JP2004181722A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される樹脂成形品を容易に製造することが可能な樹脂成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】予め所望形状に加工された加飾フィルム20をインサート部品として用いたインサート成形により、基材10の表面に加飾フィルム20が一体成形されたセンターエンブレム1が製造される。加飾フィルム20は、裏層から順にバッキング層、第1接着層、金属蒸着層、第2接着層、中間フィルム層、外部保護フィルム層が積層されている。その結果、基材10の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出されるセンターエンブレム1を容易に製造することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のホイール回りの意匠性を向上させるためのホイールキャップ又はセンターエンブレム等の樹脂成形品の製造方法に関し、より詳しくは、メッキ調の外観を有する樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に用いられている樹脂成形品のうち、メッキ調の外観を有するものとしては、ホイールキャップやセンターエンブレム等が代表的である。そして、これらメッキ調を有する樹脂成形品によって、ホイール回りの意匠性の向上が図られている。
【0003】
従来のセンターエンブレムを図8に従って説明する。図8に示すように、センターエンブレム100は、円板状の天板部101、その天板部101を囲むリング部102、そのリング部102から下方に延出された複数の爪部103、それら爪部103を当該センターエンブレム100の外側へ付勢するバックアップリング104を備えている。そして、爪部103を介してセンターエンブレム100が図示しないホイールのインロー部に形成された穴に装着されると、その穴が当該センターエンブレム100で覆われる。このとき、バックアップリング104の付勢力により、ホイールに対するセンターエンブレム100の抜けが防止される。
【0004】
ところで、天板部101の中央部には、ロゴマーク部101aが周囲の天板部101よりも上方に突出されて形成されている。そして、このロゴマーク部101aを含む天板部101の表面全体及びリング部102の表面大半は、メッキ調の外観を有している。そして、このようなメッキ調の外観(光輝意匠)を醸し出すために、従来から各種の方法が用いられている。
【0005】
まず、第1の方法としては、樹脂材料を用いた射出成形により基材を製造した後、その基材の表面に樹脂メッキ(いわゆるプラメッキ)を施す方法が挙げられる。
【0006】
次に、第2の方法としては、樹脂材料を用いた射出成形と同時に、メッキ調の外観を有する箔を基材の表面に転写する、いわゆるインモールド転写成形による方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
次に、第3の方法としては、樹脂材料を用いた射出成形により基材を製造した後、その基材の表面に高光輝塗料を塗装する方法が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−80891号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の方法では、射出成形後に多くの工程(一般的に洗浄工程を含めて20〜30工程)が必要であることから、加工時間が長くなる。その結果、製造コストの高騰を招く問題がある。また、メッキ処理では化学的に活性度の高い薬品を用いることから作業環境が悪く、廃液処理も必要である。このため、メッキ処理にかかる設備とともに、公害対策として廃液処理にかかる設備も必要となる。その結果、設備コストの高騰を招く問題がある。
【0010】
さらに、メッキ処理に先立って、樹脂材料を用いた射出成形により基材を製造する場合には、後のメッキ処理に対応可能な樹脂材料、つまり一般的な汎用の樹脂材料と比較して高価な樹脂材料又は高グレードの樹脂材料を選定する必要がある。特に、センターエンブレム等は自動車のホイール回りに用いられることから、高剛性かつ高耐熱性の樹脂材料が要求される。その結果、選定条件を満足する樹脂材料が制約されて材料コストの高騰を招く問題がある。
【0011】
また、メッキ処理に伴って金属のメッキ膜が基材の表面に付着して樹脂が硬化すると、樹脂本来の柔軟性が損なわれることになる。このため、特に、メッキ膜が前記爪部103に付着した状態で、センターエンブレム100に急激な衝撃力が加わると、爪部103が損傷される虞がある。そこで、メッキ処理に先立って爪部103をマスキングすることも考えられるが、マスキング工程の追加に伴うコストの高騰を招く問題がある。ちなみに、前記バックアップリング104は、メッキ膜の付着に伴って損なわれた爪部103の柔軟性を代用する目的で設けられたものである。
【0012】
これらのように第1の方法では、様々な要因によるコストの高騰を招く問題がある。
