JP2004193302A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Ryoji Hiroyama
良治 廣山
Daijiro Inoue
大二朗 井上
Kiyoshi Ota
潔 太田
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Abstract

【課題】半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡による組立て不良を防止することが可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】この半導体レーザ素子は、n型GaAs基板1上に形成され、n型GaAs基板1側から、発光層12、半導体各層13〜17およびp側電極18を含む第1半導体レーザ素子部10と、n型GaAs基板1上に形成され、n型GaAs基板1側から、発光層22、半導体各層23〜27およびp側電極28を含む第2半導体レーザ素子部20と、第1半導体レーザ素子部10と第2半導体レーザ素子部20とを電気的に分離するために設けられ、素子先端部に行くにしたがって溝幅が大きくなる分離溝4とを備えている。そして、分離溝4の最大幅をWとし、発光層12および22からp側電極18および28までの距離をtとした場合、t≧0.2Wの関係を満たす。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体レーザ素子に関し、特に、複数の半導体レーザ素子部を有する半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のレーザ光を、1チップからそれぞれ独立に取り出すことが可能なモノリシック型の半導体レーザ素子が知られている。また、このようなモノリシック型の半導体レーザ素子として、DVD(デジタルビデオディスク)再生用の650nm帯の赤色レーザ光を発光する素子部と、CD(コンパクトディスク)再生用の780nm帯の赤外レーザ光を発光する素子部とが同一基板に集積されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来では、半導体レーザ素子の発光層で発生した熱を効率よく放熱するために、発光層をヒートシンクに近づけて組立てるジャンクションダウン組立法を用いたモノリシック型の半導体レーザ素子が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
図21は、従来の半導体レーザ素子の一例を示した断面図である。図22は、図21に示した従来の一例による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。まず、図21および図22を参照して、従来の一例による半導体レーザ素子の構造について説明する。
【0005】
従来の一例による半導体レーザ素子では、図21に示すように、AlGaAs系半導体層を有する第1半導体レーザ素子部110と、AlGaInP系半導体層を有する第2半導体レーザ素子部120とを含んでいる。第1半導体レーザ素子部110は、780nm帯の赤外レーザ光を発光する機能を有するとともに、第2半導体レーザ素子部120は、650nm帯の赤色レーザ光を発光する機能を有する。そして、第1半導体レーザ素子部110および第2半導体レーザ素子部120は、同一のn型GaAs基板101の上面上に形成されている。
【0006】
また、第1半導体レーザ素子部110と第2半導体レーザ素子部120との間には、第1半導体レーザ素子部110と第2半導体レーザ素子部120とを電気的に分離するための分離溝104が設けられている。この分離溝104は、非対称の傾斜を有する側壁を含む形状に形成されている。すなわち、分離溝104の第1半導体レーザ素子部110側の側壁は、n型GaAs基板101から離れる方向に広がるように、約40°(低角A)傾斜しているとともに、分離溝104の第2半導体レーザ素子部120側の側壁は、n型GaAs基板101から離れる方向に広がるように、約70°(高角B)傾斜している。また、分離溝104の最大幅は、約30μmである。
【0007】
第1半導体レーザ素子部110の具体的な構造としては、(100)面から〔011〕方向に約13°傾斜したn型GaAs基板101の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型Al0.45Ga0.55Asからなるn型クラッド層111が形成されている。n型クラッド層111上には、発光層112が形成されている。
【0008】
発光層112上には、約0.2μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第1クラッド層113が形成されている。p型第1クラッド層113上には、約20nmの厚みを有するアンドープAl0.7Ga0.3Asからなるエッチングストップ層113aが形成されている。エッチングストップ層113a上の所定領域には、約1μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第2クラッド層114が形成されている。このp型第2クラッド層114は、メサ形状(台形形状)に形成されている。p型第2クラッド層114上には、約0.1μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型コンタクト層115が形成されている。そして、p型第2クラッド層114とp型コンタクト層115とによって、リッジ部が構成されている。
【0009】
また、エッチングストップ層113a上のp型第2クラッド層114が形成されていない領域には、約1μmの厚みを有するn型GaAsからなるn型電流ブロック層116が形成されている。そして、n型電流ブロック層116およびp型コンタクト層115の上面上には、約1.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層117が形成されている。p型キャップ層117上には、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなるp側電極118が形成されている。
【0010】
また、第2半導体レーザ素子部120の具体的な構造としては、n型GaAs基板101の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層121が形成されている。n型クラッド層121上には、発光層122が形成されている。
【0011】
発光層122上には、約0.2μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第1クラッド層123が形成されている。p型第1クラッド層123上には、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.5Ga0.5Pからなるエッチングストップ層123aが形成されている。エッチングストップ層123a上の所定領域には、約1μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第2クラッド層124が形成されている。このp型第2クラッド層124は、メサ形状(台形形状)に形成されている。p型第2クラッド層124上には、約0.1μmの厚みを有するp型GaInPからなるp型コンタクト層125が形成されている。そして、p型第2クラッド層124とp型コンタクト層125とによって、リッジ部が構成されている。
【0012】
