JP2004193251A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させ、長寿命化を図る。
【解決手段】正極の分極性電極22と負極の分極性電極23とを、交互に折込まれた紙製のセパレータ24を介在させた状態で積層し、電解液25に浸した状態で、ケース26内に収容する。各分極性電極22,23を、リード部27,28を介して端子台29の端子30,31に接続する。セパレータ24に、水、水蒸気、水素イオン等の有害物質を選択的に吸着する吸着剤(モレキュラーシーブ4A)の微粒子を保持させて吸着部とする。ケース26の内面部に、同様の吸着剤をガラス繊維シートに保持させたものを配して吸着部36を設ける。端子台29の内層部を構成する合成樹脂材料に同吸着剤を練り込んで吸着部を設け、更に端子台29に設けられる圧力放出弁33の内層部を構成するゴム材料に同吸着剤を練り込んで吸着部を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】正極の分極性電極22と負極の分極性電極23とを、交互に折込まれた紙製のセパレータ24を介在させた状態で積層し、電解液25に浸した状態で、ケース26内に収容する。各分極性電極22,23を、リード部27,28を介して端子台29の端子30,31に接続する。セパレータ24に、水、水蒸気、水素イオン等の有害物質を選択的に吸着する吸着剤(モレキュラーシーブ4A)の微粒子を保持させて吸着部とする。ケース26の内面部に、同様の吸着剤をガラス繊維シートに保持させたものを配して吸着部36を設ける。端子台29の内層部を構成する合成樹脂材料に同吸着剤を練り込んで吸着部を設け、更に端子台29に設けられる圧力放出弁33の内層部を構成するゴム材料に同吸着剤を練り込んで吸着部を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対以上の分極性電極を、電極相互間にセパレータを介在させ、電解液に浸した状態でケース内に収容してなる電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電気二重層キャパシタ(「EDLC」と略される)のうち、積層タイプ(角型)のものの代表的な構造を図7に示す。即ち、正極となる複数枚(図では5枚)のシート状の分極性電極1と、負極となる複数枚(図では5枚)のシート状の分極性電極2とは、相互間にセパレータ3を介在させた(屏風のように交互に折込まれた)状態で、図で前後方向に交互に積層され、電解液4を含浸させた状態で、角筒形の金属製のケース5内に収容されている。
【0003】
そして、前記各分極性電極1はリード線6に、各分極性電極2はリード線7に夫々接続され、それらリード線6及び7が、合成樹脂製の端子台8に設けられた正極端子9及び負極端子10に夫々接続されている。また、前記端子台8は、ゴム製のガスケット11を介して前記ケース5の上面開口部を密に塞ぐように設けられている。さらには、端子台8に、ケース5の内部圧力が増大すると開くゴム製の圧力放出弁12が設けられることもある。
【0004】
このとき、図示はしないが、前記分極性電極1,2等は、真空加熱乾燥機により乾燥された後、真空チャンバー内に収納され、そのチャンバー内が真空にされた後に高純度の窒素ガス雰囲気とされ、その中でケース10内に組付けられ、更に電解液4が注入され、端子台8が取付けられるようになっている。尚、この場合、前記電解液4としては有機系電解液、例えば溶媒としてのプロピレンカーボネート(PC)に、電解質としてのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(Et4NBF4)を溶解したものが用いられる。
【0005】
また、上記分極性電極1,2の材質としては、粒径20〜30μmの活性炭粉末に、粒径数μmのメソカーボンを混合して、焼結成形したものが知られている(例えば特許文献1参照)。周知のように、活性炭は、その表面に、0.1nm〜100nmと非常に小さい無数の穴(以下「ポア」という)が存在するため、2000〜3000m2/gもの広い表面積を有している。EDLCは、この膨大な比表面積を利用して、従来のコンデンサには見られない大きな静電容量を得ているのである。
【0006】
【特許文献1】
特許第2830253号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記分極性電極1,2を構成する活性炭のポアは、環境中に存在する水蒸気やガスなども吸着してしまう事情があり、またそのような活性炭による吸着以外にも、いくつかの要因でEDLC内に水(水蒸気)が供給されてしまう事情がある。この水の混入が、以下に述べるメカニズムにより、EDLCの寿命を著しく低下させる(劣化により静電容量が短期間で低下する)ことが、実験により明らかとなったのである。
【0008】
そこで、まず、EDLCに水が供給されるメカニズムについて幾つか述べる。一般に、活性炭に吸着された水蒸気は、活性炭の奥深くにまで至り、一度吸着した後は相当長い時間をかけて真空加熱乾燥を行わない限り、その全てを取除くことは不可能である。現実的には、ある程度の時間で乾燥を進めEDLCに組立てる。更に、この組立ての間にも、製造上防ぎきれない水蒸気の新たな吸着は避けられない。加えて、完成したEDLCを長期間使用した際には、各種部品、例えば樹脂製の端子台、ゴム製のガスケット、ゴム製の圧力放出弁は、その材料が本質的にもつ熱分子運動のために水蒸気を拡散し、EDLC内に導き入れる。
【0009】
これらの水蒸気や水以外にも、水と同じ成分を持つ物質も関連する。例えば、電解液に溶け込んだ水素イオンや活性炭の表面に存在する活性な官能基(−COOH、−OH、>C=O等)がその例である。水素イオンはプラスの電荷を持ち、先の官能基のマイナスの電荷を持つ部分(分子内の電荷の偏り)やマイナスの電荷を吸引しやすい酸素と結び付き水となる。
【0010】
このようにして生じた水は、これらを全て併せても微量ではあるが、電解液の溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)の一部を加水分解するには十分な量である。PCは加水分解されるとプロピレングリコールに化学変化し、この物質は重合しやすく、容易に多量体となって粘度の高い液体あるいは固体となる。この変化が活性炭の表面の近傍で発生すれば勿論のこと、電極の近傍でなくても、EDLCが充電されると、クーロン力のために電解質のイオンが電極に動き、これに引連れられて生成物が電極の表面に付着し、長時間かけて堆積する。このように物質が液体中を動く現象は、電気泳動と呼ばれ、電気的に中性の分子においても起こる良く知られた現象である。生成物の電極への付着や堆積は、同時に活性炭の比表面積を決めるポアを埋めることになり、このため、活性炭の大きな比表面積を徐々に低下せしめ、これがEDLCの電気二重層の形成の妨げとなることは明白である。
【0011】
上記した電極上の多量体は、長期間通電した後の活性炭表面の分析によっても見出されている。本発明者が行った飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)を用いた課電試験後の、電極から採取した活性炭の表面から数nm域の極表面を分析したところ、グリコールを主成分とする固体物質が検出された。さらに、同活性炭電極の表面を液体窒素に曝した時の窒素ガス吸着試験法によって得た吸着等温線を解析すると、活性炭の表面に存在する前述のポアの体積が、課電試験後に減少していることが判った。課電試験後のポア体積の減少率と課電試験による静電容量の低下率とが、非常に良く一致していることが判った。