一方、第2の方法では、メッキ調の外観を有する箔が転写される基材の表面が複雑な立体形状をなしている場合に、箔が基材の表面に追従され難く、箔に「シワ」や「破れ」が生じる可能性がある。このように第2の方法では、基材の形状が制約される問題がある。
【0013】
他方、第3の方法では、まず基材の表面性状を調えるためのプライマー塗装を行った後、高温で乾燥させる。そして、金属を含むベース溶液を吹き付けて一定時間放置した後、クリア塗装を行う。このように第3の方法では、射出成形後に多くの工程が必要であることから、加工時間が長くなる。その結果、製造コストの高騰を招く問題がある。また、有機溶剤の使用、塗装カスの発生を免れないことから作業環境が悪く、廃液処理も必要である。このため、塗装処理にかかる設備とともに、公害対策として廃液処理にかかる設備も必要となる。その結果、設備コストの高騰を招く問題がある。
【0014】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される樹脂成形品を容易に製造することが可能な樹脂成形品の製造方法を提供することにある。また、他の目的は、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有する樹脂成形品を低コストにて製造することが可能な樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、樹脂材料により射出成形される基材の表面に、メッキ調を有する加飾フィルムをインサート成形により一体成形する。
【0016】
従って、請求項1に記載の発明によれば、予め所望形状に加工された加飾フィルムをインサート部品として用いたインサート成形により、基材の表面に加飾フィルムが一体成形された樹脂成形品が製造される。このため、加飾フィルムの表面側に位置する金型の内面形状を当該加飾フィルムの表面形状に対応させて形成しておけば、加飾フィルムの裏面に対して溶融樹脂を射出して硬化させるのみで、好適に樹脂成形品(インサート成形品)を製造し得る。換言すれば、加飾フィルムの表面が前記金型の内面形状に沿って密着された状態で射出成形(インサート成形)が行われることから、従来のインモールド転写成形による方法で射出成形品を製造する場合とは異なり、積極的に加飾フィルムを基材の表面に追従させる必要はない。その結果、加飾フィルムに「シワ」や「破れ」が生じる余地はない。加えて、メッキ調の外観を醸し出すためにメッキ処理や塗装処理を行う必要もない。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法において、インサート成形に先立って、シート状の加飾フィルムを所望形状に加工する予備成形を行う。
【0018】
従って、請求項2に記載の発明によれば、予備成形により加飾フィルムを複雑な立体形状にも成形し得る。そして、このように予備成形された加飾フィルム(インサート部品)を用いたインサート成形が可能であり、基材の形状が制約されることはない。
【0019】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法において、被トリミング部を有する形状に予備成形された加飾フィルムに対してプレス加工によりトリミングを行った後、これら予備成形及びプレス加工により所望形状に加工された加飾フィルムを用いたインサート成形を行う。
【0020】
従って、請求項3に記載の発明によれば、シート状の加飾フィルムは、まず予備成形により被トリミング部を有する形状に加工された後、プレス加工によりトリミングされて所望形状に加工される。そして、これら予備成形及びプレス加工により所望形状に加工された加飾フィルムを用いたインサート成形が行われる。このようにメッキ処理や塗装処理は一切行われないことから、メッキ膜の厚みムラや塗装ムラが生じる余地はない。換言すれば、均一な厚みで複雑な立体形状にも加工され得る加飾フィルムを用いたインサート成形が可能となる。このため、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される樹脂成形品を容易に製造することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を具体化した一実施形態について図面を用いて説明する。
図1はセンターエンブレム1の斜視図であり、図2はセンターエンブレム1の断面図である。センターエンブレム1は、基材10と、その基材10の表面形状に沿って設けられた加飾フィルム20とを備えている。
【0022】
基材10は、円板状の天板部11、その天板部11を囲むリング部12、そのリング部12から下方に延出された複数の爪部13を備えている。天板部11の中央部には、ロゴマーク部11aが周囲の天板部11よりも上方に突出されて形成されている。そして、このロゴマーク部11aの周囲の天板部11は、ロゴマーク部11aからリング部12に向かう程、なだらかな曲線状に下方傾斜されている。そして、ロゴマーク部11aを含む天板部11の表面全体及びリング部12の表面大半に亘って、加飾フィルム20が設けられている。
