JP2004190837A - 締結部材および締結部材を利用した製品ならびに雄ねじおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】形状回復温度と形状回復方向がほぼ同一である形状記憶素材から雄ねじおよび雌ねじが形成され、雄ねじと雌ねじの螺合によって被締結部品A,Bの締結を行う。そして、雄ねじが形状回復した際の雄ねじ母材2Aのねじ形成部22Aは、ネジのない、雄ねじのネジの有効径と略同等の外径d2の筒状となり、雌ねじが形状回復した際の雌ねじ母材3Aのねじ形成部32Aは、ネジのない、雌ねじのネジの有効径と略同等の穴径D2の穴状となる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状記憶素材製の雄ねじと雌ねじからなる締結部材および締結部材を利用した製品ならびに形状記憶素材製の雄ねじおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、部品を本体に締結する場合には、ねじが用いられる。例えば、人手により、ねじを締め付ける方向に回して部品などを締結する一方、修理や解体のため、ねじを弛める方向に回して部品などを分離するようにしている。
【0003】
ところで、近年、環境問題の高まりの中、製品のリサイクルの容易さが重要な要素になっている。製品のリサイクルを容易に達成するためには、締結部の解体性の向上が不可欠となる。
【0004】
このような締結部の解体の容易さを向上させるため、形状記憶素材によって製造されたねじが提案されている。ここで、形状記憶素材とは、熱を加えることによって形状回復温度に達すると、予め形状記憶された状態に戻る性質を有する素材であって、例えば、ニッケルとチタンの合金(ニチノール)が知られている。
【0005】
例えば、図12に示すように、被締結部品Xを被締結部品Yに締結する場合、形状記憶素材によって製造された雄ねじ10を用意するとともに、該雄ねじ10と螺合可能な雌ねじ20を被締結部品Yに設け、被締結部品Xを通して雄ねじ10を被締結部品Yの雌ねじ20に螺合するものである。
【0006】
ここで、雄ねじ10は、図14に示す雄ねじ母材10A、すなわち、ネジのない筒状のねじ形成部101Aが形状記憶されており、その外径d0は、雌ねじ20の内径D1より小さく設定されている。
【0007】
したがって、図12に示す状態で雄ねじ10が加熱されて形状記憶回復温度に達すると、図13に示すように、雄ねじ10は、形状記憶した筒状のねじ形成部101Aを有する雄ねじ母材10Aに回復する。この時の雄ねじ母材10Aのねじ形成部101Aの外径d0は、雌ねじ20の内径D1より小さいため、締結が解除され、被締結部品Xと被締結部品Yが解体される(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−61346号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した雄ねじ10は、雄ねじ母材10Aの形状記憶時のねじ形成部101Aの外径d0を雌ねじ20の内径D1以下とし、軸方向への圧縮によりねじ形成部101Aの外径を雄ねじ10の有効径程度まで変形させた後、転造によりネジを形成することによって製造される。
【0010】
したがって、雄ねじ10が加熱されて形状記憶回復温度に達し、形状記憶した筒状のねじ形成部101Aを有する雄ねじ母材10Aに回復する際、ネジがなくなると同時に、ねじ形成部101Aの長さが長くなる。