JP2004189718A - 柑橘類外皮を含む発酵物 - Google Patents

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Abstract

【課題】柑橘類、特に柑橘類外皮の苦味を低減させ、生理活性が高めたられた柑橘類外皮を含む発酵物を提供することを目的とする。
【解決手段】柑橘類外皮を含む発酵物であって、柑橘類の外皮を破砕、加熱処理及び/または塩処理を行うことにより、静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させ、その後に発酵させた、柑橘類外皮を含む発酵物であり、苦味が少なく、風味豊であり、また、有効成分の損失が少なく、リパーゼ阻害作用、血液浄化作用、便通改善作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用が高められた有用な発酵物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は柑橘類の外皮のみ、または外皮を含む破砕物を発酵させた柑橘類外皮を含む発酵物に関するものであり、特には、食品、医薬品および化粧品として用いられる柑橘類外皮を含む発酵物に関する。
近年になって、柑橘類の外皮および果肉等は、その種類によって種々の有効成分が含有されており、特に外皮には様々な有効成分が多く含有されていることが明らかとなってきている。
しかし、柑橘類の外皮は、独特の苦味と風味を持ち、さらに、果皮の表面にあるクチン質が硬く、食用としては適していなかった。
ところが近年になって、この外皮の有効成分を利用した様々な食品が提案されつつある。
柑橘類の外皮を酵素によって処理することにより、また発酵を行うなどして、外皮をやわらかくしたり、苦味を低減したりして、食品素材としての応用が図られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、搾汁を取った残りの柑橘類の粕から、酵素処理を行うことにより、外皮などに含まれるカロチノイドを含有した食品素材も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭52−110877号 特開2000−245382号 特開2000−23637号
しかし、上記記載の食品素材にあっては、苦味の低減度が低く、外皮中の有効成分利用率において充分ではなかったものも認められる。また、柑橘類の外皮を含む発酵は安定的に行うことが困難であった。
それゆえに、より苦味を低減させ、かつ柑橘類外皮中の生理活性の高い柑橘類外皮加工物が望まれていることから、柑橘類外皮の苦味を低減させ、また、発酵を安定させ、有効成分含有量高めた柑橘類外皮を含む発酵物、およびそれらを含む食品等を提供することを目的とする。
本発明者等は、より簡便に柑橘類の外皮のみ、または外皮を含む破砕物を発酵し、有効成分を含有する発酵物について鋭意検討したところ、柑橘類の外皮を破砕、加熱処理及び/または塩処理を行った後に、発酵を行うことで、より付加価値の高い発酵物を得る事ができることを見出し、本発明に至った。
すなわち請求項1に記載の発明は、柑橘類外皮を含む発酵物であって、柑橘類外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させたことを特徴とする、柑橘類外皮を含む発酵物である。
請求項2に記載の発明は、発酵により生理活性作用が高められたことを特徴とする、請求項1に記載の柑橘類外皮を含む発酵物である。
請求項3に記載の発明は、前記生理活性作用が、血中脂質改善作用、リパーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用の少なくとも一種以上である、請求項2に記載の柑橘類外皮を含む発酵物である。
請求項4に記載の発明は、乳酸菌で発酵させた、請求項1から3の何れかに記載の柑橘類外皮を含む発酵物である。
本発明による発酵物は、苦味がなく、風味豊であり、また、有効成分の損失が少なく、血清コレステロール値を低下させることから、血液浄化作用が高い。
また、リパーゼ阻害作用、便通改善作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用も高められている。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明にかかる柑橘類外皮を含む発酵物は、柑橘類外皮の苦味を低減させ、また、発酵を安定させ、有効成分含有量高めた柑橘類外皮を含む発酵物、およびそれらを含む食品等を提供するという目的を、柑橘類外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させたこと等によって実現した。
本発明についてより詳細に説明する。
以下においては、柑橘類外皮を含む発酵物を単に「発酵物」という。
本発明に用いる柑橘類の外皮は、例えば、温州みかん、伊予柑、オレンジ、レモン、ライム、柚子、夏みかん、八朔、グレープフルーツの果実類が代表的に上げられるが、これらに限定されることなく、これらと同等または類似のものの外皮を用いることができる。
この外皮とは、果汁飲料等を製造する際にでる果皮およびアルベト層(白い海綿状の部分)を含むものをいうが、果皮、アルベト層とじょうのう膜を含むものをも用いることができる。また、柑橘類を丸ごと破砕し、果汁および外皮を含有した破砕物を果汁に含まれる糖質を利用して発酵することもできる。
なお、果皮およびアルベト層に後述する有効成分が豊富に含まれるため、本発明で得られる発酵物中にこれらの有効成分を高含有させる観点からは、外皮のみを用いることが好ましい。
これらの柑橘類の外皮には、有効成分として不溶性食物繊維を含むだけでなく、フラボノイド、カロチノイド、リモノイド、モノテルペン、水溶性食物繊維のペクチンを豊富に含んでいる。
