JP2004176208A - 塗工紙製造工程の排水処理汚泥からの填料の製造方法およびこれを充填した紙 - Google Patents

塗工紙製造工程の排水処理汚泥からの填料の製造方法およびこれを充填した紙 Download PDF

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Jun Yashiro
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Abstract

【課題】廃棄物として処分されていた塗工紙排水汚泥焼却灰を原料として、高白色度でワイヤー摩耗度が低く、かつこれらの品質が安定している填料の新規な製造技術の提供にあり、更には、該填料を充填した、嵩高性、紙力、不透明度、白色度が高い紙の提供にある。
【解決手段】排水に特定の複数の凝集剤を順次添加し、生成する凝集生成物を固形物の滞留時間が6分間以上で、かつ周速20〜50m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒または造粒濃縮する。この汚泥を成形機で特定形状に成形した後、一つのロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成の順序で連続して処理して焼却灰を得る。該焼却灰を粉砕、中和し、特定の平均粒子径とする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1には、紙パルプ工場の塗工紙製造工程排水の排水処理汚泥からの製紙用填料の製造方法に関するものであり、第2には該填料を充填した紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙パルプ工場の塗工紙製造工程から排出される排水(以下、塗工紙排水と記す)としては、異種塗料切り替え時に発生する廃棄塗料組成物、塗料組成物貯蔵タンクの洗浄水、塗工機のコーターヘッド周りの洗浄水などが挙げられる。これらの排水中には、有機成分として、例えばスチレン・ブタジエン共重合物のようなラテックスや澱粉を含み、無機成分として高白色度のカオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの塗工紙用顔料を含んでいる。従って、これらの排水はCODやBODが高く、また、極めて白濁しているため、未処理の状態では工場外へは排出できない。この理由から、塗工紙排水は、単独の状態で、または工場の他工程排水と混合された状態で、排水処理装置にかけられている。紙パルプ工場における排水処理装置の殆どは単純沈降法や凝集沈降法で処理するものであり、排水処理装置からは排水汚泥が排出されている。
【0003】
紙パルプ工場では、これらの排水汚泥を埋立により処分してきたが、埋立地の確保が難しくなってきている。また、塗工紙排水には澱粉などの腐敗しやすい物質が含まれているので、埋立地での腐敗臭発生の問題もある。近年、焼却処理により、排水汚泥の減容化を図り、かつ、焼却時に発生する熱エネルギーを回収して有効に活用する方法が普及してきたが、排水汚泥中には多量の無機成分が含まれているため、焼却しても多量の焼却灰が残り、その減容化の効果は低い。現状、焼却灰の多くは、セメントの粘土代替原料として、セメント工場で処分して貰うことにより、大量処分が可能になったが、有効利用されないまま埋立処分される焼却灰の量も多い。また、セメント工場での処分費は年々高騰しており、処分費が紙パルプ工場の収益を圧迫することは確実である。
【0004】
一方、紙パルプ工場では、多量の無機鉱物が抄紙用填料や塗工用顔料として必要とされるため、排水汚泥の焼却灰、特に無機成分含有量が高い塗工紙製造工程排水処理汚泥(以下、塗工紙排水汚泥と記す)の焼却灰(以下、塗工紙排水汚泥焼却灰と記す)をこれらの用途に再利用することが望ましい。しかしながら、一般的には焼却灰は白色度が低く、填料として使用するにはワイヤー摩耗度が高く、また顔料として使用するとスリッター刃などの摩耗度が高い。このため、そのままの状態では填料や塗工用顔料として適用するには課題が多いのが現状である。これらの欠点を克服すべく、多くの発明がなされてきている。
【0005】
