JP2004190754A - カップリング - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな増幅機能を持ちながら、低コストで、小型軽量に構成する。
【解決手段】トルク伝達部材3、5と、部材3、5の間に配置されたギア組7と、アクチュエータ11によって締結され、ギア組7に負荷抵抗を与える摩擦クラッチ9とを備え、アクチュエータ11によってクラッチ摩擦9の締結力を制御し、ギア組7に掛かる負荷抵抗を調整して増幅機能を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】トルク伝達部材3、5と、部材3、5の間に配置されたギア組7と、アクチュエータ11によって締結され、ギア組7に負荷抵抗を与える摩擦クラッチ9とを備え、アクチュエータ11によってクラッチ摩擦9の締結力を制御し、ギア組7に掛かる負荷抵抗を調整して増幅機能を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の動力伝達系などに用いられ、トルクや速度の増幅機能を備えたカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−329562号公報(特許文献1)に図4のような駆動力伝達装置501が記載されている。
【0003】
この駆動力伝達装置501は、回転ケース503、インナーシャフト505、多板式のメインクラッチ507、ボールカム509、プレッシャープレート511、カムリング513、多板式のパイロットクラッチ515、アーマチャ517、電磁石519などから構成されている。
【0004】
駆動力伝達装置501は4輪駆動車において、2輪駆動走行時に切り離される後輪とトランスファとを連結する後輪側プロペラシャフトを分断して配置されており、回転ケース503は前側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト505は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】
電磁石519を励磁すると、磁束ループ521が形成されてアーマチャ517が吸引され、パイロットクラッチ515を押圧し締結させる。パイロットクラッチ515が締結されると、パイロットトルクが生じてボールカム509にエンジンの駆動力が掛かり、発生したカムスラスト力によってメインクラッチ507が押圧され、駆動力伝達装置501(メインクラッチ507)が連結されて後輪側に駆動力が伝達され、車両は4輪駆動状態になる。
【0006】
また、電磁石519の励磁電流を制御すると、パイロットクラッチ515の滑り率に変化が生じてボールカム509のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ507の押圧力が変化して後輪に送られる駆動力の大きさが変わるから、前後輪間の駆動力配分比を制御できる。
【0007】
また、電磁石519の励磁を停止すると、パイロットクラッチ515が開放されてボールカム509のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ507が開放されて駆動力伝達装置501の連結が解除され、後輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−329562号公報(第6頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、駆動力伝達装置501のようなトルクの主伝達経路に多板式のメインクラッチ507を用いた装置では、クラッチ板の経時劣化により、摺動面が初期の状態に比して、鏡面化することによる大トルクを伝達する多板クラッチに特有のスティックスリップ音(クラッチ板の断続的な滑りに起因する騒音)を避けることは難しい。
【0010】
また、上記駆動力伝達装置501では、ボールカム509(カム機構)を用いているので、カムフォロアとカム部材のガタにより両部材間の相対回転方向が逆転する際、カムフォロアがカム部材に設けたカム溝内で中立状態が生じる。この時には、プレッシャープレートへのカムフォロアによるスラスト力が保持できなくなるため、トルクが抜けが発生する。この結果、レスポンスが遅くなる上に、ガタに伴う騒音が発生する場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、スリップスティック音の発生を防止でき、トルク抜けが生じることのないカップリングの提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のカップリングは、一対のトルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材の間に配置され、増幅機能を有するギア組と、アクチュエータによって締結され、前記ギア組に負荷抵抗を与える摩擦クラッチとを備え、前記アクチュエータによって前記摩擦クラッチの締結力を制御し、前記ギア組に掛かる前記負荷抵抗を調整することにより、前記両トルク伝達部材間の伝達トルクを制御することを特徴としている。
【0013】
請求項1の発明では、アクチュエータによって摩擦クラッチの締結力を制御し、ギア組に付与する負荷抵抗を調整することにより、両伝達部材間の伝達トルクを制御する。この場合、一方のトルク伝達部材から摩擦クラッチに伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材から出力されるトルクは、ギア組の歯面によるかみあい摩擦力によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチの締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータによって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0014】
また、請求項1の発明では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材に一方のトルク伝達部材からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0015】
さらに、請求項1の発明では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有することを特徴とし、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0017】
これに加えて、請求項2のカップリングでは、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、ギア組固有の抵抗値にこの噛み合い抵抗が付加されると共に、この噛み合い抵抗が摩擦クラッチの負荷抵抗に比例するから摩擦クラッチの小さいトルクを制御することによって、大きなトルク伝達をすることができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のカップリングであって、前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有する食違い軸歯車であることを特徴とする。
【0019】
請求項1の構成と同等の作用・効果が得られると共に、請求項2と同様に、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、ギア組固有の抵抗値にこの噛み合い抵抗が付加されると共に、この噛み合い抵抗が摩擦クラッチの負荷抵抗によって増幅されるから、さらに大きな増幅機能が得られる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、一対のウォームホイールを共通のウォームで連結して構成されたウォームギア組であり、前記ウォームが一方のトルク伝達部材に回転自在に支持され、一方のウォームホイールが他方のトルク伝達部材に連結され、前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のウォームホイールとの間に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4のカップリングでは、一対のウォームホイールを共通のウォームで連結したウォームギア組が用いられており、例えば、一方のトルク伝達部材から入力したトルクは、ウォームから一方のウォームホイールを介して他方のトルク伝達部材側に伝達され、この間に、トルクが伝達されるウォームと一方のウォームホイール間の噛み合い抵抗によってトルクや速度が増幅される。
【0022】
また、摩擦クラッチの抵抗が一方のトルク伝達部材と他方のウォームホイールとの間に負荷されることにより、ウォームギア組固有の噛み合い抵抗による増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られる。
【0023】
さらに、摩擦クラッチによるこの負荷抵抗を調整すれば、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0024】
こうして、請求項4のカップリングは、請求項1乃至は請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、互いに噛み合った一対のピニオンと、前記ピニオンと各別に噛み合って連結された一対のギヤとで構成されたギア組であり、前記一対のピニオンが一方のトルク伝達部材に回転自在に連結され、一方のギヤが他方のトルク伝達部材に連結され、前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のギヤとの間に配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項5のカップリングでは、例えば、一方のトルク伝達部材から入力したトルクは、一対のピニオンから一方のギヤを介して他方のトルク伝達部材側に伝達され、この間に、トルクが伝達される一対のピニオンと一方のギヤ間の噛み合い抵抗によってトルクや速度が増幅される。
【0027】
また、摩擦クラッチの抵抗が一方のトルク伝達部材と他方のギヤとの間に負荷されることにより、ギア組固有の噛み合い抵抗による増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られる。
【0028】
