JP2004154896A - 発泡積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォータージェットによる切断作業時に、基材と発泡体との剥離防止等を好適に図り得るようにする。
【解決手段】基材20の接合面22において、ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットWJの噴射軸線に対して略直交する受面26として形成する。これにより、発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJが、受面26に対して略直交状態で衝突して基材20を突き抜けるようになり、基材20と発泡体40との密着境界部分に該ウォータージェットWJの一部が進入するのを防止し得る。
【選択図】 図3
【解決手段】基材20の接合面22において、ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットWJの噴射軸線に対して略直交する受面26として形成する。これにより、発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJが、受面26に対して略直交状態で衝突して基材20を突き抜けるようになり、基材20と発泡体40との密着境界部分に該ウォータージェットWJの一部が進入するのを防止し得る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡積層体に関し、更に詳細には、少なくとも基材および該基材の片面に設けた発泡体からなり、前記発泡体の側から所要角度で線状に噴射されるウォータージェットによる所要形状の切断がなされる発泡積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば図7は、所謂「発泡積層体」の一例として、乗用車等の乗員室内に設置される車両内装部材としてのインストルメントパネルを、部分的に図示した概略斜視図である。このインストルメントパネル10は、その略上側半分の部分が、インジェクション成形技術により所要形状に成形された合成樹脂製の基材20と、該パネル10の外側意匠面を構成する合成樹脂製の表皮材30と、これら基材20および表皮材30の間に介在されたウレタンフォーム等の発泡体40とからなる3層構造とされている。すなわちインストルメントパネル10は、少なくとも前記基材20および該基材20の片面に発泡体40を設けた発泡積層体である。
【0003】
また前記インストルメントパネル10では、その乗員席側を指向した所要位置にエアアウトレット14が配設され、車両搭載のエアコンユニット(図示せず)から送出される調温空気を、該エアアウトレット14を介して乗員室内へ吹出し案内するようになっている。このエアアウトレット14は、前記インストルメントパネル10とは別体のユニット部材として別の組立工程にて組立てられ、後述のように該インストルメントパネル10に開設した設置開口部12に対して後の組付工程にて組付けるようになっている。
【0004】
ここで前記設置開口部12は、前記発泡体40の発泡成形工程にて前記基材20および表皮材30の間において前記発泡体40を発泡成形した後、後の加工工程にて所要形状の通孔として開設するようになっている。具体的には、図9に例示するように、ノズル46から高速で噴射される高圧流体(水)を使用する公知のウォータージェット技術により、前記表皮材30、発泡体40および基材20を同時に切断することで、各部材30,40,20に連通する前記設置開口部12を開設する(関連技術としては、特許文献1参照)。すなわち、表皮材30および発泡体40の側から線状のウォータージェットWJを所要角度で噴射することにより、該表皮材30、発泡体40および基材20に亘って所要形状の切断がなされ、これにより不要部分44が破断分離して前記設置開口部12が形成されるに至る。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−85700号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記設置開口部12の開口形状および端縁形状等は、インストルメントパネル10の意匠形状、エアアウトレット14の外形形状、エアアウトレット14の組付挿入方向、組付固定形態等の種々要件により決定される。このため、前記ウォータージェットWJによる切断作業時においては、前記設置開口部12の開口輪郭に合致する切断予定ラインに沿ってノズル46を移動させながら、該ウォータージェットWJの噴射方向や噴射角度等を随時変更調整するようになる。例えば、図8に例示した前記設置開口部12の如く、インストルメントパネル10の外側から内側に向けて拡開する形状である場合には、図9に示すように、該パネル10に対してかなり傾斜した姿勢でウォータージェットWJを噴射させる必要がある。
【0007】