【0023】
この加飾フィルム20は、前記基材10の天板部11、ロゴマーク部11a、リング部12にそれぞれ対応する天板被覆部21、ロゴマーク被覆部21a、リング被覆部22を備えている。尚、図1及び図2においては図示されていないが、天板被覆部21の表面には、ロゴマーク被覆部21aの表面を除いて、シボ等の微細な凹凸面が形成されている。厳密に言えば、天板部11の表面にも、ロゴマーク部11aの表面を除いて、シボ等の微細な凹凸面が形成されている。このため、センターエンブレム1はメッキ調の外観を有し、特に、ロゴマーク被覆部21aの表面とその周囲の天板被覆部21の表面とでは、シボの有無の関係から光輝感が異なる。その結果、ロゴマーク被覆部21aの表面にあっては、その周囲の天板被覆部21の表面と比較して際立った光輝意匠、つまり高光輝感が醸し出されている。
【0024】
図3に示すように、加飾フィルム20は、裏層から順にバッキング層20a、第1接着層20b、金属蒸着層20c、第2接着層20d、中間フィルム層20e、外部保護フィルム層20fが積層されている。
【0025】
ここで、基材10及び加飾フィルム20を構成する各層20a〜20fに好適な材料を列挙する。
まず、基材10に好適な樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂等も挙げられる。そして、これら樹脂材料(熱可塑性樹脂材料)のうち、成形加工が容易で、かつ屋外暴露性及び機械的特性に優れたアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合系樹脂を基材10に用いる構成が好ましい。
【0026】
次に、バッキング層20aに好適な樹脂材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。そして、バッキング層20aと前記基材10とは、後述するインサート成形により互いに密着されることから、基材10の樹脂材料と同類系の樹脂材料からなる樹脂シートをバッキング層20aに用いる構成が好ましい。このように構成すれば、基材10とバッキング層20aとの間に好適な高い接着強度(密着性)が得られる。
【0027】
次に、金属蒸着層20cに好適な金属材料としては、アルミニウム、クロム、インジウム、又は前記金属材料を含んだ合金等が挙げられる。
次に、中間フィルム層20e及び外部保護フィルム層20fに好適な樹脂材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。そして、これら樹脂材料のうち、成形加工が容易で、かつ屋外暴露性及び機械的特性に優れたアクリル系樹脂からなる樹脂シートを中間フィルム層20e及び外部保護フィルム層20fに用いる構成が好ましい。特に、加飾フィルム20には金属蒸着層20cが設けられていることから、中間フィルム層20e及び外部保護フィルム層20fは、金属蒸着層20cの腐食防止用保護シートとしての機能を有している。
【0028】
次に、第1接着層20b及び第2接着層20dに好適な樹脂材料としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。そして、加飾フィルム20は、後述するインサート成形時には高温環境下かつ伸縮環境下で使用される。また、加飾フィルム20を備えたセンターエンブレム1が自動車のホイール回りに装着されると、加飾フィルム20は、自動車の走行時には回転環境下等で使用されることになる。これらのことから、上記したいずれかの樹脂材料のバインダーを用いた第1接着層20b及び第2接着層20dにより、バッキング層20aと金属蒸着層20cとの剥離強度、中間フィルム層20eと金属蒸着層20cとの剥離強度を、それぞれ6ニュートン単位平方メートル以上とする構成が好ましい。
【0029】
次に、センターエンブレム1の製造方法について説明する。
まず、平坦な円形シート状の加飾フィルム20を予備成形により所望形状に加工する。具体的には、図4に示すように、予備成形として真空成形型30を用いた真空成形を行う。ここで、真空成形型30には、ロゴマーク対応突部31aを有する丘陵部31、その丘陵部31を囲む隆起部32、その隆起部32を囲む台座部33が形成されている。尚、隆起部32の表面と台座部33の表面との中間位置には、円滑面34が形成されている。
【0030】
そして、加飾フィルム20を図示しないクランプで把持しながら加熱し、当該加飾フィルム20を軟化させて塑性変形可能とする。その後、この軟化された加飾フィルム20に向かって真空成形型30を上昇させて複数の真空孔35を介して真空吸引する。すると、軟化された加飾フィルム20が真空成形型30の表面形状に沿って密着される。
【0031】
やがて、加飾フィルム20が冷却されて硬化されると、図4に示す形状となる。具体的には、この硬化された加飾フィルム20には、天板被覆部21、ロゴマーク被覆部21a、リング被覆部22が形成される。加えて、リング被覆部22の周囲には、リング状の被トリミング部23が形成される。尚、リング被覆部22と被トリミング部23との中間位置には、円滑面34に沿った円滑部24が形成される。
