JP2004155668A - Nk4をコードするdnaを含有する徐放性製剤 - Google Patents

Nk4をコードするdnaを含有する徐放性製剤 Download PDF

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泰彦 田畑
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Abstract

【課題】血管新生を抑制するための徐放性製剤を提供すること。
【解決手段】NK4DNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤、ならびにNK4DNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤からなる、血管新生を阻害するための組成物。本発明の組成物は、癌の浸潤および転移を抑制する癌治療薬として、および加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患の治療および予防薬として有用である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管新生を阻害し、このことにより、癌、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患を治療するための徐放性製剤、特に癌の浸潤および転移を抑制するための徐放性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
HGF(肝細胞増殖因子)は、細胞の遊走、増殖促進活性および血管新生促進活性を有する増殖因子であり、癌細胞の遊走や浸潤の促進において中心的な役割を果たすことが知られている。NK4はHGFのN末端ヘアピン構造および4個のクリングルドメインを有する分子内断片であり、HGFアンタゴニストとしての活性を有する(Date et al,FEBS Lett 420,1−6,1997)。NK4はインビトロおよびインビボにおいて癌細胞の浸潤を抑制することが示されている(Date,et al.,Oncogene 17,3045−3054,1998)。さらに、NK4は血管新生の抑制機能も有しており、HGF、VEGFまたはbFGFなどの作用を介した内皮細胞の増殖を阻害することができる(久場ら、分子癌治療第1巻第1号、2000年、p.46−55)。NK4は、これらの2つの機能の相乗効果により癌の浸潤および血管新生を抑制することができるため、癌の浸潤および転移を抑制する癌治療薬として、および加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患の治療および予防への応用が期待されている。あるいは、標的以外の部位における遺伝子発現を増強し、その部位からの発現タンパク質の供給をめざす場合もある。
【0003】
このようなタンパク質を生体内の目的とする部位に長期間効果的に供給する方法の1つとして、遺伝子を導入して患者の身体内でその遺伝子を発現させる遺伝子治療がある。遺伝子治療法には、ウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ボックスウイルス、ヘルペスウイルス、EBウイルス、センダイウイルスなど)を用いる方法と、ウイルスベクターによらない方法、例えば、リポソーム、プラスミドDNA、遺伝子銃、各種のDNA複合体を用いる方法などが研究されている。しかし、ウイルスベクターはその高い遺伝子導入効率のために臨床面での応用が期待されているが、ウイルスを使用するという点で、それ自体の毒性、抗原性の他に、予期せぬ副作用の危険を伴うものである。一方、ウイルスによらない方法では、遺伝子導入の効率や遺伝子の発現効率を高めるためのさらなる改良が必要である。
【0004】
したがって、血管新生の阻害を目的としてNK4をコードする遺伝子を導入するために、DNAを安定したレベルで標的部位に持続的に供給する手段が求められている。
【0005】
本発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。
【特許文献1】
特開平9−71542
【特許文献2】
特開2001−199903
【非特許文献1】
久場ら、分子癌治療第1巻第1号、2000年、p.46−55
【非特許文献2】
Dateetal,FEBSLett420,1−6,1997
【非特許文献3】
Date,etal.,Oncogene17,3045−3054,1998
【非特許文献4】
Kuba,etal,CancerRes.,60:6737−6743,2000