ここで、ウォータージェットWJによる切断作業では、その噴射軸線(噴射角度)が被切断対象物である前記基材20の接合面22に対して略垂直とすることで、最も効率的な切断加工がなされるようになっている。しかしながら、従来のインストルメントパネル10における基材20は、該パネル10の外部意匠面となる前記表皮材30の形状に対応して、該表皮材30と基材20との間で発泡成形される前記発泡体40の厚みを考慮したもとで形状が設定されていた。換言すると、前記基材20の形状は、表皮材30の形状を前提として設定されているだけで、前記設置開口部12を形成する際に前記ウォータージェットWJによる適切な切断を実現させ得るようには設定されていなかった。
【0008】
このため図9において、設置開口部12における上側端縁部分の切断時において、表皮材30および発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJの噴射角度Rは、図10に拡大して示すように、基材20の接合面22に対して45度程度となっている。従ってウォータージェットWJは、前記噴射角度Rで接合面22に衝突すると分散してその一部が飛沫となり、前記基材20の接合面22と前記発泡体40の接合面22との密着境界部分に進入するようになるため、これら基材20と発泡体40との剥離を招来する不都合が発生していた。また、境界部分に進入したウォータージェットWJの一部は、そのまま前記発泡体40の内部へ染み込んで保持されるため、該発泡体40がこの水分と反応して劣化が助長される問題も指摘される。更には、図10から明らかなように、基材20の切断長Sが該基材20の板厚Tよりも大きくなるため(1.5倍程度となるため)、その分だけ切断に要する加工時間が長くなって加工コストが嵩む原因となる。更にまた前述したように、ウォータージェットWJの噴射が乱れてしまうため、開設された設置開口部12の端縁として露出する切断面16の質感や精度が低下する等の問題等も内在していた。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、切断予定ラインに沿って移動するウォータージェットが、基材の接合面に対して常に略直交状態に衝突して突き抜けるようにすることで、(1)基材と発泡体との剥離防止、(2)切断作業の効率化、(3)切断面の質感および精度の向上、等を図り得るようにした発泡積層体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、少なくとも基材および該基材の片面に設けた発泡体からなり、前記発泡体の側から所要角度で線状に噴射されるウォータージェットによる所要形状の切断がなされる発泡積層体において、
前記基材における前記発泡体との接合面でかつ前記ウォータージェットによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットの噴射軸線に対して略直交する受面として形成し、
前記発泡体を突き抜けたウォータージェットが、前記受面に対して略直交状態で衝突して前記基材を突き抜けるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る発泡積層体につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、発泡積層体として、図7等に例示した車両用のインストルメントパネルを例示する。
【0012】
図1は、好適実施例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、設置開口部の形成位置で破断して示した要部側断面図、図2は、該インストルメントパネルを構成する基材に設けた設置開口部の開設予定位置を示した要部斜視図である。実施例のインストルメントパネル10は、図7等に例示した従来のインストルメントパネル10と同様に、インジェクション成形技術により所要形状に成形された合成樹脂製の基材20と、該パネル10の外側意匠面を構成する合成樹脂製の表皮材30と、これら基材20および表皮材30の間に介在したウレタンフォーム等の発泡体40とからなる3層構造とされている。
【0013】
前記基材20は、例えばポリプロピレン(PP)に適宜補強材等を混入させた樹脂材料をインジェクション成形することで、インストルメントパネル10に要求される形状に予備成形されると共に、所要の強度および剛性を具有している。そして、前記エアアウトレット14が配設される部位には、前記表皮材30に形成された表皮凹部32に対応する基材凹部24が凹設されている。
【0014】
前記表皮材30は、例えば、▲1▼樹脂シート材を真空成形してインストルメントパネル10に要求される形状に予備成形したもの、▲2▼樹脂粉末をパウダースラッシュ成形してインストルメントパネル10に要求される形状に予備成形したもの、▲3▼ウレタンをスプレー成形してインストルメントパネル10の要求される形状に予備成形したもの、等が好適に実施可能である。このようにして成形された表皮材30は、その表面に本革等に似せたシボ加工や幾何学模様等が施されていて、インストルメントパネル10の外側意匠面の質感向上を図るようになっている。そして、予備成形された表皮材30には、インストルメントパネル10の最終的に前記設置開口部12が形成される部位に、前記表皮凹部32が凹設されている。
【0015】