これらの公知発明について説明する。まず、焼却灰から特定成分の無機物を再生する技術としては、製紙汚泥を焼却後、湿式粉砕し、細かな部分を乾燥し、適当な温度条件で焼成処理して、微小、高白色度、低摩耗性の焼成クレーを製造する方法が開示されている(特許文献1参照。)。また、かなりの量の炭酸カルシウムを含む汚泥を600〜800℃で熱処理し、存在する炭酸カルシウムの50重量%を超える分解を生じさせず、粒状炭酸カルシウムを製造する方法が開示されている(特許文献2参照。)。脱墨製紙スラッジを焼成し、焼成物を水酸化カルシウム水性懸濁液に混合し、二酸化炭素添加により、軽質炭酸カルシウムを製造する方法が示されている(特許文献3参照。)。製紙スラッジを焼却し、焼却灰を粉砕及び/または分級し、吸油量60〜150mlで白色度60%以上のピッチコントロール剤を製造する方法が示されている(特許文献4参照。)。シリカまたはその化合物を含むスラッジを焼成し、焼却灰をアルカリ金属化合物と混合焼成し、混合焼成物を酸処理し、非晶質シリカ微粒子を製造する方法が示されている(特許文献5参照。)。次に、填料または顔料を製造する技術としては、焼却灰を再燃焼し、分散剤を添加してスラリー化した後、湿式分散にて粒径0.1〜10μmとする方法が示されている(特許文献6参照。)。また、流動床炉を使用して800〜1100℃で燃焼して得られる焼却灰より、粒子径が400μm以上のものを分取し、これを0.1〜10μmに粉砕する方法が示されている(特許文献7参照。)。また、200〜1100℃で多段酸化後、粉砕して平均粒子径0.1〜10μmとする方法が示されている(特許文献8参照。)。また、顔料塗工古紙の脱墨工程からの脱墨スラッジを400〜700℃で一次燃焼後、一次粉砕し、これを650〜700℃で二次燃焼後、二次粉砕し平均粒子径0.5〜5μmとする方法が示されている(特許文献9参照。)。製紙スラッジを成形し、500〜1000℃で焼却し、粉砕して平均粒子径0.1〜10μmとする方法が示されている(特許文献10参照。)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第3,765,921号明細書
【特許文献2】
特開平10−29818号公報
【特許文献3】
特開2000−178024号公報
【特許文献4】
特開2001−271289号公報
【特許文献5】
特開2001−348510号公報
【特許文献6】
特開平11−310732号公報
【特許文献7】
特開2001−11337号公報
【特許文献8】
特開2001−26727号公報
【特許文献9】
特開2001−262002号公報
【特許文献10】
特開2002−167523号公報
【0007】
以上述べた、製紙スラッジを焼却した焼却灰から製紙用填料または塗工用顔料を製造する従来の技術では、高白色度と低摩耗性という相反する品質を両立させるための手段として、炉内の処理温度を、製紙スラッジ中の無機成分がガラス化あるいは硬化しない温度範囲のなるべく高温としたり、再燃焼したり、多段燃焼したり、多段燃焼の間で粉砕を入れたりする対策が施されている。しかし、紙パルプ工場の各部工程排水は量も成分も常に変動するため、製紙スラッジに含有される無機成分の種類と各無機成分の構成比率は大きく変動する。従って、従来の技術で製紙スラッジ焼却灰から得られる填料または顔料では、摩耗性や、その他の填料や顔料として重要な物性の変動は避けられない。また、前記無機成分の種類と構成比率が、焼却灰を原料とする填料や顔料の摩耗性などに影響することは全く考慮されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、第1には、廃棄物として処分されていた塗工紙排水汚泥焼却灰を原料として、高白色度でワイヤー摩耗度が低く、かつこれらの品質が安定している填料の新規な製造技術の提供にあり、第2には、該填料を充填した、嵩高性、紙力、不透明度、白色度が高い紙の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)該排水に無機凝集剤、アニオン性高分子凝集剤およびカチオン構成単位とアニオン構成単位とのモル比が1以上の両性高分子凝集剤を順次添加し、生成する凝集生成物を固形物の滞留時間が6分間以上で、かつ周速20〜50m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒または造粒濃縮する排水処理工程
(2)前記の排水処理工程から排出される汚泥を成形機で成形する工程
(3)前記の成形汚泥を一つのロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成の順序で連続して処理して焼却灰を得る工程
(4)前記の焼却灰を粉砕し、同時に炭酸ガスで中和する工程
から成る一連の工程を経て処理することにより、課題を解決できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、塗工紙排水中の無機成分を有効利用する技術であるから、塗工紙は顔料を基紙表面に塗布する顔料塗工紙である必要がある。上質コート紙、中質コート紙などの基紙の種類、また軽量コート紙、微塗工紙などの塗工量の多少に特に限定は無く、また塗工方式の限定も無く、顔料塗工紙の全ての製造工程排水の排水処理汚泥を原料とすることができる。塗工紙製造工程からは、異種塗料切り替え時に発生する廃棄塗料組成物、塗料組成物貯蔵タンクの洗浄水、塗工機のコーターヘッド周りの洗浄水など排水が排出されるが、この全ての排水が本発明の対象となる。