フラボノイドは、各柑橘類の種類によって様々な物質が含まれるが、特に柑橘類特有の共通成分として、ヘスペリジンを豊富に含む。このヘスペリジンは、旧来はビタミンPと呼ばれていた物質の一つであり、血管の脆弱性を防止等の循環器疾患予防効果やビタミンCの吸収を促進する効果が知られていた。また、フラボノイドの一つであるナリンギンも動脈硬化予防効果があることで注目されている。
さらに近年になって、ヘスペリジンは高い抗酸化力を持つことが明らかとなり、中性脂肪の上昇抑制効果、ガンの増殖阻害、抗炎症、抗アレルギー、抗ウイルス作用が明らかとなっており、近年注目されている物質の一つである。
また、水溶性食物繊維のペクチンは、水溶液への可溶化後にゲル化することが知られており、ゼリーやジャムといった食品に使われているが、さらに、腸内の菌環境を整え、下痢や便秘を改善したり、コレステロールや脂質の吸収抑制をすることが知られている。
なお、カロチノイドやテルペン類は、柑橘類外皮の色や香の成分であり、ガンの予防効果や静菌作用があるといわれている。また近年ではガンの予防効果のある、カロチノイドの一つであるリコピンを含有していることも明らかとなっている。
これら発酵物を得るためには、先ず、これらの柑橘類外皮、又は果実を洗浄する。洗浄は、柑橘類の外皮に付着している菌類などの付着物を洗い落とす目的で行われる。
このとき、破砕前の果実の場合は問題がないが、剥離された柑橘類外皮を洗浄する場合は、外皮に含まれるペクチンが、洗浄温度によっては外皮から水溶液中に溶出するため、洗浄する水の温度は、25℃以下、好ましくは10℃以下の水で洗浄する。このとき、外皮のアルベト層を剥離しないように洗浄することが好ましい。例えば、高圧水による洗浄は外皮のアルベト層を剥離しやすいので、ジェット噴射式洗浄法による洗浄等は好ましくない。
次いで、上記洗浄した柑橘類外皮、又は果実を破砕する。
破砕は当業者が用いる定法により行うことができる。例えば、スライサー、ダイサー、カッターミキサーなどで好ましくは0.1cm〜1cmに破砕する。
さらに、この破砕した外皮を30μm〜500μmに微粉砕する。大きさを限定するのは、30μm以下ではろ過の効率が悪くなる等の問題が、500μm以上では菌を添加した場合に均一に混合されにくく、処理効率上の問題等が生じるからである。
次いで、静菌作用を有する物質を失活させる。
ここで静菌作用とは、菌の発育あるいは増殖を阻止する作用をいい、柑橘類外皮に含まれる静菌作用を有する物質としては、例えば、テルペン類等が該当する。
また、静菌作用を失活させるためには、加熱処理、塩処理、あるいはこれらの組み合わせ等によりなされる。
加熱処理の場合は静菌作用を有する物質の変性によって静菌作用を弱めることができるが、加熱処理を行ってもなお静菌作用が残る場合がある。よって、この場合は、後述する塩処理により、静菌作用をさらに弱め、発酵をより効率よく行うことが可能である。
なお、静菌作用を加熱処理により失活させるために、熱の伝導効率や攪拌のしやすさから、処理前に加水することが好ましい。加水は、柑橘類の破砕物100重量部に対し、50〜2000重量部を添加すれば良い。加水が多くなると、発酵がうまく進まなかったり、最終工程での発酵物の回収率が悪くなるため好ましくない。
また、柑橘類外皮のみの微粉砕物の粘度が高い場合は、この後の工程を考慮して、水を加えてから加熱処理を行っても良い。加える水の量は柑橘類外皮微粉砕物1重量部に対し、20重量部以下にすることが好ましい。添加水量を20重量部以下とするのは、粉末化等における処理効率を考慮したものである。
失活のための加熱処理は、プレート式、パイプ式などの熱交換機、ジャケット付タンクなどを用いて行われ、上記微粉砕された柑橘類外皮の加熱は60℃〜130℃、好ましくは100℃〜130℃で行う。加熱温度が60℃以下では、静菌作用を有する物質の変性に要する時間がかかることから、効率的に問題があり、130℃以上では悪臭を生じることとなるからである。
加熱時間は、柑橘類外皮に含まれる静菌作用を有する物質が十分失活できる時間であればよく、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1時間である。加熱温度にもよるが、静菌作用を有する物質を変性させるためには、加熱時間が5分以下では変性しにくく、2時間以上ではそれ以上の効果を期待できないためである。加熱をしすぎると(時間的及び/または温度的)、ジメチルスルフィド等を生成してしまうため、柑橘類特有の香気が失われ、悪臭を発してしまう。
なお、加熱時間が30分程度までは、静菌作用の失活が主体であり、それ以上の加熱処理を行なうのは、発酵前の殺菌を充分に行なうためである。
また、加熱処理はジャケット付きタンクなどを用いて密閉条件下で行うことにより、香気および有効成分を逃すことがないため好ましい。
本加熱処理により、柑橘類外皮に含まれる静菌作用を有する物質は失活し、発酵するために最適な条件となる。
塩処理は、破砕物へ、好ましくは二価の金属塩を添加することにより行う。静菌作用を弱める二価の金属塩としては、ベリリウム、マグネシウム、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)などの金属塩が挙げられるが、食用に用いる場合はカルシウム、マグネシウムが好ましい。二価の金属塩を添加することにより、その理由は明確になっていないが、静菌作用成分と結合し、その効果を弱めることにより発酵が可能となると考えられる。
二価の金属塩の添加量は、発酵を阻害しない程度の範囲に添加することが好ましく、柑橘類の破砕物100重量部に対し、0.05〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部となるように添加する。
このような塩を添加することだけで、安定的に発酵を行なうことができ、更に上記の加熱処理と併用することで、より発酵の効率を高めることができる。
