JP2004175228A - 車両フロントアンダーランプロテクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】プロテクタ自体の圧壊強度を鋼製プロテクタ並に高め、しかも鋼製プロテクタに比して軽量化効果が高いアルミニウム合金製車両フロントアンダーランプロテクタを提供することを目的とする。
【解決手段】断面形状が矩形であるアルミニウム合金中空材2 からなり、この矩形中空断面を構成する横壁部4a、4bの厚みを4 〜8mm とするとともに、この横壁部4a、4bの厚みを矩形中空断面を構成する縦壁部3a、3bの厚みよりも厚くしたことである。
【選択図】 図1
【解決手段】断面形状が矩形であるアルミニウム合金中空材2 からなり、この矩形中空断面を構成する横壁部4a、4bの厚みを4 〜8mm とするとともに、この横壁部4a、4bの厚みを矩形中空断面を構成する縦壁部3a、3bの厚みよりも厚くしたことである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両衝突時の荷重に対する圧壊強度が優れた車両フロントアンダーランプロテクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラックなどの車両と乗用車との正面衝突時に、トラックのフロント (前面側) バンパの下側に乗用車が滑り込むことを防止して、乗員の安全性を確保するために、フロントバンパの下側には、フロントアンダーランプロテクタ (車両のもぐりこみ防止装置、以下、単にプロテクタとも言う) が配置されている。
【0003】
このトラック用のプロテクタの構造は、基本的に、断面が口形などの矩形断面形状であって、この断面形状がその長手方向(軸方向)に渡って延在する中空材からなる。そして、トラックフロントバンパの下側に、車体幅方向で略水平方向に延在するように配置される。
【0004】
前記トラックなどの車両と乗用車との正面衝突時には、プロテクタに5 〜20トンにも及ぶ局所的な衝突荷重がかかる。したがって、プロテクタには、この衝突荷重( 横方向の荷重) に耐える圧壊強度が必要とされる。このため、これまでは強度の高いハイテンなどの鋼製のプロテクタが主として使用されている。
【0005】
因みに、他の乗用車の車体衝突時のバンパにかかる衝突荷重は、バリア衝突のような全面衝突時には10〜15トン程度である。しかし、トラックなどの上記局所的な衝突荷重に直せば、5 〜6 トン程度で、トラック用プロテクタの上記局所的な衝突荷重や必要とされる圧壊強度に比して著しく軽度となる。
【0006】
プロテクタの装置としての強度を高めるため、従来から、プロテクタを支持するブラケット (車体フレーム先端部に取り付けられる) などのプロテクタ支持構造を補強することが種々提案されている(例えば特許文献1 参照) 。また、ブラケットとプロテクタとの間にFRP 製の筒状の衝撃エネルギー吸収装置を設けることも提案されている(特許文献2 参照) 。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−302000 号(1〜2 頁、図1)
【特許文献2】
特開2000−296743 号(1〜2 頁、図1)
【0008】
近年、トラックの車体軽量化のために、これらプロテクタにも、従来使用されていた鋼材に代わって、アルミニウム合金押出中空形材などの使用が検討され始めている。
【0009】
しかし、前記特許文献1 、2 など、従来から提案されているプロテクタの支持構造の補強は、圧壊強度が高い鋼製プロテクタの使用を前提としている。このため、鋼製プロテクタに比して圧壊強度が不足するアルミニウム合金製プロテクタでは、これらプロテクタの支持構造を補強しても、鋼製プロテクタと同じ矩形断面形状とする限り、プロテクタ装置としての圧壊強度を高めることにはならない。
【0010】
アルミニウム合金製プロテクタを、鋼製プロテクタと同じ矩形断面形状として設計した場合、前記大きな衝突荷重に対する圧壊強度が不足する。一方、圧壊強度を増すために、アルミニウム合金製プロテクタの肉厚 (矩形断面を構成する壁部の肉厚) を大きくした場合、プロテクタの重量が増加して、鋼製プロテクタに対する軽量化効果が失われる。
【0011】
これに対し、例えば、プロテクタをアルミ押出成形材として、プロテクタの軸方向に数多くの貫通穴 (角穴) を形成し、車幅方向と直交する断面が数多くの穴を持つようにすることが開示されている(特許文献3 参照) 。この特許文献3 では、衝突荷重時に、この穴を圧壊させることにより衝突エネルギーを吸収させ、中実材に比して、設ける穴の分だけ軽量化を図りながら、口形などの矩形中空断面形状に比して、圧壊強度を高めることを目的としている。
【0012】
【特許文献3】
特開2000−272444 号(1〜2 頁、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献3 は、中実材に比しては、確かに、軽量化を図れるものの、その目的としている、口形などの矩形中空断面形状に比して、軽量化を図りながら、圧壊強度を高めることができない。この結果、アルミニウム合金製プロテクタとして、鋼製プロテクタに代わって、実用化するのは困難である。
【0014】
即ち、特許文献3 のように多数の穴を設けて、口形などの矩形中空断面形状並に軽量化を図るためには、余程大きな穴か、あるいは余程多数の穴を設ける必要がある。しかし、この場合には、必然的に穴を構成する多数の壁の一枚一枚当たりの厚みが薄くなる。ここで、特許文献3 は穴を構成する多数の壁があるがゆえに、アルミニウム合金製の形材を想定した場合、横方向の圧壊強度としては、口形などの矩形中空断面形状よりも、一枚一枚当たりの壁の厚みが薄くなり、却って不利となる。このため、口形などの矩形中空断面形状以上に圧壊強度を高めることができず、逆に、口形などの矩形中空断面形状よりも圧壊強度が低くなる場合もある。
【0015】