【0011】
本発明で使用する塗工紙排水汚泥中には、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカなどの塗工用顔料が含まれている。該汚泥の焼却に要する熱エネルギーを低減する観点から、また炉内での処理時間の短縮化(焼却灰のワイヤー摩耗度低減につながる)の観点から、該汚泥の固形分濃度はなるべく高いほうが良く、40〜60重量%のものを使用できる。固形分濃度60%を超える濃度は現状の脱水機の能力では達成が困難である。
【0012】
本出願人が先に出願し、既に特許登録されている特許第3340477号明細書に記載の凝集処理法で濃縮・造粒した汚泥を本発明で使用することが好ましい。該特許明細書に記載の発明では、塗工紙製造工程の排水汚泥の固形分濃度を約45〜55%まで高めることができる。
【0013】
特許第3340477号明細書に記載の凝集処理法について説明する。塗工紙製造工程の排水に、無機凝集剤、アニオン性高分子凝集剤およびカチオン構成単位とアニオン構成単位とのモル比が1以上の両性高分子凝集剤を順次添加混合し、生成する凝集生成物を固形物の滞留時間が6分以上で、かつ周速20〜50m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒または造粒濃縮した後、固形分離し、塗工紙製造工程の排水汚泥を取り出す。該無機凝集剤としては、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどを用いることができる。該アニオン性高分子凝集剤については特に制限はなく、従来使用されているポリアクリルアミド系のものなどを使用できるが、特にアニオン性基のモル比として10〜30%のものが好適である。該両性高分子凝集剤としては、例えばアニオン性のモノマー成分とカチオン性のモノマー成分との共重合体、アニオン性のモノマー成分とカチオン性のモノマー成分とノニオン性のモノマー成分との共重合体、あるいはアニオン性のモノマー成分とノニオン性のモノマーとの共重合体のマンニッヒ変性物またはホフマン分解物などを挙げることができる。
【0014】
該アニオン性のモノマー成分としては、例えばアクリル酸(AA)、アクリル酸ナトリウム(NaA)、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。該カチオン性のモノマー成分としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート(DAA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DAM)、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DAPAAm)、ジメチルアミノプロピルメタクリレートおよびこれらの四級化物などを挙げることができる。四級化物としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド四級化物などを挙げることができる。また、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩酸塩なども用いることができる。該ノニオン性のモノマー成分としては、例えばアクリルアミド(AAm)、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどを挙げることができる。これらの化合物の共重合体として、具体的にはDAA四級化物/AA/AAm共重合体、DAM四級化物/AA/AAm共重合体、DAPAAm/AA/AAm共重合体、具体的にはDAA四級化物/AA共重合体、またはNaA/AAm共重合体のマンニッヒ変性物などを挙げることができる。
【0015】
本発明の塗工紙排水汚泥は、下記の式(1)で定義する炭酸カルシウム含有量が全無機成分固形分重量あたり30〜95固形分重量%の範囲が望ましい。好ましくは40〜95固形分重量%、更に好ましくは45〜95固形分重量%である。30固形分重量%未満では、焼却灰が固着し、ワイヤーやスリッター刃の摩耗度が高くなるので好ましくない。一方、炭酸カルシウム含有率が高いほど焼却灰は固着が少なく柔らかであり、摩耗度が低い。
式(1)
炭酸カルシウム含有率(%)=100×A/B
B:塗工紙排水汚泥の固形分重量10gの有機分を、800℃×5時間完全燃焼させた後に残る無機分の絶乾重量。
A:Bの灰に塩酸を添加し、カルシウムなどの金属を塩酸に溶解した後、カルシウム濃度を原子吸光分析法により測定し、この測定値を炭酸カルシウムに換算した値。
【0016】
