JP2004169062A - 熱交換器の防錆膜及び防食膜並びにその形成方法 - Google Patents

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Yoshikazu Takahashi
善和 高橋
Masayuki Iijima
正行 飯島
Atsushi Nakatsuka
篤 中塚
Takeo Kato
丈夫 加藤
Shinji Ozaki
伸二 尾崎
Hiroshi Takeda
博 武田
Kyuzo Nakamura
久三 中村
Ichiji Teraoka
一司 寺岡
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Abstract

【課題】クロムなど環境負荷物質を含む廃液の処理などの環境問題や、アルミニウムなど熱交換器用材料に対して熱交換性能の低下を生じさせることなく、熱交換器など複雑形状の被覆対象物の表面に、所望の膜厚で形成して高耐蝕性機能を備え得る防錆膜及び防食膜、並びにこのような防錆・防食膜の形成方法を提供する。
【解決手段】蒸着重合によりポリイミドなどの耐蝕性有機高分子膜の成膜を行って熱交換器の防錆膜及び防食膜とする。このような防錆膜及び防食膜は蒸着重合により形成されるので、有害な廃棄物を発生させない良好な作業環境下で、均等な所望膜厚の成膜を行うことができる。そして、このときの耐蝕性有機高分子膜の膜厚は、0.5μm以上とすることが望ましく、さらに、断熱効果を招かないために10μm未満であることが望ましい。また、この耐蝕性有機高分子膜に対してプラズマ表面処理や光照射により親水性を付加させて、凝着水の局部的付着に起因する熱交換器の冷却効率の低下を防止し、熱交換器本来の熱交換性能を維持することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に用いる防錆膜及び防食膜、並びに、これら防錆・防食膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車や空調機器用など、外部環境下においても長期にわたって耐久性能が求められる熱交換器の防食加工として、6価クロムを用いたクロムメッキによる防食膜をその表面に塗膜することが行われていた。金属クロムは毒性の強い重金属ゆえ、処理後に環境を介して人体に危険が及ぶおそれがあり、処理廃液に厳格な管理を要するなどの問題があった。このため、耐腐食性を有する有機化合物がその代替材料となり得るが、有機化合物を用いる場合、その熱伝導性がクロムなどの金属に比べて劣るため、熱交換性能を維持する目的で膜厚を数μm以下に留めて防食膜を形成する必要がある。
【0003】
ところが、塗装や塗布などにより数μm以下の膜厚で塗膜を行うのは容易ではなく、さらに、特に放熱板など熱交換器の構成部品は、放熱効率の向上のため複雑な形状に形成されており、このような複雑形状の表面に、膜厚を均一に保って薄く塗膜を行うことは相当の困難を伴う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、クロムなど環境負荷物質を含む廃液の処理などの環境問題や、アルミニウムなど熱交換器用材料に対して熱交換性能の低下を生じさせることなく、熱交換器など複雑形状の被覆対象物の表面に、所望の膜厚で形成して高耐蝕性機能を備え得る防錆膜及び防食膜、並びにこのような防錆・防食膜の形成方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、蒸着重合により耐蝕性有機高分子膜の成膜を行い、この高分子膜を熱交換器の防錆膜及び防食膜とした。蒸着重合法は、共蒸着する2種類以上のモノマーを重合反応させて高分子膜を形成する乾式法によるものであるため、熱交換器の防錆膜及び防食膜として高分子膜を形成するのに用いると、廃液処理を要さず環境問題の発生を防止できる。また、反応の際に、熱交換器の表面全体に気体状態のモノマー分子が流入して蒸着重合反応を行うことにより、複雑形状の交換器表面に均一な膜厚の有機高分子から成る防錆膜及び防食膜を形成することができる。さらに、蒸着重合条件の設定により容易に膜厚の制御を行うことが可能であり、また、不純物の混入が抑制されるため、これにより形成される防錆膜及び防食膜は高い耐腐食機能を備えることができる。
【0006】
この場合、防錆膜及び防食膜を構成する耐蝕性有機高分子として、ポリイミド、ポリアミド及びポリ尿素を好適例とすることができ、これら以外にも、ポリアミドイミドやポリアゾメチンを例示することができる。
【0007】
また、この場合、耐蝕性有機高分子膜の膜厚は、0.5μm以上であることが望ましい。上記したように耐蝕性有機高分子から成る防錆膜及び防食膜は、数μm以下、例えば、断熱効果を招かないため10μm以下の膜厚で形成することが望ましいが、下限側の膜厚としては0.5μm未満であると耐腐食性を充分に確保することが難しくなる。
【0008】
さらに、これらの場合、この耐蝕性有機高分子膜に親水性を備えさせて上記した防錆膜及び防食膜を形成すると、高分子膜に被覆された熱交換器表面が全体に親水性を有するため、凝着水の局部的付着により熱交換器の冷却効率が低下することを防止でき、熱交換器本来の熱交換性能を維持することができる。
【0009】
