JP2004165018A - リチウム電池用活物質及びその製造方法,並びにリチウム電池 - Google Patents

リチウム電池用活物質及びその製造方法,並びにリチウム電池 Download PDF

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Yoji Takeuchi
要二 竹内
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
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Abstract

【課題】電池電圧が高く,かつ安定な充放電サイクル特性を有するリチウム電池用活物質及びその製造方法,並びにリチウム電池を提供すること。
【解決手段】一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有してなることを特徴とするリチウム電池用活物質。また,正極2と,負極3と,Liを含む電解質を含有してなるLi電解質含有物とを有するリチウム電池1であって,上記正極2又は負極3の一方には,その活物質としてLiを吸蔵及び放出可能な一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有し,他方には,Liを含む物質を含有していることを特徴とするリチウム電池。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,リチウム原子又はリチウムイオンの吸蔵・放出を利用したリチウム電池に用いるリチウム電池用活物質及びその製造方法,並びに上記リチウム電池用活物質を含有するリチウム電池に関する。
【0002】
【従来技術】
リチウムイオンの吸蔵・放出を利用したリチウム二次電池は,高電圧でエネルギー密度が高いことから,パソコン,携帯電話等の携帯情報端末等を中心に情報機器,通信機器の分野で実用化が進み,広く一般に普及するに至っている。
また他の分野では,環境問題,資源問題から電気自動車の開発が急がれる中,リチウム二次電池を電気自動車用電源として用いることが検討されている。
【0003】
このようなLi二次電池において,現在市販され広く利用されているものとしては,正極にLiCoOを用い,負極に黒鉛を用いたLiイオン二次電池がある。
ところが,上記のような構成のLiイオン二次電池においては,正極活物質であるLiCoOからLiが供給される。そのため,電池の充電反応時に利用できるLi量が制限されてしまうという問題があった。そして,このLi量の制限は,二次電池の容量に影響するため,特に高容量電池の設計に対して大きな障壁となってしまう。
【0004】
このような問題を解決するために,負極に金属Liを用いて該負極からLiを取り出し,正極にはLiを取り込むことが可能な正極活物質を用いて構成されるリチウム電池が開発されている。
このようなリチウム電池としては,例えば正極活物質にMnOを用いたリチウム電池(特許文献1参照)や,正極活物質にLiTi12を用いたリチウム電池等がある(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−163035号公報
【特許文献2】
特開平11−329496号公報
【0006】
【解決しようとする課題】
しかしながら,正極活物質にMnOを用いた上記従来のリチウム電池においては,正極活物質であるMnOがLiを吸蔵及び放出する際の可逆性が悪いという問題があった。そのため,充放電を繰り返し行うときの容量劣化が著しく大きいという問題があった。それ故,特に二次電池としては,ほとんど利用することができない。
【0007】
さらに,正極活物質にLiTi12を用いた上記従来のリチウム電池においては,電解液として有機電解液を用いている割には,1.5Vとという比較的小さい電池電圧しか得ることができない。そのため,このようなリチウム電池は,有機電解液を用いたリチウム電池としてはそのメリットが低く,有機電解液を用いない安全なリチウム電池に代用できるものである。
【0008】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,電池電圧が高く,かつ安定な充放電サイクル特性を有するリチウム電池用活物質及びその製造方法,並びにリチウム電池を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
第1の発明は,一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有してなることを特徴とするリチウム電池用活物質にある(請求項1)。
【0010】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明のリチウム電池用活物質は,一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有している。
