JP2004170331A - 尿検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存の便器や尿検査装置を利用しながら、排泄された尿量を簡易的に知ることができる尿検査装置を提供する。
【解決手段】尿検査装置10の採尿アーム13の先端に設けられた採尿皿16には、下部と上部に電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、排尿時間を計測することができる。排尿時間と排泄された尿量とは正の相関があることから、既設の便器や尿検査装置を利用したこのような簡単な構成で、排泄された尿量を推定することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】尿検査装置10の採尿アーム13の先端に設けられた採尿皿16には、下部と上部に電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、排尿時間を計測することができる。排尿時間と排泄された尿量とは正の相関があることから、既設の便器や尿検査装置を利用したこのような簡単な構成で、排泄された尿量を推定することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄された尿量を知ることができる尿検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、便鉢上方に設けた椀状の受尿器で、排泄された尿の全量を採取することにより尿量を測定するようにした便器がある(例えば、特許文献1参照)。また、便器と便座の間に重量センサーを設け、排泄前後の体重差によって尿量を算出するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−301629号公報
【特許文献2】
特開平9−119859号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の尿量測定システムでは、専用の便器や便座が必要となるなど、装置の構成が複雑で高価であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、既存の便器や尿検査装置を利用しながら、排泄された尿量を簡易的に知ることができる尿検査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用・効果】
上記目的を達成するために請求項1は、便器内部を回動して使用者の尿を採取する採尿器と、前記採尿器内の尿の有無を検知する尿検知手段とを備えた尿検査装置において、使用者が排尿する際の排尿時間を前記尿検知手段の検知結果に基づいて演算する排尿時間演算手段を備えるとともに、前記排尿時間演算手段の演算結果に基づいて排泄された尿量を推定する尿量推定手段を備えた。よって、既存の便器や尿検査装置を利用して排尿時間を測定するだけで、排泄された尿量を簡易的に知ることができる。
【0007】
請求項2では、請求項1に記載の尿検査装置において、前記採尿器内に、前記採尿器で採取した尿の成分を分析する分析手段を備えた。よって、尿量に加えて尿の成分を知ることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の尿検査装置10を備えたトイレを示す図である。図1に示すように、トイレに設置された便器101のリム上には採尿部12が取り付けられており、採尿部12の採尿アーム13が、便器101のボウル内を回動して使用者の尿を採取する。また、この採尿部12とは別に本体11が設置されており、これらが配管ユニット15により接続されて、尿検査装置10が構成される。
【0010】
また、便器101には便座102と便ふた104が開閉自在に取り付けられており(図1では開状態)、便器101の背部にはロータンク105が備えられている。止水栓106から給水管103を介して導かれロータンク105に貯えられた水は、便器101内の排泄物を下水に排出するために用いられるとともに、尿検査装置10からの給水指令により吸水管14を通して尿検査装置10へも供給される。なお、尿検査装置10へ供給される水は、ロータンク105から取水するのではなく、止水栓106と給水管103の間から分岐して取り出すようにしてもよい。
【0011】
図2は、尿検査装置10の構成を示す模式図である。採尿部12のモーター9によって駆動される採尿アーム13は、便器101のボウル内を回動し、先端に設けられた採尿皿16で使用者の尿を受ける。採尿皿16に所定量の尿が溜まったと判定される(判定方法は後述する)と、本体11のポンプ31が駆動して、吸引管5を通して本体11の切替弁33へ、尿が吸引される。
【0012】
