JP2004174792A - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Takaaki Miyamoto
孝章 宮本
Shogo Ono
章吾 小野
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Abstract

【課題】本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関し、例えばサーマル方式によるインクジェット方式のプリンタに適用して、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができるようにする。
【解決手段】本発明は、液体に接する金属保護層を230度以上の基板温度で成膜し、又は230度以上の雰囲気に一定時間放置する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関し、例えばサーマル方式によるインクジェット方式のプリンタに適用することができる。本発明は、液体に接する金属保護層を230度以上の基板温度で成膜することにより、又は230度以上の雰囲気に一定時間放置することにより、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像処理等の分野において、ハードコピーのカラー化に対するニーズが高まってきている。このニーズに対して、従来、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式及び熱現像銀塩方式等のカラーコピー方式が提案されている。
【0003】
これらの方式のうちインクジェット方式は、液体吐出ヘッドであるプリンタヘッドに設けられたノズルから記録液(インク)の液滴を飛翔させ、記録対象に付着してドットを形成するものであり、簡易な構成により高画質の画像を出力することができる。このインクジェット方式は、ノズルからインク液滴を飛翔させる方法の相違により、静電引力方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)及びサーマル方式に分類される。
【0004】
これらの方式のうちサーマル方式は、インクの局所的な加熱により気泡を発生し、この気泡によりインクをノズルから押し出して印刷対象に飛翔させる方式であり、簡易な構成によりカラー画像を印刷することができるようになされている。
【0005】
すなわちこのサーマル方式によるプリンタは、いわゆるプリンタヘッドを用いて構成され、このプリンタヘッドは、インクを加熱する発熱素子、発熱素子を駆動するロジック集積回路による駆動回路等が半導体基板上に搭載される。これによりこの種のプリンタヘッドにおいては、発熱素子を高密度に配置して確実に駆動できるようになされている。
【0006】
すなわちこのサーマル方式のプリンタにおいて、高画質の印刷結果を得るためには、発熱素子を高密度で配置する必要がある。具体的に、例えば600〔DPI〕相当の印刷結果を得るためには、発熱素子を42.333〔μm〕間隔で配置することが必要になるが、このように高密度で配置した発熱素子に個別の駆動素子を配置することは極めて困難である。これによりプリンタヘッドでは、半導体基板上にスイッチングトランジスタ等を作成して集積回路技術により対応する発熱素子を接続し、さらには同様に半導体基板上に作成した駆動回路により各スイッチングトランジスタを駆動することにより、簡易かつ確実に各発熱素子を駆動できるようになされている。
【0007】
またサーマル方式によるプリンタにおいては、発熱素子による加熱によりインクに気泡が発生し、ノズルからインクが飛び出すと、この気泡が消滅する。これにより発砲、消砲の繰り返しによるキャビテーションによる機械的な衝撃を受ける。さらにプリンタは、発熱素子の発熱による温度上昇と温度下降とが、短時間〔数μ秒〕で繰り返され、これにより温度による大きなストレスを受ける。
【0008】
このためプリンタヘッドは、タンタル、窒化タンタル、タンタルアルミ等により発熱素子が形成され、この発熱素子上に窒化シリコン、炭化シリコン等による保護層が形成され、この保護層により耐熱性、絶縁性が向上され、また発熱素子とインクとの直接の接触を防止するようになされている。またこの保護層の上層に、キャビテーションによる機械的な衝撃を緩和して発熱素子を保護する保護層として耐キャビテーション層がタンタル等により形成されるようになされている。
【0009】
すなわち図11(A)は、この種の従来のプリンタヘッドにおける発熱素子近傍の構成を示す断面図である。プリンタヘッド1は、シリコン基板である半導体基板2にトランジスタ等が順次作成されて発熱素子を駆動する駆動回路が作成された後、シリコン酸化膜による層間絶縁膜3が形成され、タンタル(Ta)による発熱素子4が形成される。また窒化シリコン(Si )による保護層5が形成されてパターニングされた後、配線パターン6により発熱素子4の一端が駆動回路に接続され、また発熱素子4の他端が例えば電源ラインに接続される。プリンタヘッド1は、続いて窒化シリコンによる層間絶縁膜7が形成された後、正方晶構造によるタンタル(いわゆるβ−Taである)により耐キャビテーション層8が形成される。