そのため,上記リチウム電池用活物質は,電池の充放電時に,上記一般式で表される化合物が有する金属原子Mの原子価を,4価から3価又は3価から4価に変化させることにより,Liを吸蔵及び放出することができる。
【0011】
即ち,上記リチウム電池用活物質にLi原子又は/及びLiイオンを吸蔵するときには,上記金属原子Mは,その原子価を4価から3価に変化させる。このとき,Li原子又はLiイオンを吸蔵したMPは,LiMPとなる。
一方,Li原子又は/及びLiイオンを放出するときには,上記金属原子Mは,その原子価を3価から4価に変化させると共に,LiMPは,再びMPとなる。
このようにして,上記リチウム電池用活物質は,Li原子又は/及びLiイオンを吸蔵及び放出することができる。そのため,リチウム電池用の活物質として用いることができる。
【0012】
また,本発明のリチウム電池用活物質は,例えば該リチウム電池用活物質を正極に,Li金属を負極に用いて電池を構成したとき,平均電池電圧が約2.5Vという高い電池電圧を示すことができる。このように,本発明のリチウム電池用活物質を用いることにより,高い電池電圧のリチウム電池を作製することができる。
【0013】
さらに,上記リチウム電池用活物質は,Li原子又はリチウムイオンの吸蔵及び放出をスムーズに行うことができる。そのため,上記リチウム電池用活物質をリチウム二次電池用の活物質として用いたときには,充放電を繰り返し行ったときの容量劣化が小さく,安定性に優れたものとなる。
【0014】
また,本発明のリチウム電池用活物質は,リチウム電池の正極又は負極のどちらの活物質としても利用することができる。このとき他方の電極には,リチウムを含有する活物質を用いる。
【0015】
以上のように,本発明によれば,電池電圧が高く,かつ安定な充放電サイクル特性を有するリチウム電池用活物質を提供することができる。
【0016】
第2の発明は,Ti,Zr,及びHfから選ばれる一種以上の金属原子Mを含有してなる酸化物と,リン酸とを混合し,焼成することにより,一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を作製することを特徴とするリチウム電池用活物質の製造方法にある(請求項2)。
【0017】
本発明のリチウム電池用活物質の製造方法においては,Ti,Zr,及びHfから選ばれる一種以上の金属原子Mを含有してなる酸化物と,リン酸とを混合し,焼成する。この焼成時に,上記の酸化物とリン酸とが反応し,MPで表される化合物を生成する。
したがって,本発明の製造方法によれば,上記第一の発明(請求項1)のリチウム電池用活物質を容易に製造することができる。
【0018】
第3の発明は,正極と,負極と,Liを含む電解質を含有してなるLi電解質含有物とを有するリチウム電池であって,
上記正極又は負極の一方には,その活物質としてLiを吸蔵及び放出可能な一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有し,
他方には,Liを含む物質を含有していることを特徴とするリチウム電池にある(請求項4)。
【0019】
本発明のリチウム電池においては,上記正極又は負極の一方に,その活物質として上記一般式で表される化合物を含有している。即ち,上記リチウム電池は,上記第1(請求項1)の発明のリチウム電池用活物質を正極又は負極に含有するものである。
そのため,本発明のリチウム電池においては,上記一般式で表される化合物を活物質として含有する正極又は負極と,Liを含む物質を含有してなるもう一方の電極や上記Li電解質含有物との間で,Li原子又は/及びLiイオンの受け渡しを行うことができる。
【0020】
上記一般式で表される化合物が,Li原子又は/及びLiイオンを受け取るときには,上記一般式MPで表される化合物は,その金属原子Mの原子価を3価から4価に変化させると共に,LiMPに変化する。
また,このLiMPで表される化合物は,その金属原子Mの原子価を3価から4価に変化させることにより,Li電解質含有物又は/及びもう一方の電極にLi原子又は/及びLiイオンを渡すと共に,再びMPとなる。
このようなLi原子又は/及びLiイオンの受け渡しを繰り返すことにより,本発明のリチウム電池は,充放電を繰り返し行うことができる。
【0021】
また,上記MPで表される化合物は,上述のようにその金属原子の原子価を変化させることにより,Li原子又は/及びLiイオンの吸蔵及び放出をスムーズに行うことができる。そのため,本発明のリチウム電池は,充放電を繰り返し行っても容量劣化が起こり難く,充放電サイクルの安定性に優れている。
【0022】
