JP2004152809A - Ptcヒーターの発熱量切替え方法及びptcヒーターを使用した暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温で通電を開始した際に大電流が流れるという不都合を回避すること。構造設計をシンプルとすること。低発熱から高発熱への切り替えで従来よりも発熱量をアップすると共に、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えることができ、所望の発熱量を容易に得ること。同じ発熱面積のままで発熱量が切り替え可能となり、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小を容易にすること。システム構成や制御仕様を簡素化すること。
【解決手段】素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共にこの両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加してPTCヒーター1を構成する。低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なう。
【選択図】 図1
【解決手段】素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共にこの両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加してPTCヒーター1を構成する。低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なう。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PTCヒーターの発熱量切替え方法及びPTCヒーターを使用した暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の暖房装置8として、例えば図10に示すように、PCT特性を有する素体シート2の両端に電極3,4を配置し、電極3,4間に電圧を印加することで面全体が発熱するPTCヒーター1’が多く用いられる。
【0003】
従来のPTCヒーター1’は、温度の変化を素子の電気抵抗の変化に変換する正のサーミスタの一種であり、高発熱時において発熱量が低下する「発熱量自己制御」機能により、異常な温度上昇がないようにする特性や、面全体が発熱するので表面温度ムラがないようにするという特性を有している。このようなPTC特性には、低発熱時でヒータに通電を開始すると、図10(a)の矢印方向に急激に大きな電流が流れるという特性も有している。このため、低発熱時の電流特性を考慮して、電気容量設計をしなければならなかった。例えば図11に示すように、使いたい温度30℃で発熱量が1000W、0℃(低発熱時)で1500WのPTC特性とすると、設計上は1500Wの電気容量をもたせる必要があり、より低い温度が想定されれば、それに合わせて電気容量をより高く設定する必要がある。図11中のAは使いたい温度(発熱量)領域、Bはより大きな電流が流れる低い低温度領域、Cは発熱量が低下する高い高温度領域をそれぞれ示している。そのために従来では、使用開始時のみ、通常使用する電気容量と比較して、より大きな電気容量・設備等を必要とするという問題があった。
【0004】
また、一定時間後にPTCヒーター1’の発熱量を変化させる場合の手段として、従来では、PTCヒーター1’への通電時間・位相制御により、通電率を変化させて発熱量を可変とする方法、或いは、例えば図12に示すように発熱量の違う2つ以上のPTCヒーター1a’,1b’を持ち、適宜切り替え・併用する方法などを行なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、前者の方法では、2路、3路スイッチ程度の切り替えでは不可であり、通電時間・位相制御するためのコントローラーが別途必要となる。そのうえ、PTCヒーター1’として、使用する最大発熱量のものが必要であり、通常使用時には発熱量が過剰になる可能性がある。一方、後者(特許文献1)の方法では、PTCヒーター1’を複数個使用するため、図12に示すように2枚同じ大きさのPTCヒーター1a’,1b’を重ねないと同じ発熱面積での発熱量アップが図れなくなり、イニシャルコストのアップ、設置スペースの拡大などが生じ、またシステム構成や制御仕様が複雑になるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−241841号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、低温で通電を開始した際に大電流が流れるという不都合を回避でき、しかも構造設計がシンプルとなり、さらに低発熱から高発熱への切り替えで従来よりも発熱量をアップできると共に、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えることができ、所望の発熱量を容易に得ることができ、そのうえ同じ発熱面積のままで発熱量が切り替え可能となり、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるようにしたPTCヒーターの発熱量切替え方法及びPTCヒーターを使用した暖房装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のうちの請求項1に係るPTCヒーター1の発熱量切替え方法にあっては、素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加してPTCヒーター1を構成し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうことを特徴としている。
