JP2004175955A - ポリエステル樹脂成形体 - Google Patents

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Hitoshi Masago
均 真砂
Hirobumi Takase
博文 高瀬
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Abstract

【課題】難燃性を向上させた透光性ポリエステル樹脂成形体を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂に平均粒径が0.05〜0.5μmの水和化合物を1〜15重量%、補強剤を1〜20重量%混合し、溶融成形してポリエステル樹脂成形体とする。ポリエステル樹脂としては非晶質ポリエステルが、水和化合物としては水酸化マグネシウムが用いられる。水和化合物を添加しても、その粒径が小さく界面での大幅な屈折が生ぜず透光性の成形体を得ることができ、且つ火災時に結晶水を放出して難燃性を向上させる。補強剤により実用的強度が得られる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性を有する透光性ポリエステル樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂である非晶質ポリエステル樹脂は、透光性に優れ、機械的強度を有し、成形性も良好であるので、ディスプレー、食品用容器や機械カバー等の産業用加工品、看板等の用途に使用されている。しかし、当該樹脂は難燃性に乏しく、特に難燃性が要求される産業用加工品に使用する場合に、良好な難燃性と透光性が要求されている。難燃性を向上させるために、従来から無機物等やハロゲン系難燃剤やリン系、ブロム系難燃剤を添加することが行なわれている。
【0003】
しかし、無機物を添加した成形体は、その無機物の粒径が大きいがために光を散乱し、不透明となってしまい、また難燃性を発現させるためには添加量も多くする必要があった。また、ハロゲン系やブロム系、リン系の難燃剤を添加した成形体は、透光性を有し且つ難燃性を向上させることはできるが、燃焼時にハロゲンガスやブロムガスが発生するので好ましくない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−204271号
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ハロゲン系・ブロム系・リン系難燃剤を使用することなく、透光性を有し且つ難燃性を向上させたポリエステル樹脂成形体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明に係るポリエステル樹脂成形体は、ポリエステル樹脂に、平均粒径が0.05〜0.5μmの水和化合物を1〜15重量%、補強剤を1〜20重量%混合して溶融成形してなることを特徴とするものである。
このような構成の成形体は、水和化合物の平均粒径が0.05〜0.5μmと小さいために、粒径が可視光線の波長に近似し、光が樹脂と水和化合物との界面で大幅に屈折することがなくて透光性を有する成形体とすることができる。そして、粒径の小さな水和化合物であるので、その添加量を1〜15重量%と少なくしても難燃性を得ることができる。さらに、補強剤を1〜20重量%添加することで、成形体の強度を実用強度まで高めることができる。
【0007】
本発明の成形体において、ポリエステル樹脂の屈折率と水和化合物の屈折率との相違を5%以内にすることが望ましい。このことで、樹脂と水和化合物との界面での屈折がより少なくなり、一層透光性が向上する。
【0008】
また、水和化合物が水酸化マグネシウムであることが望ましい。水酸化マグネシウムを用いると、屈折率をポリエステル樹脂のそれに合わせることが容易であり、樹脂成形体の厚み3mmでの全光線透過率が70%以上、ヘイズ値が50%以下である透光性成形体を得易い。
【0009】
また、ポリエステル樹脂として、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとよりなる非晶質又は結晶質ポリエステル、ポリカーボネート樹脂のいずれかを用いることが望ましい。これらの樹脂は、良好な透明性を有し、上記水和化合物を添加しても、透光性成形体とすることができる。特に、ポリエステル樹脂が、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとよりなる非晶質ポリエステル樹脂であって、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとが20〜40:80〜60モル%であると、常温で折り曲げ等の2次加工ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリエステル樹脂に平均粒径が0.05〜0.5μmの水和化合物を1〜15重量部、補強剤を1〜20重量部混合して溶融成形してなるものである。
