JP2004191429A - 透過型スクリーン、その製造方法、及び背面投影型プロジェクション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精細な画像に対しても鮮明に高いコントラストで表示を行うことができる透過型スクリーンと、それを比較的単純な工程で作製する方法、そして同スクリーンを搭載した背面投影型プロジェクション装置を提供することができる。
【解決手段】複数のレンズ2が片面に配置されているレンズシート1と、該レンズシートのレンズが形成されていない他面1aに設けられた遮光層3とからなり、遮光層に各レンズの光軸を中心とした非遮光領域3aが形成されている透過型スクリーンの製造方法において、少なくとも、レンズシートの他面に遮光層を形成する工程と、遮光層が形成されたレンズシートに対してレンズ形成面側からパルスレーザ光を照射して各レンズの光軸に対応した遮光層の局部に非遮光領域を形成する工程と、とからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のレンズ2が片面に配置されているレンズシート1と、該レンズシートのレンズが形成されていない他面1aに設けられた遮光層3とからなり、遮光層に各レンズの光軸を中心とした非遮光領域3aが形成されている透過型スクリーンの製造方法において、少なくとも、レンズシートの他面に遮光層を形成する工程と、遮光層が形成されたレンズシートに対してレンズ形成面側からパルスレーザ光を照射して各レンズの光軸に対応した遮光層の局部に非遮光領域を形成する工程と、とからなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投影型プロジェクション装置に用いる透過型スクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
背面投影型プロジェクション装置は、透過型スクリーンの背面側に配置した光源から照射した光を前面側の観察側面から出射することにより、観察者がスクリーン上に像を観察できるように構成されている。
背面投影型プロジェクション装置は、屋外や室内照明下などの明るい環境下で用いられることが多い。このような明るい環境下での使用を可能とするためには、スクリーンは前面の観察者側からの照明光の反射、及び光の回り込みを抑え、背面からの画像光を効率よく透過させる構造とする必要がある。また、スクリーン表面の、背面からの画像光の透過に関与しない領域は黒い遮光構造とし、コントラストの低下を防ぐ必要がある。
このようなところから、光源側面にレンチキュラーレンズ等のレンズを複数配列して光源光を収束・発散させると共に、出射側面にはレンズ間の光無効部分に光吸収膜等の遮光部を形成することにより、観察者によって観察される像のコントラストを向上した透過型スクリーンが提案されている。
このような遮光構造を実現するために、従来よりスクリーン印刷、グラビア印刷などの手法により遮光部を形成する方法が実用化されてきたが、近年高精細な画像表示への要求から画像を形成する走査線および画素の密度が高くなってきており、このような高密度化に対応するために、スクリーンを構成するレンズのサイズ及びピッチは更に微細化する必要がある。このような微細化に伴い、印刷時の版とスクリーンとの間に高度な位置合わせ精度が要求されることとなり、また、版に形成する開口サイズも微細化し、版の製作も非常に困難になってきている。
このような問題点に対処するための従来例として、例えば特開平5−034829号公報には、スクリーン表面の画像光透過に関与しない領域の形状を、画像光が透過する領域に対して凸状の構造とし、この凸部の端面に黒色遮光部材を加熱押圧転写することにより遮光構造を形成したスクリーン形成技術が開示されている。しかし、この方式においてもレンズピッチの微細化が更に進行した場合には、スクリーンの表面の凹凸がピッチ高さとともに微細化するため、遮光構造の微細化に限界が生じ、そのようなスクリーンを成形することが困難となっている。
【0003】
また、特開昭59−121033号公報には、図P1(a)(b)に示すように、レンズシート100の観察面側にポジ型感光性粘着剤層101を設け、次いで(c)(d)に示すように観察面の反対面側より紫外線を当てることにより感光性粘着剤層101を露光して露光部の粘着性を失わせ、続いて(e)に示すように粘着剤層表面にトナー102を散布して粘着性の失われていない部分(未感光部)に粘着させ、(f)のように感光により粘着性のなくなった部分のトナーを除去することにより、目的とする部分のみに開口101aを形成した遮光層101を有するスクリーンの製造方法が開示されている。
しかしながら同公報に記載された製造方法は、粘着剤層形成工程、露光工程、遮光剤散布工程、余剰遮光剤除去工程が必要であり、工程が繁雑になる。また、散布したトナーが粘着部をすき間なく覆う状態にすることは難しい。加えて、図P2に示すように、レンズ微細化が進むと、遮光部101と開口部101aの境界に位置するトナーが開口部内に入り込んで開口形状が変化し、この開口形状の変化が無視できなくなる。
【特許文献1】特開平5−034829号公報
【特許文献2】特開昭59−121033号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高精細な画像に対しても鮮明に高いコントラストで表示を行うことができる透過型スクリーンと、それを比較的単純な工程で作製する方法、そして同スクリーンを搭載した背面投影型プロジェクション装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のレンズが片面に配置されているレンズシートと、該レンズシートのレンズが形成されていない他面に設けられた遮光層とからなり、前記遮光層に各レンズの光軸を中心とした非遮光領域が形成されている透過型スクリーンの製造方法において、少なくとも、前記レンズシートの他面に遮光層を形成する工程と、前記遮光層が形成されたレンズシートに対してレンズ形成面側からパルスレーザ光を照射して各レンズの光軸に対応した遮光層の局部に非遮光領域を形成する工程と、とからなることを特徴とする。