【0010】
プリンタヘッド1は、シリコンウエハによりこれら発熱素子4等が作成され、各チップにインク液室、インク流路の隔壁が作成された後、ノズルが形成されてなるプレートが貼り付けられて作成されるようになされている。
【0011】
このようにして作成されてなるプリンタヘッド1においては、窒化シリコンによる保護層5、7、耐キャビテーション層8の厚みを厚くすると、その分、発熱素子4とインクとの間で充分な距離を確保することができることにより、信頼性を向上することができる。
【0012】
すなわちプリンタヘッドは、インク中にリチウム(Li)、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属が多く含まれている場合、インクのpHが9を越える場合、発熱素子4の発熱量が大きい等により耐キャビテーション層8の表面温度が異常に高温となる場合等にあっては、耐キャビテーション層8の酸化が進行し、さらに酸化したタンタルがインクに溶解する。これらのうちインク中にアルカリ金属が多く含まれている場合にあっては、耐キャビテーション層8を構成するタンタルの結晶粒の粒界にアルカリ金属が浸入することにより、これらの現象が発生することが確認された。またこれらのうち耐キャビテーション層8の表面温度が異常に高温となる場合として、特開2001−171126号公報には、表面温度が560度以上になると、耐キャビテーション層8において、酸化、溶解が著しくなることが報告されている。
【0013】
これによりプリンタヘッド1においては、このような場合、図11(B)に示すように、最も高温となる発熱素子4の中央部分を中心にして、耐キャビテーション層8の膜厚が徐々に薄くなり、ついには下層の窒化シリコンによる保護層5、7がインクに晒されるようになる。この保護層5、7を構成する窒化シリコンにあっては、耐キャビテーション層8に比して一段とインクに侵され易いことにより、このように保護層5、7がインクに晒されるようになると、図11(C)に示すように、プリンタヘッド1においては、発熱素子4にインクが直に接するようになり、これにより矢印A及びBにより示すように、発熱素子4がインクにより腐食されて断線したり、またインクを介して発熱素子4と配線パターン6とが短絡する等の事故が発生する。
【0014】
しかしながらこのような事故の発生防止を目的として、窒化シリコンによる保護層5、7、耐キャビテーション層8の厚みを厚くすると、発熱素子4からインクに効率良く熱伝導できなくなる。これによりプリンタヘッド1では、従来、窒化シリコンによる保護層5、7が全体として膜厚0.2〜0.6〔μm〕程度により作成され、耐キャビテーション層8が膜厚0.2〜0.3〔μm〕程度により作成されるようになされている。
【0015】
これに対して特開2001−105596号公報においては、耐キャビテーション層8をタンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金により作成して、インクに対する耐性を向上する方法が提案されるようになされている。また特開2002−113870号公報においては、β−タンタル層と、タンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金層とを積層して耐キャビテーション層8を作成することにより、インクに対する耐性を向上する方法が提案されるようになされている。これらの方法は、何れも、インクによる浸食の起点となる結晶粒界を減らすことにより、インクに対する耐性を向上するものである。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−171126号公報
【特許文献2】
特開2001−105596号公報
【特許文献3】
特開2002−113870号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで特開2001−105596号公報、特開2002−113870号公報にて使用が提案されているタンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金の構成部材のうち、鉄においては、半導体プロセスにおいて、極めて厳重な取り扱いを必要とする材料である。
【0018】
すなわち鉄においては、MOS(Metal Oxide Semiconductor )トランジスタのゲート酸化膜に混入すると、トランジスタの耐圧を著しく劣化させる。またCCD(Charge Coupled Device )撮像素子において、鉄は、白点の原因となる。