前記発泡体40は、図示しない発泡成形型を利用したもとで、前記基材20および表皮材30の間でウレタン原料を発泡させることで、両部材20,30の間で成形して介在させたものである。これにより発泡体40は、基材20および表皮材30の間で所要の厚みに形成されると共に、前記基材凹部24および表皮凹部32の間においても所要の厚みに形成され、全体的に適度の弾力性を具有している。これにより、前記表皮材30の適宜部位を外方から押圧した際にはこの押圧部位が陥凹的に変形し、インストルメントパネル10の触感向上に寄与するようになっている。
【0016】
そして実施例のインストルメントパネル10では、図1および図2に示すように、前記基材20における前記発泡体40との接合面22でかつ前記ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットWJの噴射軸線に対して略直交する平坦状の受面(以下「直交受面」という)26として形成されている。すなわち直交受面26は、前記設置開口部12が略矩形状に開口形成されるため、該設置開口部12の輪郭に合致するウォータージェットWJの切断予定ラインに沿って矩形帯状に延在形成されている。しかも実施例の設置開口部12は、上側端縁および下側端縁が平行となっていない(インストルメントパネル10の外側から内側に向けて拡開する形状となっている)ため、切断予定ラインの位置によって変化する前記ウォータージェットWJの噴射軸線方向に対応して、前記直交受面26は各部位毎に角度が変化している。
【0017】
このように、ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿って前記直交受面26を形成したことにより、図3に示すように、ノズル46から噴射されて前記表皮材30および発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJは、前記切断予定ラインの如何なる位置にあったとしても、常には前記直交受面26に対して略直交状態(約90度)の噴射角度Rで衝突した後、前記基材20の裏側へ突き抜けるようになる。これによりウォータージェットWJは、直交受面26に衝突した際に殆ど分散することがないと共にこれによる飛沫が発生することもなく、基材20の裏側へ効率的に突き抜けるようになる。
【0018】
従って、ウォータージェットWJの一部が前記基材20の接合面22と前記発泡体40の接合面42との密着境界部分に進入することが殆どなく、これら基材20と発泡体40との剥離を招来する不都合が発生することもない。また、ウォータージェットWJの一部が前記発泡体40の内部へ染み込むこともないため、該発泡体40がこの水分と反応して劣化することも回避できる。
【0019】
更には、図4から明らかなように、基材20の切断長Sが該基材20の板厚Tと略同一となるため、切断に要する加工時間が最短に抑えられるようになり加工コストを最小限とすることができる。更にまた、前述したようにウォータージェットWJが基材20の裏側へスムーズに突き抜けるようになるため、不要部分44の破断分離後に開口形成された設置開口部12の端縁として露出する切断面16の質感や精度が好適に向上するようになる。
【0020】
なお前記実施例では、前記受面26を平坦面とした場合を例示したが、この受面26の外面形状は、例えば図5に示すように半円弧状または略半円弧状となるようにしてもよい。前記受面26の外面形状が半円弧または略半円弧であっても、図6に示すように微細的レベルで見れば、前記ウォータージェットWJが衝突する部分においては、該ウォータージェットWJは該受面26に対して略直交状態で衝突するようになる。これによりウォータージェットWJは、受面26に衝突した際に殆ど分散することがないと共にこれによる飛沫が発生することもなく、基材20の裏側へ効率的に突き抜けるようになる。
【0021】
また前記実施例では、発泡積層体として車両内装部材であるインストルメントパネルを例示したが、本願が対象とする発泡積層体は、これ以外の車両内装部材(例えば、フロアコンソール、ピラーガーニッシュ、ルーフパネル等)や各種家具等も含まれる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る発泡積層体によれば、ウォータージェットの一部が基材と発泡体との密着境界部分に進入することが殆どないから、これら基材と発泡体との剥離を招来する不都合が発生することがない。また、ウォータージェットの一部が発泡体の内部へ染み込むこともないため、該発泡体がこの水分と反応して劣化することを回避し得る利点もある。
更には、基材の切断長が該基材の板厚と略同一となるため、切断に要する加工時間が最短に抑えられて加工コストを最小限とすることができる有益な効果を奏する。更にまた、ウォータージェットが基材の裏側へスムーズに突き抜けるようになるため、切断面の質感や精度を向上させ得る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、設置開口部の形成位置で破断して示した要部側断面図である。
【図2】インストルメントパネルを構成する基材に設けた設置開口部の開設予定位置を示した要部斜視図である。