さらに、摩擦クラッチによるこの負荷抵抗を調整すれば、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0029】
こうして、請求項5のカップリングは、請求項1乃至請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0030】
また、請求項5の構成では、摩擦クラッチを開放すると、一対のピニオンと他方のギヤが空転することによって、トルクの伝達が遮断される。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載されたカップリングであって、前記アクチュエータが、電磁石であることを特徴とし、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0032】
また、請求項6のカップリングは、アクチュエータに電磁石を用いたことにより、流体圧式のアクチュエータを用いた構成と異なって、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量に構成され、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスと、トルクを断続する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るカップリングの実施形態について図面を用いて以下に説明する。
【0034】
[第1実施形態]
図1及び図2を用いて第1実施形態のカップリング1について説明する。
【0035】
図1は、第1実施形態のカップリング1を示す断面図、図2は図1のA−A線に沿って切断した断面図である。このカップリング1は、4輪駆動車において2輪駆動走行時に切り離される後輪とトランスファとを連結する後輪側プロペラシャフトを分断た途中に配置されている。
【0036】
図1に示すように、カップリング1は、一対のトルク伝達部材3、5と、両トルク伝達部材3、5間に配置された増幅機能を有するギア組7と、ギア組7に負荷抵抗を付与する摩擦クラッチ9と、摩擦クラッチ9の締結力を締結・制御するアクチュエータ11とを備えている。また、本実施形態のカップリング1は、摩擦クラッチ9の負荷抵抗をギア組7に伝達する中間伝達部材13を有している。
【0037】
一対のトルク伝達部材3、5の一方のトルク伝達部材3は、ステンレス鋼等の非磁性材料製のケーシング本体15と、このケーシング本体15の一側に溶接されて一体に形成された鉄系合金等の磁性材料製のロータ17とで形成されている。ケーシング本体15は、筒状で一側に大径の開口部19が形成され、他側に小径の開口部を形成するボス部21が形成されている。また、ケーシング本体15の開口部19側の内壁には、スプライン部23が形成されている。さらに、開口部19には、開口部19を閉塞するように円板状のロータ17が溶接により一体に固定されている。このロータ17には、非磁性材料からなるリング61が半径方向の中間部に設けられている。リング61は、ロータ17上での磁束の短絡を防止している。また、円板状のロータ17の中心部から突出して入力軸25が設けられている。この入力軸25は、コンパニオンフランジと継ぎ手と前方のプロペラシャフトなどを介してトランスファ側に連結され、エンジンの駆動力が入力される。入力軸25に入力された回転駆動力は、ロータ17、ケーシング本体15に伝達された後に他方のトルク伝達部材5に伝達される。
【0038】
他方のトルク伝達部材5は、ケーシング本体15に収納されたウオームホイール27と、このウオームホール27の中心部から突出した出力軸29とからなる。出力軸29は、上記ケーシング本体15のボス部21内を挿通してケーシング本体15内から突出している。出力軸29には、コンパニオンフランジと継ぎ手と後方のプロペラシャフトなどを介してリヤデフ側に連結されており、出力軸29の回転はこれらの動力伝達系を介してリヤデフに伝達される。そして、これらの両トルク伝達部材3、5間に増幅機能を有したギア組7が設けられている。
【0039】
ギア組7は、ケーシング本体15内に回動自在に支持されたウオームギヤ31と、このウオームギヤ31に噛み合うウオームホイール33と、上記他方のトルク伝達部材5に設けられたウオームホール27とで構成されている。ウオームギヤ31は、図2に示すように、ケーシング本体15の軸方向に対して直交する方向に沿って、ケーシング本体15の外壁側に配置され、支軸35を中心に回動自在に支持されている。支軸35は、ケーシング本体15の壁部に支持されている。このウオームギヤ31噛み合っているウオームホイール33は、ケーシング本体15の内部に設けられた中間伝達部材13に一体に形成されている。
【0040】
中間伝達部材13は、ケーシング本体15の中心部に配置され、一側凸部37がロータ17の中央部分に設けられた支承部39に支承され、他側凸部41が他方のトルク伝達部材13の中央部分に設けられた支承部43に支承されている。また、中間伝達部材13には、ウオームホイール33の反対側にスプライン部45が形成されている。スプライン部45には、摩擦クラッチ9が連結され、ギア組7に負荷抵抗を伝達する。
【0041】
摩擦クラッチ9は、ケーシング本体15のスプライン部23に連結された外側クラッチ板47と、中間伝達部材13のスプライン部45に連結された内側クラッチ板49とで構成されている。これらの外側クラッチ板47と内側クラッチ板49とが締結すると、入力軸25に伝達され、ロータ17を介してケーシング本体15に伝達された回転駆動力が、中間伝達部材13に伝達される。中間伝達部材13に伝達された回転駆動力は、ウオームホイール33を介してウオームギヤ31に伝達される。この摩擦クラッチ9の締結力は、アクチュエータ11によって締結・制御される。
【0042】
アクチュエータ11は、非磁性材料製のロータ17を挟んで外部に配置された電磁石51と、摩擦クラッチ9を挟んでケーシング本体15の内方に配置されたアーマチャ53とで構成されている。電磁石51は電磁コイル55と、この電磁コイル55を覆うコア57とで形成されている。コア51は、ボールベアリング59を介して入力軸25に支持されている。また、磁性材料製のロータ17には、電磁コイル55に対向し対置に非磁性材料からなるリング61がロータ17と一体に形成されている。
【0043】
そして、電磁コイル55を励磁すると、発生する磁力線により磁束ループ63が形成され、この磁束ループ63によってアーマチャ53がロータ17側に移動することで摩擦クラッチ9が締結する。この場合、電磁コイル55への通電電流を調節することで摩擦クラッチ9の締結力を調節することができ、これによって、ギア組7に付与する負荷抵抗を調節することができる。
【0044】
以下に、カップリング1の作動について説明する。
【0045】
電磁コイル55が非励磁状態のとき、入力軸25に回転駆動力が入力されると、ロータ17が回転し、ケーシング本体15が回転する。ケーシング本体15の回転によりウオームギヤ31がケーシング本体15と共に回転する(公転する)。このとき、出力軸29側に負荷が加わっていない場合には、ウオームギヤ31と噛み合うウオームホイール27がウオームギア31と共に回転し出力軸29はケーシング本体15と共に回転する。これと共に、中間伝達部材13は、ウオームホイール33がウオームギヤ31と共に回転することで回転する。
【0046】
この状態から、出力軸29に負荷抵抗が働くと、ウオームホール27に抵抗が加わるのでウオームギア31が支軸35を中心に回転する(自転する)。この場合、ウオームギア31は、ケーシング本体15と共に、公転しつつ、ケーシング本体15に対して自転している。そして、出力軸29は負荷抵抗によって、ケーシング本体15が回転していてもウオームギア31が自転するので回転することがない。また、中間伝達部材13はウオームギヤ31の自転による回転で、ケーシング本体15の回転方向と逆方向に回転している。
【0047】
ここで、電磁コイル55に通電して励磁すると、アーマチャ53がロータ17側に引き寄せられて摩擦クラッチ9を締結する。摩擦クラッチ9が締結すると、中間伝達部材13をケーシング本体15と同方向へ回転させようとするため、中間伝達部材13は、ウオームギア31の回転(自転)を妨げようとする。すなわち、ウオームギア31に、負荷抵抗(摩擦クラッチ9に伝達されたトルク)が加わってウオームギア31の回転(自転)が規制される。ウオームギア31の自転が規制されると、出力軸29は、ウオームギア31の公転によって強制的に回転され、ケーシング本体15と共に回転し、ケーシング本体15からトルクが伝達される。これにより、入力軸25に入力された回転駆動力(トルク)が出力軸29側に伝達される。
【0048】
この場合、電磁コイル55への通電電流値を大きくして、摩擦クラッチ9を完全に締結した場合には、ウオームギア31の自転は完全に停止し、これにより入力軸25側の回転駆動力(トルク)が出力軸29へ全て伝達される。
【0049】
また、電磁コイル55への通電電流を調節すると、すなわち、外側クラッチ板47と内側クラッチ板49との間で滑りが生じた状態で摩擦クラッチ9が締結すると、ウオームギア31の自転が許容されるので、ケーシング本体15から出力軸29へ伝達されるトルクを調節することができる。
【0050】
従って、電磁コイル55の励磁電流を制御し、摩擦クラッチ9によってウォームギア31への負荷抵抗(小さなトルク)を調整すれば、出力軸29へ伝達される回転駆動力(大きなトルク)を調節することができ、摩擦クラッチ9によって中間伝達部材13に伝達されたトルクに対して、出力軸29に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、アクチュエータ11によって摩擦クラッチ9の締結力を制御し、ギア組7に付与する負荷抵抗を調整することにより、ギア組7による増幅機能を制御する。この場合、一方のトルク伝達部材3から摩擦クラッチ9に伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材5から出力されるトルクは、ギア組7によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチ9の締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータ11によって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材5から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態のカップリング1では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材5に一方のトルク伝達部材3からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0053】