この結果、形状回復途中のネジのピッチが変化し、螺合する雌ねじ20のネジのピッチと合わなくなり、雄ねじ20のネジと雌ねじ20のネジとが干渉して外れなくなるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、形状回復時に雄ねじと雌ねじの干渉を確実に防止して簡単に離脱させることのできる雄ねじと雌ねじからなる締結部材および締結部材を利用した製品を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、形状回復時に雄ねじと雌ねじの干渉を確実に防止して簡単に締結を解除することのできる雄ねじおよびその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、雄ねじおよび雌ねじの螺合により締結を行う締結部材において、前記雄ねじおよび雌ねじは、形状回復温度と形状回復方向がほぼ同一である形状記憶素材からなり、かつ、形状回復時における雄ねじ母材のねじ形成部および雌ねじ母材のねじ形成部がそれぞれネジのない筒状および穴状であり、それらのねじ形成部の外径および穴径がそれぞれ雄ねじおよび雌ねじの有効径とほぼ等しいことを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、雄ねじおよび雌ねじは、同一特性の形状記憶素材、すなわち、形状記憶回復開始温度や形状記憶状態に戻る方向が同一である形状記憶素材から形成されているために、形状回復時において、雄ねじのネジと雌ねじのネジが干渉することなく確実に形態を変化させることができる。そして、雄ねじが雄ねじ母材に、雌ねじが雌ねじ母材にそれぞれ形状が回復した場合、雄ねじ母材のねじ形成部が雄ねじの有効径とほぼ同一径のネジのない筒状となり、また、雌ねじ母材のねじ形成部が雌ねじの有効径とほぼ同一径のネジのない穴状となることから、雄ねじ母材を雌ねじ母材から離脱させることができる。
【0015】
本発明において、前記雌ねじの形状回復時における雌ねじ母材のねじ形成部の穴径が雄ねじの形状回復時におけるねじ形成部の外径よりも大きいと、雄ねじが雄ねじ母材に、雌ねじが雌ねじ母材にそれぞれ形状が回復した場合、雄ねじ母材を雌ねじ母材から簡単に離脱させることができるため、好ましい。
【0016】
本発明において、前記形状記憶素材が形状記憶合金または形状記憶樹脂であることが好ましい。形状記憶合金としては、NiTi合金(ニチノール)、Au−Cdなどが知られている。また、形状記憶樹脂としては、例えば、三菱重工業製の形状記憶樹脂ダイアリーが市販されている。
【0017】
本発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の締結部材を少なくとも1箇所に用いたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明によれば、締結部材を構成する雄ねじおよび雌ねじは、同一特性の形状記憶素材、すなわち、形状記憶回復開始温度や形状記憶状態に戻る方向が同一である形状記憶素材、例えば、形状記憶合金や形状記憶樹脂から形成されているために、形状回復時において、雄ねじのネジと雌ねじのネジが干渉することなく形態を変化させることができる。そして、雄ねじが雄ねじ母材に、雌ねじが雌ねじ母材にそれぞれ形状が回復した場合、雄ねじ母材のねじ形成部が雄ねじの有効径とほぼ同一径のネジのない筒状となり、また、雌ねじ母材のねじ形成部が雌ねじの有効径とほぼ同一径のネジのない穴状となることから、雄ねじ母材を雌ねじ母材から離脱させることができる。したがって、締結部材を用いて被締結部品同士を締結している場合、簡単に各被締結部品に解体することができる。
【0019】
本発明において、前記締結部材の近傍に電磁波吸収素材または赤外線吸収素材を設けると、電磁波または赤外線を照射することにより、電磁波吸収素材または赤外線吸収素材を介して締結部材を簡単に加熱することができる。このため、締結部材を短時間で形状回復させることができる。
【0020】
本発明は、頭部およびねじ部からなる形状記憶素材製の雄ねじであって、ねじ部の中心に空間を有し、形状回復温度まで加熱されると、ネジがなくなると同時に、ねじ部が外径の小さくなる方向に形状回復することを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、雄ねじが形状回復温度まで加熱された場合、雄ねじは、ネジのない、かつ、雄ねじの外径よりも小径の筒状のねじ形成部を有する雄ねじ母材に形状回復することから、雌ねじのネジに干渉することなく確実に形態を変化させることができる。このため、雄ねじ母材を雌ねじから簡単に離脱させることができる。