なお、塩処理を行なうほうが、加熱処理を行うよりも、ゲル化が生じる可能性は低くなる。
静菌作用の失活処理後に、発酵の工程を行う。
失活処理を加熱処理で行なった場合は柑橘類外皮微粉砕物を発酵が可能な温度、好ましくは10〜40℃に冷却した後に発酵の工程を行う。柑橘類外皮部微粉砕物をかかる範囲に冷却するのは、40℃以上の温度では、添加する菌の生育が悪くなるからであり、10℃以下にあっては、菌の増殖が期待できないからである。
また、失活処理を塩処理で行なった場合は、静菌作用を弱めるために塩を添加してから3分〜24時間程、1℃〜50℃で保温して静置してから発酵を行う。
柑橘類の微粉砕物の場合は、菌体が資化することのできる窒素源が乏しく、外皮のみの場合は炭素源も乏しいため、効率よく発酵させるために、糖質、アミノ酸などを添加する。添加する糖質およびアミノ酸は、用いる菌によって適宜調整される。例えば、乳酸菌の場合は、乳酸菌代謝性の糖(庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖等)および大豆タンパク質、酵母エキス、トウモロコシ分解物、小麦分解物、グルタミン酸などを添加する。
用いる菌によりこれらの添加量は異なるが、乳酸菌を用いた場合は、柑橘類の粉砕物に対し、糖質で0.1〜5重量%、タンパクまたはアミノ酸で0.05〜10重量%程度を添加する。この場合糖質の添加量を3重量%以上添加することで効率よく乳酸発酵を行うことができ、さらに風味が良くなる。
発酵は乳酸菌、酵母菌、酢酸菌などを添加することで、有用物質を生産することができる。これらの発酵は、乳酸発酵、酢酸発酵、クエン酸発酵、アルコール発酵、およびこれらの組み合わせによる発酵などがある。
これらの中でも、乳酸発酵が好ましく、乳酸菌により整腸作用を有する有機酸などが作られ、胃腸機能改善効果のより高い発酵物を得ることができる。
例えば乳酸菌としては、ロイコノストック・メセントロイデス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプロコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガムなどが、単独でまたは組み合わされて用いられる。例えば、単独で用いる場合、ラクトバチルス・プランタラムが、その耐酸性、生育温度、および増殖速度の面から好適である。
また、乳酸発酵は、低いpH(pH3〜pH5)を維持できるため、他の菌の繁殖を防ぐことができる。
発酵に用いる酵母としては、Saccharomyces属に代表される、パン酵母、ビール酵母、およびワイン酵母が用いられる。好ましくは、風味を良くし、さらに有用アミノ酸を産生するSaccharomyces cerevisiaeが好適に用いられる。
酵母などを用いて発酵する場合は、柑橘類外皮微粉砕物はpHが低いため、焼成カルシウムや炭酸カルシウム、マグネシウム塩などを用いてpHを6〜7.5程度に調整することが好ましい。酵母の発育や活性がこのpH範囲において活発となるからである。
発酵のために添加する菌量は、柑橘類外皮微粉砕物100重量部に対して、好ましくは菌体の乾燥重量で0.005〜5.0重量部、さらに好ましくは0.01〜2.0重量部添加する。菌量を限定するのは、0.005重量部以下では発酵が充分に行われず、5.0重量部以上では添加量に匹敵する効果をうることが困難だからである。
発酵をより効率よく行うために、発酵前に前培養しても良い。例えば乳酸菌を添加する場合は、菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、pHを低くしておくことも好ましい。乳酸菌として、例えば、ラクトバチルス・プランタラムでは、pH4.0程度に調整してから発酵を開始すれば、短時間でその発酵を終了させることができる。
乳酸菌の優先的な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えることもできる。添加するグルタミン酸の量は、柑橘類外皮微粉砕物に対して0.05〜1重量%程度、好ましくは0.2重量%程度である。この範囲において乳酸菌の生育がよくなるからである。
乳酸発酵する場合は、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、混合物を脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。
また、嫌気条件下で発酵することにより、発酵物の風味も良くなる。
発酵の停止は、一般的には、pHを下げる、高温(100℃以上)短時間(0.5〜5分)で処理する等の方法によるが、糖を加えて行うことも可能である。
このような糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。このようなオリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、発酵物またはろ過液に食品としての機能性を付与し得る。
本発酵によって、添加した菌により有用物質が産生され、より栄養価の高い発酵物を得る事ができる。特に、菌体自身は、添加した窒素源、炭素源を有用アミノ酸や有機酸、脂質に資化するため、食品の製造時に配合するよりも少ないコストで柑橘類外皮、又は果実に高い栄養価を与えることができるだけでなく、風味を改善することができる。
さらに、例えば乳酸菌発酵を行った場合は、乳酸菌は有機酸や、オリゴペプチド等を産生するため、風味や整腸作用が増加し、さらに菌体自身はアミノ酸や核酸、糖類などを含有することから、菌体自体が腸内の免疫を刺激し、免疫の活性化を誘導することも可能である。これは、乳酸菌の産生する物質によるものであろう。