ところで、このような親水性を得るには、蒸着重合により成膜された防錆膜及び防食膜に、プラズマ表面処理や光照射を行う方法が有効である。プラズマ処理用のプラズマ種としては、酸素などプラズマガスとして一般的なものを用いることができて、特にその種類を限定されることはなく、また、光照射には、紫外光などを用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、蒸着重合対象物に対して高分子膜から成る防食膜を被覆させるための蒸着重合装置の略断面図である。図1を参照して、蒸着重合装置1には、それぞれ図外のガス導入バルブを介してモノマーガスを導入する一対の第1ガス導入口2及び第2ガス導入口3と、図外の油拡散ポンプに連なる排気バルブ(図示せず)を介して排気作動を行うための真空排気口4とが設けられている。また、蒸着重合装置1の内部には、蒸着重合対象物として熱交換器5がその放熱板5aを前面にして配置されている。このとき、熱交換器5は、蒸着重合装置1の天井部1aから必要な張力に充分耐え得る索条6により懸吊されるなどして、そのいずれの面も遮蔽されることなく装置1内に露出されるようにしている。
【0011】
また、蒸着重合装置1は、内部の温度を制御できる図外の温度制御手段が設置されており、蒸着重合反応に必要な熱を供給できるように構成されている。そして、蒸着重合対象物たる熱交換器5の表面は、上記した温度制御手段により加熱された装置1の内壁からの輻射熱により、全体が均等に加熱される。
【0012】
このように構成された蒸着重合装置1を用い、その内部に熱交換器5を配置した状態で、最初に真空排気口4に連なる図外の排気バルブにより真空排気を作動させて装置1の内部圧力を10―Paに減圧し、この圧力状態を保ちながら図外の温度制御手段によりその内部を200℃に加熱してこの状態を保持する。そして、あらかじめ210℃に加熱した容器内の気体状態の無水ピロメリット酸二無水物(PMDA)を第1ガス導入口2から、また、あらかじめ190℃に加熱した容器内の気体状態の4,4’−ビスアミノフェニルエーテル(ODA)を第2ガス導入口3から同時に導入して、この状態で、熱交換器5の表面で蒸着重合反応を6分間進行させ、熱交換器5の表面全体に1μmの膜厚のポリイミド防食膜を均等に被覆する。
【0013】
このように防食膜の膜厚は1μm程度であるため、ポリイミドなど有機化合物を被覆材料に用いたときの熱伝導性の低下に起因した、熱交換器全体の熱交換性の悪化を防止することができる。なお、この際には、断熱効果を招かないため膜厚の上限値は10μm以下であることが望ましい。
【0014】
そして、形成されたポリイミド防食膜に対し、酸素プラズマを用いたプラズマ表面処理を後処理として行い、防食膜に親水性を具備することができる。このときに得られた防食膜は、親水性を保つことにより、凝着水の局部的付着により熱交換器の冷却効率が低下することを防止でき、熱交換器本来の熱交換性能を維持することができる。
【0015】
上記した凝着水は、例えば、自動車用熱交換器や空調用熱交換器の表面に付着した場合、通風抵抗の増大を招いたり、熱交換能力の低下を発生させるなど多くの問題の発生原因となり易く、上記した親水性を付加した防食膜を備えた熱交換器により、これらの不具合の発生が抑制できる。
【0016】
なお、上記した後処理のための機構としては、プラズマ表面処理機構の他に光照射機構を挙げることができる。そして、このような表面処理のための機構を同じ蒸着重合装置1内の取り付けることにより、親水性防食膜などの機能性膜が同じ装置内で効率良く形成できることになる。
【0017】
そして、得られた防食膜の性能を下記[実施例]に示す耐蝕試験などにより確認する。なお、本実施の形態において、防食膜、即ち、耐蝕性能を有する機能膜は、アルミニウムなど熱交換器用材料の金属腐蝕を抑制して金属錆の発生を防止する点において、防錆膜と同様であると考えてよい。
【0018】
なお、本実施の形態に用いた蒸着重合反応条件により本発明が限定されるものではない。例えば、ポリイミド防食膜を反応生成させる場合の一方の成分として、上記したPMDA以外に、ピロメリット酸ジチオ二無水物(PMDTA)、二無水物3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、2,2−ビス(3,4−フェニルカルボキシル)ヘキサフロロプロパン二無水物(6FDA)などを用いることができる。
【0019】
また、防食膜の材料として、ポリイミド以外に、ポリアミドやポリ尿素、ポリアミドイミド、ポリアゾメチンなどを被覆材料に用いることができる。この場合、第1ガス導入口2から導入するモノマーガスの例としては、テレフタル酸ジクロライド(TPDC:ポリアミド防食膜の場合)など、4,4’−ビスイソシアナートフェニルメタン(ポリ尿素防食膜の場合)など、無水トリメリット酸クロライド(TMAC:ポリアミドイミド防食膜の場合)など、テレフタルアルデヒド(TPA:ポリアゾメチン防食膜の場合)などを挙げることができる。
【0020】