一方、これに対して、圧壊強度を高めるためには、必然的に穴を構成する多数の壁の厚みを厚くする以外になく、ここでも、穴を構成する多数の壁があるがゆえに、厚みを厚くする壁の数が多くなり、軽量化が犠牲になって却って不利となり、中実材に比しての軽量化効果が薄くなる。
【0016】
このようにアルミニウム合金製プロテクタでは、軽量化と高圧壊強度化が難しいため、鋼製プロテクタに代わって実用化するのは、これまで困難であった。
【0017】
したがって、本発明の目的は、プロテクタ自体の圧壊強度を鋼製プロテクタ並に高め、しかも鋼製プロテクタに比して軽量化効果が高いアルミニウム合金製車両フロントアンダーランプロテクタを提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明車両フロントアンダーランプロテクタの要旨は、断面形状が矩形であるアルミニウム合金中空材からなり、この矩形中空断面を構成する横壁部の厚みを4 〜8mm とするとともに、この横壁部の厚みを矩形中空断面を構成する縦壁部の厚みよりも厚くしたことである。なお、ここで、上記横壁部か縦壁部かの区別は、プロテクタの使用態様 (車体幅方向で略水平方向に延在するように配置される場合) を想定した矩形中空断面配置状態によってなされる。
【0019】
プロテクタにおいて、鋼製プロテクタに限らず、通常は、プロテクタ中空材の矩形断面を構成する横壁部や縦壁部は概ね同じ肉厚とされる。これに対して、本発明では、先ず、中空材の矩形断面形状を構成する横壁部の厚みを4 〜8mm とする。このように、本発明では、鋼製プロテクタの通常使用される壁部厚み3 〜4 mmよりも、また、矩形中空断面を構成する縦壁部の厚みよりも、横壁部の厚みを若干厚くして、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、例えば、一つの具体的な目安として、現在使用されている、普通鋼製の断面略正方形のプロテクタ (壁部厚み3 〜4 mm、各壁部長さ60〜100mm)並に高める。
【0020】
一方、縦壁部の厚みを横壁部よりも薄くして (横壁部の厚みを縦壁部の厚みよりも厚くして) 、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高める。この際、縦壁部の厚みは、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、上記鋼製プロテクタ並に保証できる以上の厚さとし、それ以上薄くしない。
【0021】
アルミニウム合金プロテクタの横壁部は、トラック衝突時の5 〜20トンにも及ぶ前記衝突荷重 (横方向の荷重) 方向に対し平行である。このため、この大荷重に対しての圧壊強度への寄与度は、縦壁部よりも高い。このため、本発明では、この圧壊強度への寄与度が高い横壁部の厚みを比較的厚くする。そして、これによって、高めたアルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を上記鋼製プロテクタ並以下に下げないように、縦壁部の厚みを横壁部よりも薄くすることができ、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高めることもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明アルミニウム合金プロテクタの実施の形態について具体的に説明する。図1(a)、(b) は、本発明アルミニウム合金プロテクタの一態様を各々示す斜視図である。
【0023】
先ず、図1 (a) において、アルミニウム合金プロテクタ1aは、略正方形の矩形断面形状を有するアルミニウム合金押出中空形材2 からなる。7 は中空形材2 の中空部、4a、4bは略正方形の断面を構成する二つの横壁(横壁部とも言う)、3a、3bは略正方形の断面を構成する二つの縦壁(縦壁部とも言う)である。各横壁4a、4b同士、各縦壁3a、3b同士は互いに略平行に配置されるとともに、各横壁と各縦壁同士は互いに略直角に交わる。
【0024】
図1(a)、(b) の態様において、プロテクタ1a (中空形材2)は、車体衝突時の図の左側からの荷重方向 (横方向、矢印F)に対し、略直角方向に延在するように略水平配置されて使用される。
【0025】
図1 (a) の態様では、プロテクタ1a (中空形材2)は、軸方向に延在する直線的な中央部6 を有するとともに、軸方向 (長手方向) の両端部5a、5bが、車両後方(図の右側) に向かって湾曲している。
【0026】
図1 (b) のプロテクタ1bは、上記図1 (a) のプロテクタ1aのような両端の湾曲部5a、5bが無く、軸方向に直線的となっている以外は、プロテクタ1aと同じ構造、形状である。このようなプロテクタの軸方向乃至長手方向の形状は、トラックのフロント車体設計に応じて、適宜選択される。
【0027】
上記図1 (a) のプロテクタ1aのような両端の湾曲部5a、5bは、図1 (b) のような直線的な中空形材2 をアルミニウム合金の熱間押出加工によって得た後、この中空形材2 の両端を曲げ加工することによって、中空形材と一体に、しかも簡便に得ることができる。したがって、本発明アルミニウム合金プロテクタは、所望の曲げ角度や長さの両端の湾曲部を、トラックのフロント車体設計に応じて、一体的に形成できる利点がある。
【0028】
因みに、鋼はこのような中空形材を押出加工することができず、鋼製プロテクタを得るためには、鋼板を中空状に成形加工後に溶接乃至機械的な接合で中空材化するか、コの字状に成形した2 個の部品を対向して突き合わせて、溶接乃至機械的な接合で中空材化する。このように、中空状鋼製プロテクタを得るためには上記溶接等の手段を用いないと一体には形成できず、上記両端の湾曲部5a、5bも製作しにくい。
【0029】
以下に、本発明アルミニウム合金プロテクタの断面形状について説明する。
ここで、図1(a)、(b) の本発明アルミニウム合金プロテクタ1a、1bにおいて、縦壁部3a、3b(3a が前面側縦壁、3bが後面側縦壁) の各厚みをt f 、各長さを Lf および横壁部4a、4b(4a が上側横壁、4bが下側横壁) の各厚みをt w 、各長さをL wとし、プロテクタ (中空形材2)の長さをL とする。