本発明の発酵物は、発酵により柑橘類の持つ生理活性作用をより高めることができたり、新たな作用を付加することができる。このような生理活性作用としては、血中脂質改善作用、リパーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用などが挙げられる。
血中脂質改善作用とは、血中の総コレステロール量等を改善する作用をいい、動脈効果や心筋梗塞、脳卒中などの循環器系の疾病、疾患の予防をし得る。
また、リパーゼ阻害作用とは、消化管からの脂肪の吸収にリパーゼが関与するため、この酵素を阻害することで脂肪の吸収を抑制し、血中の中性脂肪の低減作用や、ダイエット効果を得ることができる。
チロシナーゼ阻害作用は、皮膚のシミやそばかすの原因となるメラニン生成に関与するチロシナーゼを阻害するため、肌の美白効果が期待できる。
さらに、抗酸化作用は、生体内における解毒作用だけでなく、脂質の酸化やタンパク質の変性など、疾病や老化に関与する活性酸素の生体への傷害を抑制し、様々な疾病の予防効果および老化予防効果を得ることができる。
また、発酵によって柑橘類にはあまり効果が知られていない便通を改善する効果をも得ることができ、整腸作用だけでなく、消化器系に起因する疾病を予防し得る。
加熱処理(組合せの場合を含む)後に本発酵を行なった場合は、必要に応じて再度加熱処理を行う。
本加熱処理は、柑橘類外皮にはペクチンを含有するため、ペクチンがゲル化して該発酵物の粘度が上がり、粉末化や飲料の製造が困難になることを防ぐためである。また、このようにゲル化が生じやすいような場合、再加熱処理は、製造工程によって有効成分が喪失してしまうことを防ぐためである。
例えば、ペクチンがゲル化し、発酵物の粘度が高い状態での発酵物を飲料として利用しようとする場合、ろ過が必要となるが、ろ過工程での目詰まりにより効率が落ちたり、これによって有効成分がろ過膜に吸着してしまうことを防ぐためである。
また、いったんゲル化を生じた発酵物は、コレステロール低下作用など、有効な効果が低下する傾向があり好ましくない。ゲル化した発酵物が固まりとなり、コレステロールの吸着効果等が低下するためである。
よって、発酵物の再加熱処理を60℃〜130℃、好ましくは100℃〜130℃で行うことにより、ゲル化した発酵物を可溶化し、発酵物の成分の均一化を図ることが好ましい。塩処理による場合はゲル化が生じ難いが、ゲル化が生じた場合には再加熱処理を行なえば良い。
加熱時間は10分〜20分程度行うことにより、発酵物の流動性が向上し、発酵物中の成分の均一化が図られ、さらに殺菌も同時に行われるため、製造上の問題が低減し、コレステロールの吸収を抑制する効果等が得られやすい発酵物を得ることができる。また、この加熱処理も、風味を維持する観点から、密閉条件下で行うことが好ましい。
得られた発酵物は濃縮してペースト状にしたり、乾燥して粉末化する。ろ過や遠心分離を行うことで、飲料などの原料とすることができる。
なお、この発酵物は、粘性が高い、又はゲル化を生じうるような場合は、温度が40℃以下にならないうちに粉末化やろ過などを行うことが好ましい。発酵物が40℃以下になるとゲル化が生じることがあるためである。
ろ過により分離されたろ過液は、賦形剤などを添加して粉末化し、エキス末などとしても良い。
このようにして得られた発酵物は、柑橘類外皮のカロチノイドやフラボノイド、食物繊維などの有効成分と乳酸菌や酵母等の発酵過程において産生される生成物やアミノ酸、核酸等とを含む健康飲料として、そのままか、あるいは種々の調味料、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、香料、色素等を加えて、好みの味に調整することができる。
また、得られたろ過液は、他の発酵ジュースや野菜ジュースなど、例えば人参ジュースあるいは混合野菜ジュースと混合すれば、更に栄養価の高いジュースとすることができる。
なお、ろ過液とジュース等との混合は任意に行うことができる。
また、発酵物は、他の製法により得られた液、例えば果汁と、または野菜ジュース等と混合して食品に含ませることもできる。或は、寒天等に混合してゼリーとすることもでき、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。
1つの実施態様において、この発酵物は、乾燥、粉末化して、乾燥形態の食品素材、例えば、発酵物粉末(発酵物の一形態)または濾過して乾燥、粉末化したエキス末(発酵物の一形態)とすることができる。
発酵物またはろ過液の乾燥は、当業者が一般的に用いる種々の方法が用いられるが、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましく用いられる。
噴霧乾燥を行う場合、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースのような賦形剤を添加して行われる。好適にはデキストリンが用いられ、発酵物を乾燥する場合、発酵物と賦形剤の比は、重量比で1:5〜10:1が好ましい。ろ過液を乾燥する場合、ろ過液と賦形剤の比は、賦形剤添加により粉末化を容易にするため、重量比で1:10〜5:1が好ましい。
このようにして得られる発酵物は、必要に応じて、ローヤルゼリー、ビタミン類、ミネラル、キチン・キトサン、レシチン等の他の食品素材と組み合わせられる。
そしてさらに、ハードカプセル、ソフトカプセル等のカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤として成形されるか、または粉末、顆粒、ティーバッグなどにする。
これらは、その形状または好みに応じて、そのままか、あるいは水、お湯、もしくは牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲料とし、或は食品とすることができる。
また、これらの発酵物は、たとえば、ろ過した後に化粧水、化粧クリーム、乳液、パック、ヘアートニック、シャンプー、口紅などの化粧品に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない。