【0012】
このように、EDLCの寿命と水分とは、非常に強いつながりを持っており、水によって生じた劣化生成物と、EDLCの運転中に進入あるいは電極反応で内部に生ずる水とを除去することが、いかに重要であるかが判る。
従って、本発明の目的は、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、長寿命化を図ることができる電気二重層キャパシタを提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電気二重層キャパシタは、内部に存在する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段を設けたところに特徴を有する(請求項1の発明)。これによれば、有害物質除去手段により静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、この結果、長期にわたって安定した静電容量を維持することが可能となって長寿命化を図ることができる。
【0014】
このとき、前記有害物質除去手段を、有害物質を吸着する吸着部を設けて構成することができ(請求項2の発明)、これによれば、比較的簡単な構成で有害物質除去手段を設けることが可能となる。
より具体的には、吸着部を、セパレータに吸着剤を保持させて構成することができる(請求項3の発明)。これによれば、EDLCが本来有しているセパレータに吸着部を構成することができるので、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、吸着部を設けることができる。
【0015】
この場合、セパレータが紙もしくは紙状繊維質材料から構成される場合には、その製造時の紙漉き工程において、紙漉き材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させることができ(請求項4の発明)、あるいは、セパレータがプラスチック製のフィルムから構成される場合には、フィルムの原料となるペレットの製造時、或いはフィルムの成形時に、材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させることができる(請求項5の発明)。いずれも、複雑な工程を必要とすることなく、容易にセパレータに吸着剤を保持させることができるようになる。
【0016】
また、吸着部を、ケースの内面部に設けることもできる(請求項6の発明)。より具体的には、ケースの内面に吸着剤を直接あるいは保持部材を介して保持させることにより、吸着部を構成することができ(請求項7の発明)、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、吸着部を設けることができる。或いは、ケースの内面を電析処理や化成処理によって酸化し多孔質化することにより、吸着部を構成することもでき(請求項8の発明)、やはり全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、容易に吸着部を設けることができる。
【0017】
そして、端子を有する端子台に、その材料中に吸着剤を混合させることにより、吸着部を設けることもできる(請求項9の発明)。ケース内の圧力が増大した際にその圧力を逃がすための放出弁に、その材料中に吸着剤を混合させることにより、吸着部を設けることもできる(請求項10の発明)。これらによっても、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、容易に吸着部を設けることができる。
【0018】
さらに、それら端子台或いは放出弁に吸着部を設ける場合、吸着部を内層とした複数層構造とすると共に、そのうち吸着部よりも外側の層を、水蒸気を透過しにくい材料から構成することができ(請求項11の発明)、これにより、外部からの水蒸気の侵入をも抑制することができるので、より一層効果的となる。
また、本発明においては、電解液として、非プロトン性溶媒に、電解質を溶解したものを採用することができる(請求項12の発明)。
【0019】
尚、上記した吸着剤としては、例えばモレキュラーシーブ(商品名)等を採用することができる。この種の吸着剤は、表面や内部に均一な無数の細孔を有し、この細孔により分子やイオン等を吸着するものである。この場合、電解液中の電解質から生ずるイオンを吸着せず、水分子や水素イオン、水酸イオンなどを選択的に吸着するような大きさの細孔を有するものを選定することが重要となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について、図1ないし図5を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例に係る電気二重層キャパシタ(EDLC)21の全体構成を概略的に示している。このEDLC21は、正極となる複数枚(図では5枚)の分極性電極22と、負極となる複数枚(図では5枚)の分極性電極23とを、相互間にセパレータ24を介在させた状態で図で前後方向に交互に積層し、電解液25に浸した状態で、ケース26内に収容して構成される。
【0021】
詳しく図示はしないが、前記分極性電極22,23は、活性炭を主成分としカーボンブラックの微粉やバインダを混合して矩形のシート状に形成された活性炭シートを、アルミ箔製の集電極の両面に保持(接着)させて構成されており、図2にも示すように、その上辺部からは、前記集電極に一体に設けられた接続用のリード部27,28が夫々導出されている。
【0022】
前記セパレータ24は、この場合、紙もしくは紙状繊維材料、具体的には例えばレーヨン紙からなり、長尺なものがいわば屏風のように交互に折込まれ、上から見て山、谷を交互に有する形態とされている。前記分極性電極22,23は、それら山、谷部分に交互に収容配置されている。また、前記電解液25は、例えば非プロトン性溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)に、電解質としてのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(Et4NBF4)を溶解したものが用いられる。
【0023】
前記ケース26は、金属例えばアルミニウムから、上面が開放した角筒状に構成されている。そして、このケース26の上端開口部には、例えば合成樹脂製の端子台29が設けられる。図2にも示すように、この端子台29には、正極端子30及び負極端子31が右左に位置して設けられており、前記分極性電極22のリード部27が正極端子30に接続され、前記分極性電極23のリード部28が負極端子31に接続されるようになっている。このとき、前記端子台29は、ゴム製のガスケット32を介して前記ケース26の上端開口部を密に塞ぐように設けられている。さらに、本実施例では、端子台29には、ケース26の内部圧力が増大すると開くゴム製の圧力放出弁33が設けられている。
【0024】
尚、図示はしないが、上記EDLC21を組立てるにあたっては、前記セパレータ24を介して分極性電極22,23を積層し端子台29に接続されたものが、真空加熱乾燥機により乾燥された後、真空チャンバー内に収納され、そのチャンバー内が真空にされた後に高純度の窒素ガス雰囲気とされ、その中でケース26内に収容され、電解液25が注入された後、端子台29が該ケース26に固定されるようになっている。
【0025】