【0030】
本発明では、本発明プロテクタと断面形状が類似の、乗用車用のバンパ補強材に通常用いられる、0.2%耐力が300MPa以上の高強度7000系アルミニウム合金だけではなく、0.2%耐力が250MPa以下である、6063などの汎用6000系アルミニウム合金などをプロテクタに用いることも重要な目的としている。
【0031】
勿論、本発明において、プロテクタを高圧壊強度化するために、高強度な7000系アルミニウム合金を用いても良い。7000系アルミニウム合金を用いれば、プロテクタ (中空材) を構成する各壁部のより薄肉化による、軽量化も図れる等の利点がある。ただ、この7000系は、高強度であるがゆえに、6000系アルミニウム合金などに比して、厚肉化するほど押出加工などの生産性が劣り、高強度化のための調質処理( 熱処理) が煩雑であるなどの中空材製造上の問題がある。このためプロテクタに、6000系アルミニウム合金なども用いることができれば、このような問題が解消される。
【0032】
ただ、0.2%耐力が250MPa以下である、これら6000系などのアルミニウム合金を用いる場合、より高強度な7000系アルミニウム合金を用いる場合に比して、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高め、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高めることは、格段に難しい課題となる。
【0033】
これに対し、本発明では、プロテクタの矩形中空断面を構成する各横壁部4a、4bの厚みt w を4 〜8mm とするとともに、この各横壁部4a、4bの厚みt w を、各縦壁部3a、3bの厚みt f よりも厚くしたことで解決している。これによって、高強度7000系アルミニウム合金だけでなく、0.2%耐力が250MPa以下の低強度の6000系などのアルミニウム合金を用いた場合でも、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高め、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高める課題を解決している。
【0034】
各横壁部の厚みt w が4mm 以下では、鋼製プロテクタの通常使用される壁部厚み3 〜4 mmよりも薄くなり、トラック衝突時の前記大荷重に対しての圧壊強度への寄与度が高い横壁部の厚みt w が不足し、普通鋼製プロテクタ並の強度が得られない。一方、各横壁部の厚みt w が8mm 以上では、重量が増加し、鋼製プロテクタに対する軽量化効果がなくなる。
【0035】
一方、各縦壁部3a、3bの厚みt f は、横壁部の厚みt w で主として定まるアルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、上記鋼製プロテクタ並に保証できる以上の厚さとし、軽量化するために、横壁部の厚みt w よりも薄くする。各横壁部の厚みt w が4 〜8mm であるので、各縦壁部の好ましい厚みt f の範囲は3 〜6mm である。これを、t f とt w との両者の関係で言うと、t f /t wを0.3 〜0.7 とすることが好ましい。t f /t wが0.3 未満ではt f が薄くなり過ぎて圧壊強度が低下するか、t w が厚くなり過ぎて軽量化効果が出ない可能性がある。一方、t f /t wが0.7 を越えては、横壁部と縦壁部との厚みが同じ従来技術に近くなり、圧壊強度を高められない可能性がある。
【0036】
なお、二つの横壁部4a、4bの厚みt w 、二つの縦壁部3a、3bの厚みt f は、横壁部同士、縦壁部同士で、図1 のプロテクタのように、必ずしも同じとする必要は無い。例えば、下側の横壁部4aを上側の横壁部4bよりも厚くする、前面側の縦壁部3aを後面側の縦壁部3bよりも厚くするなど、上記範囲で、横壁部同士、縦壁部同士の互いの厚みを変えても良い。中空形材2 をアルミニウム合金の熱間押出加工によって得る場合、このように互いの壁の厚みが異なる中空形材2 を自由に、かつ簡便に得やすいという利点もある。
【0037】
本発明プロテクタの矩形 (四角形) 中空断面の形状は、0.2%耐力が250MPa以下の低強度の6000系などのアルミニウム合金を用いた場合でも、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高めるためには、正方形形状であることが最も好ましい。前記横壁部の厚みt w の圧壊強度向上効果は、各横壁部の長さL w が、各縦壁部の長さ L fと同じ正方形形状の場合に、最大に発揮される。したがって、L w がL f に対し、長過ぎても、短過ぎても、言い換えると、縦に長い、あるいは横に長い長方形となるほど、前記横壁部の厚みt w の圧壊強度向上効果が低下する。ただ厳密に正方形形状である必要は無く、正方形に近ければ、この効果は変わらない。この効果が変わらない範囲は、概ね L f /L w が0.8 〜1.2 の範囲である。
【0038】
また、この範囲で、横壁部同士、縦壁部同士で、必ずしも互いの長さL w 、 fを同じとする必要は無く、上記範囲で互いの長さを変えても良い。この場合、各横壁4a、4b同士、各縦壁3a、3b同士は互いに平行ではなく、一定の角度をもって配置されるとともに、各横壁と各縦壁同士は互いに直角にではなく、一定の角度をもって交わる。例えば、本発明プロテクタの前面縦壁部3aの長さを後面側の縦壁部3bよりも長くすれば、プロテクタの前面側から後面側へ角度のついたテーパ状のプロテクタが得られ、上記長さ関係を逆にすれば、その逆のテーパ状のプロテクタも得られる。これによって、圧壊強度の制御ができ、デザインや接合、あるいは配置上の自由度も増す。アルミニウム合金の熱間押出加工であれば、このような中空形材を自由に、かつ簡便に得やすいという利点もある。
【0039】