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、NK4をコードするDNAを長期間安定して徐放させ、発現されたNK4タンパク質による血管新生の抑制効果を発揮させることにより、腫瘍の浸潤、転移および癌の悪性化を防止し、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患を治療および予防しうる徐放性製剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、NK4をコードするDNAを含むハイドロゲルを用いて作製したNK4DNAの徐放性製剤が、血管新生モデル動物系において血管新生を有意に抑制しうることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、NK4をコードするDNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤を提供する。本発明にしたがって、NK4DNAを含浸させた生分解性高分子ハイドロゲルを病巣およびその周辺に局所投与し、あるいは他の部位に投与してそこよりNK4DNAを徐放させて、NK4タンパク質を発現させることにより、血管新生の有意な抑制効果が得られる。
【0008】
別の観点においては、本発明は、NK4をコードするDNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤からなる、血管新生を抑制するための組成物を提供する。本発明の組成物は、癌の浸潤および転移を抑制する癌治療薬として、および加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患の治療および予防薬として有用である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において生分解性高分子ハイドロゲルを作製するために使用される生分解性高分子とは、DNAとともに複合体を形成することが可能な高分子であって、生体のもつ生理活性物質、例えば酵素等の働きによって加水分解されるものである。具体的にはキチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、アルブミン等のタンパク質ならびにそれらの誘導体など、あるいは上記化合物の混合物などが挙げられ、好ましくはゼラチンあるいはその誘導体である。ここで誘導体とは、DNAと生分解性高分子ハイドロゲルとの複合体を形成するのに適した形に修飾したものを意味し、具体的には後述のアミノ基を導入したアミノ誘導体などが挙げられる。生分解性高分子の由来は特に限定されず、ヒトをはじめ、ブタ、ウシ等種々の動物由来のものが用いられる。これらは天然に得られるものであっても、微生物を用いた発酵法により得られるものであってもよい。ヒトへの適用、特に遺伝子治療に用いる場合、抗原性ならびに微生物感染の危険性を鑑みてヒト由来であることが好ましい。
【0010】
生分解性高分子としては、好ましくはゼラチンが用いられる。ゼラチンは、牛、豚、魚類などを始めとする各種の動物種の皮膚、骨、腱などの身体のあらゆる部位から採取できるコラーゲン、あるいはコラーゲンとして用いられている物質から、アルカリ加水分解、酸加水分解、および酵素分解等の種々の処理によって変性させて得ることができる。遺伝子組換え型コラーゲンの変性体ゼラチンを用いてもよい。
【0011】
本発明においては、DNAと生分解性高分子ハイドロゲルとの安定な複合体が形成されるよう、生分解性高分子が正に荷電していることが好ましい。DNAの有する負の電荷と、生分解性高分子の有する正の電荷とが強力に結合(イオン結合)することによって安定な生分解性高分子ハイドロゲル複合体が形成される。生分解性高分子を正に荷電させるためには、生分解性高分子に予めアミノ基等を導入することによってカチオン化することができる。このことにより、DNAとの結合力が増し、より安定した生分解性高分子ハイドロゲル複合体を形成することができる。
【0012】
カチオン化の工程は、生理条件下でカチオン化する官能基を導入し得る方法であれば特に限定されないが、生分解性高分子の有する水酸基あるいはカルボキシル基等に1、2または3級のアミノ基またはアンモニウム基を温和な条件下で導入する方法が好ましい。例えばエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン等のアルキルジアミンや、トリメチルアンモニウムアセトヒドラジド、スペルミン、スペルミジンまたはジエチルアミド塩化物等を、種々の縮合剤、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、塩化シアヌル、N,N’−カルボジイミダゾール、臭化シアン、ジエポキシ化合物、トシルクロライド、ジエチルトリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−ペンタン酸ジ無水物等のジ無水物化合物、トリシルクロリド等を用いて反応させる方法がある。中でもエチレンジアミンを反応させる方法が簡便且つ汎用性があり好適である。
【0013】
さらに、本発明においてDNAのより優れた徐放性を得るためには、生分解性高分子ハイドロゲルを水不溶性とすることが好ましい。このことにより、生分解性高分子ハイドロゲルの生体での分解性に応じてDNAの放出を自由に制御することが可能となる。すなわちDNAの徐放速度を生体における生分解性高分子ハイドロゲルの分解によって制御することが可能となる。