図3は、便器101部の部分断面図である。便器101の内部には、溜水108が貯溜されるとともに、使用者4が排泄する尿20を受けるボウル面107と、図示しない下水に対して水封を形成するトラップ109が構成されている。図示しない便座に着座した使用者10の尿道口を出た尿20は、溜水108に接しないボウル面107の乾燥面に沿いながら、あるいは直接、溜水108に落下する。尿混じりの溜水108の一部は、トラップ109を通って下水に流れる。そして便器洗浄が行なわれると、尿混じりの溜水108は、ボウル面107に供給される洗浄水に押し出されて下水に流れていく。なお、図3における使用者4は男性の場合であり、男性は陰茎先端の尿道口から尿が排泄されるため、尿20の流れは図1に示すように一般的に一本(主流)である。この尿20は、主としてボウル面107の乾燥面に沿いながら溜水108に落下する。
【0013】
図4は、女性の排尿状態を示す図である。女性は、外性器の中央付近に尿道口があり、また、膀胱から尿道口までの尿道が50mm程度と短いことから、使用者8から排泄された尿は主流21だけでなく、臀部を伝わって溜水108に落下する伏流22が生じる場合もある。このうち、尿の主流21は、主として溜水108に落下する。このように、使用者が男性の場合と女性の場合とでは、尿の落下方向が異なるので、採尿時の採尿皿16の位置を、使用者が適切に変更できるようにしている。これは、例えば、排尿前に使用者が性別を入力操作することになどより容易に実現できる。また、使用者の個人情報が事前登録されている場合は、使用者を認知することにより位置を変更することができる。この場合、個人ごとに最適な位置を記憶させる機能を設けるようにしてもよい。
【0014】
図5は、採尿アーム13の採尿皿16の断面図である。採尿皿16の下部と上部には電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、採尿皿16に所定量の尿が溜まったことを判定したり、排尿時間を計測したりすることができる。なお、採尿皿16の底部には排出口18を設けてある。
【0015】
次に、計測された排尿時間を利用して、排泄された尿量を推定する方法を説明する。排泄された尿量Qは、尿道断面積Aと尿の流速Vと排尿時間Tの積で表わされる。
Q=A×V×T …(式1)
尿道断面積Aは、尿道が狭窄しているような病的状態を除くと、人によらずほぼ一定で、約3mm2である。また、尿の流速Vは、個人差や加齢に伴う膀胱周囲の筋肉の衰えなどにより多少は変化することのあるパラメータである。そして、測定すべき尿量Qにもっとも大きな影響を与える因子が、排尿時間Tである。実際、複数のモニターに対して実験を行ない、排尿時間Tを計測するとともに尿量Qを実測したところ、排尿時間Tと尿量Qとは相関係数が0.8以上の正の相関があった。そのグラフを図6に示す。このグラフを用いることにより、排尿時間Tから排泄された尿量Qを推定することができるのである。
【0016】
このように、上記実施例における尿検査装置10を用いることにより、簡単に尿量を推定することができる。これに加え、尿検査装置10には3つの分析手段(図2に示す第一の分析手段1、第二の分析手段2、第二の分析手段3)を備えており、これらにより一度の採尿で(すなわち同一尿に対して)複数の尿成分の分析を行なうことができるようにしている。以下、これについて説明する。
【0017】
尿の分析手段としては、分析すべき成分や必要とされる測定精度によって、様々なものがある。例を挙げると、塩分濃度などが測定可能で高血圧症の診断や改善指標などに利用される電気伝導度測定法、半定量精度の尿糖・タンパク・ウロビリノーゲン・潜血などが測定可能で糖尿病・腎臓病・肝臓病・泌尿器結石のスクリーニングなどに利用される尿試験紙呈色読み取り法、定量精度の尿糖値が測定可能で食事・運動などの生活習慣コントロールなどに利用される酵素固定化過酸化水素電極法、定量精度の微量アルブミンや尿酸が測定可能で腎臓病の進行状態判定に利用されるSPR(Surface Plasmon Resonance)法、マロンアルデヒド・8−OH−dG・ビタミンE・ビタミンC・カルチノイド・ポリフェノール・カルシウム量などが測定可能で体の老化度の指標などに利用されたり、アドレナリン・ノルアドレナリン・遊離コルチゾールなどが測定可能でストレスの指標などに利用されたりする抗原抗体発色確認法、などである。
【0018】
上記の例のように尿の分析手段は、病気の早期発見のため、病気にならないための生活習慣コントロールのため、病気の進行具合をチェックするため、など、使用者の健康状態などによって適宜選ばれるべきものである。そこで、本実施例のように、1つの尿検査装置の中に複数の分析手段を設けておき、使用者がその中から必要な分析手段を用いて尿を分析するようにすれば、非常に効果的な分析を行なうことができる。
【0019】
具体的には、日々の生活習慣によって変動する塩分濃度や尿糖値は毎食後に測定するが、病気の早期発見や進行具合のチェックのための測定は毎月1回程度あるいは必要を感じたときに実施する、などのように使用するとよい。例えば、日々の尿糖値を測定するとともに、一定期間毎に抗原抗体発色確認法により過食やカロリー状態、抗酸化食品の摂食、適切な運動状態などを判定するようにすれば、尿糖値の改善に向けて生活習慣を戒める必要性などを関連づけて理解できるようになる。
