し(ステップS411)、パラメータの変更を行う場合には(ステップS411肯定)、NAAピーク2のピーク値、半値幅および周波数を、初期値に基づいた新たなパラメータ値に変更し(ステップS410)、ステップS405の第3のスペクトルに対するフィッティングに移行する。パラメータの変更を行わない場合には(ステップS411否定)、次のステップに移行し、ステップS409で求めた誤差の最も少ない最適なフィッティング波形を決定する(ステップS412)。なお、ここで、パラメータの変更を行うかどうかの判定は、例えば、所定回数あるいは所定範囲のパラメータ変更を行ったかどうかにより判定される。
【0077】
その後、最適なフィッティング波形から、ファントムの第3のスペクトルおよび第1の差分スペクトルの対応マップを用いて、被検体1内部のNAAおよびGlx量を、推定手段304により推定し定量化を行う(ステップS413)。
【0078】
上述してきたように、本実施の形態では、ファントムおよび被検体1から、TE=25msecのパルスシーケンスを用いてNAAおよびGlxの第1および第2のスペクトルを取得し、TE=60msecのパルスシーケンスを用いてNAAのみの第3および第4のスペクトルを取得し,これらのスペクトルの差分から概ねGlxからなる第1および第2の差分スペクトルを取得し、NAAのみの第2のスペクトルおよび概ねGlxのみからなる第1の差分スペクトルに対して、被検体1の第4のスペクトル波形を初期値として、さらには、残存ΔNAAスペクトルを除去した第2の差分スペクトルをフィッティング波形としてマーカットフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求めることとしているので、高精度に、しかも簡易に被検体1内部のNAAおよびGlxを定量化することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、グルタミンおよびグルタメートであるGlxのスペクトルは、1つであるとして説明したが、厳密には、2つのスペクトルに分離する。これら2つのスペクトル各々に対して、定量化のためのマーカットフィッティングを行うこともできる。
【0080】
また、本実施の形態では、シングルボクセル(single voxel)のプレスパルスシーケンスを用いたが、マルチボクセル(multi voxel)のパルスシーケンス、シングルボクセルのスティーム(STEAM)法あるいはアイシス(ISIS)法等のすべてのプロトンMRSを用いて行うことが出来る。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水信号抑制を含むプレス法を用いた異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、さらに複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの量を推定することとしているので、共鳴周波数が近接し、かつ、異なる緩和時間を有するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を、簡易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態のパルスシーケンスを示す図である。
【図3】実施の形態のデータ処理部を示す機能ブロック図である。
【図4】実施の形態のデータ処理部の動作を示すフローチャートである(その1)。
【図5】実施の形態のデータ処理部の動作を示すフローチャートである(その2)。
【図6】実施の形態のスペクトルを比較した図である。
【図7】実施の形態の第2の差分スペクトルからGlxスペクトルを求める図である。
【符号の説明】
1 被検体
100 マグネットシステム
102 主磁場コイル部
106 勾配コイル部
108 送信コイル部
110 RFコイル
120 クレードル
130 勾配駆動部
140 送信駆動部
150 データ収集部
160 スキャンコントローラ部
160 部
170 データ処理部
180 表示部
190 操作部
199 制御処理部
301 スペクトル取得手段
302 差分手段
303 マーカットフィッティング手段
304 推定手段
【発明の属する技術分野】
この発明は、プレス(press)法で取得されたスペクトル(spectrum)によるNーアセチルアスパレート(N−acetyl aspartate)、グルタミン(glutamin)およびグルタメート(glutamate)の定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気共鳴現象を用いたプロトンスペクトロスコピー(proton spectroscopy)による生体内代謝物質の定量的評価が行われている。ここでは、例えば、Nアセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメート等の定量的評価が行われるが、生体内を非侵襲的に検査できることから生体への負荷が軽く、有用なものとなっている。(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
ロスマン(D.L.Rothman)他著、「人脳におけるグルタメートの局所プロトンスペクトル(Localized 1H NMR Spectra of Glutamate in the Human Brain)」、マグネティックレゾナンス イン メディスン(Magnetic Resonance in Medicine),USA,1992,25,p.94−106)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によれば、簡易に精度良く代謝物質を定量化することができなかった。すなわち、精度良く代謝物質を定量化するためには、撮影時間の長時間化、特殊なパルスシーケンス(pulse sequence)あるいは解析ソフト等を別途準備する必要があった。
【0005】
特に、磁気共鳴周波数が近接する複数の代謝物質では、スペクトルが重なり合って存在しており、これら複数の代謝物質が混在するスペクトル(spectra)から特定の代謝物質のみのスペクトルを分離抽出することには、困難が伴っている。
【0006】
