JP2004149983A - 炭素繊維製造用アクリル繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】油剤処理工程における単繊維内部のボイドへの油剤の侵入が少なく、耐炎化工程あるいは炭素化工程における構造欠陥や糸切れが少なく、更に繊維相互の膠着を防止し、高い性能の炭素繊維を製造することができる炭素繊維製造用アクリル繊維炭素繊維を提供する。
【解決手段】乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数が8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンである炭素繊維製造用アクリル繊維。
【選択図】 なし
【解決手段】乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数が8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンである炭素繊維製造用アクリル繊維。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維製造用アクリル繊維に関する。更に詳述すれば、本発明は油剤処理工程では単繊維内部のボイドへの油剤の侵入を少なくし、耐炎化工程、炭素化工程では耐炎化繊維相互の膠着を防止し、高い品質の炭素繊維を得ることができる炭素繊維製造用アクリル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、炭素繊維製造用にアクリル繊維を使用し、耐炎化処理及び炭素化処理を経て高性能炭素繊維が得られることは広く知られており、工業的に実施されている。
【0003】
特に近年は、炭素繊維の用途はスポーツ・レジャー用品用途から航空宇宙分野、特に航空機の一次構造材にまで用途展開している。さらに、炭素繊維の高い比強度、比弾性の特性を生かして製品の軽量化を図ることにより省エネルギー化を図り、これにより排出CO2の削減に寄与すべく各産業界が注目し、研究している。
【0004】
これに伴い、高性能、低コスト、更に取扱性に優れる高品質な性能の炭素繊維が要求されている。このような、高性能炭素繊維の製造において、原料繊維であるアクリル繊維の特性は目的物である炭素繊維の性能に直接影響する。従って、高性能・低コストで且つ取扱性の改善がなされた炭素繊維用アクリル繊維の開発が望まれている。
【0005】
一般にアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、通常200〜300℃の酸化性ガス雰囲気中で、いわゆる耐炎化処理を行い、次いで、350℃以上の不活性ガス雰囲気中で炭素化処理又は黒鉛化処理を行う。この場合200〜300℃における耐炎化処理時に、ストランド(数百本乃至数万本の単繊維からなる繊維束)を構成する単繊維相互の膠着、並びに、糸切れなどが発生し易く、これらトラブルの発生を防止することが製造上重要である。
【0006】
このため、ベースオイルとして主にジメチルシリコーンにアミノ基等を付与した変性シリコーン(アミノ変性シリコーン)油剤が多く用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0007】
特に耐炎化処理における単繊維の融着を効果的に低減させるには、油剤により繊維表面を均一にコーティングする必要があり、紡糸工程での1次オイルだけではなく、更に焼成工程前での2次的なオイル付与が効果的である。1次オイルとしては、紡糸工程における工程安定性を重視した油剤が必要である。
【0008】
例えば、脂肪族エステル塩やシリコーン系油剤が用いられるが、これらに限定されるものではない。また、塩などによる炭素繊維への影響を無くすため、極少量の付与量で十分である。しかしながら、膠着抑制を期待する2次オイルとしては、主にジメチルシリコーンにアミノ基等を付与した変性シリコーンが多く用いられている。
【0009】
これらの油剤は、水エマルジョンとして炭素繊維製造用アクリル繊維に付与される。油剤を有機溶剤等に溶解して付与することも可能であるが、作業環境の悪化等が考えられるため、水エマルジョン系にて用いることが好ましい。
【0010】
しかし、これらのシリコーン系油剤を用いる場合、耐炎化時の膠着発生の防止には効果があるものの、これらのシリコーン系油剤を水エマルジョンの状態にして焼成前のプリカーサーに付与した場合、耐炎化繊維の比重低下及び炭素繊維の強度低下を招く問題がある。
【0011】
この繊維の比重低下及び強度低下は、以下のようにして起こると考えられる。
【0012】
水エマルジョンとして油剤を使用するためには、ベースオイルを乳化させる乳化剤が不可欠となる。現在、主に扱われる乳化剤は、高級アルコール或はフェニルエーテル類にエチレンオキシド(EO)を付加したものである(例えば、特許文献5、6参照)。
【0013】
エマルジョンとしての長期安定性を保持させるためには、EO付加モル数の異なる複数の乳化剤を多く使用しなければならない。