また、エッチングストップ層123a上のp型第2クラッド層124が形成されていない領域には、約1μmの厚みを有するn型GaAsからなるn型電流ブロック層126が形成されている。そして、n型電流ブロック層126およびp型コンタクト層125の上面上には、約1.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層127が形成されている。なお、後述するように、ジャンクションダウン方式で組立てを行う場合、放熱性を考慮して、p型キャップ層127の厚みは小さい方が好ましいと考えられており、通常2.0μm以下としている。p型キャップ層127上には、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなるp側電極128が形成されている。
【0013】
そして、n型GaAs基板101の裏面上には、n型GaAs基板101の裏面に近い方から順に、約0.1μmの厚みを有するAuGe層と、約30nmの厚みを有するNi層と、約0.5μmの厚みを有するAu層とからなるn側電極102が形成されている。
【0014】
また、図22に示すように、同一のn型GaAs基板101の上面上に形成された第1半導体レーザ素子部110および第2半導体レーザ素子部120は、発光層112および122で発生した熱を放熱するために、AlNからなるヒートシンク171の上面上にジャンクションダウン方式で取り付けられている。具体的には、第1半導体レーザ素子部110のp側電極118および第2半導体レーザ素子部120のp側電極128が、約3μmの厚みを有するAuSnからなる半田層173aおよび173bによって、ヒートシンク171の上面上に融着されている。
【0015】
そして、ヒートシンク171の上面上の第1半導体レーザ素子部110および第2半導体レーザ素子部120のp側電極118および128に対応する領域には、下層から上層に向かって、約0.02μmの厚みを有するCr層と、約0.28μmの厚みを有するAu層とからなる電極174aおよび174bが形成されている。また、電極174a、電極174bおよびn側電極102には、それぞれ、ワイヤ180a〜180cがボンディングされている。
【0016】
また、ヒートシンク171の上面上の分離溝104に対応する領域には、約1μmの厚みと約5μmの幅とを有するSiOからなる絶縁膜172が形成されている。この絶縁膜172は、半田層173aと半田層173bとが溶融する際に、互いに接触するのを防止するために設けられている。この絶縁膜172によって、分離溝104に向かって横方向に流れようとする半田層173aおよび173bが堰き止められるので、第1半導体レーザ素子部110と第2半導体レーザ素子部120との間の短絡を防止することができる。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−320132号公報
【特許文献2】
実公平7−1812号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、絶縁膜172で堰き止められた半田層173aおよび173bが、表面張力によって盛り上がるため、半田層173aおよび173bが分離溝104の側面に位置する第1半導体レーザ素子部110および第2半導体レーザ素子部120のp側領域から発光層112および122を越えてn側領域にまで接触する場合がある。この場合には、素子部自体が短絡するという不都合があった。その結果、半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡による組立て不良が発生するという問題点があった。
【0018】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡による組立て不良を防止することが可能な半導体レーザ素子を提供することである。
【0019】
この発明のもう1つの目的は、上記の半導体レーザ素子において、放熱特性が劣化するのを防止しながら、半導体レーザ素子部自体の短絡を防止することである。
【0020】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、素子部自体の短絡不良が発生する発光層から電極までの距離と、分離溝の幅との間に一定の関係があることを見い出した。また、分離溝の幅に応じて、発光層から電極までの距離を一定以上に設定すれば、素子部自体の短絡不良の発生を抑制することができることを見い出した。
【0021】
すなわち、この発明の第1の局面による半導体レーザ素子は、基板上に形成され、基板側から、第1発光層、第1半導体層および第1電極を含む第1半導体レーザ素子部と、基板上に形成され、基板側から、第2発光層、第2半導体層および第2電極を含む第2半導体レーザ素子部と、第1半導体レーザ素子部と第2半導体レーザ素子部とを電気的に分離するために設けられ、素子先端部に行くにしたがって溝幅が大きくなる分離溝とを備え、分離溝の最大幅をWとし、第1発光層および第2発光層から第1電極および第2電極までの距離をtとした場合、t≧0.2Wの関係を満たす。
【0022】
この第1の局面による半導体レーザ素子では、上記のように、分離溝の最大幅Wと、第1発光層および第2発光層から第1電極および第2電極までの距離tとの関係が、t≧0.2Wを満たすように設定することによって、たとえば、第1半導体レーザ素子部の第1電極および第2半導体レーザ素子部の第2電極を、融着層を介して基台に融着する際に、溶融した融着層が、分離溝に向かって横方向に流れて分離溝の側面に位置するp側領域から第1および第2発光層を越えてn側領域に渡って接触するのを抑制することができる。これにより、第1半導体レーザ素子部および第2半導体レーザ素子部の素子部自体の短絡を防止することができる。その結果、半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡による組立て不良を防止することができる。
【0023】
また、第1発光層および第2発光層から第1電極および第2電極までの距離tを、分離溝の最大幅の0.2倍(t=0.2W)の近傍の値になるように設定すれば、第1発光層および第2発光層から第1電極および第2電極までの距離tが大きくなりすぎるのを抑制しながら、素子部自体の短絡による組立て不良を防止することができる。その結果、放熱特性が劣化するのを防止しながら素子部自体の短絡による組立て不良を防止することができる。
【0024】
上記の場合、好ましくは、分離溝は、55°以下の傾斜角度を有する側壁を含む。このように、分離溝の側壁の傾斜角度が55°以下の場合に、上記したt≧0.2Wを満たすように第1半導体層および第1電極と、第2半導体層および第2電極との厚みを設定すれば、容易に、素子部自体が短絡するのを防止することができる。
【0025】
上記第1の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第1半導体レーザ素子部の第1電極と、第2半導体レーザ素子部の第2電極とは、融着層により基台に取り付けられており、基台の分離溝に対応する領域には、絶縁膜が形成されている。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子部の第1電極および第2半導体レーザ素子部の第2電極を、第1電極および第2電極にそれぞれ対応して設けられた2つの融着層を介して基台に融着する際に、各融着層が分離溝に向かって横方向に流れるのを絶縁膜により堰き止めることができる。これにより、第1電極および第2電極にそれぞれ対応する2つの融着層が互いに接触するのを防止することができるので、第1半導体レーザ素子部と第2半導体レーザ素子部との間の短絡を防止することができる。したがって、この構成では、素子部自体の短絡不良と、2つの素子部間の短絡不良との両方の短絡不良を防止することができる。
【0026】