【0022】
本発明は、頭部およびねじ部からなる形状記憶素材製の雄ねじであって、ねじ部の中心に空間を有し、形状回復温度まで加熱されると、ネジがなくなると同時に、ねじ部が略逆円錐形状に形状回復することを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、雄ねじが形状回復温度まで加熱された場合、雄ねじは、ネジのない、かつ、略逆円錐形状のねじ形成部を有する雄ねじ母材に形状回復することから、雌ねじのネジに干渉することなく確実に形態を変化させることができる。このため、雄ねじ母材を雌ねじから簡単に離脱させることができる。
【0024】
本発明は、請求項6または7記載の雄ねじの製造方法であって、雄ねじの有効径と同程度の径を有する下型の穴に形状記憶された雄ねじ母材のねじ形成部を遊嵌して上型で保持した後、雄ねじ母材を加熱し、雄ねじ母材のねじ形成部の外径を前記下型の穴の径まで拡開させ、次いで、ねじ形成部にネジを転造することを特徴とするものである。
【0025】
本発明によれば、雄ねじの有効径と同程度の径を有する下型の穴に形状記憶された雄ねじ母材のねじ形成部を遊嵌して上型で保持した後、雄ねじ母材を加熱し、雄ねじ母材のねじ形成部の外径を前記下型の穴の径まで拡開させ、次いで、ねじ形成部にネジを転造することにより、雌ねじのネジに干渉することなく確実に形態を変化させることのできる雄ねじを簡単に製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1には、本発明の締結部材1、すなわち、形状記憶素材製の雄ねじ2および雄ねじ2に螺合可能であって、形状記憶素材製の雌ねじ3から構成された締結部材1の一実施形態が示されている。
【0028】
この形状記憶素材、例えば、形状記憶合金あるいは形状記憶樹脂製の雄ねじ2は、頭部21および該頭部21と一体のねじ部22からなり、雄ねじ2を形状回復温度に加熱すると、図2に示すように、ネジがなくなると同時に、外径が縮小する方向に形状回復し、ネジのない筒状のねじ形成部22Aを有する雄ねじ母材2Aとなる。
【0029】
一方、雌ねじ3は、ねじ部32を有し、雄ねじ2と同一特性、すなわち、形状回復開始温度や形状回復方向が同一の形状記憶素材から形成されている。そして、雌ねじ3を形状回復温度に加熱すると、図2に示すように、ネジがなくなると同時に、穴径が拡大する方向に形状回復し、ネジのない穴状のねじ形成部32Aを有する雌ねじ母材3Aとなる。
【0030】
このような雄ねじ2および雌ねじ3からなる締結部材1によって、被締結部品Xを被締結部品Yに締結して製品Zを製造する場合は、図1に示すように、予め被締結部品Yに雌ねじ3を圧入しておき、被締結部品Xを通して雄ねじ2を雌ねじ3に螺合させて締め付けることにより、被締結部品Xおよび被締結部品Yを締結して製品Zを得ることができる。
【0031】
ここで、雄ねじ2が形状記憶された雄ねじ母材2Aに回復した場合、そのねじ形成部22Aの外径をd2(図2参照)、雄ねじ2のねじ部22の外径をd、その谷の径をd1とするとき(図3(a)参照)、d2=(d+d1)/2である。
【0032】
同様に、雌ねじ3が形状記憶された雌ねじ母材3Aに回復した場合、そのねじ形成部32Aの穴径をD2(図2参照)、雌ねじ3のねじ部32の谷の径をD、内径をD1とするとき(図3(a)参照)、D2=(D+D1)/2である。また、雄ねじ母材2Aのねじ形成部22Aの外径d2は、雌ねじ母材3Aのねじ形成部32Aの穴径D2よりもわずかに小さく設定されている。
【0033】
なお、雄ねじ2のねじ部22は、転造、すなわち、雄ねじ2のネジと同じ山形、同じピッチのネジを刻んだ転造ダイスによって雄ねじ母材2Aのねじ形成部22Aを挟み込み、その表面に転造ダイスを押し付けて転がすことによって形成される。