塗工紙排水汚泥中の炭酸カルシウム含有率が全無機成分固形分重量あたり30固形分重量%未満の汚泥の場合、排水処理装置から抜き出した該汚泥に炭酸カルシウムを添加混合し、炭酸カルシウム含有率が全無機成分固形分重量あたり30〜95固形分重量%となるように調製することが望ましい。好ましくは40〜95固形分重量%、更に好ましくは45〜95固形分重量%になるように調製する。30固形分重量%未満では、焼却灰が固着し、ワイヤーやスリッター刃の摩耗度が高くなるので好ましくない。一方、95固形分重量%を超えると添加する炭酸カルシウムの量が多くなるので現実的ではない。添加する炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムでも軽質炭酸カルシウムでも良いが、コストの面から重質炭酸カルシウムが好ましい。また、パルプの苛性化工程で水酸化ナトリウムを再生する際に発生し排出される炭酸カルシウムを使用しても良い。該炭酸カルシウムの平均粒子径は1〜100μmの範囲のものを使用できる。好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜10μmである。汚泥の焼却に要する熱エネルギーを低減する観点から、また炉内での処理時間の短縮化(焼却灰のワイヤー摩耗度低減につながる)の観点から、該炭酸カルシウムは粉体を添加することが好ましく、この場合、後続の成形機の前の段階で汚泥と混練し、添加した炭酸カルシウムを均一に分散させることが望ましい。
【0017】
塗工紙排水汚泥を炉で焼却するに先立って、該排水汚泥を押出成形機で処理し、成形体を形成させる。成形体の直径は3〜10mmの範囲が良く、好ましくは3〜5mmである。長さは5〜20mmの範囲が良く、好ましくは7〜15mmである。この形状は押出成形機での加工のしやすさ、成形体の炉内での壊れにくさ、炉内での燃焼の状況などを総合的に判断して決めた適切な範囲である。また、この形状とすることにより、炭化・焼成の過程で成形体内部に均一に熱が伝わり、有機成分が効率よく燃焼する。このため、過度の温度での炭化・焼成を避けることができ、該排水汚泥中の無機成分粒子の硬化あるいは無機成分粒子同士の反応による固い物質の生成を少なくすることができる。
【0018】
本発明者らは種々の型式の炉を検討した結果、塗工紙排水汚泥を回転あるいは流動させることが可能な型式の炉のほうが、該排水汚泥への伝熱が良好であること、また、成形体外層が燃焼し灰化した後、回転あるいは流動の運動により、灰部が成形体から脱落し、新たな未燃焼部分が表面に出ることで効率よく燃焼し、過度な温度での炭化・焼成を避けることができることを見いだした。該排水汚泥の焼却設備は極力単純なものが設備の維持の面で好ましいので、これらを総合すると、炉の型式としては一つの設備内で乾燥、炭化、焼成が可能なロータリーキルンが最も好ましい。
【0019】
前記の特定形状とし、更に炉をロータリーキルンとすることで、塗工紙排水汚泥の焼成最高温度を低く設定することができる。ロータリーキルン内での乾燥・炭化の温度は200〜600℃で行われる。これに続く焼成は更に昇温しながら行い、最高温度を850℃とすることが良い。好ましくは、最高温度800℃である。この温度でも有機分の燃焼効率が優れているので、得られる焼却灰は未燃焼分が少なく、高白色度となる。表1に主な製紙用填料や顔料について、その構造が変化する温度、あるいは別鉱物の生成温度、分解温度などを公知文献からまとめた。ロータリーキルンでの該排水汚泥の焼成を600〜850℃で行う場合、カオリンの脱水によるメタカオリンの生成は避けられないが、カオリンからのγアルミナの生成やムライトの生成をなくすことができる。また、タルクも変化は無く、炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解も抑えることができる。
【0020】
【表1】
Figure 2004176208
【0021】
カオリンがメタカオリンを生成する反応は脱水反応であるが、この反応の際に、カオリン粒子自体の硬化、カオリン粒子同士の固着、カオリン粒子と他の珪酸塩鉱物(例えばタルクなど)の固着が起こり、粉砕されにくい固い大きな粒子となる性質がある。このような粒子を含む填料のワイヤー摩耗度は大きくなる。この問題は、ロータリーキルンに入る塗工紙排水汚泥中の炭酸カルシウム含有率を全無機成分固形分重量あたり30〜95固形分重量%とすることにより、好ましくは40〜95固形分重量%、更に好ましくは45〜95固形分重量%とすることにより、解決できる。このメカニズムは明らかではないが、カオリンの脱水反応が起こる時に、隣接するカオリン粒子の間に、また、カオリン粒子と他の珪酸塩鉱物粒子の間に炭酸カルシウム粒子が存在することで、カオリン粒子同士またカオリンと他の珪酸塩鉱物粒子とが固着することを防止することが考えられる。
