JP2004158337A - 蒸着装置 - Google Patents

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敬郎 森
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Abstract

【課題】蒸発源の坩堝から蒸着マスクへの輻射熱の影響を軽減し、蒸着マスクの膨張を抑制することで精度の高い蒸着を行うことのできる蒸着装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、蒸着対象となるガラス基板に蒸着マスク3を介して蒸発材料Mを被着する蒸着装置であり、蒸発材料Mを収納する坩堝21と、この坩堝21の少なくともガラス基板1と対向する面に密着した状態で設けられ、坩堝21の材料より熱輻射効率の低い材料で構成される金属めっき23から成る輻射防止手段とを備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、坩堝から蒸発材料を出射し、マスクを介してその蒸発材料を基板に被着する蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平面型の表示装置として、有機EL素子を発光素子としたもの(以下、単に「有機ELディスプレイ」と言う。)が注目を集めている。この有機ELディスプレイは、バックライトが不要な自発光型のフラットディスプレイであり、自発光型に特有の広視野角を実現できるという利点を有する。
【0003】
また、有機ELディスプレイは、必要な画素のみを点灯させればよいため消費電力の点でバックライト型(例えば、液晶ディスプレイ)に比べて有利であるとともに、今後実用化が期待されている高精細度の高速のビデオ信号に対して十分な応答性能を具備すると考えられている。
【0004】
ここで、有機EL素子における有機層は、通常、正孔(ホール)注入層、正孔輸送層、発光層、電荷注入層等といった3〜5層が積層されてなる。ただし、各層を形成する有機材料は耐水性が低く、ウエットプロセスを利用できない。そこで、有機層を形成する際には真空薄膜成膜技術を利用した真空蒸着によって各層を順に成膜して積層構造とするのが一般的である。
【0005】
また、例えばフルカラーの画像表示を行う有機EL素子を構成する場合は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に対応した3種類の有機材料から成る有機層を、それぞれ異なる画素位置に成膜する必要がある。
【0006】
このような有機層の成膜を行う技術として、本願発明者らは特許文献1において成膜対象となる基板と複数のライン型蒸発源とを相対移動させることで複数の有機層を連続成膜する装置および方法を提案している。
【0007】
また、有機EL材料を蒸着する蒸着装置のライン型蒸発源では、基板上で有機EL材料を蒸着する範囲(画素)を制限する目的で、金属製の蒸着マスクが用いられる。
【0008】
このため、熱源にて加熱されたライン型蒸発源上部を蒸着マスクが通過すると加熱された坩堝の上面(基板との対向面)から輻射熱を受けて蒸着マスクの温度が上昇し膨張することになる。
【0009】
したがって、蒸着マスクの温度上昇が大きいと膨張率も大きくなり、有機EL材料を蒸着する範囲にずれを生じることになる。このためライン型蒸発源からの輻射熱を抑えるために、反射板が用いられている。
【0010】
【特許文献1】
特願2002−133536号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この反射板は坩堝の近傍に配置されることから高温にさらされる。したがって、反射板に対して水冷等の冷却を施す必要があり構造が複雑になる上、先端に有機EL材料が付着して孔から飛散する有機EL材料の妨げになるという問題点がある。また、反射板の開口と坩堝の開口との大きさの違いから坩堝表面の露出部分より輻射熱が蒸着マスクに伝わってしまうという問題もある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、蒸着対象となる基板にマスクを介して蒸発材料を被着する蒸着装置であり、蒸発材料を収納する坩堝と、この坩堝の少なくとも前記基板と対向する面に密着した状態で設けられ、坩堝の材料より熱輻射効率の低い材料で構成される輻射防止手段とを備えている。
【0013】