【0014】
生分解性高分子ハイドロゲルは、種々の化学的架橋剤を用いて生分解性高分子の分子間に化学架橋を形成させることにより不溶化することができる。化学的架橋剤としては、例えばグルタルアルデヒド、例えばEDC等の水溶性カルボジイミド、例えばプロピレンオキサイド、ジエポキシ化合物、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、イミダゾール基などの間に化学結合を作る縮合剤を用いることができる。好ましいものは、グルタルアルデヒドである。また、生分解性高分子は、熱処理又は紫外線照射によっても化学架橋することもできる。また、これらの架橋処理を組み合わせて用いることもできる。さらに、塩架橋、静電的相互作用、水素結合、疎水性相互作用などを利用した物理架橋によりハイドロゲルを作製することも可能である。
【0015】
生分解性高分子の架橋度は、所望の含水率、すなわちハイドロゲルの生体吸収性のレベルに応じて適宜選択することができる。生分解性高分子としてゼラチンを用いる場合、ハイドロゲルを調製する際のゼラチンと架橋剤の濃度の好ましい範囲は、ゼラチン濃度1〜20w/w%、架橋剤濃度0.01〜1w/w%である。架橋反応条件は特に制限はないが、例えば、0〜40℃、好ましくは25−30℃で、1〜48時間、好ましくは12−24時間で行うことができる。一般に、ゼラチンおよび架橋剤の濃度、架橋時間が増大するとともにハイドロゲルの架橋度は増加し、生体吸収性は低くなる。
【0016】
ゼラチンの架橋は熱処理によっても行なうことができる。熱処理による架橋の例は以下のとおりである。ゼラチン水溶液(10重量%程度が好ましい)をプラスチックシャーレに流延し、風乾することによってゼラチンフィルムを得る。そのフイルムを減圧下、好ましくは10mmHg程度で通常110〜160℃、好ましくは120〜150℃、通常1〜48時間、好ましくは6〜24時間放置することによって行なう。また、紫外線によりゼラチンフィルムを架橋する場合は、得られたゼラチンフィルムを殺菌ランプの下において通常室温、好ましくは0〜40℃で放置する。また、ゼラチン水溶液を凍結乾燥することによってスポンジ状成形体を得る。これを同様に、熱処理および紫外線によって架橋することができる。あるいは、上述の架橋法を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
生分解性高分子ハイドロゲルの形状は、特に制限はないが、例えば、円柱状、角柱状、シート状、ディスク状、球状、粒子状などがある。円柱状、角柱状、シート状、ディスク状のものは、通常埋込片として用いられることが多く、あるいは細かく砕いて粒子状にして用いることも可能である。また、球状、粒子状、ペースト状のものは注射投与も可能である。
【0018】
円柱状、角柱状、シート状、ディスク状のゼラチンハイドロゲルは、ゼラチン水溶液に架橋剤水溶液を添加するか、あるいは、架橋剤水溶液にゼラチンを添加し、所望の形状の鋳型に流し込んで、架橋反応させることにより調製することができる。また、成形したゼラチンゲルにそのまま、あるいは乾燥後に架橋剤水溶液を添加してもよい。架橋反応を停止させるには、エタノールアミン、グリシン等のアミノ基を有する低分子物質に接触させるか、あるいは、pH2.5以下の水溶液を添加する。反応に用いられた架橋剤および低分子物質を完全に除去する目的で、得られたゼラチンハイドロゲルは、蒸留水、エタノール、2−プロパノール、アセトン等により洗浄し、製剤調製に供される。
【0019】
球状、粒子状のゼラチンハイドロゲルは、例えば、三口丸底フラスコに固定した攪拌用モーター(例えば、新東科学社製、スリーワンモーター、EYELA miniD.C. スターラー等)とテフロン(登録商標)用プロペラを取り付け、フラスコと一緒に固定した装置にゼラチン溶液を入れ、ここにオリーブ油等の油を加えて200〜600rpm程度の速度で攪拌し、W/O型エマルジョンとし、これに架橋剤水溶液を添加するか、ゼラチン水溶液を予めオリーブ油中にて前乳化(例えば、ボルテックスミキサーAdvantec TME−21、ホモジナイザー、polytron PT10−35等を用いて)しておいたものをオリーブ油中に滴下し、微粒子化したW/O型エマルジョンを調製し、これに架橋剤水溶液を添加して架橋反応させ、遠心分離によりゼラチンハイドロゲルを回収した後、アセトン、酢酸エチル等で洗浄し、さらに2−プロパノール、エタノール等に浸漬して架橋反応を停止させることにより、調製することができる。得られたゼラチンハイドロゲル粒子は、2−プロパノール、Tween80を含む蒸留水、蒸留水等で順次洗浄し、製剤調製に供される。ゼラチンハイドロゲル粒子が凝集する場合には、例えば、界面活性剤などの添加あるいは超音波処理(冷却下、1分以内程度が好ましい)等を行ってもよい。
【0020】
得られるゼラチンハイドロゲル粒子の平均粒径は、上述の粒子作製時におけるゼラチン濃度、ゼラチン水溶液とオリーブ油との体積比、および撹拌スピードなどにより変化する。一般には粒径は1〜1000μmであり、目的に応じて適宜必要なサイズの粒子をふるい分けて使用すればよい。さらに、前乳化することによって、粒子サイズが20μ以下の微粒子状のゼラチンハイドロゲルを得ることができる。