【0019】
またタンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金の構成材料である鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)は、ハロゲン化物が生成され難い材料であり、又はハロゲン化物の沸点温度が高い材料である。これによりタンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金層は、半導体プロセスで広く用いられているハロゲン化物ガス(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)を含むエッチングガス)を用いたドライエッチングによっては加工が困難で、結局、フッ化水素と硝酸を主成分としたエッチング液によるウェットエッチング法によらなければ加工し得ない。これによりプリンタヘッドの製造工程においては、タンタル−鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−クロム(Cr)合金層を耐キャビテーション層8に適用すると、ウェットエッチングとドライエッチングが混在することになる(特開2002−113870号公報)。
【0020】
これらにより特開2001−105596号公報、特開2002−113870号公報に提案されている方法においては、実用上未だ不十分な問題があった。
【0021】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができる液体吐出ヘッドの製造方法を提案しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱し、所定のノズルより液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法に適用して、発熱素子の液室側であって、液体に接する金属保護層を基板温度230度以上により成膜する。
【0023】
また請求項2の発明においては、発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱し、所定のノズルより液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法に適用して、発熱素子の液室側であって、液体に接する金属保護層を成膜する成膜工程と、大気に暴露することなく、成膜工程に続いて、金属保護層を温度230度以上の雰囲気に所定時間保持する熱処理工程とを有するようにする。
【0024】
請求項1の構成によれば、液体吐出ヘッドの製造方法に適用して、発熱素子の液室側であって、液体に接する金属保護層を基板温度230度以上により成膜することにより、結晶粒の大きな金属保護層を作成することができ、その分、金属保護層の浸食、溶解の起点となる結晶粒界を少なくすることができ、その分、インク等の処理対象の液体に対して耐性を向上することができる。またこのようにして作成する場合にあっては、タンタル等の半導体製造プロセスに好適な材料を金属保護層に適用して結晶粒の大きな金属保護層を作成することができ、また単に従来に比して成膜時の基板温度を高くするだけで、液体に対する耐性を向上することができ、これにより簡易に液体に対する耐性を向上することができる。
【0025】
また請求項2の構成によれば、液体吐出ヘッドの製造方法に適用して、発熱素子の液室側であって、液体に接する金属保護層を成膜する成膜工程と、大気に暴露することなく、成膜工程に続いて、金属保護層を温度230度以上の雰囲気に所定時間保持する熱処理工程とを有することにより、成膜工程に続く熱処理工程により、結晶粒を成長させて、結晶粒の大きな金属保護層を作成することができ、その分、金属保護層の浸食、溶解の起点となる結晶粒界を少なくすることができ、その分、インク等の処理対象の液体に対して耐性を向上することができる。またこのようにして作成する場合にあっては、タンタル等の半導体製造プロセスに好適な材料を金属保護層に適用して結晶粒の大きな金属保護層を作成することができ、また単に従来に比して成膜時の基板温度を高くするだけで、液体に対する耐性を向上することができ、これにより簡易に液体に対する耐性を向上することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0027】
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態の構成
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るプリンタに適用されるプリンタヘッドを示す断面図である。プリンタヘッド11は、インクに接する金属保護層である耐キャビテーション層41が230度以上の基板温度で成膜される。
【0028】