アルミニウム合金プロテクタの本実施態様では、矩形中空断面の形状は口形の例を示した。軽量化の点からは、この口形の中空構造が好ましいし、口形の中空構造で高圧壊強度化が可能である。ただ、トラックの車種や法規によって要求圧壊強度が異なり、また、軽量化よりも高圧壊強度が要求されるような場合もある。したがって、このような場合には、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度をより高めるために、例えば、図1 の矩形中空部7 内に補強用の中リブを横方向や縦方向に加えた断面形状とし、断面形状を日形、田形、目形等にすることなども可能である。
【0040】
なお、図1 に示すアルミニウム合金プロテクタ1 の長さL は、トラックの車幅やフロント設計などに応じて適宜決定されるが、概ね60〜200mm 程度である。
【0041】
次に、本発明アルミニウム合金プロテクタの一使用態様 (アンダーランプロテクタ装置の態様) を図2 、3 を用いて説明する。図2 、3 は、各々トラックのフロント部分にアルミニウム合金プロテクタを取り付けた要部を示す平面図、図3 は図2 の正面図である。
【0042】
図2 、3 において、10はトラックのフロントに車幅方向に延在するバンパ、11a 、11b は車体の長さ方向に延在する車体フレーム (サイドレール、シャーシーフレーム) 、12はサイドレールをつなぎ車幅方向に延在するファーストクロスメンバ、14はフロントタイヤ、15はトラック車体である。
【0043】
また、13a 、13b は、例えば、図1 (a) のアルミニウム合金プロテクタ1aを後方から支持するとともに、車体フレーム11a 、11b に接続しているブラケットである。プロテクタ1aは、トラックフロントバンパの下側に乗用車が滑り込むことを防止するため、トラックの車高に応じて、フロントバンパ10の下側の適宜の高さに配置される。
【0044】
ブラケット13a 、13b によるプロテクタ1aの支持やブラケットの構造は、詳細に図示はしないが、公知のアンダーランプロテクタ装置の取り付け態様を適宜採用できる。例えば、板状あるいは箱状のブラケット先端部にフランジを設けて、このフランジの前面とプロテクタ1aの後面側の縦壁3bの背面 (裏面) とを接合するか、ブラケット先端部を直接縦壁3bの背面と接合する。接合は溶接や機械的な接合を適宜組み合わせて行なわれる。なお、図1(b)のプロテクタ1bなど、本発明の他のプロテクタでも、これらの方法で同様に接合できる。
【0045】
図4 に正面図で示すプロテクタ1cは、上記ブラケット先端部のフランジによって、接合支持する態様を示している。図4 のプロテクタ1cは、後面側の縦壁部3bに二箇所、間隔を開けて、中空部7 内方向に凹む凹部8a、8bを設けている。この凹部8a、8bの縦壁部とブラケット19先端部のフランジ16とを、その形成する空間9a、9bとフランジ16の貫通孔18a 、18b を介して、ボルト締結手段17a 、17b によって接合することで、プロテクタ1cはブラケット19と接合、支持される。なお、ブラケット19は板状、箱状の適宜の構造を有し、図示しない上方の車体フレームに接続され、この車体フレームから斜め下方 (車体前方) に向かって、張り出されている。
【0046】
プロテクタ1cの断面形状 (正方形断面、横壁部4a、4bの各厚みが縦壁部3a、3bの各厚みよりも厚い点など) は、上記凹部8a、8bを除き、前記図1 (a) のプロテクタ1aや図1 (b) のプロテクタ1bと同じである。プロテクタ1cの両端が湾曲しているか、全長が直線的であるかは、いずれでも良い。
【0047】
本発明プロテクタとしての要求特性を満足するアルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用合金であって、調質されたアルミニウム合金から選択して用いられる。ただ、この中でも、前記した通り、比較的中空材として製造しやすい、特に、6063汎用合金などのAl−Si−Mg系の6000系アルミニウム合金が好ましい。ただ、前記したように、より高い圧壊強度が要求されるような場合には、Al−Zn−Mg系、あるいは Al−Zn−Mg−Cu系の7000系のアルミニウム合金を用いても良い。これらのアルミニウム合金材を、O 、T4、T5、T6、T7などの適宜の調質を施されて所望の耐力や機械的性質とする。
【0048】
本発明プロテクタを構成するアルミニウム合金中空材は、前記した各利点も含め、押出中空形材が好ましい。熱間押出加工であれば、矩形中空断面の形状を、中空材の長手 (軸) 方向に渡って同一に製造できる。但し、可能であれば、アルミニウム合金の圧延板を中空状に成形および接合部を溶接接合した中空材なども用いて良い。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミニウム合金製プロテクタ自体の圧壊強度を鋼製プロテクタ並に高め、しかも鋼製プロテクタに比して軽量化効果が高い車両フロントアンダーランプロテクタを提供することができる。このため、トラック車体の軽量化を促進でき、アルミニウム合金材の用途も一層拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロテクタの一実施態様を示し、図1(a)は両端が湾曲したプロテクタ、図1(b)は直線的なプロテクタを各々示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプロテクタの一使用態様を示す平面図である。
【図3】図2 の正面図である。
【図4】本発明に係るプロテクタの別の態様を示す正面図である。
【符号の説明】
1:フロントアンダーランプロテクタ、2:中空材、3:縦壁部、4:横壁部、
5:湾曲部、6:中央部、7:中空部、8:凹み部、9:空間、10: バンパ、
11: 車体フレーム、12: ファーストクロスメンバ、13: ブラケット、
14: フロントタイヤ、15: 車体、16: フランジ、17: ボルト締結手段、
18: 貫通孔、19: ブラケット、
t f : 縦壁部の厚み、L f : 縦壁部の長さ、t w : 横壁部の厚み、
L w : 横壁部の長さ、L : プロテクタの長さ、