本発明に使用するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換したポリエステル共重合体(以下エチレン−シクロヘキサンジメタノールテレフタレートという)等が用いられる。特に、エチレン−シクロヘキサンジメタノールテレフタレートにおいて、グリコール成分であるエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの割合が、80/20〜60/40モル%である非晶質のエチレン−シクロヘキサンジメタノールテレフタレートは、全光線透過率が約88%(厚さ3mm)と透光性が良好で、常温での2次加工性に優れており、印刷性も良好で、機械的強度もあるので、ディスプレーや看板などに適している。
【0011】
また、グリコール成分であるエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの割合が、20/80〜40/60モル%である非晶質のエチレン−シクロヘキサンジメタノールテレフタレートは、軟化点が約85℃と熱的性質が良好であるので、産業用加工品、例えば食品用機械のカバーや屋外用看板や自販機のカバーなどに適している。
【0012】
これらのポリエステル樹脂に添加される水和化合物は、平均粒径が0.05〜0.5μmであり、ポリエステル樹脂に対して1〜15重量%を添加して均一に混合されている。この水和化合物としては、主に金属系水和化合物が用いられるが、特に水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、石膏などの結晶水を含有する水酸化アルカリ土類金属が好ましく用いられる。
【0013】
この水和化合物は、ポリエステル樹脂成形体が火災などに遭遇し熱せられると、分解して水を放出し、その際の吸熱反応により燃焼速度ないし昇温速度が低くなり、ポリエステル樹脂の発熱を低下させるので、その結果、難燃性を有することとなる。また、分解後は酸化物として残り、成形体の表層での炭化層の形成を助ける働きをするので尚一層の難燃性が得られる。さらに、このことは燃焼性のポリエステル樹脂の量を少なくでき難燃性を高めるのに役立つ。
【0014】
そのなかでも、水酸化アルカリ土類金属は水を結晶水として含み、粉粒体とてして得ることができるので、ポリエステル樹脂に均一に混合でき透光性の成形体を得るのに適している。特に、水酸化マグネシウムは平均粒径が0.05〜0.8μmと小さく、屈折率もポリエステル樹脂の1.55〜1.60に近接した1.55〜1.58を有するものは、屈折率をポリエステルのそれに調整することが比較的容易であり、透光性樹脂成形体を製造するのに有用である。特に、平均粒径が0.05〜0.5μmで屈折率を1.55〜1.57に調整した水酸化マグルシウムは好ましく用いられる。
【0015】
一方、水酸化アルミニウムは難燃性の付与を良好に行えるので、良好な難燃性成形体を製造するのに有効である。また、水酸化カルシウムは難燃性付与の他に、成形体から発生するガスを捕捉できるので、ガスの発生量を少なくすることができるので好ましく用いられる。これらの水酸化アルカリ土類金属の好ましい添加量は5〜10重量%である。
【0016】
全光線透過率が、厚さ3mmでの全光線透過率が70%以上で、ヘイズ値が50%以下である透光性を有するポリエステル樹脂成形体を得るためには、水和化合物としては平均粒径が0.05〜0.5μmで、ポリエステル樹脂の屈折率との相違が5%以内である水和化合物、特に水酸化マグネシウムを1〜15重量%添加し使用することが好ましい。このことで、成形体中の樹脂と水和化合物との界面での屈折が少なくなり、透明性が向上して、上記全光線透過率とヘイズ値とすることができる。より好ましくは、屈折率の相違が2%以内の水酸化マグネシウムを5〜10重量%添加すればよい。
【0017】