このような本発明では、坩堝の少なくとも基板との対向面に輻射防止手段が密着した状態で設けられていることから、坩堝の基板との対向面における開口以外を全て輻射防止手段で覆うことができ、坩堝から蒸着マスクへの輻射熱を確実に遮断できるようになる。
【0014】
また、本発明は、蒸着対象となる基板にマスクを介して蒸発材料を被着する蒸着装置であり、蒸発材料を収納する坩堝と、この坩堝の蒸発材料と接する内面に設けられ、坩堝の材料より熱輻射効率の高い材料で構成される熱伝導手段とを備えるものでもある。
【0015】
このような本発明では、坩堝の材料として熱輻射効率の低い材料を用い、坩堝の表面からマスクに対する輻射熱の発生を抑制できるとともに、坩堝の内面に坩堝の材料よりも熱輻射効率の高い熱伝導手段が設けられているため、坩堝を加熱した際の蒸発材料の加熱効率も向上できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。すなわち、本実施形態に係る蒸着装置は、主として有機EL素子の製造に適したもので、蒸発源が長尺状となっているライン型蒸発源を用い、このライン型蒸発源と蒸着対象となる基板とを相対移動させながら成膜を行うものである。
【0017】
図1は本実施形態に係る蒸着装置の主要部を説明する模式図である。成膜対象はガラス基板1であり、インライン方式の有機EL蒸着システム等により有機EL等の材料が真空蒸着される。ライン型蒸発源2はガラス基板1の下方に配置され、ガラス基板1およびガラス基板1に密着した蒸着マスク3を図中矢印に示す移動方向へ移動させながらガラス基板1の面に向けて有機材料を蒸発させ被膜形成を行う。
【0018】
また、本実施形態に係る蒸着装置のライン型蒸発源の構造を図2の模式断面図に基づいて説明する。蒸発材料Mは例えば有機EL材料であり、本実施形態の蒸着装置のライン型蒸発源2(図1参照)によりガラス基板1(図1参照)に真空蒸着される。
【0019】
坩堝21は、例えばカーボンなどの熱輻射効率のよい素材で構成され、蒸発材料Mを入れるための耐熱性の容器である。熱源22は、例えば熱伝対および温度調整器により構成され温度制御されたヒータであり、坩堝21を加熱して蒸発材料Mを蒸発させることを目的として坩堝21の下に設置されている。
【0020】
坩堝21のガラス基板との対向面には孔hが設けられている。坩堝21内で加熱された蒸発材料Mはこの孔hを通り、ガラス基板1の主面上に被着するようになる。
【0021】
本実施形態では、この坩堝21における少なくともガラス基板1との対向面に金属めっき23から成る輻射防止手段が密着した状態で設けられている。金属めっき23としては、例えば坩堝21の材料であるカーボンの表面に施されたニッケルめっきであり、坩堝21の材料より熱輻射効率の低い材料から成る。
【0022】
この金属めっき23によって坩堝21からの熱輻射が蒸着マスクに影響することを軽減できるようになる。つまり、金属めっき23は坩堝21の表面に密着していることから坩堝21のガラス基板1との対向面における孔hを除く部分の全てを覆う状態となり、ガラス基板1側に坩堝21の表面が露出しない状態となる。したがって、坩堝21からの輻射熱は金属めっき23によって遮蔽され、蒸着マスク3への悪影響を防止できる。
【0023】
また、金属めっき23は坩堝21の表面に密着していることから、坩堝21とほぼ同じ温度に加熱される。このため、孔hから出射された蒸発材料Mが金属めっき23の孔hと対応する部分の縁に接触しても温度低下を起こさず、孔hへの付着を防止できるようになる。
【0024】
なお、上記の例では坩堝21の表面に金属めっき23を設けているが、坩堝21の材料より熱輻射効率の低い材料を密着できるものであれば良く、金属めっき23に限定されない。
【0025】
次に、本実施形態の蒸着装置の動作を説明する。ライン型蒸発源2は熱源22により加熱温度制御され、有機EL材料を蒸発し孔hから上方に向けて出射される。ライン型蒸発源2の上にはガラス基板1が所定方向に移動できるよう配置されており、ライン型蒸発源2の上方を通過するガラス基板1の主面上に有機ELの薄膜が形成される。
【0026】
ここで、坩堝21は熱源22により高温に加熱されている。蒸着マスク3が坩堝21の上方を通過すると、坩堝21から輻射熱を受けて蒸着マスク3は過熱されて膨張することになる。そこで、坩堝21の材料よりも熱輻射効率の低い材料から成る金属めっき23を坩堝21の上部(ガラス基板1との対向面)表面に施しておくことで、坩堝21から蒸着マスク3への熱輻射の影響を軽減できるようになる。