また、上記した一方の成分たる酸成分のモノマーガスに対する他方の成分、即ち、第2ガス導入口3から導入すべきアミノ成分のモノマーガスの例として、上記したODA以外に、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、メタフェニレンジアミン(m−PDA)、4,4’−ビスアミノフェニルメタン(MDA)、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフロロプロパン(Bis−OAF)、ジアミノシロキサン(SiDA)、ビス(4−(トリメチルシリルアミノ)フェニル)エーテル(SiODA)などを挙げることができる。
【0021】
また、本発明の実施の形態では、蒸着重合対象物として自動車や空調器用の熱交換器を用いたが、それ以外にも、例えば屋外照明灯用金属製部品や船舶及び航空機用金属製部品、屋外観測機器用部品など、大きな変化を伴う外部環境に晒されて使用される多種類の耐久製品用途に適用可能である。
【0022】
【実施例】
[実施例1]上記したように熱交換器の表面に形成した1μmの膜厚のポリイミド防食膜に対して、JIS H8681(CASS試験)に基づく耐蝕加速試験を行ったところ、3週間後の侵食深さは0.15mm程度であった。
【0023】
[比較例1]塗布によりクロムメッキを施した熱交換器の防食膜に対して、[実施例1]と同様の耐蝕試験を行ったところ、3週間後の侵食深さは0.6mm以上であった。
【0024】
[実施例2][実施例1]と同様に形成した1μmの膜厚のポリイミド防食膜を備えるアルミニウム製熱交換器の侵食深さを、JIS Z2371(塩水噴霧)による耐蝕試験で測定したところ、30日後の侵食深さは0.1mm未満であった。さらに、このアルミニウム製熱交換器にポリイミド防食膜を形成する際に、上記した蒸着重合装置内に取り付けたプラズマ表面処理手段により、酸素プラズマ処理を1分間行った。この熱交換器表面に対し、水に対する接触角を測定したところ15度であった。
【0025】
[比較例2]塗布によりクロムメッキを施した熱交換器の防食膜に対して、[実施例2]と同様の耐蝕試験を行ったところ、30日後の侵食深さは0.1mm以上であった。また、この熱交換器に対して、水に対する接触角を測定したところ、24度であった。
【0026】
[比較例3][実施例1]と同様に形成した1μmの膜厚のポリイミド防食膜を備えるアルミニウム製熱交換器に対し、[実施例2]のプラズマ表面処理を行わずに、水に対する接触角を測定したところ84度であった。
【0027】
[実施例2]と[比較例2]及び[比較例3]とにより、高分子膜から成る防食膜に対するプラズマ表面処理により、本発明の熱交換器表面の親水性が効果的に向上することが分かる。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の熱交換器はその表面に蒸着重合により形成及び被覆した防食膜を備えている。このため、防食膜を被覆する際に、処理廃液が発生せず外部環境に対する負荷を顕著に減少させることができる。また、膜厚制御に優れた蒸着重合法を用いているため、複雑形状の熱交換器表面に対しても、ポリイミドなど高分子膜から成る防食膜が所望の薄さで均等に成膜される。
【0029】
さらに、このような防食膜には、プラズマ表面処理や光照射処理により、親水性を付加ことができるので、このようにして親水性を向上させて高分子膜などの有機化合物に特有の熱伝導性の悪化を確実に回避することができる。
【0030】
そして、上記したプラズマ処理や光照射処理を、蒸着重合を行った蒸着重合装置内で行うようにすることにより、防食膜に他の機能性を効率良く付加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸着重合装置の略断面図
【符号の説明】
1 蒸着重合装置
5 熱交換器

Claims (6)

  1. 蒸着重合により成膜を行った耐蝕性有機高分子膜から成ることを特徴とする熱交換器の防錆膜及び防食膜。
  2. 前記耐蝕性有機高分子膜は、ポリイミド膜、ポリアミド膜及びポリ尿素膜のいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の防錆膜及び防食膜。
  3. 前記耐蝕性有機高分子膜は、0.5μm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器の防錆膜及び防食膜。
  4. 前記耐蝕性有機高分子膜が親水性を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器の防錆膜及び防食膜。
  5. 蒸着重合により成膜された防錆膜及び防食膜に、プラズマ表面処理を行って親水性を備えさせることを特徴とする防食膜及び防錆膜の形成方法。
  6. 蒸着重合により成膜された防錆膜及び防食膜に、光照射を行って親水性を備えさせることを特徴とする防錆膜及び防食膜の形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5072095B2 (ja) * 2005-08-02 2012-11-14 株式会社アルバック 締結具及びその製造方法
US20220146163A1 (en) * 2019-07-31 2022-05-12 Daikin Industries, Ltd. Refrigerant cycle apparatus

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