JP2004168885A - アクリルゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリルゴム(A)100重量部に対して、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)5〜200重量部および架橋剤(C)0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物、また、好ましい態様として、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)の表面のシラノール基濃度が3個/nm2 以下である上記アクリルゴム組成物、および、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)が湿式法シリカを温度500〜1,000℃で30〜120分間加熱して調製したものである上記いずれかのアクリルゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルゴム組成物に関し、詳しくは耐熱老化性および低圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリルゴムは、耐熱性、耐油性に優れているため、自動車関連の分野などで広く用いられている。しかし、最近ではシール材、ホース材、防振材、チューブ材、ベルト材またはブーツ材といった部材において、耐熱老化性および低圧縮永久歪み特性にさらに一層優れたアクリルゴムが強く要望されるようになっている。
また、アクリルゴムは上記長所を活かして着色して使用する用途に多用されるので、カーボンブラックに代えて白色充填剤(合成シリカ等の充填剤、いわゆるホワイトカーボン)が使用されることが多い。ところが、白色充填剤はカーボンブラックに比して粒子の比表面積が小さい上にアクリルゴム重合体との相互作用が小さいことから架橋物の機械的特性を低下させる。このため、白色充填剤配合アクリルゴム架橋物の機械的特性の耐熱老化性の改善が特に強く求められている。
【0003】
白色充填剤を配合したアクリルゴム架橋物の機械的特性を改善する試みとして、pHが6.5〜8.5でBET比表面積が約150m2 /g以上のシリカを使用することが提案された(特許文献1参照)。しかし、このアクリルゴム架橋物は圧縮永久歪みが必ずしも十分小さくない。また、機械的特性の改善を目的として、ハロゲン含有アクリルゴムにトリアジンチオール架橋剤、ジチオカルバミン酸誘導体、ハイドロタルサイト、芳香族カルボン酸等と共に、pH2〜10の白色充填剤およびシランカップリング剤を配合するアクリルゴム組成物が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この組成物も、圧縮永久ひずみが必ずしも十分小さくなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−109302号公報
【特許文献2】
特開平10−53684号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱老化性および低圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、湿式法シリカを焼成してなるシリカを含有するアクリルゴム組成物により上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、アクリルゴム(A)100重量部に対して、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)5〜200重量部および架橋剤(C)0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物が提供される。
また、好ましい態様として、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)の表面のシラノール基濃度が3個/nm2 以下である上記アクリルゴム組成物、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)が湿式法シリカを温度500〜1,000℃で30〜120分間加熱して調製したものである上記いずれかのアクリルゴム組成物、アクリルゴム(A)が(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%および架橋点を有する単量体単位0.1〜20重量%からなるものである上記いずれかのアクリルゴム組成物、並びに、さらにシランカップリング剤0.1〜10重量部を配合してなる上記いずれかのアクリルゴム組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明組成物に使用するアクリルゴム(A)は、分子中に(メタ)アクリル酸エステル単量体〔アクリル酸エステル単量体または/およびメタクリル酸エステル単量体の意。以下、(メタ)アクリル酸メチルなど同様。〕単位を80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上含有する重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などが挙げられる。
【0008】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0009】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、炭素数2〜8のアルコキシアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルおよび(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが、特に、アクリル酸2−エトキシエチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
【0010】
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%からなることが好ましい。
【0011】
また、アクリルゴム(A)は、架橋点を有する単量体に基づく単量体単位を含有する共重合体であるのが好ましい。かかる共重合体をアクリルゴム(A)として用いたゴム組成物は、成形時に効果的に架橋を行うことができるので弾性のある成形品を得ることができる。架橋点を有する単量体としては、カルボキシル基、ハロゲン原子、エポキシ基または水酸基を有する単量体;ジエン単量体;などが挙げられる。