【0032】
次に、このように硬化された加飾フィルム20に対してプレス加工を行う。具体的には、リング被覆部22と被トリミング部23との中間位置よりも若干被トリミング部23側の位置、つまり円滑部24を越えた位置で加飾フィルム20を切断する。その結果、図5に示すように、円滑部24から短く外側へ延びる端部25を有する形状にトリミングされたインサート部品(加飾フィルム20)が製造される。
【0033】
次に、このように予備成形及びプレス加工により所望形状に加工された加飾フィルム20を用いたインサート成形を行う。具体的には、図6に示すように、キャビ型40及びコア型50を用いてインサート成形を行う。ここで、キャビ型40には、ロゴマーク対応凹部41aを有するシボ面41、そのシボ面41を囲む深底面42が凹設されている。尚、実際のシボ面41は、微細な凹凸が組み合わされて構成されているが、説明の便宜上、図6ではシボ面41を拡大して図示してある。
【0034】
一方、コア型50は、コア型本体50a及び複数のスライド金型50bを備えている。コア型本体50aの中央部には、ロゴマーク対応突部51aを有する丘陵部51、その丘陵部51を囲む隆起部52が形成されている。そして、コア型本体50aと複数のスライド金型50bとの間の空間により、コア型50には複数の爪対応凹部53が形成されている。
【0035】
そして、インサート部品(加飾フィルム20)のロゴマーク被覆部21aがロゴマーク対応凹部41aに対応するように位置決めを行いながら、当該加飾フィルム20を吸引してキャビ型40に装填する。その結果、加飾フィルム20の表面は、キャビ型40の内面に密着される。その後、このキャビ型40を下降させてコア型50に対して型締めする。そして、図示しない射出成形機のノズルから溶融樹脂が射出されると、その溶融樹脂はゲート54を介してキャビ型40とコア型50との間のキャビティ内に導入される。尚、この溶融樹脂は、硬化後に基材10となるものである。
【0036】
このように溶融樹脂がキャビティ内に導入されることに伴って、加飾フィルム20の裏面は、溶融樹脂からキャビ型40の内面側に向かって圧力を受ける。このため、加飾フィルム20の表面は、キャビ型40の内面形状に沿って密着(転写)される。その結果、天板被覆部21の表面には、ロゴマーク被覆部21aの表面を除いて、シボが形成される。また、円滑部24及び端部25は、深底面42の形状に沿って伸ばされる。加えて、溶融樹脂が有している熱により、加飾フィルム20の最裏層であるバッキング層20aの一部が溶融される。そして、溶融樹脂(基材10)とバッキング層20aとは、上記したように同類系の樹脂材料を用いていることから、両者は好適に密着される。
【0037】
やがて、キャビティ内の溶融樹脂が冷却されて硬化されると、キャビ型40をコア型50に対して型開きするとともに、複数のスライド金型50bをスライドさせて、樹脂成形品(インサート成形品)を取り出す。そして、このインサート成形品が図1及び図2に示すセンターエンブレム1である。尚、このセンターエンブレム1が図2に1点鎖線で示すホイールHに装着されると、加飾フィルム20の端部25は、ホイールH内に達して隠れるようになっている。
【0038】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)予め所望形状に加工された加飾フィルム20をインサート部品として用いたインサート成形により、基材10の表面に加飾フィルム20が一体成形されたセンターエンブレム1が製造される。このため、加飾フィルム20の表面側に位置するキャビ型40の内面形状を当該加飾フィルム20の表面形状に対応させて形成しておけば、加飾フィルム20の裏面に対して溶融樹脂を射出して硬化させるのみで、好適にセンターエンブレム1を製造し得る。
【0039】
換言すれば、加飾フィルム20の表面が前記キャビ型40の内面形状に沿って密着された状態で射出成形(インサート成形)が行われることから、従来のインモールド転写成形による方法で射出成形品を製造する場合とは異なり、積極的に加飾フィルム20を基材10の表面に追従させる必要はない。その結果、加飾フィルム20に「シワ」や「破れ」が生じる余地はない。従って、基材10の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出されるセンターエンブレム1を容易に製造することができる。
【0040】
(2)加えて、メッキ調の外観を醸し出すためにメッキ処理や塗装処理を行う必要もない。従って、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有するセンターエンブレム1を低コストにて製造することができる。
【0041】
(3)メッキ処理が行われないことから、爪部13は樹脂本来の柔軟性が維持される。このため、従来とは異なり、バックアップリング104(図8参照)を省略することができる。従って、センターエンブレム1の構成、特にホイールHに対する保持構造を簡素化することによるコストダウンを図ることができる。また、爪部13の柔軟性が維持されるが故に、ホイールHからセンターエンブレム1を取り外す場合に爪部13が損傷される虞を極力抑制することができる。従って、センターエンブレム1の信頼性を向上させることができる。