【0022】
塗工紙排水汚泥の乾燥、炭化、焼成の全ては一つのロータリーキルン内で行い、処理時間は1.5〜2.0時間の短時間で完了することが好ましい。
【0023】
ロータリーキルンから排出される塗工紙排水汚泥焼却灰は、ローラミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機などの乾式粉砕機、または、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用して、平均粒子径0.5〜15μmの範囲、好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは0.5〜5μmに粉砕する。本願発明では、塗工紙排水汚泥の焼却最高温度を850℃という比較的低い温度で処理できるため、該汚泥中の炭酸カルシウムが酸化カルシウムへ酸化分解する量は少ないが、粉砕時に炭酸ガスを吹き込み、中和する。
【0024】
以上の処理により、本発明の填料は白色度が高く、填料歩留まりに優れ、ワイヤー摩耗度の少ない、しかも、これらの品質が安定している填料となる。
【0025】
次に、本発明の填料を充填した紙について説明する。本発明の塗工紙排水汚泥焼却灰から調製した填料を使用できる紙は、従来の填料を充填している紙であれば良く、特に限定はない。紙のパルプ原料としては、機械パルプ(SGP、RGP、PGW、TMP、CTMP、BCTMP)、化学パルプ、古紙パルプいずれの原料も使用できる。また、紙の種類としては、包装用紙、紙容器、記録用紙(インクジェット用紙、PPC用紙、感熱記録用紙、熱転写用紙、感圧記録用紙)、印刷用紙(新聞用紙、上質紙、中質紙)、各種塗工用(コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャストコート紙など)原紙、壁紙、繊維板、写真用原紙、含浸用原紙、再生紙、難燃紙などが挙げられる。
【0026】
本発明の塗工紙排水汚泥焼却灰を原料とする填料の紙への配合量は、紙の種類によって異なるが、紙重量あたり1〜40固形分重量%である。本発明の効果を損なわない範囲で従来の填料として、クレー、シリカ、タルク、焼成カオリン、水酸化アルミニウムなどの無機填料、あるいは、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホリマリン樹脂、メラミン樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体樹脂などの合成樹脂から製造される有機填料を併用することもできる。また、必要に応じて、PAM系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの濾過性あるいは歩留まり向上剤;硫酸アルミニウム、耐水化剤、紫外線防止剤、退色防止剤などの助剤を含有しても良い。
【0027】
本発明の填料を抄紙機で添加する方法は通常の方法で行われる。パルプ、染料、サイズ剤、他の填料などから成る混合懸濁液に、塗工紙排水汚泥焼却灰を原料とする填料の懸濁液を添加し、抄紙する。プレス、サイズプレス、キャレンダーなども通常の方法で処理できる。
【0028】
本発明の塗工紙排水汚泥焼却灰を原料とする填料を充填した紙の場合、従来の填料を充填した場合に比較して、白色度や不透明度の光学特性が優れている。また、嵩高でありながら紙力低下が少ない紙が得られる。
【0029】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、説明中、パーセントは固形分重量%を示す。試験方法を次に示す。
(1)填料のISO白色度:ISO白色度はディスクを形成し色度計で測定した。
(2)填料のワイヤー摩耗度:アインレーナー摩耗試験機を用い、10%濃度の填料スラリーで、試験用のブロンズワイヤーが削られる重量を測定した。
実施例および比較例で製造した中性上質紙について、嵩高性、白色度、不透明度、裂断長、填料歩留まり、灰分、TOPR(トータルワンパスリテンション)、AOPR(アッシュワンパスリテンション)を以下に示す方法にて測定した。
(3)紙の白色度:白色度はJIS P 8123に基づき、ハンター白色度計で測定した。
(4)不透明度:不透明度はJIS P 8123に基づき、ハンター反射率計を使用して測定した。
(5)填料歩留まり:予め作成しておいた、填料を配合していない手抄きシート(ブランク)および填料を配合した手抄きシートより10cm×10cmの紙片を切り取り、105℃×3時間乾燥させた後、絶乾重量を測定する。次に、この絶乾紙片を電気炉にて575℃×2時間、灰化し、シート中に含まれる灰分重量を測定する。填料歩留まりは下記の式より算出した。