【0009】
また請求項2に係るPTCヒーター1を使用した暖房装置8にあっては、素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加して構成されるPTCヒーター1と、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうための電極切り替え手段6とを具備することを特徴としている。
【0010】
このように構成することで、PTCヒーター1に電極5を1個以上追加して、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に通電する電極3〜5の切り替えを行なって発熱量を変化させることによって、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができる。また、配置した全電極3〜5のうち通電する電極を選択するだけで、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えて発熱量を変化させることができると共に、追加する電極数に応じてPTCヒーター1の単位面積当たりの発熱量アップを図ることができる上に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となり、そのうえ簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態のPTCヒーター1は、図1、図2に示すように、PTC特性を有する素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に、両端の電極3,4間に電極3,4と平行に1個以上の電極5を追加し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なう構造を有している。
【0013】
上記素体シート2は、例えば熱可塑性樹脂などの発熱組成物から形成され、正温度係数特性を有する発熱体である。なお熱可塑性樹脂としては例えば結晶性熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、PTCヒーター1が敷設される床構造は特に限定されるものではなく、コンクリート床、根太直付き床、荒床等の床構造が広く含まれる。また、ユニット化した暖房装置8を床バネルの上に施工するものでもよい。
【0014】
上記両端の電極3,4及び追加電極5は、例えば可撓性を有する電極線で構成されている。この電極線を素体シート2に固定する方法として、素体上に電極線を圧接する方法、素体に電極線を縫い込む方法、素体内に電極線を埋め込む方法などが挙げられる。本例では、素体シート2に3個の電極線を配置し、必要発熱量に合わせて、通電する電極の切り替えを行なう。図1は、電極3本(単相100V)の例であり、図1(a)の低温時(使用開始時など)においては、両端の電極3,4のみに通電して、矢印7aの方向に電流を流す。このとき追加電極5は使用されない。図1(b)の高温時においては全電極3〜5に通電して、電極3,5間及び電極4,5間に矢印7b,7cの方向にそれぞれ電流を流す。これにより、従来の4倍の発熱量が得られる。発熱量が4倍になる理由として、発熱面積(幅)が1/2になると、電極間抵抗値は1/2となるので、発熱量は2倍となり、さらに追加電極5の両側の2枚の発熱体面積は両端の電極3,4間の1枚の広い発熱体面積に相当するので、トータルの発熱量は計4倍となる。
【0015】
なお、両端の電極3,4間に1個の電極5を追加する場合を説明したが、2個以上追加してもよく、この場合、電極数が増えると発熱量が(電極数−1)の2乗倍に増加する。例えば、図7に示すように、電極5を2個追加した場合は発熱量は計9倍となる。
【0016】
次に、低温時から高温時に推移する過程で電極3〜5を切り替える方法として、図4に示す電極切り替え手段6が使用される。この電極切り替え手段6は、商用電源10が投入された後、低温時においては一定時間経過するまでの間はPTCヒーター1の両端の電極3,4のみ通電を行ない、一定温度に到達した時点で通電する電極3〜5を切り替えるためのものであり、図4に示す例では、1つの片切スイッチ12と1つの3路スイッチ13を使用して通電切り替えを行なっている。なお電源線11として図5に示すような1本の陽線14と1本のアース線15とを備えた2芯VVFケーブル11Aが使用される。先ず低温時においては、図4(a)に示すように、片切スイッチ12を一端の電極4から離し、3路スイッチ13を一端の電極4に接続することで、両端の電極3,4のみを使用し、追加電極5は使用しない状態となる。この状態では図1(a)のように両端の電極3,4に陽線14とアース線15がそれぞれ接続されて電圧(100V)が印加される。その後、高発熱時には、図4(b)に示すように、片切スイッチ12を一端の電極4に接続し、3路スイッチ13を追加電極5に接続することにより全電極3〜5を使用した発熱に切り替えられる。このとき図1(b)のように両端の電極3,4にアース線15、追加電極5に陽線14が接続されて、それぞれの電極3,5間:4,5間にそれぞれ電圧(100V)が印加されるようになる。なお、片切スイッチ12と3路スイッチ13の配置は図4の例には限らず、例えば図6に示すように、片切スイッチ12と3路スイッチ13の位置を互いに入れ替えても同様な発熱切り替えを行なうことができる。また本例では、電源線11として2芯VVFケーブル11Aを用いた場合を説明したが、3芯VVFケーブル等を用いることも可能である。