この発明の第2の局面による半導体レーザ素子は、基板上に形成され、基板側から、第1発光層、第1半導体キャップ層、および、第1電極を含む第1半導体レーザ素子部と、基板上に形成され、基板側から、第2発光層、第2半導体キャップ層、および、第2電極を含む第2半導体レーザ素子部と、第1半導体レーザ素子部と第2半導体レーザ素子部とを電気的に分離するために設けられた分離溝とを備え、第1半導体キャップ層および第2半導体キャップ層は、それぞれ、第1凹部および第2凹部を含み、第1電極および第2電極は、それぞれ、第1半導体キャップ層の第1凹部および第2半導体キャップ層の第2凹部に沿って、第1凹部および第2凹部の形状を反映するように形成されている。
【0027】
この第2の局面による半導体レーザ素子では、上記のように、第1半導体キャップ層の第1凹部および第2半導体キャップ層の第2凹部に沿って、第1凹部および第2凹部の形状を反映するように、第1電極および第2電極を形成することによって、たとえば、第1半導体レーザ素子部の第1電極および第2半導体レーザ素子部の第2電極を、融着層を介して基台に融着する際に、溶融した融着層が、第1電極の凹形状部および第2電極の凹形状部に流れ込むので、溶融した融着層が、分離溝側に流れて分離溝の側面に位置するp側領域から第1および第2発光層を越えてn側領域に渡って接触するのを抑制することができる。これにより、第1半導体レーザ素子部および第2半導体レーザ素子部の素子部自体の短絡を防止することができる。また、溶融した融着層が分離溝側に流れるのを抑制することができるので、第1電極および第2電極にそれぞれ対応して設けられた2つの融着層が互いに接触するのを抑制することができるので、第1半導体レーザ素子部と第2半導体レーザ素子部との間の短絡不良も抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡および素子部間の短絡による組立て不良を防止することができる。また、第1半導体キャップ層および第2半導体キャップ層にそれぞれ第1凹部および第2凹部を設けることによって、その分、第1発光層および第2発光層から第1電極および第2電極の凹形状部までの距離を短くすることができるので、放熱特性が劣化するのを防止することができる。その結果、放熱特性が劣化するのを防止しながら、短絡による組立て不良を防止することができる。
【0028】
上記第2の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第1半導体レーザ素子部の第1電極と、第2半導体レーザ素子部の第2電極とは、融着層により基台に取り付けられており、第1半導体キャップ層の第1凹部および第2半導体キャップ層の第2凹部は、融着層の厚みと実質的に同じ深さを有する。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子部の第1電極および第2半導体レーザ素子部の第2電極を、融着層を介して基台に融着する際に、溶融した融着層を、良好に、第1電極の凹形状部および第2電極の凹形状部に流れ込ませることができるので、溶融した融着層が分離溝側に流れるのを有効に抑制することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ素子を示した断面図である。図2は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の第1半導体レーザ素子部の発光層の拡大断面図であり、図3は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の第2半導体レーザ素子部の発光層の拡大断面図である。図4は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。まず、図1〜図4を参照して、第1実施形態による半導体レーザ素子の構造について説明する。
【0031】
第1実施形態による半導体レーザ素子では、図1に示すように、AlGaAs系半導体層を有する第1半導体レーザ素子部10と、AlGaInP系半導体層を有する第2半導体レーザ素子部20とを含んでいる。第1半導体レーザ素子部10は、780nm帯の赤外レーザ光を発光する機能を有するとともに、第2半導体レーザ素子部20は、650nm帯の赤色レーザ光を発光する機能を有する。そして、第1半導体レーザ素子部10および第2半導体レーザ素子部20は、同一のn型GaAs基板1の上面上に形成されている。なお、n型GaAs基板1は、本発明の「基板」の一例である。
【0032】
また、第1半導体レーザ素子部10と第2半導体レーザ素子部20との間には、第1半導体レーザ素子部10と第2半導体レーザ素子部20とを電気的に分離するための分離溝4が設けられている。この分離溝4は、非対称の傾斜を有する側壁を含む形状に形成されている。すなわち、分離溝4の第1半導体レーザ素子部10側の側壁は、n型GaAs基板1から離れる方向に広がるように、約40°(低角A)傾斜しているとともに、分離溝4の第2半導体レーザ素子部20側の側壁は、n型GaAs基板1から離れる方向に広がるように、約70°(高角B)傾斜している。また、分離溝4の最大幅Wは、約30μmである。
【0033】
780nm帯の赤外レーザ光を発光する第1半導体レーザ素子部10の具体的な構造としては、(100)面から〔011〕方向に約13°傾斜したn型GaAs基板1の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型Al0.45Ga0.55Asからなるn型クラッド層11が形成されている。n型クラッド層11上には、発光層12が形成されている。なお、発光層12は、本発明の「第1発光層」の一例である。
【0034】
この発光層12は、図2に示すように、約7nmの厚みを有するAl0.1Ga0.9Asからなる5つの井戸層12aと、約7nmの厚みを有するAl0.35Ga0.65Asからなる4つの障壁層12bとが交互に積層された第1MQW活性層12eを含んでいる。また、第1MQW活性層12eを挟むように、約50nmの厚みを有するアンドープAl0.35Ga0.65Asからなるn側光ガイド層12cおよびp側光ガイド層12dが設けられている。そして、第1MQW活性層12e、n側光ガイド層12cおよびp側光ガイド層12dとによって、発光層12が構成されている。
【0035】
発光層12上には、図1に示すように、約0.2μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第1クラッド層13が形成されている。p型第1クラッド層13上には、約20nmの厚みを有するアンドープAl0.7Ga0.3Asからなるエッチングストップ層13aが形成されている。エッチングストップ層13a上の所定領域には、約1μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第2クラッド層14が形成されている。このp型第2クラッド層14は、メサ形状(台形形状)に形成されている。p型第2クラッド層14上には、約0.1μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型コンタクト層15が形成されている。そして、p型第2クラッド層14とp型コンタクト層15とによって、リッジ部が構成されている。
【0036】
また、エッチングストップ層13a上のp型第2クラッド層14が形成されていない領域には、約1μmの厚みを有するn型GaAsからなるn型電流ブロック層16が形成されている。そして、n型電流ブロック層16およびp型コンタクト層15の上面上には、約4.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層17が形成されている。p型キャップ層17上には、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなるp側電極18が形成されている。