これらのことから、簡易に精度良く行える生体内のN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置をいかに実現するかが重要となる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、簡易に精度良く行える生体内のN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の観点の発明にかかるNーアセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法は、水信号抑制を含むプレス法を用いる異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定することを特徴とする。
【0009】
この第1の観点による発明によれば、水信号抑制を含むプレス法を用いる異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、さらに複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定することとしているので、共鳴周波数が近接し、かつ、異なる緩和時間を有するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートとの磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を、簡易に取得することができる。
【0010】
また、第2の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、水信号抑制を含むプレス法を用いるパルスシーケンスにより、被検体内部あるいはファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのプロトンスペクトルを取得する磁気共鳴撮像装置であって、前記パルスシーケンスのTEが異なる複数のスペクトルを取得する取得手段と、複数の前記スペクトルの差分を行う差分手段と、前記スペクトルおよび前記差分から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの最適なフィッティング関数を求めるフィッティング手段と、前記フィッティング関数から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この第2の観点の発明によれば、取得手段により、パルスシーケンスのTEが異なる複数のスペクトルを取得し、差分手段により、複数のスペクトルの差分を行い、フィッティング手段により、スペクトルおよび差分からN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの最適なフィッティング関数を求め、推定手段により、フィッティング関数からN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの前記被検体内の量を推定することとしているので、N―アセチルアスパレートと、グルタミンおよびグルタメートと、の磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を取得することができる。
【0012】
また、第3の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記取得手段が、前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第1および第2のスペクトルを備えることを特徴とする。
【0013】
この第3の観点の発明によれば、取得手段により、ファントムおよび被検体の第1および第2のスペクトルを、N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのT2緩和時間より充分に短いTEのパルスシーケンスにより取得することとしているので、N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを高い信号強度で取得することができる。
【0014】
また、第4の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記取得手段が、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に長く、前記N−アセチルアスパレートのT2緩和時間より短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第3および第4のスペクトルを備えることを特徴とする。
【0015】
この第4の観点の発明によれば、取得手段により、ファントムおよび被検体の第3および第4のスペクトルを、グルタミンおよびグルタメートのT2緩和時間より充分に長く、N−アセチルアスパレートのT2緩和時間より短いTEのパルスシーケンスにより取得することとしているので、N−アセチルアスパレートの磁気共鳴信号のみを含むスペクトルを取得することができる。
【0016】
また、第5の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記差分手段が、前記第1および第3、並びに、前記第2および第4のスペクトルの差分である第1および第2の差分スペクトルを備えることを特徴とする。
【0017】
この第5の観点の発明によれば、差分手段により、第1および第2の差分スペクトルを、第1および第3、並びに、第2および第4のスペクトルの差分により求めることとしているので、グルタミンおよびグルタメートをNーアセチルアスパレートから概ね分離することができる。
【0018】
また、第6の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記フィッティング手段は、マーカットフィッティング手段であることを特徴とする。
【0019】
この第6の観点の発明によれば、フィッティング手段として、マーカットフィッティング手段を用いることとしているので、短い時間で最適なフィッティングを行うことができる。
【0020】
また、第7の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記第4のスペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形のピーク周波数、半値幅、ピークを初期値とすることを特徴とする。
