JP2004149610A - 光拡散性樹脂組成物及び光拡散性成形体 - Google Patents

光拡散性樹脂組成物及び光拡散性成形体 Download PDF

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佐藤  誠
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篤 曽根
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Abstract

【課題】光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れた光拡散性成形体を得ることができる光拡散性樹脂組成物、この組成物から形成されてなる光拡散性成形体、この成形体(光拡散板)を備える液晶表示装置及び光拡散性付与剤を提供する。
【解決手段】透明樹脂と、210℃以上の融点を有するフッ素樹脂とを含有し、該フッ素樹脂が粒径0.01〜20μmの粒子状で存在することを特徴とする光拡散性樹脂組成物、該光拡散性樹脂組成物から形成されてなることを特徴とする光拡散性成形体、前記光拡散性樹脂組成物から形成されてなる光拡散板を備えることを特徴とする液晶表示装置、及び210℃以上の融点を有し、粒径0.01〜20μmの粒子状のフッ素樹脂からなる光拡散性付与剤。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水添ポリスチレン系樹脂等の透明樹脂と、粒子状のフッ素樹脂を含有する光拡散性に優れた光拡散性樹脂組成物、この組成物から形成されてなる光拡散性成形体、光拡散板を備える液晶表示装置及び光拡散性付与剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
光拡散性成形体は入射した光を拡散させて出射する成形体であり、全体を均一に照射したくとも光源との位置関係によりそれが困難である場合等に用いられる。例えば、バックライト型の液晶ディスプレイでは、光源とディスプレイ裏面との間に板状の光拡散性成形体を設置して、液晶のすぐ近くのバックライト光源からの光がディスプレイ表面から均一に出射され、ディスプレイ上で明暗が生じないようにしている。
【0003】
このような光拡散性成形体は、光源の光を有効に利用するために、入射光に対する出射光の割合、すなわち、平行光線透過率と拡散光線透過率を合わせた全光線透過率が高くなくてはならない。そのため、入射面で光を反射しにくく、かつ、光を吸収しにくいことが要求される。また、光を拡散させるという目的から光線透過率が十分大きくなくては機能しない。
【0004】
従来、光拡散性成形体として、透明樹脂マトリックス中に粒子を分散させたものが知られている(例えば、特許文献1,2)。このような成形体では、分散させる粒子数を多くすると、光拡散性は向上するが光透過性が低下する。逆に粒子数を少なくすると、光透過性は向上するが光拡散性が低下する。すなわち、光透過性と光拡散性とは逆相関の関係にある。そのため、用途によっては、光透過性あるいは光拡散性のどちらかが不足する場合があり、光透過性と光拡散性がともに高い光拡散性成形体が求められていた。
また、下記特許文献3,4には、光拡散性を付与するためにポリフッ化ビニルが開示されている。しかし、ポリフッ化ビニルを添加した組成物で成形体を成形したものは、十分な光拡散性が得られなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−281408号公報
【特許文献2】
特開平6−107881号公報
【特許文献3】
特開平8−134310号公報
【特許文献4】
特開2001−201613号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れた光拡散性成形体を得ることができる光拡散性樹脂組成物、この組成物から形成されてなる光拡散性成形体、この成形体(光拡散板)を備える液晶表示装置、及び光拡散性付与剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決を図るべく鋭意研究を重ねた結果、水添ポリスチレン系樹脂等の透明樹脂中に、粒径が0.01〜20μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を配合した光拡散性樹脂組成物を使用すると、光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れる光拡散性成形体を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0008】
かくして本発明の第1によれば、透明樹脂と、210℃以上の融点を有するフッ素樹脂とを含有し、該フッ素樹脂が粒径0.01〜20μmの粒子状で存在することを特徴とする光拡散性樹脂組成物が提供される。
本発明の光拡散性樹脂組成物においては、前記フッ素樹脂が250℃以上の融点を有するものであるのが好ましい。
本発明の光拡散性樹脂組成物においては、前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロエチレンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の光拡散性樹脂組成物においては、前記透明樹脂が、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加重合体、脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体、及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環構造含有重合体樹脂であるのが好ましい。
【0010】
本発明の第2によれば、本発明の光拡散性樹脂組成物から形成されてなることを特徴とする光拡散性成形体が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の光拡散性樹脂組成物から形成されてなる光拡散板を備えることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