【0037】
なお、p型第1クラッド層13、エッチングストップ層13a、p型第2クラッド層14、p型コンタクト層15、n型電流ブロック層16およびp型キャップ層17は、本発明の「第1半導体層」の一例である。また、p側電極18は、本発明の「第1電極」の一例である。
【0038】
また、650nm帯の赤色レーザ光を発光する第2半導体レーザ素子部20の具体的な構造としては、n型GaAs基板1の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層21が形成されている。n型クラッド層21上には、発光層22が形成されている。なお、発光層22は、本発明の「第2発光層」の一例である。
【0039】
この発光層22は、図3に示すように、約6nmの厚みを有するIn0.5Ga0.5Pからなる3つの井戸層22aと、約6nmの厚みを有する(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなる2つの障壁層22bとが交互に積層された第2MQW活性層22eを含んでいる。また、第2MQW活性層22eを挟むように、約50nmの厚みを有するアンドープ(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなるn側光ガイド層22cおよびp側光ガイド層22dが設けられている。そして、第2MQW活性層22e、n側光ガイド層22cおよびp側光ガイド層22dによって、発光層22が構成されている。
【0040】
発光層22上には、図1に示すように、約0.2μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第1クラッド層23が形成されている。p型第1クラッド層23上には、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.5Ga0.5Pからなるエッチングストップ層23aが形成されている。エッチングストップ層23a上の所定領域には、約1μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第2クラッド層24が形成されている。このp型第2クラッド層24は、メサ形状(台形形状)に形成されている。p型第2クラッド層24上には、約0.1μmの厚みを有するp型GaInPからなるp型コンタクト層25が形成されている。そして、p型第2クラッド層24とp型コンタクト層25とによって、リッジ部が構成されている。
【0041】
また、エッチングストップ層23a上のp型第2クラッド層24が形成されていない領域には、約1μmの厚みを有するn型GaAsからなるn型電流ブロック層26が形成されている。そして、n型電流ブロック層26およびp型コンタクト層25の上面上には、約4.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層27が形成されている。p型キャップ層27上には、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなるp側電極28が形成されている。
【0042】
なお、p型第1クラッド層23、エッチングストップ層23a、p型第2クラッド層24、p型コンタクト層25、n型電流ブロック層26およびp型キャップ層27は、本発明の「第2半導体層」の一例である。また、p側電極28は、本発明の「第2電極」の一例である。
【0043】
そして、n型GaAs基板1の裏面上には、n型GaAs基板1の裏面に近い方から順に、約0.1μmの厚みを有するAuGe層と、約30nmの厚みを有するNi層と、約0.5μmの厚みを有するAu層とからなるn側電極2が形成されている。
【0044】
そして、図4に示すように、同一のn型GaAs基板1の上面上に形成された第1半導体レーザ素子部10および第2半導体レーザ素子部20は、発光層12および22で発生した熱を放熱するために、AlNからなるヒートシンク71の上面上にジャンクションダウン方式で取り付けられている。具体的には、第1半導体レーザ素子部10のp側電極18および第2半導体レーザ素子部20のp側電極28が、約3μmの厚みを有するAuSnからなる半田層73aおよび73bにより、ヒートシンク71の上面上に融着されている。なお、ヒートシンク71は、本発明の「基台」の一例であり、半田層73aおよび73bは、本発明の「融着層」の一例である。
【0045】
そして、ヒートシンク71の上面上の第1半導体レーザ素子部10および第2半導体レーザ素子部20のp側電極18および28に対応する領域には、下層から上層に向かって、約0.02μmの厚みを有するCr層と、約0.28μmの厚みを有するAu層とからなる電極74aおよび74bが形成されている。また、電極74a、電極74bおよびn側電極2には、それぞれ、ワイヤ80a〜80cがボンディングされている。
【0046】
また、第1実施形態では、ヒートシンク71の上面上の分離溝4に対応する領域に、約1μmの厚みと約5μmの幅とを有するSiOからなる絶縁膜72が形成されている。この絶縁膜72は、p側電極18および28にそれぞれ対応して設けられた2つの半田層73aおよび73bが、融着時に分離溝4に向かって流れることにより互いに接触するのを抑制するために設けられている。
【0047】
図5は、分離溝の最大幅Wが約30μmの場合のp側電極から発光層までの距離tと短絡による組立不良率との関係を示したグラフである。図6は、分離溝の最大幅Wとp側電極から発光層までの距離tとをパラメータとした場合の組立不良(短絡不良)の発生状態を調べたグラフである。なお、分離溝の形状は、低角:約40°、高角:約70°である。また、図6中の「○」および「◎」は、組立不良なしを示しており、「×」は、組立不良ありを示している。
【0048】
図5を参照して、p側電極から発光層までの距離tが約6μm以上であれば、短絡による組立不良率を0%にすることができることが判明した。その一方、p側電極から発光層までの距離tが約6μmよりも小さくなれば、組立て不良が発生し、距離tが小さいほど組立不良率が高くなることが判明した。たとえば、距離tが約3μmでは、短絡による組立不良率が約50%と非常に高くなることがわかる。これは、分離溝の最大幅W(約30μm)に対してp側電極から発光層までの距離tが小さすぎることにより、半田層が分離溝の側面に位置するp側領域から発光層を越えてn側領域にまで接触したためであると考えられる。この場合、半導体レーザ素子部自体が短絡するので、組立不良が発生したと考えられる。
【0049】
また、図6を参照して、分離溝の最大幅Wが約20μmの場合に、p側電極から発光層までの距離tが約4μm以上であれば、組立不良が発生しないことがわかる。同様に、分離溝の最大幅Wが約30μmでp側電極から発光層までの距離tが約6μm以上、分離溝の最大幅Wが約40μmでp側電極から発光層までの距離tが約7μm以上、および、分離溝の最大幅Wが約60μmでp側電極から発光層までの距離tが約12μm以上であれば、組立不良が発生しないことがわかる。本願発明者は、上記図6の結果から、分離溝の最大幅Wに対する組立不良が発生しないp側電極から発光層までの最短の距離t(図6中の「◎」で示される距離t)は、t=0.2Wの近似式で示すことができることを見い出した。これにより、分離溝の幅Wとp側電極から発光層までの距離tとが、t≧0.2Wの関係式を満たしていれば、組立不良が発生しないと考えられる。
【0050】
