JP2004193354A - シリコンウエーハの熱処理方法及びシリコンウエーハ、並びにエピタキシャルウエーハ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CZ法により製造された単結晶から得られたシリコンウエーハを熱処理する方法において、先ず、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却する第1の熱処理を行い、その後、400℃以上1050℃以下の温度において、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で少なくとも10秒以上保持した後、続いてN2ガス、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で保持して、その合計の熱処理時間が30分以上となる第2の熱処理を行う方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエーハに熱処理を行う熱処理方法及び熱処理されたシリコンウエーハ、並びにエピタキシャルウエーハに関し、特にDZ幅及び深さ方向のBMD分布を高精度に制御することのできるシリコンウエーハの熱処理方法、またLSI製造工程等のその後の熱処理によってDZ幅や深さ方向のBMD分布が変化することのないシリコンウエーハ及びエピタキシャルウエーハに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの材料となるシリコンウエーハ(以下、Siウエーハともいう)は、一般的にチョクラルスキー法(Czochralski method:以下CZ法という)によりシリコン単結晶を成長させ、得られたシリコン単結晶を切断、研磨等の工程を施すことにより作製することができる。
【0003】
具体的に説明すると、一般的なSiウエーハの製造工程としては、例えば図2に示したように、単結晶育成工程(工程▲1▼)でCZ法により円筒状のシリコン単結晶インゴットを育成し、育成した単結晶インゴットをスライス工程(工程▲2▼)で薄板状に切断してウエーハを作製した後、ウエーハの割れ・欠けを防止するためにウエーハ外周部を面取りする面取り工程(工程▲3▼)、ウエーハの平坦度を向上させるためのラッピング工程(工程▲4▼)、ウエーハの加工歪みを除去するためにウエーハをエッチングするケミカルエッチング工程(工程▲5▼)、エッチング処理されたウエーハを洗浄する第1の洗浄工程(工程▲6▼)、ウエーハに存在する酸素ドナーを消滅させるためのドナーキラー熱処理工程(工程▲7▼)、ウエーハの表面粗さ及び平坦度を一層向上させてウエーハ表面を鏡面状態にする鏡面研磨工程(工程▲8▼)、ウエーハに付着した研磨剤や異物を除去する第2の洗浄工程(工程▲9▼)等が行われる。
【0004】
このように作製されたSiウエーハには、通常7〜10×1017atoms/cm3(JEIDA:日本電子工業振興協会による換算係数を使用)程度の酸素が過飽和状態で含まれている。そのため、このようなSiウエーハにデバイスプロセス等で熱処理が施されると、Siウエーハ内の過飽和な酸素が酸素析出物として析出する。この様な酸素析出物はBMD(Bulk Micro Defects)と呼ばれる。
【0005】
このBMDは、ウエーハ内のデバイス活性領域に発生すると接合リーク等のデバイス特性に悪影響を及ぼすため問題となるが、一方でデバイス活性領域以外のバルク中に存在すると、デバイスプロセス中に混入した金属不純物等を捕獲するゲッタリングサイトとして機能するため有効である。
【0006】
そのため、Siウエーハの製造においては、ウエーハのバルク中にBMDを形成するとともに、デバイス活性領域であるウエーハ表面近傍はBMDが存在しない無欠陥層(Denuded Zone、以下DZ層という)を維持しなければならない。さらに、安定したゲッタリング能力を得るためには、デバイス工程の熱処理条件のバラツキや雰囲気に影響されずに、所望の深さに所望のBMD密度を発生させる必要がある。
【0007】
また近年の半導体デバイスの微細化に伴い、シリコンウエーハの極表層にのみデバイスが作製されるようになってきている。これに伴いプロセスの低温化が図られてきている。このことは、プロセス中で金属等の汚染を受けた場合に、汚染原子の拡散距離が短くなってきていることを意味している。そのため、BMD等のゲッタリングサイトはデバイス活性領域からできる限り近傍に形成することが望まれている。しかも、デバイス活性領域にBMDが存在するとデバイス歩留りの低下を招くため、このDZ層の幅(DZ幅)を精密に制御することが必要である。
【0008】