また、本発明の第4によれば、210℃以上の融点を有し、粒径0.01〜20μmの粒子状のフッ素樹脂からなる光拡散性付与剤が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、1)光拡散性樹脂組成物、2)光拡散性成形体、3)液晶表示装置、及び4)光拡散性付与剤に項分けして詳細に説明する。
【0012】
1)光拡散性樹脂組成物
本発明の第1は、透明樹脂と、210℃以上の融点を有するフッ素樹脂とを含有し、該フッ素樹脂が粒径0.01〜20μmの粒子状で存在することを特徴とする光拡散性樹脂組成物である。
【0013】
(1)透明樹脂
透明樹脂は、後記フッ素樹脂以外の樹脂で、全光線透過率が高いものである。好適には全光線透過率が50%以上、好ましくは80%以上のものである。例えば、ポリメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0014】
本発明に用いる好適な透明樹脂として、脂環構造含有重合体樹脂が挙げられる。この脂環構造含有重合体樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する重合体である。
脂環構造としては、例えば、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造等が挙げられるが、機械的強度、耐熱性等の観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋架け環等が挙げられる。脂環構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環構造含有重合体樹脂は、通常熱可塑性のものである。
【0015】
脂環構造を有する重合体は、通常、脂環構造を有するオレフィン(以下、「脂環式オレフィン」ということがある。)由来の繰り返し単位を含有する。脂環構造を有する重合体中の脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択される。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合が過度に少ないと、透明性、耐熱性が低下することがある。
【0016】
脂環構造を有する重合体は、極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。中でも、エステル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基が好ましい。
【0017】
脂環構造を有する重合体の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物(エチレンやα−オレフィン等)との付加重合体、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体、ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、芳香族オレフイン重合体の芳香環水素添加物等が挙げられる。これらの重合体はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
これらのうち、(i)ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物、(ii)ノルボルネン系単量体とエチレン又はα−オレフィンとの付加重合体、(iii)脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種のものが好ましい。
【0019】
(i)本発明に好適に用いられるノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物は、ノルボルネン系単量体を又はノルボルネン系単量体とそれと開環共重合可能な単量体とを開環重合させ、次いで、不飽和結合部分を水素化したものである。
ノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環構造を有する単量体である。この単量体は、石油精製で得られたC4留分、C5留分などから取り出されたイソプレン、シクロペンタジエンなどと、オレフィンとをディールスアルダー反応等させることによって得られる。具体的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,6,7,8,8a,9a−デカヒドロフルオレンなどが挙げられる。
【0020】
ノルボルネン系単量体は極性基を有するものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシル塞、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられる。極性基を有するノルボルネン系単量体の中では、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基を含有するものが好適である。ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物中におけるノルボルネン系単量体単位の量は、通常50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、特に好ましくは100重量%である。
【0021】
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環状オレフイン類及びその誘導体;シクロへキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体の又はノルボルネン系単量体とそれと開環共重合可能な単量体との開環重合反応は、通常、公知の開環重合触媒の存在下で行われる。開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒、ルテニウム錯体からなる重合触媒などが挙げられる。前記開環重合反応における温度、圧力等は特に限定されない。