ここで、第1実施形態では、t≧0.2Wの関係式を満たすように、分離溝4の最大幅W、および、発光層12および22からp側電極18および28までの各層13、13a、14、15および17と23、23a、24、25および27との厚みを設定している。具体的には、図1および図2に示したように、分離溝4の幅Wを、約30μmに設定するとともに、p側電極18および28から発光層12および22までの距離tが、約7μmになるように、各層13、13a、14、15および17と、23、23a、24、25および27との厚みを設定している。これにより、第1実施形態では、t=約7μm、0.2W=約6μmになるので、t≧0.2Wで示される関係式が満たされている。
【0051】
図7は、分離溝の最大幅Wとp側電極から発光層までの距離tとをパラメータとした場合の組立て不良(短絡不良)が発生しない最短の距離tを、分離溝の側壁の傾斜角度(低角および高角)を変えて調べた結果を示したグラフである。なお、図7中の「□」は、低角:約50°、高角:約60°の場合を示しており、「△」は、低角:約55°、高角:約55°の場合を示している。また、低角:約50°、高角:約60°の場合には、(100)面から〔011〕方向に約5°傾斜したn型GaAs基板が用いられており、低角:約55°、高角:約55°の場合には、傾斜していないn型GaAs基板が用いられている。
【0052】
図7を参照して、低角:約50°、高角:約60°の分離溝では、分離溝の最大幅Wが約30μmの場合、短絡不良が発生しないp側電極から発光層までの距離tの最小値が約6μmであり、分離溝の最大幅Wが約60μmの場合、短絡不良が発生しないp側電極から発光層までの距離tの最小値が約12μmであった。これは、図6に示した低角:約40°、高角:約70°の分離溝の場合と同様である。また、低角:約55°、高角:約55°の分離溝では、分離溝の最大幅Wが約30μmの場合、短絡不良が発生しないp側電極から発光層までの距離tの最小値が約6μmであり、分離溝の最大幅Wが約60μmの場合、短絡不良が発生しないp側電極から発光層までの距離tの最小値が約10μmであった。図6および図7の結果から、低角が約55°以下の分離溝の場合では、分離溝の最大幅Wとp側電極から発光層までの距離tとが、少なくともt≧0.2Wの関係式を満たしていれば、組立不良が発生しないと考えられる。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、分離溝4の最大幅Wと、発光層12および22からp側電極18および28までの距離tとの関係が、t≧0.2Wを満たすように設定することによって、第1半導体レーザ素子部10のp側電極18および第2半導体レーザ素子部20のp側電極28を、半田層73aおよび73bを介してヒートシンク71に融着する際に、溶融した半田層73aおよび73bが、分離溝4に向かって横方向に流れて分離溝4の側面に位置するp側領域から発光層12および22を越えてn側領域に渡って接触するのを抑制することができる。これにより、第1半導体レーザ素子部10および第2半導体レーザ素子部20の素子部自体の短絡を防止することができる。
【0054】
また、ヒートシンク71の分離溝4に対応する領域に、絶縁膜72を形成することによって、半田層73aおよび73bが分離溝4に向かって横方向に流れるのを絶縁膜72により堰き止めることができる。これにより、電極18および28にそれぞれ対応する2つの半田層73aおよび73bが互いに接触するのを防止することができるので、第1半導体レーザ素子部10と第2半導体レーザ素子部20との間の短絡を防止することができる。したがって、この構成では、素子部自体の短絡不良と、2つの素子部間の短絡不良との両方の短絡不良を防止することができる。
【0055】
また、発光層12および22からp側電極18および28までの距離t(約7μm)が、分離溝4の最大幅の約0.2倍(約6μm)の近傍の値になるように設定しているので、発光層12および22がヒートシンク71から大きく離れるのを抑制することができるので、発光層12および22がヒートシンク71から大きく離れることに起因して、第1半導体レーザ素子部10および第2半導体レーザ素子部20の放熱特性が劣化するのも防止することができる。
【0056】
図8〜図15は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。次に、図1〜図4および図8〜図15を参照して、第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
【0057】
まず、図8に示すように、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長法)を用いて、n型GaAs基板1の上面上に、第1半導体レーザ素子部10(図1参照)を構成する半導体各層を成長させる。
【0058】
具体的には、(100)面から〔011〕方向に約13°傾斜したn型GaAs基板1の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型Al0.45Ga0.55Asからなるn型クラッド層11、発光層12、約0.2μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第1クラッド層13、約20nmの厚みを有するアンドープAl0.7Ga0.3Asからなるエッチングストップ層13a、約1μmの厚みを有するp型Al0.45Ga0.55Asからなるp型第2クラッド層14、および、約0.1μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型コンタクト層15を順次成長させる。
【0059】
なお、発光層12は、図2に示したように、約50nmの厚みを有するアンドープAl0.35Ga0.65Asからなるn側光ガイド層12c上に、第1MQW活性層12e、および、約50nmの厚みを有するアンドープAl0.35Ga0.65Asからなるp側光ガイド層12dを順次成長させることにより形成する。また、第1MQW活性層12eは、約7nmの厚みを有するAl0.1Ga0.9Asからなる5つの井戸層12aと、約7nmの厚みを有するAl0.35Ga0.65Asからなる4つの障壁層12bとを交互に積層することにより形成する。
【0060】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術とウェットエッチングとを用いて、第1半導体レーザ素子部10を構成する半導体各層の所定領域を除去する。
【0061】
次に、図10に示すように、MOCVD法を用いて、n型GaAs基板1および第1半導体レーザ素子部10を構成する半導体各層の全面上に、第2半導体レーザ素子部20(図1参照)を構成する半導体各層を成長させる。
【0062】
具体的には、n型GaAs基板1および第1半導体レーザ素子部10を構成する半導体各層の全面に、約1.5μmの厚みを有するn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層21、発光層22、約0.2μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第1クラッド層23、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.5Ga0.5Pからなるエッチングストップ層23a、約1μmの厚みを有するp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型第2クラッド層24、および、約0.1μmの厚みを有するp型GaInPからなるp型コンタクト層25を順次成長させる。
【0063】