(柑橘類外皮の調製1)
バレンシアオレンジの外皮のみ(3Kg)を水(15℃)で洗浄した後、裁断機「ダイサー」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらに微粉砕機「コミトロール」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。この微粉砕したバレンシアオレンジ外皮の微粉砕物(以下「オレンジ微粉砕物A」という)へ等重量の精製水を加え、柑橘類外皮の調製を行った。
(柑橘類外皮の調製2)
バレンシアオレンジの外皮のみ(5Kg)を水(15℃)で洗浄した後、裁断機「ダイサー」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらに微粉砕機「コミトロール」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。この微粉砕したバレンシアオレンジ微粉砕物(以下「オレンジ微粉砕物B」という)へ重量で3倍量の精製水を加え、柑橘類外皮の調製を行った。
(実施例1)
オレンジ微粉砕物A2Kgをパイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱して、静菌成分を失活させた。
この加熱処理したオレンジ微粉砕物へ40gのグルコースおよび2gの酵母エキスを添加した。添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値(国際砂糖分析法標準化委員会にて定義される蔗糖溶液の重量/重量パーセント)を測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌(協和発酵株式会社製)を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行い、発酵物を得た。
この発酵物のBrix値を測定し、この発酵物をパイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、直ちに1Kgをろ過し、発酵物より発酵エキスAを得、発酵エキスA100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。また、残りの発酵物1Kgは、そのままスプレードライし、発酵粉末Aを得た。
(比較例1)
オレンジ微粉砕物A2Kgを加熱処理を行わずに実施例1と同様にグルコース、酵母エキスを添加した。添加後のオレンジ外皮破砕物のBrix値を測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行い、発酵物を得た。
発酵24時間後にBrix値を測定し、この発酵物を、パイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、直ちに1Kgをろ過し、発酵エキスBを得、発酵エキスB100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。
また、残りの発酵物1Kgは、そのままスプレードライし、発酵粉末Bを得た。
(比較例2)
オレンジ微粉砕物A2Kgをパイプ式熱交換機にて105℃、15分間加熱し、このオレンジ微粉砕物へグルコース、酵母エキスを添加した。
添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値を測定した。
このオレンジ微粉砕物を嫌気性条件下で24時間静置した。
静置24時間後にBrix値を再度測定し、この混合物1Kgをろ過し、混合エキスCを得、混合エキスC100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。
また、残りの混合物1Kgは、そのままスプレードライし、混合粉末Cを得た。
以上の実施例1、比較例1、比較例2で測定したBrix値および各発酵エキス及び混合エキスの乾燥粉末重量を表1に示す。
Figure 2004189718
表1より、本発明の発酵物は、発酵24時間後にBrix値が減少していることから、発酵前に熱を加えることで静菌成分が失活し、発酵が進むことが分かる。
また、発酵エキス作成のためろ過する直前に加熱した発酵エキスA、Bは、混合エキスCに比べ乾燥重量が多かったことから、加熱処理により、柑橘類外皮由来の成分の損失が少ないことが分かる。
(実施例2)
オレンジ微粉砕物B4Kgをパイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間で加熱処理をした。次いで炭酸カルシウムを最終濃度が0.1重量%となるように添加して、室温で5分間静置し、静菌成分を失活させた。
この加熱処理・塩処理したオレンジ微粉砕物Bへ40gのグルコースおよび0.5gのトウモロコシ分解物(商品名:SOLUYS、オリエンタル酵母工業株式会社)を添加した。添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値(国際砂糖分析法標準化委員会にて定義される蔗糖溶液の重量/重量パーセント)および0.1規定のNaOHを用いた中和滴定により酸度を測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌(協和発酵株式会社製)を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行い、発酵物を得、発酵物のBrix値および酸度を測定した。
さらに、この発酵物をパイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、直ちに4Kgをろ過し、発酵エキスである濾液200mLを凍結乾燥し、乾燥粉末Dを得た。
(実施例3)