【0021】
球状、粒子状のゼラチンハイドロゲルを調製する別法として以下の方法も挙げられる。上記の方法と同様の装置にオリーブ油を入れ、200〜600rpm程度の速度で攪拌し、ここにゼラチン水溶液を滴下してW/O型エマルジョンを調製し、これを冷却後、アセトン、酢酸エチル等を加えて攪拌し、遠心分離により未架橋ゼラチン粒子を回収する。回収したゼラチン粒子を、さらにアセトン、酢酸エチル等、次いで2−プロパノール、エタノール等で洗浄後、乾燥させる。この乾燥ゼラチン粒子を0.1%Tween80を含む架橋剤水溶液に懸濁させ、緩やかに攪拌しながら架橋反応させる。あるいは、架橋反応には、グルタルアルデヒドを含むアセトン:塩酸水溶液などを用いてもよい。使用した架橋剤に応じて、100mMグリシン水溶液、0.1%Tween80を含む100mMグリシン水溶液、0.1%Tween80を含む0.004N HCl等の溶液を用いて洗浄して架橋反応を停止することにより、ゼラチンハイドロゲル粒子を調製することができる。本法で得られるゼラチンハイドロゲル粒子の平均粒径は上記の方法の場合と同様である。
【0022】
本発明の生分解性高分子ハイドロゲルは適宜、適当な大きさ及び形に切断後凍結乾燥し滅菌して使用することができる。凍結乾燥は、例えば、生分解性高分子ハイドロゲルを蒸留水に入れ、液体窒素中で30分以上、又は−80℃で1時間以上凍結させた後に、凍結乾燥機で1〜3日間乾燥させることにより行うことができる。
【0023】
本発明において徐放性製剤を製造するために使用されるNK4DNAは、HGFの分子内断片であるNK4をコードする。NK4の構造はDateら(上掲)に記載されている。NK4をコードするDNAは、既知の配列に基づいてゲノムまたはcDNAライブラリからクローニングにより入手してもよく、化学合成により製造してもよい。NK4をコードするDNAは、導入された細胞内でNK4の機能が発現されることができるようにプラスミドベクター中に導入して用いる。プラスミドベクターは、細胞内でNK4DNAが転写され、それにコードされるNK4が適切に発現されるような様式で配列された、プロモーター領域、開始コドン、終止コドンおよびターミネーター領域等を含む。このようなプラスミドベクターは、当分野において入手可能な発現ベクターに所望のDNAを適当な制限酵素部位を利用して挿入することによって容易に調製することができる。また、導入すべきDNAの塩基配列に基づいて、合成、半合成の手段により調製することも可能である。プラスミドベクター中のプロモーターの種類、開始コドン、終止コドン、ターミネータ領域は特に限定されるものではない。
【0024】
本発明の徐放性製剤中のNK4DNAから発現されるNK4タンパク質は、HGFアンタゴニストとしての活性を有する限り、そのアミノ酸配列中の1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されていてもよく、また同様に糖鎖が置換、欠失及び/又は付加されていてもよい。さらに、別のタンパク質またはそのフラグメントとの融合タンパク質として産生されてもよい。したがって、NK4DNAは、そのような改変型NK4タンパク質をコードするものであってもよい。このような改変型タンパク質をコードするDNAを部位特異的突然変異法、遺伝子組換え法または合成法により作成する方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0025】
本発明のNK4DNA含有徐放性生分解性高分子ハイドロゲル製剤は、例えば、上記の凍結乾燥したカチオン化生分解性高分子ハイドロゲルにNK4DNA溶液を滴下するか、あるいは生分解性高分子をNK4DNA溶液中に浸漬させ、ハイドロゲル内にNK4DNAを含浸させることにより得ることができる。
【0026】
生分解性高分子に対するNK4DNAの重量比は約5倍量以下であることが好ましい。さらに好ましくは、生分解性高分子に対してNK4DNAは約5〜約1/10倍量の重量比である。この含浸操作は、通常、4−37℃で15分間−1時間、好ましくは4−25℃で15−30分間で終了し、その間にハイドロゲルはNK4DNA溶液で膨潤し、アニオン性のNK4DNAがカチオン化生分解性高分子とイオン結合して複合体を形成し、NK4DNAが生分解性高分子ハイドロゲル内に物理的相互作用によって固定される。カチオン化生分解性高分子ハイドロゲルを用いることにより、イオン結合を介して、NK4DNAが生分解性高分子ハイドロゲル中により安定に固定化される。
【0027】