すなわち図3(A)に示すように、プリンタヘッド11は、ウエハによるシリコン基板15が洗浄された後、シリコン窒化膜(Si )が堆積される。続いてプリンタヘッド11は、リソグラフィー工程、リアクティブエッチング工程によりシリコン基板15が処理され、これによりトランジスタを形成する所定領域以外の領域よりシリコン窒化膜が取り除かれる。これらによりプリンタヘッド11には、シリコン基板15上のトランジスタを形成する領域にシリコン窒化膜が形成される。
【0029】
続いてプリンタヘッド11は、熱酸化工程によりシリコン窒化膜が除去されている領域に熱シリコン酸化膜が形成され、この熱シリコン酸化膜によりトランジスタを分離するための素子分離領域(LOCOS: Local Oxidation Of Silicon )16が膜厚500〔nm〕により形成される。なおこの素子分離領域16は、その後の処理により最終的に膜厚260〔nm〕に形成される。さらに続いてプリンタヘッド11は、シリコン基板15が洗浄された後、トランジスタ形成領域にタングステンシリサイド/ポリシリコン/熱酸化膜構造のゲートが作成される。さらにソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板15が処理され、MOS(Metal−Oxide−Semiconductor )型によるトランジスタ17、18等が作成される。なおここでトランジスタ17は、25〔V〕程度の耐圧を有するMOS型ドライバートランジスタであり、発熱素子の駆動に供するものである。これに対してトランジスタ18は、このドライバートランジスタを制御する集積回路を構成するトランジスタであり、5〔V〕の電圧により動作するものである。なおこの実施の形態においては、ゲート/ドレイン間に低濃度の拡散層が形成され、その部分で加速される電子の電解を緩和することで耐圧を確保してドライバートランジスタ17が形成されるようになされている。
【0030】
このようにしてシリコン基板15上に、半導体素子であるトランジスタ17、18が作成されると、プリンタヘッド11は、続いてCVD(Chemical Vapor Deposition )法によりリンが添加されたシリコン酸化膜であるPSG(Phosphorus Silicate Glass )膜、ボロンとリンが添加されたシリコン酸化膜であるBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass )膜19が順次膜厚100〔nm〕、500〔nm〕により作成され、これにより全体として膜厚が600〔nm〕による1層目の層間絶縁膜が作成される。
【0031】
続いてフォトリソグラフィー工程の後、C /CO/O /Ar系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によりシリコン半導体拡散層(ソース・ドレイン)上にコンタクトホール20が作成される。
【0032】
さらにプリンタヘッド11は、希フッ酸により洗浄された後、スパッタリング法により、膜厚30〔nm〕によるチタン、膜厚70〔nm〕による窒化酸化チタンのバリアメタル、膜厚30〔nm〕によるチタン、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム、または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニュームが膜厚500〔nm〕により順次堆積される。続いてプリンタヘッド11は、反射防止膜である窒化酸化チタン(TiON)が膜厚25〔nm〕により堆積され、これらにより配線パターン材料が成膜される。さらに続いてプリンタヘッド11は、フォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程により、成膜された配線パターン材料が選択的に除去され、1層目の配線パターン21が作成される。プリンタヘッド11は、このようにして作成された1層目の配線パターン21により、駆動回路を構成するMOS型トランジスタ18を接続してロジック集積回路が形成される。
【0033】
続いてプリンタヘッド11は、TEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC )を原料ガスとしたCVD法により層間絶縁膜であるシリコン酸化膜19が堆積される。続いてプリンタヘッド11は、SOG(Spin On Glass )を含む塗布型シリコン酸化膜の塗布とフッ素系ガスを用いたエッチバックとにより、シリコン酸化膜19が平坦化され、これらの工程が2回繰り返されて1層目の配線パターン21と続く2層目の配線パターンとを絶縁する膜厚440〔nm〕のシリコン酸化膜による2層目の層間絶縁膜22が形成される。
【0034】
