JP2004163858A - 光学系及び映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面102aを備えたミラー102と、液晶表示素子(LCD)121と、バックライト122と偏光板123とからなる映像表示装置。LCD121にて変調された映像光は自由曲面反射面102aで反射され、偏光板123を透過して光学瞳103に導かれる。曲率の変化量が変曲点を有することにより、像面湾曲と歪曲の収差が良好なものとなり、解像度の高い高画質の映像を生成することができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系、特に、自由曲面反射面を備えた光学系に関する。また、本発明は、映像表示装置、特に、HMD(ヘッドマウンテッドディスプレイ)と通称されている頭部装着タイプに最適な映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】
【特許文献1】
特許第3155341号公報
【特許文献2】
特許第3155337号公報
【特許文献3】
特開平11−95160号公報
【特許文献4】
特開2001−117045号公報
【特許文献5】
特開2001−188194号公報
【特許文献6】
特開平5−303054号公報
【0003】
特許文献1には、平面像が観察できるように非球面凹面鏡の光軸の入射面内曲率を設定し、高画質な映像を観察できる視覚表示装置が開示されている。また、特許文献2には、歪曲が小さくなるように非球面凹面鏡の光軸の入射面に垂直な方向の曲率を設定し、高画質な映像を観察できる視覚表示装置が開示されている。さらに、特許文献3には、ハーフミラーの表面に偏光板を貼り合わせて反射光を減少させて映像を観察できる頭部装着型表示装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置においては、平面像を観察するという目的のために歪曲を犠牲にしているという問題点を有していた。即ち、図17に示すように、長方形の像面500を自由曲面反射面501で反射させて光学瞳510へ導き、該光学瞳510にて虚像505を観察すると、虚像505は歪んだ画面505’として観察される。
【0005】
また、特許文献2に記載の表示装置においては、歪曲をなくするという目的のために像面湾曲を犠牲にしている、あるいは、解像度を犠牲にしているという問題点を有していた。即ち、図18に示すように、長方形の像面500を自由曲面反射面502で反射させて光学瞳510へ導き、該光学瞳510にて虚像506を観察すると、虚像506は歪曲が補正された長方形の画面506’として観察できるが、虚像506の位置が中心と周辺とで大きく異なり、1ディオプターを超えて非常に見づらいものである。この自由曲面反射面502で歪曲と共に湾曲をも良好にしようとすると解像度の悪いぼけた虚像になってしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、像面湾曲と歪曲の収差を改善して解像度の高い高画質の映像を生成できる光学系及び映像表示装置を提供することにある。
【0007】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明に係る光学系は、曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面を備えたことを特徴とする。
【0008】
第1の発明に係る光学系では、自由曲面反射面は曲率の変化量が変曲点を有することにより、像面湾曲と歪曲の収差が良好なものとなり、解像度の高い高画質の映像を生成することができる。
【0009】
前記自由曲面反射面の変曲点のピッチは、有効な光学瞳の大きさとほぼ等しいか又は小さいことが好ましい。像面湾曲と歪曲の収差を改善しながら、解像度も高くすることができ、より高画質の映像を生成することができる。
【0010】
前記自由曲面反射面に入射する光軸の入射面方向に、前記自由曲面反射面は曲率の変化量が変曲点を有するように構成してもよい。軸非対称な光学系とすることができ、配置の自由度が向上するので、映像表示装置が小型軽量になる。
【0011】
さらに、光学的パワーを持つ面が前記自由曲面反射面の1面のみであってもよい。映像表示装置の小型軽量化が達成できる。
【0012】
第2の発明に係る映像表示装置は、前記光学系と、映像を表示する表示手段とを備え、前記表示手段により表示された映像を前記光学系により虚像として観察者の瞳に導くことを特徴とする。
【0013】