この発明によれば、遮光層に設ける非遮光領域としての開口を、対応するレンズ自身の集光により形成するため、レンズのサイズ、ピッチ、配置にかかわらずレンズの光軸中心と開口の中心とが精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口を有する透過型スクリーンを作製することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記パルスレーザ光の波長が、前記レンズシート材料に対して透過性を有し、且つ前記遮光層材料に対して吸収性を有した波長であることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光が透明なレンズシートを透過する一方で、遮光層材料で吸収されるので、レンズシートに対しては影響がなく遮光層のみを加熱除去することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記レンズシート材料の熱伝導率が、前記遮光層材料の熱伝導率よりも小さくなるように、該レンズシート材料を単一材料からなる構成、又は複数材料を組み合わせた構成、としたことを特徴とする。
この発明によれば、レンズシート材料の熱伝導率が遮光層材料の熱伝導率よりも小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐために遮光層材料を効率よく加熱させることができ、小さな投入エネルギーで開口を形成することができる。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記パルスレーザ光として、パルス幅が100μs以下のレーザ光を用いることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光の照射された領域のごく近傍のみが加熱され、微小な開口形成が可能になる。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記遮光層の厚さを1μm以下としたことを特徴とする。
この発明によれば、遮光層の厚さが1μm以下と薄いために1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5において、前記パルスレーザ光の出力が、前記遮光層材料に対する加工閾値以下であることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光の出力が遮光層材料の加工閾値以下であるために、レンズアレイシートのレンズ部で集光されずに透過してきた光により遮光層が損傷を受けることがない。
請求項7の発明に係る透過型スクリーンは、請求項1乃至6の何れか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズアレイシート上の各レンズ要素の光軸中心と遮光層に設けられた開口の中心が一致しており、かつ、開口の径寸法がレンズに入射した光が集光されて出射する寸法にほぼ等しいためにスクリーンに入射する画像光を減衰させること無く、観察者側へと出射することができる。また、遮光層に形成する開口の寸法が必要最低限であるためにコントラストの高い画像表示を行うことができる。
【0007】
請求項8の発明は、請求項7に記載の透過型スクリーンの遮光層形成面側に光拡散効果のある部材を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーン表面に光拡散効果のある部材を設けているので、スクリーンから出射する光を広範に行き届かせることができ広範な視野角で表示することができる。
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の透過型スクリーンの前記他面側の最表面に、反射防止層を形成したことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーン最表面に反射防止層を設けているために照明光の映り込みや反射によるコントラストの低下を確実に防ぐことができる。
請求項10の発明は、請求項7、8又は9において、前記レンズのピッチを150μm以下としたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズピッチが150μm以下とスクリーン上に投影される画像の画素サイズに対して十分に小さいために高精細な画像を表示することができる。
請求項11の発明は、請求項10において、前記レンズのピッチが無秩序であり、一定ではないことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズのピッチが無秩序に一定ではないために、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
請求項12の発明に係る背面投影型プロジェクション装置は、請求項7乃至11の何れか一項に記載の透過型スクリーンを設けてなることを特徴とする。
この発明によれば、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能であるので、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る透過型スクリーンの製造方法の説明図である。
まず、図1(a)に示すように、前面(観察面)側に複数のレンズ2が互いに近接して形成されたレンズシート1を用意する。このレンズシート1は、形成すべきレンズ形状の凹凸反転形状の型を用意して、この型上に紫外線硬化樹脂を塗布、充填し、紫外線硬化樹脂層の上から透光性の平板を載せた状態で透光性平板側から紫外光を照射して型上の樹脂を硬化させた後に、型から樹脂を剥離する、いわゆる2P工法により作製した。レンズシート1の作製方法としては、2P工法の他にも、前記した凹凸反転形状の型を用いて熱プレス法や注型法などの公知の複製技術を用いることもできるが、特にレンズの寸法、ピッチが微細になった場合に、高い転写性が得られる成形方法としては前述した2P工法が好適であり、その材料は透光性に優れるために本工法を適用するにあたっても好適である。
次に、このレンズシート1のレンズ2が形成されていない平坦な面1a上に、遮光層(遮光材料層)3を形成する(図1(b))。遮光材料としては、単一の材料から成る酸化クロム層を用いるか、或いはレンズシートの平坦面1a側から複数の材料、例えば、クロム、酸化クロムもしくは酸化クロム、クロム、酸化クロムを順次積層した積層構造を、全厚さ1μm以下となるように成膜形成する。これらの遮光材料は、フォトリソグラフィー用の露光マスクの遮光部としても用いられており、1μm程度の厚さで十分な遮光機能を果たし、外観上は黒色を呈している。
このように、遮光層3の厚さを1μm以下と薄くしているために、1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
【0009】
次に、このレンズシート1のレンズ形成面側より、各レンズ光軸に平行となるようにパルスレーザ光を照射する(図1(c))。レーザ光は、各レンズ2により集光されてレンズ光軸中心に集光され、遮光層3を照射する。このレーザ光を遮光層3が吸収し、加熱されることにより、照射部に相当する遮光層部分は局部的に除去され、そこに非遮光領域としての開口3aが形成される。以上の工程によって、スクリーン10が製作される。