【図3】設置開口部の形成作業時に、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが、基材に形成した受面に対して略直交に衝突した後に該基材を突き抜ける状態を示した説明断面図である。
【図4】図3のA部拡大図であって、基材に対して略直交状態で衝突したウォータージェットが、該基材へスムーズに突き抜けることを示している。
【図5】変更例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが基材を突き抜ける状態で示した説明断面図である。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】エアアウトレット用の設置開口部を開設した発泡積層体としてのインストルメントパネルの要部斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】設置開口部の形成作業時に、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが、基材に対して斜めに衝突した後に該基材を突き抜ける状態を示した説明断面図である。
【図10】図9のA部拡大図であって、基材に対して斜めに衝突したウォータージェットの一部が、該基材と発泡体との接合境界部分に進入する不都合が発生することを示している。
【符号の説明】
20 基材
22 接合面
26 直交受面(受面)
40 発泡体
42 接合面
WJ ウォータージェット
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡積層体に関し、更に詳細には、少なくとも基材および該基材の片面に設けた発泡体からなり、前記発泡体の側から所要角度で線状に噴射されるウォータージェットによる所要形状の切断がなされる発泡積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば図7は、所謂「発泡積層体」の一例として、乗用車等の乗員室内に設置される車両内装部材としてのインストルメントパネルを、部分的に図示した概略斜視図である。このインストルメントパネル10は、その略上側半分の部分が、インジェクション成形技術により所要形状に成形された合成樹脂製の基材20と、該パネル10の外側意匠面を構成する合成樹脂製の表皮材30と、これら基材20および表皮材30の間に介在されたウレタンフォーム等の発泡体40とからなる3層構造とされている。すなわちインストルメントパネル10は、少なくとも前記基材20および該基材20の片面に発泡体40を設けた発泡積層体である。
【0003】
また前記インストルメントパネル10では、その乗員席側を指向した所要位置にエアアウトレット14が配設され、車両搭載のエアコンユニット(図示せず)から送出される調温空気を、該エアアウトレット14を介して乗員室内へ吹出し案内するようになっている。このエアアウトレット14は、前記インストルメントパネル10とは別体のユニット部材として別の組立工程にて組立てられ、後述のように該インストルメントパネル10に開設した設置開口部12に対して後の組付工程にて組付けるようになっている。
【0004】
ここで前記設置開口部12は、前記発泡体40の発泡成形工程にて前記基材20および表皮材30の間において前記発泡体40を発泡成形した後、後の加工工程にて所要形状の通孔として開設するようになっている。具体的には、図9に例示するように、ノズル46から高速で噴射される高圧流体(水)を使用する公知のウォータージェット技術により、前記表皮材30、発泡体40および基材20を同時に切断することで、各部材30,40,20に連通する前記設置開口部12を開設する(関連技術としては、特許文献1参照)。すなわち、表皮材30および発泡体40の側から線状のウォータージェットWJを所要角度で噴射することにより、該表皮材30、発泡体40および基材20に亘って所要形状の切断がなされ、これにより不要部分44が破断分離して前記設置開口部12が形成されるに至る。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−85700号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記設置開口部12の開口形状および端縁形状等は、インストルメントパネル10の意匠形状、エアアウトレット14の外形形状、エアアウトレット14の組付挿入方向、組付固定形態等の種々要件により決定される。このため、前記ウォータージェットWJによる切断作業時においては、前記設置開口部12の開口輪郭に合致する切断予定ラインに沿ってノズル46を移動させながら、該ウォータージェットWJの噴射方向や噴射角度等を随時変更調整するようになる。例えば、図8に例示した前記設置開口部12の如く、インストルメントパネル10の外側から内側に向けて拡開する形状である場合には、図9に示すように、該パネル10に対してかなり傾斜した姿勢でウォータージェットWJを噴射させる必要がある。
【0007】