なお、発光層22は、図3に示したように、約50nmの厚みを有するアンドープ(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなるn側光ガイド層22c上に、第2MQW活性層22e、および、約50nmの厚みを有するアンドープ(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなるp側光ガイド層22dを順次成長させることにより形成する。また、第2MQW活性層22eは、約6nmの厚みを有するIn0.5Ga0.5Pからなる3つの井戸層22aと、約6nmの厚みを有する(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなる2つの障壁層22bとを交互に積層することにより形成する。
【0064】
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィ技術とウェットエッチングとを用いて、第2半導体レーザ素子部20を構成する半導体各層の所定領域を除去する。そして、p型コンタクト層15および25の上面上の所定領域にSiO膜31aおよび31bを形成する。
【0065】
次に、図12に示すように、SiO膜31aをマスクとして、ウェットエッチングによりp型コンタクト層15からエッチングストップ層13aまでの所定領域を除去することによって、p型第2クラッド層14とp型コンタクト層15とから構成されるリッジ部を形成する。続いて、SiO膜31bをマスクとして、ウェットエッチングによりp型コンタクト層25からエッチングストップ層23aまでの所定領域を除去することによって、p型第2クラッド層24とp型コンタクト層25とから構成されるリッジ部を形成する。
【0066】
次に、図13に示すように、SiO膜31aおよび31bを選択成長マスクとして、SiO膜31aおよび31bが形成された領域以外の領域に、約1μmの厚みを有するn型GaAsからなるn型電流ブロック層36を形成する。この後、SiO膜31aおよび31bを除去する。
【0067】
次に、図14に示すように、全面に、約4.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層37を形成する。
【0068】
次に、図15に示すように、ウェットエッチングにより、p型キャップ層37(図14参照)からn型GaAs基板1までの所定領域を除去することによって、分離溝4を形成する。この際、エッチングされる半導体各層が、(100)面から〔011〕方向に約13°傾斜したn型GaAs基板1の上面上に形成されているので、分離溝4は、非対称の傾斜を有する側壁を含む形状に形成される。すなわち、分離溝4の第1半導体レーザ素子部10側の側壁は、n型GaAs基板1から離れる方向に広がるように、約40°(低角A)傾斜するとともに、分離溝4の第2半導体レーザ素子部20側の側壁は、n型GaAs基板1から離れる方向に広がるように、約70°(高角B)傾斜するように形成される。また、分離溝4の最大幅Wは、約30μmとなる。
【0069】
分離溝4の形成によって、第1半導体レーザ素子部10を構成する半導体各層(n型クラッド層11、発光層12、p型第1クラッド層13、エッチングストップ層13a、p型第2クラッド層14、p型コンタクト層15、n型電流ブロック層16およびp型キャップ層17)が形成されるとともに、第2半導体レーザ素子部20を構成する半導体各層(n型クラッド層21、発光層22、p型第1クラッド層23、エッチングストップ層23a、p型第2クラッド層24、p型コンタクト層25、n型電流ブロック層26およびp型キャップ層27)が形成される。
【0070】
最後に、図1に示したように、p型キャップ層17および27の上面上に、蒸着法を用いて、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなるp側電極18および28を形成する。この後、n型GaAs基板1の裏面上に、蒸着法を用いて、n型GaAs基板1の裏面に近い方から順に、約0.1μmの厚みを有するAuGe層と、約30nmの厚みを有するNi層と、約0.5μmの厚みを有するAu層とからなるn側電極2を形成する。このようにして、第1半導体レーザ素子部10と第2半導体レーザ素子部20とを含む半導体レーザ素子が形成される。
【0071】
そして、第1半導体レーザ素子部10のp側電極18および第2半導体レーザ素子部20のp側電極28を、それぞれ、約3μmの厚みを有するAuSnからなる半田層73aおよび73bを介して、ヒートシンク71の電極74aおよび74b上に融着する。この際、ヒートシンク71の上面上の絶縁膜72に対応する領域に、分離溝4が配置されるようにする。そして、電極74a、電極74bおよびn側電極2に、それぞれ、ワイヤ80a〜80cをボンディングすることによって、図4に示した構造が得られる。
【0072】
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態による半導体レーザ素子を示した断面図である。図17は、図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、半導体レーザ素子部を構成するp型キャップ層に、半田層の分離溝側への流れ込みを抑制するための凹部を形成する場合の例について説明する。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0073】
すなわち、この第2実施形態では、図16に示すように、AlGaAs系半導体層を有する第1半導体レーザ素子部10aと、AlGaInP系半導体層を有する第2半導体レーザ素子部20aとを含んでいる。第1半導体レーザ素子部10aは、780nm帯の赤外レーザ光を発光する機能を有するとともに、第2半導体レーザ素子部20aは、650nm帯の赤色レーザ光を発光する機能を有する。そして、第1半導体レーザ素子部10aおよび第2半導体レーザ素子部20aは、同一のn型GaAs基板1の上面上に形成されている。
【0074】
第1半導体レーザ素子部10aの具体的な構造としては、第1実施形態と同様、n型GaAs基板1の上面上に、n型クラッド層11、発光層12、p型第1クラッド層13、エッチングストップ層13a、p型第2クラッド層14、p型コンタクト層15およびn型電流ブロック層16が形成されている。
【0075】
ここで、第2実施形態では、n型電流ブロック層16およびp型コンタクト層15の上面上に、約4.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層47が形成されている。このp型キャップ層47の所定領域には、約3μmの深さDを有する第1凹部47aが形成されている。この第1凹部47aの深さD(約3μm)は、後述する半田層83a(図17参照)の厚みt2(約3μm)と実質的に同じである。また、p型キャップ層47上には、p型キャップ層47の第1凹部47aに沿って、第1凹部47aの形状を反映するように、凹形状のp側電極48が形成されている。このp側電極48は、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とを有する。なお、p型キャップ層47は、本発明の「第1半導体キャップ層」の一例であり、p側電極48は、本発明の「第1電極」の一例である。
【0076】
また、第2半導体レーザ素子部20aの具体的な構造としては、第1実施形態と同様、n型GaAs基板1の上面上に、n型クラッド層21、発光層22、p型第1クラッド層23、エッチングストップ層23a、p型第2クラッド層24、p型コンタクト層25およびn型電流ブロック層26が形成されている。
【0077】