さて、このEDLC21には、内部に存在(侵入)する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段としての吸着部が設けられる。本実施例では、以下に述べるように、前記セパレータ24が吸着部としての機能を有すると共に、前記ケース26の内面部に吸着部が設けられ、また前記端子台29にも吸着部が設けられ、さらに前記圧力放出弁33にも吸着部が設けられるようになっている。
【0026】
即ち、まず、前記セパレータ24に吸着剤(図示せず)が保持されることにより、吸着部が構成されるようになっている。本実施例では、前記吸着剤として、モレキュラーシーブ4A(商品名)が採用されている。このモレキュラーシーブとは、化学大事典9、P304(共立出版(株)、1983,9,15発行)に示されるように、アメリカのLinde Co.が工業的に製造しているフツ石の商品名であり、その表面や内部に均一な細孔をもち,水などをよく吸着する特殊な吸着剤である。また、その品番は、4A,5A,13X等があるが、夫々の数字は細孔の直径を0.1nm単位(旧単位のオングストロームに対応)で示すものである。モレキュラーシーブ4Aは、特に極性を持つ物質例えば水に対して強いことから、水をよく吸着することが知られている。
【0027】
この吸着剤をセパレータ24に保持させるにあたっては、セパレータ24(レーヨン紙)の製造過程において、紙漉き材料(水中に繊維材料を添加剤等と共に分散させた懸濁液)に、微粉末とした吸着剤を混合し、均一に撹拌した上で、紙漉き工程を実行することが行われる。その後、できたレーヨン紙を十分に乾燥させることは勿論である。これにて、セパレータ24を構成するレーヨン紙の内部や表面に、微粉末状の吸着剤が保持され、以て吸着部が構成されるのである。
【0028】
そして、前記ケース26の内面部(内壁面及び底面)には、図3に示すように、粒状の吸着剤34を、保持部材としての2枚のガラス繊維シート35により保持させることにより、吸着部36が設けられるようになっている。この場合、前記吸着剤34には上記したと同様のモレキュラーシーブ4Aが採用され、その粒子を、例えば厚み50μmのガラス繊維シート35上に分散させ、その上にもう一枚のガラス繊維シート35を被せて押え付けることにより、ガラス繊維シート35の繊維同士を絡ませて一体化している。このように吸着剤34を保持したガラス繊維シート35を、ケース26の内面部に装着することにより、吸着部36が構成されるのである。
【0029】
また、本実施例では、図4に示すように、前記端子台29は、複数層構造例えば、ケース26の内部側に臨む内層と、その上面及び側面を覆うように位置される外層29aとの二層構造とされている。そのうち内層は、例えばナイロン66等のガス透過率や吸湿率が比較的高い熱可塑性樹脂材料を主体として構成されているのであるが、その材料中に、上記と同様のモレキュラーシーブ4Aからなる吸着剤34の微粉末が分散されていることにより、吸着部37が構成されている。
【0030】
この場合、図示はしないが、端子台29の内層の原料となるペレットの製造時に、材料(ナイロン66)に粉状の吸着剤34を練り込んでおき、そのペレットを用いて成形(射出成形)を行うことによって、吸着部37を形成することができる。一方、前記外層29aは、水蒸気を透過しにくい熱可塑性樹脂材料、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂からなり、射出成形されたものを、例えば接着剤で接着することにより、前記内層(吸着部37)と一体化されるようになっている。
【0031】
さらに、本実施例では、図5に示すように、前記圧力放出弁33は、複数層構造例えば、弁の主体を構成する内層と、その前記端子台29の上面に露出している部分を覆うように位置される外層33aとの二層構造とされている。そのうち内層は、例えばガス透過率の比較的高いブタジエンゴム中に、上記と同様のモレキュラーシーブ4Aからなる吸着剤34の微粉末が分散されていることにより、吸着部38が構成されている。前記外層33aは、例えばガス透過率の低い塩酸ゴムから構成されている。
【0032】
次に、上記構成の作用について述べる。上記「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、乾燥によっても分極性電極22,23から除去しきれない水分や、製造上防ぎきれない水蒸気の吸着、使用時における端子台29、ガスケット32、圧力放出弁33等からの水蒸気の拡散、電解液25に溶け込んだ水素イオンや活性炭の表面に存在する活性な官能基等により、微量ではあるがEDLC21内への水の混入は避けられないものとなる。
【0033】
このようなEDLC21の内部に混入された水や水蒸気等は、微量であっても電解液25の溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)の一部を加水分解し、劣化生成物となって電気二重層の形成の妨げとなり、EDLC21の寿命を低下させてしまう(劣化により静電容量が短期間で低下する)事情がある。
【0034】
ところが、上記構成においては、それら水や水蒸気、水素イオンなどの有害物質を吸着する吸着剤(モレキュラーシーブ4A)をセパレータ24に保持させると共に、ケース26の内面部にも有害物質を吸着する吸着部36を設け、さらに、端子台29及び圧力放出弁33にも、有害物質を吸着する吸着部37及び38を設けたので、EDLC21の内部のそれら有害物質を低減させることができるのである。
【0035】
ここで、本実施例では、吸着剤34としてモレキュラーシーブ4Aを採用したが、この吸着剤としては、電解質イオンを吸着せず、水分子や水素イオン,水酸イオン等を選択的に吸着するような大きさの細孔を有するものを選定することが重要である。この場合、むやみに大きな細孔を有するものを選ぶと、電気二重層を形成すべき電解液25中の電解質イオン(本実施例では、Et4N+、及び、BF4−)までをも吸着してしまうことになる。
【0036】
Et4N+の直径は約0.8nmφ、BF4−の直径は約0.6nmφであり、これに対して、水素イオンの直径は約0.09nmφ、水酸イオンの直径は約0.2nmφ、水分子の直径は約0.3nmφと、上記電解質イオンと比べて小さい。上記吸着剤34は、そのようなイオンの大きさの違いを利用して有害物質を選択的に吸着除去するものであり、本実施例の電解液25の場合には、吸着剤の細孔の大きさが0.4nmのものを選ぶことが好ましいのである。このことは、本発明者の行った実験によっても明らかとなっている。
【0037】
また、上記構成では、端子台29及び圧力放出弁33を二層構造とし、各外層29a及び33aを、ガス透過率の低い材質から構成しているので、外部から水蒸気が侵入することを効果的に防止することができる。内層部(吸着部37及び38)は、逆にガス透過率の比較的高い材質を採用しているので、吸着剤34の吸着効率を高くすることができる。これら吸着部37及び38は、電解液25に直接触れることは無いが、気相部の水(水蒸気)の濃度を下げることができ、ラウールの法則によって、電解液25の水の濃度も下げることが可能となる。
【0038】
ちなみに、本発明者は、上記した本実施例に係るEDLC21と、従来例で述べたEDLC(図7参照)とについて、直流電圧を加えた際の静電容量及び直流抵抗の変化度合を調べる試験を行った。この試験は、60℃の雰囲気で、2.5Vの直流電圧を連続して加え、1000時間及び10000時間経過後の、静電容量と直流抵抗を調べることにより行った。その結果を次の表1に示す。この表1では、試験結果を、初期値を100%としたときの変化率で示している。