【0034】
また、雌ねじ3のねじ部32は、雌ねじ3と螺合可能なボルトを雌ねじ母材3Aのねじ形成部32Aの穴に挿入し、ねじ形成部32Aを半径方向に加圧することによって形成される。
【0035】
このように構成された締結部材1の形状回復過程について説明する。
【0036】
図1に示したように、被締結部品Xを通して雄ねじ2を被締結部品Yに圧入された雌ねじ3に螺合させ、被締結部品Xおよび被締結部品Yを締結している状態において、締結部材1を外部より加熱する。そして、雄ねじ2および雌ねじ3が形状回復温度に達すれば、雄ねじ2および雌ねじ3は、同時に形状を回復する。
【0037】
この場合、図3(a)に示すように、雄ねじ2のネジのうち、山部分は、実線矢印で示すように、山の頂点が低くなる方向に、谷部分は、実線矢印で示すように、谷の底が高くなる方向にそれぞれ変形を開始する。一方、雌ねじ3のネジのうち、谷部分は、破線矢印で示すように、谷の底が高くなる方向に、山部分は、破線矢印で示すように、山の頂点が低くなる方向にそれぞれ変形を開始する。
【0038】
さらに、加熱されると、このような変形が継続され(図3(b)参照)、ついには、雄ねじ2が、ネジのない筒状のねじ形成部22Aを有する雄ねじ母材2Aに形態を変化し、また、雌ねじ3が、ネジのない穴状のねじ形成部32Aを有する雌ねじ母材3Aに形態を変化する(図3(c)参照)。
【0039】
このように、雄ねじ2および雌ねじ3は、形状記憶回復開始温度や形状記憶状態に戻る方向が同一であるために、雄ねじ2のネジと雌ねじ3のネジが干渉することなく確実に形態を変化させることができる。そして、雄ねじ母材2Aおよび雌ねじ母材3Aに形状が回復した場合、雄ねじ母材2Aの外径d2は、雌ねじ母材3Aの穴径D2よりも小さいため、雄ねじ母材2Aを雌ねじ母材3Aから簡単に離脱させることができ、被締結部品Xと被締結部品Yとの締結を解除することができる。
【0040】
例えば、携帯電話において、本体側に本発明の締結部材1を構成する雌ねじ3を設け、本発明の締結部材1を構成する雄ねじ2を介して締結しようとする部品を本体側に締結すると、携帯電話を所定の温度に加熱することにより、雄ねじ2と雌ねじ3の締結が解除され、簡単に本体側から締結した部品を離脱させることができる。
【0041】
なお、本発明の締結部材1を用いた製品Zにおいて、図4に示すように、フェライトや炭化珪素などの電磁波吸収素材4を被締結部材1の周辺に設けることにより、電子レンジなどにより電磁波を照射して、雄ねじ2や雌ねじ3を効果的に加熱できることから、製品Zを素早く解体することができる。
【0042】
また、図5に示すように、赤外線吸収素材5(例えば、三井化学ファイン株式会社製近赤外線吸収剤(Near IR Absorber )など) を被締結部材1の周辺に設けることにより、赤外加熱炉で赤外光を照射して、雄ねじ2や雌ねじ3を効果的に加熱できることから、製品Zを素早く解体することができる。
【0043】
次に、本発明の雄ねじ6について説明する。
【0044】
図6には、本発明の形状記憶素材、例えば、形状記憶樹脂からなる雄ねじ6の一実施形態が示されている。
【0045】
この雄ねじ6は、頭部61および該頭部61と一体のねじ部62からなり、ねじ部62の中心には、穴621が形成されている。そして、雄ねじ6を形状回復温度に加熱すると、図7に示すように、ネジがなくなると同時に、外径が縮小する方向に形状回復し、ネジのない筒状のねじ形成部62Aを有する雄ねじ母材6Aとなる。
【0046】
次に、このように構成された雄ねじ6の形成手順について説明する。
【0047】
図7において、雄ねじ母材6Aは、頭部61Aと、頭部61Aと一体に成形され、ネジのない筒状のねじ形成部62Aからなり、ねじ形成部62Aには、その中心に穴621Aが形成されている。
【0048】
ここで、雄ねじ母材6Aのねじ形成部62Aの外径d0は、雄ねじ6のネジの谷の径d1よりも小さく設定されている。