【0012】
カルボキシル基を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、及び、炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルが挙げられる。
【0013】
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。
炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;等が挙げられる。なかでもブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル又は脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノシクロヘキシルおよびマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。尚、上記単量体のうち、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸は、アクリルゴム(A)中で、ジカルボン酸が無水物になった形の単量体単位として含まれていてもよく、架橋の際に加水分解してカルボキシル基を生成すればよい。
【0014】
ハロゲン原子を有する単量体としては特に限定されないが、例えば、炭素数3〜12の飽和ハロカルボン酸と炭素数2〜6の不飽和アルカノールとのエステル、炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、炭素数6〜12の(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、炭素数7〜12の(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、炭素数3〜12の不飽和ハロアルキルエーテル、炭素数4〜12の不飽和ハロアルキルケトン、炭素数7〜12のハロアルキル基含有芳香族ビニル化合物、炭素数4〜12の不飽和ハロアルキル基含有アミド、炭素数4〜12のハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
炭素数3〜12の飽和ハロカルボン酸と炭素数2〜6の不飽和アルカノールとのエステルとしては、フルオロ酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブロモ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリル等が挙げられる。炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸フルオロメチル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸ブロモメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピル等が挙げられる。炭素数6〜12の(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピル等が挙げられる。
【0015】
炭素数7〜12の(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピル等が挙げられる。炭素数3〜12のハロアルキルエーテルとしては、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテル等が挙げられる。炭素数4〜12のハロアルキルケトンとしては、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトン等が挙げられる。炭素数7〜12のハロアルキル基含有芳香族ビニル化合物としては、p−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレン、p−ビス(クロロメチル)スチレン等が挙げられる。炭素数4〜12のハロアルキル基含有不飽和アミドとしては、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。炭素数4〜12のハロアセチル基含有不飽和単量体としては、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステル等が挙げられる。
【0016】
エポキシ基を有する単量体としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸とエポキシ基含有アルカノールとのエステルである炭素数6〜12のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、および、(メタ)アリルアルカノールとエポキシ基含有アルカノールとの脱水縮合形である炭素数6〜12のエポキシ基含有(メタ)アリルエーテル等を挙げることができる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が、また、エポキシ基含有(メタ)アリルエーテルとしてはメタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
水酸基を有する単量体としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸と水酸基含有アルカノールとのエステルである炭素数4〜12の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸と水酸基含有アルキルアミンとのアミドである炭素数4〜12の水酸基含有(メタ)アクリル酸アミド、ビニルアルコール等を挙げることができる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を挙げることができる。水酸基含有(メタ)アクリルアミドとしてはN−メチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0018】
ジエン単量体としては炭素数4〜16の共役ジエン単量体および炭素数4〜16の非共役ジエン単量体がある。
炭素数4〜16の共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどを挙げることができる。炭素数4〜16の非共役ジエン単量体としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタジエニルエチル等を挙げることができる。