続いて図3(B)に示すように、プリンタヘッド11は、スパッタリング法によりタンタル膜が堆積され、これによりシリコン基板15上に抵抗体膜が形成される。ここでこの抵抗体膜においては、DCマグネトロンスパッタリング装置のスパッタ成膜チェンバーにウエハを搭載し、タンタルをターゲットに設定したアルゴン(Ar)ガス雰囲気によりグロー放電を発生させてスパッタリングにより作成した。基板加熱温度は200度、直流印加電力は2〜4〔kw〕、アルゴンガスの流量は25〔sccm〕により一定とした。
【0035】
さらに続いてプリンタヘッド11は、フォトリソグラフィー工程、BCl /Cl ガスを用いたドライエッチング工程により、余剰なタンタル膜が除去され、発熱素子12が作成される。なおこの実施の形態においては、膜厚83〔nm〕によるタンタル膜が堆積され、また折り返し形状により発熱素子12が形成され、これにより発熱素子12の抵抗値が100〔Ω〕となるようになされている。なおタンタル膜の膜厚を50〔nm〕として、発熱素子12と長手方向の寸法が同一である正方形形状により発熱素子を作成することにより、抵抗値が40〔Ω〕の発熱素子を作成することもできる。
【0036】
続いて図4(C)に示すように、プリンタヘッド11は、CVD法により膜厚300〔nm〕によるシリコン窒化膜が堆積され、発熱素子12の絶縁被覆層13が形成される。続いて図4(D)に示すように、フォトリソグラフィー工程、CHF /CF /Arガスを用いたドライエッチング工程により、所定箇所のシリコン窒化膜が除去され、これにより発熱素子12を配線パターンに接続する部位が露出され、さらに層間絶縁膜22に開口を形成してビアホール23が作成される。
【0037】
さらに図5(E)に示すように、プリンタヘッド11は、スパッタリング法により、膜厚200〔nm〕によるチタン、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム、または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニュームが膜厚600〔nm〕により順次堆積される。続いてプリンタヘッド11は、膜厚25〔nm〕による窒化酸化チタンが堆積され、これにより反射防止膜が形成される。これらによりプリンタヘッド11は、配線パターン材料24が成膜される。
【0038】
続いて図5(F)に示すように、フォトリソグラフィー工程、BCl /Cl ガスを用いたドライエッチング工程により、配線パターン材料24が選択的に除去され、2層目の配線パターン25が作成される。プリンタヘッド11は、この2層目の配線パターン25により、電源用の配線パターン、アース用の配線パターンが作成され、またドライバートランジスタ17を発熱素子12に接続する配線パターンが作成される。ここで発熱素子12の上層に取り残された絶縁被覆層13にあっては、この配線パターン作成の際のエッチング工程において、発熱素子12の保護層として機能するようになされている。
【0039】
続いて図6(G)に示すように、プリンタヘッド11は、プラズマCVD法により膜厚400〔nm〕によるシリコン窒化膜が堆積され、これにより発熱素子12の上層に絶縁被覆層13、14が形成される。
【0040】
プリンタヘッド11は、続いて熱処理炉において、4%の水素を添加した窒素ガスの雰囲気中で、又は100%の窒素ガス雰囲気中で、400度、60分間の熱処理が実施される。これによりプリンタヘッド11は、トランジスタ17、18の動作が安定化され、さらに1層目の配線パターン21と2層目の配線パターン25との接続が安定化されてコンタクト抵抗が低減される。
【0041】
プリンタヘッド11は、図7に示すように、続いてスパッタリング法によりタンタルによる耐キャビテーション層41の材料膜40が膜厚200〔nm〕により成膜される。この実施の形態において、この耐キャビテーション層41の材料膜40においては、いわゆる高温スパッタリング装置によるDCマグネトロンスパッタリング装置の高温スパッタ成膜チェンバーにウエハを搭載し、タンタルをターゲットに設定したアルゴン(Ar)ガス雰囲気によりグロー放電を発生させてスパッタリングにより作成した。基板加熱温度は230度以上の300〜400度、直流印加電力は2〜4〔kw〕、アルゴンガスの流量は15〜40〔sccm〕とした。
【0042】
これらによりこの実施の形態では、従来に比して基板温度を高温にして耐キャビテーション層41を作成し、耐キャビテーション層41の結晶粒界を少なくするようになされている。
【0043】
すなわち従来、この種の処理対象の液体と接する金属保護層においては、スパッタリング法にて形成され、例えば特開2001−105596号公報、特開2001−171127号公報に開示されているように、基板温度は200度以下に設定されるようになされている。
【0044】