【0039】
【表1】
この結果からも、本実施例のEDLC21が、従来のものと比べて、静電容量の低下率が格段に低くなったことが理解できる。
【0040】
このように本実施例によれば、EDLC21の内部に存在(侵入)する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の有害物質を吸着する吸着部を設けたので、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、この結果、長期にわたって安定した静電容量を維持することが可能となって長寿命化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【0041】
特に本実施例では、セパレータ24に吸着部としての機能を付与すると共に、ケース26の内面部、端子台29の内層、圧力放出弁33の内層に夫々吸着部36、37、38を設けたので、有害物質を吸着する能力が高く、有害物質の低減効果が高いものとすることができる。しかも、端子台29の外層29a及び圧力開放弁33の外層33aを、水蒸気を透過しにくい材料から構成したので、外部からの水蒸気の侵入を効果的に防止することができる。
【0042】
また、本実施例では、セパレータ24の材料(紙漉き材料)に吸着剤を混合する、端子台29の材料(熱可塑性樹脂)に吸着剤34を練込む、圧力放出弁33の材料(ゴム)に吸着剤34を練込むことにより、吸着部37、38などを構成するようにしたので、構成が複雑化したり、大型化したりすることなく、吸着部を容易に構成することができるといった利点も得ることができる。ケース26の内面部の吸着部36についても、極めて薄いガラス繊維シート35に吸着剤34を保持させて構成したので、吸着剤34の保持を確実に行いながらも、さほどのスペースをとることなく済ませることができるのである。
【0043】
図6は、本発明の他の実施例を示すもので、上記実施例と異なる点は、ケース26の内面部に設けられる吸着部41の構成にある。即ち、この吸着部41は、微粉末状の吸着剤34を接着剤に分散させたものを、ケース26の内面に塗布することにより構成されている。また、図示はしないが、更に別の実施例として、アルミ製のケース26の内面に対して、電析処理や化成処理を行うことによって酸化アルミの層を形成することにより、吸着部を構成することもできる。この酸化アルミ等の酸化物は、無数の細孔(ポア)を有する多孔質状とされるので、それら細孔に水や水素イオンなどを吸着させることが可能となる。
【0044】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、以下のような様々な変形、拡張が可能である。即ち、ケースとしては、アルミなどの金属製のものに限らず、アルミシートをラミネートしたプラスチック製のもの等であっても良い。セパレータとしては、紙製のものに限らず、電解質イオンの流通が可能な細孔を有したプラスチック(例えばテフロンやポリプロピレン等)製のフィルムであっても良い。この場合には、フィルムの原料となるペレットの製造時、或いはフィルムの成形時に、材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させて吸着部を構成することができる。
【0045】
端子台29の内層(吸着部36)の材質としても、ナイロン66等の熱可塑性樹脂に限らず、熱硬化性樹脂なども採用できる。内外層を接着により一体化するのではなく、いわゆる二色成形を行うようにしても良い。3層構造以上としても良い。この場合、内層(吸着部36)には、ガス透過性の高い材質を採用することが望ましく、多孔質の樹脂材料から構成しても良い。端子台29の外層29aとしても、ガス透過性の低い材質として、セラミックや金属シート等を採用することもできるが、金属を採用した場合、端子30,31との間の絶縁を図る必要がある。
【0046】
圧力放出弁33についても、内層にシリコーンゴム、外層にフッ素樹脂系エラストマーなどを採用することができる。いわゆる二色成形を行うようにしても良く、3層構造以上としても良い。また、この圧力放出弁33については、必要に応じて設ければよい。上記ガスケット32についても吸着部を構成することが可能であり、この場合、ゴム材料に上記と同様の吸着剤34を練り込んでガスケットを射出成形することができる。このガスケットは、外気に直接触れる面積は少ないので、特に二層構造とする必要はない。
【0047】
更に、上記実施例では、吸着剤としてモレキュラーシーブ4Aを採用したが、これに限らず、所期の目的を達成するものであれば、他のゼオライトやシリカゲル等も採用することができる。電解液25としても、上記溶媒及び電解質の組合せに限らず、各種の溶媒、電解質を採用することができる。イオン性融体であっても良い。分極性電極22、23の材質としても種々の変更が可能である。
【0048】
その他、上記実施例では、セパレータ24、ケース26の内面部、端子台29、圧力放出弁33の全てに吸着部を設けるようにしたが、その全部でなく一部に吸着部を設けるものであっても、同様の効果を得ることができる。また、スペース的に不利になる欠点を除けば吸着部をケース内に別体に設けるようにしても良い。さらには、本発明は、積層タイプ(角型)のEDLCに限らず、巻回タイプ(円筒型)のEDLCにも適用することができるなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明にて明らかなように、本発明の電気二重層キャパシタによれば、内部に存在する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段を設けので、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、長寿命化を図ることができるという優れた効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、電気二重層キャパシタの縦断正面図(a)、縦断右側面図(b)、縦断左側面図(c)を並べて示す図
【図2】電極部分の正面図(a)、右側面図(b)、左側面図(c)を並べて示す図
【図3】ケースの縦断正面図
【図4】端子台の縦断正面図
【図5】圧力放出弁部分の縦断正面図
【図6】本発明の他の実施例を示す図3相当図
【図7】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
図面中、21は電気二重層キャパシタ、22,23は分極性電極、24はセパレータ(吸着部)、25は電解液、26はケース、29は端子台、29aは外層、33は圧力放出弁、33aは外層、34は吸着剤、35はガラス繊維シート(保持部材)、36,37,38,41は吸着部を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対以上の分極性電極を、電極相互間にセパレータを介在させ、電解液に浸した状態でケース内に収容してなる電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電気二重層キャパシタ(「EDLC」と略される)のうち、積層タイプ(角型)のものの代表的な構造を図7に示す。即ち、正極となる複数枚(図では5枚)のシート状の分極性電極1と、負極となる複数枚(図では5枚)のシート状の分極性電極2とは、相互間にセパレータ3を介在させた(屏風のように交互に折込まれた)状態で、図で前後方向に交互に積層され、電解液4を含浸させた状態で、角筒形の金属製のケース5内に収容されている。