【0020】
次に、図2を用いて尿検査装置10の構成を詳細に説明する。既に説明したように、採尿アーム13の先端には採尿皿16が設けられているのであるが、この採尿皿16は、第一の分析手段1の役割も果たす(分析方法は後述する)。採尿皿16に所定量の尿が溜まると、本体11のポンプ31が駆動して、吸引管5を通して本体11の切替弁33へ、尿が吸引されるのであるが、この吸引管5の中途には、第二の分析手段2と、余剰の尿を排出口35から排出させるための切替弁一体ポンプ32が設けられている。切替弁33に吸引された尿は、ポンプ31により第三の分析手段3へ送られ、分析後は排出管6を通して排出口35から便器101のボウルへ排出される。なお、この排出管6の中途には、排出口35方向以外への流れを規制する逆止弁38が設けられている。
【0021】
尿に含まれる妨害物質の測定への影響を除外するために用いられる緩衝液は、緩衝液ボトル34から切替弁33を介してポンプ31により第三の分析手段3へ送られ、分析後は排出管6を通して排出口35から便器101のボウルへ排出される。なお、第三の分析手段3が必要とする量を超えた余剰の尿は、切替弁一体ポンプ32により排出管6を通して排出口35から排出される。一方、ロータンク105に貯えられた水は、切替弁一体ポンプ36により吸水管14から吸引され、洗浄水供給管7を通して洗浄ノズル37へ送られて採尿皿16を洗浄したり、切替弁33へ送られて尿と接した部品や配管経路を洗浄したりする用途に用いられる。なお、図1で示した配管ユニット15は、上記した吸引管5、排出管6、洗浄水供給管7や、信号および電力を供給するための配線などを含んだものである。
【0022】
次に、第一の分析手段1について説明する。図5を用いて既に説明したように、採尿皿16の下部と上部には電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、採尿皿16に所定量の尿が溜まったことを判定したり、排尿時間を計測したりすることができる。これに加え、電極17により、尿中の電解質による電気伝導度を測定することで、尿中の電解物質の濃度を測定することも可能である(電気伝導度測定法)。このようにしたものが、第一の分析手段1である。尿中の電解物質としては塩化ナトリウムや塩化カリウムなどがあるが、高血圧症の指標としては、塩化ナトリウムの塩分濃度が医学的に有用とされている。なお、電極17に選択膜を設けることにより特定成分の濃度だけを測定するようにしてもよい。また、電極17の代わりにイオンセンサーを備えて特定成分を選択的に捉えるようにすれば、電気伝導度測定法では誤差が発生しやすい電離度の小さな物質の測定も可能となる。
【0023】
また、第二の分析手段2としては尿試験紙呈色読み取り法を、第三の分析手段3としては酵素固定化過酸化水素電極法を、それぞれ採用することが考えれられる。この場合、日々の生活習慣によって変動する塩分濃度と尿糖値を第一の分析手段1および第三の分析手段3により毎食後に定量精度で測定して食事・運動などの生活習慣コントロールなどに利用するとともに、病気の早期発見のために第二の分析手段2により半定量精度の尿糖・タンパク・ウロビリノーゲン・潜血などを毎月1回程度測定する、といった使用も可能となり、たいへん便利である。
【0024】
なお、本実施例においては、第一の分析手段1および第二の分析手段2は採尿部12に、第三の分析手段3は本体11に、それぞれ設けたが、分析手段1、2、3を共に本体11に備えるようにしてもよい。もちろん、分析手段1、2、3を共に採尿部12に備えるようにしてもよいが、この場合は採尿部12と本体11を接続する吸引管5、排出管6、洗浄水供給管7は不要で、配管ユニット15に含まれるのは、信号などを採尿部12と本体11の制御部・表示部(図示せず)との間でやりとりするための配線のみとなる。この場合、配線の代わりに赤外線や電波を使った電送を用いるようにしてもよい。
【0025】
また、分析手段を4つ以上設けるようにしてもよい。この場合、尿単独で分析する分析手段を上流に配置し、尿に別物質を添加した混合物を分析する分析手段は下流に配置するなどの配慮をするとよい。もちろん、必要のない分析は行なわないようにすることもできる。
【0026】
なお、これまで特に説明はしていないが、使用者に測定結果を表示するための表示手段を備えておくと、より使い勝手がよい。さらには、情報の送受信を行う通信手段を備えておき、測定結果を元に使用者の健康管理に役立つ健康指導を提供する外部解析手段に、測定結果を発信するようにしてもよい。
【0027】
以上のように、本実施例においては、排泄された直後の尿の尿量や成分をトイレ内で測定するようにしているので、衛生面や習慣性という面で大変優れたものであるだけでなく、尿の酸化や変質などによる測定精度低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の尿検査装置10を備えたトイレを示す図
【図2】尿検査装置10の構成を示す模式図