ここで、ウォータージェットWJによる切断作業では、その噴射軸線(噴射角度)が被切断対象物である前記基材20の接合面22に対して略垂直とすることで、最も効率的な切断加工がなされるようになっている。しかしながら、従来のインストルメントパネル10における基材20は、該パネル10の外部意匠面となる前記表皮材30の形状に対応して、該表皮材30と基材20との間で発泡成形される前記発泡体40の厚みを考慮したもとで形状が設定されていた。換言すると、前記基材20の形状は、表皮材30の形状を前提として設定されているだけで、前記設置開口部12を形成する際に前記ウォータージェットWJによる適切な切断を実現させ得るようには設定されていなかった。
【0008】
このため図9において、設置開口部12における上側端縁部分の切断時において、表皮材30および発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJの噴射角度Rは、図10に拡大して示すように、基材20の接合面22に対して45度程度となっている。従ってウォータージェットWJは、前記噴射角度Rで接合面22に衝突すると分散してその一部が飛沫となり、前記基材20の接合面22と前記発泡体40の接合面22との密着境界部分に進入するようになるため、これら基材20と発泡体40との剥離を招来する不都合が発生していた。また、境界部分に進入したウォータージェットWJの一部は、そのまま前記発泡体40の内部へ染み込んで保持されるため、該発泡体40がこの水分と反応して劣化が助長される問題も指摘される。更には、図10から明らかなように、基材20の切断長Sが該基材20の板厚Tよりも大きくなるため(1.5倍程度となるため)、その分だけ切断に要する加工時間が長くなって加工コストが嵩む原因となる。更にまた前述したように、ウォータージェットWJの噴射が乱れてしまうため、開設された設置開口部12の端縁として露出する切断面16の質感や精度が低下する等の問題等も内在していた。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、切断予定ラインに沿って移動するウォータージェットが、基材の接合面に対して常に略直交状態に衝突して突き抜けるようにすることで、(1)基材と発泡体との剥離防止、(2)切断作業の効率化、(3)切断面の質感および精度の向上、等を図り得るようにした発泡積層体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、少なくとも基材および該基材の片面に設けた発泡体からなり、前記発泡体の側から所要角度で線状に噴射されるウォータージェットによる所要形状の切断がなされる発泡積層体において、
前記基材における前記発泡体との接合面でかつ前記ウォータージェットによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットの噴射軸線に対して略直交する受面として形成し、
前記発泡体を突き抜けたウォータージェットが、前記受面に対して略直交状態で衝突して前記基材を突き抜けるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る発泡積層体につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、発泡積層体として、図7等に例示した車両用のインストルメントパネルを例示する。
【0012】
図1は、好適実施例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、設置開口部の形成位置で破断して示した要部側断面図、図2は、該インストルメントパネルを構成する基材に設けた設置開口部の開設予定位置を示した要部斜視図である。実施例のインストルメントパネル10は、図7等に例示した従来のインストルメントパネル10と同様に、インジェクション成形技術により所要形状に成形された合成樹脂製の基材20と、該パネル10の外側意匠面を構成する合成樹脂製の表皮材30と、これら基材20および表皮材30の間に介在したウレタンフォーム等の発泡体40とからなる3層構造とされている。
【0013】
前記基材20は、例えばポリプロピレン(PP)に適宜補強材等を混入させた樹脂材料をインジェクション成形することで、インストルメントパネル10に要求される形状に予備成形されると共に、所要の強度および剛性を具有している。そして、前記エアアウトレット14が配設される部位には、前記表皮材30に形成された表皮凹部32に対応する基材凹部24が凹設されている。
【0014】
前記表皮材30は、例えば、▲1▼樹脂シート材を真空成形してインストルメントパネル10に要求される形状に予備成形したもの、▲2▼樹脂粉末をパウダースラッシュ成形してインストルメントパネル10に要求される形状に予備成形したもの、▲3▼ウレタンをスプレー成形してインストルメントパネル10の要求される形状に予備成形したもの、等が好適に実施可能である。このようにして成形された表皮材30は、その表面に本革等に似せたシボ加工や幾何学模様等が施されていて、インストルメントパネル10の外側意匠面の質感向上を図るようになっている。そして、予備成形された表皮材30には、インストルメントパネル10の最終的に前記設置開口部12が形成される部位に、前記表皮凹部32が凹設されている。
【0015】