第2の発明に係る映像表示装置では、観察者の瞳の大きさで映像の性能を確保することができ、大きな光学瞳で観察しやすくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光学系及び映像表示装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態、図1、図2参照)
本発明の第1実施形態である光学系100は、図1に示すように、自由曲面反射面102aを備えた1枚のミラー102にて構成されている。101は像面、103は光学瞳である。
【0016】
光学系100を撮像系として用いる場合には、光学瞳103からの光を自由曲面反射面102aで反射し、像面101に結像した像を撮像素子により撮像する。また、光学系100を観察系として用いる場合には、液晶表示素子(LCD)等で像面101に表示された映像光を自由曲面反射面102aで反射し、光学瞳103に入射させる。光学瞳103に入射した映像光を観察者の瞳に導くことにより、虚像として観察することができる。
【0017】
自由曲面反射面102aの面形状は以下の式(1)に示す多項式で定義され、本第1実施形態では以下の表1に示す定数を用いている。
【0018】
【式1】
【0019】
【表1】
【0020】
本第1実施形態では、定数にC=0を用いているので、基準となる曲率は無限大つまり平面であるが、有限曲率を基準としてもよい。自由曲面反射面102aの形状は、光軸入射面(x=0面)で軸非対称であり、光軸入射面に垂直な方向には光軸入射面に対称である。なお、自由曲面反射面では共軸系のように光軸が一義的に定まらないので、像面101と光学瞳103の中心を結ぶ線を光軸Q(図2参照)として定義している。
【0021】
図2は曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面102aの面形状を示している。自由曲面反射面102aの光軸入射面内のy方向の曲率を、光学瞳103のy座標位置で描くと、ピッチpで変曲点を有する曲線となる。
【0022】
ここで、図3を参照して、本発明の主題である自由曲面が曲率の変化量に変曲点を有する効果について説明する。なお、各実施形態は全て軸非対称な光学系であるが、共軸系でも同じ効果が得られるので、共軸反射面を観察光学系に用いた場合で説明する。但し、図3は、説明しやすくするための仮想的な図であり、実際の曲率や形状とは異なる。
【0023】
像面上の3点a,b,cからの主光線が曲面に当たる点をa’,b’,c’とし、その間の距離をLa,Lb,Lcとする。また、点a’,b’,c’におけるyz断面での曲率をRa,Rb,Rcとする。また、瞳の中心をPで表す。
【0024】
まず、虚像を図3のようにほぼ等距離に像面湾曲がない状態で観察するためには、ニュートンの公式より、
1/La×(Ra/2)/(Ra/2+La)
=1/Lb×(Rb/2)/(Rb/2+Lb)
=1/Lc×(Rc/2)/(Rc/2+Lc) ……(1)
が成立することが条件となる。
【0025】
また、像面湾曲がない状態で歪曲なく観察するためには、x方向に垂直な方向に法線を有し、線分a’P,b’P,c’Pを含む平面での曲面の各断面形状が相似であることが条件となる。この条件と、点a’,b’,c’における縦横の非点隔差をなくして高解像度にするためには、
Ra=Rb=Rc ……(2)
が成立することが条件となる。
【0026】
前記条件式(1),(2)より、
La=Lb=Lc ……(3)
が導かれる。
【0027】
従って、従来の光学系では、球面や非球面は勿論のこと、自由曲面であっても、平面像を観察する場合に反射面の曲率を単に徐変させただけでは、前記条件式(2),(3)を満たす曲面を構成することはできなかった。
【0028】
本発明は前記条件式(2),(3)を満たすような曲面に近づけるために曲率の変化量に変曲点(曲率が大きくなったり小さくなったり)を有する形状として、像面湾曲及び歪曲を良好に補正しながら解像度の高い高画質の映像を観察できるものである。
【0029】
本発明に係る曲面形状によると、局部的なパワーを決める前記条件式(2)を満たす曲率を有する部分を小さい曲率(あるいは大きい曲率)でつなぐような構成となる。従って、小さい曲率(あるいは大きい曲率)の部分は解像度を悪くする要因となる。しかし、有効な瞳より小さなピッチpで変曲点を有する曲面形状にすることによって、有効な瞳内に収差の良好な光が少なくとも半分以上射出するので解像度の低下を抑えることができる。
【0030】
また、液晶表示素子のように画素単位で表示するような表示手段を用いることによって、連続的な解像度を必要としないのでさらに効果的に歪曲と像面湾曲とを同時に補正することができる。
【0031】