【0017】
次に、上記構成のPTCヒーター1を実際の暖房装置8として使用する場合において、温度センサー付き多電極ヒーターを利用して以下のような電極切り替えを行なう。図8は、電極数が3個の場合のシステム構成図を示している。温度が低いときには、前述のように低発熱側の電極接続を行ない、電流値の上昇を抑える。温度が高いときには、前述のように高発熱側の電極接続を行ない、適切な発熱量を確保する。また、コントローラ16で暖房装置8の温度を測定し、発熱量切り替え温度に達したら、切り替えを行なう。
【0018】
ここで図9(a)(b)は同上の発熱量切り替えにおいて、温度上昇と電流値の推移の一例を示している。図9(a)のように所定の電流値で電極切り替えを行なうことによって、低発熱時の電流値を抑えることができる。なお図9(a)中のDは使いたい温度(発熱量)領域、Eは高発熱領域、Fは電流値の低い低発熱領域をそれぞれ示し、図9(a)中の実線ラインLは本発明の電極切り替えを行なう場合の電流値であり、破線ラインL1は電極切り替えをしない従来例の電流値である。これにより、低温時における電流値(突入電流値)を従来よりも低くすることができるようになっている。図9(b)中のM1は低発熱領域での温度推移を示し、M2は高発熱領域での温度推移を示している。
【0019】
しかして、PTCヒーター1の両端の電極3,4間に、電極3,4と平行に少なくとも1個の電極5を追加し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極3〜5の切り替えを行なうことで発熱量を変化させるので、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができ、従って、通常使用する電気容量よりも少ない電気容量・設備で済むようになる。しかも、配置した全電極3〜5のうち通電する電極を選択するだけで、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えて発熱量を変化させることができるので、ヒーターの素体としては低発熱用のもの1種類でよくなり、暖房装置8の構造設計がシンプルなものとなる。また例えば1個の電極5を追加すれば、低発熱から高発熱への切り替えで、同じ発熱面積のままで従来の4倍の発熱量が得られるなど、追加する電極数に応じてPTCヒーター1の単位面積当たりの発熱量アップを図ることができる上に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となる。さらに、従来のように発熱量の違うPTCヒーター1を2つ以上備え、適宜切り替え・併用する必要もないため、簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるものである。
【0020】
このように床暖房に際して、高発熱時において全電極3〜5に通電することで広い発熱面積を確保できると同時に従来と同じ発熱面積で高い発熱量を確保できるものとなり、また使いたい発熱面積に応じて通電する電極3〜5を選択することで、床の局所的な暖房を実現できる。そのうえ、既存のPTCヒーター1の両端の電極3,4と平行に、1個以上の電極5を追加するだけで、簡単な製造工程によって発熱量の高いPTCヒーター1を製造できるものであり、大量生産に適合できるものである。
【0021】
なお、本発明に係るPTCヒーター1の発熱量切替え方法及びPTCヒーター1を使用した暖房装置8は、床暖房に限らず、壁暖房、天井暖房などにも広く適用可能であることは勿論のことである。
【0022】
【発明の効果】
上述のように請求項1に係るPTCヒーターの発熱量切替え方法にあっては、素体シートの両端に電極を配置すると共にこの両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加してPTCヒーターを構成し、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように電極切り替えを行なうことを特徴とする。
【0023】
また請求項2に係るPTCヒーターを使用した暖房装置にあっては、素体シートの両端に電極を配置すると共にこの両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加して構成されるPTCヒーターと、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように電極切り替えを行なうための電極切り替え手段とを具備することを特徴とする。
【0024】
このような請求項1の方法、請求項2の装置を採用することで、PTCヒーターに電極を1個以上追加して、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に通電する電極を切り替えて発熱量を変化させることによって、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができ、従って低温時においては、通常使用する電気容量よりも少ない電気容量・設備で済むようになる。