近年、Siウエーハの出荷段階ではウエーハ内部に酸素析出は発生してないが、その後デバイスプロセス等で熱処理を行うことによって、デバイス活性領域であるウエーハ表面近傍には酸素析出物のないDZ層を維持したまま、デバイス活性領域より深い位置にあるバルク中にBMDが形成されてゲッタリング能力を有するように設計されたSiウエーハの製造方法として、SiウエーハをRTP(Rapid Thermal Process)処理する方法が提案されている(例えばUSP5401669号、特表2001−503009号公報、特開2001―203210号公報等)。
【0009】
このRTP処理とは、Siウエーハに、N2またはNH3等の窒化物形成雰囲気、あるいはこれらのガスとAr、H2等の窒化物非形成ガスとの混合ガス雰囲気中で、例えば50℃/秒といった昇温速度で室温付近より急速昇温し、1200℃前後の温度で数十秒程度加熱保持した後、例えば50℃/秒といった降温速度で急速に冷却することを特徴とする熱処理方法である。
【0010】
このようなRTP処理したSiウエーハは、その後酸素析出熱処理等の熱処理を行って酸素析出物を発生させた際に、酸素析出物のウエーハ深さ方向における濃度分布がRTP処理での処理条件によって変化することが知られている。一例として、特開2001−203210号公報で示されているRTP処理をN2/Ar混合ガス雰囲気で行ったシリコンウエーハと、Arガス単体の雰囲気で行ったシリコンウエーハについて、酸素析出熱処理後に形成された酸素析出物の深さ方向(ウエーハ表面から裏面まで)における濃度分布の概念図をそれぞれ図3及び図4に示す。
【0011】
このようにRTP処理を行う際の雰囲気を変化させることにより、酸素析出熱処理後にウエーハに析出する酸素析出物の濃度分布(深さ方向のBMD分布)は大きく異なるものとなる。例えば、図3のように、RTP処理をベーカンシー注入効果を有するN2ガスとインタースティシャルシリコン注入効果を有するArガスの混合ガス雰囲気下で行った場合、ウエーハ表面近傍に比較的広いDZ層が形成され、またウエーハバルク中にゲッタリングサイトとして機能するBMDが形成されたシリコンウエーハを得ることができる。
【0012】
また、RTP処理後に酸素析出熱処理を行うことによりBMDが形成されるメカニズムについては、特開2001−203210号公報や特表2001−503009号公報に詳細に記述されている。ここで、BMDが形成されるメカニズムについて簡単に説明する。
【0013】
先ず、RTP処理では、例えば1200℃という高温保持中にウエーハ表面よりベーカンシーの注入が起こり、1200℃から700℃の温度範囲を例えば50℃/secという降温速度で急冷する間にベーカンシーの拡散による再分布が起きる。そして、700℃以下に冷却されるとベーカンシーの拡散が起こらなくなる。その結果、バルク中にはベーカンシーが不均一に分布した状態になる。このような状態のウエーハに例えば800℃で熱処理を行うと、高いベーカンシー濃度の領域では酸素がクラスター化するが、低いベーカンシー濃度の領域では酸素のクラスター化が発生しない。この状態で次に例えば1000℃で一定時間熱処理するとクラスター化した酸素が成長して酸素析出物が形成される。このように、RTP処理後のシリコンウエーハに酸素析出熱処理が施されると、RTP処理で形成されたベーカンシーの濃度プロファイルに従って、ウエーハ深さ方向に分布を有するBMDを形成することになる。
【0014】
したがって、RTP処理を雰囲気を制御して行うことによってシリコンウエーハに所望のベーカンシー濃度プロファイルを形成し、その後得られたシリコンウエーハに酸素析出熱処理を行うことによって、所望のDZ幅及び深さ方向のBMD分布を有するシリコンウエーハを製造することができるはずである。しかしながら、実際にシリコンウエーハに所望のベーカンシー濃度プロファイルが形成されるように雰囲気を制御してRTP処理を行い、その後得られたシリコンウエーハに酸素析出熱処理を行っても、シリコンウエーハに形成されたBMD密度及びDZ層を検査してみると、所望されたベーカンシー濃度プロファイルに従った深さ方向のBMD分布やDZ幅が得られないことがあった。
【0015】
例えば、上記特開2001−203210号公報に記載されているシリコンウエーハの製造方法では、RTP処理における雰囲気、保持温度、降温速度等のRTP処理条件に関して詳細に示されており、LSI製造工程に最適なBMD分布とDZ幅を形成できるような処理条件でウエーハをRTP処理さえすれば、その後ウエーハをLSI製造工程に投入した際に、このRTP処理条件で決定されたベーカンシー濃度プロファイルにそのまま従った所望の深さ方向のBMD分布及びDZ幅が常に得られるということを前提に説明が行われている。
【0016】
しかしながら、この特開2001−203210号公報に基づいてRTP処理を行ってシリコンウエーハを製造し、続いて得られたシリコンウエーハに酸素析出熱処理等の熱処理を施してみても、必ずしも所望の品質を有するウエーハを得ることができず、その後に例えばLSI製造工程を行った際にデバイス歩留りの低下を招くといった問題があった。