ここで、第2実施形態では、n型電流ブロック層26およびp型コンタクト層25の上面上に、約4.5μmの厚みを有するp型GaAsからなるp型キャップ層57が形成されている。このp型キャップ層57の所定領域には、約3μmの深さDを有する第2凹部57aが形成されている。この第2凹部57aの深さD(約3μm)は、後述する半田層83b(図17参照)の厚みt2(約3μm)と実質的に同じである。また、p型キャップ層57上には、p型キャップ層57の第2凹部57aに沿って、第2凹部57aの形状を反映するように、凹形状のp側電極58が形成されている。このp側電極58は、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とを有する。なお、p型キャップ層57は、本発明の「第2半導体キャップ層」の一例であり、p側電極58は、本発明の「第2電極」の一例である。
【0078】
また、第1半導体レーザ素子部10aと第2半導体レーザ素子部20aとの間には、第1実施形態と同様、第1半導体レーザ素子部10aと第2半導体レーザ素子部20aとを電気的に分離するための分離溝4が設けられている。また、n型GaAs基板1の裏面上には、n側電極2が形成されている。
【0079】
そして、図17に示すように、同一のn型GaAs基板1の上面上に形成された第1半導体レーザ素子部10aおよび第2半導体レーザ素子部20aは、第1実施形態と同様、ヒートシンク71の上面上に設置されている。具体的には、第1半導体レーザ素子部10aのp側電極48および第2半導体レーザ素子部20aのp側電極58が、約3μmの厚みt2を有するAuSnからなる半田層83aおよび83bを介して、ヒートシンク71の上面上に融着されている。なお、半田層83aおよび83bは、本発明の「融着層」の一例である。また、第1実施形態と同様、ヒートシンク71の上面上の分離溝4に対応する領域には、絶縁膜72が形成されている。
【0080】
そして、ヒートシンク71の上面上の第1半導体レーザ素子部10aおよび第2半導体レーザ素子部20aのp側電極48および58に対応する領域には、電極74aおよび74bが形成されている。また、電極74a、電極74bおよびn側電極2には、それぞれ、ワイヤ80a〜80cがボンディングされている。
【0081】
第2実施形態では、上記のように、p型キャップ層47の第1凹部47aおよびp型キャップ層57の第2凹部57aに沿って、第1凹部47aおよび第2凹部57aの形状を反映するように、凹形状のp側電極48および58を形成することによって、溶融した半田層83aおよび83bが、p側電極48の凹形状部およびp側電極58の凹形状部に流れ込むので、溶融した半田層83aおよび83bが、分離溝4側に流れて分離溝4の側面に位置するp側領域から発光層12および22を越えてn側領域に渡って接触するのを抑制することができる。これにより、第1半導体レーザ素子部10aおよび第2半導体レーザ素子部20aの素子部自体の短絡を防止することができる。また、溶融した半田層83aおよび83bが分離溝4側に流れるのを抑制することができるので、p側電極48および58にそれぞれ対応して設けられた2つの半田層83aおよび83bが互いに接触するのを抑制することができるので、第1半導体レーザ素子部10aと第2半導体レーザ素子部20aとの間の短絡不良も抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子を組立てる際に、素子部自体の短絡および素子部間の短絡による組立て不良を防止することができる。
【0082】
また、p型キャップ層47および57にそれぞれ第1凹部47aおよび第2凹57a部を設けることによって、その分、発光層12および22からp側電極48および58の凹形状部までの距離を短くすることができるので、放熱特性が劣化するのを防止することができる。その結果、放熱特性が劣化するのを防止することができる。
【0083】
また、p型キャップ層47の第1凹部47aおよびp型キャップ層57の第2凹部57aを、半田層83aおよび83bの厚みt2(約3μm)と実質的に同じ深さD(約3μm)にすることによって、溶融した半田層83aおよび83bを、良好に、p側電極48の凹形状部およびp側電極58の凹形状部に流れ込ませることができるので、溶融した半田層83aおよび83bが分離溝4側に流れるのを有効に抑制することができる。
【0084】
図18〜図20は、図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。次に、図16〜図20を参照して、第2実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
【0085】
まず、図8〜図15に示した第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、図18に示すように、第1半導体レーザ素子部10a(図16参照)と、第2半導体レーザ素子部20a(図16参照)とを電気的に分離するための分離溝4までを形成する。なお、p型キャップ層47および57の厚みおよび組成は、第1実施形態のp型キャップ層17および27の厚みおよび組成と同様である。この後、分離溝4、p型キャップ層47および57の表面上の所定領域にレジスト91を形成する。
【0086】
次に、第2実施形態では、図19に示すように、レジスト91をマスクとして、ウェットエッチングによりp型キャップ層47および57の上面から約3μmの深さまでを除去する。これにより、p型キャップ層47および57の所定領域に、約3μmの深さDを有する第1凹部47aおよび第2凹部57aが形成される。この後、レジスト91を除去する。
【0087】
次に、第2実施形態では、図20に示すように、分離溝4を埋めるように、レジスト36を形成した後、蒸着法を用いて、p型キャップ層47の第1凹部47aおよびp型キャップ層57の第2凹部57aに沿って、第1凹部47aおよび第2凹部57aの形状を反映するように、下層から上層に向かって、約0.15μmの厚みを有するCr層と、約1μmの厚みを有するAu層とからなる凹形状のp側電極48および58を形成する。
【0088】
最後に、図16に示したように、n型GaAs基板1の裏面上に、n側電極2を形成する。このようにして、第2実施形態による半導体レーザ素子が形成される。
【0089】
そして、図17に示したように、ヒートシンク71の電極74aおよび74b上に、それぞれ、第1半導体レーザ素子部10aのp側電極48および第2半導体レーザ素子部20aのp側電極58を、約3μmの厚みを有するAuSnからなる半田層83aおよび83bを介して融着する。この際、ヒートシンク71の上面上の絶縁膜72に対応する領域に、分離溝4が配置されるようにする。そして、電極74a、電極74bおよびn側電極2に、それぞれ、ワイヤ80a〜80cをボンディングすることによって、図17に示した構造が得られる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、650nm帯の赤色レーザ光を発光する素子と780nm帯の赤外レーザ光を発光する素子とがモノリシックに集積された半導体レーザ素子の例について説明したが、本発明はこれに限らず、他の異なる波長のレーザ光を発光する素子がモノリシックに集積された半導体レーザ素子にも適用可能である。また、同じ波長のレーザ光を発光する素子がモノリシックに集積された半導体レーザ素子にも適用可能である。具体的には、活性層がAlGaInNからなる窒化物系半導体レーザ素子(たとえば、発振波長350〜500nm)や、活性層がZnOやMgZnSSeTeからなるII−VI族半導体レーザ素子や、GaInAsからなる半導体レーザ素子(たとえば、発振波長980nmや1.3μm帯や1.55μm帯)、GaInAsNPからなる半導体レーザ素子(たとえば、1.3μm帯や1.55μm帯)などの同一または異なる半導体レーザがモノリシックに集積された半導体レーザ素子にも適用可能である。