実施例2の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様に行い、乾燥粉末Eを得た。
(比較例3)
前記、実施例2の乳酸菌を添加しなかったこと、および加熱処理をしなかったこと以外は同様の操作を行い、乾燥粉末Fを得た。
(比較例4)
前記、実施例3の炭酸カルシウムの添加を、発酵後に添加したこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、乾燥粉末Gを得た。
以上の実施例2、実施例3、比較例3、比較例4で測定したBrix値、酸度および乾燥重量を表2に示す。
Figure 2004189718
表2より、本発明の発酵物は、発酵24時間後にBrix値が減少していることから、発酵前に塩処理を行うことでで静菌作用が抑制され、発酵が加熱の場合よりも進み、発酵が安定的に進むことが分かる。
さらに塩処理と共に加熱処理を行うことにより発酵が進んでいることが分かる。
また、各工程から得られた乾燥粉末の重量に大きな差はなかった。
(ヘスペリジンの測定)
上記によって得られた発酵粉末(A,B)、混合粉末C,乾燥粉末(D,E,F,G)に柑橘類由来の有効成分が損失なく含有されているかを調べるため、柑橘類由来の成分であるヘスペリジンをHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定した。
発酵粉末1gを水200mL、メタノール20mLに溶解し、加熱還流抽出を行い、フィルター濾過した溶液中のヘスペリジンを、下記条件にてHPLCにより測定した。
なお、ヘスペリジンの定量のため、ヘスペリジンの標品(シグマ・アルドリッチジャパン製)を用いた。
(HPLC条件)
機器 LC−10ATvp(株式会社島津製作所製)
カラム YMC−Pack ODS−A A−312(6mm×15cm)
(株式会社ワイエムシイ製)
移動相 水:アセトニトリル:2−プロパノール=100:37:5、
0.4重量%クエン酸含有
測定波長 280nm
流速 1.0mL/min
測定の結果、発酵粉末中のヘスペリジン含有量は、発酵粉末A:423mg/100g、発酵粉末B:418mg/100g、混合粉末C:413mg/100gであった。
また、乾燥粉末中のヘスペリジン含有量は、乾燥粉末D:443mg/100g、乾燥粉末E:453mg/100g、乾燥粉末F:439mg/100g、乾燥粉末G448mg/100gであった。
この結果から、本発明によって得られた発酵粉末Aは、発酵および2度の加熱によっても柑橘類外皮に存在する有効成分の損失は少なく、発酵物中にヘスペリジンが含有されていることが分かる。
また、乾燥粉末Dは、発酵および2度の加熱によっても柑橘類外皮に存在する有効成分の損失が少ないことが分る。
(官能試験)
上記によって得られた各発酵粉末3gを100mLの水に溶解し、被験者10名によってその香りと食感についての官能試験を行った。
香りについては、いずれが好ましいかを回答してもらい、食感については苦味と食したときの風味のよさについていずれの発酵粉末がよいかを回答してもらった。
なお、いずれの質問事項に関しても、優劣判断しにくいことを考慮し、「どちらとも言えない」という選択肢を設けた。
被験者に対しては、それぞれの発酵物を単にA、B、Cとして評価を求めた。
結果を表3に示す。
また、上記によって得られた乾燥粉末D、Fを各3gを100mLの水に溶解し、被験者10名によってその香りと食感についての官能試験を行った。
香りについては、いずれが好ましいかを回答してもらい、食感については苦味と食したときの風味のよさについていずれの発酵粉末がよいかを回答してもらった。
なお、いずれの質問事項に関しても、優劣判断しにくいことを考慮し、「どちらとも言えない」という選択肢を設けた。
被験者に対しては、それぞれの粉末を単にD、Fとして評価を求めた。
結果を表4に示す。
Figure 2004189718
Figure 2004189718
表3に示すように、本発明による発酵粉末Aは、比較例としての発酵粉末BおよびCと比べ、食したときの風味が良いだけでなく苦味が低減されており、さらに香りについては同等であり、本発明の発酵物は優れた嗜好性を持つことが明らかである。
表4に示すように、本発明による乾燥粉末Dは、比較例としての乾燥粉末Fと比べ、食したときの風味が良いだけでなく苦味が低減されており、さらに香りについては同等であり、本発明の発酵物は優れた嗜好性を持つことが明らかである。
(コレステロール低下作用の評価)
前記発酵粉末A、Bおよび混合粉末Cを基本飼料にそれぞれ10重量%添加したものを、それぞれ4〜5週齢のSD幼若ラット5匹からなる群に自由摂取させ、6週間後にその血液を採取し、血清コレステロールを測定した。
血清コレステロールは、市販のデタミナーTC5キット(協和メディックス株式会社製)を用いて測定した。
投与開始前の血清コレステロールの平均値は137mg/dLであった。
なお、基本飼料は、牛乳カゼイン25%、コーンオイル5%、ハーパーのミネラル混合物4%、ハーパーのビタミン混合物1%、塩化コリン0.2%、および砂糖64.8%(ここでの%は重量%)であった。
本発明の発酵物が血清コレステロール値におよぼす結果を表5に示す。
また、前記と同様に、乾燥粉末E、Fを基本飼料にそれぞれ10重量%添加したものを、それぞれ4〜5週齢のSD幼若ラット5匹からなる群に自由摂取させ、6週間後にその血液を採取し、血清コレステロールを測定した。
以上の乾燥粉末を含有する飼料の血清コレステロール値におよぼす結果を表6に示す。なお、表中「対照」とは、基本飼料のみを摂取させた群を示す。
Figure 2004189718
Figure 2004189718
表5より、血清コレステロール値は、本発明の発酵粉末Aが、その他の発酵粉末より減少しており、血液浄化作用が高いことが分かる。
また、表6より本発明の乾燥粉末Eが、乾燥粉末Fより血清コレステロール値が減少しており、血液浄化作用が高いことが分かる。