さらに、本実施形態のカップリング1では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0054】
加えて、ギア組7のギア比を調節することでカップリング1によるトルクの増幅機能を広い範囲で任意に調整することが可能であり、カップリング1を介して後輪側に送られる駆動力の大きさを変えて前後輪間の駆動力配分比を制御することができる。例えば、旋回走行中にこのような駆動力配分比の制御(カップリング1によるトルクの増幅機能調整)を行うと、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のカップリング1は、上記のように、ギア組7固有の抵抗値(噛み合い抵抗)による増幅機能が得られる上に、摩擦クラッチ9の抵抗をギア組7に負荷することによってギア組7固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、さらに、摩擦クラッチ9の負荷抵抗を調整することによって全体の増幅機能を広い範囲で調整することができる。
【0056】
このような増幅機能の調整機能によって、前後輪間のトルク配分比を任意に調整することが可能であり、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0057】
また、ギア組7自身の噛み合い抵抗値を変えることにより、増幅機能をさらに広い範囲で調整することができる。
【0058】
また、このようにカップリング1が大きなトルクの増幅機能を負担するから、従来例と異なって、トランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求される増幅機能がそれだけ軽減され、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0059】
また、カップリング1では、上記したように、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いないから、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減されており、トルクの増幅機能と伝達機能が安定する。
【0060】
また、上記したようにカム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放されている。
【0061】
さらに、メインクラッチ507、パイロットクラッチ515、ボールカム509、カムリング513、アーマチャ517、電磁石519などの部材を用いて構成された従来の駆動力伝達装置501と較べて、本実施形態のカップリング1は構造が簡単で、低コストであり、小型軽量に構成され、それだけ車載性が向上している。
【0062】
また、本実施形態のカップリング1は、アクチュエータ11に電磁石51を用いたことにより、例えば、流体圧式のアクチュエータを用いた構成と異なって、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0063】
[第2実施形態]
次に図3に示す第2実施形態のカップリング81について説明する。
【0064】
図3に示すように、第2実施形態のカップリング81は、一対のトルク伝達部材83、85と、両トルク伝達部材83、85間に配置された増幅機能を有するギア組87と、ギア組87に負荷抵抗を付与する摩擦クラッチ89と、摩擦クラッチ89の締結力を締結・制御するアクチュエータ91とを備えている。また、本実施形態のカップリング81は、摩擦クラッチ9の負荷抵抗をギア組7に伝達する中間伝達部材93を有している。
【0065】
一対のトルク伝達部材3、5の一方のトルク伝達部材3は、ステンレス鋼等の非磁性材料製のケーシング本体95と、このケーシング本体95の一側に溶接されて一体に形成された鉄系合金等の磁性材料製のロータ97とで形成されている。ケーシング本体95は、筒状で一側に大径の開口部99が形成され、他側に小径の開口部を形成するボス部101が形成されている。また、ケーシング本体95の開口部99側の内壁には、スプライン部103が形成されている。さらに、開口部99には、開口部99を閉塞するように円板状のロータ97が溶接により一体に固定されている。このロータ97には、非磁性材料からなるリング141が半径方向の中間部に設けられている。このリング141は、ロータ97上での磁束の短絡を防止している。また、円板状のロータ97の中心部から突出して入力軸105が設けられている。入力軸105は、コンパニオンフランジと継ぎ手と前方のプロペラシャフトなどを介してトランスファ側に連結され、エンジンの駆動力が入力される。入力軸105に入力された回転駆動力は、ロータ97、ケーシング本体95に伝達された後に他方のトルク伝達部材85に伝達される。
【0066】
他方のトルク伝達部材85は、ケーシング本体95に収納されたギヤ107と、このギヤの中心部から突出した出力軸109とからなる。出力軸109は、上記ケーシング本体95のボス部101内を挿通してケーシング本体95内から突出している。この出力軸109には、コンパニオンフランジと継ぎ手と後方のプロペラシャフトなどを介してリヤデフ側に連結されており、出力軸109の回転はこれらの動力伝達系を介してリヤデフに伝達される。そして、これらの両トルク伝達部材83、85間に増幅機能を有したギア組87が設けられている。
【0067】
ギア組87は、ケーシング本体95内にそれぞれ回動自在に支持されると共に互いに噛み合うピニオン111、113と、ピニオン111と噛み合うギヤ115と、ピニオン113と噛み合う上記したギヤ107とで構成されている。ピニオン111、113は、第1実施形態の図2に示す構成と同様に、ケーシング本体95の軸方向に対して直交する方向に沿って、ケーシング本体95の外壁側に配置され、支軸35を中心に回動自在にそれぞれ支持されている。支軸35は、ケーシング本体15の壁部に支持されている。また、ピニオン111と噛み合っているギヤ115は、ケーシング本体95の内部に設けられた中間伝達部材93に一体に形成されている。
【0068】
中間伝達部材93は、ケーシング本体95の中心部に配置され、一側凸部117がロータ97の中央部分に設けられた支承部119に支承され、他側凸部121が他方のトルク伝達部材93の中央部分に設けられた支承部123に支承されている。また、中間伝達部材93には、ギヤ115の反対側にスプライン部125が形成されている。このスプライン部125には、摩擦クラッチ89が連結され、ギア組87に負荷抵抗を伝達する。
【0069】
摩擦クラッチ89は、ケーシング本体95のスプライン部103に連結された外側クラッチ板127と、中間伝達部材93のスプライン部125に連結された内側クラッチ板129とで構成されている。これらの外側クラッチ板127と内側クラッチ板129とが締結すると、入力軸105に伝達され、ロータ97を介してケーシング本体95に伝達された回転駆動力が、中間伝達部材93に伝達される。中間伝達部材93に伝達された回転駆動力は、ギヤ115を介してピニオン111に伝達され、これと噛み合うピニオン113に伝達される。この摩擦クラッチ89の締結力は、アクチュエータ91によって締結・制御される。
【0070】
アクチュエータ91は、非磁性材料製のロータ97を挟んで外部に配置された電磁石131と、摩擦クラッチ89を挟んでケーシング本体95の内方に配置されたアーマチャ133とで構成されている。電磁石131は電磁コイル135と、この電磁コイル135を覆うコア137とで形成されている。コア137は、ボールベアリング139を介して入力軸105に支持されている。また、磁性材料製のロータ97には、上述したように、電磁コイル135に対向し対置に非磁性材料からなるリング141がロータ97と一体に形成されている。
【0071】
そして、電磁コイル135を励磁すると、発生する磁力線により磁束ループ143が形成され、この磁束ループ143によってアーマチャ133がロータ97側に移動することで摩擦クラッチ89が締結する。この場合、電磁コイル135への通電電流を調節することで摩擦クラッチ89の締結力を調節することができ、これによって、ギア組87に付与する負荷抵抗を調節することができる。
【0072】
以下に、カップリング1の作動について説明する。
【0073】
電磁コイル135が非励磁状態のとき、入力軸105に回転駆動力が入力されると、ロータ97が回転し、ケーシング本体95が回転する。ケーシング本体95の回転によりピニオン111、113がケーシング本体95と共に回転する(公転する)。このとき、出力軸109側に負荷が加わっていない場合には、ピニオン111と噛み合うギヤ115とピニオン113と噛み合うギヤ107が回転し出力軸109はケーシング本体95と共に回転する。これと共に、中間伝達部材93は、ギヤ115がピニオン111と共に回転することで回転する。
【0074】
この状態から、出力軸109に負荷抵抗が働くと、ギヤ107に抵抗が加わるのでピニオン113が支軸35を中心に回転する(自転する)。ウオームギヤ113が自転すると、これと噛み合うピニオン111も回転(自転)する。ピニオン111が回転するとギヤ115を介して中間伝達部材93が回転する。
【0075】
この場合、ピニオン113は、ケーシング本体95と共に、公転しつつ、ケーシング本体95に対して自転している。また、ピニオン111も、ケーシング本体95と共に、公転しつつケーシング本体95に対してピニオン113の自転に伴って自転している。そして、出力軸109は負荷抵抗によって、ケーシング本体95が回転していてもピニオン113が自転するので回転することがない。また、中間伝達部材93はピニオン111の自転による回転で、ケーシング本体95の回転方向と逆方向に回転している。
【0076】
ここで、電磁コイル135に通電して励磁すると、アーマチャ133がロータ97側に引き寄せられて摩擦クラッチ89を締結する。摩擦クラッチ89が締結すると、中間伝達部材93をケーシング本体95と同方向へ回転させようとするため、中間伝達部材93は、ピニオン111の回転(自転)を妨げようとする。すなわち、ピニオン111に、負荷抵抗(摩擦クラッチ9に伝達されたトルク)が加わってピニオン111の回転(自転)が規制されると共に、ピニオン113の回転(自転)が規制される。