上記の如き加工方法によって遮光層3に開口(非遮光領域)3aが形成されたレンズシート1(スクリーン10)の形状例としては、図2に示した如きレンチキュラレンズアレイ、図3、図4に示す二次元レンズアレイがある。この加工方法により、ピッチ50μmで直径15μmの開口3aを形成することができた。
このように本発明の透過型スクリーンの製造方法においては、遮光層3に設ける開口3aを、対応する各レンズ2自身の集光により形成するため、レンズ2のサイズ、ピッチ、配置にかかわらず、レンズ2と開口3aとの中心位置が常に精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口3aを有する透過型スクリーン10を作製することができる。
また、加工に用いるレーザ光は、透明なレンズシート1を透過する一方で、遮光層材料3で吸収されるので、レンズシート1に対しては影響がなく遮光層3のみを局部的に加熱除去することができる。
図1に示したスクリーン10のレンズシート1は、レンズ同士が連続的に隣接し合っているが、図5にはレンズ2の少なくとも一部に他のレンズ2と接していない平坦部分4を備えたレンズシート構造を示している。平坦面1a(背面)に形成した遮光層3には、各レンズ2の光軸を中心とした開口3aが形成されている。
【0010】
図6は、図5のスクリーンの製造方法の例を示している。製造工程としては図1と全く同一である。即ち、レンズシート1の平坦面1aに遮光層3を形成してから((a)(b))、レンズシート1のレンズ形成面側にパルスレーザ光を照射((c))した際に、レンズ形状を有する部分に照射された光は、図1の場合と同様に集光され、遮光層3の部分的な除去加工に寄与する((d))。
一方、レンズ2間に位置する平坦部分4に照射された光は集光されることなく、レンズシート内を厚み方向へ直進して遮光層3を照射する。平坦部分4から入射した直進光は、レンズ2により集光される光よりもエネルギー密度としては小さい。そのため遮光層に照射された時の加熱される程度に違いが生じる。集光部に対応する遮光層が加熱除去されるためには、一定の閾値以上のレーザエネルギー密度が必要である。従って、平坦部分4から入射した光(未集光)の遮光層3上でのエネルギー密度がこの閾値以下となり、レンズ2により集光された光の遮光層3上でのエネルギー密度のみが閾値以上になるようにレーザ光の出力を設定することにより、上記未集光のレーザ光が照射した遮光層領域は加工されず、レンズ2により集光された領域の遮光層のみが除去され、図5に示すようなレンズシート1に対しても遮光層3の目的部分のみに局部的な開口3aを形成することが可能となる。
図1、図6に示した各製造工程では、レーザ光として波長355nmのYAGレーザの第三高調波を用いたが、レーザ光はレンズ材料を透過し遮光層材料3に吸収されればよく、従って上記以外の波長、例えば波長532nmの第二高調波や波長1064nmの基本波を用いてもよい。
また、レンズシート1の構成材料の熱伝導率を、遮光層3の構成材料の熱伝導率よりも小さい構成としておくことで、遮光層3からレンズシート側への熱の移動は抑えられるので、非遮光領域としての開口3aを形成する際に、レンズシートへの熱的損傷を抑えることができる。
即ち、レンズシート1材料の熱伝導率が遮光層3材料の熱伝導率より小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐことができ、遮光層材料を効率よく加熱させることができるので、小さな投入エネルギーで開口3aを形成することができる。
また、レーザ光のパルス幅が長い場合には、遮光層3からレンズシート1側へ熱が移動してくるのに要する時間が長くなる。従って、レンズシートへの熱的損傷が生じるようになる。レーザ光のパルス幅を短くすることでこの影響は抑えることができる。このように本発明では、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光が照射された領域のごく近傍のみが加熱されることとなり、遮光層3に微小な開口を形成することが可能になる。
【0011】
次に、このようにして作製した透過型スクリーンの動作に係る実施形態例の説明を行う。図7に示した実施形態に係るスクリーン10の前面側には、所定の距離を隔ててフレネルレンズ20が配されている。フレネルレンズ20よりも前面側には、図示しない光源と液晶及びその駆動部などから成る画像形成部、及び画像形成部において形成された画像を拡大投影する光学系が配置されており、それらを経た光がフレネルレンズ20に入射しほぼ平行な光となり、スクリーン10に入射する。スクリーン10は、レンズシート1のレンズ2が形成されている面を入射面として配しているために、入射した光は各レンズ2により集光され、集光された光は遮光層3に達する。遮光層3上の集光された画像光が到達する位置には開口3aが形成されているために、レーザ光はそのまま開口3aを通過し、焦点以降で発散光となり、その発散光の到達する範囲で観察者に画像として認識される。
【0012】
また、図8(a)及び(b)に夫々示すように、遮光層3の後方にいわゆる拡散板15などの光拡散効果のある部材を設けることにより、さらに広範な領域へ光を到達させることができ、より広い範囲からの観察を可能にする。
このとき開口3aは、その形成時に画像光と同じ光路のレーザ光で加工されているために、各レンズ2と開口3aとの中心は一致しており、画像光は確実に観察者側へと出射される。遮光層3に形成される開口3aは、その開口径が数十から200μm程度の微小サイズであり、スクリーン10から距離をおいた観察者の肉眼では確認できないために、画像を形成していないスクリーン全体としては一面がほぼ黒色として認識されるために画像形成時に高いコントラストの画像を表示することができる。
さらに、図8(b)、図9に示すように、スクリーン10の最表面に、反射防止処理を施して反射防止層16を形成することにより、観察者側からの光がスクリーン10に反射して観察者側に戻ることによるコントラストの低下を低減することができ、さらにコントラストの向上を図ることができる。
なお、上記各実施例に係るスクリーンにおいては、レンズ2のピッチを150μm以下とすることにより、スクリーン上に投影される画像の画素サイズに対してレンズピッチを十分に小さくすることができ、高精細な画像を表示することができる。
また、レンズのピッチを無秩序に、一定ではない構成とすることにより、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