【0022】
水素化は、公知の水素化触媒の存在下に水素を供給して重合体と反応させることによって行う。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナ−ト/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネー卜/ジメチルマグネシウムのごとき遷移金族化合物/アルキル金属化合物の組合せからなる均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、バラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/けい藻土、パラジウム/アルミナのごとき金属触媒を単体に担持してなる不均一系固体担持触媒;などが挙げられる。前記開環重合体の水素化反応における、温度、水素圧などは特に制限されない。水素化反応方法として、触媒を重合体溶液に懸濁させておこなう方法や、触媒を固定床などに固定し、その固定床に重合体溶液を流す方法などがあるが、前者の懸濁させて行う方法が好適である。水素化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上である。
【0023】
(ii)本発明に好適に用いられるノルボルネン系単量体とエチレン又はα−オレフィンとの付加重合体は、前記のノルボルネン系単量体と、エチレン又はα−オレフィンとを付加共重合させたものである。
α−オレフインとしては、プロピレン、1一ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ぺンテン、3−エチル−1−ぺンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1一へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4一ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン
などが挙げられる。
【0024】
エチレン又はα−オレフィン以外に、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な単量体を共重合させてもよい。付加共重合可能な単量体としては、1,4一ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4一ヘキサジエン、l,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;1,3一ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3一メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロへキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a一テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。ノルボルネン系単量体とエチレン又はα−オレフィンとの付加重合体中におけるノルボルネン系単量体単位の量は、特に制限されないが、通常10〜99重量%、好ましくは20〜90重量%である。
【0025】
ノルボルネン系単量体と、エチレン又はα−オレフィンとの付加共重合反応は、通常、公知の付加重合触媒の存在下で行われる。付加重合触媒として、例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウムなどの金属化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒;リビングアニオン重合触媒;などが挙げられる。前記付加重合反応における温度、圧力等は、特に限定されない。
【0026】
(iii)本発明に好適に用いられる脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素添加物は、脂環基含有エチレン性不飽和単量体を付加重合して得られるもの、及び芳香族ビニル単量体を付加重合した後、芳香環を水素化して得られるものである。
【0027】
脂環基含有エチレン性不飽和単量体としては、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、α−メチルビニルシクロへキサン、ビニルメチルシクロへキサン、ビニルブチルシクロへキサンのごときビニルシクロアルカン;ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン、ビニルメチルシクロヘキセン、ビニルシクロヘプテンのごときビニルシクロアルケン;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0028】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p一イソプロピルスチレン、p−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メトキンメチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、クロロメチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、ぺンタフルオロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
【0029】
脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素添加物は、脂環基含有エチレン性不飽和単量体又は芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体を共重合させたものであってもよい。