本発明の効果は、前述のとおり共軸反射面においても得られるが、軸非対称な反射面に用いることによってさらに大きな効果を得ることができる。
【0032】
ところで、有効な光学瞳とは、結像系の場合には撮像に利用される入射瞳の大きさであり、観察系の場合には観察者の瞳の大きさ、あるいは、観察者の瞳が光学瞳より大きい場合は光学瞳の大きさである。
【0033】
本第1実施形態では、観察系において有効な光学瞳を3mmとし、ピッチpを2.5mmとし、高画質でありながら、光学瞳103はx方向に12mm、y方向に6mmの大きな瞳にして観察者が見やすくしている。ちなみに、人の瞳の大きさはほぼ3mmである。
【0034】
また、変曲点のピッチpは画面の周辺部ほど大きく設定している。これは、周辺部ほど有効な瞳で利用される光が少ないからである。つまり、光軸Qに近いほど光学収差補正のために有効な瞳より小さなピッチで細かく曲率を変化させ、周辺部では有効な瞳より大きなピッチで光学収差補正を行う。
【0035】
一方、表示手段に表示された映像を観察する場合、外部から光が入り込むと映像のコントラストが低下する、あるいは、迷光により映像品質が低下するという問題点を有している。
【0036】
特許文献3には、ハーフミラーの表面に偏光板を貼り合わせることで反射光を減少させようにした表示装置が開示されている。しかし、この表示装置では、ハーフミラーを用いているので、外部光が半減しても25%の光が反射されて目に有害な光となって映像が観察しにくく、逆に映像光の25%しか使用できずに映像が暗いという問題点を有していた。さらに、映像光をハーフミラーで折り返しているため、装置が大型化してしまうという問題点も有していた。
【0037】
そこで、外部光を低減し、小形・軽量で明るく高画質な映像表示装置を提供することを目的として、第2及び第3実施形態を以下に説明する。
【0038】
(第2実施形態、図4参照)
本発明の第2実施形態である映像表示装置120Aは、前記第1実施形態として示した光学系100を用いたものである。図4において、121は透過型の液晶表示素子(LCD)、122はバックライト、123は偏光板である。
【0039】
LCD121は、バックライト122の光を画像データに基づいて変調し、A方向の偏光を有する映像を表示する。即ち、LCD121は複数の画素が2次元的に配列されており、画像データに基づいて、それぞれの画素で光を変調することにより映像を表示する。この映像光は、自由曲面反射面102aで反射され、B方向の透過軸を持つ偏光板123を透過して光学瞳103に導かれる。観察者は光学瞳103の光の一部又は全部を自身の瞳に入射させて映像を虚像として観察することができる。
【0040】
この映像表示装置120Aは偏光板123以外の部分が筐体129で覆われており、外部からの不要な光を遮光するようになっている。偏光板123はB方向に垂直な光は吸収するので、外部の光を半減して透過させる。従って、映像装置120Aの内部に入射する不要な外部光はかなり少ない。一方、LCD121の偏光方向Aと偏光板123の偏光方向Bは一致しているので、映像が暗くなることはない。
【0041】
(第3実施形態、図5参照)
本発明の第3実施形態である映像表示装置120Bは、前記第2実施形態として示した映像表示装置120Aに、図5に示すように、4分の1波長板124をLCD121の前面に設けると共に、4分の1波長板125を偏光板123の裏面に設けたものである。他の構成は前記第2実施形態と同様である。
【0042】
詳しくは、4分の1波長板124は、自由曲面反射面102aとLCD121との間に設けられており、4分の1波長板125は、自由曲面反射面102aと偏光板123との間に設けられている。なお、4分の1波長板124,125は図5に示されているように必ずしも、LCD121の前面あるいは偏光板123の裏面に密着ないし積層して設けられる必要はない。
【0043】
4分の1波長板124はA方向の直線偏光を右回りの円偏光とする。4分の1波長板125は左回りの円偏光をB方向の直線偏光とする。即ち、LCD121から出射されたA方向の直線偏光は4分の1偏光板124で右回りの円偏光とされ、自由曲面反射面102aで反射されて左回りの円偏光になり、4分の1波長板125でB方向の直線偏光に戻されて偏光板123を透過する。
【0044】
4分の1波長板124,125は、直線偏光が元の方向と一致するように光学的に直交するように配置し、それぞれの位相が多少ずれても偏光状態が損なわれないようにしている。
【0045】
ところで、本第3実施形態において4分の1波長板124,125を設けた理由は、外部光の影響低減及び2重像防止にある。
【0046】