このような基板温度の設定について、種々に実験したところ、図1に示すような結果を得ることができた。ここで図1において、符号L1により示す特性曲線上のプロットは、各基板温度でタンタルによる耐キャビテーション層41を成膜した際におけるX線回折スペクトル強度を示すものであり、この場合β−Ta(002)配向のスペクトル強度を示すものである。この測定結果によれば、基板温度30〜200度の範囲では、β−Ta(002)配向のスペクトル強度に殆ど差が見られないのに対し、基板温度300度による場合には、スペクトル強度が1.5倍に増大した。これにより基板温度300度により成膜して、β−Taの結晶粒が大きく成長していることを見てとることができる。
【0045】
またX線回折スペクトルの半値幅(黒塗りの四角により示すプロット)の測定結果によっても、基板温度300度により成膜して、β−Taの結晶粒が大きく成長していることが確認された。なおX線回折スペクトルの半値幅と結晶粒径との間には、結晶粒径∝1/半値幅の関係があり、これによりX線回折スペクトルの半値幅から結晶粒径の相対的な変化を観察することができる。
【0046】
特性曲線L1は、このようにして得られた測定結果を近似曲線により表した特性曲線であり、この特性曲線L1によれば、概ね基板温度230度以上により耐キャビテーション層41を成膜して、従来の基板温度により耐キャビテーション層41を成膜する場合に比して、結晶粒を大きくし得ることが判る。なおこの点については、別途、追試により確認した。
【0047】
図8(A)及び(B)に結晶粒が小さい場合と大きい場合とを対比して示すように、このように結晶粒が大きくなると、その分、インクによる浸食、溶解の起点となる粒界を少なくすることができ、これによりインクに対する耐性を向上することができる。
【0048】
図9は、膜厚100〔nm〕によりそれぞれ基板温度30度及び300度で作成した耐キャビテーション層について、大気に一度晒した後、400度、1時間の窒素雰囲気中で熱処理した後の抵抗値の変化を示す図表である。このように1度大気に晒すと、耐キャビテーション層においては、大気中の酸素を巻き込み、続く熱処理において、この酸素により酸化される。しかして基板温度30度による耐キャビテーション層においては、このような酸化により抵抗値が68.4〔%〕も変化しているのに対し、基板温度300度による耐キャビテーション層においては、このような酸化により抵抗値が23.2〔%〕しか変化していないことが確認された。これにより基板温度300度による耐キャビテーション層によれば、大気に晒した際に巻き込む酸素量、すなわち膜中に侵入する酸素の量を格段的に少なくし得ることが判り、これによってもこのような酸素の侵入路である粒界を少なくし得ることが確認された。なお耐キャビテーション層の酸化については、オージェ電子分光法から、基板温度30度による耐キャビテーション層においては、基板温度300度による耐キャビテーション層に比して、膜中の深い部分まで酸化されていることが確認された。
【0049】
なお通常のスパッタリング装置においては、このように基板温度を高く設定することが困難なものの、高温スパッタリング装置においては、500度程度まで基板温度を設定することができる。このような高温スパッタリング装置は、例えばサリサイド技術(Self Aligned Silicidation :自己整合的シリサイド化)に適用され、チタン(Ti)、コバルト(Co)等を400度、450度程度の温度で成膜し、MOSトランジスタのソースドレイン領域をこれらの金属によりシリサイド(金属とシリコンの化合物)化させ、これによりソースドレイン領域の抵抗を低減してMOSトランジスタの動作スピードを向上させるようになされている。
【0050】
このようにして耐キャビテーション層41の材料膜40を成膜すると、プリンタヘッド11は、大気に暴露することなく、この材料膜40を温度230度以上の雰囲気に所定時間保持し、この材料膜40が熱処理される。この実施の形態では、この熱処理が、温度300〜500度の範囲で、アルゴンガス雰囲気中のRTA(Rapid Thermal Annealing )処理により120秒間実施されるようになされている。これによりこの実施の形態では、さらに結晶粒を成長させて、一段と粒界を少なくするようになされている。
【0051】
なおこの熱処理においては、高温スパッタ装置に設けられた熱処理チェンバーにより実施した。すなわちサリサイド技術においては、チタン(Ti)、コバルト(Co)等を成膜した後、大気に晒すことなく熱処理することにより、このようなサリサイド技術に適用される高温スパッタ装置においては、スパッタ室と熱処理チェンバーとが搬送室により接続され、スパッタ処理した後、大気に暴露することなく熱処理チェンバーにウエハを搬送して熱処理できるようになされている。この実施の形態においては、このようなサリサイド技術に係る処理と同様に、スパッタリングにより成膜した後、搬送室を介して熱処理チェンバーにウエハを搬送して熱処理することにより、大気(酸素)に晒すことなく熱処理するようになされている。
【0052】
