JP2004149768A - コーティング剤および空洞含有層を有する構造体の製造方法ならびに空洞含有層を有する構造体 - Google Patents

コーティング剤および空洞含有層を有する構造体の製造方法ならびに空洞含有層を有する構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、空洞形状の制御の困難さ、工程の複雑さ、大がかりな装置の必要性などを克服し、内部構造が制御できる上に、容易なプロセスで製造することができる空洞含有層形成用コーティング剤およびそれを用いてなる空洞含有層を有する構造体の製造方法ならびに空洞含有層を有する構造体を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の空洞含有層形成用コーティング剤は、常温で液状の光重合性化合物と、該光重合性化合物に対して相分離する性質を有する溶剤および光重合開始剤の少なくとも3者からなることを特徴とするものである。
また、本発明の空洞含有層を有する構造体の製造方法は、空洞含有層形成用コーティング剤を、少なくとも基材上に塗布し、溶剤を相分離させた状態で、全面に活性エネルギー線を照射した後、分散している溶剤のみを揮発させることにより、空洞を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の空洞含有層を有する構造体は、本発明のコーティング剤を用いて上記方法により製造されてなることを特徴とするものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、内部構造制御性に優れたコーティング剤および空洞含有層を有する構造体の製造方法ならびに空洞含有層を有する構造体に関する。
従来から、内部に空洞を含有する構造体は、様々な分野で使用されている。例えば、クッション材、断熱材などに利用される発泡体や、超純水の製造、薬液の精製、水処理などに使用される分離膜、衣料、サニタリー用途に使用される防水透湿性フィルム、電池セパレータなどに利用される多孔質膜、また、液晶ディスプレイや各種照明器具の反射基材として利用される空洞含有シートなど、あらゆる産業分野で利用されている。
これら構造体の製造方法は以下の方法に分類される。
(1)原料樹脂に熱発泡材を混練してシート化したのち、電子線等を照射することによって架橋後、加熱により発泡させる方法(特許文献1参照)。
(2)原料樹脂に光分解性化合物を添加し、基材上に塗布後、全面に活性エネルギー線を照射して分解させ発泡させる方法(特許文献2参照)。
(3)原料樹脂を良溶媒に溶解して、中空糸、フィルム等の任意の形状に成形し、得られた成形体を貧溶媒に浸漬させ、その際に生じる二相分離現象を利用する相転換法で得る方法(非特許文献1参照)
(4)原料樹脂に、シリカ、アルミナ、無機塩類などの無機充填剤または非相溶の樹脂からなる粒子を加えて成形した後、得られた成形体を延伸し、樹脂と無機充填剤等との界面を剥離させて多孔化する界面剥離法による方法(特許文献3参照)。
(5)熱可塑性樹脂と、その熱可塑性樹脂に対し、室温付近では非溶剤だが高温では溶剤となる潜在的溶剤を加熱混合していったん相溶させた後、冷却固化することにより、樹脂相と溶剤相とに相分離させ、その後高温溶剤を抽出等により除去して多孔体を得る熱誘起相分離法を用いた方法(非特許文献2参照)。
特開平3−221542号公報(2頁) 特開平5−72727号公報(3頁) 特開平5−138844号公報(3〜4頁) 川上浩良, 膜, 26(3), 110-115(2001) 松山秀人, 膜, 26(3), 116-123(2001)
しかしながら、これらの方法には種々の問題を有する。
(1)及び(2)の発泡体を用いる方法では、発泡径を制御することが難しい。また、発泡性化合物の安定性にも問題がある。(3)では、溶媒への浸漬または抽出工程を要し、多くの時間を要する。(4)の方法では、成形体を延伸するための巨大な装置を必要とする。また、(5)においても、分離した高温溶剤の抽出を要する。
また、全体として、原料樹脂のシート化に際して、高温で溶融するなどの操作が必要である。
本発明は、かかる従来技術の問題点である、空洞形状の制御の困難さ、工程の複雑さ、大がかりな装置の必要性などを克服し、内部構造が制御できる上に、容易なプロセスで製造することができる空洞含有層形成用コーティング剤およびそれを用いてなる空洞含有層を有する構造体の製造方法ならびに空洞含有層を有する構造体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の空洞含有層形成用コーティング剤は、常温で液状の光重合性化合物と、該光重合性化合物に対して相分離する性質を有する溶剤および光重合開始剤の少なくとも3者からなることを特徴とするものである。