即ち、図4に示した第2実施形態では、偏光板123を外部光の半分が透過し、その透過光は内部で反射された後、偏光方向が変化しなければそのまま光学瞳103の方向に出射する。その結果、光学瞳103に不要な光が入射する。
【0047】
本第3実施形態の如く、4分の1波長板124,125を設けると、偏光板123を透過した外部光が再度偏光板123を透過して外部に出射しようとするとき、4分の1波長板125を往復しているために偏光方向が90°回転しており、その結果、偏光板123に吸収されて外部(光学瞳103の方向)には出射しない。
【0048】
このような外部光の影響を低減する効果は、4分の1波長板125を自由曲面反射面102aと偏光板123との間の任意の箇所に設けることにより達成することができる。4分の1波長板124と4分の1波長板125を設けることにより、映像が暗くならず、外部光の影響を低減できる。
【0049】
また、前記第2実施形態では、LCD121から出射された映像光のうち偏光板123の瞳側で反射された光(表面反射光)は、ミラー側の面で反射されて偏光板123から出射し、これが原因で2重像が生じる。
【0050】
本第3実施形態の如く、4分の1波長板124,125を設けると、特に、4分の1波長板125を偏光板123の裏面側に密着ないし積層して設けると、偏光板123の瞳側で反射された光は4分の1波長板125のミラー側で反射されるが、この光は4分の1波長板125を往復しているために偏光方向が90°回転しており、その結果、偏光板123に吸収されて2重像が生じなくなる。
【0051】
(第4実施形態、図6参照)
本発明の第4実施形態である映像表示装置120Cは、図6に示すように、光学系としてプリズム200を用いたものである。210はLCD、220は光学瞳である。LCD210にて表示された映像光は、入射面201からプリズム200に入射し、面202で全反射した後、曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面203で反射し、面202を透過して光学瞳220に入射する。観察者は光学瞳220の光を自身の瞳に入射させて映像を虚像として観察することができる。
【0052】
なお、プリズム200の入射面201及び面202は自由曲面としているが、平面あるいは球面であってもよい。
【0053】
(第5実施形態、図7参照)
本発明の第5実施形態である映像表示装置120Dは、図7に示すように、頭部装着型としたもので、筐体301内には前記第2実施形態として示した映像表示装置120Aが収納されている。この映像表示装置120Dは、筐体301が額当て302と頭部への保持手段303とで観察者の眼前に保持される。
【0054】
なお、使用される映像表示装置は、第2実施形態に限らず、第1、第3又は第4実施形態であってもよいことは勿論である。
【0055】
一方、近年ではカラー映像を生成する素子として様々なタイプが開発、提供されている。この種の素子としては、カラーフィルタ構成による方式と、フィールドシーケンシャル駆動による方式とが知られている。
【0056】
図14(A)は表示画面に映像A,Bが映し出された状態を示しており、図14(B)はカラーフィルタ構成の素子を模式的に示し、図14(C)はフィールドシーケンシャル駆動の素子を模式的に示している。
【0057】
カラーフィルタ構成では、1画素に赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタを配置し、それぞれのフィルタの輝度バランスによりカラー映像を生成する。しかし、このタイプの映像生成素子では、三つのフィルタで1ドットを再現するためにフィルタのピッチに応じた色ずれが発生するという問題点を有している。この色ずれは微小なので、表示映像を直接観察する装置であれば問題とはならないが、前記HMDなど映像を拡大観察する装置にあっては、色ずれも拡大されるため、映像の表示品質が損なわれる。
【0058】
これに対して、フィールドシーケンシャル駆動は、図14(C)に示すように、あるいは特許文献4,5に記載されているように、照明光を赤(R),緑(G),青(B)と時系列に高速に切り換え、これに連動して同一画素を各波長に対応した映像信号に応じて順次変調し、残像効果によりカラー映像を再現する。変調素子としてはLCD(液晶表示素子)や米国テキサスインスツルメント社のDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が提供されている。
【0059】