【0019】
これらの架橋点を有する単量体の中ではカルボキシル基、ハロゲン原子又はエポキシ基を有する単量体が好ましい。架橋点を有する単量体は、1種単独でまたは2種以上を併せて使用することができる。
架橋点を有する単量体単位はアクリルゴム(A)中の、通常、0〜25重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。該単量体単位が多すぎると架橋物の伸びが低下したり圧縮応力歪みが増大したりする可能性がある。
【0020】
また、本発明に用いるアクリルゴム(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と上記の架橋点を有する単量体単位とに加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル単量体や架橋点を有する単量体と共重合可能な単量体の単位を含んでいてもよい。かかる共重合可能な単量体としては、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(多官能アクリル単量体)、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。
【0021】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが例示される。
多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。
その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらの単量体の中でも、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、とりわけ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。アクリルゴム(A)中のかかる単量体単位の量は、通常、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0022】
本発明組成物で使用するアクリルゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80、特に好ましくは30〜70である。ムーニー粘度が小さすぎると成形加工性や架橋物の機械的特性が劣る場合があり、大きすぎると成形加工性が劣る場合がある。
【0023】
本発明で使用するアクリルゴム(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体、並びに、必要に応じて用いられる架橋点を有する単量体およびこれらと共重合可能な単量体などの単量体を、公知の方法によって重合することにより製造することができる。重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
【0024】
本発明組成物では(B)成分として、湿式法シリカを焼成してなるシリカを使用する。湿式法シリカを焼成してなるシリカは、通常、500〜1,000℃で30〜120分間、好ましくは600〜950℃で30〜90分間、より好ましくは700〜900℃で30〜60分間加熱して調製される。加熱温度が過度に低いと加熱効果が現れず、過度に高いと焼結して粗大化するおそれがある。また、加熱時間が過度に短いと加熱効果が現れず、過度に長くても特段の効果は無く、不経済である。
【0025】
湿式法シリカは含水ケイ酸とも呼ばれ、一般的にはケイ酸ナトリウムと鉱酸および塩類を水中で反応させて製造されるシリカである。湿式法シリカの一般的な特性は、一次粒子径15〜100nm、平均粒子径(二次粒子含む)1〜50μm、BET比表面積40〜250m2 /g、加熱減量4〜7重量%で、表面シラノール基濃度5〜10個/nm2 、pH(4重量%懸濁水)5.5〜9である。
湿式法シリカを焼成してなるシリカ〔以下、単に「焼成シリカ」と記すことがある。〕(B)は、表面シラノール基濃度が3個/nm2 以下のものが好ましく、2.5個/nm2 以下のものがより好ましい。表面シラノール基濃度が過度に大きいとアクリルゴム架橋物の機械的特性が低下するおそれがある。焼成シリカ(B)は表面シラノール基濃度が低減してアクリルゴム(A)との親和性が向上するので、これを配合したアクリルゴムとの相互作用の大きな架橋物を与えるものと考えられる。
また、焼成シリカ(B)の平均粒子径は1〜10μmが好ましく、BET比表面積は20〜200m2 /gが好ましい。焼成シリカの平均粒子径が過度に小さいかまたはBET比表面積が過度に大きいとアクリルゴム組成物の粘度が高くなって成形性が低下するおそれがあり、平均粒子径が過度に大きいかまたはBET比表面積が過度に小さいと焼成シリカの分散が不均一になってアクリルゴム架橋物の機械的特性が低下する可能性がある。
焼成シリカ(B)の加熱減量は2重量%以下が好ましい。加熱減量が過度に大きいと架橋物の圧縮永久ひずみが大きくなったり耐熱性が低下したりするおそれがある。
焼成シリカ(B)のpHは4.5〜8が好ましい。pHが過度に低いと架橋速度が遅くなって架橋物の架橋密度が不十分になり、圧縮永久ひずみが大きくなったり耐熱老化性が低下したりするおそれがあり、逆にpHが過度に高いと成形加工時にスコーチが起こる可能性がある。
【0026】
本発明において、焼成シリカ(B)を乾式法シリカまたはその加熱品で代替することはできない。
本発明において焼成シリカ(B)に代えて乾式法シリカまたはその加熱品を用いると圧縮永久歪みが十分小さくならないおそれがある。また、焼成シリカ(B)に代えて湿式法シリカをそのまま用いると、低圧縮永久歪み特性あるいは耐熱老化性が不十分となる可能性がある。
【0027】
焼成シリカ(B)は、ハンマーミル、ジェットミル等で粉砕したものであってもよい。その場合、湿式法シリカを粉砕してから加熱したものでも、湿式法シリカを加熱してから粉砕したものでもよいが、粉砕してから加熱する方が好ましい焼成シリカを調製し易い。
焼成シリカ(B)は、また、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理したものでも使用可能である。
焼成シリカ(B)の例としては、塩野義製薬社製のCarplex CS−5,同CS−7、同CS−8、同CS−701、同CS−801などが挙げられる。
【0028】