なおこれら材料膜40の成膜、熱処理においては、ウエハが高温に保持されることにより、下地の窒化シリコン層に熱応力が加わり、この応力によるクラックの発生が憂慮される。しかしながら、成膜工程に要する時間は、5分以下であり、また熱処理においても、3分以下の短い時間であることにより、クラックの発生については、充分に防止することができる。
【0053】
続いて図10(H)に示すように、プリンタヘッド11は、フォトレジスト工程、BCl /Cl ガスを用いたドライエッチング工程により、耐キャビテーション層41の材料膜40が所定形状にエッチング処理され、これにより耐キャビテーション層41が形成される。
【0054】
プリンタヘッド11は(図2)、有機系樹脂によるドライフィルム42が圧着により配置された後(図2)、インク液室、インク流路に対応する部位が取り除かれ、その後硬化され、これによりインク液室45の隔壁、インク流路の隔壁等が作成される。
【0055】
また続いて各チップにスクライビングされた後、オリフィスプレート43が積層される。ここでオリフィスプレート43は、発熱素子12の上に微小なインク吐出口であるノズル44を形成するように所定形状に加工された板状部材であり、接着によりドライフィルム42上に保持される。これによりプリンタヘッド11は、ノズル44、インク液室45、このインク液室45にインクを導くインク流路等が形成されて作成される。
【0056】
プリンタヘッド11は、このようなインク液室45が紙面の奥行き方向に連続するように形成され、これによりラインヘッドを構成するようになされている。
【0057】
(1−2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、プリンタヘッド11は、半導体基板であるシリコン基板15に素子分離領域16が作成されて半導体素子であるトランジスタ17、18が作成され、絶縁層19により絶縁されて1層目の配線パターン21が作成される。また続いて絶縁層22、発熱素子12が作成された後、1層目の絶縁被覆層13、2層目の配線パターン25が作成される。さらに2層目の絶縁被覆層14が作成された後、熱処理により配線パターン間、配線パターンと発熱素子等との間の接続が安定化され、耐キャビテーション層41、インク液室45、ノズル44が順次形成されて作成される(図2〜図7、図10)。
【0058】
このプリンタは、このようにして作成されたプリンタヘッド11のインク液室45にインクが導かれ、トランジスタ17、18による発熱素子12の駆動により、インク液室45に保持したインクが加熱されて気泡が発生し、この気泡によりインク液室45内の圧力が急激に増大する。プリンタでは、この圧力の増大によりインク液室45のインクがノズル44からインク液滴として飛び出し、このインク液滴が対象物である用紙等に付着する。
【0059】
プリンタでは、このような発熱素子の駆動が間欠的に繰り返され、これにより所望の画像等が対象物に印刷される。またプリンタヘッド11においては、この発熱素子12の間欠的な駆動により、インク液室45内において、気泡の発生、気泡の消滅が繰り返され、これにより機械的な衝撃であるキャビテーションが発生する。プリンタヘッド11では、このキャビテーションによる機械的な衝撃が耐キャビテーション層41により緩和され、これにより耐キャビテーション層41により発熱素子12が保護される。また耐キャビテーション層41、絶縁被覆層13、14により発熱素子12へのインクの直接の接触が防止され、これによっても発熱素子12が保護される。
【0060】
プリンタでは、このようにして動作するにつき、インクに直接接して発熱素子12により繰り返し加熱される耐キャビテーション層41が、基板温度300度に保持されて成膜された後、続いて大気に晒されることなく、温度300〜500度の範囲で熱処理され、これにより充分に大きな結晶粒により成膜された後、パターニングされる。
【0061】
これにより耐キャビテーション層41においては、インクによる浸食、溶解の起点となる結晶粒界が少なくなるように形成され、発熱素子12により繰り返し加熱された場合でも、酸化、溶解の進行が防止される。これによりこのプリンタヘッド11においては、インク等に対して耐性を向上することができる。
【0062】
またこのようにして作成する場合にあっては、タンタル等の半導体製造プロセスに好適な材料を金属保護層に適用して結晶粒の大きな金属保護層を作成することができ、例えば鉄を用いる場合のような厳重な管理を施すことなく、半導体製造プロセスに適用することができる。また単に従来に比して成膜時の基板温度を高くするだけで、インクに対する耐性を向上することができ、これにより簡易に液体に対する耐性を向上することができる。
【0063】
(1−3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、インクに接する金属保護層を230度以上の基板温度で成膜することにより、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができる。