脂環基含有エチレン性不飽和単量体又は芳香族ビニル単量体と他の単量体とを共重合させると、重合体の機械的強度を向上させることができる場合がある。
共重合させるときの脂環基含有エチレン性不飽和単量体又は芳香族ビニル単量体の量は、通常、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0030】
脂環基含有エチレン性不飽和単量体又は芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の単量体としては、1,4−へキサジエン、4−メチル−1,4−へキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンなどが挙げられる。これらのうち、共役ジエンが好適である。脂環基含有エチレン性不飽和単量体又は芳香族ビニル単量体の付加重合反応は、公知のビニル化合物の重合方法と同じ方法で行うことができ、特に制限されない。
【0031】
共重合形態は特に限定されず、ブロック共重合、ランダム共重合のいずれでもよい。ブロック共重合の場合、例えば、芳香族ビニル単量体からなる重合体ブロックAと、その他の単量体からなる重合体ブロックBとが、A−(B−A)n、(B−A)n、B−(A−B)n、(A−B)m−X、(B−A)m−Xなどの構造を有するものが挙げられる。これらのうち、A−(B−A)n、特にA−B−Aの構造を有するものが好ましい(但し、Xはカップリング剤残基を表す。また、n及びmは繰り返し単位数であり、自然数を表す。)。
【0032】
重合体ブロックAと重合体ブロックBとは明確にブロック化されている方が好ましいが、重合体ブロックAの組成から重合体ブロックBの組成に漸次変化するテーパー構造となっていてもよい。またA−B−A構造のように複数の重合体ブロックAで構成されているブロック重合体では、一の重合体ブロックAの分子量が他の重合体ブロックAの分子量と異なっていてもよい。
【0033】
芳香環の水素化は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。水素化触媒としては、前記の開環重合体の水素化で用いることができるものと同じものが挙げられる。水素化触媒反応における、温度、水素圧などは特に制限されない。また、水素化触媒を懸濁させて行う方法、固定床で行なう方法のいずれでも行うことができる。芳香環の水素化率は、通常、80%以上、好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である。
【0034】
本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂は、その分子量によって特に制限されない。ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物又はノルボルネン系単量体とエチレン若しくはα−オレフィンとの付加重合体の分子量は、シクロへキサンまたはテトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜l00,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000の範囲である。
【0035】
脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素添加物の分子量は、シクロへキサンまたはテトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
脂環構造含有重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときには、耐酸性、ガス不透過性などがバランスされ好滴である。
【0036】
脂環構造含有重合体樹脂の分子量分布は、シクロへキサンまたはテトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
脂環構造を有する重合体のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、最も好ましくは125℃以上である。
【0037】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、透明樹脂以外に、他の樹脂、例えばポリエステル、共役ジエン系単量体の重合体、共役ジエン系単量体と(メタ)アクリレートとの共重合体、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリレートとの共重合体、(メタ)アクリレート系単量体の重合体等を含んでいてもよい。他の樹脂の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されない。他の樹脂の含有量は、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
【0038】
(2)フッ素樹脂
本発明の光拡散性樹脂組成物は、透明樹脂に加えて、特定の粒径及び融点を有するフッ素樹脂を含有することを特徴とする。本発明に用いるフッ素樹脂は、分散性に優れ、透明性が高く、耐光安定性、耐熱安定性及び耐薬品性に優れるものが好ましい。
【0039】
本発明に用いるフッ素樹脂は、分子中にフッ素原子を含有する高分子である。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフルオロオレフィンの単独重合体;フルオロオレフィンの2種以上からなるフルオロオレフィンの共重合体;フルオロオレフィンと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体;フルオロオレフィンと、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の含フッ素モノマーとの共重合体;前記フルオロオレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン等のα−オレフィンとの共重合体;等が挙げられる。