また、水酸化マグネシウムに酸化亜鉛やホウ素化合物やシリコン化合物 等を被覆していると、それらの被覆剤を調整することにより屈折率の調整を容易に行うことができ、その屈折率をポリエステル樹脂の5%以内である1.49〜1.65、特に2%以内である1.53〜1.61、更に1%以内である1.55〜1.59にすることができるうえ、酸化亜鉛やホウ素化合物やシリコン化合物が難燃性に寄与するため、成形体の難燃効果も向上し、望ましく用いられる。
さらに、これらの被覆材の表面を表面処理して樹脂への分散を良好にすることもできる。表面処理剤としては、シランカップリング剤や脂肪族が用いられる。
【0018】
また、ポリエステル樹脂配合物に補強剤を添加して成形体の機械的強度を向上させても良い。水和化合物を添加することで機械的強度は低下する傾向にあり、用途によっては実用強度に達しない場合がある。これを改善するために、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン系補強剤やメチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン系補強剤などの透光性を阻害しない補強剤を添加することが好ましい。添加量としては、ポリエステル樹脂に対して1〜20重量%であると、透光性を維持しつつ補強効果が発揮される。好ましい添加量は5〜15重量%である。
【0019】
上記のようなポリエステル樹脂成形体は、樹脂と水酸化マグネシウムと補強剤などの添加物を均一に混合し、この配合物を押出し成形でシートや板や異形形状品などに成形することで、容易に製造できる。
【0020】
なお、本発明のポリエステル樹脂成形体の表面に、機能性を有する表面層を共押出し成形或いはラミネートして一体化することもできる。機能性表面層としては、例えば紫外線吸収剤を1〜10重量%含有する耐候性付与表面層、カーボン等の導電性材料を含む制電性表面層、シリコン等の耐擦傷性材料を含む硬化表面層などである。
【0021】
以下実施例に基づいて具体的に説明する。
【0022】
(実施例1 〜3)
テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとを反応させた、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとが70/30モル%である非晶質のポリエステル樹脂(イーストマンケミカル社製非晶質ポリエステル樹脂 PETG)に対して、粒径が0.1μmで屈折率が1.55〜1.57である水酸化マグネシウムを5重量%、7.5重量%、10重量%それぞれ添加し均一に混合し、この配合物を射出成形して厚さ3mmのプレートを得た。これらを実施例1、2、3とする。
【0023】
この実施例1〜3のプレートの全光線透過率、ヘイズ値をJIS K7361に基づき、また機械的強度をJIS K−7111に基づき、更に難燃性をISO5660に準拠したコーンカロリーメーターにより最大発熱速度を測定した。その結果を表1に記載する。なお、最大発熱速度は数値が小さいほど、より難燃性であることを示す。
【0024】
(実施例4〜5)
実施例2で使用した水酸化マグネシウム配合ポリエステル樹脂にメチルメタアクリレート−ブタジエン−スチレン系補強剤(MBS系補強剤)を、10重量%、15重量%添加し均一に混合し、この配合物を射出成形して厚さ3mmのプレートを得た。これらを実施例4、5とする。実施例1と同様にして全光線透過率、ヘイズ値、機械的強度、難燃性を測定した。その結果を表1に併記した。
【0025】
(実施例6)
実施例3で使用した水酸化マグネシウム配合ポリエステル樹脂に、実施例5で使用したMBS系補強剤を、10重量%添加し均一に混合し、この配合物を射出成形して厚さ3mmのプレートを得た。これを実施例6とする。実施例1と同様にして全光線透過率、ヘイズ値、機械的強度、難燃性を測定した。その結果を表1に併記した。
【0026】
(比較例1、2、3)
実施例1で使用した非晶質ポリエステル樹脂のみを用いて、同様に射出成形により厚さ3mmのプレートを得た。これを比較例1とする。
また、実施例1で使用した非晶質ポリエステル樹脂に、実施例1で使用した水酸化マグネシウムを20重量%添加して均一に混合し、この配合物を同様に射出成形により厚さ3μmのプレートを得た。これを比較例2とする。
さらに、実施例1で用いた非晶質ポリエステル樹脂に、平均粒径が1.0μmで屈折率が1.56〜1.58である水酸化マグネシウムを10重量%添加して均一に混合し、この配合物を同様に射出成形により厚さ3μmのプレートを得た。これを比較例3とする。
これらの比較例1、2、3を、実施例1と同様にして全光線透過率、ヘイズ値、機械的強度、難燃性を測定した。その結果を表1に併記した。なお、比較例2及び比較例3のシャルピー衝撃値は、衝撃試験片作製時のノッチ加工段階において割れが発生し測定できなかった。