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、AuSnからなる半田層を介して、半導体レーザ素子部のp側電極をヒートシンクに融着するようにしたが、本発明はこれに限らず、半田以外の他の材料を融着層として用いるようにしてもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、分離溝4の第1半導体レーザ素子部10側の側壁の傾斜角度を、約40°(低角A)にするようにしたが、本発明はこれに限らず、低角が約55°以下であれば同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、上記第1実施形態では、分離溝4の最大幅Wを約30μmにし、かつ、p側電極18および28から発光層12および22までの距離tを約7μmにするようにしたが、本発明はこれに限らず、t≧0.2Wで示される関係式を満たしていればよい。また、t≧0.2Wで示される関係式を満たしていれば、p側電極と発光層との間に、新たな半導体層を追加してもよい。
【0095】
また、上記第2実施形態では、p型キャップ層47の第1凹部47aおよびp型キャップ層57の第2凹部57aの深さDを半田層83aおよび83bの厚みと同じ厚み(約3μm)にするようにしたが、本発明はこれに限らず、第1凹部47aおよび第2凹部57aの深さDを、半田層83aおよび83bの厚みと異なる大きさに設定してもよい。
【0096】
また、上記第2実施形態では、ヒートシンク71の上面上の分離溝4に対応する領域に、絶縁膜72を形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、絶縁膜を形成しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の第1半導体レーザ素子部の発光層の拡大断面図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の第2半導体レーザ素子部の発光層の拡大断面図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。
【図5】分離溝の最大幅Wが約30μmの場合のp側電極から発光層までの距離tと短絡による組立不良率との関係を示したグラフである。
【図6】分離溝の最大幅Wとp側電極から発光層までの距離tとをパラメータとした場合の組立不良(短絡不良)の発生状態を調べたグラフである。
【図7】分離溝の最大幅Wとp側電極から発光層までの距離tとをパラメータとした場合の組立て不良(短絡不良)が発生しない最短の距離tを、分離溝の側壁の傾斜角度(低角および高角)を変えて調べた結果を示したグラフである。
【図8】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図15】図1に示した第1実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態による半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図17】図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。
【図18】図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図19】図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図20】図16に示した第2実施形態による半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図21】従来の半導体レーザ素子の一例を示した断面図である。
【図22】図21に示した従来の一例による半導体レーザ素子をヒートシンクに融着した状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板(基板)
4 分離溝
10、10a 第1半導体レーザ素子部
12 発光層(第1発光層)
13 p型第1クラッド層(第1半導体層)
13a エッチングストップ層(第1半導体層)
14 p型第2クラッド層(第1半導体層)
15 p型コンタクト層(第1半導体層)
16 n型電流ブロック層(第1半導体層)
17 p型キャップ層(第1半導体層)
18、48 p側電極(第1電極)
20、20a 第2半導体レーザ素子部
22 発光層(第2発光層)
23 p型第1クラッド層(第2半導体層)
23aエッチングストップ層(第2半導体層)
24 p型第2クラッド層(第2半導体層)
25 p型コンタクト層(第2半導体層)
26 n型電流ブロック層(第2半導体層)
27 p型キャップ層(第2半導体層)
28、58 p側電極(第2電極)
47 p型キャップ層(第1半導体キャップ層)
47a 第1凹部
57 p型キャップ層(第2半導体キャップ層)
57a 第2凹部
71 ヒートシンク(基台)
72 絶縁膜
73a、73b、83a、83b 半田層(融着層)

Claims (5)

  1. 基板上に形成され、前記基板側から、第1発光層、第1半導体層および第1電極を含む第1半導体レーザ素子部と、
    前記基板上に形成され、前記基板側から、第2発光層、第2半導体層および第2電極を含む第2半導体レーザ素子部と、
    前記第1半導体レーザ素子部と前記第2半導体レーザ素子部とを電気的に分離するために設けられ、素子先端部に行くにしたがって溝幅が大きくなる分離溝とを備え、
    前記分離溝の最大幅をWとし、前記第1発光層および前記第2発光層から前記第1電極および前記第2電極までの距離をtとした場合、t≧0.2Wの関係を満たす、半導体レーザ素子。
  2. 前記分離溝は、55°以下の傾斜角度を有する側壁を含む、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記第1半導体レーザ素子部の前記第1電極と、前記第2半導体レーザ素子部の前記第2電極とは、融着層により基台に取り付けられており、
    前記基台の前記分離溝に対応する領域には、絶縁膜が形成されている、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 基板上に形成され、前記基板側から、第1発光層、第1半導体キャップ層、および、第1電極を含む第1半導体レーザ素子部と、
    前記基板上に形成され、前記基板側から、第2発光層、第2半導体キャップ層、および、第2電極を含む第2半導体レーザ素子部と、
    前記第1半導体レーザ素子部と前記第2半導体レーザ素子部とを電気的に分離するために設けられた分離溝とを備え、
    前記第1半導体キャップ層および前記第2半導体キャップ層は、それぞれ、第1凹部および第2凹部を含み、
    前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ、前記第1半導体キャップ層の第1凹部および前記第2半導体キャップ層の第2凹部に沿って、前記第1凹部および前記第2凹部の形状を反映するように形成されている、半導体レーザ素子。
  5. 前記第1半導体レーザ素子部の前記第1電極と、前記第2半導体レーザ素子部の前記第2電極とは、融着層により基台に取り付けられており、
    前記第1半導体キャップ層の第1凹部および前記第2半導体キャップ層の第2凹部は、前記融着層の厚みと実質的に同じ深さを有する、請求項4に記載の半導体レーザ素子。
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