【0040】
本発明に用いるフッ素樹脂は、光拡散性樹脂組成物中において、粒径が0.01〜20μmの粒子状、好ましくは粒径が0.1〜15μmの粒子状で存在する。このような粒径をもつ粒子状のフッ素樹脂が存在する光拡散性樹脂組成物を使用することにより、光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れた光拡散性成形体を得ることができる。また、粒径が0.01〜20μmと小さいため、配合量が少なくても、良好な光拡散性能を付与できる。
【0041】
本発明で用いるフッ素樹脂は、本発明の光拡散性樹脂組成物中において、球状に存在するものが多いほど好ましい。球状とは、微粒子の短径/長径が、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上であり、角を有していないものをいう。短径とは、ひとつの微粒子の最も小さな径をいい、長径とは同じ微粒子の最も大きな径をいう。本発明においては、用いる微粒子中の球状微粒子の割合が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。短径、長径、平均粒径、角の有無については、顕微鏡写真の映像を元に測定すればよい。球状でないものが多いと、成形時に分散が不均一になったり、配向性を有し、均一な光拡散性の成形体を得ることが困難となる。
【0042】
光拡散性樹脂組成物中において、フッ素樹脂を粒径が0.01〜20μmの粒子状に存在させる方法としては特に制限されない。例えば、(a)粒径が0.01〜20μmのフッ素樹脂微粒子を使用する方法、(b)フッ素樹脂粉末を透明樹脂とともに粉砕・混練して、フッ素樹脂を粒径が0.01〜20μmの粒子状にする方法等が挙げられる。
【0043】
本発明に用いるフッ素樹脂は、融点が210℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上のものである。本発明の光拡散性樹脂組成物及び該組成物を用いて光拡散性成形体を得るには、高温(220〜230℃)で混練、成形する必要がある。従って、融点が210℃未満のものを使用する場合には、相対的に耐熱性に劣り、混練及び成形時において、フッ素樹脂が熱により部分的に分解して黄変しやすくなり、光透過性、光拡散性に優れた光拡散性成形体を得ることができなくなる。
【0044】
本発明に用いるフッ素樹脂の屈折率は特に限定されないが、透明樹脂の屈折率をn1、フッ素樹脂の屈折率をn2としたときに、(n1−n2)の絶対値が、0.01以上である(|n1−n2|≧0.01)のが好ましい。透明樹脂とフッ素樹脂の屈折率の差が0.01以上である場合には、優れた光拡散性を有する光拡散性成形体を得ることができる。
【0045】
本発明に用いるフッ素樹脂の好ましい具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(融点327℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(融点275℃)、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー(融点270℃)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロエチレンコポリマー、(融点305℃)が挙げられる。
【0046】
本発明の光拡散性樹脂組成物中におけるフッ素樹脂の配合割合は、組成物全体に対して、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部である。フッ素樹脂の添加量があまりに多いと、成形性が劣る組成物となる一方で、添加量があまりに少ないと、得られる光拡散性成形体が光拡散性に劣るものとなる。
【0047】
(3)他の添加剤
本発明の光拡散性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、所望により各種添加剤を添加することができる。例えば、フェノール系やリン系等の老化防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系等の耐光安定剤; 陽イオン性、陰イオン性、非イオン性等の帯電防止剤; カーボン系又は金属系の粉末状又は繊維状の導電性付与剤; 脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステル及び部分エーテル等の滑剤; 等が挙げられる。また、グラファイト等の摺動性剤を添加することもできる。さらに、樹脂の劣化による黄変色がもたらす外観不良を防ぐために、青色着色剤(ブルーイング剤)を添加してもよい。
【0048】
(4)光拡散性樹脂組成物の調製
本発明の光拡散性樹脂組成物を調製する方法は、特に限定されず、通常の溶融混練方法、例えば、1軸混練機や2軸混練機による方法等を採用できる。具体的には、例えば、ペレット状にした透明樹脂と微粒子状のフッ素樹脂とを所定割合で混合し、1軸混練機や2軸混練機を用いて溶融混練して調製することができる。溶融混練時の温度は、透明樹脂やフッ素樹脂の熱分解を抑制するため、200〜280℃、好ましくは210〜260℃、より好ましくは220〜250℃である。
【0049】
得られる光拡散性樹脂組成物は、透明樹脂中にフッ素樹脂等が均一に分散されていることが望ましい。透明樹脂中にフッ素樹脂が均一に分散していない場合には、光拡散性や光透過率にムラを生じるため好ましくない。
【0050】
本発明の光拡散性樹脂組成物の曲げ弾性率は特に制限されないが、ASTM−D790法に基づいて厚さ2mmの板に成形して測定された25℃における曲げ弾性率が、好ましくは10,000〜27,000kgf/cm、より好ましくは、14,000〜24,000kgf/cm、さらに好ましくは17,000〜21,000kgf/cmである。弾性率がこの範囲にあると、成形離型時のゲートの割れ等がなく、切削加工時のクラック等の発生も防止できる。
【0051】
2)光拡散性成形体