【0003】
そして、前記各分極性電極1はリード線6に、各分極性電極2はリード線7に夫々接続され、それらリード線6及び7が、合成樹脂製の端子台8に設けられた正極端子9及び負極端子10に夫々接続されている。また、前記端子台8は、ゴム製のガスケット11を介して前記ケース5の上面開口部を密に塞ぐように設けられている。さらには、端子台8に、ケース5の内部圧力が増大すると開くゴム製の圧力放出弁12が設けられることもある。
【0004】
このとき、図示はしないが、前記分極性電極1,2等は、真空加熱乾燥機により乾燥された後、真空チャンバー内に収納され、そのチャンバー内が真空にされた後に高純度の窒素ガス雰囲気とされ、その中でケース10内に組付けられ、更に電解液4が注入され、端子台8が取付けられるようになっている。尚、この場合、前記電解液4としては有機系電解液、例えば溶媒としてのプロピレンカーボネート(PC)に、電解質としてのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(Et4NBF4)を溶解したものが用いられる。
【0005】
また、上記分極性電極1,2の材質としては、粒径20〜30μmの活性炭粉末に、粒径数μmのメソカーボンを混合して、焼結成形したものが知られている(例えば特許文献1参照)。周知のように、活性炭は、その表面に、0.1nm〜100nmと非常に小さい無数の穴(以下「ポア」という)が存在するため、2000〜3000m2/gもの広い表面積を有している。EDLCは、この膨大な比表面積を利用して、従来のコンデンサには見られない大きな静電容量を得ているのである。
【0006】
【特許文献1】
特許第2830253号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記分極性電極1,2を構成する活性炭のポアは、環境中に存在する水蒸気やガスなども吸着してしまう事情があり、またそのような活性炭による吸着以外にも、いくつかの要因でEDLC内に水(水蒸気)が供給されてしまう事情がある。この水の混入が、以下に述べるメカニズムにより、EDLCの寿命を著しく低下させる(劣化により静電容量が短期間で低下する)ことが、実験により明らかとなったのである。
【0008】
そこで、まず、EDLCに水が供給されるメカニズムについて幾つか述べる。一般に、活性炭に吸着された水蒸気は、活性炭の奥深くにまで至り、一度吸着した後は相当長い時間をかけて真空加熱乾燥を行わない限り、その全てを取除くことは不可能である。現実的には、ある程度の時間で乾燥を進めEDLCに組立てる。更に、この組立ての間にも、製造上防ぎきれない水蒸気の新たな吸着は避けられない。加えて、完成したEDLCを長期間使用した際には、各種部品、例えば樹脂製の端子台、ゴム製のガスケット、ゴム製の圧力放出弁は、その材料が本質的にもつ熱分子運動のために水蒸気を拡散し、EDLC内に導き入れる。
【0009】
これらの水蒸気や水以外にも、水と同じ成分を持つ物質も関連する。例えば、電解液に溶け込んだ水素イオンや活性炭の表面に存在する活性な官能基(−COOH、−OH、>C=O等)がその例である。水素イオンはプラスの電荷を持ち、先の官能基のマイナスの電荷を持つ部分(分子内の電荷の偏り)やマイナスの電荷を吸引しやすい酸素と結び付き水となる。
【0010】
このようにして生じた水は、これらを全て併せても微量ではあるが、電解液の溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)の一部を加水分解するには十分な量である。PCは加水分解されるとプロピレングリコールに化学変化し、この物質は重合しやすく、容易に多量体となって粘度の高い液体あるいは固体となる。この変化が活性炭の表面の近傍で発生すれば勿論のこと、電極の近傍でなくても、EDLCが充電されると、クーロン力のために電解質のイオンが電極に動き、これに引連れられて生成物が電極の表面に付着し、長時間かけて堆積する。このように物質が液体中を動く現象は、電気泳動と呼ばれ、電気的に中性の分子においても起こる良く知られた現象である。生成物の電極への付着や堆積は、同時に活性炭の比表面積を決めるポアを埋めることになり、このため、活性炭の大きな比表面積を徐々に低下せしめ、これがEDLCの電気二重層の形成の妨げとなることは明白である。
【0011】
上記した電極上の多量体は、長期間通電した後の活性炭表面の分析によっても見出されている。本発明者が行った飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)を用いた課電試験後の、電極から採取した活性炭の表面から数nm域の極表面を分析したところ、グリコールを主成分とする固体物質が検出された。さらに、同活性炭電極の表面を液体窒素に曝した時の窒素ガス吸着試験法によって得た吸着等温線を解析すると、活性炭の表面に存在する前述のポアの体積が、課電試験後に減少していることが判った。課電試験後のポア体積の減少率と課電試験による静電容量の低下率とが、非常に良く一致していることが判った。
【0012】
このように、EDLCの寿命と水分とは、非常に強いつながりを持っており、水によって生じた劣化生成物と、EDLCの運転中に進入あるいは電極反応で内部に生ずる水とを除去することが、いかに重要であるかが判る。
従って、本発明の目的は、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、長寿命化を図ることができる電気二重層キャパシタを提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電気二重層キャパシタは、内部に存在する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段を設けたところに特徴を有する(請求項1の発明)。これによれば、有害物質除去手段により静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、この結果、長期にわたって安定した静電容量を維持することが可能となって長寿命化を図ることができる。
【0014】
このとき、前記有害物質除去手段を、有害物質を吸着する吸着部を設けて構成することができ(請求項2の発明)、これによれば、比較的簡単な構成で有害物質除去手段を設けることが可能となる。
より具体的には、吸着部を、セパレータに吸着剤を保持させて構成することができる(請求項3の発明)。これによれば、EDLCが本来有しているセパレータに吸着部を構成することができるので、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、吸着部を設けることができる。
【0015】
この場合、セパレータが紙もしくは紙状繊維質材料から構成される場合には、その製造時の紙漉き工程において、紙漉き材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させることができ(請求項4の発明)、あるいは、セパレータがプラスチック製のフィルムから構成される場合には、フィルムの原料となるペレットの製造時、或いはフィルムの成形時に、材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させることができる(請求項5の発明)。いずれも、複雑な工程を必要とすることなく、容易にセパレータに吸着剤を保持させることができるようになる。