【図3】便器101部の部分断面図
【図4】女性の排尿状態を示す図
【図5】採尿アーム13の採尿皿16の断面図
【図6】排尿時間と尿量の関係を表わしたグラフ
【符号の説明】
1…第一の分析手段
2…第二の分析手段
3…第三の分析手段
4…使用者(男性)
5…吸引管
6…排出管
7…洗浄水供給管
8…使用者(女性)
9…モーター
10…尿検査装置
11…本体
12…採尿部
13…採尿アーム
14…吸水管
15…配管ユニット
16…採尿皿
17…電極
18…排出口
20…尿
21…(尿の)主流
22…(尿の)伏流
31…ポンプ
32…切替弁一体ポンプ
33…切替弁
34…緩衝液ボトル
35…排出口
36…切替弁一体ポンプ
37…洗浄ノズル
38…逆止弁
101…便器
102…便座
103…給水管
104…便ふた
105…ロータンク
106…止水栓
107…ボウル面
108…溜水
109…トラップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄された尿量を知ることができる尿検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、便鉢上方に設けた椀状の受尿器で、排泄された尿の全量を採取することにより尿量を測定するようにした便器がある(例えば、特許文献1参照)。また、便器と便座の間に重量センサーを設け、排泄前後の体重差によって尿量を算出するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−301629号公報
【特許文献2】
特開平9−119859号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の尿量測定システムでは、専用の便器や便座が必要となるなど、装置の構成が複雑で高価であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、既存の便器や尿検査装置を利用しながら、排泄された尿量を簡易的に知ることができる尿検査装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用・効果】
上記目的を達成するために請求項1は、便器内部を回動して使用者の尿を採取する採尿器と、前記採尿器内の尿の有無を検知する尿検知手段とを備えた尿検査装置において、使用者が排尿する際の排尿時間を前記尿検知手段の検知結果に基づいて演算する排尿時間演算手段を備えるとともに、前記排尿時間演算手段の演算結果に基づいて排泄された尿量を推定する尿量推定手段を備えた。よって、既存の便器や尿検査装置を利用して排尿時間を測定するだけで、排泄された尿量を簡易的に知ることができる。
【0007】
請求項2では、請求項1に記載の尿検査装置において、前記採尿器内に、前記採尿器で採取した尿の成分を分析する分析手段を備えた。よって、尿量に加えて尿の成分を知ることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の尿検査装置10を備えたトイレを示す図である。図1に示すように、トイレに設置された便器101のリム上には採尿部12が取り付けられており、採尿部12の採尿アーム13が、便器101のボウル内を回動して使用者の尿を採取する。また、この採尿部12とは別に本体11が設置されており、これらが配管ユニット15により接続されて、尿検査装置10が構成される。
【0010】
また、便器101には便座102と便ふた104が開閉自在に取り付けられており(図1では開状態)、便器101の背部にはロータンク105が備えられている。止水栓106から給水管103を介して導かれロータンク105に貯えられた水は、便器101内の排泄物を下水に排出するために用いられるとともに、尿検査装置10からの給水指令により吸水管14を通して尿検査装置10へも供給される。なお、尿検査装置10へ供給される水は、ロータンク105から取水するのではなく、止水栓106と給水管103の間から分岐して取り出すようにしてもよい。
【0011】
図2は、尿検査装置10の構成を示す模式図である。採尿部12のモーター9によって駆動される採尿アーム13は、便器101のボウル内を回動し、先端に設けられた採尿皿16で使用者の尿を受ける。採尿皿16に所定量の尿が溜まったと判定される(判定方法は後述する)と、本体11のポンプ31が駆動して、吸引管5を通して本体11の切替弁33へ、尿が吸引される。
【0012】
図3は、便器101部の部分断面図である。便器101の内部には、溜水108が貯溜されるとともに、使用者4が排泄する尿20を受けるボウル面107と、図示しない下水に対して水封を形成するトラップ109が構成されている。図示しない便座に着座した使用者10の尿道口を出た尿20は、溜水108に接しないボウル面107の乾燥面に沿いながら、あるいは直接、溜水108に落下する。尿混じりの溜水108の一部は、トラップ109を通って下水に流れる。そして便器洗浄が行なわれると、尿混じりの溜水108は、ボウル面107に供給される洗浄水に押し出されて下水に流れていく。なお、図3における使用者4は男性の場合であり、男性は陰茎先端の尿道口から尿が排泄されるため、尿20の流れは図1に示すように一般的に一本(主流)である。この尿20は、主としてボウル面107の乾燥面に沿いながら溜水108に落下する。