【0014】
しかし、乳化剤のEO付加モル数が多く且つ乳化剤が多成分の異なるEO付加モル数の混合系になっていることによるが、そのような乳化剤によって調製された油剤を炭素繊維製造用アクリル繊維に付与した場合、耐炎化処理時、炭素化処理時に悪影響を及ぼしている可能性がある。
【0015】
例えば、油剤付与時に単繊維内部のボイドに侵入し、耐炎化繊維、炭素繊維の構造欠陥を造り出してしまうことが予想される。なお、油剤の単繊維内部への侵入については、特許文献7に記載がある。
【0016】
【特許文献1】
特開昭52−34025号公報(第3〜4頁)
【特許文献2】
特開昭56−49022号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開昭60−99011号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特許第2589192号公報(第2頁)
【特許文献5】
特公平6−57888号公報(第2〜3頁)
【特許文献6】
特開平8−209543号公報(第2〜4頁)
【特許文献7】
特開昭58−120819号公報(第2〜3頁)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、炭素繊維製造用アクリル繊維において、油剤の単繊維内部への侵入に関し、変性シリコーンを用いた系や、乳化剤について検討した。従来、このことについて検討した例は無い。
【0018】
この検討を続けているうちに、本発明者は、単繊維内部に侵入した油剤のEOが発熱反応を引き起こし、耐炎化処理時に斑(むら)を発生させると考えた。
【0019】
エマルジョンを形成するに当たり乳化剤は必要不可欠であるが、炭素繊維にとっては不必要な要素である。以上のことを考慮すると、高品位な炭素繊維を製造するためには、EO付加モル数を制御した単一成分の乳化剤を用いてベースオイルを乳化し、炭素繊維製造用アクリル繊維に付与することが望ましいことを知得した。
【0020】
また、上記乳化剤は単一成分であればフェニル基を有する系でも良いが、ノニルフェノール等の有害性を考慮すると、アルキルエーテル系が好適であることを知得した。
【0021】
以上の乳化剤を用いて得られたアミノ変性シリコーン油剤を付与した炭素繊維製造用アクリル繊維は、油剤処理工程における単繊維内部のボイドへの油剤の侵入が少なく、耐炎化工程あるいは炭素化工程における構造欠陥や糸切れが少なく、更に繊維相互の膠着を防止し、高い性能の炭素繊維であることを知得し本発明を完成するに到った。
【0022】
よって、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した、炭素繊維製造用アクリル繊維を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0024】
〔1〕 乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数が8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンである炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0025】
〔2〕 乳化剤の配合量がベースオイル100質量部に対し5〜30質量部である〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0026】
〔3〕 ベースオイルが、25℃における動粘度が50〜1000センチストークス、アミノ当量が500〜10000g/molのアミノ変性シリコーンである〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0027】
〔4〕 油剤のアクリル繊維への付着量が、アクリル繊維乾燥質量当たり0.1〜1.5質量%である〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、EO付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数(Rの炭素数)が8〜18のポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンであることを特徴とする。
【0030】
乳化剤のEO付加モル数が20を超える場合は、乳化剤の親水性が高くなって、アクリル繊維の有する水分との置換が容易に起こり、繊維内部のボイドへの油剤の侵入が著しくなり、このアクリル繊維から得られる炭素繊維において構造欠陥を招くので好ましくない。
【0031】
一方、ベースオイルのアミノ変性シリコーンの乳化が可能である必要があるため、乳化剤のEO付加モル数は1以上であることが好ましい。
【0032】
なお、上記したように乳化剤は、単一成分のPOEアルキルエーテルであるが、その配合量はベースオイル100質量部に対し5〜30質量部であることが好ましい。ここで単一成分とは、Rの炭素数及びEO付加モル数の何れもが同一の乳化剤成分を示し、数種類の乳化剤の混合系ではない。