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両衝突時の荷重に対する圧壊強度が優れた車両フロントアンダーランプロテクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラックなどの車両と乗用車との正面衝突時に、トラックのフロント (前面側) バンパの下側に乗用車が滑り込むことを防止して、乗員の安全性を確保するために、フロントバンパの下側には、フロントアンダーランプロテクタ (車両のもぐりこみ防止装置、以下、単にプロテクタとも言う) が配置されている。
【0003】
このトラック用のプロテクタの構造は、基本的に、断面が口形などの矩形断面形状であって、この断面形状がその長手方向(軸方向)に渡って延在する中空材からなる。そして、トラックフロントバンパの下側に、車体幅方向で略水平方向に延在するように配置される。
【0004】
前記トラックなどの車両と乗用車との正面衝突時には、プロテクタに5 〜20トンにも及ぶ局所的な衝突荷重がかかる。したがって、プロテクタには、この衝突荷重( 横方向の荷重) に耐える圧壊強度が必要とされる。このため、これまでは強度の高いハイテンなどの鋼製のプロテクタが主として使用されている。
【0005】
因みに、他の乗用車の車体衝突時のバンパにかかる衝突荷重は、バリア衝突のような全面衝突時には10〜15トン程度である。しかし、トラックなどの上記局所的な衝突荷重に直せば、5 〜6 トン程度で、トラック用プロテクタの上記局所的な衝突荷重や必要とされる圧壊強度に比して著しく軽度となる。
【0006】
プロテクタの装置としての強度を高めるため、従来から、プロテクタを支持するブラケット (車体フレーム先端部に取り付けられる) などのプロテクタ支持構造を補強することが種々提案されている(例えば特許文献1 参照) 。また、ブラケットとプロテクタとの間にFRP 製の筒状の衝撃エネルギー吸収装置を設けることも提案されている(特許文献2 参照) 。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−302000 号(1〜2 頁、図1)
【特許文献2】
特開2000−296743 号(1〜2 頁、図1)
【0008】
近年、トラックの車体軽量化のために、これらプロテクタにも、従来使用されていた鋼材に代わって、アルミニウム合金押出中空形材などの使用が検討され始めている。
【0009】
しかし、前記特許文献1 、2 など、従来から提案されているプロテクタの支持構造の補強は、圧壊強度が高い鋼製プロテクタの使用を前提としている。このため、鋼製プロテクタに比して圧壊強度が不足するアルミニウム合金製プロテクタでは、これらプロテクタの支持構造を補強しても、鋼製プロテクタと同じ矩形断面形状とする限り、プロテクタ装置としての圧壊強度を高めることにはならない。
【0010】
アルミニウム合金製プロテクタを、鋼製プロテクタと同じ矩形断面形状として設計した場合、前記大きな衝突荷重に対する圧壊強度が不足する。一方、圧壊強度を増すために、アルミニウム合金製プロテクタの肉厚 (矩形断面を構成する壁部の肉厚) を大きくした場合、プロテクタの重量が増加して、鋼製プロテクタに対する軽量化効果が失われる。
【0011】
これに対し、例えば、プロテクタをアルミ押出成形材として、プロテクタの軸方向に数多くの貫通穴 (角穴) を形成し、車幅方向と直交する断面が数多くの穴を持つようにすることが開示されている(特許文献3 参照) 。この特許文献3 では、衝突荷重時に、この穴を圧壊させることにより衝突エネルギーを吸収させ、中実材に比して、設ける穴の分だけ軽量化を図りながら、口形などの矩形中空断面形状に比して、圧壊強度を高めることを目的としている。
【0012】
【特許文献3】
特開2000−272444 号(1〜2 頁、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献3 は、中実材に比しては、確かに、軽量化を図れるものの、その目的としている、口形などの矩形中空断面形状に比して、軽量化を図りながら、圧壊強度を高めることができない。この結果、アルミニウム合金製プロテクタとして、鋼製プロテクタに代わって、実用化するのは困難である。
【0014】
即ち、特許文献3 のように多数の穴を設けて、口形などの矩形中空断面形状並に軽量化を図るためには、余程大きな穴か、あるいは余程多数の穴を設ける必要がある。しかし、この場合には、必然的に穴を構成する多数の壁の一枚一枚当たりの厚みが薄くなる。ここで、特許文献3 は穴を構成する多数の壁があるがゆえに、アルミニウム合金製の形材を想定した場合、横方向の圧壊強度としては、口形などの矩形中空断面形状よりも、一枚一枚当たりの壁の厚みが薄くなり、却って不利となる。このため、口形などの矩形中空断面形状以上に圧壊強度を高めることができず、逆に、口形などの矩形中空断面形状よりも圧壊強度が低くなる場合もある。
【0015】
一方、これに対して、圧壊強度を高めるためには、必然的に穴を構成する多数の壁の厚みを厚くする以外になく、ここでも、穴を構成する多数の壁があるがゆえに、厚みを厚くする壁の数が多くなり、軽量化が犠牲になって却って不利となり、中実材に比しての軽量化効果が薄くなる。
【0016】
このようにアルミニウム合金製プロテクタでは、軽量化と高圧壊強度化が難しいため、鋼製プロテクタに代わって実用化するのは、これまで困難であった。
【0017】
したがって、本発明の目的は、プロテクタ自体の圧壊強度を鋼製プロテクタ並に高め、しかも鋼製プロテクタに比して軽量化効果が高いアルミニウム合金製車両フロントアンダーランプロテクタを提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明車両フロントアンダーランプロテクタの要旨は、断面形状が矩形であるアルミニウム合金中空材からなり、この矩形中空断面を構成する横壁部の厚みを4 〜8mm とするとともに、この横壁部の厚みを矩形中空断面を構成する縦壁部の厚みよりも厚くしたことである。なお、ここで、上記横壁部か縦壁部かの区別は、プロテクタの使用態様 (車体幅方向で略水平方向に延在するように配置される場合) を想定した矩形中空断面配置状態によってなされる。