また高発熱時には電極の切り替えによって必要に応じた発熱量を変化させることができるので、ヒーターの素体としては低発熱用のもの1種類でよくなり、暖房装置の構造設計がシンプルなものとなる。また高発熱時において通電する電極を選択することにより、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えることができ、例えば1個の電極を追加すれば、低発熱から高発熱への切り替えで、同じ発熱面積のままで従来の4倍の発熱量が得られることとなり、追加する電極数に応じてPTCヒーターの単位面積当たりの発熱量アップを図ることができると共に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小を容易に実現することができる。さらに、従来のように発熱量の違うPTCヒーターを2つ以上備え、適宜切り替え・併用する必要もないため、簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示し、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時の説明図である。
【図2】同上のPTCヒーターの断面図である。
【図3】同上のPTCヒーターの発熱量が従来の4倍になる理由の説明図である。
【図4】同上の配線切り替えにおいて片切スイッチと3路スイッチとを用いた場合の一例であり、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時を示す図である。
【図5】同上の電源線として使用されるVVFケーブルの斜視図である。
【図6】同上の片切スイッチと3路スイッチを入れ替えた場合の説明図である。
【図7】同上の電極数が4個の場合において、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時の説明図である。
【図8】同上の電極数が3個の場合のシステム構成図である。
【図9】同上の発熱量切り替えにおいて、(a)(b)は温度上昇と電流値の推移の例を示すグラフである。
【図10】(a)は従来のPTCヒーターの正面図、(b)は断面図である。
【図11】従来のPTC特性を説明するグラフである。
【図12】従来の2枚のPTCヒーターを重ねて発熱量アップを図る場合の説明図である。
【符号の説明】
1 PTCヒーター
2 素体シート
3,4 両端の電極
5 追加電極
6 電極切り替え手段
16 暖房装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、PTCヒーターの発熱量切替え方法及びPTCヒーターを使用した暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の暖房装置8として、例えば図10に示すように、PCT特性を有する素体シート2の両端に電極3,4を配置し、電極3,4間に電圧を印加することで面全体が発熱するPTCヒーター1’が多く用いられる。
【0003】
従来のPTCヒーター1’は、温度の変化を素子の電気抵抗の変化に変換する正のサーミスタの一種であり、高発熱時において発熱量が低下する「発熱量自己制御」機能により、異常な温度上昇がないようにする特性や、面全体が発熱するので表面温度ムラがないようにするという特性を有している。このようなPTC特性には、低発熱時でヒータに通電を開始すると、図10(a)の矢印方向に急激に大きな電流が流れるという特性も有している。このため、低発熱時の電流特性を考慮して、電気容量設計をしなければならなかった。例えば図11に示すように、使いたい温度30℃で発熱量が1000W、0℃(低発熱時)で1500WのPTC特性とすると、設計上は1500Wの電気容量をもたせる必要があり、より低い温度が想定されれば、それに合わせて電気容量をより高く設定する必要がある。図11中のAは使いたい温度(発熱量)領域、Bはより大きな電流が流れる低い低温度領域、Cは発熱量が低下する高い高温度領域をそれぞれ示している。そのために従来では、使用開始時のみ、通常使用する電気容量と比較して、より大きな電気容量・設備等を必要とするという問題があった。
【0004】
また、一定時間後にPTCヒーター1’の発熱量を変化させる場合の手段として、従来では、PTCヒーター1’への通電時間・位相制御により、通電率を変化させて発熱量を可変とする方法、或いは、例えば図12に示すように発熱量の違う2つ以上のPTCヒーター1a’,1b’を持ち、適宜切り替え・併用する方法などを行なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、前者の方法では、2路、3路スイッチ程度の切り替えでは不可であり、通電時間・位相制御するためのコントローラーが別途必要となる。そのうえ、PTCヒーター1’として、使用する最大発熱量のものが必要であり、通常使用時には発熱量が過剰になる可能性がある。一方、後者(特許文献1)の方法では、PTCヒーター1’を複数個使用するため、図12に示すように2枚同じ大きさのPTCヒーター1a’,1b’を重ねないと同じ発熱面積での発熱量アップが図れなくなり、イニシャルコストのアップ、設置スペースの拡大などが生じ、またシステム構成や制御仕様が複雑になるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−241841号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、低温で通電を開始した際に大電流が流れるという不都合を回避でき、しかも構造設計がシンプルとなり、さらに低発熱から高発熱への切り替えで従来よりも発熱量をアップできると共に、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