【0033】
乳化剤がPOEアルキルエーテルの場合、その構造式は下記式[1]
【0034】
【化1】
【0035】
で示される。
【0036】
ベースオイルは、25℃における動粘度が50〜1000センチストークス(5.0×10−5〜1.0×10−3m2/s)、アミノ当量が500〜10000g/molのアミノ変性シリコーンであることが好ましい。
【0037】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、例えば以下の方法で製造することができる。
【0038】
アクリロニトリルを好ましくは90質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を含む紡糸溶液を湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗した後、紡糸工程安定性を重視した処理剤で処理し、次いで、乾燥・延伸して得られる繊維に、乳化剤とベースオイルとが配合された油剤水エマルジョンを付与する。
【0039】
乳化剤とベースオイルとが配合された油剤のアクリル繊維への付与の割合(付着量)は、アクリル繊維乾燥質量当たり0.1〜1.5質量%であることが好ましく、0.15〜0.5質量%であることが更に好ましい。
【0040】
油剤付着量が0.1質量%より少ない場合は、耐炎化工程でのアクリル繊維の収束性が劣り、この耐炎化工程以降での工程通過性は著しく損なわれるので好ましくない。
【0041】
一方、油剤付着量が1.5質量%を超える場合は、目的とする単繊維強度を得ることが出来ないので好ましくない。
【0042】
なお、油剤のアクリル繊維への付与には、浸漬法、スプレー法、ローラー転写法、キスタッチ法等を採用することができるが、アクリル繊維ストランドにおける個々の単繊維に均一に付与し易いことから浸漬法が好ましい。
【0043】
本発明に用いるアミノ変性シリコーンは、200〜300℃の加熱により、アクリル繊維表面に皮膜を形成する物であれば、特に限定されるものではないが、一般的には下記式[2]
【0044】
【化2】
【0045】
に示される化合物である。
【0046】
このようなアミノ変性シリコーンを用いることは、耐炎化工程において皮膜を形成し、この皮膜はストランドの収束性を向上させ、粘着性がないため繊維間の膠着が無く、またローラーやガイド類への油剤皮膜(スカム)の付着も無いため、工程通過性も良好で連続した操業が可能となる。
【0047】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0048】
以下の実施例及び比較例の条件により炭素繊維製造用アクリル繊維、耐炎化繊維、及び炭素繊維を作製した。炭素繊維製造用アクリル繊維、耐炎化繊維、及び炭素繊維の諸物性値を、以下の方法により測定した。
【0049】
[比重]
液置換法(JIS K 0061、置換液:アセトン)により測定した。
【0050】
[膠着数]
各種フィラメントストランド、即ち耐炎化繊維ストランド又は炭素繊維ストランドを3mmの長さに切断し、アセトン10mlの入った100mlビーカーに投入し、超音波振動を10秒間以上付与し、光学顕微鏡にて20倍の倍率で観察することにより、融着箇所をカウントし膠着数とした。
【0051】
[単繊維強度]
JIS L 1069、JIS L 1015に規定された方法により測定した。
【0052】
[小角X線散乱強度]
理学電機(株)製:RINT1200型X線回折装置、理学電機(株)製:CN4057B1型X線発生装置、理学電機(株)製:SC−50型シンチレーションカウンターを使用し、以下の条件で測定した。
【0053】
(装置の設定)
▲1▼ X線は、管球Cu、管電圧40kV、管電流40mAにて発生させ、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を使用した。
▲2▼ 光学系はゴニオメーターを使用した。
▲3▼ スリット幅は、第一スリット0.08mm、第二スリット0.06mm、第三スリット0.14mm、受光スリット0.10mm、受光スリットの縦散乱スリット0.01mmであった。尚、第一、第二、第三スリットは、一般的に発散スリットと言われるものである。
▲4▼ 検出器は、シンチレーターとしてTlで活性化したNaI単結晶を使用したシンチレーションカウンターを用いた。
【0054】
(試料の調製)
10万デニール相当のストランドを平行に引揃え、気温10〜30℃の室内に1日以上放置した後、水分率2質量%まで乾燥させた。
【0055】
(測定と計算)
▲1▼ まず、バックグラウンド散乱の強度(B)を、上記の装置に試料をセットせずに、散乱角2θ=0.4゜において、1秒間のカウント数、すなわちcpsを単位として測定した。ここで、バックグラウンド散乱とは、空気中で測定することによって生ずる散乱や装置のスリットによる散乱を併せたものをいう。