【0049】
なお、ねじ形成部62Aの中心に形成された穴621Aは、ドリルなどによって後加工してもよいし、雄ねじ母材6Aを成形する際に同時に形成してもよい。
【0050】
雄ねじ母材6Aが成形されたならば、雄ねじ6の有効径程度の穴11aを有する下型11に雄ねじ母材6Aのねじ形成部62Aを配置し、上型12で雄ねじ母材6Aを保持する(図8(a)参照)。
【0051】
この際、下型11および上型12をヒーターなどにより雄ねじ母材6Aの軟化開始温度(例えば、三菱重工業製形状記憶樹脂ダイアリーの場合には、形状回復温度−20℃)〜形状回復温度未満の温度に加熱し、雄ねじ母材6Aが軟化するまでその状態を保持する。
【0052】
次いで、図8(b)に示すように、下型11の穴11aに連通する加工穴11bから、先端が円錐形状のピン13を挿通し、雄ねじ母材6Aのねじ形成部62Aの中心に形成された穴621Aに押し込む。このため、雄ねじ母材6Aのねじ形成部62Aの穴621Aは押し広げられ、合わせて、ねじ形成部62Aの外径が下型11の穴11aの径まで拡大される(図8(c)参照)。
【0053】
ここで、ピン13の外径は、雄ねじ6のねじ部62の谷の径d1よりも小さく設定されている。
【0054】
この後、雄ねじ母材6Aが軟化温度以下になるまでこの状態を保持する(図8(d)参照)。
【0055】
なお、下型11および上型12に冷風を供給して急冷させてもよい。
【0056】
雄ねじ母材6Aが軟化温度以下に達したならば、型開きして雄ねじ母材6Aを取り出し、図8(e)に示すように、雄ねじ母材6Aの拡大された穴621Aに、拡大された穴621Aの形状と同じ形状のジグ14を取り付け、ねじ形成部62Aにネジを転造する。すなわち、雄ねじ6のネジと同じ山形、同じピッチのネジを刻んだ転造ダイス15によって雄ねじ母材6Aのねじ形成部62Aを挟み込み、その表面に転造ダイスを押し付けて転がすことによってネジを形成する。
【0057】
このとき、雄ねじ母材6Aを、雄ねじ母材6Aの軟化開始温度(例えば、三菱重工業製形状記憶樹脂ダイアリーの場合には、形状回復温度−20℃)〜形状回復温度未満の温度に加熱する。その後、ネジを転造しながら軟化温度以下に冷却する。
【0058】
この様にして成形された雄ねじ6は、形状回復温度に加熱されると、ネジがなくなると同時に、外径が縮小する方向に形状を回復する。このため、形状回復時にネジが雌ねじ20(図12参照)のネジに食いつくことがなく、容易に雌ねじ20から離脱させることができる。また、中実のものよりも体積が小さいため、加熱し易く、解体時に消費するエネルギーを削減することができるとともに、材料費を節約することができる。
【0059】
図9には、本発明の形状記憶樹脂からなる雄ねじ6の他の実施形態が示されている。
【0060】
この雄ねじ6も、頭部61および該頭部61と一体のねじ部62からなり、ねじ部62の中心には、円錐形状の穴622が形成されている。そして、雄ねじ6を形状回復温度に加熱すると、図10に示すように、ネジがなくなると同時に、外径が縮小する方向に形状回復し、ネジのない逆円錐形状のねじ形成部62Bを有する雄ねじ母材6Bとなる。
【0061】
次に、このように構成された雄ねじ6の形成手順について説明する。
【0062】
図10において、雄ねじ母材6Bは、頭部61Bと、ネジのない逆円錐形状のねじ形成部62Bからなり、ねじ形成部62Bは、その中心に穴622Bが形成されている。
【0063】
ここで、雄ねじ母材6Bのねじ形成部62Bの外径d0は、雄ねじ6のネジの谷の径d1よりも小さく設定されている。
【0064】
なお、ねじ形成部62Bの中心に形成された穴622Bは、ドリルなどによって後加工してもよいし、雄ねじ母材6Bを成形する際に同時に形成してもよい。
【0065】
雄ねじ母材6Bが成形されたならば、雄ねじ6の有効径程度の穴11aを有する下型11に雄ねじ母材6Bのねじ形成部62Bを配置し、上型12で雄ねじ母材6Bを保持する(図11(a)参照)。