焼成シリカ(B)の使用量は、(A)成分のアクリルゴム100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。焼成シリカ(B)の使用量が過度に少ないと架橋物の耐熱老化性に劣るおそれがある。逆に過度に多いとゴム組成物の溶融粘度が高くなって成形加工性に劣る可能性がある。
【0029】
本発明のアクリルゴム組成物は架橋剤(C)を含有する。架橋剤(C)は、アクリルゴム(A)の架橋点の有無により、また、架橋点を有する場合は架橋点の種類により、それと適合するものを選定することが好ましい。
アクリルゴム(A)が架橋点としてカルボキシル基を有する場合は、架橋剤(C)としてアミン化合物、特に炭素数4〜30の多価アミン化合物を使用することが好ましい。
かかる多価アミン化合物の例としては、脂肪族多価アミン化合物、芳香族多価アミン化合物などが挙げられ、グアニジン化合物のように非共役の窒素−炭素二重結合を有するものは含まれない。脂肪族多価アミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。芳香族多価アミン化合物としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどが挙げられる。
【0030】
アクリルゴム(A)が架橋点としてハロゲン原子を有する場合は、架橋剤(C)としてトリアジンチオール化合物または脂肪酸アルカリ金属塩を使用することが好ましい。
トリアジンチオール化合物としては、トリアジンチオール(2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン)及びその誘導体が挙げられる。誘導体としては、トリアジンチオールのチオール基の一部を炭素数1〜8の二級または三級アミンに置換した化合物や、チオール基の水素を炭素数1〜8の鎖状炭化水素基または環状炭化水素基に置換した化合物などが挙げられる。これらの中でもトリアジンチオールが好ましい。
脂肪酸アルカリ金属塩としては、炭素数10〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩が例示され、なかでもステアリ酸ナトリウムおよびステアリン酸カリウムが好ましい。
【0031】
アクリルゴム(A)が架橋点としてカルボキシル基を有する場合は、上記架橋剤に加えて、脱離するハロゲン化水素を捕捉するための受酸剤をゴム組成物中に配合することが好ましい。かかる受酸剤としては、周期律表第2族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、メタホウ酸塩、亜燐酸塩;周期律表第14族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、カルボン酸塩、塩基性亜燐酸塩、塩基性亜硫酸塩;ハイドロタルサイト類などが挙げられる。
周期律表第2族金属の化合物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム8、ステアリン酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸バリウムなどが例示される。周期律表第14族金属の化合物としては酸化錫、塩基性炭酸錫、カルボン酸錫、塩基性亜燐酸錫、塩基性亜硫酸錫などが例示される。
受酸剤の使用量は、アクリルゴム(A)100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0032】
アクリルゴム(A)が架橋点としてエポキシ基を有する場合は、架橋剤(C)として炭素数7〜22の環状有機酸アンモニウム塩、または、上記のカルボキシル基を含有する単量体単位を持つ場合に好ましい架橋剤として挙げた炭素数4〜30の多価アミン化合物を使用することが好ましい。
環状有機酸アンモニウム塩としては、安息香酸アンモニウム、イソシアヌル酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0033】
アクリルゴム(A)が架橋点として水酸基を有する場合は、架橋剤(C)として炭素数2〜20のイソシアネート化合物、多価カルボン酸、または、アルコキシメチルメラミンを使用することが好ましい。
イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。多価カルボン酸としては、アジピン酸などが挙げられる。アルコキシメチルメラミンとしては、メトキシメチルメラミンなどが挙げられる。
【0034】
アクリルゴム(A)が架橋点として二重結合を持つ場合、および、アクリルゴム(A)が架橋点を有さない場合は、架橋剤(C)として有機過酸化物を使用することが好ましい。
有機過酸化物としては、例えばジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。
【0035】
架橋剤(C)の配合量は、(A)成分のアクリルゴム100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると架橋が不十分で架橋物の形状維持が困難になるおそれがあり、多すぎると架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性が損なわれる可能性がある。
【0036】
本発明のアクリルゴム組成物は、その他必要に応じてシランカップリング剤、架橋促進剤、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、補強剤などの添加剤を含有してもよい。
【0037】
特に、シランカップリング剤は、(B)成分である焼成シリカの表面にある親水性のシラノール基を疎水化して、アクリルゴム(A)と焼成シリカ(B)との親和性を向上させる作用があるので配合することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基含有シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。メルカプト基含有シランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシラン、γ−メルカプトメチルトリエトキシラン、γ−メルカプトヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。ビニル基含有シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