また,本発明のリチウム電池においては,正極又は負極の一方に上記一般式で表される化合物よりなる活物質を含有し,他方の電極にLiを含む物質を含有している。そのため,上記リチウム電池は,高い電池電圧を示すことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明(請求項1),第2の発明(請求項2),及び第3の発明(請求項4)において,上記一般式で表される化合物中の金属原子Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上である。
ここで,上記一般式から明らかなように,上記金属原子Mとリン原子Pとは,上記化合物中にモル比が1:2で含まれている。
したがって,金属原子Mが例えば一種類の金属原子Tiからなるとき,上記一般式は,TiPで表される。
【0024】
一方,金属原子Mが,例えばTi,Zr,及びHfから選ばれる2種類以上の金属原子からなるときは,これら複数の金属原子の合計とリン原子とのモル比が1:2で含まれる。具体的には,例えば金属原子Mとして,TiとZrとを9:1で含有するとき,上記一般式は,Ti0.9Zr0.1で表される。
【0025】
次に,上記第1の発明(請求項1)において,上記リチウム電池用活物質は,リチウム電池の正極又は負極のいずれか一方に用いることができる。
上記リチウム電池用活物質は,これをリチウム電池の正極又は負極のいずれか一方に用いて,もう一方の電極にリチウムを含有してなる活物質を用い,さらにリチウムを含む電解質を含有する電解液等のLi電解質含有物を用いることにより,リチウム電池として機能させることができる。
なお,本明細書中において,リチウム電池は,リチウム一次電池及びリチウム二次電池を含む概念である。
【0026】
また,上記一般式MPは,上述したように,組成の異なる複数の化合物を表すものである。上記リチウム電池用活物質は,上記一般式MPで表される化合物のうち1種類を含有してなるものでもよく,また2種以上を含有してなるものでもよい。
【0027】
次に,上記第2の発明において,Ti,Zr,及びHfから選ばれる一種以上の金属原子Mを含有してなる酸化物としては,例えばTiO,ZrO,HfO等がある。
【0028】
また,上記酸化物と上記リン酸とは,上記酸化物中の上記金属原子Mの合計と上記リン酸中のリン原子Pとのモル比M/Pが,1/2となるように混合することが好ましい(請求項2)。
この場合には,一般式MPで表される化合物を簡単に製造することができる。
【0029】
また,上記酸化物と上記リン酸との混合物を焼成するときの焼成温度は,600℃〜900℃にて行うことができる。
焼成温度が600℃未満の場合には,目的物質である上記一般式で表される化合物が生成しないおそれがある。
一方,900℃を超える場合には,目的物質である上記一般式で表される化合物が分解するおそれがある。
【0030】
次に,上記第3の発明(請求項4)において,上記リチウム電池は,上記第1の発明のリチウム電池用活物質を正極又は負極の活物質に用いたものである。上記第1の発明のリチウム電池用活物質は,上述したように,上記一般式で表される一種又は2種以上の化合物を含有してなるものがある。上記第3の発明のリチウム電池においては,その活物質として,上記リチウム電池用活物質のうち,1種類又は2種以上を混合して用いるものであってもよい。
【0031】
また,上記のLiを含む物質としては,例えばリチウム金属,リチウム合金,LiTi12等から選ばれる1種以上を含有してなる活物質がある。
【0032】
また,上記正極に正極活物質として上記一般式MPで表される化合物を含有し,かつ上記負極には,上記Liを含む物質としてLi金属を用いることが好ましい(請求項5)。
この場合には,上記正極と負極との間に大きな起電力が発生し,上記リチウム電池を更に電池電圧の高いものとすることができる。
【0033】
また,上記Li電解質含有物としては,後述するごとく,Liを含む電解質を含有する電解液,高分子固体電解質,又はゲル電解質等がある。
【0034】
次に,上記リチウム電池は,例えばLiイオン又は/及びLi原子を吸蔵・放出する正極及び負極と,この正極と負極との間に狭装されるセパレータと,正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる非水電解液等を主要構成要素として構成することができる。
【0035】
正極又は負極のいずれか一方は,例えば上記第一の発明のリチウム電池用活物質に導電材及び結着剤を混合し,適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材又は負極合材としたものを,アルミニウム等の金属箔製の集電体の表面に塗布して乾燥し,必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
【0036】
導電材は,正極又は負極の電気伝導性を確保するためのものであり,例えばカーボンブラック,アセチレンブラック,黒鉛等の炭素物質粉状体の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
【0037】