【0066】
この際、下型11および上型12をヒーターなどにより雄ねじ母材6Bの軟化開始温度(例えば、三菱重工業製形状記憶樹脂ダイアリーの場合には、形状回復温度−20℃)〜形状回復温度未満の温度に加熱し、雄ねじ母材6Bが軟化するまでその状態を保持する。
【0067】
次いで、図11(b)に示すように、下型11に形成された穴11aに連通する加工穴11bから、ねじ形成部62Bのテーパー角度とほぼ同じテーパー角度の円錐形状のピン16を挿通し、雄ねじ母材6Bのねじ形成部62Bの中心に形成された穴622Bに押し込む。このため、雄ねじ母材6Bのねじ形成部62Bの穴622Bは押し広げられ、ねじ形成部62Bの外径が下型11の穴11aの径まで拡大される(図11(c)参照)。
【0068】
ここで、ピン16の最大径は、雄ねじ6のネジの谷の径d1よりも小さく設定されている。
【0069】
この後、雄ねじ母材6Bが軟化温度以下になるまでこの状態を保持する(図11(d)参照)。
【0070】
なお、下型11および上型12に冷風を供給して急冷させてもよい。
【0071】
雄ねじ母材6Bが軟化温度以下に達したならば、型開きして雄ねじ母材6Bを取り出し、図11(e)に示すように、雄ねじ母材6Bの拡大された穴622Bに、拡大された穴622Bの形状と同じ形状のジグ16を取り付け、雄ねじ形成部62Bにネジを転造する。
【0072】
このとき、雄ねじ母材6Bを、雄ねじ母材6Bの軟化開始温度(例えば、三菱重工業製形状記憶樹脂ダイアリーの場合には、形状回復温度−20℃)〜形状回復温度未満の温度に加熱する。その後、ネジを転造しながら軟化温度以下に冷却する。
【0073】
この様にして成形された雄ねじ6は、形状回復温度に加熱されると、ネジがなくなると同時に、径が縮小する方向に形状を回復する。このため、形状回復時にネジが雌ねじ20のネジに食いつくことがなく、容易に雌ねじ20から離脱させることができる。また、中実のものよりも体積が小さいため、加熱し易く、解体時に消費するエネルギーを削減することができるとともに、材料費を節約することができる。
【0074】
なお、前述した実施形態においては、雄ねじ6に付いて説明したが、雄ねじ6に限らずねじ部を利用して締結する締結部材、例えば、ボルトなどにも適用することができる。
【0075】
【発明の効果】
このように本発明によれば、形状回復時に雄ねじと雌ねじの干渉を確実に防止して簡単に離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の締結部材による被締結部品の締結状態を示す断面図である。
【図2】図1の被締結部品の締結状態において、締結部材が形状回復した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の締結部材を構成する雄ねじと雌ねじの形状回復過程を一部省略して示す説明図である。
【図4】本発明の締結部材による被締結部品の他の締結状態を示す断面図である。
【図5】本発明の締結部材による被締結部品のもう一つの締結状態を示す断面図である。
【図6】本発明の雄ねじの一実施形態を示す断面図である。
【図7】図6の雄ねじの形状回復状態を示す断面図である。
【図8】図6の雄ねじの製造工程を説明する工程図である。
【図9】本発明の雄ねじの他の実施形態を示す断面図である。
【図10】図9の雄ねじの形状回復状態を示す断面図である。
【図11】図9の雄ねじの製造工程を説明する工程図である。
【図12】従来の形状記憶素材製の雄ねじによる被締結部品の締結状態を示す断面図である。
【図13】図12の被締結部品の締結状態において、雄ねじが形状回復した状態を示す断面図である。
【図14】図12の形状記憶素材製の雄ねじの形状回復状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 締結部材
2,6 雄ねじ
2A,6A,6B 雄ねじ母材
21,61,61A,61B 頭部
22,62 ねじ部
621,622 穴