【0019】
プロテクタにおいて、鋼製プロテクタに限らず、通常は、プロテクタ中空材の矩形断面を構成する横壁部や縦壁部は概ね同じ肉厚とされる。これに対して、本発明では、先ず、中空材の矩形断面形状を構成する横壁部の厚みを4 〜8mm とする。このように、本発明では、鋼製プロテクタの通常使用される壁部厚み3 〜4 mmよりも、また、矩形中空断面を構成する縦壁部の厚みよりも、横壁部の厚みを若干厚くして、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、例えば、一つの具体的な目安として、現在使用されている、普通鋼製の断面略正方形のプロテクタ (壁部厚み3 〜4 mm、各壁部長さ60〜100mm)並に高める。
【0020】
一方、縦壁部の厚みを横壁部よりも薄くして (横壁部の厚みを縦壁部の厚みよりも厚くして) 、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高める。この際、縦壁部の厚みは、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、上記鋼製プロテクタ並に保証できる以上の厚さとし、それ以上薄くしない。
【0021】
アルミニウム合金プロテクタの横壁部は、トラック衝突時の5 〜20トンにも及ぶ前記衝突荷重 (横方向の荷重) 方向に対し平行である。このため、この大荷重に対しての圧壊強度への寄与度は、縦壁部よりも高い。このため、本発明では、この圧壊強度への寄与度が高い横壁部の厚みを比較的厚くする。そして、これによって、高めたアルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を上記鋼製プロテクタ並以下に下げないように、縦壁部の厚みを横壁部よりも薄くすることができ、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高めることもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明アルミニウム合金プロテクタの実施の形態について具体的に説明する。図1(a)、(b) は、本発明アルミニウム合金プロテクタの一態様を各々示す斜視図である。
【0023】
先ず、図1 (a) において、アルミニウム合金プロテクタ1aは、略正方形の矩形断面形状を有するアルミニウム合金押出中空形材2 からなる。7 は中空形材2 の中空部、4a、4bは略正方形の断面を構成する二つの横壁(横壁部とも言う)、3a、3bは略正方形の断面を構成する二つの縦壁(縦壁部とも言う)である。各横壁4a、4b同士、各縦壁3a、3b同士は互いに略平行に配置されるとともに、各横壁と各縦壁同士は互いに略直角に交わる。
【0024】
図1(a)、(b) の態様において、プロテクタ1a (中空形材2)は、車体衝突時の図の左側からの荷重方向 (横方向、矢印F)に対し、略直角方向に延在するように略水平配置されて使用される。
【0025】
図1 (a) の態様では、プロテクタ1a (中空形材2)は、軸方向に延在する直線的な中央部6 を有するとともに、軸方向 (長手方向) の両端部5a、5bが、車両後方(図の右側) に向かって湾曲している。
【0026】
図1 (b) のプロテクタ1bは、上記図1 (a) のプロテクタ1aのような両端の湾曲部5a、5bが無く、軸方向に直線的となっている以外は、プロテクタ1aと同じ構造、形状である。このようなプロテクタの軸方向乃至長手方向の形状は、トラックのフロント車体設計に応じて、適宜選択される。
【0027】
上記図1 (a) のプロテクタ1aのような両端の湾曲部5a、5bは、図1 (b) のような直線的な中空形材2 をアルミニウム合金の熱間押出加工によって得た後、この中空形材2 の両端を曲げ加工することによって、中空形材と一体に、しかも簡便に得ることができる。したがって、本発明アルミニウム合金プロテクタは、所望の曲げ角度や長さの両端の湾曲部を、トラックのフロント車体設計に応じて、一体的に形成できる利点がある。
【0028】
因みに、鋼はこのような中空形材を押出加工することができず、鋼製プロテクタを得るためには、鋼板を中空状に成形加工後に溶接乃至機械的な接合で中空材化するか、コの字状に成形した2 個の部品を対向して突き合わせて、溶接乃至機械的な接合で中空材化する。このように、中空状鋼製プロテクタを得るためには上記溶接等の手段を用いないと一体には形成できず、上記両端の湾曲部5a、5bも製作しにくい。
【0029】
以下に、本発明アルミニウム合金プロテクタの断面形状について説明する。
ここで、図1(a)、(b) の本発明アルミニウム合金プロテクタ1a、1bにおいて、縦壁部3a、3b(3a が前面側縦壁、3bが後面側縦壁) の各厚みをt f 、各長さを Lf および横壁部4a、4b(4a が上側横壁、4bが下側横壁) の各厚みをt w 、各長さをL wとし、プロテクタ (中空形材2)の長さをL とする。
【0030】
本発明では、本発明プロテクタと断面形状が類似の、乗用車用のバンパ補強材に通常用いられる、0.2%耐力が300MPa以上の高強度7000系アルミニウム合金だけではなく、0.2%耐力が250MPa以下である、6063などの汎用6000系アルミニウム合金などをプロテクタに用いることも重要な目的としている。
【0031】
勿論、本発明において、プロテクタを高圧壊強度化するために、高強度な7000系アルミニウム合金を用いても良い。7000系アルミニウム合金を用いれば、プロテクタ (中空材) を構成する各壁部のより薄肉化による、軽量化も図れる等の利点がある。ただ、この7000系は、高強度であるがゆえに、6000系アルミニウム合金などに比して、厚肉化するほど押出加工などの生産性が劣り、高強度化のための調質処理( 熱処理) が煩雑であるなどの中空材製造上の問題がある。このためプロテクタに、6000系アルミニウム合金なども用いることができれば、このような問題が解消される。
【0032】