本発明のNK4DNAと生分解性高分子ハイドロゲルとの複合体においては、複合体中に取り込まれているNK4DNAは、生分解性高分子ハイドロゲルが生体内で分解されるに従って複合体外部へと徐々に放出される。この放出速度は、使用する生分解性高分子ハイドロゲルの生分解性の程度、ならびに複合体内でのDNAと生分解性高分子ハイドロゲルとの結合の強さの程度および安定性により決定される。生分解性高分子ハイドロゲルの生分解性は、ハイドロゲル作製時における架橋の程度を調節することにより調節することができる。生分解性高分子としてゼラチンを用いる場合、ハイドロゲルの架橋度は含水率を指標として評価することができる。含水率とは膨潤ハイドロゲルの重量に対するハイドロゲル中の水の重量パーセントである。含水率が大きければハイドロゲルの架橋度は低くなり、分解されやすくなる。好ましい徐放性効果を示す含水率としては約80〜99w/w%であり、さらに好ましいものとしては、約95〜98w/w%のものが挙げられる。また、DNAと生分解性高分子ハイドロゲルとの結合の強さは、主としてDNAと生分解性高分子ハイドロゲル正負の電荷のバランスにより決定され、通常、より正電荷に富んだ生分解性高分子ハイドロゲルを使用した場合、得られる生分解性高分子ハイドロゲル内におけるDNAの保持性がより向上する。
【0028】
本発明の徐放性製剤には、得られるハイドロゲルの安定性やDNA放出の持続性、放出されたDNAの機能発現等の目的に応じて、所望により他の成分を加えることもできる。他の成分としては例えばアミノ糖あるいはその高分子量体やキトサンオリゴマー、塩基性アミノ酸あるいはそのオリゴマーや高分子量体、ポリアリルアミン、ポリジエチルアミノエチルアクリルアミド、ポリエチレンイミン等の塩基性高分子等が挙げられる。さらに、臓器特異的に発現している受容体に結合するリガンド蛋白質あるいは標的に特異的な抗体を加えることによって、本発明の徐放性製剤を所望の部位にターゲティングし、ここでNK4DNAを放出させることも可能である。
【0029】
本発明のNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルは任意の方法で生体に投与することができるが、目的とする特定部位でのDNAの持続的且つ局所的な放出のためには非経口的な投与が特に好ましい。NK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルは、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤等)と混合することにより徐放性製剤を調製することができる。そのような担体としては公知のものが使用できる。さらに徐放効果を調節する各種添加剤を含めることもできる。本発明を製剤化するにあたり、除菌濾過等の無菌化工程を経ることが更に望ましい。
【0030】
本発明の徐放性製剤は、目的に応じて種々の形状の製剤化が可能である。例えば、粒状、円・角柱状、シート状、ディスク状、スティック状、粒子状、ロッド状、ペースト状等の固形、半固形製剤、あるいは懸濁剤や乳剤等の注射剤が挙げられる。好ましくは目的とする特定部位での徐放効果に優れ、また局所投与に好適な固形製剤である。例えばシート状に製した本発明の徐放性製剤は、局所血管の内壁に固定するのに適している。
【0031】
注射剤は、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮内、静脈内、リンパ管内、リンパ節内、動脈内、体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内等に投与することができ、好ましくは病変組織内に直接投与する。固形、半固形製剤を投与する方法としては、DNAの放出を期待する部位に製剤を直接埋め込む方法、ペースト状製剤を注射器にて注入する方法、粒子状製剤を懸濁注射により注入する方法、経皮経管的にカテーテルを挿入し、これを介してステントに付着させた徐放性製剤を血管内に留置する方法、徐放性製剤の微粒子(約数ミクロン〜約15ミクロン)をカテーテルにより注入しDNAの放出を期待する部位に局在させる方法等が挙げられる。
【0032】
本発明の製剤の投与量は、治療的応答をもたらすに十分であるように適宜選択することができる。通常成人患者当たり約0.01〜約500μgの範囲、好ましくは、約0.1〜約200μgの範囲から投与量が選択され、これを病巣またはその周辺部位に留置または注入することができる。また1回の投与で効果が不十分であった場合は、投与を複数回行うことも可能である。
【0033】
あるいは、本発明のNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルを用いて、インビトロで細胞にNK4DNAを導入し、そのDNA導入細胞を投与することも可能である。このような目的のためにNK4DNAを導入する細胞としては、病変部位(例えば、癌組織、血管新生部位)への遊走能を有する細胞であれば特に限定されないが、細胞外の異物を細胞内へと取り込む性質(食作用)を有する細胞、すなわち後述のマクロファージに代表される食細胞が好ましい。本発明において用いられる食細胞としては、例えばマクロファージ、単球等が挙げられる。また、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等を好適に使用することができる。本発明のNK4DNA含有徐放性製剤は、上記食細胞の食作用により容易に食細胞に取り込まれ、あるいは取り込まれなくても細胞表面に付着して、細胞によりその一部が飲み込まれ(飲作用)、上記製剤によって処理された細胞を投与すると、細胞自身のもつ標的指向性によりNK4DNAを所望の部位に送達させることができる(標的細胞へのターゲッティング)。このことにより、心臓、筋肉、血管、血液、骨髄、リンパ組織、結合組織、肝臓、骨、滑膜、神経、皮膚、炎症組織、癌組織等のあらゆる臓器・組織にNK4DNAを送達させ、ここでNK4を発現させることが可能である。