本発明の第2は、本発明の光拡散性樹脂組成物から形成されてなる光拡散性成形体である。
本発明の光拡散性樹脂組成物を成形するには、一般の熱可塑性樹脂を成形する方法を採用できる。具体的には、押出し成形法、射出成形法、圧縮成形法、圧空成形法、真空成形法等が用いられる。得られた成形体を光拡散板として使用する場合等において、異なるサイズのものを多品種少量生産する場合は、押出し成形した板状成形体を、切削加工、打抜き加工等の公知の加工方法で所望の形状にすればよく、同サイズのものを多量に生産する場合には射出成形による方法が有利である。また、マット模様を有する光拡散板を製造するには、例えば、光拡散性樹脂組成物をTダイ等により押出し、次いでマット模様を有するロールで挟持加圧して、マット模様をその表面に転写させる方法等によればよい。
【0052】
本発明の光拡散性樹脂組成物の成形条件は、成形方法により適宜選択される。射出成形法の場合、樹脂温度は、通常150〜300℃、好ましくは200〜280℃、より好ましくは220〜250℃の範囲で適宜選択される。押出し成形の場合、樹脂温度は、通常150〜300℃、好ましくは180〜270℃、より好ましくは200〜240℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形体にヒケ、ひずみ、表面荒れを生じるおそれがあり、逆に、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によりシルバーレストリークやダイラインが発生したり、成形物が黄変する等の成形不良が発生するおそれがある。
【0053】
本発明の光拡散性成形体は、用途に応じて任意の形状にすることができる。形状としては、例えば、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、レンズ状、フィルム又はシート形状等が挙げられる。光拡散性成形体の具体例としては、光拡散板、反射防止フィルム、光拡散フィルム、照明カバー、反射型スクリーン、透過型スクリーン、掲示板のバックライト等が挙げられる。
【0054】
3)液晶表示装置
本発明の第3は、本発明の光拡散性樹脂組成物から形成されてなる光拡散板を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
図1に、本発明の液晶表示装置の要部断面図を示す。図1(a)に示す液晶表示装置は透過型の液晶表示装置であり、複数の蛍光放電管(冷陰極管)1、反射板2、光拡散板3、プリズムシート4、及び面型表示モジュール5とで構成されている。面型表示モジュール5は、プリズムシート5上に、第1の偏光板6a、第1のガラス基板7a、第1の電極8a、第1の配向膜9a、液晶層10,第2の配向膜9b、第2の電極8b、カラーフィルター11、第2のガラス基板7b、及び第2の偏光板6bを順次積層することにより形成されている。この液晶表示装置は、内蔵された冷陰極管2により表示モジュールを背面から直接、照明できるものである。
【0055】
図1(a)に示す液晶表示装置は、光拡散板3として、本発明の光拡散性樹脂組成物から成形して得られるものを使用している。この光拡散板3は、光源と照射対象の間に設置され、バックライト光源からの光が均一に出射され、照射面での明暗が均一にする役割を果たす。本発明の光拡散板は、光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れるので、それを用いる液晶表示装置も、光透過性と光拡散性がともに優れ、かつ、耐光安定性、耐熱安定性にも優れるものとなっている。
【0056】
図1(b)に、本発明の光拡散板(「光散乱シート」ともいう。)を備える反射型液晶表示装置の例を示す。図1(b)に示す液晶表示装置は、光の入射側及び出射側に位置する第1の電極板12aと、この第1の電極板12aに対向して配設された第2の電極板12bと、第1の電極板12aと第2の電極板12bとの間に、液晶を封入した液晶層13とで構成された液晶セルを備えている。第1の電極板12aの内面にはX軸方向に延びるストライプ状の透明電極14が形成され、第2電極板12bの内面にはY軸方向に延び、かつ入射光を散乱して反射させるためのストライプ状に光反射電極15が形成され、透明電極14と光反射電極15は互いに対向し、かつ交叉して格子状マトリックスを形成している。入射光の全反射を防止して光散乱性を付与するため、光反射電極15の表面は凹凸が形成されている。また、液晶セルを構成する第1の電極板12aには、粘着剤16aにより光拡散板17が積層され、この光拡散板17には、粘着剤16bにより偏光板18が積層されている。
【0057】
図1(b)に示す液晶表示装置においては、外部光及び/又はフロントライトからの入射光は、フロント側(光の入射及び出射側)に位置する偏光板18により直線偏光に偏光され、液晶セル内の液晶層13に入射した外部光及び/又はフロントライトは、第2の電極板12bの光反射電極15で反射される。また、電極(14,15)間に電圧を印加すると、液晶層13の液晶物質を駆動させ、直線偏光の透過性を抑制し、画像を形成することができる。光反射電極15により、反射して散乱された反射光は、フロント側の光拡散板17により透過散乱し、透過した散乱光は偏光板18により直線偏光にされる。そのため、光拡散板により視野角を拡大できるとともに、偏光板18によりフロント面(表示面)の明るさを向上できる。
【0058】
また、図示を省略しているが、図1(b)において、偏光板18と光拡散板17との間に位相フィルムを積層することもできる。この場合には、光反射電極15により反射して散乱した反射光は、フロント側の光拡散板17によりさらに透過散乱されるだけでなく、透過した散乱光の位相を位相差フィルムにより調整して、偏光板18により直線偏光となる。そのため、光拡散板17により視野角を拡大できるとともに、偏光板18によりフロント面(又は表示面)の明るさを更に向上でき、表示面をさらに鮮明にできる。
【0059】