22A,62A,62B ねじ形成部
621A,622B 穴
3 雌ねじ
3A 雌ねじ母材
32 ねじ部
32A ねじ形成部
4 電磁波吸収素材
5 赤外線吸収素材
11 下型
11a 穴
12 上型
13,16 ピン
14,17 ジグ
Claims (8)
- 雄ねじおよび雌ねじの螺合により締結を行う締結部材において、前記雄ねじおよび雌ねじは、形状回復温度と形状回復方向がほぼ同一である形状記憶素材からなり、かつ、形状回復時における雄ねじ母材のねじ形成部および雌ねじ母材のねじ形成部がそれぞれネジのない筒状および穴状であり、それらのねじ形成部の外径および穴径がそれぞれ雄ねじおよび雌ねじの有効径とほぼ等しいことを特徴とする締結部材。
- 前記雌ねじの形状回復時における雌ねじ母材のねじ形成部の穴径が雄ねじの形状回復時におけるねじ形成部の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の締結部材。
- 前記形状記憶素材が形状記憶合金または形状記憶樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の締結部材。
- 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の締結部材を少なくとも1箇所に用いたことを特徴とする締結部材を利用した製品。
- 前記締結部材の近傍に電磁波吸収素材または赤外線吸収素材を設けたことを特徴とする請求項4記載の締結部材を利用した製品。
- 頭部およびねじ部からなる形状記憶素材製の雄ねじであって、ねじ部の中心に空間を有し、形状回復温度まで加熱されると、ネジがなくなると同時に、ねじ部が外径の小さくなる方向に形状回復することを特徴とする雄ねじ。
- 頭部およびねじ部からなる形状記憶素材製の雄ねじであって、ねじ部の中心に空間を有し、形状回復温度まで加熱されると、ネジがなくなると同時に、ねじ部が略逆円錐形状に形状回復することを特徴とする雄ねじ。
- 請求項6または7記載の雄ねじの製造方法であって、雄ねじの有効径と同程度の径を有する下型の穴に形状記憶された雄ねじ母材のねじ形成部を遊嵌して上型で保持した後、雄ねじ母材を加熱し、雄ねじ母材のねじ形成部の外径を前記下型の穴の径まで拡開させ、次いで、ねじ形成部にネジを転造することを特徴とする雄ねじの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002362506A JP2004190837A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 締結部材および締結部材を利用した製品ならびに雄ねじおよびその製造方法 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2002362506A JP2004190837A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 締結部材および締結部材を利用した製品ならびに雄ねじおよびその製造方法 |
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105929908A (zh) * | 2016-04-29 | 2016-09-07 | 上海创功通讯技术有限公司 | 移动终端的外壳、移动终端及外壳的配置方法 |
| EP3333433A4 (en) * | 2015-08-06 | 2018-07-25 | Reach Surgical, Inc. | Structural member and method for assembling same |
-
2002
- 2002-12-13 JP JP2002362506A patent/JP2004190837A/ja active Pending
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