▲2▼ 次に、試料である10万デニール相当のストランドを、繊維軸と垂直方向の散乱を計測するため、繊維軸がX線スリットの長手方向と平行になるようにゴニオメーターにセットし、上記と同様に散乱角2θ=0.4゜においてストランド10万デニール当たりの散乱強度(S)をcpsを単位として測定した。
▲3▼ 散乱角2θ=0.4゜におけるストランド10万デニール当たりの散乱強度(S)を、次式
F=S−B
によりcpsを単位として計算した。
【0056】
小角X線散乱とは、細く絞ったX線が試料の内部を通過する際に粗密構造により散乱されて広がる現象である。したがって、理論的に、不均一構造物が多いほど散乱強度が小さい。散乱の様子は、散乱角2θ=0゜付近を最大とするX線強度の分布として測定される。
【0057】
[実施例1]
アクリロニトリル92質量%、メタクリル酸メチル6質量%、アクリル酸メチル2質量%アクリロニトリル92質量%、メタクリル酸メチル6質量%、アクリル酸メチル2質量%からなる共重合体を、65質量%の塩化亜鉛溶液に溶解し紡糸原液を得た。それを湿式紡糸法にて紡糸・水洗後、水膨潤状態のアクリル繊維を得た。
【0058】
これを脂肪族リン酸エステルで処理した後、乾燥・延伸処理を施し、単繊維度0.65dのフィラメント12000本からなるアクリル繊維を得た。得られたアクリル繊維を、EO付加モル数5、Rの炭素数12のPOEアルキルエーテル乳化剤と、ベースオイルであるアミノ変性シリコーンを配合した油剤水エマルジョンに浸漬し、油剤付与量0.3質量%の炭素繊維製造用アクリル繊維を得た。その後、240〜260℃の温度にて耐炎化処理を行い、次いで不活性ガス雰囲気中300〜1300℃の温度勾配を有する炭素化炉にて炭素化を行い、炭素繊維とした。得られた結果を表1に示す。
【0059】
[実施例2]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が7であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
[実施例3]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が10であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が15であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
[実施例5]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が20であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が25であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維の比重が低く、耐炎化が進んでいないことが認められた。また、炭素繊維の単繊維強度は低いものであった。更に、耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0064】
[比較例2]
油剤水エマルジョンによるアクリル繊維への付与をしなかった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示すように耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0065】
[実施例6]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が10であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
[実施例7]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が16であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
[比較例3]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が6であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維の比重が低く、耐炎化が進んでいないことが認められた。また、炭素繊維の単繊維強度は低く、炭素繊維の膠着数が多いものであった。
【0068】
[比較例4]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が22であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、所定の乳化剤で乳化した水エマルジョンのアミノ変性シリコーンが付与されてなるので、耐炎化繊維及び炭素繊維における膠着数を低減することが出来る。また、上記乳化剤のEO付加モル数が少ないので、耐炎化繊維の比重は高く、緻密で高強度の炭素繊維を得ることが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維製造用アクリル繊維に関する。更に詳述すれば、本発明は油剤処理工程では単繊維内部のボイドへの油剤の侵入を少なくし、耐炎化工程、炭素化工程では耐炎化繊維相互の膠着を防止し、高い品質の炭素繊維を得ることができる炭素繊維製造用アクリル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、炭素繊維製造用にアクリル繊維を使用し、耐炎化処理及び炭素化処理を経て高性能炭素繊維が得られることは広く知られており、工業的に実施されている。