【0016】
また、吸着部を、ケースの内面部に設けることもできる(請求項6の発明)。より具体的には、ケースの内面に吸着剤を直接あるいは保持部材を介して保持させることにより、吸着部を構成することができ(請求項7の発明)、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、吸着部を設けることができる。或いは、ケースの内面を電析処理や化成処理によって酸化し多孔質化することにより、吸着部を構成することもでき(請求項8の発明)、やはり全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、容易に吸着部を設けることができる。
【0017】
そして、端子を有する端子台に、その材料中に吸着剤を混合させることにより、吸着部を設けることもできる(請求項9の発明)。ケース内の圧力が増大した際にその圧力を逃がすための放出弁に、その材料中に吸着剤を混合させることにより、吸着部を設けることもできる(請求項10の発明)。これらによっても、全体が大型化したり、構成が複雑化したりすることなく、容易に吸着部を設けることができる。
【0018】
さらに、それら端子台或いは放出弁に吸着部を設ける場合、吸着部を内層とした複数層構造とすると共に、そのうち吸着部よりも外側の層を、水蒸気を透過しにくい材料から構成することができ(請求項11の発明)、これにより、外部からの水蒸気の侵入をも抑制することができるので、より一層効果的となる。
また、本発明においては、電解液として、非プロトン性溶媒に、電解質を溶解したものを採用することができる(請求項12の発明)。
【0019】
尚、上記した吸着剤としては、例えばモレキュラーシーブ(商品名)等を採用することができる。この種の吸着剤は、表面や内部に均一な無数の細孔を有し、この細孔により分子やイオン等を吸着するものである。この場合、電解液中の電解質から生ずるイオンを吸着せず、水分子や水素イオン、水酸イオンなどを選択的に吸着するような大きさの細孔を有するものを選定することが重要となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について、図1ないし図5を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施例に係る電気二重層キャパシタ(EDLC)21の全体構成を概略的に示している。このEDLC21は、正極となる複数枚(図では5枚)の分極性電極22と、負極となる複数枚(図では5枚)の分極性電極23とを、相互間にセパレータ24を介在させた状態で図で前後方向に交互に積層し、電解液25に浸した状態で、ケース26内に収容して構成される。
【0021】
詳しく図示はしないが、前記分極性電極22,23は、活性炭を主成分としカーボンブラックの微粉やバインダを混合して矩形のシート状に形成された活性炭シートを、アルミ箔製の集電極の両面に保持(接着)させて構成されており、図2にも示すように、その上辺部からは、前記集電極に一体に設けられた接続用のリード部27,28が夫々導出されている。
【0022】
前記セパレータ24は、この場合、紙もしくは紙状繊維材料、具体的には例えばレーヨン紙からなり、長尺なものがいわば屏風のように交互に折込まれ、上から見て山、谷を交互に有する形態とされている。前記分極性電極22,23は、それら山、谷部分に交互に収容配置されている。また、前記電解液25は、例えば非プロトン性溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)に、電解質としてのテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(Et4NBF4)を溶解したものが用いられる。
【0023】
前記ケース26は、金属例えばアルミニウムから、上面が開放した角筒状に構成されている。そして、このケース26の上端開口部には、例えば合成樹脂製の端子台29が設けられる。図2にも示すように、この端子台29には、正極端子30及び負極端子31が右左に位置して設けられており、前記分極性電極22のリード部27が正極端子30に接続され、前記分極性電極23のリード部28が負極端子31に接続されるようになっている。このとき、前記端子台29は、ゴム製のガスケット32を介して前記ケース26の上端開口部を密に塞ぐように設けられている。さらに、本実施例では、端子台29には、ケース26の内部圧力が増大すると開くゴム製の圧力放出弁33が設けられている。
【0024】
尚、図示はしないが、上記EDLC21を組立てるにあたっては、前記セパレータ24を介して分極性電極22,23を積層し端子台29に接続されたものが、真空加熱乾燥機により乾燥された後、真空チャンバー内に収納され、そのチャンバー内が真空にされた後に高純度の窒素ガス雰囲気とされ、その中でケース26内に収容され、電解液25が注入された後、端子台29が該ケース26に固定されるようになっている。
【0025】
さて、このEDLC21には、内部に存在(侵入)する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段としての吸着部が設けられる。本実施例では、以下に述べるように、前記セパレータ24が吸着部としての機能を有すると共に、前記ケース26の内面部に吸着部が設けられ、また前記端子台29にも吸着部が設けられ、さらに前記圧力放出弁33にも吸着部が設けられるようになっている。
【0026】
即ち、まず、前記セパレータ24に吸着剤(図示せず)が保持されることにより、吸着部が構成されるようになっている。本実施例では、前記吸着剤として、モレキュラーシーブ4A(商品名)が採用されている。このモレキュラーシーブとは、化学大事典9、P304(共立出版(株)、1983,9,15発行)に示されるように、アメリカのLinde Co.が工業的に製造しているフツ石の商品名であり、その表面や内部に均一な細孔をもち,水などをよく吸着する特殊な吸着剤である。また、その品番は、4A,5A,13X等があるが、夫々の数字は細孔の直径を0.1nm単位(旧単位のオングストロームに対応)で示すものである。モレキュラーシーブ4Aは、特に極性を持つ物質例えば水に対して強いことから、水をよく吸着することが知られている。
【0027】
この吸着剤をセパレータ24に保持させるにあたっては、セパレータ24(レーヨン紙)の製造過程において、紙漉き材料(水中に繊維材料を添加剤等と共に分散させた懸濁液)に、微粉末とした吸着剤を混合し、均一に撹拌した上で、紙漉き工程を実行することが行われる。その後、できたレーヨン紙を十分に乾燥させることは勿論である。これにて、セパレータ24を構成するレーヨン紙の内部や表面に、微粉末状の吸着剤が保持され、以て吸着部が構成されるのである。
【0028】
そして、前記ケース26の内面部(内壁面及び底面)には、図3に示すように、粒状の吸着剤34を、保持部材としての2枚のガラス繊維シート35により保持させることにより、吸着部36が設けられるようになっている。この場合、前記吸着剤34には上記したと同様のモレキュラーシーブ4Aが採用され、その粒子を、例えば厚み50μmのガラス繊維シート35上に分散させ、その上にもう一枚のガラス繊維シート35を被せて押え付けることにより、ガラス繊維シート35の繊維同士を絡ませて一体化している。このように吸着剤34を保持したガラス繊維シート35を、ケース26の内面部に装着することにより、吸着部36が構成されるのである。
【0029】