えることができ、所望の発熱量を容易に得ることができ、そのうえ同じ発熱面積のままで発熱量が切り替え可能となり、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるようにしたPTCヒーターの発熱量切替え方法及びPTCヒーターを使用した暖房装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のうちの請求項1に係るPTCヒーター1の発熱量切替え方法にあっては、素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加してPTCヒーター1を構成し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうことを特徴としている。
【0009】
また請求項2に係るPTCヒーター1を使用した暖房装置8にあっては、素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に両端の電極3,4間に少なくとも1個の電極5を追加して構成されるPTCヒーター1と、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうための電極切り替え手段6とを具備することを特徴としている。
【0010】
このように構成することで、PTCヒーター1に電極5を1個以上追加して、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に通電する電極3〜5の切り替えを行なって発熱量を変化させることによって、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができる。また、配置した全電極3〜5のうち通電する電極を選択するだけで、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えて発熱量を変化させることができると共に、追加する電極数に応じてPTCヒーター1の単位面積当たりの発熱量アップを図ることができる上に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となり、そのうえ簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態のPTCヒーター1は、図1、図2に示すように、PTC特性を有する素体シート2の両端に電極3,4を配置すると共に、両端の電極3,4間に電極3,4と平行に1個以上の電極5を追加し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なう構造を有している。
【0013】
上記素体シート2は、例えば熱可塑性樹脂などの発熱組成物から形成され、正温度係数特性を有する発熱体である。なお熱可塑性樹脂としては例えば結晶性熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、PTCヒーター1が敷設される床構造は特に限定されるものではなく、コンクリート床、根太直付き床、荒床等の床構造が広く含まれる。また、ユニット化した暖房装置8を床バネルの上に施工するものでもよい。
【0014】
上記両端の電極3,4及び追加電極5は、例えば可撓性を有する電極線で構成されている。この電極線を素体シート2に固定する方法として、素体上に電極線を圧接する方法、素体に電極線を縫い込む方法、素体内に電極線を埋め込む方法などが挙げられる。本例では、素体シート2に3個の電極線を配置し、必要発熱量に合わせて、通電する電極の切り替えを行なう。図1は、電極3本(単相100V)の例であり、図1(a)の低温時(使用開始時など)においては、両端の電極3,4のみに通電して、矢印7aの方向に電流を流す。このとき追加電極5は使用されない。図1(b)の高温時においては全電極3〜5に通電して、電極3,5間及び電極4,5間に矢印7b,7cの方向にそれぞれ電流を流す。これにより、従来の4倍の発熱量が得られる。発熱量が4倍になる理由として、発熱面積(幅)が1/2になると、電極間抵抗値は1/2となるので、発熱量は2倍となり、さらに追加電極5の両側の2枚の発熱体面積は両端の電極3,4間の1枚の広い発熱体面積に相当するので、トータルの発熱量は計4倍となる。
【0015】
なお、両端の電極3,4間に1個の電極5を追加する場合を説明したが、2個以上追加してもよく、この場合、電極数が増えると発熱量が(電極数−1)の2乗倍に増加する。例えば、図7に示すように、電極5を2個追加した場合は発熱量は計9倍となる。
【0016】
次に、低温時から高温時に推移する過程で電極3〜5を切り替える方法として、図4に示す電極切り替え手段6が使用される。この電極切り替え手段6は、商用電源10が投入された後、低温時においては一定時間経過するまでの間はPTCヒーター1の両端の電極3,4のみ通電を行ない、一定温度に到達した時点で通電する電極3〜5を切り替えるためのものであり、図4に示す例では、1つの片切スイッチ12と1つの3路スイッチ13を使用して通電切り替えを行なっている。なお電源線11として図5に示すような1本の陽線14と1本のアース線15とを備えた2芯VVFケーブル11Aが使用される。先ず低温時においては、図4(a)に示すように、片切スイッチ12を一端の電極4から離し、3路スイッチ13を一端の電極4に接続することで、両端の電極3,4のみを使用し、追加電極5は使用しない状態となる。この状態では図1(a)のように両端の電極3,4に陽線14とアース線15がそれぞれ接続されて電圧(100V)が印加される。その後、高発熱時には、図4(b)に示すように、片切スイッチ12を一端の電極4に接続し、3路スイッチ13を追加電極5に接続することにより全電極3〜5を使用した発熱に切り替えられる。このとき図1(b)のように両端の電極3,4にアース線15、追加電極5に陽線14が接続されて、それぞれの電極3,5間:4,5間にそれぞれ電圧(100V)が印加されるようになる。なお、片切スイッチ12と3路スイッチ13の配置は図4の例には限らず、例えば図6に示すように、片切スイッチ12と3路スイッチ13の位置を互いに入れ替えても同様な発熱切り替えを行なうことができる。また本例では、電源線11として2芯VVFケーブル11Aを用いた場合を説明したが、3芯VVFケーブル等を用いることも可能である。