【0003】
特に近年は、炭素繊維の用途はスポーツ・レジャー用品用途から航空宇宙分野、特に航空機の一次構造材にまで用途展開している。さらに、炭素繊維の高い比強度、比弾性の特性を生かして製品の軽量化を図ることにより省エネルギー化を図り、これにより排出CO2の削減に寄与すべく各産業界が注目し、研究している。
【0004】
これに伴い、高性能、低コスト、更に取扱性に優れる高品質な性能の炭素繊維が要求されている。このような、高性能炭素繊維の製造において、原料繊維であるアクリル繊維の特性は目的物である炭素繊維の性能に直接影響する。従って、高性能・低コストで且つ取扱性の改善がなされた炭素繊維用アクリル繊維の開発が望まれている。
【0005】
一般にアクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、通常200〜300℃の酸化性ガス雰囲気中で、いわゆる耐炎化処理を行い、次いで、350℃以上の不活性ガス雰囲気中で炭素化処理又は黒鉛化処理を行う。この場合200〜300℃における耐炎化処理時に、ストランド(数百本乃至数万本の単繊維からなる繊維束)を構成する単繊維相互の膠着、並びに、糸切れなどが発生し易く、これらトラブルの発生を防止することが製造上重要である。
【0006】
このため、ベースオイルとして主にジメチルシリコーンにアミノ基等を付与した変性シリコーン(アミノ変性シリコーン)油剤が多く用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0007】
特に耐炎化処理における単繊維の融着を効果的に低減させるには、油剤により繊維表面を均一にコーティングする必要があり、紡糸工程での1次オイルだけではなく、更に焼成工程前での2次的なオイル付与が効果的である。1次オイルとしては、紡糸工程における工程安定性を重視した油剤が必要である。
【0008】
例えば、脂肪族エステル塩やシリコーン系油剤が用いられるが、これらに限定されるものではない。また、塩などによる炭素繊維への影響を無くすため、極少量の付与量で十分である。しかしながら、膠着抑制を期待する2次オイルとしては、主にジメチルシリコーンにアミノ基等を付与した変性シリコーンが多く用いられている。
【0009】
これらの油剤は、水エマルジョンとして炭素繊維製造用アクリル繊維に付与される。油剤を有機溶剤等に溶解して付与することも可能であるが、作業環境の悪化等が考えられるため、水エマルジョン系にて用いることが好ましい。
【0010】
しかし、これらのシリコーン系油剤を用いる場合、耐炎化時の膠着発生の防止には効果があるものの、これらのシリコーン系油剤を水エマルジョンの状態にして焼成前のプリカーサーに付与した場合、耐炎化繊維の比重低下及び炭素繊維の強度低下を招く問題がある。
【0011】
この繊維の比重低下及び強度低下は、以下のようにして起こると考えられる。
【0012】
水エマルジョンとして油剤を使用するためには、ベースオイルを乳化させる乳化剤が不可欠となる。現在、主に扱われる乳化剤は、高級アルコール或はフェニルエーテル類にエチレンオキシド(EO)を付加したものである(例えば、特許文献5、6参照)。
【0013】
エマルジョンとしての長期安定性を保持させるためには、EO付加モル数の異なる複数の乳化剤を多く使用しなければならない。
【0014】
しかし、乳化剤のEO付加モル数が多く且つ乳化剤が多成分の異なるEO付加モル数の混合系になっていることによるが、そのような乳化剤によって調製された油剤を炭素繊維製造用アクリル繊維に付与した場合、耐炎化処理時、炭素化処理時に悪影響を及ぼしている可能性がある。
【0015】
例えば、油剤付与時に単繊維内部のボイドに侵入し、耐炎化繊維、炭素繊維の構造欠陥を造り出してしまうことが予想される。なお、油剤の単繊維内部への侵入については、特許文献7に記載がある。
【0016】
【特許文献1】
特開昭52−34025号公報(第3〜4頁)
【特許文献2】
特開昭56−49022号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開昭60−99011号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特許第2589192号公報(第2頁)
【特許文献5】
特公平6−57888号公報(第2〜3頁)
【特許文献6】
特開平8−209543号公報(第2〜4頁)
【特許文献7】