【0021】
この第7の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、初期値として、第4のスペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形のピーク周波数、半値幅、ピークを用いることとしているので、最適なフィッティング関数に近似した初期値とすることができる。
【0022】
また、第8の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記初期値を用いて前記第3のスペクトルのフィッティングを開始し、パラメータであるピーク周波数、半値幅、ピーク値を変化させ、最も適合するN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする。
【0023】
この第8の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、最も適合するN−アセチルアスパレート波形を、前記初期値を用いて第3のスペクトルのフィッティングを開始し、パラメータであるピーク周波数、半値幅、ピーク値を変化させ、求めることとしているので、短い時間で精度の高いフィッティングを行うことができる。
【0024】
また、第9の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記パラメータを前記第2の差分スペクトルにフィッティングし、前記第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする。
【0025】
この第9の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段が、パラメータを第2の差分スペクトルにフィッティングし、第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形を求めることとしているので、第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレートを的確に評価することができる。
【0026】
また、第10の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記差分手段が、前記第2の差分スペクトルから前記N−アセチルアスパレート波形を差分したグルタミンおよびグルタメートスペクトルを備えることを特徴とする。
【0027】
この第10の観点の発明によれば、差分手段が、グルタミンおよびグルタメートスペクトルを、第2の差分スペクトルからN−アセチルアスパレート波形を差分して求めることとしているので、グルタミンおよびグルタメートのみのスペクトルを分離抽出することができる。
【0028】
また、第11の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、前記マーカットフィッティング手段が、前記グルタミンおよびグルタメートスペクトルを用いて前記第1の差分スペクトルのフィッティングを行い、最も適合するグルタミンおよびグルタメート波形を求めることを特徴とする。
【0029】
この第11の観点の発明によれば、マーカットフィッティング手段は、グルタミンおよびグルタメートスペクトルを用いて第1の差分スペクトルのフィッティングを行い、最も適合するグルタミンおよびグルタメート波形を求めることとしているので、高い精度でグルタミンおよびグルタメートの量を求めることが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるN−アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。また、以下において、N―アセチルアスパレートをNAA、グルタミンおよびグルタメートをGlxと略称する。
【0031】
まず、本発明の実施の形態にかかる磁気共鳴撮像装置の全体構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態1である磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、この磁気共鳴撮像装置は、マグネットシステム(magnet system)100、データ収集部150、送信駆動部140、勾配駆動部130、および制御処理部199を含む。
【0032】
マグネットシステム100は、主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106、送信コイル部108およびRFコイル110を有する。これら各コイル部およびコイルは、概ね円筒状の形状を有し、互いに同軸的に配置されている。マグネットシステム100の概ね円柱状の内部空間(ボア:bore)に、撮像の被検体1がクレードル(cradle)120に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。
【0033】
制御処理部199は、スキャンコントローラ(scan controller)部160、データ処理部170、表示部180および操作部190を含む。ここで、各種制御情報の入力は、操作部190からデータ処理部170に対して行われ、この制御情報は、パルスシーケンスとしてスキャンコントローラ部160に転送された後に、スキャンコントローラ部160によりデータ収集部150、送信駆動部140および勾配駆動部130の制御に用いられる。
【0034】
主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は、概ね被検体1の体軸の方向に平行である。すなわち、いわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は、例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、静磁場強度は、生体内代謝物質を分離して検出するために、高い強度が好ましく、例えば3テスラ(Tesla)のものが用いられる。
【0035】