また、本実施例では、図4に示すように、前記端子台29は、複数層構造例えば、ケース26の内部側に臨む内層と、その上面及び側面を覆うように位置される外層29aとの二層構造とされている。そのうち内層は、例えばナイロン66等のガス透過率や吸湿率が比較的高い熱可塑性樹脂材料を主体として構成されているのであるが、その材料中に、上記と同様のモレキュラーシーブ4Aからなる吸着剤34の微粉末が分散されていることにより、吸着部37が構成されている。
【0030】
この場合、図示はしないが、端子台29の内層の原料となるペレットの製造時に、材料(ナイロン66)に粉状の吸着剤34を練り込んでおき、そのペレットを用いて成形(射出成形)を行うことによって、吸着部37を形成することができる。一方、前記外層29aは、水蒸気を透過しにくい熱可塑性樹脂材料、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂からなり、射出成形されたものを、例えば接着剤で接着することにより、前記内層(吸着部37)と一体化されるようになっている。
【0031】
さらに、本実施例では、図5に示すように、前記圧力放出弁33は、複数層構造例えば、弁の主体を構成する内層と、その前記端子台29の上面に露出している部分を覆うように位置される外層33aとの二層構造とされている。そのうち内層は、例えばガス透過率の比較的高いブタジエンゴム中に、上記と同様のモレキュラーシーブ4Aからなる吸着剤34の微粉末が分散されていることにより、吸着部38が構成されている。前記外層33aは、例えばガス透過率の低い塩酸ゴムから構成されている。
【0032】
次に、上記構成の作用について述べる。上記「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、乾燥によっても分極性電極22,23から除去しきれない水分や、製造上防ぎきれない水蒸気の吸着、使用時における端子台29、ガスケット32、圧力放出弁33等からの水蒸気の拡散、電解液25に溶け込んだ水素イオンや活性炭の表面に存在する活性な官能基等により、微量ではあるがEDLC21内への水の混入は避けられないものとなる。
【0033】
このようなEDLC21の内部に混入された水や水蒸気等は、微量であっても電解液25の溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)の一部を加水分解し、劣化生成物となって電気二重層の形成の妨げとなり、EDLC21の寿命を低下させてしまう(劣化により静電容量が短期間で低下する)事情がある。
【0034】
ところが、上記構成においては、それら水や水蒸気、水素イオンなどの有害物質を吸着する吸着剤(モレキュラーシーブ4A)をセパレータ24に保持させると共に、ケース26の内面部にも有害物質を吸着する吸着部36を設け、さらに、端子台29及び圧力放出弁33にも、有害物質を吸着する吸着部37及び38を設けたので、EDLC21の内部のそれら有害物質を低減させることができるのである。
【0035】
ここで、本実施例では、吸着剤34としてモレキュラーシーブ4Aを採用したが、この吸着剤としては、電解質イオンを吸着せず、水分子や水素イオン,水酸イオン等を選択的に吸着するような大きさの細孔を有するものを選定することが重要である。この場合、むやみに大きな細孔を有するものを選ぶと、電気二重層を形成すべき電解液25中の電解質イオン(本実施例では、Et4N+、及び、BF4−)までをも吸着してしまうことになる。
【0036】
Et4N+の直径は約0.8nmφ、BF4−の直径は約0.6nmφであり、これに対して、水素イオンの直径は約0.09nmφ、水酸イオンの直径は約0.2nmφ、水分子の直径は約0.3nmφと、上記電解質イオンと比べて小さい。上記吸着剤34は、そのようなイオンの大きさの違いを利用して有害物質を選択的に吸着除去するものであり、本実施例の電解液25の場合には、吸着剤の細孔の大きさが0.4nmのものを選ぶことが好ましいのである。このことは、本発明者の行った実験によっても明らかとなっている。
【0037】
また、上記構成では、端子台29及び圧力放出弁33を二層構造とし、各外層29a及び33aを、ガス透過率の低い材質から構成しているので、外部から水蒸気が侵入することを効果的に防止することができる。内層部(吸着部37及び38)は、逆にガス透過率の比較的高い材質を採用しているので、吸着剤34の吸着効率を高くすることができる。これら吸着部37及び38は、電解液25に直接触れることは無いが、気相部の水(水蒸気)の濃度を下げることができ、ラウールの法則によって、電解液25の水の濃度も下げることが可能となる。
【0038】
ちなみに、本発明者は、上記した本実施例に係るEDLC21と、従来例で述べたEDLC(図7参照)とについて、直流電圧を加えた際の静電容量及び直流抵抗の変化度合を調べる試験を行った。この試験は、60℃の雰囲気で、2.5Vの直流電圧を連続して加え、1000時間及び10000時間経過後の、静電容量と直流抵抗を調べることにより行った。その結果を次の表1に示す。この表1では、試験結果を、初期値を100%としたときの変化率で示している。
【0039】
【表1】
この結果からも、本実施例のEDLC21が、従来のものと比べて、静電容量の低下率が格段に低くなったことが理解できる。
【0040】
このように本実施例によれば、EDLC21の内部に存在(侵入)する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の有害物質を吸着する吸着部を設けたので、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、この結果、長期にわたって安定した静電容量を維持することが可能となって長寿命化を図ることができるという優れた効果を奏する。
【0041】
特に本実施例では、セパレータ24に吸着部としての機能を付与すると共に、ケース26の内面部、端子台29の内層、圧力放出弁33の内層に夫々吸着部36、37、38を設けたので、有害物質を吸着する能力が高く、有害物質の低減効果が高いものとすることができる。しかも、端子台29の外層29a及び圧力開放弁33の外層33aを、水蒸気を透過しにくい材料から構成したので、外部からの水蒸気の侵入を効果的に防止することができる。
【0042】
また、本実施例では、セパレータ24の材料(紙漉き材料)に吸着剤を混合する、端子台29の材料(熱可塑性樹脂)に吸着剤34を練込む、圧力放出弁33の材料(ゴム)に吸着剤34を練込むことにより、吸着部37、38などを構成するようにしたので、構成が複雑化したり、大型化したりすることなく、吸着部を容易に構成することができるといった利点も得ることができる。ケース26の内面部の吸着部36についても、極めて薄いガラス繊維シート35に吸着剤34を保持させて構成したので、吸着剤34の保持を確実に行いながらも、さほどのスペースをとることなく済ませることができるのである。
【0043】
図6は、本発明の他の実施例を示すもので、上記実施例と異なる点は、ケース26の内面部に設けられる吸着部41の構成にある。即ち、この吸着部41は、微粉末状の吸着剤34を接着剤に分散させたものを、ケース26の内面に塗布することにより構成されている。また、図示はしないが、更に別の実施例として、アルミ製のケース26の内面に対して、電析処理や化成処理を行うことによって酸化アルミの層を形成することにより、吸着部を構成することもできる。この酸化アルミ等の酸化物は、無数の細孔(ポア)を有する多孔質状とされるので、それら細孔に水や水素イオンなどを吸着させることが可能となる。