【0042】
(4)インサート成形に先立って、シート状の加飾フィルム20を所望形状に加工する予備成形が行われる。このため、予備成形により加飾フィルム20を複雑な立体形状にも成形し得る。そして、このように予備成形された加飾フィルム20(インサート部品)を用いたインサート成形が可能であり、基材10の形状が制約されることはない。従って、複雑な立体形状をなすセンターエンブレム1を容易に製造することができる。
【0043】
(5)シート状の加飾フィルム20は、まず予備成形により被トリミング部23を有する形状に加工された後、プレス加工によりトリミングされて所望形状に加工される。そして、これら予備成形及びプレス加工により所望形状に加工された加飾フィルム20を用いたインサート成形が行われる。このようにメッキ処理や塗装処理は一切行われないことから、メッキ膜の厚みムラや塗装ムラが生じる余地はない。換言すれば、均一な厚みで複雑な立体形状にも加工され得る加飾フィルム20を用いたインサート成形が可能となる。このため、基材10の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出されるセンターエンブレム1を容易に製造することができる。
【0044】
(6)加飾フィルム20は、裏層から順にバッキング層20a、第1接着層20b、金属蒸着層20c、第2接着層20d、中間フィルム層20e、外部保護フィルム層20fが積層されている。そして、基材10の樹脂材料と同類系の樹脂材料からなる樹脂シートをバッキング層20aに用いている。このため、基材10とバッキング層20aとは好適に密着される。従って、センターエンブレム1が過酷な環境下で使用された場合でも、加飾フィルム20が基材10から剥離されることはなく、好適な光輝意匠を維持することができる。また、第1接着層20b及び第2接着層20dを備えていることからも同様の効果が得られる。
【0045】
(7)金属蒸着層20cとしてアルミニウムやクロムの蒸着層を用い、中間フィルム層20e及び外部保護フィルム層20fが金属蒸着層20cの腐食防止用保護シートとしての機能を有している。このため、経年変化による腐食や酸化が発生し難く、しかも隣層との密着性も高く、さらにはセンターエンブレム1の軽量化及びリサイクル性に大いに貢献することができる。よって、センターエンブレム1が有する光輝意匠を長年に亘って維持することができる。このことは長年に亘って好適な光輝意匠が要求される車両用樹脂成形品(センターエンブレム1)にあっては、非常に有効である。
【0046】
(8)ロゴマーク被覆部21aの表面とその周囲の天板被覆部21の表面とでは、シボの有無の関係から光輝感が異なる。その結果、ロゴマーク被覆部21aの表面にあっては、その周囲の天板被覆部21の表面と比較して際立った光輝意匠、つまり高光輝感を醸し出すことができる。
【0047】
(9)加飾フィルム20の端部25は、ホイールH内に達して隠れるようになっている。このため、ホイールH回りの見映えを向上させることができる。
(10)インサート部品(加飾フィルム20)のロゴマーク被覆部21aがロゴマーク対応凹部41aに対応するように位置決めを行いながら、当該加飾フィルム20を吸引してキャビ型40に装填している。このように位置決めを行うことにより、位置ズレによる不良品の発生を著しく低減させることができる。換言すれば、センターエンブレム1の生産性を向上することができる。また、ロゴマーク対応凹部41aを設けているが故に、射出成形時にロゴマーク被覆部21aに対して過度のストレスが付与されることはない。従って、金属蒸着層20cにクラックや破断が発生することはなく、このようなことからも不良品の発生を低減させることができる。
【0048】
(11)予めシボ面41が形成されたキャビ型40を用いてインサート成形を行っていることから、センターエンブレム1に対して容易かつ確実にシボを形成することができる。
【0049】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ロゴマーク部11aが周囲の天板部11よりも下方に凹設された構成としてもよい。
【0050】
・加飾フィルム20を構成する各層20a〜20fの厚さは、樹脂成形品(前記実施形態ではセンターエンブレム1)の用途に要求される性能に応じて適宜変更することが可能である。
【0051】
・加飾フィルム20に絵柄を形成する場合には、中間フィルム層20e又は外部保護フィルム層20fにシルク印刷又はグラビア印刷等を予め施しておけばよい。
【0052】
・自動車用の樹脂成形品は、極めて過酷な環境下(高温高湿環境下、低温低湿環境下、回転環境下、振動環境下、伸縮環境下、衝撃環境下等)で用いられることもある。このため、加飾フィルム20の各層間に高い剥離強度が要求されることになる。そこで、中間フィルム層20eと外部保護フィルム層20fとの間に、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等のバインダーを用いた第3接着層を追加した構成としてもよい。