結着剤は,活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり,例えばポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン,フッ素ゴム等の含フッ素樹脂,或いはポリプロピレン,ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
これらの活物質,導電材,結着剤を分散させる溶剤としては,例えばN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0038】
また,もう一方の電極は,例えば金属リチウム等のLiを含む物質をシート状にして形成するか,あるいはシート状にしたものをニッケル,ステンレス等の集電体網に圧着して形成することができる。
【0039】
正極及び負極に狭装させるセパレータは,正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり,例えばポリエチレン,ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0040】
非水電解液としては,例えば電解質としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。この場合,リチウム塩は有機溶媒に溶解することによって解離し,リチウムイオンとなって電解液中に存在する。使用できるリチウム塩としては,例えばLiBF,LiPF,LiClO,LiCFSO,LiAsF,LiN(CFSO,LiN(CSO)等が挙げられる。これらのリチウム塩は,それぞれ単独でもよく,又はこれらのうちから2種以上を併用することもできる。
【0041】
リチウム塩を溶解させる有機溶媒としては,非プロトン性の有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては,例えば環状カーボネート,鎖状カーボネート,環状エステル,環状エーテル,鎖状エーテル等から選ばれる1種又は2種以上からなる混合溶媒を用いることができる。
【0042】
上記環状カーボネートとしては,例えばエチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニルカーボネート等がある。上記鎖状カーボネートとしては,例えばジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルエチルカーボネート等がある。上記環状エステルカーボネートとしては,例えばガンマブチロラクトン,ガンマバレロラクトン等がある。上記環状エーテルとしては,例えばテトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン等がある。上記鎖状エーテルとしては,例えばジメトキシエタン,エチレングリコールジメチルエーテル等がある。上記有機溶媒としては,これらのもののうちいずれか一種を単独で用いることもできるし,2種以上を混合させて用いることもできる。
【0043】
また,上記セパレータ及び非水電解液という構成の代わりに,ポリエチレンオキシドなどの高分子ポリマーとLiClOやLiN(CFSO)等のリチウム塩を使用した高分子固体電解質を用いることもできる。また,上記非水電解液をポリアクリロニトリル等の固体高分子マトリックスにトラップさせたゲル電解質を用いることもできる。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の実施例につき図1及び図2を用いて説明する。
本例では,本発明の実施例としての2種類のリチウム電池用活物質(試料E1及び試料E2)と,比較用の活物質(試料C1)とを作製し,さらにこれらの活物質を用いたリチウム電池を作製する。
上記2種類のリチウム電池用活物質のうち,試料E1はTiPを含有してなる活物質であり,試料E2はTi0.9Zr0.1を含有してなる活物質である。また,比較用の上記試料C1はLiTi12を含有してなる活物質である。
【0045】
以下,まず上記試料E1の製造方法につき説明する。
試料E1の製造方法においては,Tiを含有してなる酸化物と,リン酸とを混合し,焼成することにより,TiPで表される化合物を作製する。
【0046】
具体的には,まずTiを含有してなる酸化物としてアナターゼ型TiOの粉末と,リン酸の粉末とを準備し,これらをTiO中のTiとリン酸中のPとのモル比Ti/Pが1/2となるように混合して,原料粉末の混合物を得た。
この混合物をアルミナ坩堝中で,大気雰囲気,温度700℃にて12時間焼成し,焼成後の混合物を解砕してTiPよりなるリチウム電池用活物質(試料E1)を得た。
【0047】
次に,上記試料E1について,X線回折装置を用いて,そのX線回折パターンを解析した。その結果を図1に示す。
図1より知られるごとく,試料E1のX線回折パターンには,TiPに特有のピークが観察されており,TiPが生成していることが確認される。