ただ、0.2%耐力が250MPa以下である、これら6000系などのアルミニウム合金を用いる場合、より高強度な7000系アルミニウム合金を用いる場合に比して、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高め、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高めることは、格段に難しい課題となる。
【0033】
これに対し、本発明では、プロテクタの矩形中空断面を構成する各横壁部4a、4bの厚みt w を4 〜8mm とするとともに、この各横壁部4a、4bの厚みt w を、各縦壁部3a、3bの厚みt f よりも厚くしたことで解決している。これによって、高強度7000系アルミニウム合金だけでなく、0.2%耐力が250MPa以下の低強度の6000系などのアルミニウム合金を用いた場合でも、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高め、鋼製プロテクタに対する軽量化効果を高める課題を解決している。
【0034】
各横壁部の厚みt w が4mm 以下では、鋼製プロテクタの通常使用される壁部厚み3 〜4 mmよりも薄くなり、トラック衝突時の前記大荷重に対しての圧壊強度への寄与度が高い横壁部の厚みt w が不足し、普通鋼製プロテクタ並の強度が得られない。一方、各横壁部の厚みt w が8mm 以上では、重量が増加し、鋼製プロテクタに対する軽量化効果がなくなる。
【0035】
一方、各縦壁部3a、3bの厚みt f は、横壁部の厚みt w で主として定まるアルミニウム合金プロテクタの圧壊強度を、上記鋼製プロテクタ並に保証できる以上の厚さとし、軽量化するために、横壁部の厚みt w よりも薄くする。各横壁部の厚みt w が4 〜8mm であるので、各縦壁部の好ましい厚みt f の範囲は3 〜6mm である。これを、t f とt w との両者の関係で言うと、t f /t wを0.3 〜0.7 とすることが好ましい。t f /t wが0.3 未満ではt f が薄くなり過ぎて圧壊強度が低下するか、t w が厚くなり過ぎて軽量化効果が出ない可能性がある。一方、t f /t wが0.7 を越えては、横壁部と縦壁部との厚みが同じ従来技術に近くなり、圧壊強度を高められない可能性がある。
【0036】
なお、二つの横壁部4a、4bの厚みt w 、二つの縦壁部3a、3bの厚みt f は、横壁部同士、縦壁部同士で、図1 のプロテクタのように、必ずしも同じとする必要は無い。例えば、下側の横壁部4aを上側の横壁部4bよりも厚くする、前面側の縦壁部3aを後面側の縦壁部3bよりも厚くするなど、上記範囲で、横壁部同士、縦壁部同士の互いの厚みを変えても良い。中空形材2 をアルミニウム合金の熱間押出加工によって得る場合、このように互いの壁の厚みが異なる中空形材2 を自由に、かつ簡便に得やすいという利点もある。
【0037】
本発明プロテクタの矩形 (四角形) 中空断面の形状は、0.2%耐力が250MPa以下の低強度の6000系などのアルミニウム合金を用いた場合でも、プロテクタの圧壊強度を普通鋼製並に高めるためには、正方形形状であることが最も好ましい。前記横壁部の厚みt w の圧壊強度向上効果は、各横壁部の長さL w が、各縦壁部の長さ L fと同じ正方形形状の場合に、最大に発揮される。したがって、L w がL f に対し、長過ぎても、短過ぎても、言い換えると、縦に長い、あるいは横に長い長方形となるほど、前記横壁部の厚みt w の圧壊強度向上効果が低下する。ただ厳密に正方形形状である必要は無く、正方形に近ければ、この効果は変わらない。この効果が変わらない範囲は、概ね L f /L w が0.8 〜1.2 の範囲である。
【0038】
また、この範囲で、横壁部同士、縦壁部同士で、必ずしも互いの長さL w 、 fを同じとする必要は無く、上記範囲で互いの長さを変えても良い。この場合、各横壁4a、4b同士、各縦壁3a、3b同士は互いに平行ではなく、一定の角度をもって配置されるとともに、各横壁と各縦壁同士は互いに直角にではなく、一定の角度をもって交わる。例えば、本発明プロテクタの前面縦壁部3aの長さを後面側の縦壁部3bよりも長くすれば、プロテクタの前面側から後面側へ角度のついたテーパ状のプロテクタが得られ、上記長さ関係を逆にすれば、その逆のテーパ状のプロテクタも得られる。これによって、圧壊強度の制御ができ、デザインや接合、あるいは配置上の自由度も増す。アルミニウム合金の熱間押出加工であれば、このような中空形材を自由に、かつ簡便に得やすいという利点もある。
【0039】
アルミニウム合金プロテクタの本実施態様では、矩形中空断面の形状は口形の例を示した。軽量化の点からは、この口形の中空構造が好ましいし、口形の中空構造で高圧壊強度化が可能である。ただ、トラックの車種や法規によって要求圧壊強度が異なり、また、軽量化よりも高圧壊強度が要求されるような場合もある。したがって、このような場合には、アルミニウム合金プロテクタの圧壊強度をより高めるために、例えば、図1 の矩形中空部7 内に補強用の中リブを横方向や縦方向に加えた断面形状とし、断面形状を日形、田形、目形等にすることなども可能である。
【0040】
なお、図1 に示すアルミニウム合金プロテクタ1 の長さL は、トラックの車幅やフロント設計などに応じて適宜決定されるが、概ね60〜200mm 程度である。
【0041】
次に、本発明アルミニウム合金プロテクタの一使用態様 (アンダーランプロテクタ装置の態様) を図2 、3 を用いて説明する。図2 、3 は、各々トラックのフロント部分にアルミニウム合金プロテクタを取り付けた要部を示す平面図、図3 は図2 の正面図である。
【0042】
図2 、3 において、10はトラックのフロントに車幅方向に延在するバンパ、11a 、11b は車体の長さ方向に延在する車体フレーム (サイドレール、シャーシーフレーム) 、12はサイドレールをつなぎ車幅方向に延在するファーストクロスメンバ、14はフロントタイヤ、15はトラック車体である。
【0043】