【0077】
ピニオン113の自転が規制されると、出力軸109は、ピニオン113の公転によって強制的に回転され、ケーシング本体95と共に回転し、ケーシング本体95からトルクが伝達される。これにより、入力軸105に入力された回転駆動力(トルク)が出力軸109側に伝達される。
【0078】
この場合、電磁コイル135への通電電流値を大きくして、摩擦クラッチ89を完全に締結した場合には、ピニオン111の自転は完全に停止すると共に、ピニオン111に噛み合っているギア113の自転も完全に停止する。これにより入力軸105側の回転駆動力(トルク)が出力軸109へ全て伝達される。
【0079】
また、電磁コイル135への通電電流を調節すると、すなわち、外側クラッチ板127と内側クラッチ板129との間で滑りが生じた状態で摩擦クラッチ89が締結すると、ピニオン111の自転が許容されるので、ケーシング本体95から出力軸109へ伝達されるトルクを調節することができる。
【0080】
従って、電磁コイル135の励磁電流を制御し、摩擦クラッチ89によってピニオン111への負荷抵抗(小さなトルク)を調整すれば、出力軸109へ伝達される回転駆動力(大きなトルク)を調節することができ、摩擦クラッチ89によって中間伝達部材93に伝達されたトルクに対して、出力軸109に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、アクチュエータ91によって摩擦クラッチ89の締結力を制御し、ギア組87に付与する負荷抵抗を調整することにより、ギア組87による増幅機能を制御する。この場合、一方のトルク伝達部材83から摩擦クラッチ89に伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材85から出力されるトルクは、ギア組87によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチ89の締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータ91によって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材85から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態のカップリング81では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材85に一方のトルク伝達部材83からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0083】
さらに、本実施形態のカップリング81では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0084】
加えて、ギア組87のギア比を調節することでカップリング81によるトルクの増幅機能を広い範囲で任意に調整することが可能であり、カップリング81を介して後輪側に送られる駆動力の大きさを変えて前後輪間の駆動力配分比を制御することができる。例えば、旋回走行中にこのような駆動力配分比の制御(カップリング81によるトルクの増幅機能調整)を行うと、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態のカップリング81は、上記のように、ギア組87固有の抵抗値(噛み合い抵抗)による増幅機能が得られる上に、摩擦クラッチ89の抵抗をギア組87に負荷することによってギア組87固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、さらに、摩擦クラッチ89の負荷抵抗を調整することによって全体の増幅機能を広い範囲で調整することができる。
【0086】
このような増幅機能の調整機能によって、前後輪間のトルク配分比を任意に調整することが可能であり、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0087】
また、ギア組87自身の噛み合い抵抗値を変えることにより、増幅機能をさらに広い範囲で調整することができる。
【0088】
また、このようにカップリング81が大きなトルクの増幅機能を負担するから、従来例と異なって、トランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求される増幅機能がそれだけ軽減され、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0089】
また、カップリング81では、上記したように、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いないから、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減されており、トルクの増幅機能と伝達機能が安定する。
【0090】
また、上記したようにカム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放されている。
【0091】
さらに、メインクラッチ507、パイロットクラッチ515、ボールカム509、カムリング513、アーマチャ517、電磁石519などの部材を用いて構成された従来の駆動力伝達装置501と較べて、本実施形態のカップリング1は構造が簡単で、低コストであり、小型軽量に構成され、それだけ車載性が向上している。
【0092】
また、本実施形態のカップリング81は、アクチュエータ91に電磁石131を用いたことにより、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0093】
また、第2実施形態のカップリング81は、第1実施形態のカップリング1と比較してウオームギヤとウオームホールとの摩擦面が少ないので、耐久性が良好となる。
【0094】
なお、上記カップリングでは、多板式の摩擦クラッチを用いた例を示したが、多板クラッチに限らず、単板クラッチやコーンクラッチでも良い。又、アクチュエータは、電磁式に限らず、油圧式や、空気圧式でも良い。
【0095】
また、本発明のカップリングは、デファレンシャル装置の差動回転部材の間に配置すれば、差動制限機構に用いることもできる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1のカップリングは、摩擦クラッチの抵抗をギア組に負荷することにより、また、ギア組の噛み合い抵抗値を変えることにより、ギア組固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0097】
従って、従来はトランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求されていた大きな増幅機能が軽減されるから、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0098】
また、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いない構成では、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動と低下、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減され、増幅機能とトルクの伝達機能が安定する。
【0099】
また、カム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放される。
【0100】
また、従来の駆動力伝達装置501と較べて、構造簡単、低コストであり、小型軽量に構成され、車載性が向上する。
【0101】
請求項2のカップリングは、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0102】
また、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、さらに大きな増幅機能が得られる。
【0103】
請求項3のカップリングは、請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0104】
請求項4のカップリングは、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0105】
請求項5のカップリングは、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0106】
請求項6の発明は、請求項1〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0107】
また、アクチュエータに電磁石を用いたことにより、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスと、トルクを断続する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第2実施形態の断面図である。
【図4】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1、81 カップリング
3、83 一方のトルク伝達部材
5、85 他方のトルク伝達部材
7、87 ギヤ組
9、89 摩擦クラッチ
11、91 アクチュエータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の動力伝達系などに用いられ、トルクや速度の増幅機能を備えたカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−329562号公報(特許文献1)に図4のような駆動力伝達装置501が記載されている。
【0003】
この駆動力伝達装置501は、回転ケース503、インナーシャフト505、多板式のメインクラッチ507、ボールカム509、プレッシャープレート511、カムリング513、多板式のパイロットクラッチ515、アーマチャ517、電磁石519などから構成されている。
【0004】