特開昭58−120819号公報(第2〜3頁)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、炭素繊維製造用アクリル繊維において、油剤の単繊維内部への侵入に関し、変性シリコーンを用いた系や、乳化剤について検討した。従来、このことについて検討した例は無い。
【0018】
この検討を続けているうちに、本発明者は、単繊維内部に侵入した油剤のEOが発熱反応を引き起こし、耐炎化処理時に斑(むら)を発生させると考えた。
【0019】
エマルジョンを形成するに当たり乳化剤は必要不可欠であるが、炭素繊維にとっては不必要な要素である。以上のことを考慮すると、高品位な炭素繊維を製造するためには、EO付加モル数を制御した単一成分の乳化剤を用いてベースオイルを乳化し、炭素繊維製造用アクリル繊維に付与することが望ましいことを知得した。
【0020】
また、上記乳化剤は単一成分であればフェニル基を有する系でも良いが、ノニルフェノール等の有害性を考慮すると、アルキルエーテル系が好適であることを知得した。
【0021】
以上の乳化剤を用いて得られたアミノ変性シリコーン油剤を付与した炭素繊維製造用アクリル繊維は、油剤処理工程における単繊維内部のボイドへの油剤の侵入が少なく、耐炎化工程あるいは炭素化工程における構造欠陥や糸切れが少なく、更に繊維相互の膠着を防止し、高い性能の炭素繊維であることを知得し本発明を完成するに到った。
【0022】
よって、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した、炭素繊維製造用アクリル繊維を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0024】
〔1〕 乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数が8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンである炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0025】
〔2〕 乳化剤の配合量がベースオイル100質量部に対し5〜30質量部である〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0026】
〔3〕 ベースオイルが、25℃における動粘度が50〜1000センチストークス、アミノ当量が500〜10000g/molのアミノ変性シリコーンである〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0027】
〔4〕 油剤のアクリル繊維への付着量が、アクリル繊維乾燥質量当たり0.1〜1.5質量%である〔1〕に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、EO付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数(Rの炭素数)が8〜18のポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンであることを特徴とする。
【0030】
乳化剤のEO付加モル数が20を超える場合は、乳化剤の親水性が高くなって、アクリル繊維の有する水分との置換が容易に起こり、繊維内部のボイドへの油剤の侵入が著しくなり、このアクリル繊維から得られる炭素繊維において構造欠陥を招くので好ましくない。
【0031】
一方、ベースオイルのアミノ変性シリコーンの乳化が可能である必要があるため、乳化剤のEO付加モル数は1以上であることが好ましい。
【0032】
なお、上記したように乳化剤は、単一成分のPOEアルキルエーテルであるが、その配合量はベースオイル100質量部に対し5〜30質量部であることが好ましい。ここで単一成分とは、Rの炭素数及びEO付加モル数の何れもが同一の乳化剤成分を示し、数種類の乳化剤の混合系ではない。
【0033】
乳化剤がPOEアルキルエーテルの場合、その構造式は下記式[1]
【0034】
【化1】
【0035】
で示される。
【0036】
ベースオイルは、25℃における動粘度が50〜1000センチストークス(5.0×10−5〜1.0×10−3m2/s)、アミノ当量が500〜10000g/molのアミノ変性シリコーンであることが好ましい。
【0037】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、例えば以下の方法で製造することができる。
【0038】
アクリロニトリルを好ましくは90質量%以上含有する単量体を重合した共重合体を含む紡糸溶液を湿式又は乾湿式紡糸法において紡糸・水洗した後、紡糸工程安定性を重視した処理剤で処理し、次いで、乾燥・延伸して得られる繊維に、乳化剤とベースオイルとが配合された油剤水エマルジョンを付与する。
【0039】
乳化剤とベースオイルとが配合された油剤のアクリル繊維への付与の割合(付着量)は、アクリル繊維乾燥質量当たり0.1〜1.5質量%であることが好ましく、0.15〜0.5質量%であることが更に好ましい。
【0040】