【0027】
【表1】
Figure 2004175955
【0028】
表1より、比較例2の非晶質ポリエステル樹脂のみを燃焼試験に供した場合の最大発熱速度の値は1502kW/mであるのに対し、いずれの実施例においても水酸化マグネシウムを添加した場合その発熱速度は500kW/m以下に減少し、さらには実施例2〜6の7.5重量%以上添加した場合は350kW/m以下にまで減少しており、十分難燃性が付与されている。
【0029】
また、透光性もいずれの実施例からも明らかな如く、全光線透過率が80%以上、ヘイズ値が40%以下であり透光性を備えた成形体であることが分かる。
【0030】
一方、水酸化マグネシウムを20重量%添加した比較例2は、難燃性は向上しているものの、全光線透過率とヘイズ値において劣り、特にシャルピー衝撃値が測定できないほど悪く、実用的な機械的強度を有さないことがわかる。これは水酸化マグネシウムから放出される結晶水がポリエステル樹脂に悪影響を及ぼして強度が低下したものと思われる。このことより、水酸化マグネシウムの添加量を15重量%程度以下にしないと実用的な強度が得られないことがわかる。
【0031】
また、比較例3では水酸化マグネシウムの平均粒径が1.0μmのものを用いているので、添加量を実施例3と同じ10重量%にしてもその難燃性は劣る。平均粒径が大きいことより同重量%でも樹脂中での分散性が劣るために難燃性への寄与が小さく、また、樹脂との境界において光を散乱し、全光線透過率が31%、ヘイズ値が95%とその透光性を阻害している。さらに、機械的強度も低下し、水酸化マグネシウムの粒径が大きくなると強度に悪影響を与えることがわかる。これらのことより、透光性成形品を得るには、粒径を0.5μm程度以下にする必要性があることがわかる
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のポリエステル樹脂成形体は、ポリエステル樹脂に平均粒径が0.05〜0.5μmの水和化合物を1〜15重量%混合して溶融成形しているので、難燃性と透光性を具備した成形体を得ることができる。該水和化合物の屈折率をポリエステル樹脂の5%以内にすると、ポリエステル樹脂と水和化合物との界面での屈折が少なく、透明性がさらに向上する。
【0033】
水和化合物として水酸化マグネシウムを用いると、その屈折率をポリエステル樹脂のそれに調整し易く、より透明性が良好になる。
さらに、透明性を阻害しない補強剤をポリエステル樹脂に1〜20重量部配合することにより、透光性を維持しつつ、機械的強度と難燃性を有する成形体を得ることができ、種々の用途に展開できる。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂に、平均粒径が0.05〜0.5μmの水和化合物を1〜15重量%、補強剤を1〜20重量%混合して溶融成形してなることを特徴とする透光性ポリエステル樹脂成形体。
  2. ポリエステル樹脂の屈折率と水和化合物の屈折率との相違が5%以内であることを特徴とする請求項1に記載の透光性ポリエステル樹脂成形体。
  3. 水和化合物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透光性ポリエステル樹脂成形体。
  4. ポリエステル樹脂が、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとよりなる非晶質又は結晶質ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透光性ポリエステル樹脂成形体。
  5. ポリエステル樹脂が、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとよりなる非晶質ポリエステル樹脂であって、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとが20〜40:80〜60モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透光性ポリエステル樹脂成形体。
  6. 樹脂成形体の厚み3mmでの全光線透過率が70%以上、ヘイズ値が50%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性ポリエステル樹脂成形体。
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