駆動力伝達装置501は4輪駆動車において、2輪駆動走行時に切り離される後輪とトランスファとを連結する後輪側プロペラシャフトを分断して配置されており、回転ケース503は前側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト505は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】
電磁石519を励磁すると、磁束ループ521が形成されてアーマチャ517が吸引され、パイロットクラッチ515を押圧し締結させる。パイロットクラッチ515が締結されると、パイロットトルクが生じてボールカム509にエンジンの駆動力が掛かり、発生したカムスラスト力によってメインクラッチ507が押圧され、駆動力伝達装置501(メインクラッチ507)が連結されて後輪側に駆動力が伝達され、車両は4輪駆動状態になる。
【0006】
また、電磁石519の励磁電流を制御すると、パイロットクラッチ515の滑り率に変化が生じてボールカム509のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ507の押圧力が変化して後輪に送られる駆動力の大きさが変わるから、前後輪間の駆動力配分比を制御できる。
【0007】
また、電磁石519の励磁を停止すると、パイロットクラッチ515が開放されてボールカム509のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ507が開放されて駆動力伝達装置501の連結が解除され、後輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−329562号公報(第6頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、駆動力伝達装置501のようなトルクの主伝達経路に多板式のメインクラッチ507を用いた装置では、クラッチ板の経時劣化により、摺動面が初期の状態に比して、鏡面化することによる大トルクを伝達する多板クラッチに特有のスティックスリップ音(クラッチ板の断続的な滑りに起因する騒音)を避けることは難しい。
【0010】
また、上記駆動力伝達装置501では、ボールカム509(カム機構)を用いているので、カムフォロアとカム部材のガタにより両部材間の相対回転方向が逆転する際、カムフォロアがカム部材に設けたカム溝内で中立状態が生じる。この時には、プレッシャープレートへのカムフォロアによるスラスト力が保持できなくなるため、トルクが抜けが発生する。この結果、レスポンスが遅くなる上に、ガタに伴う騒音が発生する場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、スリップスティック音の発生を防止でき、トルク抜けが生じることのないカップリングの提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のカップリングは、一対のトルク伝達部材と、前記両トルク伝達部材の間に配置され、増幅機能を有するギア組と、アクチュエータによって締結され、前記ギア組に負荷抵抗を与える摩擦クラッチとを備え、前記アクチュエータによって前記摩擦クラッチの締結力を制御し、前記ギア組に掛かる前記負荷抵抗を調整することにより、前記両トルク伝達部材間の伝達トルクを制御することを特徴としている。
【0013】
請求項1の発明では、アクチュエータによって摩擦クラッチの締結力を制御し、ギア組に付与する負荷抵抗を調整することにより、両伝達部材間の伝達トルクを制御する。この場合、一方のトルク伝達部材から摩擦クラッチに伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材から出力されるトルクは、ギア組の歯面によるかみあい摩擦力によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチの締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータによって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0014】
また、請求項1の発明では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材に一方のトルク伝達部材からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0015】
さらに、請求項1の発明では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有することを特徴とし、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0017】
これに加えて、請求項2のカップリングでは、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、ギア組固有の抵抗値にこの噛み合い抵抗が付加されると共に、この噛み合い抵抗が摩擦クラッチの負荷抵抗に比例するから摩擦クラッチの小さいトルクを制御することによって、大きなトルク伝達をすることができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のカップリングであって、前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有する食違い軸歯車であることを特徴とする。
【0019】
請求項1の構成と同等の作用・効果が得られると共に、請求項2と同様に、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、ギア組固有の抵抗値にこの噛み合い抵抗が付加されると共に、この噛み合い抵抗が摩擦クラッチの負荷抵抗によって増幅されるから、さらに大きな増幅機能が得られる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、一対のウォームホイールを共通のウォームで連結して構成されたウォームギア組であり、前記ウォームが一方のトルク伝達部材に回転自在に支持され、一方のウォームホイールが他方のトルク伝達部材に連結され、前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のウォームホイールとの間に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4のカップリングでは、一対のウォームホイールを共通のウォームで連結したウォームギア組が用いられており、例えば、一方のトルク伝達部材から入力したトルクは、ウォームから一方のウォームホイールを介して他方のトルク伝達部材側に伝達され、この間に、トルクが伝達されるウォームと一方のウォームホイール間の噛み合い抵抗によってトルクや速度が増幅される。
【0022】
また、摩擦クラッチの抵抗が一方のトルク伝達部材と他方のウォームホイールとの間に負荷されることにより、ウォームギア組固有の噛み合い抵抗による増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られる。
【0023】
さらに、摩擦クラッチによるこの負荷抵抗を調整すれば、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0024】
こうして、請求項4のカップリングは、請求項1乃至は請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、互いに噛み合った一対のピニオンと、前記ピニオンと各別に噛み合って連結された一対のギヤとで構成されたギア組であり、前記一対のピニオンが一方のトルク伝達部材に回転自在に連結され、一方のギヤが他方のトルク伝達部材に連結され、前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のギヤとの間に配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項5のカップリングでは、例えば、一方のトルク伝達部材から入力したトルクは、一対のピニオンから一方のギヤを介して他方のトルク伝達部材側に伝達され、この間に、トルクが伝達される一対のピニオンと一方のギヤ間の噛み合い抵抗によってトルクや速度が増幅される。
【0027】
また、摩擦クラッチの抵抗が一方のトルク伝達部材と他方のギヤとの間に負荷されることにより、ギア組固有の噛み合い抵抗による増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られる。
【0028】
さらに、摩擦クラッチによるこの負荷抵抗を調整すれば、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0029】
こうして、請求項5のカップリングは、請求項1乃至請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0030】
また、請求項5の構成では、摩擦クラッチを開放すると、一対のピニオンと他方のギヤが空転することによって、トルクの伝達が遮断される。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載されたカップリングであって、前記アクチュエータが、電磁石であることを特徴とし、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0032】
また、請求項6のカップリングは、アクチュエータに電磁石を用いたことにより、流体圧式のアクチュエータを用いた構成と異なって、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量に構成され、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスと、トルクを断続する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るカップリングの実施形態について図面を用いて以下に説明する。
【0034】
[第1実施形態]
図1及び図2を用いて第1実施形態のカップリング1について説明する。
【0035】
図1は、第1実施形態のカップリング1を示す断面図、図2は図1のA−A線に沿って切断した断面図である。このカップリング1は、4輪駆動車において2輪駆動走行時に切り離される後輪とトランスファとを連結する後輪側プロペラシャフトを分断た途中に配置されている。
【0036】