また、上記各実施形態に係る透過型スクリーンを用いて背面投影型プロジェクション装置を構築することにより、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能となり、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精細な画像に対しても鮮明に高いコントラストで表示を行うことができる透過型スクリーンと、それを比較的単純な工程で作製する方法、そして同スクリーンを搭載した背面投影型プロジェクション装置を提供することができる。
即ち、請求項1の発明によれば、遮光層に設ける非遮光領域としての開口を、対応するレンズ自身の集光により形成するため、レンズのサイズ、ピッチ、配置にかかわらずレンズの光軸中心と開口の中心とが精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口を有する透過型スクリーンを作製することができる。
請求項2の発明によれば、加工に用いるレーザ光が透明なレンズシートを透過する一方で、遮光層材料で吸収されるので、レンズシートに対しては影響がなく遮光層のみを加熱除去することができる。
請求項3の発明によれば、レンズシート材料の熱伝導率が遮光層材料の熱伝導率よりも小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐために遮光層材料を効率よく加熱させることができ、小さな投入エネルギーで開口を形成することができる。
請求項4の発明によれば、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光の照射された領域のごく近傍のみが加熱され、微小な開口形成が可能になる。
請求項5の発明によれば、遮光層の厚さが1μm以下と薄いために1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
請求項6の発明によれば、加工に用いるレーザ光の出力が遮光層材料の加工閾値以下であるために、レンズアレイシートのレンズ部で集光されずに透過してきた光により遮光層が損傷を受けることがない。
【0014】
請求項7の発明によれば、スクリーンを構成するレンズアレイシート上の各レンズ要素の光軸中心と遮光層に設けられた開口の中心が一致しており、かつ、開口の径寸法がレンズに入射した光が集光されて出射する寸法にほぼ等しいためにスクリーンに入射する画像光を減衰させること無く、観察者側へと出射することができる。また、遮光層に形成する開口の寸法が必要最低限であるためにコントラストの高い画像表示を行うことができる。
請求項8の発明によれば、スクリーン表面に光拡散効果のある部材を設けているので、スクリーンから出射する光を広範に行き届かせることができ広範な視野角で表示することができる。
請求項9の発明によれば、スクリーン最表面に反射防止層を設けているために照明光の映り込みや反射によるコントラストの低下を確実に防ぐことができる。
請求項10の発明によれば、スクリーンを構成するレンズピッチが150μm以下とスクリーン上に投影される画像の画素サイズに対して十分に小さいために高精細な画像を表示することができる。
請求項11の発明によれば、スクリーンを構成するレンズのピッチが無秩序に一定ではないために、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
請求項12の発明によれば、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能であるので、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る透過型スクリーンの製造方法の説明図。
【図2】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図3】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図4】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図5】透過型スクリーンの構成例を示す図。
【図6】図5のスクリーンの製造方法の例を示す図。
【図7】本発明に係る透過型スクリーンの動作を説明する図。
【図8】本発明の透過型スクリーンの変形例を説明する図。
【図9】本発明の透過型スクリーンの変形例を説明する図。
【図10】従来例に係るスクリーンの製造方法を示す図。
【図11】従来の欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 レンズシート、1a 平坦面、2 レンズ、3 遮光層(遮光材料層)、3a 開口(非遮光領域)、4 平坦部分、10 透過型スクリーン、15 拡散板、16 反射防止層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面投影型プロジェクション装置に用いる透過型スクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
背面投影型プロジェクション装置は、透過型スクリーンの背面側に配置した光源から照射した光を前面側の観察側面から出射することにより、観察者がスクリーン上に像を観察できるように構成されている。
背面投影型プロジェクション装置は、屋外や室内照明下などの明るい環境下で用いられることが多い。このような明るい環境下での使用を可能とするためには、スクリーンは前面の観察者側からの照明光の反射、及び光の回り込みを抑え、背面からの画像光を効率よく透過させる構造とする必要がある。また、スクリーン表面の、背面からの画像光の透過に関与しない領域は黒い遮光構造とし、コントラストの低下を防ぐ必要がある。
このようなところから、光源側面にレンチキュラーレンズ等のレンズを複数配列して光源光を収束・発散させると共に、出射側面にはレンズ間の光無効部分に光吸収膜等の遮光部を形成することにより、観察者によって観察される像のコントラストを向上した透過型スクリーンが提案されている。
このような遮光構造を実現するために、従来よりスクリーン印刷、グラビア印刷などの手法により遮光部を形成する方法が実用化されてきたが、近年高精細な画像表示への要求から画像を形成する走査線および画素の密度が高くなってきており、このような高密度化に対応するために、スクリーンを構成するレンズのサイズ及びピッチは更に微細化する必要がある。このような微細化に伴い、印刷時の版とスクリーンとの間に高度な位置合わせ精度が要求されることとなり、また、版に形成する開口サイズも微細化し、版の製作も非常に困難になってきている。