【0048】
次に,試料E2の製造方法につき説明する。
まず,Tiを含有してなる酸化物としてのアナターゼ型TiOの粉末と,Zrを含有してなる酸化物としてのZrOの粉末と,リン酸の粉末とを準備した。続いて,これら3種類の粉末をTiO中のTi原子と,ZrO中のZr原子と,リン酸中のPとのモル比が,それぞれ0.9:0.1:2となるように混合して,原料粉末の混合物を得た。
この混合物をアルミナ坩堝中で,大気雰囲気,温度700℃にて12時間焼成し,焼成後の混合物を解砕してTi0.9Zr0.1よりなるリチウム電池用活物質(試料E2)を得た。
なお,図示していないが,試料E2についても,上記試料E1と同様にX線回折装置により,Ti0.9Zr0.1が生成していることを確認した。
【0049】
次に,比較用の試料C1として,LiTi12を含有してなる活物質を以下のようにして準備する。
まず,水酸化リチウム一水和物と,アナターゼ型のTiOとを準備し,これらを水酸化リチウム一水和物中のLiとTiO中のTiとのモル比Li/Tiが4/5となるように混合して,原料粉末の混合物を得た。
この混合物をアルミナ坩堝中で,大気雰囲気,温度900℃にて12時間焼成し,焼成後の混合物を解砕してLiTi12よりなるリチウム電池用活物質(試料C1)を得た。
なお,図示していないが,試料C1についても,上記試料E1と同様にX線回折装置により,LiTi12が生成していることを確認した。
【0050】
次に,上記試料E1,試料E2又は試料C1を,それぞれ正極活物質として用いた3種類のコイン型のリチウム電池を作製する。
本例で作製するリチウム電池1は,図2に示すごとく,正極2と,負極3と,Liを含む電解質を含有してなるLi電解質含有物とを有するリチウム二次電池である。
【0051】
このリチウム電池1は,2016型コインセルの電池ケース11内に,正極2と負極3と,これら正極2と負極3との間に狭装されたセパレータ4を有している。さらに,電池ケース11の端部にはガスケット5を有しており,封口板12により密封されている。
また,正極2は,上記の試料E1,E2又はC1を正極活物質として含有してなり,また,負極3にはLi金属を用いている。
【0052】
次に,リチウム電池1の製造方法につき,図2を用いて説明する。
まず,上記正極活物質(試料E1,E2又はC1)75重量部に,導電剤としてのケッチェンブラック(登録商標)25重量部と,結着剤としてのテフロン(登録商標)5重量部と,溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量加えてペースト状の正極合材を得た。続いて,この正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に,塗工して加圧し,正極合材の厚さを95μmとして正極1を作製した。
また,負極2としては,Li金属を準備した。
【0053】
セパレータ4には25μm厚の多孔性ポリエチレンシートを用い,セパレータに含浸させる,上記電解質含有媒体としての非水電解液としては,エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比3:7に混合した溶媒に電解質としてLiPFを1Mの濃度となるように溶解させたものを用いた。
【0054】
次に,図2に示すごとく,上記のようにして作製した正極2と負極3とを,セパレータ4により隔てる形で電池ケース11内に配置した。
そして,上記電池ケース11内の端部にガスケット5を配置し,さらに上記電池ケース11内に上記非水電解液を適量注入して含浸させた。
続いて,電池ケース11の上部に封口板12を配置し,電池ケース11の端部をかしめ加工することにより,電池ケース11を密封して,3種類のリチウム電池1(電池E1,E2,及び電池C1)を作製した。ここで,電池E1,E2,及び電池C1は,正極を構成する正極活物質として,それぞれ上記試料E1,E2,及び試料C1を含有するものである。
【0055】
(実験例1)
本例では,実施例1にて作製した電池E1及び電池C1の平均電圧及び放電容量を測定し,その結果を比較する。
まず,電池E1及び電池C1を充電電流密度0.1mA/cmの定電流で充電上限電圧3Vまで充電を行い,次いで,放電電流密度0.1mA/cmの定電流で放電下限電圧1.5Vまで放電を行う充放電を行った。そして,この時の電池E1及び電池C1の電圧及び放電容量をそれぞれ測定した。
放電容量は,放電電流値(mA)を測定し,この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を,電池内の正極活物質の重量(g)で除することにより算出した。
その結果を図3に示す。
【0056】
図3は,横軸に放電容量(mAh/g),縦軸に電圧(V)をとったものである。そして,同図には電池E1の結果をE1,電池C1の結果をC1として示してある。
【0057】