また、13a 、13b は、例えば、図1 (a) のアルミニウム合金プロテクタ1aを後方から支持するとともに、車体フレーム11a 、11b に接続しているブラケットである。プロテクタ1aは、トラックフロントバンパの下側に乗用車が滑り込むことを防止するため、トラックの車高に応じて、フロントバンパ10の下側の適宜の高さに配置される。
【0044】
ブラケット13a 、13b によるプロテクタ1aの支持やブラケットの構造は、詳細に図示はしないが、公知のアンダーランプロテクタ装置の取り付け態様を適宜採用できる。例えば、板状あるいは箱状のブラケット先端部にフランジを設けて、このフランジの前面とプロテクタ1aの後面側の縦壁3bの背面 (裏面) とを接合するか、ブラケット先端部を直接縦壁3bの背面と接合する。接合は溶接や機械的な接合を適宜組み合わせて行なわれる。なお、図1(b)のプロテクタ1bなど、本発明の他のプロテクタでも、これらの方法で同様に接合できる。
【0045】
図4 に正面図で示すプロテクタ1cは、上記ブラケット先端部のフランジによって、接合支持する態様を示している。図4 のプロテクタ1cは、後面側の縦壁部3bに二箇所、間隔を開けて、中空部7 内方向に凹む凹部8a、8bを設けている。この凹部8a、8bの縦壁部とブラケット19先端部のフランジ16とを、その形成する空間9a、9bとフランジ16の貫通孔18a 、18b を介して、ボルト締結手段17a 、17b によって接合することで、プロテクタ1cはブラケット19と接合、支持される。なお、ブラケット19は板状、箱状の適宜の構造を有し、図示しない上方の車体フレームに接続され、この車体フレームから斜め下方 (車体前方) に向かって、張り出されている。
【0046】
プロテクタ1cの断面形状 (正方形断面、横壁部4a、4bの各厚みが縦壁部3a、3bの各厚みよりも厚い点など) は、上記凹部8a、8bを除き、前記図1 (a) のプロテクタ1aや図1 (b) のプロテクタ1bと同じである。プロテクタ1cの両端が湾曲しているか、全長が直線的であるかは、いずれでも良い。
【0047】
本発明プロテクタとしての要求特性を満足するアルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用合金であって、調質されたアルミニウム合金から選択して用いられる。ただ、この中でも、前記した通り、比較的中空材として製造しやすい、特に、6063汎用合金などのAl−Si−Mg系の6000系アルミニウム合金が好ましい。ただ、前記したように、より高い圧壊強度が要求されるような場合には、Al−Zn−Mg系、あるいは Al−Zn−Mg−Cu系の7000系のアルミニウム合金を用いても良い。これらのアルミニウム合金材を、O 、T4、T5、T6、T7などの適宜の調質を施されて所望の耐力や機械的性質とする。
【0048】
本発明プロテクタを構成するアルミニウム合金中空材は、前記した各利点も含め、押出中空形材が好ましい。熱間押出加工であれば、矩形中空断面の形状を、中空材の長手 (軸) 方向に渡って同一に製造できる。但し、可能であれば、アルミニウム合金の圧延板を中空状に成形および接合部を溶接接合した中空材なども用いて良い。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミニウム合金製プロテクタ自体の圧壊強度を鋼製プロテクタ並に高め、しかも鋼製プロテクタに比して軽量化効果が高い車両フロントアンダーランプロテクタを提供することができる。このため、トラック車体の軽量化を促進でき、アルミニウム合金材の用途も一層拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロテクタの一実施態様を示し、図1(a)は両端が湾曲したプロテクタ、図1(b)は直線的なプロテクタを各々示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプロテクタの一使用態様を示す平面図である。
【図3】図2 の正面図である。
【図4】本発明に係るプロテクタの別の態様を示す正面図である。
【符号の説明】
1:フロントアンダーランプロテクタ、2:中空材、3:縦壁部、4:横壁部、
5:湾曲部、6:中央部、7:中空部、8:凹み部、9:空間、10: バンパ、
11: 車体フレーム、12: ファーストクロスメンバ、13: ブラケット、
14: フロントタイヤ、15: 車体、16: フランジ、17: ボルト締結手段、
18: 貫通孔、19: ブラケット、
t f : 縦壁部の厚み、L f : 縦壁部の長さ、t w : 横壁部の厚み、
L w : 横壁部の長さ、L : プロテクタの長さ、
Claims (6)
- 断面形状が矩形であるアルミニウム合金中空材からなり、この矩形中空断面を構成する横壁部の厚みを4 〜8mm とするとともに、この横壁部の厚みを矩形中空断面を構成する縦壁部の厚みよりも厚くしたことを特徴とする車両フロントアンダーランプロテクタ。
- 前記縦壁部の厚みをt f 、長さを Lf および前記横壁部の厚みをt w 、長さを L wとした時、t f /t wが0.3 〜0.7 であり、L f /L wが0.8 〜1.2 である請求項1に記載の車両フロントアンダーランプロテクタ。
- 前記中空材の軸方向の両端部が、車両後方に向かって湾曲している請求項1または2に記載の車両フロントアンダーランプロテクタ。
- 前記アルミニウム合金が5000系、6000系、7000系のいずれかのアルミニウム合金からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両フロントアンダーランプロテクタ。
- 前記アルミニウム合金の0.2%耐力が250MPa以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両フロントアンダーランプロテクタ。
- 前記中空材がアルミニウム合金押出形材である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両フロントアンダーランプロテクタ。
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