(実施例4)
飲料製造時の残渣であるグレープフルーツの外皮およびじょうのう膜0.5Kgを水(15℃)で洗浄した後、ダイサー((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらにコミトロール((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。
この微粉砕したグレープフルーツ外皮の微粉砕物(以下グレープフルーツ外皮微粉砕物という)へ等重量の精製水を加え、気流式殺菌機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱して、静菌成分を失活させた。
この加熱処理したグレープフルーツ外皮微粉砕物へ塩化マグネシウムを添加し、1規定のNaOHでpHを7.0にした後、20gのグルコースおよび5gの酵母エキスを添加した。
添加後のグレープフルーツ外皮微粉砕物のBrix値を測定したところ4.5であった。
このグレープフルーツ外皮微粉砕物へ湿菌体重量で1gのパン酵母(オリエンタル酵母株式会社製)を添加し、好気性条件下で24時間発酵を行った。
発酵24時間後にBrix値を再度測定したところ、1.0であった。
この発酵物0.5Kgをろ過し、発酵エキスを得た。
また、残りの発酵物0.5Kgは、そのまま凍結乾燥し、発酵粉末を得た。
いずれの発酵物とも黄色を呈していることから、カロチノイドを含んでいることが分かり、柑橘類の外皮特有の苦味が低減し、酵母発酵特有の風味を呈していた。
(実施例5)
実施例1および3にて得られた発酵粉末を用いて、下記の配合比で錠剤(200mg)を製造した。本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、風味も優れていた。
(配合比)
実施例1および3の発酵物 30重量部
結晶セルロース 15重量部
蔗糖エステル 5重量部
二酸化ケイ素 2重量部
卵殻カルシウム 48重量部
(実施例6)
実施例1および3にて得られた発酵エキスを用いて、下記の配合比で飲料を製造した。本飲料は柑橘類特有の香気を有し、苦味もなく嗜好性に優れていた。
(配合比)
実施例1および3の発酵エキス 4.4L
スクラロース 0.008L
クエン酸 0.16L
L−アスコルビン酸 0.03g
水にて100Lに調整する。
(リパーゼ阻害作用の検討)
実施例3で得られた乾燥粉末E300mgを精製水1mLに溶解した。この溶液1mLを、10%炭酸ナトリウムでpHを8.5に調整し、精製水で3倍希釈した牛乳溶液4mLに添加し、さらにリパーゼ(和光純薬工業株式会社製)を4重量%含む溶液2mLを添加し、35℃にて20分間インキュベートした。
リパーゼ活性がある場合は、pHが低下することから、反応前および反応開始後20分のpHを測定した。
なお、濾液の代わりに1mLの水を用いて測定したものを対照とした。
また、比較例として、実施例3の乾燥粉末Eの代わりに、乾燥粉末Fを用いたこと以外は、上記と同様にしてpHを測定した。
反応によるpHの変化量(△で表す)から、以下の式により、対照のリパーゼ活性を100とした場合のリパーゼ阻害活性を求めた。
リパーゼ阻害活性(%)=((対照の△)−(試験の△))×100/対照の△
結果を表7に示す。表中の値は3回測定した平均値である。
Figure 2004189718
表7の結果から、発酵の進んだ乾燥粉末Eは、発酵していない乾燥粉末Fに比べ、より高いリパーゼ阻害作用を有することが分かる。このことは、脂質の吸収抑制による血中の中性脂肪低減作用が期待できることを示す。
(チロシナーゼ阻害作用の検討)
(サンプル溶液の調製)
乾燥粉末E20mgを1mLの1/15Mリン酸緩衝液(pH=6.8)に溶解し、これをサンプル溶液とした。
(酵素溶液調製)
チロシナーゼ(マッシュルーム由来、Sigma)を1/15Mリン酸緩衝液を用いて1100U/mLとなるように希釈したものを酵素溶液とした。
(基質溶液の調製)
3mgのDOPA(-)-3-(3,4-dihydroxyphenyl)-L-alanineを10mLのリン酸緩衝液(pH−6.8)に溶解させたものを基質溶液とした。
(チロシナーゼ活性の測定)
0.1mLのサンプル溶液に0.01mLの酵素溶液と0.09mLの1/15Mリン酸緩衝液を添加し、37℃で10分間インキュベートした。そしてさらに、0.1mLの基質溶液を添加し、37℃で5分間インキュベートした後、475nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。なお測定は3回測定した。
また、基質溶液の代わりに蒸留水を0.1mL添加して得られた吸光度をブランクとして得られた値を、測定値から差し引いた値(aとする)を用いて本発明のチロシナーゼ阻害活性を評価した。
評価は、サンプル溶液の代わりに1/15Mリン酸緩衝液のみを用いたときの値からブランクの吸光度を差し引いた値(bとする)をチロシナーゼ活性を100(%)とし、サンプル溶液を添加したときのチロシナーゼ活性の残存率を吸光度差の比により求め、下記式にて阻害率を算出した。
阻害率(%)=[{(b)−(a)}/(b)]×100
また、比較例として、乾燥粉末Eの代わりに、乾燥粉末Fを用いたこと以外は、上記と同様にして阻害率を測定した。
結果を表8に示す。なお表中の値は3回測定した平均値である。
Figure 2004189718
表8の結果から、発酵によってチロシナーゼ阻害効果が3倍以上に増加していることが分かる。
このことから柑橘類外皮を含む発酵物はチロシナーゼ阻害効果が高められており、美白や老化防止を目的とした化粧品、食品、医薬品への応用が可能である。
(便通改善作用の検討)
(モデル動物の作製)
4週齢の雄のSDラット(日本チャールズリバー株式会社)に基本飼料(マウス・ラット・ハムスターMF飼料:オリエンタル酵母株式会社)および水を与えて1週間馴化させた後、各群の体重の平均値がほぼ均一となるように、一群5匹ずつ割り当てた。