また、本発明の空洞含有層を有する構造体の製造方法は、空洞含有層形成用コーティング剤を、少なくとも基材上に塗布し、溶剤を相分離させた状態で、全面に活性エネルギー線を照射した後、分散している溶剤のみを揮発させることにより、空洞を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の空洞含有層を有する構造体は、本発明のコーティング剤を用いて上記方法により製造されてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、容易なプロセスで内部構造が制御された空隙を有するコーティング塗膜を得ることが可能となる。
本発明は、前記課題、つまり内部構造が制御できる上に、容易なプロセスで製造することができる用コーティング剤について、鋭意検討し、特定な光重合性化合物と、特定な性質を有する溶剤および光重合開始剤の少なくとも3者とで構成される組成物をコーティング剤として使用してみたところ、上記課題を一挙に解決し、空洞含有層形成に優れたコーティング膜を形成することを究明したものである。
すなわち、本発明のコーティング剤は、少なくとも、常温で液状の光重合性化合物と、該光重合性化合物と相分離する溶剤、光重合開始剤の少なくとも3者からなることを特徴とするものである。
本発明のコンセプトの中心は、溶剤を分散含有させた状態のまま、光重合性化合物からなるマトリックス部分のみ硬化させ、最後に、硬化せずに分散している溶剤を揮発させて、内部に空洞を作製するというものである。ポイントとしては、溶剤の分散状態の制御、光硬化、塗布後の乾燥レスプロセスである。
本発明で用いる光重合性化合物としては、固形分100%の状態で、常温で液状のものを用いる。つまり、コーティング剤として用いる場合に、希釈剤を用いなくても、塗布スジが顕著に現れることのない、塗布性が良好であるものをいい、例えば、25℃で粘度を測定したとき、30000mPa・s以下であるものなどをいう。かかる光重合性化合物とは、光照射により重合するモノマー、オリゴマー、ポリマーを意味するものであり、かかる光重合性化合物の中でもエチレン性不飽和重合性化合物が好ましく、その中でも2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物がより好ましく、さらに3以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
かかる光重合性化合物の例としては、ヘキサンジオールトリアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが好ましく使用される。
これらの光重合性化合物は単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。形態保持性や塗膜強度を高めるために、エチレン性不飽和基を少なくとも3つ有する化合物を含有させると、3次元に架橋することが可能となり、その結果、硬化物の剛性が向上し、経時変化が抑制できるので好ましい。また、かかる光重合性化合物としては、溶剤を安定に分散させたり、形態保持性を付与する上から、適度な粘度、すなわち好ましくは300〜10万mPa・s、より好ましくは5000〜2万mPa・sの粘度のものを使用するのが好ましい。
すなわち、かかる光重合性化合物の粘度が低すぎたり、高すぎたりする場合でも、目的とする空洞含有層は作製することはできるが、低すぎる場合には、しばらくすると溶剤が浮いてきたり、塗布後にレベリングして膜厚が薄くなる傾向があり、また、高すぎる場合には、塗布時にスジなどが入って、平滑な塗膜を作りにくかったり、気泡を噛みやすいなどの傾向がある。
かかる光重合性化合物の粘度は、コーティング剤の組成物全体としての粘度を考慮して、選択して使用すればよく、たとえば、複数の化合物を混合すると、分子間の相互作用により増粘する場合があるので、単独での粘度ではなく、複数の光重合性化合物を混ぜた場合の粘度や、さらに溶剤を含んだ状態での粘度として、1000mPa・s以上、2000〜20000mPa・sに調整するのが好ましい。また、相分離させるということは、相溶性が低い、つまり貧溶媒であるということを意味するものであるから、混合時に凝集することのない化合物を選択するのが好ましい。
硬化後の塗膜特性および溶剤の安定分散性に鑑み、ポリエステルアクリレートやウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの感光性オリゴマーを使用することが好ましい。
本発明で用いる溶剤は、上記光重合性化合物と相分離する溶剤である。相分離現象は、常温で起こってもよいし、加熱時に起こってもよい。常温で相分離するとは、例えば、25℃で混ぜ合わせた場合において、溶け合わない状態をいう。また、加熱状態で相分離するとは、例えば、常温では相溶して透明である組成物を加熱することにより、相溶性を低下させて相分離させるもののことなどをいう。これには、例えば、常温で水素結合の作用により相溶していた2成分が、加熱により、該水素結合が切れ、それぞれの成分が凝集することにより、相分離状態が生成する場合などが挙げられる。ただし、加熱する場合には、当然ながら溶剤の沸点より十分に低い温度領域において処理する必要がある。ここでは、常温で相分離する方が、プロセスも簡便になり、省エネルギーでもあり好ましい。