フィールドシーケンシャル駆動では、同一画素がR,G,Bに時系列で切り換わって映像を形成するため、前記カラーフィルタタイプのような色ずれが発生することはない。また、同じ解像度の映像を表示する場合、画素数はカラーフィルタタイプに比較して1/3となり、同じ大きさの表示面積であれば、各画素の大きさは3倍となり、開口率が向上して明るい映像を生成することができる。
【0060】
一方、生成された映像を拡大表示する光学系には光束を屈曲する光学素子が必要となり、屈折面による方式と反射面による方式とが存在する。屈折による光束の屈曲は図15に示すように、R,G,Bの各波長に対する媒質の屈折率の違いによって屈曲角が異なり、色収差が発生する。
【0061】
これに対して、反射による光束の屈曲は、図16に示すように、R,G,Bの各波長に対する屈曲角が等しく、色収差は発生しない利点を有している。特許文献6はこのような反射面を用いた拡大光学系を開示している。しかし、特許文献6は拡大光学系を開示するのみであり、映像生成装置との組合せにまでは言及していない。
【0062】
そこで、色ずれが全く発生することのない頭部装着タイプに最適な映像表示装置を提供することを目的として、第6〜第11実施形態を以下に説明する。
【0063】
(第6実施形態、図8参照)
本発明の第6実施形態である映像表示装置1Aは、図8に示すように、光源ユニット2と映像生成装置10と拡大観察光学系20とで構成されている。
【0064】
光源ユニット2は、発光ダイオード3R,3G,3Bと、平面状の照明ミラー4と、拡散板5とで構成されている。発光ダイオード3R,3G,3Bはそれぞれ赤色、緑色、青色の光束を所定の時系列で順次発生する。それぞれの光束は照明ミラー4で反射され、拡散板5を介して映像生成装置10を照明する。
【0065】
映像生成装置10は、透過型のLCDを光変調素子として用いたもので、前記発光ダイオード3R,3G,3Bから発せられた異なる波長の光束にて時系列で順次照明され、各画素がそれぞれの異なる波長に対応して光束を変調するフィールドシーケンシャル駆動によってカラー映像を生成する。即ち、光変調素子は各光源3R,3G,3Bの発光タイミングに同期してそれらの発光光束に対応したモノクロ画像を時分割に形成する。この動作を高速に行い、観察者の残像効果によりカラー画像を視認させる。
【0066】
フィールドシーケンシャル駆動によって映像を生成すると、同一画素がR,G,Bに時系列で切り換わって映像を表示するために本来的に色ずれがなく、また、カラーフィルタ構成と比較して開口率が大きくなる利点を有している。
【0067】
拡大観察光学系20は、表面を金属コーティングされた1枚の凹面反射ミラー21によって構成され、前記映像生成装置10で変調された映像光を凹面反射ミラー21で表面反射して観察者の瞳Pに導く。反射面による光束の屈曲は、波長に対して同じ屈曲角(図16参照)であるため、色収差は発生しない。
【0068】
本第6実施形態における凹面反射ミラー21は非軸対称非球面であり、その配置及びコンストラクションデータは表2として後に示す。なお、凹面反射ミラー21の非軸対称非球面は、前記第1実施形態に示した自由曲面反射面102aと同じ面形状である。
【0069】
(第7実施形態、図9参照)
本発明の第7実施形態である映像表示装置1A’は、基本的には前記第6実施形態として示した映像表示装置1Aと同じ構成を備え、前記第2実施形態で示した偏光板123を拡大観察光学系20と瞳Pとの間に設けたものである。
【0070】
この映像表示装置1A’は偏光板123以外の部分が図示しない筐体で覆われており、偏光板123の作用及び効果は前記第2実施形態で説明したとおりである。
【0071】
(第8実施形態、図10参照)
本発明の第8実施形態である映像表示装置1Bは、図10に示すように、映像生成装置10に反射型のLCDを光変調素子として用いた。他の構成は前記第6実施形態として示した映像表示装置1Aと同じであり、図8と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。本第8実施形態における凹面反射ミラー21は非軸対称非球面であり、その配置及びコンストラクションデータは第6実施形態と同じであり、表2として後に示す。
【0072】
本第8実施形態のごとく、映像生成装置10に反射型のLCDを用いると、前記第6実施形態に示した照明ミラー4を用いる必要がなく、光源ユニット2をコンパクトに構成できる。拡散板5を用いるか否かは任意である。
【0073】
また、光源である発光ダイオード3R,3G,3Bを観察者の瞳Pの前方に後退させて配置することができる。従って、頭部装着タイプの映像表示装置としては圧迫感の少ない快適な装着感を得ることができる。
【0074】
(第9実施形態、図11参照)