図1(b)に示す液晶表示装置は、光拡散板17として、本発明の光拡散性樹脂組成物から成形して得られるものを使用している。この光拡散板17は、視野角を拡大する役割を果たす。本発明の光拡散板は、光透過性と光拡散性がともに優れ、さらに耐光安定性、耐熱安定性にも優れるので、それを用いる液晶表示装置も、光透過性と光拡散性がともに優れ、かつ、耐光安定性、耐熱安定性にも優れるものとなっている。
【0060】
なお、図1(a)及び(b)に示す液晶標示装置において、光拡散板以外の他の部材(例えば、電極、偏光板、液晶等)は特に制限されず、液晶表示装置の種類等に応じて、任意のものを選択・使用することができる。
【0061】
4)光拡散性付与剤
本発明の第4は、210℃以上、好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上の融点を有し、粒径0.01〜20μm、好ましくは0.1〜15μmの粒子状のフッ素樹脂からなる光拡散性付与剤である。本発明の光拡散性付与剤は、フッ素樹脂からなるものであるので、透明性が高く、耐光安定性、耐熱安定性、耐薬品性及び分散性に優れる。また、粒径0.01〜20μmの粒子状のフッ素樹脂からなるので、光透過性と光拡散性がともに優れ、少量の配合で優れた光透過性及び光拡散性を付与することができる。
【0062】
本発明の光拡散性付与剤は、成形体に光拡散性を付与する目的で成形用樹脂組成物に添加される。例えば、成形用樹脂組成物に本発明の光拡散性付与剤を添加して得られる組成物を成形することにより、光透過性と光拡散性がともに優れる光拡散性成形体を得ることができる。特に本発明の光拡散性付与剤は、本発明の光拡散性樹脂組成物の製造原料として有用である。
【0063】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」は、特に断りのない限り重量基準である。
各種の試料の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)(水素化)ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定
THFを溶媒にして30℃でGPCにより測定し、標準ポリスチレン換算のMwを求めた。
(2)分子量分布
THFを溶媒にして、30℃でGPCにより測定し、標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を求め、上記(1)で求めたMwのMnに対する比(Mw/Mn)を算出した。
(3)水素化率の測定
水素化ブロック共重合体の主鎖及び芳香環の水素化率は、H−NMRスペクトルを測定し算出した。
【0064】
〔製造例1〕
内部を十分に乾燥した、撹拌装置を備えたステンレス鋼製反応器を窒素置換した後、脱水シクロヘキサン300部、スチレン30部及びジブチルエーテル0.20部を仕込み、60℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.25部を添加して重合反応を開始した。重合反応を1時間行った後、反応溶液中に、スチレン30部を添加し、重合反応をさらに1時間行った。スチレンの転化率は100%であった。その後、イソプレン20部をさらに添加して、重合反応をさらに1時間行った。その後、さらにスチレン20部を添加して、重合反応をさらに1時間継続した後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。
【0065】
次いで、上記重合反応溶液400部を、撹拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、珪藻土担持型ニッケル触媒(商品名:E22U、日揮化学(株)製)3部を添加して混合した。反応器内の気相部を水素ガスで置換した後、溶液を撹拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去し、酸化防止剤であるペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロビオネート](商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)0.1部を添加し、溶解させ、薄膜乾燥機(商品名:コントロ、日立製作所(株)製)を使用して、260℃、1.3hPaの条件で脱溶剤を行った。脱溶剤されたブロック共重合体を押出機で溶融状態でダイからストランドとして押出し、水冷した後、カッティングしてペレットを得た。ここで得られたペレットを樹脂aとする。
【0066】
得られた水素化ブロック共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、「St」と略記する)、イソプレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以下、「Ip」と略記する)、及びStとからなる3元ブロック共重合体であった。該ブロック共重合体のMwは130,000、Mw/Mnは1.20、主鎖及び芳香環の水素化率は99.9%であった。ペレットを220℃で圧縮成形して0.1mm厚みのシートを作製し、アッベ屈折計により測定した屈折率は1.51であった。
【0067】
〔実施例1〕
製造例1で得られた樹脂a l00部と、フッ素樹脂微粒子(商品名:L−150J、旭硝子(株)製、平均粒子径9μm、融点325℃)5部とを、樹脂温度240℃で二軸混練機(型番号:TEM−35B、東芝機械(株)製)を用いて混練し、光拡散性樹脂組成物を得た。この光拡散性樹脂組成物は二軸混練機からストランドに押出し、水冷して、ペレタイザーによりペレット状の光拡散性樹脂組成物を得た。これをペレットAとする。
【0068】
(光拡散板の成形)
上記ペレットAを同様に乾燥した後、射出成形機(型番号:IS450、東芝機械(株)製)により、樹脂温度260℃、金型温度90℃で射出成形し、長さ295mm、幅225mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。
【0069】
(光学特性の評価)
この光拡散板の全光線透過率と拡散光線透過率とを、JIS K7105の方法に従って測定した。これらの光学的指標は、例えば、光拡散板では全光線透過率が高く、拡散光線透過率が大きいことが望ましい。結果を第1表に示す。