【0053】
・予備成形として真空成形の代わりに圧空成形を行う構成としてもよい。
・樹脂成形品(前記実施形態ではセンターエンブレム1)の表面にシボを施さない場合には、図6に示すシボ面41を有するキャビ型40に代えて、図7に示す曲線状の緩斜面141を有するキャビ型140を用いればよい。
【0054】
さらに、上記実施形態より把握される技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
〔1〕樹脂材料により射出成形される基材の表面に、裏層から順にバッキング層、第1接着層、金属蒸着層、第2接着層、中間フィルム層、外部保護フィルム層が少なくとも積層された加飾フィルムをインサート成形により一体成形する樹脂成形品の製造方法。このように構成すれば、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される樹脂成形品を容易に製造することができる。また、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有する樹脂成形品を低コストにて製造することができる。
【0055】
〔2〕樹脂材料により射出成形される基材の表面に、裏層から順にバッキング層、第1接着層、金属蒸着層、第2接着層、中間フィルム層、外部保護フィルム層が少なくとも積層された加飾フィルムをインサート成形により一体成形する車両用樹脂成形品の製造方法。このように構成すれば、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される車両用樹脂成形品を容易に製造することができる。また、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有する車両用樹脂成形品を低コストにて製造することができる。尚、自動車のホイール回りの意匠性を向上させるための車両用樹脂成形品の例としては、前記実施形態のセンターエンブレム1、ホイールキャップ、センターオーナメント等が挙げられる。また、ホイール回り以外に用いられる車両用樹脂成形品の例としては、自動車の前部又は後部に設けられるエンブレム、バックドアガーニッシュ等が挙げられる。
【0056】
〔3〕樹脂材料により射出成形される基材の表面に、裏層から順にバッキング層、第1接着層、金属蒸着層、第2接着層、中間フィルム層、外部保護フィルム層が少なくとも積層された加飾フィルムをインサート成形により一体成形するセンターエンブレムの製造方法。このように構成すれば、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出されるセンターエンブレムを容易に製造することができる。また、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有するセンターエンブレムを低コストにて製造することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、基材の形状に拘わらず、好適に光輝意匠が醸し出される樹脂成形品を容易に製造することができる。また、メッキ処理や塗装処理を一切必要とせず、メッキ調の外観を有する樹脂成形品を低コストにて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】センターエンブレムの斜視図。
【図2】センターエンブレムの断面図。
【図3】加飾フィルムの断面図。
【図4】真空成形による予備成形を説明するための断面図。
【図5】プレス加工によりトリミングされたインサート部品の断面図。
【図6】インサート成形を説明するための断面図。
【図7】別の実施形態で用いるキャビ型を説明するための断面図。
【図8】従来のセンターエンブレムの斜視図。
【符号の説明】
1…樹脂成形品としてのセンターエンブレム、10…基材、20…加飾フィルム、20a…バッキング層、20b…第1接着層、20c…金属蒸着層、20d…第2接着層、20e…中間フィルム層、20f…外部保護フィルム層、23…被トリミング部。

Claims (3)

  1. 樹脂材料により射出成形される基材の表面に、メッキ調を有する加飾フィルムをインサート成形により一体成形する樹脂成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法において、インサート成形に先立って、シート状の加飾フィルムを所望形状に加工する予備成形を行う樹脂成形品の製造方法。
  3. 請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法において、被トリミング部を有する形状に予備成形された加飾フィルムに対してプレス加工によりトリミングを行った後、これら予備成形及びプレス加工により所望形状に加工された加飾フィルムを用いたインサート成形を行う樹脂成形品の製造方法。
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