【0013】
図4は、女性の排尿状態を示す図である。女性は、外性器の中央付近に尿道口があり、また、膀胱から尿道口までの尿道が50mm程度と短いことから、使用者8から排泄された尿は主流21だけでなく、臀部を伝わって溜水108に落下する伏流22が生じる場合もある。このうち、尿の主流21は、主として溜水108に落下する。このように、使用者が男性の場合と女性の場合とでは、尿の落下方向が異なるので、採尿時の採尿皿16の位置を、使用者が適切に変更できるようにしている。これは、例えば、排尿前に使用者が性別を入力操作することになどより容易に実現できる。また、使用者の個人情報が事前登録されている場合は、使用者を認知することにより位置を変更することができる。この場合、個人ごとに最適な位置を記憶させる機能を設けるようにしてもよい。
【0014】
図5は、採尿アーム13の採尿皿16の断面図である。採尿皿16の下部と上部には電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、採尿皿16に所定量の尿が溜まったことを判定したり、排尿時間を計測したりすることができる。なお、採尿皿16の底部には排出口18を設けてある。
【0015】
次に、計測された排尿時間を利用して、排泄された尿量を推定する方法を説明する。排泄された尿量Qは、尿道断面積Aと尿の流速Vと排尿時間Tの積で表わされる。
Q=A×V×T …(式1)
尿道断面積Aは、尿道が狭窄しているような病的状態を除くと、人によらずほぼ一定で、約3mm2である。また、尿の流速Vは、個人差や加齢に伴う膀胱周囲の筋肉の衰えなどにより多少は変化することのあるパラメータである。そして、測定すべき尿量Qにもっとも大きな影響を与える因子が、排尿時間Tである。実際、複数のモニターに対して実験を行ない、排尿時間Tを計測するとともに尿量Qを実測したところ、排尿時間Tと尿量Qとは相関係数が0.8以上の正の相関があった。そのグラフを図6に示す。このグラフを用いることにより、排尿時間Tから排泄された尿量Qを推定することができるのである。
【0016】
このように、上記実施例における尿検査装置10を用いることにより、簡単に尿量を推定することができる。これに加え、尿検査装置10には3つの分析手段(図2に示す第一の分析手段1、第二の分析手段2、第二の分析手段3)を備えており、これらにより一度の採尿で(すなわち同一尿に対して)複数の尿成分の分析を行なうことができるようにしている。以下、これについて説明する。
【0017】
尿の分析手段としては、分析すべき成分や必要とされる測定精度によって、様々なものがある。例を挙げると、塩分濃度などが測定可能で高血圧症の診断や改善指標などに利用される電気伝導度測定法、半定量精度の尿糖・タンパク・ウロビリノーゲン・潜血などが測定可能で糖尿病・腎臓病・肝臓病・泌尿器結石のスクリーニングなどに利用される尿試験紙呈色読み取り法、定量精度の尿糖値が測定可能で食事・運動などの生活習慣コントロールなどに利用される酵素固定化過酸化水素電極法、定量精度の微量アルブミンや尿酸が測定可能で腎臓病の進行状態判定に利用されるSPR(Surface Plasmon Resonance)法、マロンアルデヒド・8−OH−dG・ビタミンE・ビタミンC・カルチノイド・ポリフェノール・カルシウム量などが測定可能で体の老化度の指標などに利用されたり、アドレナリン・ノルアドレナリン・遊離コルチゾールなどが測定可能でストレスの指標などに利用されたりする抗原抗体発色確認法、などである。
【0018】
上記の例のように尿の分析手段は、病気の早期発見のため、病気にならないための生活習慣コントロールのため、病気の進行具合をチェックするため、など、使用者の健康状態などによって適宜選ばれるべきものである。そこで、本実施例のように、1つの尿検査装置の中に複数の分析手段を設けておき、使用者がその中から必要な分析手段を用いて尿を分析するようにすれば、非常に効果的な分析を行なうことができる。
【0019】
具体的には、日々の生活習慣によって変動する塩分濃度や尿糖値は毎食後に測定するが、病気の早期発見や進行具合のチェックのための測定は毎月1回程度あるいは必要を感じたときに実施する、などのように使用するとよい。例えば、日々の尿糖値を測定するとともに、一定期間毎に抗原抗体発色確認法により過食やカロリー状態、抗酸化食品の摂食、適切な運動状態などを判定するようにすれば、尿糖値の改善に向けて生活習慣を戒める必要性などを関連づけて理解できるようになる。
【0020】