上記SDラットおよび澱粉粕含有飼料を用いて、便通改善効果について評価した。
まず、1群5匹のSDラットに実施例3の乾燥粉末E5gを25mLに溶解し、一日当たり乾燥粉末重量で180mg/Kg・体重となるようにゾンデによる強制投与を14日間行った。この間予め重量を測定しておいた基本飼料と水は自由摂取させた。
なお、対照として無投与の群を設けた。
投与14日目に基本飼料の摂取量、および乾燥糞便重量を測定した。摂取量は、給餌0日目の摂取前の基本飼料の重量と給餌14日目の測定時の基本飼料の重量との差を求め、1日あたりの摂取量に換算した。乾燥糞便重量は、14日間の糞便全量を回収し、40℃にて24時間乾燥した後、その重量を測定し、1日あたりの乾燥糞便重量に換算した。
さらに、給餌15日目に飼料の腸内通過時間を測定した。給餌15日目のSDラットに、基本飼料とカルミン(リビジョンクローマ社)とを重量比で99.5:0.5の割合で混合した着色飼料を1時間摂取させた。その後、1時間ごとに糞便を観察して、糞便中にカルミンが検出されるまでの腸内時間を測定した。
また、比較例として、乾燥粉末Eを乾燥粉末Fとしたこと以外は上記と同様に行い、摂取量および乾燥糞便量を測定した。
結果を表9にあわせて示す。
なお、摂取量、腸内通過時間および乾燥糞便重量の数値は、各群5匹から得られた値の平均値±標準偏差を示す。
Figure 2004189718
表9の結果から、各群とも基本飼料の摂取量は変わらないが、乾燥粉末Eは糞便量が増加しており、さらに腸内通過時間も短縮していることから、本発明の発酵物は優れた便通改善効果を有することが分かる。
(実施例7)
グレープフルーツ1.0Kgを水(15℃)で洗浄した後、ダイサー((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらにコミトロール((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。
この微粉砕したグレープフルーツ微粉砕物へ等重量の精製水を加え、パイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱して、静菌成分を失活させた。
この加熱処理したグレープフルーツ微粉砕物へ炭酸カルシウムを添加し、1規定のNaOHでpHを7.0にした後、5gのグルコースおよび5gの酵母エキスを添加した。
次いで、グレープフルーツ外皮微粉砕物のBrix値を測定したところ4.2であった。
このグレープフルーツ外皮微粉砕物へ湿菌体重量で1gのパン酵母(オリエンタル酵母株式会社製)を添加し、好気性条件下で24時間発酵を行った。
発酵24時間後にBrix値を再度測定したところ、1.5であった。
この発酵物0.5Kgをろ過し、発酵エキスを得、凍結乾燥し、乾燥粉末Hを得た。
いずれの発酵物とも黄色を呈していることから、カロチノイドを含んでいることが分かり、柑橘類の外皮特有の苦味が低減していた。
さらに、酵母発酵特有の風味を呈しており、嗜好性も向上していた。
(抗酸化活性の検討)
乾燥粉末D、H各10mgを用いてSOD様活性をSOD活性測定キット(WAKO)にて測定した。
また、比較例として、乾燥粉末Dを乾燥粉末Fとしたこと以外は上記と同様に行った。
結果を表10に示す。
Figure 2004189718
表10の結果から、発酵によってSOD様活性が発酵によって2倍以上に増加していることから、活性酸素除去能が上がっていることが分かる。
このことは、老化防止等を目的とした化粧品、食品、医薬品に用いることが可能であることを示す。
(実施例8)
実施例2および3にて得られた発酵粉末を用いて、下記の配合比で錠剤(200mg)を製造した。本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、風味も優れていた。
(配合比)
乾燥粉末DまたはE 30重量部
結晶セルロース 15重量部
蔗糖エステル 5重量部
二酸化ケイ素 2重量部
卵殻カルシウム 48重量部
(実施例9)
実施例2および3にて得られた発酵エキスを用いて、下記の配合比で飲料を製造した。本飲料は柑橘類特有の香気を有し、苦味もなく嗜好性に優れていた。
(配合比)
乾燥粉末DまたはE 4.4L
スクラロース 0.008L
クエン酸 0.16L
L−アスコルビン酸 0.03g
水にて100Lに調整する。
(実施例10)
以下の処方にて化粧水を製造した。
グリセリン 6g
プロピレングリコール 4g
オレイルアルコール 0.1g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1g
エタノール 5g
フェノキシエタノール 0.1g
アスコルビン酸 1g
乾燥粉末DまたはE 2g
精製水 80.8g
この発明にかかる発酵物は、柑橘類外皮を含む発酵物に関するものであり、特には、食品、医薬品および化粧品等の用途に適用できる。

Claims (4)

  1. 柑橘類外皮を含む発酵物であって、柑橘類外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させたことを特徴とする、柑橘類外皮を含む発酵物。
  2. 発酵により生理活性作用が高められたことを特徴とする、請求項1に記載の柑橘類外皮を含む発酵物。
  3. 前記生理活性作用が、血中脂質改善作用、リパーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用の少なくとも一種以上である、請求項2に記載の柑橘類外皮を含む発酵物。
  4. 乳酸菌で発酵させた、請求項1から3の何れかに記載の柑橘類外皮を含む発酵物。
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