このような問題点に対処するための従来例として、例えば特開平5−034829号公報には、スクリーン表面の画像光透過に関与しない領域の形状を、画像光が透過する領域に対して凸状の構造とし、この凸部の端面に黒色遮光部材を加熱押圧転写することにより遮光構造を形成したスクリーン形成技術が開示されている。しかし、この方式においてもレンズピッチの微細化が更に進行した場合には、スクリーンの表面の凹凸がピッチ高さとともに微細化するため、遮光構造の微細化に限界が生じ、そのようなスクリーンを成形することが困難となっている。
【0003】
また、特開昭59−121033号公報には、図P1(a)(b)に示すように、レンズシート100の観察面側にポジ型感光性粘着剤層101を設け、次いで(c)(d)に示すように観察面の反対面側より紫外線を当てることにより感光性粘着剤層101を露光して露光部の粘着性を失わせ、続いて(e)に示すように粘着剤層表面にトナー102を散布して粘着性の失われていない部分(未感光部)に粘着させ、(f)のように感光により粘着性のなくなった部分のトナーを除去することにより、目的とする部分のみに開口101aを形成した遮光層101を有するスクリーンの製造方法が開示されている。
しかしながら同公報に記載された製造方法は、粘着剤層形成工程、露光工程、遮光剤散布工程、余剰遮光剤除去工程が必要であり、工程が繁雑になる。また、散布したトナーが粘着部をすき間なく覆う状態にすることは難しい。加えて、図P2に示すように、レンズ微細化が進むと、遮光部101と開口部101aの境界に位置するトナーが開口部内に入り込んで開口形状が変化し、この開口形状の変化が無視できなくなる。
【特許文献1】特開平5−034829号公報
【特許文献2】特開昭59−121033号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高精細な画像に対しても鮮明に高いコントラストで表示を行うことができる透過型スクリーンと、それを比較的単純な工程で作製する方法、そして同スクリーンを搭載した背面投影型プロジェクション装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のレンズが片面に配置されているレンズシートと、該レンズシートのレンズが形成されていない他面に設けられた遮光層とからなり、前記遮光層に各レンズの光軸を中心とした非遮光領域が形成されている透過型スクリーンの製造方法において、少なくとも、前記レンズシートの他面に遮光層を形成する工程と、前記遮光層が形成されたレンズシートに対してレンズ形成面側からパルスレーザ光を照射して各レンズの光軸に対応した遮光層の局部に非遮光領域を形成する工程と、とからなることを特徴とする。
この発明によれば、遮光層に設ける非遮光領域としての開口を、対応するレンズ自身の集光により形成するため、レンズのサイズ、ピッチ、配置にかかわらずレンズの光軸中心と開口の中心とが精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口を有する透過型スクリーンを作製することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記パルスレーザ光の波長が、前記レンズシート材料に対して透過性を有し、且つ前記遮光層材料に対して吸収性を有した波長であることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光が透明なレンズシートを透過する一方で、遮光層材料で吸収されるので、レンズシートに対しては影響がなく遮光層のみを加熱除去することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記レンズシート材料の熱伝導率が、前記遮光層材料の熱伝導率よりも小さくなるように、該レンズシート材料を単一材料からなる構成、又は複数材料を組み合わせた構成、としたことを特徴とする。
この発明によれば、レンズシート材料の熱伝導率が遮光層材料の熱伝導率よりも小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐために遮光層材料を効率よく加熱させることができ、小さな投入エネルギーで開口を形成することができる。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記パルスレーザ光として、パルス幅が100μs以下のレーザ光を用いることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光の照射された領域のごく近傍のみが加熱され、微小な開口形成が可能になる。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記遮光層の厚さを1μm以下としたことを特徴とする。
この発明によれば、遮光層の厚さが1μm以下と薄いために1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5において、前記パルスレーザ光の出力が、前記遮光層材料に対する加工閾値以下であることを特徴とする。
この発明によれば、加工に用いるレーザ光の出力が遮光層材料の加工閾値以下であるために、レンズアレイシートのレンズ部で集光されずに透過してきた光により遮光層が損傷を受けることがない。
請求項7の発明に係る透過型スクリーンは、請求項1乃至6の何れか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズアレイシート上の各レンズ要素の光軸中心と遮光層に設けられた開口の中心が一致しており、かつ、開口の径寸法がレンズに入射した光が集光されて出射する寸法にほぼ等しいためにスクリーンに入射する画像光を減衰させること無く、観察者側へと出射することができる。また、遮光層に形成する開口の寸法が必要最低限であるためにコントラストの高い画像表示を行うことができる。
【0007】
請求項8の発明は、請求項7に記載の透過型スクリーンの遮光層形成面側に光拡散効果のある部材を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーン表面に光拡散効果のある部材を設けているので、スクリーンから出射する光を広範に行き届かせることができ広範な視野角で表示することができる。
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の透過型スクリーンの前記他面側の最表面に、反射防止層を形成したことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーン最表面に反射防止層を設けているために照明光の映り込みや反射によるコントラストの低下を確実に防ぐことができる。