【0070】
(耐光安定性の評価)
上記で得た光拡散板に500時間光線を照射し、フェードメーターで、色度の変化を100時間毎に測定した。測定結果を第1表に示す。
【0071】
(機械的特性の評価)
上記で得たペレットAのアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)をASTM D256に従って測定したところ、2.5kg/cm/cmであった。
【0072】
(成形性の評価)
成形性は、前記の光拡散板の射出成形時のシルバー、ヒケ、割れ、等の外観不良の発生有無の確認を行なうことで評価した。目立った不良はなく、外観は良好であった。
【0073】
〔実施例2〜5〕
実施例1のフッ素樹脂(商品名:L−150J、旭硝子(株)製、平均粒径9μm、融点325℃)に代えて、フッ素樹脂(商品名L−169J、旭硝子(株)製、平均粒径13μm、融点332℃、実施例2)5部、フッ素樹脂(商品名L−170J、旭硝子(株)製、平均粒径0.3μm、融点332℃、実施例3)2.5部、フッ素樹脂(商品名L−172J、旭硝子(株)製、平均粒径0.3μm、融点330℃、実施例4)2.5部、またはフッ素樹脂(商品名L−173J、旭硝子(株)製、平均粒径0.2μm、融点330℃、実施例5)2.5部を使用する以外は、実施例1と同様にして光拡散性樹脂組成物を得、この光拡散性樹脂組成物を実施例1と同様にして射出成形して光拡散板を作製して、実施例1と同様に評価した。結果を第1表に合わせて記載した。
【0074】
〔比較例1〕
実施例1のフッ素樹脂(商品名:L−150J、旭硝子(株)製、平均粒径9μm、融点325℃)に代えて、ポリフッ化ビニル樹脂粒子(融点170℃、平均粒径10μm)5部を使用する以外は、実施例1と同様にして光拡散性樹脂組成物を得、この光拡散性樹脂組成物を実施例1と同様にして射出成形して光拡散板を作製した。得られた光拡散板を実施例1と同様に評価した。結果を第1表に合わせて記載した。
【0075】
【表1】
Figure 2004149610
【0076】
第1表に示すように、実施例1〜5で得られた本発明の光拡散性樹脂組成物及び光拡散板は、比較例1の光拡散板と比して、光透過性、光拡散性及び耐光安定性がともに優れていた。
【0077】
〔実施例6〕
実施例1で得られた光拡散板を用いて、図1(a)に示すのと同様な透過型液晶表示装置を作製した。表示モジュールに対して均一な発光面を有する液晶表示装置が得られた。
【0078】
【発明の効果】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、透明性が高く、耐光安定性、耐熱安定性に優れる透明樹脂と210℃以上の高い融点と特定の粒径をもつ粒子状のフッ素樹脂からなる。本発明の組成物を成形することにより、光透過性と光拡散性がともに優れ、耐光安定性、耐熱安定性に優れた光拡散性成形体を得ることができる。本発明の液晶表示装置は、本発明の光拡散板を備えるので、光透過性、光拡散性、耐光安定性及び耐熱安定性に優れている。また、本発明の光拡散性付与剤は、粒径0.01〜20μmの粒子状のフッ素樹脂からなるので、光透過性と光拡散性がともに優れるので、少量の配合であっても、優れた光透過性及び光拡散性を成形体に付与することができる。本発明の光拡散性付与剤は、本発明の光拡散性樹脂組成物の製造原料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の液晶表示装置の要部概略断面図である。図1(a)は透過型液晶標示装置の例であり、図1(b)は反射型液晶表示装置の例である。
【符号の説明】
1…蛍光放電管(冷陰極管)、2…反射板、3…光拡散板、4…プリズムシート、5…面型表示モジュール、6a…第1の偏光板、6b…第2の偏光板、7a…第1のガラス基板、7b…第2のガラス基板、8a…第1の電極、8b…第2の電極、9a…第1の配向膜、9b…第2の配向膜、10、13…液晶層,11…カラーフィルター、12a…第1の電極板、12b…第2の電極板、14…透明電極、15…光反射電極、16a,16b…粘着剤、17…光拡散板、18…偏光板

Claims (7)

  1. 透明樹脂と、210℃以上の融点を有するフッ素樹脂とを含有し、該フッ素樹脂が粒径0.01〜20μmの粒子状で存在することを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
  2. フッ素樹脂が、250℃以上の融点を有するものである請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
  3. フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロエチレンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
  4. 透明樹脂が、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加重合体、脂環基含有エチレン性不飽和単量体の付加重合体、及び芳香族ビニル単量体の付加重合体の芳香環水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂環構造含有重合体樹脂である請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物から形成されてなることを特徴とする光拡散性成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性樹脂組成物から形成されてなる光拡散板を備えることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 210℃以上の融点を有し、粒径0.01〜20μmの粒子状のフッ素樹脂からなる光拡散性付与剤。
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