【0034】
インビトロでNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルを細胞に取り込ませる、あるいは飲み込ませる際の生分解性高分子ハイドロゲルと細胞との混合比は、細胞が生分解性高分子ハイドロゲルを取り込むことができれば特に限定されず、通常、生分解性高分子ハイドロゲルを過剰に加えることにより達成される。インビトロで調製した細胞の生体への投与は、上述の本発明の徐放性製剤の投与方法に準じて行なうことができる。特に本発明のNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルを取り込んだ細胞を生体に投与する場合には、その細胞の働きを維持したまま処置する必要があり、具体的には骨髄移植あるいは免疫療法に準じた手法をとることができる。投与方法の代表例として以下のようなものがある。(a)病変部またはその近傍組織内に投与する。(b)体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔)内に投与する。(c)病変部を支配する血管内、リンパ組織内に投与する。(d)病変部から離れた血管または皮膚・脂肪・骨格筋組織内に投与する。いずれの場合にも細胞が有する遊走能により投与部よりも病変部への効果がより期待できる。
【0035】
本発明のNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルを、標的部位への遊走能を有する細胞に取り込ませることにより、NK4DNAの発現が望まれる部位へのターゲティングが可能となる。例えば癌組織や炎症組織へのターゲッティングを所望する場合にはマクロファージ、類上皮細胞、多核巨細胞が、血液には単球が、骨髄やリンパ組織には樹状細胞が、結合組織には組織球が、肝臓にはクッパー細胞が、骨には破骨細胞が、滑膜には滑膜A細胞が、神経には小膠細胞が、皮膚にはランゲルハンス細胞が好適に用いられる。また、標的臓器表面にNK4DNA含有生分解性高分子ハイドロゲルを含有する細胞を投与することにより、その臓器の深部へとNK4DNAを運ぶこともできる。
【0036】
本発明のNK4DNA徐放性生分解性高分子ハイドロゲル製剤は、NK4DNAの徐放性効果と安定化効果を持つため、NK4タンパク質を長時間にわたって発現することができる。そのため、NK4タンパク質のHGFアンタゴニストとしての機能および血管新生抑制機能が病巣部位において効果的に発揮され、癌の浸潤および転移を抑制する癌治療薬として、および加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症および未熟児網膜症等の眼科疾患、血管腫、慢性関節リウマチ、乾癬、浮腫性硬化症などの、血管新生をともなう疾患の治療および予防薬として、有効に作用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0038】
実施例1.アミノ基導入ゼラチンの作製
ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製 豚皮由来 分子量100,000 等電点9)10gを4%(w/w)となるように0.1Mリン酸緩衝液に溶解した。これに27.9gのエチレンジアミンを混合した後、塩酸にてpHを5.0に調整した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド5.3gを加えた後、リン酸緩衝液にて500mLとした。37℃で18時間反応させた後、セルロースチューブ(分画分子量12000−14000)を用いて、超純水に対して透析した。超純水は透析開始後1、2、4、8、12、24、36および48時間後に交換し、未反応のエチレンジアミンおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを除去した。得られたサンプルを凍結乾燥し、カチオン化ゼラチンを得た。TNBS法によりカチオン化ゼラチンのアミノ基を定量することにより、ゼラチンのカチオン化度を求めたところ、反応に用いたゼラチンの47%のカルボキシル基がアミノ基に変換されたことがわかった。
【0039】
実施例2.NK4DNA含有カチオン化ゼラチンハイドロゲルの作製