なかでもアミノ基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独または2種以上併せて使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、アクリルゴム(A)100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部である。多すぎると、架橋ゴムの常態物性が低下して、ゴム弾性が損なわれるおそれがある。
【0038】
架橋促進剤に限定はないが、使用されるアクリルゴム(A)および架橋剤(C)に適合した架橋促進剤を選択することが好ましい。
アクリルゴム(A)が架橋点としてカルボキシル基またはエポキシ基を有し、かつ、架橋剤として多価アミン化合物を用いる場合、好ましい架橋促進剤としてグアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、多価第三級アミン化合物、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などを挙げることができる。
グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリン酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0039】
アクリルゴム(A)が架橋点としてハロゲン原子を有し、かつ、架橋剤としてトリアジンチオール化合物を用いる場合、好ましい架橋促進剤として炭素数2〜12のジチオカルバミン酸化合物、炭素数2〜30のチウラムスルフィドなどを挙げることができる。
ジチオカルバミン酸化合物としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−オクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛などが好ましい。
チウラムスルフィドの具体例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが挙げられる。
また、アクリルゴム(A)が架橋点としてハロゲン原子を有し、かつ、架橋剤として脂肪酸アルカリ金属塩を用いる場合は、硫黄またはトリアジンチオール化合物を併用すると、アクリルゴム組成物の架橋反応が促進される。
【0040】
アクリルゴム(A)が架橋点として水酸基を有し、かつ、架橋剤としてイソシアネート化合物を用いる場合、好ましい架橋促進剤としてグアンジン化合物(前出)、四級オニウム塩、三級アミン化合物、三級ホスフィン化合物などが挙げられる。
四級オニウム塩は、一般式(R1 R2 R3 R4 N)+ X− または(R1 R2 R3 R4 P)+ X− で示される化合物である。ここで、R1 、R2 、R3 およびR4 は炭素数1〜25のアルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アルキルアリール基、アラルキル基もしくはポリオキシアルキレン基、または、R1 〜R4 の内の3個以下が複素環である。また、X−は、Cl− 、Br− 、I− 、HSO4 −、H2 PO4 −、RCOO−、ROSO2 −またはCO3 −を表す。ここで、Rは炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アルキルアリール基、アラルキル基を表わす。
四級オニウム塩の具体例としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルピリジウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムクロライド等の四級アンモニウム塩;テトラフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムブロライド、トリフェニルメトキシメチルホスフォニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスフォニウムクロライド、トリオクチルベンジルホスフォニウムクロライド等の四級ホスフォニウム塩が挙げられる。
【0041】
三級アミン化合物としては、トリエチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジエチルラウリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、ピロール、ジメチルピペラジン等が例示される。
【0042】
三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ(メチルフェニル)ホスフィン等が例示される。
【0043】
アクリルゴム(A)が架橋点を有さないか、または、架橋点として二重結合を有し、架橋剤に有機過酸化物を用いる場合、好ましい架橋促進剤としてビスマレイミド化合物を使用することが好ましい。
ビスマレイミド化合物としては、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)ビスマレイミド等が挙げられ、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。
【0044】
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム(A)100重量部あたり、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりするおそれがある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強度が著しく低下したり、熱負荷後の伸びや引張強度の変化が大きすぎたりする可能性がある。
【0045】
また、本発明のアクリルゴム組成物には、必要に応じて、ゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。ゴムとしては天然ゴム、前記アクリルゴム(A)以外のアクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。エラストマーとしてはオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどが挙げられる。樹脂としてはポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0046】
本発明のアクリルゴム組成物を調製するには、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合手順は特に限定されないが、先ず、熱による反応や分解を起こしにくい成分を充分に混ぜ合わせた後、熱による反応や分解を起こしやすい成分、例えば架橋剤、架橋促進剤などを、反応や分解を起こさない温度で短時間に混合する手順を採ることが好ましい。