【0064】
(2)第2の実施の形態
この実施の形態においては、従来と同様の基板温度により耐キャビテーション層の材料膜を成膜した後、大気に晒すことなく、続いて温度230度以上により熱処理し、これにより結晶粒を成長させ、粒界の少ない耐キャビテーション層を生成する。なおこの実施の形態においては、この耐キャビテーション層の材料膜の作成工程が異なる点を除いて、第1の実施の形態と同一に構成される。またこの熱処理においても、第1の実施の形態と同一の条件により実施される。
【0065】
この実施の形態のように、基板温度230度以上による成膜に代えて、温度230度以上の雰囲気に一定時間放置して熱処理するようにしても、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができる。
【0066】
(3)他の実施の形態
なお上述の第1の実施の形態においては、基板温度230度以上により耐キャビテーション層の材料膜を成膜した後、大気に晒すことなく、続いて温度230度以上により熱処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上充分にインクに対する耐性を確保できる場合、熱処理を省略するようにしてもよい。
【0067】
また上述の実施の形態においては、タンタルにより耐キャビテーション層を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、TaAl、TaAlN、TaN、W、WN、WAlN等によりこの種の金属保護層を作成する場合に広く適用することができる。
【0068】
また上述の実施の形態においては、本発明をプリンタヘッドに適用してインク液滴を飛び出させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液滴に代えて各種染料の液滴、保護層形成用の液滴等であるプリンタヘッド、さらには液滴が試薬等であるマイクロディスペンサー、各種測定装置、各種試験装置、液滴がエッチングより部材を保護する薬剤である各種のパターン描画装置等に広く適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、液体に接する金属保護層を230度以上の基板温度で成膜することにより、又は230度以上の雰囲気に一定時間放置することにより、半導体製造プロセスに好適で、かつ処理対象の液体に対する耐性を簡易に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る耐キャビテーション層の説明に供する特性曲線図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプリンタヘッドを示す断面図である。
【図3】図2のプリンタヘッドの作成工程の説明に供する断面図である。
【図4】図3の続きを示す断面図である。
【図5】図4の続きを示す断面図である。
【図6】図5の続きを示す断面図である。
【図7】図6の続きを示す断面図である。
【図8】結晶粒と粒界の説明に供する模式図である。
【図9】巻き込み酸素酸化による抵抗値の変化を示す図表である。
【図10】図7の続きを示す断面図である。
【図11】耐キャビテーション層の酸化、溶解の説明に供する断面図である。
【符号の説明】
1、11……プリンタヘッド、2、15……シリコン基板、3、19、22……層間絶縁膜、4、12……発熱素子、5、7、13、14……保護層、6、21、25……配線パターン8、41……耐キャビテーション層、17、18……トランジスタ

Claims (2)

  1. 発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱し、所定のノズルより前記液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記発熱素子の前記液室側であって、前記液体に接する金属保護層を基板温度230度以上により成膜する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱し、所定のノズルより前記液体の液滴を飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記発熱素子の前記液室側であって、前記液体に接する金属保護層を成膜する成膜工程と、
    大気に暴露することなく、前記成膜工程に続いて、前記金属保護層を温度230度以上の雰囲気に所定時間保持する熱処理工程とを有する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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