かかる溶剤の例としては、光重合性化合物に合わせて多種多様のものを使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、水などを使用することができるが、かかる溶剤がどれでも使用することができるわけではない。
すなわち、かかる溶剤は、光重合性化合物に対して相分離する性質を有する溶剤である必要があり、上述の溶剤から選択して使用しなければならない。たとえば光重合性化合物が、ポリエステルアクリレートである場合には、水、メタノール、エタノールなどのポリエステルアクリレートと相分離するものを選択して使用するのが好ましい。上述の溶剤のうちでは、安全衛生上や引火性による取扱い上の問題、および自然環境に対する影響の観点から、水を用いるのが好ましい。
かかる溶剤量は、該コーティング剤中に好ましく1〜30wt%、より好ましくは1〜20wt%がよい。すなわち、かかる溶剤量が多すぎる場合、活性光線を照射してもコーティングした膜の硬化を阻害することがあり、また、少なすぎる場合には、元々の含量が少なく、また揮発するなどの影響により、十分な空洞が形成されないことがある。
また、空洞含有層を作製する工程において、該溶剤の沸点が高すぎる場合、空洞を生成させるための該溶剤の蒸発が困難となり、また、該溶剤の沸点が低すぎる場合、工程途中での揮発が顕著となり、塗膜中の溶剤量を保持するのが難しくなるために、安定して製造することが困難となる傾向がある。
また、溶剤として水を用いる場合には、コーティング剤の組成物としてさらに水溶性の化合物を添加することも好ましい態様である。この場合、水溶性化合物は水と溶け合うため、コーティング剤の相分離状態は、光重合性化合物に水および水溶性化合物が溶け合った相が分散した構造となる。この場合、溶剤である水を揮発させた後も分散相内部に水溶性化合物が残るため、得られる構造体は空洞内部にさらに樹脂の塊が入った入れ子構造となる。
入れ子構造にすることにより、内部が完全な空洞である場合に比べて、溶剤の添加量を減らすことができるため構造体の乾燥収縮を小さくすることが可能となること、また同数の空洞でも気固界面数を増やすことができること等の特徴がある。
ここで、水溶性化合物としては、分子中にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基またはそれらの塩、アミド基、ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基などの親水基を有する化合物等が挙げられ、中でも、常温で固体である化合物、または活性エネルギー線を照射することにより固化する光重合性の化合物であることが好ましい。
常温で固体である化合物の例としては、上記親水基を含有する水溶性のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。また、活性エネルギー線を照射することにより固化する水溶性の光重合性化合物の例としては、分子内にエチレン性不飽和結合を有するものであれば特に限定されず用いられる。この場合、固化物のTgも好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。ここで、常温で固体であること、または活性エネルギー線により固化する化合物を用いるのは、構造体形成後に入れ子構造が緩和しないようにするためである。
また、光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類、などが使用される。これら光重合開始剤は、各々の感光波長、活性エネルギー線の波長、コーティング膜の厚みなどを加味して選ばれるため、単独で用いるだけでなく、複数のものを組み合わせて用いることがある。かかる光重合開始剤の添加量としては、感光性の成分に対して、好ましくは0.1〜10wt%添加して用いられる。
本発明の空洞含有層形成用コーティング剤には、界面活性剤が好ましく添加される。かかる界面活性剤を添加することにより、溶剤の安定分散が実現され、経時でも分散状態が保持されるし、また、内部構造の制御も容易にできるようになるので好ましい。
かかる界面活性剤の例としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが好ましく用いられる。
かかるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンステロールエーテル型、ポリオキシエチレンラノリン誘導体型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型、脂肪酸グリセリド型、ポリグリセリン脂肪酸エステル型、ソルビタン脂肪酸エステル型、プロピレングリココール脂肪酸エステル型、脂肪酸アルカノールアミド型、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド型、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、アルキルアミンオキサイド型等が用いられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、脂肪族の第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩や、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼントニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが用いられる。
また、アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチドなどのカルボン酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩などの燐酸エステル塩等が用いられる。
また、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリニウムベタイン型、レシチン型等が用いられる。
界面活性剤の特性を表す数値として、HLB値がある。このHLB値が低い場合は、油中水型の分散状態が、HLB値が高い場合は、水中油型の分散状態が、それぞれ得られる傾向にある。
また、該組成物中におけるそれぞれの化合物の混合割合によっても分散状態が変化する。このため、本発明のコーティング剤に添加する界面活性剤の種類および混合比率により、内部の分散形態を容易に変化させることが可能となり、このコーティング剤を用いて作製した空洞含有層の内部構造を制御することができるようになる。また、かかる界面活性剤の添加により、コーティング剤組成物全体の分散状態の経時安定性が向上するため好ましい。かかる効果を好都合に奏させる上から、かかる界面活性剤の添加量は、好ましくは1〜20wt%とするのがよい。
また、本発明のコーティング剤には、好ましくは光重合性の乳化剤を添加配合するのがよい。かかる乳化剤としては、先に挙げた界面活性剤の骨格に、重合性の炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するものを好ましく使用することができる。かかる界面活性能を有する重合性の乳化剤を用いることにより、硬化後の滲み出しなどを抑制することが可能となる。かかる光重合性の乳化剤の添加配合量は、上記効果を奏させる上から、好ましくは1〜20wt%である。
空洞中に樹脂粒子が分散した構造とは水中油滴型である。本発明のコーティング剤の場合には固形分比率が多いために、一部が水中油滴型となりやすい。例えば、表面および底面に樹脂層があり、それらに挟まれた空間に樹脂粒子が含まれているような構造などが挙げられる。
樹脂中に空洞が分散した構造とは油中水滴型である。また、樹脂と空洞の共連続構造とはそれらの中間である。
これらのうち、どの構造をとるかは用いる組成物、特に界面活性剤または光重合性の乳化剤などの組み合わせによって任意に変えることができる。
本発明のコーティング剤には、各種添加剤を使用してもよい。かかる添加剤としては、無機粒子などの充填材、造膜助剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定化剤、顔料、染料、可塑剤、粘度調整剤、酸化防止剤等が用いられる。
本発明の空洞含有層を有する構造体の製造方法は、コーティング剤を基材上に塗布し、相分離状態の塗膜全面に活性エネルギー線を照射後、最後に溶剤を蒸発させる工程を経る。
塗布方法としては、マルチロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットダイコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、スプレコーティング、オフセットグラビアコーティング、スピンコーティング等の方法で行うことができる。
本発明の形成方法において、塗布後の乾燥工程は必要としない。厚膜の場合、この工程が律速となることがあるため、省略することにより高生産性が実現できる。
また、塗膜は常温で相分離状態であるのが好ましいが、少々加熱することにより、該相分離状態が誘起されてもよく、その場合は、塗布後に加熱工程が入る。
ここでは、工程途中の溶剤の蒸発を避けることが好ましい。例えば、好ましい溶剤である水を分散させた塗膜からの水の蒸発を避けるためには、塗布工程中の徹底した湿度管理することが好ましい。また、塗膜面にカバーフィルムを貼り付けるなどの処置をしてもよい。
塗布後、全面に活性エネルギー線を照射することによって、塗膜中では溶剤が分散形状を保持したまま硬化する。ここでいう活性エネルギー線としては、紫外線、可視光、電子線、X線等が用いられるが、これらの中でも、紫外線または電子線が好ましく使用される。さらに、照射中にかかる活性エネルギー線により、塗膜が加熱されると、溶剤が蒸発してしまうため、照射装置中に熱線カットフィルターなどが装着されていることが好ましい。