填料歩留まり(%)=100×{(填料配合シート灰分重量/同絶乾重量)−(ブランク灰分重量/同絶乾重量)}/填料配合率
(6)裂断長:JIS P 8113により次式で求めた。
裂断長=引張強度/(試験片の幅×試験片の坪量)×1000
(7)灰分:JIS P 8123に灰化温度は575℃とした。
(8)TOPR:ダイナミックドレネージテスタ(DDJ)にて、総歩留まり(%)を測定。
(9)AOPR:DDJにて、灰分の歩留まり(%)を測定。
【0030】
【実施例1】
日本製紙株式会社の紙パルプ工場内にある塗工紙製造工程からの排水のみを処理する処理設備から排水汚泥を採取した。この処理設備では硫酸アルミニウムを3,500mg/l、アニオン性高分子凝集剤を30mg/l、両性高分子凝集剤(カチオン構成単位とアニオン構成単位のモル比=1.5)を50mg/l添加混合し凝集物を生成させ、この凝集物を滞留時間10分間、周速30m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒濃縮している。この造粒濃縮した汚泥の固形分濃度は51重量%であり、成分値を表2に示す。この汚泥を押出成形機で成形し、これをロータリーキルンに入れ、この一つのキルン内で、最高温度800℃で乾燥・炭化・焼成処理を連続して行い、全ての処理を2.0時間で終了した。得られた焼却灰を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて、レーザー回折/散乱法による体積平均粒子径D50で2.5μmに粉砕した。粒度分布測定装置はマスターサイザーS(マルバーン社製)を用いた。尚、粉砕時に炭酸ガスを吹き込み、pH=8.5まで中和した。この粉砕品について、ISO白色度、ワイヤー摩耗度を測定した。結果を表3に示した。
【0031】
【表2】
Figure 2004176208
【0032】
【実施例2】
実施例1と同じ条件で排水処理されているが、炭酸カルシウム含有率が低い塗工紙排水汚泥(成分値を表2に記載、固形分濃度45%)に平均粒子径2.5μmの粉体の重質炭酸カルシウムを添加し、該排水汚泥中の炭酸カルシウムを全無機成分固形分重量あたり50.0固形分重量%に調製した。これを実施例1と同様に押出成形加工と焼却処理および粉砕・中和処理を行い、平均粒子径2.5μmの粉砕品を得た。この粉砕品について実施例1と同じ項目を測定した。結果を表3に示した。
【0033】
【比較例1】
市販のタルク(平均粒子径6.1μm)のISO白色度、ワイヤー摩耗度を測定した。結果を表3に示した。
【0034】
【比較例2】
市販のカオリン(平均粒子径4.5μm)のISO白色度、ワイヤー摩耗度を測定した。結果を表3に示した。
【0035】
【比較例3】
市販の重質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm)のISO白色度、ワイヤー摩耗度を測定した。結果を表3に示した。
【0036】
【表3】
Figure 2004176208
【0037】
実施例1の塗工紙排水汚泥焼却灰粉砕品のISO白色度、ワイヤー摩耗度はそれぞれ88.2%、6mgであり、実施例2では88.4%、5mgであった。比較例1では80.1%、10mg、比較例2では77.4%、13mg、比較例3では87.1%、15mgであった。実施例1、2の填料のISO白色度、ワイヤー摩耗度が優れていることがわかる。
【0038】
【実施例3】
広葉樹パルプ(LBKP濾水度407ml)のスラリー(固形分濃度0.50%)に、実施例1の焼却灰粉砕品の填料スラリーをパルプ絶乾重量あたり20%となるように添加し、3分間撹拌後、硫酸バンドを絶乾重量あたり0.5%添加した。更に1分間撹拌した後、紙力剤として、ポリアクリルアミドPS462(荒川化学製)をパルプの絶乾重量あたり、0.3%添加撹拌し、pHが8.5になるように硫酸バンドを微量添加した。この調製したパルプスラリーを用いて、丸型手抄き器で目標坪量64g/m、紙中灰分13重量%となるように抄紙し、プレスにより脱水後、送風乾燥機にて乾燥し、シートサンプルを作成した。この手抄き紙の白色度、不透明度、密度、嵩高率、裂断長、紙中灰分を測定した。また、この手抄き原料についてTOPR、AOPRを測定した。結果を表4に示す。
【0039】
【実施例4】
実施例3の焼却灰粉砕品を実施例2の焼却灰粉砕品に代えた以外は、実施例3と同様に手抄き紙を作成し、実施例3と同じ項目を測定した。結果を表4に示す。
【0040】
【比較例4】
実施例3の焼却灰粉砕品を比較例1の市販のタルク(平均粒子径6.1μm)に代えた以外は、実施例3と同様に行った。結果を表4に示す。
【0041】
【比較例5】
実施例3の焼却灰粉砕品を比較例2の市販のカオリン(平均粒子径4.5μm)に代えた以外は、実施例3と同様に行った。結果を表4に示す。
【0042】