図1に示すように、カップリング1は、一対のトルク伝達部材3、5と、両トルク伝達部材3、5間に配置された増幅機能を有するギア組7と、ギア組7に負荷抵抗を付与する摩擦クラッチ9と、摩擦クラッチ9の締結力を締結・制御するアクチュエータ11とを備えている。また、本実施形態のカップリング1は、摩擦クラッチ9の負荷抵抗をギア組7に伝達する中間伝達部材13を有している。
【0037】
一対のトルク伝達部材3、5の一方のトルク伝達部材3は、ステンレス鋼等の非磁性材料製のケーシング本体15と、このケーシング本体15の一側に溶接されて一体に形成された鉄系合金等の磁性材料製のロータ17とで形成されている。ケーシング本体15は、筒状で一側に大径の開口部19が形成され、他側に小径の開口部を形成するボス部21が形成されている。また、ケーシング本体15の開口部19側の内壁には、スプライン部23が形成されている。さらに、開口部19には、開口部19を閉塞するように円板状のロータ17が溶接により一体に固定されている。このロータ17には、非磁性材料からなるリング61が半径方向の中間部に設けられている。リング61は、ロータ17上での磁束の短絡を防止している。また、円板状のロータ17の中心部から突出して入力軸25が設けられている。この入力軸25は、コンパニオンフランジと継ぎ手と前方のプロペラシャフトなどを介してトランスファ側に連結され、エンジンの駆動力が入力される。入力軸25に入力された回転駆動力は、ロータ17、ケーシング本体15に伝達された後に他方のトルク伝達部材5に伝達される。
【0038】
他方のトルク伝達部材5は、ケーシング本体15に収納されたウオームホイール27と、このウオームホール27の中心部から突出した出力軸29とからなる。出力軸29は、上記ケーシング本体15のボス部21内を挿通してケーシング本体15内から突出している。出力軸29には、コンパニオンフランジと継ぎ手と後方のプロペラシャフトなどを介してリヤデフ側に連結されており、出力軸29の回転はこれらの動力伝達系を介してリヤデフに伝達される。そして、これらの両トルク伝達部材3、5間に増幅機能を有したギア組7が設けられている。
【0039】
ギア組7は、ケーシング本体15内に回動自在に支持されたウオームギヤ31と、このウオームギヤ31に噛み合うウオームホイール33と、上記他方のトルク伝達部材5に設けられたウオームホール27とで構成されている。ウオームギヤ31は、図2に示すように、ケーシング本体15の軸方向に対して直交する方向に沿って、ケーシング本体15の外壁側に配置され、支軸35を中心に回動自在に支持されている。支軸35は、ケーシング本体15の壁部に支持されている。このウオームギヤ31噛み合っているウオームホイール33は、ケーシング本体15の内部に設けられた中間伝達部材13に一体に形成されている。
【0040】
中間伝達部材13は、ケーシング本体15の中心部に配置され、一側凸部37がロータ17の中央部分に設けられた支承部39に支承され、他側凸部41が他方のトルク伝達部材13の中央部分に設けられた支承部43に支承されている。また、中間伝達部材13には、ウオームホイール33の反対側にスプライン部45が形成されている。スプライン部45には、摩擦クラッチ9が連結され、ギア組7に負荷抵抗を伝達する。
【0041】
摩擦クラッチ9は、ケーシング本体15のスプライン部23に連結された外側クラッチ板47と、中間伝達部材13のスプライン部45に連結された内側クラッチ板49とで構成されている。これらの外側クラッチ板47と内側クラッチ板49とが締結すると、入力軸25に伝達され、ロータ17を介してケーシング本体15に伝達された回転駆動力が、中間伝達部材13に伝達される。中間伝達部材13に伝達された回転駆動力は、ウオームホイール33を介してウオームギヤ31に伝達される。この摩擦クラッチ9の締結力は、アクチュエータ11によって締結・制御される。
【0042】
アクチュエータ11は、非磁性材料製のロータ17を挟んで外部に配置された電磁石51と、摩擦クラッチ9を挟んでケーシング本体15の内方に配置されたアーマチャ53とで構成されている。電磁石51は電磁コイル55と、この電磁コイル55を覆うコア57とで形成されている。コア51は、ボールベアリング59を介して入力軸25に支持されている。また、磁性材料製のロータ17には、電磁コイル55に対向し対置に非磁性材料からなるリング61がロータ17と一体に形成されている。
【0043】
そして、電磁コイル55を励磁すると、発生する磁力線により磁束ループ63が形成され、この磁束ループ63によってアーマチャ53がロータ17側に移動することで摩擦クラッチ9が締結する。この場合、電磁コイル55への通電電流を調節することで摩擦クラッチ9の締結力を調節することができ、これによって、ギア組7に付与する負荷抵抗を調節することができる。
【0044】
以下に、カップリング1の作動について説明する。
【0045】
電磁コイル55が非励磁状態のとき、入力軸25に回転駆動力が入力されると、ロータ17が回転し、ケーシング本体15が回転する。ケーシング本体15の回転によりウオームギヤ31がケーシング本体15と共に回転する(公転する)。このとき、出力軸29側に負荷が加わっていない場合には、ウオームギヤ31と噛み合うウオームホイール27がウオームギア31と共に回転し出力軸29はケーシング本体15と共に回転する。これと共に、中間伝達部材13は、ウオームホイール33がウオームギヤ31と共に回転することで回転する。
【0046】
この状態から、出力軸29に負荷抵抗が働くと、ウオームホール27に抵抗が加わるのでウオームギア31が支軸35を中心に回転する(自転する)。この場合、ウオームギア31は、ケーシング本体15と共に、公転しつつ、ケーシング本体15に対して自転している。そして、出力軸29は負荷抵抗によって、ケーシング本体15が回転していてもウオームギア31が自転するので回転することがない。また、中間伝達部材13はウオームギヤ31の自転による回転で、ケーシング本体15の回転方向と逆方向に回転している。
【0047】
ここで、電磁コイル55に通電して励磁すると、アーマチャ53がロータ17側に引き寄せられて摩擦クラッチ9を締結する。摩擦クラッチ9が締結すると、中間伝達部材13をケーシング本体15と同方向へ回転させようとするため、中間伝達部材13は、ウオームギア31の回転(自転)を妨げようとする。すなわち、ウオームギア31に、負荷抵抗(摩擦クラッチ9に伝達されたトルク)が加わってウオームギア31の回転(自転)が規制される。ウオームギア31の自転が規制されると、出力軸29は、ウオームギア31の公転によって強制的に回転され、ケーシング本体15と共に回転し、ケーシング本体15からトルクが伝達される。これにより、入力軸25に入力された回転駆動力(トルク)が出力軸29側に伝達される。
【0048】
この場合、電磁コイル55への通電電流値を大きくして、摩擦クラッチ9を完全に締結した場合には、ウオームギア31の自転は完全に停止し、これにより入力軸25側の回転駆動力(トルク)が出力軸29へ全て伝達される。
【0049】
また、電磁コイル55への通電電流を調節すると、すなわち、外側クラッチ板47と内側クラッチ板49との間で滑りが生じた状態で摩擦クラッチ9が締結すると、ウオームギア31の自転が許容されるので、ケーシング本体15から出力軸29へ伝達されるトルクを調節することができる。
【0050】
従って、電磁コイル55の励磁電流を制御し、摩擦クラッチ9によってウォームギア31への負荷抵抗(小さなトルク)を調整すれば、出力軸29へ伝達される回転駆動力(大きなトルク)を調節することができ、摩擦クラッチ9によって中間伝達部材13に伝達されたトルクに対して、出力軸29に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、アクチュエータ11によって摩擦クラッチ9の締結力を制御し、ギア組7に付与する負荷抵抗を調整することにより、ギア組7による増幅機能を制御する。この場合、一方のトルク伝達部材3から摩擦クラッチ9に伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材5から出力されるトルクは、ギア組7によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチ9の締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータ11によって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材5から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態のカップリング1では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材5に一方のトルク伝達部材3からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0053】
さらに、本実施形態のカップリング1では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0054】
加えて、ギア組7のギア比を調節することでカップリング1によるトルクの増幅機能を広い範囲で任意に調整することが可能であり、カップリング1を介して後輪側に送られる駆動力の大きさを変えて前後輪間の駆動力配分比を制御することができる。例えば、旋回走行中にこのような駆動力配分比の制御(カップリング1によるトルクの増幅機能調整)を行うと、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のカップリング1は、上記のように、ギア組7固有の抵抗値(噛み合い抵抗)による増幅機能が得られる上に、摩擦クラッチ9の抵抗をギア組7に負荷することによってギア組7固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、さらに、摩擦クラッチ9の負荷抵抗を調整することによって全体の増幅機能を広い範囲で調整することができる。
【0056】
このような増幅機能の調整機能によって、前後輪間のトルク配分比を任意に調整することが可能であり、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0057】
また、ギア組7自身の噛み合い抵抗値を変えることにより、増幅機能をさらに広い範囲で調整することができる。
【0058】