次に、図2を用いて尿検査装置10の構成を詳細に説明する。既に説明したように、採尿アーム13の先端には採尿皿16が設けられているのであるが、この採尿皿16は、第一の分析手段1の役割も果たす(分析方法は後述する)。採尿皿16に所定量の尿が溜まると、本体11のポンプ31が駆動して、吸引管5を通して本体11の切替弁33へ、尿が吸引されるのであるが、この吸引管5の中途には、第二の分析手段2と、余剰の尿を排出口35から排出させるための切替弁一体ポンプ32が設けられている。切替弁33に吸引された尿は、ポンプ31により第三の分析手段3へ送られ、分析後は排出管6を通して排出口35から便器101のボウルへ排出される。なお、この排出管6の中途には、排出口35方向以外への流れを規制する逆止弁38が設けられている。
【0021】
尿に含まれる妨害物質の測定への影響を除外するために用いられる緩衝液は、緩衝液ボトル34から切替弁33を介してポンプ31により第三の分析手段3へ送られ、分析後は排出管6を通して排出口35から便器101のボウルへ排出される。なお、第三の分析手段3が必要とする量を超えた余剰の尿は、切替弁一体ポンプ32により排出管6を通して排出口35から排出される。一方、ロータンク105に貯えられた水は、切替弁一体ポンプ36により吸水管14から吸引され、洗浄水供給管7を通して洗浄ノズル37へ送られて採尿皿16を洗浄したり、切替弁33へ送られて尿と接した部品や配管経路を洗浄したりする用途に用いられる。なお、図1で示した配管ユニット15は、上記した吸引管5、排出管6、洗浄水供給管7や、信号および電力を供給するための配線などを含んだものである。
【0022】
次に、第一の分析手段1について説明する。図5を用いて既に説明したように、採尿皿16の下部と上部には電極17が配置されており、この電極17間の通電状態を監視することにより、採尿皿16に所定量の尿が溜まったことを判定したり、排尿時間を計測したりすることができる。これに加え、電極17により、尿中の電解質による電気伝導度を測定することで、尿中の電解物質の濃度を測定することも可能である(電気伝導度測定法)。このようにしたものが、第一の分析手段1である。尿中の電解物質としては塩化ナトリウムや塩化カリウムなどがあるが、高血圧症の指標としては、塩化ナトリウムの塩分濃度が医学的に有用とされている。なお、電極17に選択膜を設けることにより特定成分の濃度だけを測定するようにしてもよい。また、電極17の代わりにイオンセンサーを備えて特定成分を選択的に捉えるようにすれば、電気伝導度測定法では誤差が発生しやすい電離度の小さな物質の測定も可能となる。
【0023】
また、第二の分析手段2としては尿試験紙呈色読み取り法を、第三の分析手段3としては酵素固定化過酸化水素電極法を、それぞれ採用することが考えれられる。この場合、日々の生活習慣によって変動する塩分濃度と尿糖値を第一の分析手段1および第三の分析手段3により毎食後に定量精度で測定して食事・運動などの生活習慣コントロールなどに利用するとともに、病気の早期発見のために第二の分析手段2により半定量精度の尿糖・タンパク・ウロビリノーゲン・潜血などを毎月1回程度測定する、といった使用も可能となり、たいへん便利である。
【0024】
なお、本実施例においては、第一の分析手段1および第二の分析手段2は採尿部12に、第三の分析手段3は本体11に、それぞれ設けたが、分析手段1、2、3を共に本体11に備えるようにしてもよい。もちろん、分析手段1、2、3を共に採尿部12に備えるようにしてもよいが、この場合は採尿部12と本体11を接続する吸引管5、排出管6、洗浄水供給管7は不要で、配管ユニット15に含まれるのは、信号などを採尿部12と本体11の制御部・表示部(図示せず)との間でやりとりするための配線のみとなる。この場合、配線の代わりに赤外線や電波を使った電送を用いるようにしてもよい。
【0025】
また、分析手段を4つ以上設けるようにしてもよい。この場合、尿単独で分析する分析手段を上流に配置し、尿に別物質を添加した混合物を分析する分析手段は下流に配置するなどの配慮をするとよい。もちろん、必要のない分析は行なわないようにすることもできる。
【0026】
なお、これまで特に説明はしていないが、使用者に測定結果を表示するための表示手段を備えておくと、より使い勝手がよい。さらには、情報の送受信を行う通信手段を備えておき、測定結果を元に使用者の健康管理に役立つ健康指導を提供する外部解析手段に、測定結果を発信するようにしてもよい。
【0027】
以上のように、本実施例においては、排泄された直後の尿の尿量や成分をトイレ内で測定するようにしているので、衛生面や習慣性という面で大変優れたものであるだけでなく、尿の酸化や変質などによる測定精度低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の尿検査装置10を備えたトイレを示す図
【図2】尿検査装置10の構成を示す模式図
【図3】便器101部の部分断面図
【図4】女性の排尿状態を示す図
【図5】採尿アーム13の採尿皿16の断面図
【図6】排尿時間と尿量の関係を表わしたグラフ
【符号の説明】
1…第一の分析手段
2…第二の分析手段
3…第三の分析手段
4…使用者(男性)
5…吸引管
6…排出管
7…洗浄水供給管