【0017】
次に、上記構成のPTCヒーター1を実際の暖房装置8として使用する場合において、温度センサー付き多電極ヒーターを利用して以下のような電極切り替えを行なう。図8は、電極数が3個の場合のシステム構成図を示している。温度が低いときには、前述のように低発熱側の電極接続を行ない、電流値の上昇を抑える。温度が高いときには、前述のように高発熱側の電極接続を行ない、適切な発熱量を確保する。また、コントローラ16で暖房装置8の温度を測定し、発熱量切り替え温度に達したら、切り替えを行なう。
【0018】
ここで図9(a)(b)は同上の発熱量切り替えにおいて、温度上昇と電流値の推移の一例を示している。図9(a)のように所定の電流値で電極切り替えを行なうことによって、低発熱時の電流値を抑えることができる。なお図9(a)中のDは使いたい温度(発熱量)領域、Eは高発熱領域、Fは電流値の低い低発熱領域をそれぞれ示し、図9(a)中の実線ラインLは本発明の電極切り替えを行なう場合の電流値であり、破線ラインL1は電極切り替えをしない従来例の電流値である。これにより、低温時における電流値(突入電流値)を従来よりも低くすることができるようになっている。図9(b)中のM1は低発熱領域での温度推移を示し、M2は高発熱領域での温度推移を示している。
【0019】
しかして、PTCヒーター1の両端の電極3,4間に、電極3,4と平行に少なくとも1個の電極5を追加し、低発熱時には両端の電極3,4のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極3〜5の切り替えを行なうことで発熱量を変化させるので、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができ、従って、通常使用する電気容量よりも少ない電気容量・設備で済むようになる。しかも、配置した全電極3〜5のうち通電する電極を選択するだけで、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えて発熱量を変化させることができるので、ヒーターの素体としては低発熱用のもの1種類でよくなり、暖房装置8の構造設計がシンプルなものとなる。また例えば1個の電極5を追加すれば、低発熱から高発熱への切り替えで、同じ発熱面積のままで従来の4倍の発熱量が得られるなど、追加する電極数に応じてPTCヒーター1の単位面積当たりの発熱量アップを図ることができる上に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小が容易となる。さらに、従来のように発熱量の違うPTCヒーター1を2つ以上備え、適宜切り替え・併用する必要もないため、簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるものである。
【0020】
このように床暖房に際して、高発熱時において全電極3〜5に通電することで広い発熱面積を確保できると同時に従来と同じ発熱面積で高い発熱量を確保できるものとなり、また使いたい発熱面積に応じて通電する電極3〜5を選択することで、床の局所的な暖房を実現できる。そのうえ、既存のPTCヒーター1の両端の電極3,4と平行に、1個以上の電極5を追加するだけで、簡単な製造工程によって発熱量の高いPTCヒーター1を製造できるものであり、大量生産に適合できるものである。
【0021】
なお、本発明に係るPTCヒーター1の発熱量切替え方法及びPTCヒーター1を使用した暖房装置8は、床暖房に限らず、壁暖房、天井暖房などにも広く適用可能であることは勿論のことである。
【0022】
【発明の効果】
上述のように請求項1に係るPTCヒーターの発熱量切替え方法にあっては、素体シートの両端に電極を配置すると共にこの両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加してPTCヒーターを構成し、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように電極切り替えを行なうことを特徴とする。
【0023】
また請求項2に係るPTCヒーターを使用した暖房装置にあっては、素体シートの両端に電極を配置すると共にこの両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加して構成されるPTCヒーターと、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように電極切り替えを行なうための電極切り替え手段とを具備することを特徴とする。
【0024】