本発明の第9実施形態である映像表示装置1B’は、基本的には前記第8実施形態として示した映像表示装置1Bと同じ構成を備え、前記第2実施形態で示した偏光板123を拡大観察光学系20と瞳Pとの間に設け、さらに、前記第3実施形態で示した4分の1波長板124を映像生成装置10の前面に設けると共に、4分の1波長板125を偏光板123の裏面に設けたものである。
【0075】
この映像表示装置1B’は偏光板123以外の部分が図示しない筐体で覆われており、偏光板123及び4分の1波長板124,125の作用及び効果は前記第3実施形態で説明したとおりである。
【0076】
(第10実施形態、図12参照)
本発明の第10実施形態である映像表示装置1Cは、図12に示すように、拡大観察光学系20を1枚の凹面反射ミラー21と1枚の平面ミラー22とで構成したものである。他の構成は前記第6実施形態として示した映像表示装置1Aと同じであり、図8と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0077】
本第10実施形態における凹面反射ミラー21は非軸対称非球面であり、その配置及びコンストラクションデータは表3として後に示す。
【0078】
本第10実施形態にあっては、前記第6実施形態と同様の作用効果を奏することに加えて、平面ミラー22で映像光束を折り返すように構成したため、光源ユニット2を観察者の瞳Pの前方に後退させて配置することができる。従って、頭部装着タイプの映像表示装置としては圧迫感の少ない快適な装着感を得ることができる。
【0079】
(第11実施形態、図13参照)
本発明の第11実施形態である映像表示装置1Dは、図13に示すように、拡大観察光学系20を1枚の凹面反射ミラー23にて構成したものである。凹面反射ミラー23は回転対称非球面であり、その配置及びコンストラクションデータは表4として後に示す。
【0080】
他の構成は前記第6実施形態として示した映像表示装置1Aと同じであり、図8と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。また、その作用効果は第6実施形態と同様である。
【0081】
(凹面反射面の定義式、配置及びコンストラクションデータ)
第6〜第10実施形態で使用されている凹面反射ミラー21は非軸対称非球面(自由曲面反射面)であり、XY多項式非球面によって定義され、コーニックを基本とする10次の多項式面を加える。多項式はxmynで展開する(m+n≦10)。使用する方程式は前記式(1)である。また、第6〜第9実施形態で用いられている凹面反射ミラー21の配置及びコンストラクションデータを以下の表2に示し、第10実施形態で用いられている凹面反射ミラー21の配置及びコンストラクションデータを以下の表3に示す。
【0082】
第11実施形態で使用されている凹面反射ミラー23は回転対称非球面であり、その定義式として使用される方程式は以下に示す式(2)である。第11実施形態で用いられている凹面反射ミラー23の配置及びコンストラクションデータを以下の表4に示す。
【0083】
なお、以下に示すコンストラクションデータは、瞳面中心を原点としたグローバル座標系として表現されている。瞳中心より反射面へ向かう光軸をZ、上下方向をY、Yと直交する横方向をXとし、それぞれX,Y,Zとして各面の位置を示す。単位はmmである。また、X,Y,Zの各軸を回転軸としたときの各面の傾きをA,B,Cとして表す。単位は度である。
【0084】
【式2】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
また、表示画面の画角については、第6〜第9実施形態ではX方向が14°、Y方向が10°であり、第10実施形態ではX方向が10.7°、Y方向が8°、第11実施形態ではX方向が14°、Y方向が10°である。
【0089】
このように、表示画面の画角が水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)とで異なる場合、凹面反射ミラー21,23は画角の小さい方向に偏心配置することが好ましい。凹面反射ミラー21,23の偏心収差は偏心量が大きいほど顕著に現れるため、画角の小さい方向に偏心配置すれば、偏心量が少なくなり、偏心収差も低減される。
【0090】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る光学系及び映像表示装置は前記各実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0091】