油剤付着量が0.1質量%より少ない場合は、耐炎化工程でのアクリル繊維の収束性が劣り、この耐炎化工程以降での工程通過性は著しく損なわれるので好ましくない。
【0041】
一方、油剤付着量が1.5質量%を超える場合は、目的とする単繊維強度を得ることが出来ないので好ましくない。
【0042】
なお、油剤のアクリル繊維への付与には、浸漬法、スプレー法、ローラー転写法、キスタッチ法等を採用することができるが、アクリル繊維ストランドにおける個々の単繊維に均一に付与し易いことから浸漬法が好ましい。
【0043】
本発明に用いるアミノ変性シリコーンは、200〜300℃の加熱により、アクリル繊維表面に皮膜を形成する物であれば、特に限定されるものではないが、一般的には下記式[2]
【0044】
【化2】
【0045】
に示される化合物である。
【0046】
このようなアミノ変性シリコーンを用いることは、耐炎化工程において皮膜を形成し、この皮膜はストランドの収束性を向上させ、粘着性がないため繊維間の膠着が無く、またローラーやガイド類への油剤皮膜(スカム)の付着も無いため、工程通過性も良好で連続した操業が可能となる。
【0047】
【実施例】
本発明を以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0048】
以下の実施例及び比較例の条件により炭素繊維製造用アクリル繊維、耐炎化繊維、及び炭素繊維を作製した。炭素繊維製造用アクリル繊維、耐炎化繊維、及び炭素繊維の諸物性値を、以下の方法により測定した。
【0049】
[比重]
液置換法(JIS K 0061、置換液:アセトン)により測定した。
【0050】
[膠着数]
各種フィラメントストランド、即ち耐炎化繊維ストランド又は炭素繊維ストランドを3mmの長さに切断し、アセトン10mlの入った100mlビーカーに投入し、超音波振動を10秒間以上付与し、光学顕微鏡にて20倍の倍率で観察することにより、融着箇所をカウントし膠着数とした。
【0051】
[単繊維強度]
JIS L 1069、JIS L 1015に規定された方法により測定した。
【0052】
[小角X線散乱強度]
理学電機(株)製:RINT1200型X線回折装置、理学電機(株)製:CN4057B1型X線発生装置、理学電機(株)製:SC−50型シンチレーションカウンターを使用し、以下の条件で測定した。
【0053】
(装置の設定)
▲1▼ X線は、管球Cu、管電圧40kV、管電流40mAにて発生させ、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を使用した。
▲2▼ 光学系はゴニオメーターを使用した。
▲3▼ スリット幅は、第一スリット0.08mm、第二スリット0.06mm、第三スリット0.14mm、受光スリット0.10mm、受光スリットの縦散乱スリット0.01mmであった。尚、第一、第二、第三スリットは、一般的に発散スリットと言われるものである。
▲4▼ 検出器は、シンチレーターとしてTlで活性化したNaI単結晶を使用したシンチレーションカウンターを用いた。
【0054】
(試料の調製)
10万デニール相当のストランドを平行に引揃え、気温10〜30℃の室内に1日以上放置した後、水分率2質量%まで乾燥させた。
【0055】
(測定と計算)
▲1▼ まず、バックグラウンド散乱の強度(B)を、上記の装置に試料をセットせずに、散乱角2θ=0.4゜において、1秒間のカウント数、すなわちcpsを単位として測定した。ここで、バックグラウンド散乱とは、空気中で測定することによって生ずる散乱や装置のスリットによる散乱を併せたものをいう。
▲2▼ 次に、試料である10万デニール相当のストランドを、繊維軸と垂直方向の散乱を計測するため、繊維軸がX線スリットの長手方向と平行になるようにゴニオメーターにセットし、上記と同様に散乱角2θ=0.4゜においてストランド10万デニール当たりの散乱強度(S)をcpsを単位として測定した。
▲3▼ 散乱角2θ=0.4゜におけるストランド10万デニール当たりの散乱強度(S)を、次式
F=S−B
によりcpsを単位として計算した。
【0056】
小角X線散乱とは、細く絞ったX線が試料の内部を通過する際に粗密構造により散乱されて広がる現象である。したがって、理論的に、不均一構造物が多いほど散乱強度が小さい。散乱の様子は、散乱角2θ=0゜付近を最大とするX線強度の分布として測定される。
【0057】
[実施例1]
アクリロニトリル92質量%、メタクリル酸メチル6質量%、アクリル酸メチル2質量%アクリロニトリル92質量%、メタクリル酸メチル6質量%、アクリル酸メチル2質量%からなる共重合体を、65質量%の塩化亜鉛溶液に溶解し紡糸原液を得た。それを湿式紡糸法にて紡糸・水洗後、水膨潤状態のアクリル繊維を得た。
【0058】
これを脂肪族リン酸エステルで処理した後、乾燥・延伸処理を施し、単繊維度0.65dのフィラメント12000本からなるアクリル繊維を得た。得られたアクリル繊維を、EO付加モル数5、Rの炭素数12のPOEアルキルエーテル乳化剤と、ベースオイルであるアミノ変性シリコーンを配合した油剤水エマルジョンに浸漬し、油剤付与量0.3質量%の炭素繊維製造用アクリル繊維を得た。その後、240〜260℃の温度にて耐炎化処理を行い、次いで不活性ガス雰囲気中300〜1300℃の温度勾配を有する炭素化炉にて炭素化を行い、炭素繊維とした。得られた結果を表1に示す。