前記発泡体40は、図示しない発泡成形型を利用したもとで、前記基材20および表皮材30の間でウレタン原料を発泡させることで、両部材20,30の間で成形して介在させたものである。これにより発泡体40は、基材20および表皮材30の間で所要の厚みに形成されると共に、前記基材凹部24および表皮凹部32の間においても所要の厚みに形成され、全体的に適度の弾力性を具有している。これにより、前記表皮材30の適宜部位を外方から押圧した際にはこの押圧部位が陥凹的に変形し、インストルメントパネル10の触感向上に寄与するようになっている。
【0016】
そして実施例のインストルメントパネル10では、図1および図2に示すように、前記基材20における前記発泡体40との接合面22でかつ前記ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェットWJの噴射軸線に対して略直交する平坦状の受面(以下「直交受面」という)26として形成されている。すなわち直交受面26は、前記設置開口部12が略矩形状に開口形成されるため、該設置開口部12の輪郭に合致するウォータージェットWJの切断予定ラインに沿って矩形帯状に延在形成されている。しかも実施例の設置開口部12は、上側端縁および下側端縁が平行となっていない(インストルメントパネル10の外側から内側に向けて拡開する形状となっている)ため、切断予定ラインの位置によって変化する前記ウォータージェットWJの噴射軸線方向に対応して、前記直交受面26は各部位毎に角度が変化している。
【0017】
このように、ウォータージェットWJによる切断予定ラインに沿って前記直交受面26を形成したことにより、図3に示すように、ノズル46から噴射されて前記表皮材30および発泡体40を突き抜けたウォータージェットWJは、前記切断予定ラインの如何なる位置にあったとしても、常には前記直交受面26に対して略直交状態(約90度)の噴射角度Rで衝突した後、前記基材20の裏側へ突き抜けるようになる。これによりウォータージェットWJは、直交受面26に衝突した際に殆ど分散することがないと共にこれによる飛沫が発生することもなく、基材20の裏側へ効率的に突き抜けるようになる。
【0018】
従って、ウォータージェットWJの一部が前記基材20の接合面22と前記発泡体40の接合面42との密着境界部分に進入することが殆どなく、これら基材20と発泡体40との剥離を招来する不都合が発生することもない。また、ウォータージェットWJの一部が前記発泡体40の内部へ染み込むこともないため、該発泡体40がこの水分と反応して劣化することも回避できる。
【0019】
更には、図4から明らかなように、基材20の切断長Sが該基材20の板厚Tと略同一となるため、切断に要する加工時間が最短に抑えられるようになり加工コストを最小限とすることができる。更にまた、前述したようにウォータージェットWJが基材20の裏側へスムーズに突き抜けるようになるため、不要部分44の破断分離後に開口形成された設置開口部12の端縁として露出する切断面16の質感や精度が好適に向上するようになる。
【0020】
なお前記実施例では、前記受面26を平坦面とした場合を例示したが、この受面26の外面形状は、例えば図5に示すように半円弧状または略半円弧状となるようにしてもよい。前記受面26の外面形状が半円弧または略半円弧であっても、図6に示すように微細的レベルで見れば、前記ウォータージェットWJが衝突する部分においては、該ウォータージェットWJは該受面26に対して略直交状態で衝突するようになる。これによりウォータージェットWJは、受面26に衝突した際に殆ど分散することがないと共にこれによる飛沫が発生することもなく、基材20の裏側へ効率的に突き抜けるようになる。
【0021】
また前記実施例では、発泡積層体として車両内装部材であるインストルメントパネルを例示したが、本願が対象とする発泡積層体は、これ以外の車両内装部材(例えば、フロアコンソール、ピラーガーニッシュ、ルーフパネル等)や各種家具等も含まれる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る発泡積層体によれば、ウォータージェットの一部が基材と発泡体との密着境界部分に進入することが殆どないから、これら基材と発泡体との剥離を招来する不都合が発生することがない。また、ウォータージェットの一部が発泡体の内部へ染み込むこともないため、該発泡体がこの水分と反応して劣化することを回避し得る利点もある。
更には、基材の切断長が該基材の板厚と略同一となるため、切断に要する加工時間が最短に抑えられて加工コストを最小限とすることができる有益な効果を奏する。更にまた、ウォータージェットが基材の裏側へスムーズに突き抜けるようになるため、切断面の質感や精度を向上させ得る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、設置開口部の形成位置で破断して示した要部側断面図である。
【図2】インストルメントパネルを構成する基材に設けた設置開口部の開設予定位置を示した要部斜視図である。
【図3】設置開口部の形成作業時に、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが、基材に形成した受面に対して略直交に衝突した後に該基材を突き抜ける状態を示した説明断面図である。