【0047】
本発明のアクリルゴム組成物は、押出成形、型物成形(射出成形、トランスファー成形、圧縮成形など)等の成形法により成形される。
押出成形には、ゴムの加工に一般的に採用されている押出成形法を用いることができる。すなわち、ロール混合などで調製したアクリルゴム組成物を、押出機のホッパからフィードしてスクリューに巻き込ませ、バレルからの加熱により軟化させつつヘッド部に送り、ヘッド部に設置した所定形状のダイスに通すことにより、目的の断面形状を有する長尺の押出成形品(板、棒、パイプ、ホース、異形品など)を得る。バレル温度は、通常、50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。ヘッド温度は、通常、60〜130℃、好ましくは60〜110℃であり、ダイス温度は、通常、70〜130℃、好ましくは80〜100℃である。
型物成形は、製品1個分の又は数個分の形状をした金型のキャビティにアクリルゴム組成物を充填して賦形し、金型を、通常、130〜220℃、好ましくは140℃〜200℃に加熱することにより架橋(一次架橋)させ、必要によりさらに、オーブン、熱風、蒸気などで上記温度に1〜48時間加熱して架橋(二次架橋)させる。
【0048】
本発明のアクリルゴム組成物は、貯蔵安定性が高く、耐熱性、耐圧縮永久歪み特性、および、引張強度などの機械的特性に優れる架橋物を与える。本発明の架橋物は、これらの特性を活かして、例えば自動車等の輸送機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野において、O−リング、ガスケット、オイルシール、ベアリングシール等のシール材;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;等として有用である。
【0049】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。これらの例中の〔部〕及び〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。
試験、評価を下記の方法で行った。
【0050】
(1) シリカの平均粒子径
コールターカウンターにより、粒子径を横軸にとる累積粒径分布曲線を得、これより累積50%に相当する粒子径を求め、平均粒子径とする。単位はμm。
【0051】
(2) シリカの表面シラノール基濃度
全自動水蒸気吸着測定装置(BELSORP18、日本ベル社製)を用いて容量法によりシリカの水蒸気吸着量を25℃で5点以上測定する。吸着相対圧(X=P/P0 )と吸着量(V)との関係から下式(BET式)により水の単分子層吸着量(Vm )を最小自乗法で計算して求める。
【0052】
BET式:X/〔V(1−X)〕=1/VmC+〔X(C−1)〕/VmC
【0053】
P :吸着平衡時の水蒸気圧
P0 :26℃における水の飽和蒸気圧
C :定数
V,V0 :標準状態における水蒸気の単位重量当たり容量(cm3 /g)
【0054】
一方、全自動窒素吸着測定装置(BELSORP28、日本ベル社製)を用いて液体窒素温度における窒素の吸着測定からBET式により求めた比表面積(SN2)と前記Vm とから表面シラノール基濃度を下式で求める。
表面シラノール基濃度(個/nm2 )= 26.9×Vm /SN2
【0055】
(3)耐熱老化性
アクリルゴム組成物を温度170℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、高さ2mmの成形品を得、さらに温度170℃のオーブン内に4時間放置して二次架橋して作成したシートを用い、所定の形状に打ち抜いた試験片を用いて以下の測定を行う。
先ず、23℃においてJIS K6251の引張試験に従って引張強度及び破断伸び(伸び)を、又、JIS K6253の硬さ試験に従って硬さをそれぞれ測定し、常態試料の測定値とする。次いで、JIS K6257に従い、温度175℃の環境下で336時間置いて空気加熱による熱老化を行い、再度伸び及び硬度を測定し、熱老化試料の測定値とする。熱老化試料の測定値と常態試料の測定値とを対比し、引張強度および伸びでは変化率(百分率)を、硬さでは変化量(差)を求める。これらの数値が0に近いほど耐熱老化性に優れる。
【0056】
(4)圧縮永久歪み率
アクリルゴム組成物を温度170℃、20分間のプレスで成形、架橋して直径29mm、高さ12.5mmの円柱型試験片を作製し、さらに温度170℃で4時間置いて二次架橋する。JIS K 6262に従い、上記試験片を25%圧縮させたまま、温度175℃の環境下に70時間置いた後、圧縮を解放して圧縮永久歪み率を測定する。
【0057】
アクリルゴム製造例1
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部およびアクリル酸エチル50部、アクリル酸n−ブチル34部、アクリル酸2−メトキシエチル14部、マレイン酸モノn−ブチル2部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換をくり返して酸素を十分除去した後、クメンハイドロパーオキシド0.005部およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.002部を加えて常圧下、温度20℃で乳化重合を開始し、重合転化率が95%に達するまで反応を継続した。得られた乳化重合液を塩化カルシウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥してアクリルゴムaを得た。
アクリルゴムaの組成は、アクリル酸エチル単量体単位50%、アクリル酸n−ブチル単量体単位34%、アクリル酸2−メトキシエチル単量体単位14%、マレイン酸モノn−ブチル単量体単位2%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
【0058】
アクリルゴム製造例2
アクリルゴム製造例1において、反応器に仕込むアクリル酸エチルの量を50部から48部に、マレイン酸モノn−ブチル2部をフマル酸モノn−ブチル4部に変更する他はアクリルゴム製造例1と同様に行ってアクリルゴムbを得た。
アクリルゴムbの組成はアクリル酸エチル単量体単位48%、アクリル酸n−ブチル単量体単位34%、アクリル酸2−メトキシエチル単量体単位14%、フマル酸モノn−ブチル単量体単位4%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