勾配コイル部106は、互いに垂直な3軸すなわちx軸、y軸およびz軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を発生させる。
【0036】
送信コイル部108は、静磁場空間にある被検体1の体内に磁気共鳴を励起するための高周波磁場を形成する。また、RFコイル110は、クレードル120上に置かれ、被検体1と共にマグネットシステム100の中心部に配置される。このRFコイル110は、送信コイル部108により被検体1の体内に励起された磁気共鳴信号を受信する。
【0037】
勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0038】
送信コイル部108には送信駆動部140が接続されている。送信駆動部140は、送信コイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信し、送信コイル部108は、送信されたRFパルスからRF磁場をマグネットシステム100の中心部に形成し、被検体1を磁気共鳴の励起状態にする。
【0039】
RFコイル110には、データ収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル110が受信した受信信号をサンプリング(sampling)によって取り込み、それをディジタルデータ(digital data)として収集する。
【0040】
勾配駆動部130、送信駆動部140およびデータ収集部150にはスキャンコントローラ部160が接続されている。受信制御部であるスキャンコントローラ部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御してデータの収集を遂行する。
【0041】
データ収集部150の出力側は、データ処理部170に接続されている。データ収集部150が収集したデータは、データ処理部170に入力される。データ処理部170は、例えば計算機等を用いて構成される。データ処理部170は、図示しないメモリを有する。メモリはデータ処理部170用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。
【0042】
データ処理部170は、スキャンコントローラ部160に接続されている。データ処理部170は、スキャンコントローラ部160の上位にあってそれを統括する。本装置の機能は、データ処理部170がメモリに記憶されたプログラムを実行することによりを実現される。
【0043】
データ処理部170は、データ収集部150が収集したデータをメモリに記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。このデータ空間は1次元フーリエ(Fourier)空間を構成する。データ処理部170は、この1次元フーリエ空間のデータを1次元逆フ−リエ変換することにより被検体1あるいはファントム(phantom)のプロトンスペクトルを生成する。
【0044】
データ処理部170には表示部180および操作部190が接続されている。表示部180は、グラフィックディスプレー(graphic display)等で構成される。操作部190はポインティングデバイス(pointing
device)を備えたキーボード(keyboard)等で構成される。
【0045】
表示部180は、データ処理部170から出力されるスペクトルおよび各種の情報を表示する。操作部190は、使用者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。使用者は表示部180および操作部190を通じてインタラクティブ(interactive)に本装置を操作する。
【0046】
RFコイル110は、円筒形型のコイルで、例えばフェイズドアレイ(phased array)型あるいはバードケイジ(birdcage)型等のコイルが使用される。
【0047】
スキャンコントローラ部160のパルスシーケンスとしては、水脂肪抑制部を有するプレス法が用いられる。図2に、本実施の形態にかかるプレス法のパルスシーケンスを示す。図2は、横軸に共通の時間軸を有する、送信駆動部140,勾配駆動部130、データ収集部150の動作を示すタイムチャートである。このパルスシーケンスは、前半の水抑制部と、後半のプレス部とからなる。
【0048】
図2(A)は、送信駆動部140からRFコイル110に出力されるRF信号波形、およびRFコイル110からデータ収集部150が受信する受信エコーを示した。なお、ここに示されているのは、RF信号の包絡線波形であり、内部に磁気共鳴周波数のRF信号を含むものである。
【0049】
また、図2(B)、図2(C)および図2(D)は、z軸方向、y軸方向およびx軸方向に勾配駆動部130から出力される勾配波形である。この勾配波形は、マグネットシステム100のボア内に生成される線形勾配磁場の勾配の大きさを現す。
【0050】
ここで、水抑制部においては、水プロトンのみを限定的に励起するため、狭周波数帯域を有する時間幅の広い90度パルスが3回印加され、各パルスごとにx軸方向、y軸方向およびz軸方向のスポイラー(Spoiler)勾配により励起磁場が分散され水プロトン信号を抑制する。
【0051】
また、プレス部においては、選択的な励起を行う90度パルスおよび2つの180度パルスが存在する。90度パルスは、同時に出力されるz軸方向の勾配磁場によりz軸方向の限定された領域を励起状態とする。その後、180度パルスは、同時に出力されるx軸方向の勾配磁場によりx軸方向の限定された領域で励起磁場の反転を行い、さらに次の180度パルスは、同時に出力されるy軸方向の勾配磁場によりy軸方向の限定された領域で励起磁場の反転を行う。
【0052】
そして、90度パルスおよび2つの180度パルスのパルス間隔で決定される所定時間の後に、受信エコーが観測される。なお、プレス部にある90度パルスの中心位置から、受信エコーの中心位置までの時間をTEと称する。
【0053】
ここで、図3にデータ処理部170の機能ブロック図を示す。データ処理部170は、スペクトル取得手段301、差分手段302、マーカットフィッティング(Marquardt Fitting)手段303および推定手段304を含む。
【0054】