【0017】
また、RTP処理は、上記のようなベーカンシーの濃度プロファイルを形成させる主目的以外にもドナーキラーの効果も同時に得られ、また製造コストの面においても非常に有利であることから、通常図2に示したドナーキラー熱処理工程(工程▲7▼)で行われることが多い。そのため、その後鏡面研磨工程(工程▲8▼)が行われると、RTP処理でウエーハに形成されたDZ層の厚さが鏡面研磨工程における研磨代(通常、5〜15μm程度)によって減少し、場合によってはDZ層がなくなってしまい、その後のLSI製造工程においてデバイス歩留まりを低下させる原因となることがあった。
【0018】
この鏡面研磨によるDZ層の消滅を防ぐために、DZ層を拡張させることが試みられている。しかしながら、上記のような従来のRTP処理を用いたシリコンウエーハの製造方法ではDZ幅とBMD密度とはトレードオフの関係にあるため、例えばシリコンウエーハのDZ幅を拡大させた場合にはバルク中のBMD密度を減少させてしまう。したがって、従来の方法ではBMD密度を増加させるとともにDZ幅も拡大させることは非常に困難であるとされていた。
【0019】
この問題を解決する方法として、例えば特開2002−134515号公報では、上記のようなRTP処理後、窒素100%の雰囲気下で700〜1050℃の温度範囲でポストアニールを行うことによって、BMD密度を増加させるとともにDZ幅も拡張させることのできるシリコンウエーハの製造方法について開示している。
【0020】
しかしながら、この特開2002−134515号公報に記載されている方法は、DZ層を広げることに関して有効であるものの、DZ層の拡張がベーカンシーの拡散のみを利用して行われているものであるため、ポストアニール中にベーカンシーの濃度プロファイルが変化して熱処理後に得られるウエーハのBMD分布の変化を招いてしまい、所望のDZ幅及び深さ方向のBMD分布を有するシリコンウエーハを製造することは依然として困難であった。
【0021】
【特許文献1】
米国特許第5401669号明細書
【特許文献2】
特表2001−503009号公報
【特許文献3】
特開平2001−203210号公報
【特許文献4】
特開平2002−134515号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、深さ方向のBMD分布及びDZ幅を広範囲で高精度に制御でき、またその後行われるLSI製造工程における熱処理等の処理条件に影響されずに所望の品質を有するシリコンウエーハを容易に作製することのできるシリコンウエーハの熱処理方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、チョクラルスキー法により製造された単結晶から得られたシリコンウエーハを熱処理する方法において、先ず、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却する第1の熱処理を行い、その後、400℃以上1050℃以下の温度において、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で少なくとも10秒以上保持した後、続いてN2ガス、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で保持して、その合計の熱処理時間が30分以上となる第2の熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法が提供される(請求項1)。
【0024】
シリコンウエーハに熱処理を行う際に、上記のように第1の熱処理を行った後、400〜1050℃の温度において、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で少なくとも10秒以上保持した後、続いてN2ガス、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で保持して、その合計の熱処理時間が30分以上となる第2の熱処理を行うことによって、第1の熱処理でシリコンウエーハにベーカンシーを注入してベーカンシー濃度プロファイルを形成し、次に第2の熱処理でベーカンシー濃度プロファイルを変化させずにバルク中の酸素をクラスター化するとともにDZ幅を広げることができるため、シリコンウエーハの深さ方向のBMD分布やDZ幅を広範囲で高精度に制御して、所望のBMD分布形状及びDZ幅を形成できる高品質のシリコンウエーハを容易に製造することが可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、チョクラルスキー法により製造された単結晶から得られたシリコンウエーハを熱処理する方法において、先ず、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却する第1の熱処理を行い、その後、N2ガス雰囲気下、700℃未満の温度で30分以上の第2の熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法が提供される(請求項2)。