請求項10の発明は、請求項7、8又は9において、前記レンズのピッチを150μm以下としたことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズピッチが150μm以下とスクリーン上に投影される画像の画素サイズに対して十分に小さいために高精細な画像を表示することができる。
請求項11の発明は、請求項10において、前記レンズのピッチが無秩序であり、一定ではないことを特徴とする。
この発明によれば、スクリーンを構成するレンズのピッチが無秩序に一定ではないために、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
請求項12の発明に係る背面投影型プロジェクション装置は、請求項7乃至11の何れか一項に記載の透過型スクリーンを設けてなることを特徴とする。
この発明によれば、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能であるので、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る透過型スクリーンの製造方法の説明図である。
まず、図1(a)に示すように、前面(観察面)側に複数のレンズ2が互いに近接して形成されたレンズシート1を用意する。このレンズシート1は、形成すべきレンズ形状の凹凸反転形状の型を用意して、この型上に紫外線硬化樹脂を塗布、充填し、紫外線硬化樹脂層の上から透光性の平板を載せた状態で透光性平板側から紫外光を照射して型上の樹脂を硬化させた後に、型から樹脂を剥離する、いわゆる2P工法により作製した。レンズシート1の作製方法としては、2P工法の他にも、前記した凹凸反転形状の型を用いて熱プレス法や注型法などの公知の複製技術を用いることもできるが、特にレンズの寸法、ピッチが微細になった場合に、高い転写性が得られる成形方法としては前述した2P工法が好適であり、その材料は透光性に優れるために本工法を適用するにあたっても好適である。
次に、このレンズシート1のレンズ2が形成されていない平坦な面1a上に、遮光層(遮光材料層)3を形成する(図1(b))。遮光材料としては、単一の材料から成る酸化クロム層を用いるか、或いはレンズシートの平坦面1a側から複数の材料、例えば、クロム、酸化クロムもしくは酸化クロム、クロム、酸化クロムを順次積層した積層構造を、全厚さ1μm以下となるように成膜形成する。これらの遮光材料は、フォトリソグラフィー用の露光マスクの遮光部としても用いられており、1μm程度の厚さで十分な遮光機能を果たし、外観上は黒色を呈している。
このように、遮光層3の厚さを1μm以下と薄くしているために、1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
【0009】
次に、このレンズシート1のレンズ形成面側より、各レンズ光軸に平行となるようにパルスレーザ光を照射する(図1(c))。レーザ光は、各レンズ2により集光されてレンズ光軸中心に集光され、遮光層3を照射する。このレーザ光を遮光層3が吸収し、加熱されることにより、照射部に相当する遮光層部分は局部的に除去され、そこに非遮光領域としての開口3aが形成される。以上の工程によって、スクリーン10が製作される。
上記の如き加工方法によって遮光層3に開口(非遮光領域)3aが形成されたレンズシート1(スクリーン10)の形状例としては、図2に示した如きレンチキュラレンズアレイ、図3、図4に示す二次元レンズアレイがある。この加工方法により、ピッチ50μmで直径15μmの開口3aを形成することができた。
このように本発明の透過型スクリーンの製造方法においては、遮光層3に設ける開口3aを、対応する各レンズ2自身の集光により形成するため、レンズ2のサイズ、ピッチ、配置にかかわらず、レンズ2と開口3aとの中心位置が常に精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口3aを有する透過型スクリーン10を作製することができる。
また、加工に用いるレーザ光は、透明なレンズシート1を透過する一方で、遮光層材料3で吸収されるので、レンズシート1に対しては影響がなく遮光層3のみを局部的に加熱除去することができる。
図1に示したスクリーン10のレンズシート1は、レンズ同士が連続的に隣接し合っているが、図5にはレンズ2の少なくとも一部に他のレンズ2と接していない平坦部分4を備えたレンズシート構造を示している。平坦面1a(背面)に形成した遮光層3には、各レンズ2の光軸を中心とした開口3aが形成されている。
【0010】
図6は、図5のスクリーンの製造方法の例を示している。製造工程としては図1と全く同一である。即ち、レンズシート1の平坦面1aに遮光層3を形成してから((a)(b))、レンズシート1のレンズ形成面側にパルスレーザ光を照射((c))した際に、レンズ形状を有する部分に照射された光は、図1の場合と同様に集光され、遮光層3の部分的な除去加工に寄与する((d))。
一方、レンズ2間に位置する平坦部分4に照射された光は集光されることなく、レンズシート内を厚み方向へ直進して遮光層3を照射する。平坦部分4から入射した直進光は、レンズ2により集光される光よりもエネルギー密度としては小さい。そのため遮光層に照射された時の加熱される程度に違いが生じる。集光部に対応する遮光層が加熱除去されるためには、一定の閾値以上のレーザエネルギー密度が必要である。従って、平坦部分4から入射した光(未集光)の遮光層3上でのエネルギー密度がこの閾値以下となり、レンズ2により集光された光の遮光層3上でのエネルギー密度のみが閾値以上になるようにレーザ光の出力を設定することにより、上記未集光のレーザ光が照射した遮光層領域は加工されず、レンズ2により集光された領域の遮光層のみが除去され、図5に示すようなレンズシート1に対しても遮光層3の目的部分のみに局部的な開口3aを形成することが可能となる。
図1、図6に示した各製造工程では、レーザ光として波長355nmのYAGレーザの第三高調波を用いたが、レーザ光はレンズ材料を透過し遮光層材料3に吸収されればよく、従って上記以外の波長、例えば波長532nmの第二高調波や波長1064nmの基本波を用いてもよい。
また、レンズシート1の構成材料の熱伝導率を、遮光層3の構成材料の熱伝導率よりも小さい構成としておくことで、遮光層3からレンズシート側への熱の移動は抑えられるので、非遮光領域としての開口3aを形成する際に、レンズシートへの熱的損傷を抑えることができる。
即ち、レンズシート1材料の熱伝導率が遮光層3材料の熱伝導率より小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐことができ、遮光層材料を効率よく加熱させることができるので、小さな投入エネルギーで開口3aを形成することができる。