スペクトル取得手段301は、図2に示したパルスシーケンスにより取得される受信エコーを、逆フーリエ変換することにより、限定された領域に存在する代謝物質のスペクトルを取得する。差分手段302は、スペクトル取得手段301で取得されたスペクトルあるいはフィッティング波形の差分を行い、差分スペクトルを算出する。
【0055】
マーカットフィッティング手段303は、スペクトル波形に対して、共鳴周波数、半値幅、ピーク値をパラメータとして共鳴波形のフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求める。例えば、各パラメータ値の共鳴波形と、フィッティング先のスペクトル波形との差分により波形の誤差を求め、誤差の最も少ないパラメータ値の共鳴波形を最適なフィッティング波形とする。
【0056】
推定手段304は、フィッティング波形の面積を求め、この面積を既知の代謝物質を含むファントムのスペクトル面積情報と比較することにより、被検体1のスペクトル情報の定量化を行う。
【0057】
つづいて、図4および5のフローチャートを用いて、NAAおよびGlxの定量化を行う動作について説明する。
【0058】
まず、データ処理部170は、NAAおよびGlxを定量化する際の基礎データとなるファントムのスペクトルを取得する(ステップS401)。この際、ファントム内には、一例として、PH7.0に調整されたリン酸バッファーにNAA、Glxおよびクレアチンとグルタミンとの混合物が所定量溶解される。
【0059】
そして、このファントムは、オペレータにより、図1に示したRFコイル110内の被検体1の位置に配置され、図2に示したプレス法を用いたパルスシーケンスにより、受信エコーを取得する。パルスシーケンスのTEは、NAAおよびGlxのT2緩和時間より充分に短い時間、例えば25msecと、GlxのT2緩和時間より充分に長く、NAAのT2緩和時間よりも充分に短い時間、例えば60msecとの2種類のTEで、受信エコーの取得が行われる。
【0060】
そして、これら受信エコーは、スペクトル取得手段301により、逆フーリエ変換され、TE=25msecの場合の第1のスペクトルと、TE=60msecの場合の第3のスペクトルとが取得される。なお、この際、ファントム内のNAAおよびGlx量と、スペクトル面積との対応マップが同時に作成される。
【0061】
その後、データ処理部170は、被検体1のスペクトルを取得する(ステップS402)。この際、被検体1は、オペレータにより、図1に示したRFコイル110内に配置され、図2に示したプレス法を用いたパルスシーケンスにより、受信エコーを取得する。パルスシーケンスのTEは、NAAおよびGlxのT2緩和時間より充分に短い時間、例えば25msecと、GlxのT2緩和時間より充分に長く、NAAのT2緩和時間よりも充分に短い時間、例えば60msecとの2種類のTEで、受信エコーの取得が行われる。
【0062】
そして、これら受信エコーは、スペクトル取得手段301により、逆フーリエ変換され、TE=25msecの場合の第2のスペクトルと、TE=60msecの場合の第4のスペクトルとが取得される。
【0063】
その後、データ処理部170は、第1〜第4のスペクトルの差分スペクトルを算出する(ステップS403)。ここで、データ処理部170は、差分手段302を用いて、第1と第3のスペクトルの差分である第1の差分スペクトルと、第2と第4のスペクトルの差分である第2の差分スペクトルと、を算出する。
【0064】
ここで、図6の表を用いて第1〜第4のスペクトルおよび第1〜第2の差分スペクトルについて説明する。図6の表の各欄に記載されたスペクトルは、取得されるスペクトルを模式的に示したものであり、各スペクトルの横軸は、同一の周波数軸を構成している。
【0065】
TE=25msecのパルスシーケンスを用いて取得されるファントムの第1のスペクトルは、NAAおよびGlxのT2緩和時間が25msecより充分に長いので、NAAおよびGlxのピークを有する。このスペクトルは、NAAピーク1およびピーク2の2つのピークを有し、Glxは、これらピークの中間のNAAピーク2に近接した位置に存在する。
【0066】
TE=25msecのパルスシーケンスを用いて取得される被検体1の第2のスペクトルは、第1のスペクトルと概ね同様のスペクトルであるが、NAAおよびGlxのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0067】
TE=60msecのパルスシーケンスを用いて取得されるファントムの第2のスペクトルは、NAAのT2緩和時間が60msecより充分に長く、GlxのT2緩和時間が60msecより充分に短いので、Glxのピークは存在せず、NAAピークのみが第1のスペクトルと同一位置に存在する。なお、NAAのピーク値は、TEが35msec長くなった分、T2緩和により減衰し、小さなものとなる。
【0068】
TE=60msecのパルスシーケンスを用いて取得される被検体1の第4のスペクトルは、第3のスペクトルと概ね同様のスペクトルであるが、NAAのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0069】
ファントムの第1のスペクトルと第3のスペクトルの差分である第1の差分スペクトルは、NAAのピーク波形が差分により概ね消滅するので、Glxのピークを抽出することができる。ただし、TEが異なるので、NAAの緩和時間の差に起因するピーク値の差分であるΔNAAピーク1およびピーク2のスペクトル波形は残存する。
【0070】
被検体1の第2のスペクトルと第4のスペクトルとの差分である第2の差分スペクトルも、第1の差分スペクトルと概ね同様であるが、GlxおよびΔNAAのピーク位置およびピーク波形が若干異なり、ピークの半値幅が広くなる。
【0071】
ここで、図4に戻り、データ処理部170は、第4のスペクトルのNAAピーク2のピーク値、半値幅および周波数を計測し、以下で行うマーカットフィッティング手段303の初期値を算定する(ステップS404)。
【0072】
その後、マーカットフィッティング手段303により、NAAおよびGlxの最適なフィッティング波形を求める。まず、ステップS404で算定した初期値を用いて、第3のスペクトルのNAAにフィッティングを行う(ステップS405)。さらに、ステップS404で算定した初期値を用いて、第2の差分スペクトルのΔNAAピーク1にフィッティングを行う(ステップS406)。ここで、ΔNAAピーク2にフィッティングを行うこともできるが、Glxと周波数が大きく異なり、重なり合う部分の少ないΔNAAピーク1にフィッティングを行うことが、フィッティング精度上好ましい。