特に、本発明に係る光学系を用いた映像表示装置としては、第2、第3及び第4実施形態として観察系(虚像を作る光学系)を示したが、撮像系(実像を作る光学系)であってもよい。また、第1〜第5実施形態は反射光学系のみで構成したが、レンズあるいは回折光学素子と本発明に係る自由曲面反射面を備えた光学系とを組み合わせても好ましい効果が得られる。とりわけ、ミラー1面により構成される光学系に曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面を適用すると効果的である。一般的に、ミラーに斜めに光が入射すると大きな収差が発生するが、前記自由曲面反射面はこのような収差を補正できる。
【0092】
また、光源としては種々の構成のものを用いることができる。前記第6〜第11実施形態において、光源はR,G,Bをそれぞれ発する発光ダイオードを用いたが、白色光源とR,G,Bのカラーフィルタホイールを組み合わせ、R,G,Bの波長の光束を順次選択的に透過させて映像生成装置を照明するようにしてもよい。
【0093】
また、照明系としても種々の構成のものを用いることができる。前記第6、第10及び第11実施形態において、照明系は平面ミラーと拡散板とで構成したが、導光板などを用いることも可能である。導光板を用いれば、薄型でコンパクトな照明系を構成することができる。
【0094】
また、映像生成装置の光変調素子としても、前記各実施形態で用いた透過型あるいは反射型のLCDに代えて、フィールドシーケンシャル駆動が可能な光変調素子であれば種々のものを用いることができる。
【0095】
さらに、拡大観察光学系としては、表面を金属コーティングした全反射ミラー以外に、光束の一部を部分的に反射する半反射コーティングしたものを使用してもよい。この場合、ミラーの基材を透明な材料としてその裏面を表面形状に合わせて最適化することにより、外界と表示像を合わせて観察可能なシースルー構成とすることも可能である。
【0096】
【付記】
前述した各実施形態には、以下の(1)〜(10)の構成を備えた発明が含まれている。
【0097】
(1)複数の波長の光束を発する光源と、前記光源から発せられた異なる波長の光束にて時系列で順次照明され、各画素がそれぞれの異なる波長に対応して光束を変調するフィールドシーケンシャル駆動によりカラー映像を生成する映像生成装置と、前記映像生成装置で変調された映像光を表面反射面のみで反射して観察者の瞳に導く拡大観察光学系と、を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【0098】
前記(1)に記載の映像表示装置にあっては、フィールドシーケンシャル駆動によって異なる波長の光束を同じ画素で時系列に表示してカラー画像を生成するために色ずれが全く発生することがない。また、拡大観察光学系は表面反射面のみで構成されているため、色収差が発生することがない。従って、結果的に、色ずれが全く発生することがない映像表示装置を得ることができる。
【0099】
(2)前記拡大観察光学系の表面反射面は曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面であることを特徴とする前記(1)に記載の映像表示装置。像面湾曲と歪曲とを同時に補正することができ、解像度の高い高品質の映像を観察することができる。
【0100】
(3)前記拡大観察光学系は1枚の凹面反射面により構成されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の映像表示装置。
【0101】
(4)前記凹面反射面は非球面であることを特徴とする前記(3)に記載の映像表示装置。非球面とすれば、高度な収差補正が可能になる。
【0102】
(5)前記凹面反射面は非軸対称非球面であることを特徴とする前記(3)に記載の映像表示装置。非軸対称非球面とすれば、反射面の偏心配置に起因する収差を良好に補正し、歪みのない表示映像を得ることができる。
【0103】
(6)前記凹面反射面は回転対称非球面であることを特徴とする前記(3)に記載の映像表示装置。
【0104】
(7)前記凹面反射面は表示画角の小さい方向に偏心配置されていることを特徴とする前記(3),(4),(5)又は(6)に記載の映像表示装置。凹面反射面の偏心収差は、偏心量が大きいほど顕著に現れるため、垂直方向、水平方向で表示画角が異なる場合、凹面反射面を表示画角の小さい方向に偏心配置することにより、偏心量が少なくなり、偏心収差も低減される。
【0105】
(8)前記拡大観察光学系の凹面反射面は半透過面を含んでいることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の映像表示装置。表示映像と外界とをあわせて表示することが可能になる。