また、レーザ光のパルス幅が長い場合には、遮光層3からレンズシート1側へ熱が移動してくるのに要する時間が長くなる。従って、レンズシートへの熱的損傷が生じるようになる。レーザ光のパルス幅を短くすることでこの影響は抑えることができる。このように本発明では、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光が照射された領域のごく近傍のみが加熱されることとなり、遮光層3に微小な開口を形成することが可能になる。
【0011】
次に、このようにして作製した透過型スクリーンの動作に係る実施形態例の説明を行う。図7に示した実施形態に係るスクリーン10の前面側には、所定の距離を隔ててフレネルレンズ20が配されている。フレネルレンズ20よりも前面側には、図示しない光源と液晶及びその駆動部などから成る画像形成部、及び画像形成部において形成された画像を拡大投影する光学系が配置されており、それらを経た光がフレネルレンズ20に入射しほぼ平行な光となり、スクリーン10に入射する。スクリーン10は、レンズシート1のレンズ2が形成されている面を入射面として配しているために、入射した光は各レンズ2により集光され、集光された光は遮光層3に達する。遮光層3上の集光された画像光が到達する位置には開口3aが形成されているために、レーザ光はそのまま開口3aを通過し、焦点以降で発散光となり、その発散光の到達する範囲で観察者に画像として認識される。
【0012】
また、図8(a)及び(b)に夫々示すように、遮光層3の後方にいわゆる拡散板15などの光拡散効果のある部材を設けることにより、さらに広範な領域へ光を到達させることができ、より広い範囲からの観察を可能にする。
このとき開口3aは、その形成時に画像光と同じ光路のレーザ光で加工されているために、各レンズ2と開口3aとの中心は一致しており、画像光は確実に観察者側へと出射される。遮光層3に形成される開口3aは、その開口径が数十から200μm程度の微小サイズであり、スクリーン10から距離をおいた観察者の肉眼では確認できないために、画像を形成していないスクリーン全体としては一面がほぼ黒色として認識されるために画像形成時に高いコントラストの画像を表示することができる。
さらに、図8(b)、図9に示すように、スクリーン10の最表面に、反射防止処理を施して反射防止層16を形成することにより、観察者側からの光がスクリーン10に反射して観察者側に戻ることによるコントラストの低下を低減することができ、さらにコントラストの向上を図ることができる。
なお、上記各実施例に係るスクリーンにおいては、レンズ2のピッチを150μm以下とすることにより、スクリーン上に投影される画像の画素サイズに対してレンズピッチを十分に小さくすることができ、高精細な画像を表示することができる。
また、レンズのピッチを無秩序に、一定ではない構成とすることにより、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
また、上記各実施形態に係る透過型スクリーンを用いて背面投影型プロジェクション装置を構築することにより、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能となり、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精細な画像に対しても鮮明に高いコントラストで表示を行うことができる透過型スクリーンと、それを比較的単純な工程で作製する方法、そして同スクリーンを搭載した背面投影型プロジェクション装置を提供することができる。
即ち、請求項1の発明によれば、遮光層に設ける非遮光領域としての開口を、対応するレンズ自身の集光により形成するため、レンズのサイズ、ピッチ、配置にかかわらずレンズの光軸中心と開口の中心とが精度良く一致し、必要最低限の大きさの開口を有する透過型スクリーンを作製することができる。
請求項2の発明によれば、加工に用いるレーザ光が透明なレンズシートを透過する一方で、遮光層材料で吸収されるので、レンズシートに対しては影響がなく遮光層のみを加熱除去することができる。
請求項3の発明によれば、レンズシート材料の熱伝導率が遮光層材料の熱伝導率よりも小さいために、遮光層材料が吸収したレーザ光のエネルギーがレンズシートとの界面付近から拡散するのを防ぐために遮光層材料を効率よく加熱させることができ、小さな投入エネルギーで開口を形成することができる。
請求項4の発明によれば、加工に用いるレーザ光のパルス幅が短いために、レーザ光の照射された領域のごく近傍のみが加熱され、微小な開口形成が可能になる。
請求項5の発明によれば、遮光層の厚さが1μm以下と薄いために1パルスでの加工が可能であり、レンズシート材料への損傷を抑えることができる。
請求項6の発明によれば、加工に用いるレーザ光の出力が遮光層材料の加工閾値以下であるために、レンズアレイシートのレンズ部で集光されずに透過してきた光により遮光層が損傷を受けることがない。
【0014】
請求項7の発明によれば、スクリーンを構成するレンズアレイシート上の各レンズ要素の光軸中心と遮光層に設けられた開口の中心が一致しており、かつ、開口の径寸法がレンズに入射した光が集光されて出射する寸法にほぼ等しいためにスクリーンに入射する画像光を減衰させること無く、観察者側へと出射することができる。また、遮光層に形成する開口の寸法が必要最低限であるためにコントラストの高い画像表示を行うことができる。
請求項8の発明によれば、スクリーン表面に光拡散効果のある部材を設けているので、スクリーンから出射する光を広範に行き届かせることができ広範な視野角で表示することができる。
請求項9の発明によれば、スクリーン最表面に反射防止層を設けているために照明光の映り込みや反射によるコントラストの低下を確実に防ぐことができる。
請求項10の発明によれば、スクリーンを構成するレンズピッチが150μm以下とスクリーン上に投影される画像の画素サイズに対して十分に小さいために高精細な画像を表示することができる。
請求項11の発明によれば、スクリーンを構成するレンズのピッチが無秩序に一定ではないために、モアレの発生のない高品位な画像を形成することができる。
請求項12の発明によれば、光源の光を減衰させることなく画像表示に利用することが可能であるので、明るい環境下においても鮮明な画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る透過型スクリーンの製造方法の説明図。