硬化後、分散した溶剤を揮発させるために、好ましくは加熱したり、減圧乾燥したりするのがよい。
また、ここでは相分離状態を活性エネルギー線で硬化させているが、組成物の組み合わせによっては、相溶状態の塗膜を硬化した後に溶剤を揮発させても空洞含有層が形成されることがある。その場合、該塗膜の中に溶剤が相溶しているため、分散径が相分離系に比べ小さくなる傾向がある。
本発明のコーティング剤で形成される塗膜の空洞含有構造は、空洞中に樹脂粒子が分散した入れ子構造、樹脂中に空洞が分散した構造、空洞中に樹脂粒子が分散した構造、樹脂と空洞の共連続構造のうちから選ばれる構造のいずれかである。
かかるコーティング剤によって形成される塗膜の厚みとしては、特に限定されないが、好ましくは5〜200μmの範囲であるのが、容易に作製する上からよい。かかる本発明の空洞含有層は、単層で用いることもできるし、基材とともに積層構造の構造体として用いることも可能である。
単層で用いる場合でも、その製造において、一度基材上に塗布して形態を整えた後、基材と剥離して用いる。
積層構造の構造体の場合、用いる基材の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等の有機フィルム基材、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼、チタン等の金属基材、スレート、コンクリート等の無機基材、などに適用可能である。また、かかる基材は、下地調整材、下塗り材などの処理が施されたものであっても良い。これら基材は透明、着色、白濁状態など、特に限定されずにどんなものにも好ましく積層される。つまり、他の機能をもった基材との複合体としての構成も好ましい。
基材の厚みは特に限定されないし、基材種類によって異なる。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルム基材を用いる場合、機械的強度等の面から20〜500μm、より好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。
本発明の空洞含有塗膜によって様々な効果が期待できる。
マトリックス樹脂と空気との高い屈折率差を利用して、光拡散性、光反射性が得られる。また、空洞を含有するという特徴からは低比重、低誘電率、断熱性、絶縁性という性能をもったシートが得られる。また、空洞を微細化することにより系の見かけの屈折率を低下させた低屈折率の塗膜も得られ、反射防止膜などとしても利用できる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(R)QT40 膜厚100μm)上に下記組成物1をブレードコーターを用いて、厚み100μmで塗布した。
(組成物1)
ポリエステルアクリレート 10 重量部
アロニックス8060(東亜合成(株)製)
水 0.5 重量部
光重合開始剤 0.05重量部
イルガキュア907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
すなわち、上記組成物はスパチュラで混合した後、15分静置したのち塗布したものである。なお、静置後の組成物は相分離し白濁状態であった。また、5時間静置後に塗剤を観察すると、水が表面に浮いた2層分離状態であった。
得られた塗膜の全面に、超高圧水銀灯を用いて200mJ/cm2露光した。次いで、常温で20分間真空乾燥することで求める空洞含有層を形成した。
得られたフィルムのヘイズは73%であった。断面を観察すると、分布をもった微小空洞が樹脂中に分散する構造であった。
(実施例2,3)
実施例1において、水の添加量を1.25重量部(実施例2)、2.5重量部(実施例3)とした以外は実施例1と同様にして空洞含有層を形成した。
どちらの塗剤も15分静置後は相分離して白濁していた。5時間静置後は同様に2層分離した。
得られたフィルムのヘイズは91%(実施例2)、92%(実施例3)を示した。また、断面を観察したところ、実施例1と同様に微小空洞が樹脂中に分散する構造であった。
(実施例4)
PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”QT40 膜厚100μm)上に下記組成物2をブレードコーターを用いて、厚み100μmで塗布した。
(組成物2)
ポリエステルアクリレート 10 重量部
アロニックス8060(東亜合成(株)製)
界面活性剤 1.5 重量部
ノイゲンET−143(第一工業製薬(株)製 HLB:12.1)
水 1.5 重量部
光重合開始剤 0.05重量部
イルガキュア907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
すなわち、上記組成物はスパチュラで混合した後、15分静置したのち塗布したものである。静置後の組成物は相分離し白濁状態であり、泡を噛み混んで泡状であった。また、5時間静置後および1日静置後も塗剤は安定に分散していることを確認した。