【比較例6】
実施例3の焼却灰粉砕品を比較例3の市販の重質炭酸カルシウム(平均粒子径2.5μm)に代えた以外は、実施例3と同様に行った。結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 2004176208
【0044】
表4に示すように、実施例3の手抄き紙の白色度、不透明度がそれぞれ85.0%、87.7%であり、実施例4では85.2%、87.6%であった。比較例4の81.1%、85.7%、比較例5の81.5%、85.5%、比較例6の82.1%、85.9%に比較して、実施例3、4は白色度と不透明度が向上している。密度に関しては、実施例3が0.53g/cmであり、実施例4が0.55g/cmであった。比較例4、5、6がそれぞれ0.63、0.65、0.66g/cmであり、実施例4、5では密度低下が認められ、嵩高性が大幅に向上した。紙力に関しては、実施例3の裂断長が3.51kmであり、実施例4が3.49kmであった。比較例4、5、6がそれぞれ3.21、3.22、3.25kmであり、実施例3、4では紙力が向上した。
【0045】
TOPRとAOPRに関しては、実施例3でそれぞれ96.0%、95.8%であり、実施例4では94.0%、93.8%であった。比較例4の86.1%、85.2%、比較例5の86.2%、85.1%、比較例6の86.4%、85.3%に比較して、TOPRとAOPRが向上した。
【0046】
【発明の効果】
(1)塗工紙製造工程の排水に無機凝集剤、アニオン性高分子凝集剤およびカチオン構成単位とアニオン構成単位とのモル比が1以上の両性高分子凝集剤を順次添加し、生成する凝集生成物を固形物の滞留時間が6分間以上で、かつ周速20〜50m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒または造粒濃縮する排水処理工程
(2)前記の排水処理工程から排出される汚泥を成形機で成形する工程
(3)前記の成形汚泥を一つのロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成の順序で連続して処理して焼却灰を得る工程
(4)前記の焼却灰を粉砕し、同時に炭酸ガスで中和する工程
から成る一連の工程を経て処理することにより、廃棄物として処分されていた塗工紙排水汚泥焼却灰を原料として、高白色度でワイヤー摩耗度が低く、かつこれらの品質が安定している填料を製造できる。また、該填料を充填することにより、嵩高性、紙力、不透明度、白色度が高い紙を製造できる。

Claims (6)

  1. 塗工紙製造工程の排水処理汚泥からの填料の製造方法であって、
    (1)該排水に無機凝集剤、アニオン性高分子凝集剤およびカチオン構成単位とアニオン構成単位とのモル比が1以上の両性高分子凝集剤を順次添加し、生成する凝集生成物を固形物の滞留時間が6分間以上で、かつ周速20〜50m/分の撹拌羽根を備えた造粒槽で造粒または造粒濃縮する排水処理工程
    (2)前記の排水処理工程から排出される汚泥を成形機で成形する工程
    (3)前記の成形汚泥を一つのロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成の順序で連続して処理して焼却灰を得る工程
    (4)前記の焼却灰を粉砕し、同時に炭酸ガスで中和する工程
    から成る一連の工程を経て処理されることを特徴とする製紙用填料の製造方法。
  2. 塗工紙製造工程の排水処理汚泥中の炭酸カルシウム含有率が全無機成分固形分重量あたり30〜95固形分重量%であることを特徴とする請求項1に記載の製紙用填料の製造方法。
  3. 炭酸カルシウム含有率が全無機成分固形分重量あたり30固形分重量%未満である塗工紙製造工程の排水処理汚泥に、成形工程前で炭酸カルシウムを添加し、炭酸カルシウム含有率が全無機成分固形分重量あたり30〜95固形分重量%となるように調製することを特徴とする請求項1に記載の製紙用填料の製造方法。
  4. キルン内の温度範囲が200〜850℃であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のいずれか一つの製紙用填料の製造方法。
  5. 製紙用填料の粒子径が、レーザー回折/散乱法による50%体積平均粒子径で0.5〜15μmであることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のいずれか一つの製紙用填料の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5に記載のいずれか一つの填料を、1〜40固形分重量%充填した紙。
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