【0073】
その後、ステップS406で求めたフィッティング波形を、同じく第2の差分スペクトルから差分する(ステップS407)。これにより、Glxスペクトルを生成する。
【0074】
図7にステップS406およびステップS407の処理を図示する。図7(A)は、第2の差分スペクトルであり、ΔNAAピーク1に図中点線で示されたフィッティング波形が示されている。図7(B)は、図7(A)の第2の差分スペクトルからΔNAAピーク1のフィッティング波形を差分したGlxスペクトルである。これにより、ΔNAAピーク1が概ね消滅するので、Glxスペクトルのフィッティングをより高精度に行うことができる。
【0075】
その後、ファントムの第1の差分スペクトルに対して、ステップS407で求めたGlxスペクトルをフィッティングする(ステップS408)。そして、ステップS405の第3のスペクトルとフィッティング波形の差分およびステップS408の第1の差分スペクトルとフィッティング波形との差分を求めフィッティング波形の誤差を算出する(ステップS409)。
【0076】
その後、パラメータの変更を行うかどうかを判定し(ステップS411)、パラメータの変更を行う場合には(ステップS411肯定)、NAAピーク2のピーク値、半値幅および周波数を、初期値に基づいた新たなパラメータ値に変更し(ステップS410)、ステップS405の第3のスペクトルに対するフィッティングに移行する。パラメータの変更を行わない場合には(ステップS411否定)、次のステップに移行し、ステップS409で求めた誤差の最も少ない最適なフィッティング波形を決定する(ステップS412)。なお、ここで、パラメータの変更を行うかどうかの判定は、例えば、所定回数あるいは所定範囲のパラメータ変更を行ったかどうかにより判定される。
【0077】
その後、最適なフィッティング波形から、ファントムの第3のスペクトルおよび第1の差分スペクトルの対応マップを用いて、被検体1内部のNAAおよびGlx量を、推定手段304により推定し定量化を行う(ステップS413)。
【0078】
上述してきたように、本実施の形態では、ファントムおよび被検体1から、TE=25msecのパルスシーケンスを用いてNAAおよびGlxの第1および第2のスペクトルを取得し、TE=60msecのパルスシーケンスを用いてNAAのみの第3および第4のスペクトルを取得し,これらのスペクトルの差分から概ねGlxからなる第1および第2の差分スペクトルを取得し、NAAのみの第2のスペクトルおよび概ねGlxのみからなる第1の差分スペクトルに対して、被検体1の第4のスペクトル波形を初期値として、さらには、残存ΔNAAスペクトルを除去した第2の差分スペクトルをフィッティング波形としてマーカットフィッティングを行い最適なフィッティング波形を求めることとしているので、高精度に、しかも簡易に被検体1内部のNAAおよびGlxを定量化することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、グルタミンおよびグルタメートであるGlxのスペクトルは、1つであるとして説明したが、厳密には、2つのスペクトルに分離する。これら2つのスペクトル各々に対して、定量化のためのマーカットフィッティングを行うこともできる。
【0080】
また、本実施の形態では、シングルボクセル(single voxel)のプレスパルスシーケンスを用いたが、マルチボクセル(multi voxel)のパルスシーケンス、シングルボクセルのスティーム(STEAM)法あるいはアイシス(ISIS)法等のすべてのプロトンMRSを用いて行うことが出来る。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水信号抑制を含むプレス法を用いた異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、さらに複数の前記スペクトルの差分を行い、前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの量を推定することとしているので、共鳴周波数が近接し、かつ、異なる緩和時間を有するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの磁気共鳴信号を分離して取得し、これらの分離したスペクトルに対してフィッティングを行い、精度の高い定量化情報を、簡易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態のパルスシーケンスを示す図である。
【図3】実施の形態のデータ処理部を示す機能ブロック図である。
【図4】実施の形態のデータ処理部の動作を示すフローチャートである(その1)。
【図5】実施の形態のデータ処理部の動作を示すフローチャートである(その2)。
【図6】実施の形態のスペクトルを比較した図である。
【図7】実施の形態の第2の差分スペクトルからGlxスペクトルを求める図である。
【符号の説明】
1 被検体
100 マグネットシステム
102 主磁場コイル部
106 勾配コイル部
108 送信コイル部
110 RFコイル
120 クレードル
130 勾配駆動部
140 送信駆動部
150 データ収集部
160 スキャンコントローラ部
160 部
170 データ処理部
180 表示部
190 操作部
199 制御処理部
301 スペクトル取得手段
302 差分手段
303 マーカットフィッティング手段
304 推定手段
Claims (11)
- 水信号抑制を含むプレス法を用いる異なるTEのパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのスペクトルを複数取得し、
複数の前記スペクトルの差分を行い、
前記スペクトルおよび前記差分から最適なフィッティング関数を求め、