得られた塗膜の全面に、超高圧水銀灯を用いて200mJ/cm2露光した。次いで、常温で20分間真空乾燥することで求める空洞含有層を形成した。
得られたフィルムのヘイズは93%であった。断面を観察すると、基材側および表面に5μmの層と、その内部に数〜20μm程度の分布を持った樹脂の球状粒子が空洞の中に分散する構造がみられた。
(実施例5)
PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”QT40 膜厚100μm)上に下記組成物3をブレードコーターを用いて、厚み100μmで塗布した。
(組成物3)
ポリエステルアクリレート 10 重量部
アロニックス8060(東亜合成(株)製)
界面活性剤 2.5 重量部
ノイゲンET−135(第一工業製薬(株)製 HLB:13.3)
水 2.5 重量部
光重合開始剤 0.05重量部
イルガキュア907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
すなわち、上記組成物はスパチュラで混合した後、15分静置したのち塗布したものである。静置後の組成物は相分離し白濁状態であった。また、5時間静置後および1日静置後も塗剤は安定に分散していることを確認した。
得られた塗膜の全面に、超高圧水銀灯を用いて200mJ/cm2露光した。次いで、常温で20分間真空乾燥することで求める空洞含有層を形成した。
得られたフィルムのヘイズは83%であった。断面を観察すると、微小空洞が樹脂中に分散する構造であった。
(実施例6)
PETフィルム(東レ(株)製“ルミラー”(R)QT40 膜厚100μm)上に下記組成物4をブレードコーターを用いて、厚み100μmで塗布した。
(組成物4)
ポリウレタンアクリレート 10 重量部
ユニディック RS23−179(大日本インキ(株)製)
水溶性ポリエステル樹脂水溶液(固形分25%) 3 重量部
ペスレジンA−120(高松油脂(株)製、ポリマーTg:72℃)
光重合開始剤 0.05重量部
イルガキュア907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
得られた塗膜の全面に、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2露光した。次いで、常温で20分間真空乾燥することで求める空洞含有層を形成した。
得られたフィルムのヘイズは75%であった。断面を観察すると、5〜20μmの分布をもった空洞中に樹脂が入った入れ子構造が確認された。
(比較例1)
実施例1において、組成物1の水を、光重合性化合物であるポリエステルアクリレートを溶解するメチルエチルケトンに置き換える以外は、実施例1と同様にして実験した。組成物は混合した後も透明状態であった。
全面露光、真空乾燥後の塗膜も透明で、断面を観察しても内部に空洞は見られなかった。

Claims (10)

  1. 常温で液状の光重合性化合物と、該光重合性化合物に対して相分離する性質を有する溶剤および光重合開始剤の少なくとも3者からなることを特徴とする空洞含有層形成用コーティング剤。
  2. 該空洞含有層形成用コーティング剤が、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の空洞含有層形成用コーティング剤。
  3. 該光重合性化合物が、光重合性の乳化剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の空洞含有層形成用コーティング剤。
  4. 該溶剤が、水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空洞含有層形成用コーティング剤。
  5. 該コーティング剤が、常温で固体である水溶性の化合物を含有することを特徴とする請求項4記載の空洞含有層形成用コーティング剤。
  6. 該コーティング剤が、活性エネルギー線の照射により固化する水溶性の光重合性化合物を含有することを特徴とする請求項4記載の空洞含有相形成用コーティング剤。
  7. 該空洞含有層形成用コーティング剤が、有機溶剤を含有しないことを特徴とする請求項4記載の空洞含有層形成用コーティング剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の空洞含有層形成用コーティング剤を、少なくとも基材上に塗布し、溶剤を相分離させた状態で、全面に活性エネルギー線を照射した後、分散している溶剤のみを揮発させることにより、空洞を形成することを特徴とする空洞含有層を有する構造体の製造方法。
  9. 請求項8記載の方法により製造されてなることを特徴とする空洞含有層を有する構造体。
  10. 請求項9記載の空洞含有層を有する構造体であって、該空洞が入れ子構造であることを特徴とする空洞含有層を有する構造体。
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