【図2】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図3】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図4】レンズシート(スクリーン)の形状例を示す図。
【図5】透過型スクリーンの構成例を示す図。
【図6】図5のスクリーンの製造方法の例を示す図。
【図7】本発明に係る透過型スクリーンの動作を説明する図。
【図8】本発明の透過型スクリーンの変形例を説明する図。
【図9】本発明の透過型スクリーンの変形例を説明する図。
【図10】従来例に係るスクリーンの製造方法を示す図。
【図11】従来の欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 レンズシート、1a 平坦面、2 レンズ、3 遮光層(遮光材料層)、3a 開口(非遮光領域)、4 平坦部分、10 透過型スクリーン、15 拡散板、16 反射防止層。
Claims (12)
- 複数のレンズが片面に配置されているレンズシートと、該レンズシートのレンズが形成されていない他面に設けられた遮光層とからなり、前記遮光層に各レンズの光軸を中心とした非遮光領域が形成されている透過型スクリーンの製造方法において、
少なくとも、
前記レンズシートの他面に遮光層を形成する工程と、
前記遮光層が形成されたレンズシートに対してレンズ形成面側からパルスレーザ光を照射して各レンズの光軸に対応した遮光層の局部に非遮光領域を形成する工程と、
とからなることを特徴とする透過型スクリーンの製造方法。 - 前記パルスレーザ光の波長が、前記レンズシート材料に対して透過性を有し、且つ前記遮光層材料に対して吸収性を有した波長であることを特徴とする請求項1に記載の透過型スクリーンの製造方法。
- 前記レンズシート材料の熱伝導率が、前記遮光層材料の熱伝導率よりも小さくなるように、該レンズシート材料を単一材料からなる構成、又は複数材料を組み合わせた構成、としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の透過型スクリーンの製造方法。
- 前記パルスレーザ光として、パルス幅が100μs以下のレーザ光を用いることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の透過型スクリーンの製造方法。
- 前記遮光層の厚さを1μm以下としたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の透過型スクリーンの製造方法。
- 前記パルスレーザ光の出力が、前記遮光層材料に対する加工閾値以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の透過型スクリーンの製造方法。
- 請求項1乃至6の何れか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする透過型スクリーン。
- 請求項7に記載の透過型スクリーンの遮光層形成面側に光拡散効果のある部材を設けたことを特徴とする透過型スクリーン。
- 請求項7又は8に記載の透過型スクリーンの前記他面側の最表面に、反射防止層を形成したことを特徴とする透過型スクリーン。
- 前記レンズのピッチを150μm以下としたことを特徴とする請求項7、8又は9に記載の透過型スクリーン。
- 前記レンズのピッチが無秩序であり、一定ではないことを特徴とする請求項10に記載の透過型スクリーン。
- 請求項7乃至11の何れか一項に記載の透過型スクリーンを設けてなることを特徴とする背面投影型プロジェクション装置。
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|---|---|---|---|
| JP2002355925A JP2004191429A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 透過型スクリーン、その製造方法、及び背面投影型プロジェクション装置 |
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| JP2002355925A JP2004191429A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 透過型スクリーン、その製造方法、及び背面投影型プロジェクション装置 |
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| JP2004191429A true JP2004191429A (ja) | 2004-07-08 |
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|---|---|---|---|
| JP2002355925A Pending JP2004191429A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 透過型スクリーン、その製造方法、及び背面投影型プロジェクション装置 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004191429A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007001214A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Seiko Epson Corp | レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ |
| EP1744209A1 (en) * | 2005-07-13 | 2007-01-17 | Sony Corporation | Method for producing transmissive screen, apparatus for producing transmissive screen, and transmissive screen |
| CN119059807A (zh) * | 2024-08-30 | 2024-12-03 | 江苏师范大学 | 一种激光照明用复合荧光陶瓷及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-06 JP JP2002355925A patent/JP2004191429A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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