前記フィッティング関数に基づいて前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定することを特徴とするN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法。 - 水信号抑制を含むプレス法を用いるパルスシーケンスにより、被検体内部およびファントムに存在するN―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートのプロトンスペクトルを取得する磁気共鳴撮像装置であって、
前記パルスシーケンスのTEが異なる複数のスペクトルを取得する取得手段と、複数の前記スペクトルの差分を行う差分手段と、
前記スペクトルおよび前記差分から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの最適なフィッティング関数を求めるフィッティング手段と、
前記フィッティング関数から前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートの前記被検体内の量を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。 - 前記取得手段は、前記N―アセチルアスパレート、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第1および第2のスペクトルを備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記取得手段は、前記グルタミンおよび前記グルタメートのT2緩和時間より充分に長く、前記N−アセチルアスパレートのT2緩和時間より短いTEの前記パルスシーケンスにより取得される前記ファントムおよび前記被検体の第3および第4のスペクトルを備えることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記差分手段は、前記第1および第3、並びに、前記第2および第4のスペクトルの差分である第1および第2の差分スペクトルを備えることを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記フィッティング手段は、マーカットフィッティング手段であることを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記マーカットフィッティング手段は、前記第4のスペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形のピーク周波数、半値幅、ピーク値を初期値とすることを特徴とする請求項5および6に記載に磁気共鳴撮像装置。
- 前記マーカットフィッティング手段は、前記初期値を用いて前記第3のスペクトルのフィッティングを開始し、パラメータであるピーク周波数、半値幅、ピーク値を変化させ、最も適合するN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする請求項7に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記マーカットフィッティング手段は、前記パラメータを前記第2の差分スペクトルにフィッティングし、前記第2の差分スペクトルに含まれるN−アセチルアスパレート波形を求めることを特徴とする請求項8に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記差分手段は、前記第2の差分スペクトルから前記N−アセチルアスパレート波形を差分したグルタミンおよびグルタメートスペクトルを備えることを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴撮像装置。
- 前記マーカットフィッティング手段は、前記グルタミンおよびグルタメートスペクトルを用いて前記第1の差分スペクトルのフィッティングを行い、最も適合するグルタミンおよびグルタメート波形を求めることを特徴とする請求項10に記載の磁気共鳴撮像装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002319324A JP2004148024A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | N―アセチルアスパレート、グルタミンおよびグルタメートの定量化方法並びに磁気共鳴撮像装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004148024A true JP2004148024A (ja) | 2004-05-27 |
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|---|---|
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Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005007181A (ja) * | 2003-06-18 | 2005-01-13 | Ge Medical Systems Global Technology Co Llc | Mr分光法において代謝産物の信号分離を改良させた方法及び装置 |
| JP2009291348A (ja) * | 2008-06-04 | 2009-12-17 | Ge Medical Systems Global Technology Co Llc | 磁気共鳴イメージング装置および神経伝達物質定量化方法 |
| JP2016540602A (ja) * | 2013-12-19 | 2016-12-28 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | Dixonタイプ水/脂肪分離する磁気共鳴イメージング |
| WO2022171038A1 (zh) * | 2021-02-10 | 2022-08-18 | 华东师范大学 | 一种非诊断目的的利用N-乙酰天门冬氨酸分子磁共振信号检测活体pH值的方法 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319324A patent/JP2004148024A/ja not_active Withdrawn
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