37℃、オリーブオイル中に10wt%濃度のカチオン化ゼラチン水溶液を滴下し、420rpmで10分間撹拌することによりエマルジョンを作製した。氷中で30分間冷却することによりゼラチン粒子をゲル化し、冷アセトンで洗浄してオリーブオイルを除去し、未架橋カチオン化ゼラチンのマイクロスフェアを得た。粒子径70μm以下に分画した後、マイクロスフェア(50mg)を0.75mg/mLのグルタルアルデヒドを含むアセトン:0.01M塩酸(7:3)水溶液20mL中に分散し、4℃で24時間でカチオン化ゼラチンの架橋反応を行った。反応終了後、粒子を100mMグリシン水溶液中で1時間撹拌し、未反応のアルデヒド基をブロックした。洗浄、凍結乾燥後、架橋カチオン化ゼラチンマイクロスフェアを得た。この凍結乾燥マイクロスフェア2mgに対して20μlのpCMV−NK4(CMVプロモーターの制御下にNK4が発現するよう構築されたプラスミド)水溶液を滴下し、室温で1時間放置、pCMV−NK4をマイクロスフェア内に含浸固定した。
【0040】
実施例3.肺転移モデルマウスにおけるNK4DNA徐放性製剤の効果
C57BL/6マウス(6−8週齢雄)の背部皮下に1×10個のルイス肺癌種(LLC)細胞を投与し、肺転移モデルマウスを作製した。4日後、LLC腫瘍塊近傍に125I標識したカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4を皮下投与した。経時的に残存放射活性を測定することにより、カチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4のインビボにおける消失パターンを評価した。
【0041】
結果を図1に示す。(a)は、125Iで標識したカチオン化ゼラチンマイクロスフェア(●)、pCMV−NK4溶液(□)およびpCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア(○)のインビボにおける消失プロファイルを示す。(b)は、125Iで標識したカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよび125Iで標識したpCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアのインビボにおける放射活性の消失の相関関係を示す。用いたカチオン化ゼラチンマイクロスフェアの放射活性は、時間とともに投与部位から減少し、4週間で完全に消失した。この消失パターンはpCMV−NK4の消失パターンと一致し、このことはpCMV−NK4が、pCMV−NK4の徐放化担体であるカチオン化ゼラチンハイドロゲルマイクロスフェアの分解とともにインビボで徐放されたことを示している。
【0042】
次に、20、100または200μgのpCMV−NK4水溶液、または同量のpCMV−NK4を含浸したカチオン化ゼラチンマイクロスフェアをマウス腫瘍塊近傍に皮下投与した。経時的に腫瘍体積を測定することによりNK4の腫瘍転移抑制効果を検討した。また、LLC投与の28日後、肺転移数および腫瘍組織中の血管数の計測とTUNEL法によるアポトーシス細胞の観察を行った。
【0043】
図2は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与したときのマウスの生存曲線を示す:20(○−・−)、100(○−)、および200μg(○−−−)のpCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア、100(●−)*および200μg(●−−−)*のpCMV−NK4溶液、カチオン化ゼラチンマイクロスフェアのみ(△)、および対照群である食塩水(黒三角);
*,p<0.05:食塩水投与対照マウスの生存曲線に対して有意。
pCMV−NK4を含有するマイクロスフェアを投与したマウスは、pCMV−NK4の用量に関わらず、pCMV−NK4溶液を投与したマウスと比較してより長い生存日数を示した。
【0044】
図3は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与したときの、腫瘍体積の経時変化を示す:20(○−・−)、100(○−)、および200μg(○−−−)のpCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア、100(●−)および200μg(●−−−)のpCMV−NK4溶液、カチオン化ゼラチンマイクロスフェアのみ(△)、および対照群である食塩水(黒三角);
*,p<0.05:食塩水を投与したマウスの腫瘍体積に対して有意;
†,††,p<0.05:それぞれ100および200μgのpCMV−NK4溶液を投与したマウスの腫瘍体積に対して有意。
pCMV−NK4を含有するマイクロスフェアを投与したマウスは、pCMV−NK4の用量に関わらず、pCMV−NK4溶液を投与したマウスと比較して、インビボでの腫瘍細胞の成長を有意に抑制した。
【0045】
図4は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与したときの、投与28日後の肺腫瘍転移数を示す:pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア(白バー)、pCMV−NK4溶液(黒バー)、対照としてカチオン化ゼラチンマイクロスフェアのみ、および食塩水;
*,p<0.05:食塩水を投与したマウスの肺転移の数に対して有意;