8…使用者(女性)
9…モーター
10…尿検査装置
11…本体
12…採尿部
13…採尿アーム
14…吸水管
15…配管ユニット
16…採尿皿
17…電極
18…排出口
20…尿
21…(尿の)主流
22…(尿の)伏流
31…ポンプ
32…切替弁一体ポンプ
33…切替弁
34…緩衝液ボトル
35…排出口
36…切替弁一体ポンプ
37…洗浄ノズル
38…逆止弁
101…便器
102…便座
103…給水管
104…便ふた
105…ロータンク
106…止水栓
107…ボウル面
108…溜水
109…トラップ
Claims (2)
- 便器内部を回動して使用者の尿を採取する採尿器と、前記採尿器内の尿の有無を検知する尿検知手段とを備えた尿検査装置において、使用者が排尿する際の排尿時間を前記尿検知手段の検知結果に基づいて演算する排尿時間演算手段を備えるとともに、前記排尿時間演算手段の演算結果に基づいて排泄された尿量を推定する尿量推定手段を備えたことを特徴とする尿検査装置。
- 前記採尿器内に、前記採尿器で採取した尿の成分を分析する分析手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の尿検査装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2002338877A JP2004170331A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 尿検査装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2002338877A JP2004170331A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 尿検査装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004170331A true JP2004170331A (ja) | 2004-06-17 |
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Family Applications (1)
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| Country | Link |
|---|---|
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010223673A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Toto Ltd | 排尿状況記録装置 |
| EP3702781A1 (en) * | 2019-02-27 | 2020-09-02 | Universitat Rovira I Virgili | Installable system for regular continual analysis of an individual's urine to determine the level of hydration of said individual |
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-
2002
- 2002-11-22 JP JP2002338877A patent/JP2004170331A/ja active Pending
Cited By (4)
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|---|---|---|---|---|
| JP2010223673A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Toto Ltd | 排尿状況記録装置 |
| EP3702781A1 (en) * | 2019-02-27 | 2020-09-02 | Universitat Rovira I Virgili | Installable system for regular continual analysis of an individual's urine to determine the level of hydration of said individual |
| WO2020174063A1 (en) * | 2019-02-27 | 2020-09-03 | Universidad Rovira I Virgili (Urv) | Installable system for regular continual analysis of an individual's urine to determine the level of hydration of said individual |
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