図3より知られるごとく,電池E1は,電池C1に比べて,平均的に高い電池電圧を有していた。このとき,電池E1の電池電圧は,電池C1の電池電圧の約1.6倍であった。
このように,電池E1は,電池C1よりも高いエネルギー密度を有するものであった。
【0058】
(実験例2)
本例では,上記実施例1にて得られた3種類の電池E1,E2,及びC1について,温度60℃における充放電サイクル試験を行った。
上記充放電サイクル試験は,電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下にて,充放電電流密度0.1mA/cmの定電流で充電上限電圧3.5Vまで充電を行い,次いで,充放電電流密度0.1mA/cmの定電流で放電下限電圧1.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし,このサイクルを合計50サイクル行うものとした。そして,各サイクル毎に,それぞれのリチウムイオン二次電池(E1,E2,及びC1)の放電容量を測定した。
【0059】
上記放電容量は,各サイクル毎の放電電流値(mA)を測定し,この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を,電池内の正極活物質の重量(g)で除することにより算出した。
そして,初期放電容量に対する各サイクル毎の容量維持率(%)を,下記の式により算出し,その結果を図4に示す。
容量維持率(%)={(各サイクル毎の放電容量)/(初期放電容量)}×100
【0060】
図4は,横軸にサイクル数(回),縦軸に容量維持率(%)をとったものである。そして,同図には,上記正極活物質として試料E1を用いて構成したリチウム電池(電池E1)をE1,試料E2を用いて構成したリチウム電池(電池E2)をE2,試料C1を用いて構成したリチウム電池(電池C1)をC1として示してある。
また,上記電池E1,E2及びC1について,平均電池電圧,初回放電容量,50サイクル後の容量維持率を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004165018
【0062】
表1及び図4より知られるごとく,上記試料E1及び試料E2を正極活物質として用いたリチウム電池(電池E1及び電池E2)は,50回のサイクルを繰り返した後も94%以上という高い容量維持率を示しており,充放電サイクル特性に優れていた。
一方,試料C1を正極活物質として用いたリチウム電池(電池C1)は,10回のサイクルを繰り返した時点で,すでに容量維持率が85%を下回り,50回のサイクルを繰り返した後には容量維持率は80%にまで低下していた。
【0063】
また,電池E1及び電池E2は,平均電池電圧が2.5Vという高い値を示し,電池C1の電池電圧1.5Vよりも1。0Vも上回っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかる,リチウム電池用活物質(試料E1)のX線回折パターンを示す説明図。
【図2】実施例1にかかる,リチウム電池の構成を示す説明図。
【図3】実験例1にかかる,電池E1及び電池C1の電池電圧と放電容量とを示す説明図。
【図4】実験例2にかかる,電池E1,電池E2及び電池C1の充放電サイクル試験における容量維持率の変化を示す説明図。
【符号の説明】
1...リチウム電池,
2...正極,
3...負極,
4...セパレータ,
5...ガスケット,

Claims (5)

  1. 一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有してなることを特徴とするリチウム電池用活物質。
  2. Ti,Zr,及びHfから選ばれる一種以上の金属原子Mを含有してなる酸化物と,リン酸とを混合し,焼成することにより,一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を作製することを特徴とするリチウム電池用活物質の製造方法。
  3. 請求項2において,上記酸化物と上記リン酸とは,上記酸化物中の上記金属原子Mの合計と上記リン酸中のリン原子Pとのモル比M/Pが,1/2となるように混合することを特徴とするリチウム電池用活物質の製造方法
  4. 正極と,負極と,Liを含む電解質を含有してなるLi電解質含有物とを有するリチウム電池であって,
    上記正極又は負極の一方には,その活物質としてLiを吸蔵及び放出可能な一般式MP(Mは,Ti,Zr,及びHfから選ばれる1種以上の金属原子)で表される化合物を含有し,
    他方には,Liを含む物質を含有していることを特徴とするリチウム電池。
  5. 請求項4において,上記正極に正極活物質として上記一般式MPで表される化合物を含有し,かつ上記負極には,上記Liを含む物質としてLi金属を用いることを特徴とするリチウム電池。
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