このような請求項1の方法、請求項2の装置を採用することで、PTCヒーターに電極を1個以上追加して、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、一定温度の到達時に通電する電極を切り替えて発熱量を変化させることによって、従来のように使いたい温度より低い温度になった場合の電流特性を考慮して電気容量設計をする必要がなくなり、使用開始時のような低温時において大電流が流れるのを抑えることができ、従って低温時においては、通常使用する電気容量よりも少ない電気容量・設備で済むようになる。
また高発熱時には電極の切り替えによって必要に応じた発熱量を変化させることができるので、ヒーターの素体としては低発熱用のもの1種類でよくなり、暖房装置の構造設計がシンプルなものとなる。また高発熱時において通電する電極を選択することにより、必要に応じて発熱量を段階的に切り替えることができ、例えば1個の電極を追加すれば、低発熱から高発熱への切り替えで、同じ発熱面積のままで従来の4倍の発熱量が得られることとなり、追加する電極数に応じてPTCヒーターの単位面積当たりの発熱量アップを図ることができると共に、イニシャルコストの低減、設置スペースの縮小を容易に実現することができる。さらに、従来のように発熱量の違うPTCヒーターを2つ以上備え、適宜切り替え・併用する必要もないため、簡単なスイッチ切替のみで通常使用時において発熱量が過剰になるのを防止できるだけでなく、通電率制御や位相制御は一切不要となり、システム構成や制御仕様を簡素化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示し、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時の説明図である。
【図2】同上のPTCヒーターの断面図である。
【図3】同上のPTCヒーターの発熱量が従来の4倍になる理由の説明図である。
【図4】同上の配線切り替えにおいて片切スイッチと3路スイッチとを用いた場合の一例であり、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時を示す図である。
【図5】同上の電源線として使用されるVVFケーブルの斜視図である。
【図6】同上の片切スイッチと3路スイッチを入れ替えた場合の説明図である。
【図7】同上の電極数が4個の場合において、(a)は低発熱時、(b)は高発熱時の説明図である。
【図8】同上の電極数が3個の場合のシステム構成図である。
【図9】同上の発熱量切り替えにおいて、(a)(b)は温度上昇と電流値の推移の例を示すグラフである。
【図10】(a)は従来のPTCヒーターの正面図、(b)は断面図である。
【図11】従来のPTC特性を説明するグラフである。
【図12】従来の2枚のPTCヒーターを重ねて発熱量アップを図る場合の説明図である。
【符号の説明】
1 PTCヒーター
2 素体シート
3,4 両端の電極
5 追加電極
6 電極切り替え手段
16 暖房装置
Claims (2)
- 素体シートの両端に電極を配置すると共に両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加してPTCヒーターを構成し、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうことを特徴とするPTCヒーターの発熱量切替え方法。
- 素体シートの両端に電極を配置すると共に両端の電極間に少なくとも1個の電極を追加して構成されるPTCヒーターと、低発熱時には両端の電極のみに通電して大電流が流れるのを抑制し、高発熱時には必要に応じた発熱量が選択的に得られるように通電する電極の切り替えを行なうための電極切り替え手段とを具備することを特徴とするPTCヒーターを使用した暖房装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002313449A JP2004152809A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | Ptcヒーターの発熱量切替え方法及びptcヒーターを使用した暖房装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002313449A JP2004152809A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | Ptcヒーターの発熱量切替え方法及びptcヒーターを使用した暖房装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004152809A true JP2004152809A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32458075
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002313449A Pending JP2004152809A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | Ptcヒーターの発熱量切替え方法及びptcヒーターを使用した暖房装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004152809A (ja) |
-
2002
- 2002-10-28 JP JP2002313449A patent/JP2004152809A/ja active Pending
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