【0059】
[実施例2]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が7であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
[実施例3]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が10であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
[実施例4]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が15であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
[実施例5]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が20であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのEO付加モル数が25であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維の比重が低く、耐炎化が進んでいないことが認められた。また、炭素繊維の単繊維強度は低いものであった。更に、耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0064】
[比較例2]
油剤水エマルジョンによるアクリル繊維への付与をしなかった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示すように耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0065】
[実施例6]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が10であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
[実施例7]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が16であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
[比較例3]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が6であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維の比重が低く、耐炎化が進んでいないことが認められた。また、炭素繊維の単繊維強度は低く、炭素繊維の膠着数が多いものであった。
【0068】
[比較例4]
油剤水エマルジョンにおけるPOEアルキルエーテルのRの炭素数が22であった以外は、実施例1と同様の条件で炭素繊維を作製した。得られた結果は、表1に示すように耐炎化繊維も炭素繊維も膠着数が多いものであった。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維製造用アクリル繊維は、所定の乳化剤で乳化した水エマルジョンのアミノ変性シリコーンが付与されてなるので、耐炎化繊維及び炭素繊維における膠着数を低減することが出来る。また、上記乳化剤のEO付加モル数が少ないので、耐炎化繊維の比重は高く、緻密で高強度の炭素繊維を得ることが出来る。
Claims (4)
- 乳化剤とベースオイルとが配合された油剤が付与されてなる炭素繊維製造用アクリル繊維であって、乳化剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜20、アルキル基の炭素数が8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテルの単一成分であり、ベースオイルがアミノ変性シリコーンである炭素繊維製造用アクリル繊維。
- 乳化剤の配合量がベースオイル100質量部に対し5〜30質量部である請求項1に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
- ベースオイルが、25℃における動粘度が50〜1000センチストークス、アミノ当量が500〜10000g/molのアミノ変性シリコーンである請求項1に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
- 油剤のアクリル繊維への付着量が、アクリル繊維乾燥質量当たり0.1〜1.5質量%である請求項1に記載の炭素繊維製造用アクリル繊維。
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