また、このようにカップリング1が大きなトルクの増幅機能を負担するから、従来例と異なって、トランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求される増幅機能がそれだけ軽減され、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0059】
また、カップリング1では、上記したように、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いないから、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減されており、トルクの増幅機能と伝達機能が安定する。
【0060】
また、上記したようにカム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放されている。
【0061】
さらに、メインクラッチ507、パイロットクラッチ515、ボールカム509、カムリング513、アーマチャ517、電磁石519などの部材を用いて構成された従来の駆動力伝達装置501と較べて、本実施形態のカップリング1は構造が簡単で、低コストであり、小型軽量に構成され、それだけ車載性が向上している。
【0062】
また、本実施形態のカップリング1は、アクチュエータ11に電磁石51を用いたことにより、例えば、流体圧式のアクチュエータを用いた構成と異なって、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0063】
[第2実施形態]
次に図3に示す第2実施形態のカップリング81について説明する。
【0064】
図3に示すように、第2実施形態のカップリング81は、一対のトルク伝達部材83、85と、両トルク伝達部材83、85間に配置された増幅機能を有するギア組87と、ギア組87に負荷抵抗を付与する摩擦クラッチ89と、摩擦クラッチ89の締結力を締結・制御するアクチュエータ91とを備えている。また、本実施形態のカップリング81は、摩擦クラッチ9の負荷抵抗をギア組7に伝達する中間伝達部材93を有している。
【0065】
一対のトルク伝達部材3、5の一方のトルク伝達部材3は、ステンレス鋼等の非磁性材料製のケーシング本体95と、このケーシング本体95の一側に溶接されて一体に形成された鉄系合金等の磁性材料製のロータ97とで形成されている。ケーシング本体95は、筒状で一側に大径の開口部99が形成され、他側に小径の開口部を形成するボス部101が形成されている。また、ケーシング本体95の開口部99側の内壁には、スプライン部103が形成されている。さらに、開口部99には、開口部99を閉塞するように円板状のロータ97が溶接により一体に固定されている。このロータ97には、非磁性材料からなるリング141が半径方向の中間部に設けられている。このリング141は、ロータ97上での磁束の短絡を防止している。また、円板状のロータ97の中心部から突出して入力軸105が設けられている。入力軸105は、コンパニオンフランジと継ぎ手と前方のプロペラシャフトなどを介してトランスファ側に連結され、エンジンの駆動力が入力される。入力軸105に入力された回転駆動力は、ロータ97、ケーシング本体95に伝達された後に他方のトルク伝達部材85に伝達される。
【0066】
他方のトルク伝達部材85は、ケーシング本体95に収納されたギヤ107と、このギヤの中心部から突出した出力軸109とからなる。出力軸109は、上記ケーシング本体95のボス部101内を挿通してケーシング本体95内から突出している。この出力軸109には、コンパニオンフランジと継ぎ手と後方のプロペラシャフトなどを介してリヤデフ側に連結されており、出力軸109の回転はこれらの動力伝達系を介してリヤデフに伝達される。そして、これらの両トルク伝達部材83、85間に増幅機能を有したギア組87が設けられている。
【0067】
ギア組87は、ケーシング本体95内にそれぞれ回動自在に支持されると共に互いに噛み合うピニオン111、113と、ピニオン111と噛み合うギヤ115と、ピニオン113と噛み合う上記したギヤ107とで構成されている。ピニオン111、113は、第1実施形態の図2に示す構成と同様に、ケーシング本体95の軸方向に対して直交する方向に沿って、ケーシング本体95の外壁側に配置され、支軸35を中心に回動自在にそれぞれ支持されている。支軸35は、ケーシング本体15の壁部に支持されている。また、ピニオン111と噛み合っているギヤ115は、ケーシング本体95の内部に設けられた中間伝達部材93に一体に形成されている。
【0068】
中間伝達部材93は、ケーシング本体95の中心部に配置され、一側凸部117がロータ97の中央部分に設けられた支承部119に支承され、他側凸部121が他方のトルク伝達部材93の中央部分に設けられた支承部123に支承されている。また、中間伝達部材93には、ギヤ115の反対側にスプライン部125が形成されている。このスプライン部125には、摩擦クラッチ89が連結され、ギア組87に負荷抵抗を伝達する。
【0069】
摩擦クラッチ89は、ケーシング本体95のスプライン部103に連結された外側クラッチ板127と、中間伝達部材93のスプライン部125に連結された内側クラッチ板129とで構成されている。これらの外側クラッチ板127と内側クラッチ板129とが締結すると、入力軸105に伝達され、ロータ97を介してケーシング本体95に伝達された回転駆動力が、中間伝達部材93に伝達される。中間伝達部材93に伝達された回転駆動力は、ギヤ115を介してピニオン111に伝達され、これと噛み合うピニオン113に伝達される。この摩擦クラッチ89の締結力は、アクチュエータ91によって締結・制御される。
【0070】
アクチュエータ91は、非磁性材料製のロータ97を挟んで外部に配置された電磁石131と、摩擦クラッチ89を挟んでケーシング本体95の内方に配置されたアーマチャ133とで構成されている。電磁石131は電磁コイル135と、この電磁コイル135を覆うコア137とで形成されている。コア137は、ボールベアリング139を介して入力軸105に支持されている。また、磁性材料製のロータ97には、上述したように、電磁コイル135に対向し対置に非磁性材料からなるリング141がロータ97と一体に形成されている。
【0071】
そして、電磁コイル135を励磁すると、発生する磁力線により磁束ループ143が形成され、この磁束ループ143によってアーマチャ133がロータ97側に移動することで摩擦クラッチ89が締結する。この場合、電磁コイル135への通電電流を調節することで摩擦クラッチ89の締結力を調節することができ、これによって、ギア組87に付与する負荷抵抗を調節することができる。
【0072】
以下に、カップリング1の作動について説明する。
【0073】
電磁コイル135が非励磁状態のとき、入力軸105に回転駆動力が入力されると、ロータ97が回転し、ケーシング本体95が回転する。ケーシング本体95の回転によりピニオン111、113がケーシング本体95と共に回転する(公転する)。このとき、出力軸109側に負荷が加わっていない場合には、ピニオン111と噛み合うギヤ115とピニオン113と噛み合うギヤ107が回転し出力軸109はケーシング本体95と共に回転する。これと共に、中間伝達部材93は、ギヤ115がピニオン111と共に回転することで回転する。
【0074】
この状態から、出力軸109に負荷抵抗が働くと、ギヤ107に抵抗が加わるのでピニオン113が支軸35を中心に回転する(自転する)。ウオームギヤ113が自転すると、これと噛み合うピニオン111も回転(自転)する。ピニオン111が回転するとギヤ115を介して中間伝達部材93が回転する。
【0075】
この場合、ピニオン113は、ケーシング本体95と共に、公転しつつ、ケーシング本体95に対して自転している。また、ピニオン111も、ケーシング本体95と共に、公転しつつケーシング本体95に対してピニオン113の自転に伴って自転している。そして、出力軸109は負荷抵抗によって、ケーシング本体95が回転していてもピニオン113が自転するので回転することがない。また、中間伝達部材93はピニオン111の自転による回転で、ケーシング本体95の回転方向と逆方向に回転している。
【0076】
ここで、電磁コイル135に通電して励磁すると、アーマチャ133がロータ97側に引き寄せられて摩擦クラッチ89を締結する。摩擦クラッチ89が締結すると、中間伝達部材93をケーシング本体95と同方向へ回転させようとするため、中間伝達部材93は、ピニオン111の回転(自転)を妨げようとする。すなわち、ピニオン111に、負荷抵抗(摩擦クラッチ9に伝達されたトルク)が加わってピニオン111の回転(自転)が規制されると共に、ピニオン113の回転(自転)が規制される。
【0077】
ピニオン113の自転が規制されると、出力軸109は、ピニオン113の公転によって強制的に回転され、ケーシング本体95と共に回転し、ケーシング本体95からトルクが伝達される。これにより、入力軸105に入力された回転駆動力(トルク)が出力軸109側に伝達される。
【0078】
この場合、電磁コイル135への通電電流値を大きくして、摩擦クラッチ89を完全に締結した場合には、ピニオン111の自転は完全に停止すると共に、ピニオン111に噛み合っているギア113の自転も完全に停止する。これにより入力軸105側の回転駆動力(トルク)が出力軸109へ全て伝達される。
【0079】
また、電磁コイル135への通電電流を調節すると、すなわち、外側クラッチ板127と内側クラッチ板129との間で滑りが生じた状態で摩擦クラッチ89が締結すると、ピニオン111の自転が許容されるので、ケーシング本体95から出力軸109へ伝達されるトルクを調節することができる。
【0080】
従って、電磁コイル135の励磁電流を制御し、摩擦クラッチ89によってピニオン111への負荷抵抗(小さなトルク)を調整すれば、出力軸109へ伝達される回転駆動力(大きなトルク)を調節することができ、摩擦クラッチ89によって中間伝達部材93に伝達されたトルクに対して、出力軸109に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、アクチュエータ91によって摩擦クラッチ89の締結力を制御し、ギア組87に付与する負荷抵抗を調整することにより、ギア組87による増幅機能を制御する。この場合、一方のトルク伝達部材83から摩擦クラッチ89に伝達された小さなトルクに対して、他方のトルク伝達部材85から出力されるトルクは、ギア組87によって増幅されて大きなトルクとなる。この結果、摩擦クラッチ89の締結によって伝達される小さなトルクをアクチュエータ91によって締結・制御することで、他方のトルク伝達部材85から出力される大きなトルクの制御を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態のカップリング81では、トルクの主伝達経路、すなわち、他方のトルク伝達部材85に一方のトルク伝達部材83からのトルクを伝達する主伝達経路に摩擦クラッチを用いていないので、スティックスリップ音が発生することがない。