【図4】図3のA部拡大図であって、基材に対して略直交状態で衝突したウォータージェットが、該基材へスムーズに突き抜けることを示している。
【図5】変更例に係る発泡積層体としてのインストルメントパネルを、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが基材を突き抜ける状態で示した説明断面図である。
【図6】図5のA部拡大図である。
【図7】エアアウトレット用の設置開口部を開設した発泡積層体としてのインストルメントパネルの要部斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】設置開口部の形成作業時に、表皮材および発泡体を突き抜けたウォータージェットが、基材に対して斜めに衝突した後に該基材を突き抜ける状態を示した説明断面図である。
【図10】図9のA部拡大図であって、基材に対して斜めに衝突したウォータージェットの一部が、該基材と発泡体との接合境界部分に進入する不都合が発生することを示している。
【符号の説明】
20 基材
22 接合面
26 直交受面(受面)
40 発泡体
42 接合面
WJ ウォータージェット
Claims (2)
- 少なくとも基材(20)および該基材(20)の片面に設けた発泡体(40)からなり、前記発泡体(40)の側から所要角度で線状に噴射されるウォータージェット(WJ)による所要形状の切断がなされる発泡積層体において、
前記基材(20)における前記発泡体(40)との接合面(22)でかつ前記ウォータージェット(WJ)による切断予定ラインに沿った所要幅の領域を、該ウォータージェット(WJ)の噴射軸線に対して略直交する受面(26)として形成し、
前記発泡体(40)を突き抜けたウォータージェット(WJ)が、前記受面(26)に対して略直交状態で衝突して前記基材(20)を突き抜けるよう構成した
ことを特徴とする発泡積層体。 - 前記ウォータージェット(WJ)が前記受面(26)に対して略直交状態で衝突することで、前記基材(20)の接合面(22)と前記発泡体(40)の接合面(42)との密着境界部分に、該ウォータージェット(WJ)の一部が進入するのを防止し得る請求項1記載の発泡積層体。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002322975A JP2004154896A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 発泡積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2002322975A JP2004154896A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 発泡積層体 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004154896A true JP2004154896A (ja) | 2004-06-03 |
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ID=32803007
Family Applications (1)
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| JP2002322975A Pending JP2004154896A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 発泡積層体 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004154896A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2014132910A1 (ja) * | 2013-02-27 | 2014-09-04 | カルソニックカンセイ株式会社 | 多層部品構造 |
| CN113103366A (zh) * | 2021-04-06 | 2021-07-13 | 山东非金属材料研究所 | 一种加工带通孔复合材料制品的方法 |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322975A patent/JP2004154896A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2014132910A1 (ja) * | 2013-02-27 | 2014-09-04 | カルソニックカンセイ株式会社 | 多層部品構造 |
| JP2014193595A (ja) * | 2013-02-27 | 2014-10-09 | Calsonic Kansei Corp | 多層部品構造 |
| CN113103366A (zh) * | 2021-04-06 | 2021-07-13 | 山东非金属材料研究所 | 一种加工带通孔复合材料制品的方法 |
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