【0044】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、以下のような様々な変形、拡張が可能である。即ち、ケースとしては、アルミなどの金属製のものに限らず、アルミシートをラミネートしたプラスチック製のもの等であっても良い。セパレータとしては、紙製のものに限らず、電解質イオンの流通が可能な細孔を有したプラスチック(例えばテフロンやポリプロピレン等)製のフィルムであっても良い。この場合には、フィルムの原料となるペレットの製造時、或いはフィルムの成形時に、材料に粉状の吸着剤を混合させることによって、セパレータに吸着剤を保持させて吸着部を構成することができる。
【0045】
端子台29の内層(吸着部36)の材質としても、ナイロン66等の熱可塑性樹脂に限らず、熱硬化性樹脂なども採用できる。内外層を接着により一体化するのではなく、いわゆる二色成形を行うようにしても良い。3層構造以上としても良い。この場合、内層(吸着部36)には、ガス透過性の高い材質を採用することが望ましく、多孔質の樹脂材料から構成しても良い。端子台29の外層29aとしても、ガス透過性の低い材質として、セラミックや金属シート等を採用することもできるが、金属を採用した場合、端子30,31との間の絶縁を図る必要がある。
【0046】
圧力放出弁33についても、内層にシリコーンゴム、外層にフッ素樹脂系エラストマーなどを採用することができる。いわゆる二色成形を行うようにしても良く、3層構造以上としても良い。また、この圧力放出弁33については、必要に応じて設ければよい。上記ガスケット32についても吸着部を構成することが可能であり、この場合、ゴム材料に上記と同様の吸着剤34を練り込んでガスケットを射出成形することができる。このガスケットは、外気に直接触れる面積は少ないので、特に二層構造とする必要はない。
【0047】
更に、上記実施例では、吸着剤としてモレキュラーシーブ4Aを採用したが、これに限らず、所期の目的を達成するものであれば、他のゼオライトやシリカゲル等も採用することができる。電解液25としても、上記溶媒及び電解質の組合せに限らず、各種の溶媒、電解質を採用することができる。イオン性融体であっても良い。分極性電極22、23の材質としても種々の変更が可能である。
【0048】
その他、上記実施例では、セパレータ24、ケース26の内面部、端子台29、圧力放出弁33の全てに吸着部を設けるようにしたが、その全部でなく一部に吸着部を設けるものであっても、同様の効果を得ることができる。また、スペース的に不利になる欠点を除けば吸着部をケース内に別体に設けるようにしても良い。さらには、本発明は、積層タイプ(角型)のEDLCに限らず、巻回タイプ(円筒型)のEDLCにも適用することができるなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明にて明らかなように、本発明の電気二重層キャパシタによれば、内部に存在する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段を設けので、静電容量の低下の原因となる水蒸気などの有害物質を低減させることができ、長寿命化を図ることができるという優れた効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、電気二重層キャパシタの縦断正面図(a)、縦断右側面図(b)、縦断左側面図(c)を並べて示す図
【図2】電極部分の正面図(a)、右側面図(b)、左側面図(c)を並べて示す図
【図3】ケースの縦断正面図
【図4】端子台の縦断正面図
【図5】圧力放出弁部分の縦断正面図
【図6】本発明の他の実施例を示す図3相当図
【図7】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
図面中、21は電気二重層キャパシタ、22,23は分極性電極、24はセパレータ(吸着部)、25は電解液、26はケース、29は端子台、29aは外層、33は圧力放出弁、33aは外層、34は吸着剤、35はガラス繊維シート(保持部材)、36,37,38,41は吸着部を示す。
Claims (12)
- 一対以上の分極性電極を、電極相互間にセパレータを介在させ、電解液に浸した状態でケース内に収容してなる電気二重層キャパシタであって、
内部に存在する又は発生する水や水蒸気、水素,酸素或いはそれらのイオン等の、有害となる物質を除去するための有害物質除去手段を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。 - 前記有害物質除去手段は、前記有害物質を吸着する吸着部を設けることにより構成されることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、前記セパレータに吸着剤を保持させて構成されることを特徴とする請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記セパレータは、紙もしくは紙状繊維質材料からなり、その製造時の紙漉き工程において、紙漉き材料に粉状の吸着剤が混合されることにより、該セパレータに吸着剤が保持されることを特徴とする請求項3記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記セパレータは、プラスチック製のフィルムからなり、前記フィルムの原料となるペレットの製造時、或いは該フィルムの成形時に、材料に粉状の吸着剤が混合されることにより、該セパレータに吸着剤が保持されることを特徴とする請求項3記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、前記ケースの内面部に設けられることを特徴とする請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、前記ケースの内面に、吸着剤を直接あるいは保持部材を介して保持させることにより構成されることを特徴とする請求項6記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、前記ケースの内面を電析処理や化成処理によって酸化し多孔質化することにより構成されることを特徴とする請求項6記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、端子を有する端子台に、その材料中に吸着剤が混合されることにより設けられることを特徴とする請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記吸着部は、前記ケース内の圧力が増大した際にその圧力を逃がすための放出弁に、その材料中に吸着剤が混合されることにより設けられることを特徴とする請求項2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記端子台又は放出弁は、前記吸着部を内層とした複数層構造とされると共に、そのうち該吸着部よりも外側の層が、水蒸気を透過しにくい材料から構成されることを特徴とする請求項9又は10記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記電解液は、非プロトン性溶媒に、電解質を溶解したものであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ。
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