【0083】
さらに、本実施形態のカップリング81では、カム機構を用いていないので、トルク抜けが生じることがなく、レスポンスの低下を防止することができる。
【0084】
加えて、ギア組87のギア比を調節することでカップリング81によるトルクの増幅機能を広い範囲で任意に調整することが可能であり、カップリング81を介して後輪側に送られる駆動力の大きさを変えて前後輪間の駆動力配分比を制御することができる。例えば、旋回走行中にこのような駆動力配分比の制御(カップリング81によるトルクの増幅機能調整)を行うと、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態のカップリング81は、上記のように、ギア組87固有の抵抗値(噛み合い抵抗)による増幅機能が得られる上に、摩擦クラッチ89の抵抗をギア組87に負荷することによってギア組87固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、さらに、摩擦クラッチ89の負荷抵抗を調整することによって全体の増幅機能を広い範囲で調整することができる。
【0086】
このような増幅機能の調整機能によって、前後輪間のトルク配分比を任意に調整することが可能であり、車両の操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0087】
また、ギア組87自身の噛み合い抵抗値を変えることにより、増幅機能をさらに広い範囲で調整することができる。
【0088】
また、このようにカップリング81が大きなトルクの増幅機能を負担するから、従来例と異なって、トランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求される増幅機能がそれだけ軽減され、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0089】
また、カップリング81では、上記したように、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いないから、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減されており、トルクの増幅機能と伝達機能が安定する。
【0090】
また、上記したようにカム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放されている。
【0091】
さらに、メインクラッチ507、パイロットクラッチ515、ボールカム509、カムリング513、アーマチャ517、電磁石519などの部材を用いて構成された従来の駆動力伝達装置501と較べて、本実施形態のカップリング1は構造が簡単で、低コストであり、小型軽量に構成され、それだけ車載性が向上している。
【0092】
また、本実施形態のカップリング81は、アクチュエータ91に電磁石131を用いたことにより、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【0093】
また、第2実施形態のカップリング81は、第1実施形態のカップリング1と比較してウオームギヤとウオームホールとの摩擦面が少ないので、耐久性が良好となる。
【0094】
なお、上記カップリングでは、多板式の摩擦クラッチを用いた例を示したが、多板クラッチに限らず、単板クラッチやコーンクラッチでも良い。又、アクチュエータは、電磁式に限らず、油圧式や、空気圧式でも良い。
【0095】
また、本発明のカップリングは、デファレンシャル装置の差動回転部材の間に配置すれば、差動制限機構に用いることもできる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1のカップリングは、摩擦クラッチの抵抗をギア組に負荷することにより、また、ギア組の噛み合い抵抗値を変えることにより、ギア組固有の増幅機能の数倍から約十倍にわたる大きな増幅機能が得られ、トルクと速度とを広い範囲で任意に調整することができる。
【0097】
従って、従来はトランスミッション、トランスファ、方向変換歯車組、終減速機構などに要求されていた大きな増幅機能が軽減されるから、これらの機構は、設計上の自由度が高くなると共に、コストが低減され、小型化と軽量化が可能になり、車載性が向上する。
【0098】
また、トルクの主伝達経路に摩擦クラッチを用いない構成では、スティックスリップ音、クラッチの磨耗とオイルの経時劣化によるトルク伝達特性の変動と低下、オイルの粘性によるドラグトルクなど摩擦クラッチに付随した現象による影響が大幅に低減され、増幅機能とトルクの伝達機能が安定する。
【0099】
また、カム機構を用いないから、カム機構のガタ、ガタによるレスポンスの低下と騒音などから解放される。
【0100】
また、従来の駆動力伝達装置501と較べて、構造簡単、低コストであり、小型軽量に構成され、車載性が向上する。
【0101】
請求項2のカップリングは、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0102】
また、ギア間で噛み合い抵抗を有するギア組を用いたことにより、さらに大きな増幅機能が得られる。
【0103】
請求項3のカップリングは、請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0104】
請求項4のカップリングは、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0105】
請求項5のカップリングは、請求項1〜請求項3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0106】
請求項6の発明は、請求項1〜5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0107】
また、アクチュエータに電磁石を用いたことにより、高価なポンプとその駆動源及び圧力ラインの引き回しなどが不要であり、構造簡単、低コストで、配置スペースが狭くてすみ、小型軽量で、車載性に優れる上に、増幅機能を調整する際のレスポンスと、トルクを断続する際のレスポンスが速く、高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第2実施形態の断面図である。
【図4】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1、81 カップリング
3、83 一方のトルク伝達部材
5、85 他方のトルク伝達部材
7、87 ギヤ組
9、89 摩擦クラッチ
11、91 アクチュエータ
Claims (6)
- 一対のトルク伝達部材と、
前記両トルク伝達部材間に配置された増幅機能を有するギア組と、
前記ギア組に負荷抵抗を付与する摩擦クラッチと、
前記摩擦クラッチの締結力を締結・制御するアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータによって前記摩擦クラッチの締結力を制御し、前記ギア組に付与される前記負荷抵抗を調整することにより前記両トルク伝達部材間の伝達トルクを制御することを特徴とするカップリング。 - 請求項1に記載されたカップリングであって、
前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有することを特徴とするカップリング。 - 請求項1又は請求項2に記載されたカップリングであって、前記ギア組が、各ギア間で噛み合い抵抗を有する食違い軸歯車であることを特徴とするカップリング。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載に記載されたカップリングであって、
前記ギア組が、一対のウォームホイールを共通のウォームで連結して構成されたウォームギア組であり、
前記ウォームが一方のトルク伝達部材に回転自在に支持され、
一方のウォームホイールが他方のトルク伝達部材に連結され、
前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のウォームホイールとの間に配置されていることを特徴とするカップリング。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載されたカップリングであって、
前記ギア組が、互いに噛み合った一対のピニオンと、
前記ピニオンと各別に噛み合って連結された一対のギアとで構成された食い違い軸歯車であり、
前記一対のピニオンが一方のトルク伝達部材に回転自在に支持され、
一方のギヤが他方のトルク伝達部材に連結され、
前記摩擦クラッチが、前記一方のトルク伝達部材と他方のギヤとの間に配置されていることを特徴とするカップリング。 - 請求項1〜5のいずれか一方に記載されたカップリングであって、
前記アクチュエータが、電磁石であることを特徴とするカップリング。
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Cited By (1)
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|---|---|---|---|---|
| CN117213109A (zh) * | 2023-10-25 | 2023-12-12 | 深圳市英维克精机技术有限公司 | 一种空调机组及其压缩机固定装置 |
-
2002
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Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN117213109A (zh) * | 2023-10-25 | 2023-12-12 | 深圳市英维克精机技术有限公司 | 一种空调机组及其压缩机固定装置 |
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