【0106】
(9)映像を表示する表示手段と、該表示手段により表示された映像を虚像として観察者の瞳に導く拡大観察光学系と、該拡大観察光学系とその光学瞳との間に配置された偏光板とを備えた映像表示装置であって、前記拡大観察光学系は反射面を1面のみ有し、前記表示手段による映像光は直線偏光であり、前記偏光板は表示手段からの直線偏光を透過するように配置されていることを特徴とする映像表示装置。
【0107】
前記(9)に記載の映像表示装置にあっては、偏光板により外部からの不要光を半減しながら、明るい映像を表示することができ、かつ、装置の小形化・軽量化を図ることができる。
【0108】
(10)前記表示手段と拡大観察光学系との間及び前記拡大観察光学系とその光学瞳との間に、それぞれ4分の1波長板が介在されていることを特徴とする前記(9)に記載の映像表示装置。前記(9)に記載の映像表示装置と同様の効果を有し、さらに、外部光の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である光学系を示す概略構成図。
【図2】前記第1実施形態で用いられている自由曲面反射面の面形状を示すグラフ。
【図3】前記自由曲面反射面による像面湾曲及び歪曲の補正を説明するための光路図。
【図4】本発明の第2実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図5】本発明の第3実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図6】本発明の第4実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図7】本発明の第5実施形態である映像表示装置を示す概略斜視図。
【図8】本発明の第6実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図9】本発明の第7実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図10】本発明の第8実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図11】本発明の第9実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図12】本発明の第10実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図13】本発明の第11実施形態である映像表示装置を示す概略構成図。
【図14】(A)はカラー映像の模式図、(B)、(C)はそれぞれ光束の変調素子を示す説明図。
【図15】屈折による光束の屈曲状態を示す説明図。
【図16】反射による光束の屈曲状態を示す説明図。
【図17】従来の映像表示装置における画像の歪曲を示す説明図。
【図18】従来の映像表示装置における画像の湾曲を示す説明図。
【符号の説明】
100…光学系
101…像面
102…ミラー
102a…自由曲面反射面
103…光学瞳
120A,120B,120C,120D…映像表示装置
121…LCD
122…バックライト
123…偏光板
124,125…4分の1波長板
200…プリズム
203…自由曲面反射面
210…LCD
220…光学瞳
Claims (5)
- 曲率の変化量が変曲点を有する自由曲面反射面を備えたことを特徴とする光学系。
- 前記自由曲面反射面の変曲点のピッチは、有効な光学瞳の大きさとほぼ等しいか又は小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
- 前記自由曲面反射面に入射する光軸の入射面方向に、前記自由曲面反射面は曲率の変化量が変曲点を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学系。
- 光学的パワーを持つ面が前記自由曲面反射面の1面のみであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光学系。
- 請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の光学系と、映像を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段により表示された映像を前記光学系により虚像として観察者の瞳に導くこと、
を特徴とする映像表示装置。
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