【0027】
また、金属めっき23としては、坩堝21の表面よりも凹凸の少ない表面状態(例えば、鏡面状)にすることで、坩堝21から蒸発材料Mへの熱伝導効率を下げることなく、坩堝21から蒸着マスク3への熱輻射の影響を更に軽減できるようになる。
【0028】
図3は、本実施形態の変形例を説明する模式断面図である。先に説明した例では、坩堝21の上部表面に金属めっき23を施すようにしたが、坩堝21の構成材料を熱伝導のよい銅などの金属材料で構成する場合、坩堝全体の熱輻射効率が悪くなってしまうので蒸発材料Mへの熱伝導も悪くなり、蒸発速度の制御を行うのに適していない。
【0029】
そこで、図3に示すように、坩堝21の内面の蒸発材料Mが接する部分に坩堝21の材料より熱輻射効率の良い材料(例えば、セラミック)をコーティングして熱伝導手段24を設けることで、蒸発材料Mへの熱伝導効率を下げることなく、坩堝21の上部表面から蒸着マスク3への熱輻射の影響を軽減させることができる。また、坩堝21の上部表面を鏡面化して更なる熱輻射の影響を減少させることが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態ではいずれも有機EL素子の製造で適用する例を説明したが、他の素子、他の材料から成る膜を製造する場合であっても適用可能であり。また、長尺状のライン型蒸発源についての例を示したが、これ以外の蒸発源についても適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果がある。すなわち、蒸着装置における蒸発源の構造において、反射板のような複雑な構造が必要なくなり、蒸着中に反射板への蒸発材料の付着という問題を解決することが可能となる。また、坩堝の基板との対向面に坩堝の材料よりも熱輻射効率の低い金属などの材料をめっき処理することで、蒸発材料への熱伝導効率を落とすことなく、蒸着マスクへの熱輻射の影響を軽減することができ、マスクの温度上昇を抑えることが可能となる。これにより、蒸着マスクの熱膨張を抑えることができ、蒸発材料を蒸着する範囲のずれを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る蒸着装置の主要部を説明する模式図である。
【図2】本実施形態で適用されるライン型蒸発源の構造を説明する模式断面図である。
【図3】本実施形態の他の例を説明する模式断面図である。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…ライン型蒸発源、3…蒸着マスク、21…坩堝、22…熱源、23…金属めっき、24…熱伝導手段、h…孔、M…蒸発材料

Claims (6)

  1. 蒸着対象となる基板にマスクを介して蒸発材料を被着する蒸着装置において、
    前記蒸発材料を収納する坩堝と、
    前記坩堝の表面のうち少なくとも前記基板と対向する面に密着した状態で設けられ、前記坩堝の材料より熱輻射効率の低い材料で構成される輻射防止手段と
    を備えることを特徴とする蒸着装置。
  2. 前記輻射防止手段は金属膜から成り、前記坩堝にめっき処理によって密着している
    ことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  3. 前記輻射防止手段は前記坩堝の表面より凹凸の少ない表面状態で設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  4. 前記基板と前記坩堝とを相対移動させる移動手段を備えており、前記坩堝は前記移動手段による相対移動の方向と略直角な方向に沿って長く設けられるライン状となっている
    ことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  5. 蒸着対象となる基板にマスクを介して蒸発材料を被着する蒸着装置において、
    前記蒸発材料を収納する坩堝と、
    前記坩堝の前記蒸発材料と接する内面に設けられ、前記坩堝の材料より熱輻射効率の高い材料で構成される熱伝導手段と
    を備えることを特徴とする蒸着装置。
  6. 前記基板と前記坩堝とを相対移動させる移動手段を備えており、前記坩堝は前記移動手段による相対移動の方向と略直角な方向に沿って長く設けられるライン状となっている
    ことを特徴とする請求項5記載の蒸着装置。
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