【0059】
アクリルゴム製造例3
アクリルゴム製造例1において、反応器に仕込むアクリル酸n−ブチルの量を34部から28部に、アクリル酸2−メトキシエチルの量を14部から20部に、マレイン酸モノn−ブチルをクロロ酢酸ビニルに変更する他はアクリルゴム製造例1と同様に行ってアクリルゴムcを得た。
アクリルゴムcの組成はアクリル酸エチル単量体単位50%、アクリル酸n−ブチル単量体単位28.5%、アクリル酸2−メトキシエチル単量体単位20%、クロロ酢酸ビニル単量体単位1.5%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は50であった。
【0060】
実施例1
アクリルゴムaを100部、焼成シリカ1(Carplex CS−5、湿式シリカを800℃で40分間焼成したシリカ、塩野義製薬社製、表面シラノール基濃度約2個/nm2 、平均粒子径2.3μm、BET比表面積154m2 /g、加熱減量1.1%、pH5.7)を50部、ステアリン酸(軟化剤)を2部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1部、オクタデシルアミン(加工助剤)を0.5部および4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ノクラックCD、大内新興社製、老化防止剤)を2部バンバリーに入れて50℃で混練し、その後、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤)0.6部および1,3−ジ−o−トリルグアニジン(架橋促進剤)2部を加えて40℃にてオープンロールで混練してアクリルゴム組成物を調製した。
得られたアクリルゴム組成物を用いて、耐熱老化性(引張強度および伸びの変化率、硬さの変化量)および圧縮永久歪み率を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
実施例2、3および比較例1、2
表1に示す成分および量を用いて実施例1と同様に行ってアクリルゴム組成物を調製した。ただし、(A)成分としてアクリルゴムcを用いた実施例3においては、オクタデシルアミン(加工助剤)を配合せず、また、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤)0.6部に代えて2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン0.5部を用い、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(架橋促進剤)2部に代えてジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1.5部を用いた。表1には実施例2、3および比較例1、2を通じて実施例1に変更の無い配合成分については記載していない。
得られた各々のアクリルゴム組成物を用いて、耐熱性(引張強度および伸びの変化率、硬さの変化量)および圧縮永久歪み率を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
注
*1:Carplex CS−7、塩野義製薬社製、湿式シリカを850℃で50分間焼成したシリカ、表面シラノール基濃度約2個/nm2 、平均粒子径3μm、BET比表面積133m2 /g、加熱減量0.9%、pH6.9。
*2:Aerosil R972、日本アエロジル社製、乾式法シリカ、表面シラノール基濃度約3.5個/nm2 、平均粒子径約16μm、BET比表面積120m2 /g、加熱減量0.4%、pH3.8。
*3:Carplex 67、塩野義製薬社製、湿式法シリカ、表面シラノール基濃度約3.5個/nm2 、平均粒子径6.4μm、BET比表面積429m2 /g、加熱減量7。6%、pH7.4。
【0064】
表1が示すように、本発明のアクリルゴム組成物は、いずれも耐熱老化性に優れ、また、圧縮永久歪みの小さな架橋物を与えた(実施例1〜3)。実施例2と実施例3とを対比すると、アクリルゴムの架橋点が相違(アクリルゴムb;カルボキシル基、アクリルゴムc:塩素原子)しても同傾向と言える。
一方、焼成シリカに代えて乾式法シリカを用いたアクリルゴム組成物の架橋物では、引張強度の耐熱老化性は良好であるものの、伸びおよび硬さの耐熱老化性が大きく低下し、また、圧縮永久歪みも大きかった(比較例1)。
焼成シリカに代えて、湿式法シリカをそのまま用いたアクリルゴム組成物の架橋物は、硬さの耐熱老化性は良好であるものの、引張強度と伸びの耐熱老化性が著しく劣り、また、圧縮永久歪みが極めて大きかった(比較例2)。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、貯蔵安定性が高く、耐熱老化性および耐圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物が提供される。
Claims (6)
- アクリルゴム(A)100重量部に対して、湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)5〜200重量部および架橋剤(C)0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物。
- 湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)の表面のシラノール基濃度が3個/nm2 以下である請求項1記載のアクリルゴム組成物。
- 湿式法シリカを焼成してなるシリカ(B)が、湿式法シリカを温度500〜1,000℃で30〜120分間加熱して調製したものである請求項1又は2記載のアクリルゴム組成物。
- アクリルゴム(A)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%および架橋点を有する単量体単位0.1〜20重量%からなるものである請求項1〜3いずれかに記載のアクリルゴム組成物。
- さらにシランカップリング剤0.1〜10重量部を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載のアクリルゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のアクリルゴム組成物を架橋してなる架橋物。
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