†,††,p<0.05:それぞれ100および200μgのpCMV−NK4溶液を投与したマウスの肺転移に対して有意。
いずれの用量のpCMV−NK4含有マイクロスフェアを投与した場合も、pCMV−NK4溶液を投与した場合と比較して、肺腫瘍転移数を有意に減少させた。
【0046】
図5は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与したときの、投与28日後の腫瘍組織において形成された新生血管数を示す:pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア(白バー)、pCMV−NK4溶液(黒バー)、対照としてカチオン化ゼラチンマイクロスフェアのみ、および食塩水;
*,p<0.05:食塩水を投与したマウスの血管数に対して有意;
†,††,p<0.05:それぞれ100および200μgのpCMV−NK4溶液を投与したマウスの血管数に対して有意。
いずれの用量のpCMV−NK4含有マイクロスフェアを投与した場合も、pCMV−NK4溶液を投与した場合と比較して、腫瘍塊近傍において新生される血管数を有意に減少させた。
【0047】
図6は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与したときの、投与28日後のTUNEL染色陽性細胞数を示す。TUNEL染色陽性は、細胞がアポトーシスにより死んだことを示している:pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア(白バー)、pCMV−NK4溶液(黒バー)、対照としてカチオン化ゼラチンマイクロスフェアのみ、および食塩水;
*,p<0.05:食塩水を投与したマウスの陽性染色細胞数に対して有意;
†,††,p<0.05:それぞれ100および200μgのpCMV−NK4溶液を投与したマウスの陽性染色細胞数に対して有意。
いずれの用量のpCMV−NK4含有マイクロスフェアを投与した場合も、pCMV−NK4溶液を投与した場合と比較して、腫瘍塊近傍のアポトーシス細胞数を有意に減少させた。NK4による新生血管数の減少がこのアポトーシス促進の原因であると考えられる。
【0048】
図7は、pCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェアおよびpCMV−NK4溶液を腫瘍塊近傍の皮下組織に単回投与した後の、マウスの腫瘍組織、肺組織、および血流中で検出されたNK4蛋白質の量の経時変化を示す:100(○)および200μg(△)のpCMV−NK4を含有するカチオン化ゼラチンマイクロスフェア、および200μgのpCMV−NK4溶液(●)。
pCMV−NK4含有マイクロスフェアを投与した場合、pCMV−NK4の用量に関わらず、腫瘍、肺、および血流においてNK4タンパク質が検出されたが、pCMV−NK4溶液を投与した場合には検出されなかった。すなわち、カチオン化ゼラチンマイクロスフェアを用いてNK4DNAを徐放化することにより、NK4タンパク質が発現され、NK4DNA注射部位の腫瘍、肺、血液中でそのタンパク質レベルが検出可能であることが示された。
【0049】
以上のことより、カチオン化ゼラチンマイクロスフェアを用いてpCMV−NK4が徐放化でき、このことにより、NK4タンパク質が長期間発現され、その結果、単回投与においてもNK4の腫瘍転移抑制効果が有意に増強されることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の徐放性製剤中のNK4DNAのインビボにおける消失パターンを示す。
【図2】図2は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときのマウスの生存曲線を示す。
【図3】図3は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときの腫瘍の肺転移数を示す。
【図4】図4は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときの腫瘍体積の変化を示す。
【図5】図5は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときの腫瘍組織中の血管数を示す。
【図6】図6は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときの腫瘍組織中のアポトーシス細胞数を示す。
【図7】図7は、本発明の徐放性製剤および対照の製剤をマウスに投与したときの肺、癌組織、および血中におけるNK4タンパク質の発現量を示す。

Claims (2)

  1. NK4をコードするDNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤。
  2. NK4をコードするDNAおよび生分解性高分子ハイドロゲルを含む徐放性製剤からなる、血管新生を阻害するための組成物。
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