【0026】
シリコンウエーハに熱処理を行う際に、上記のように第1の熱処理を行った後、第2の熱処理として、N2ガス雰囲気下、700℃未満の温度で30分以上の熱処理を行うことによって、第1の熱処理でシリコンウエーハにベーカンシー濃度プロファイルを形成し、次に第2の熱処理においてベーカンシーの拡散が無視できる700℃未満の温度でバルク中の酸素をクラスター化することができるので、第1の熱処理でシリコンウエーハに形成されたベーカンシー濃度プロファイに従った深さ方向のBMD分布及びDZ幅を有するシリコンウエーハを容易に製造することが可能となる。
【0027】
このとき、前記第1の熱処理における窒素を含有する雰囲気を、N2ガス、NH3ガス、N2ガスとNH3ガスの混合ガス、またはそれらのうちのいずれかとArガス及び/またはH2ガスとの混合ガスの雰囲気とすることが好ましい(請求項3)。
このように、第1の熱処理における雰囲気を、ベーカンシー注入効果を有するN2ガス、NH3ガス、N2ガスとNH3ガスの混合ガス、またはそれらのうちのいずれかとArガス及び/またはH2ガスとの混合ガスの雰囲気とすることによって、第1の熱処理でシリコンウエーハにベーカンシーを確実に注入することができ、またシリコンウエーハに形成されるベーカンシー濃度プロファイルの形状を目的に応じて容易に制御することが可能となる。
【0028】
このとき、前記第1の熱処理及び第2の熱処理を、前記シリコンウエーハを鏡面研磨する前に行うことができる(請求項4)。
上記のような第1の熱処理及び第2の熱処理を行った際、シリコンウエーハの表面に重金属汚染が生じる恐れがあるが、このように第1の熱処理及び第2の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨する前に行えば、そのような熱処理の際に生じるウエーハの汚染を鏡面研磨によって確実に除去することができる。
【0029】
また、前記第1の熱処理及び第2の熱処理を、前記シリコンウエーハを鏡面研磨した後に行うことができる(請求項5)。
このように、第1の熱処理及び第2の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨した後に行えば、第2の熱処理によって拡大したDZ幅を鏡面研磨を行う際の研磨代で減少させることもないので、より幅の広いDZ層を有するシリコンウエーハを得ることができる。
【0030】
さらに、前記第1の熱処理を前記シリコンウエーハを鏡面研磨する前に行い、前記第2の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨した後に行うことができる(請求項6)。
このように、第1の熱処理を鏡面研磨前に行うことによって、第1の熱処理で生じたウエーハの汚染は鏡面研磨で除去することができ、また第2の熱処理を鏡面研磨後に行うことによって、第2の熱処理によって拡大したDZ幅を鏡面研磨によって減少させることもないので、より幅広いDZ層を有する品質の良いシリコンウエーハを得ることができる。
【0031】
そして、本発明によれば、上記本発明のシリコンウエーハの熱処理方法によって熱処理されたシリコンウエーハを提供することができる(請求項7)。
本発明のシリコンウエーハの熱処理方法によって熱処理されたシリコンウエーハは、シリコンウエーハのBMD密度やDZ幅を広範囲で高精度に制御して、所望の深さ方向のBMD分布及びDZ幅を形成することのできるシリコンウエーハであり、その後行われるLSI製造工程における熱処理等の処理条件に影響されず、所望の品質を安定して維持することのできるシリコンウエーハである。
【0032】
そして、本発明によれば、上記本発明の熱処理されたシリコンウエーハ上に、エピタキシャル層を成長させたエピタキシャルウエーハを提供することができる(請求項8)。
このように本発明のシリコンウエーハ上にエピタキシャル層を成長させたエピタキシャルウエーハであれば、シリコンウエーハに形成されるBMD分布及びDZ幅がエピタキシャル成長の際に行う熱処理の影響を受けないため、エピタキシャル成長後であっても所望のBMD分布及びDZ幅を有する高品質のエピタキシャルウエーハとすることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来のRTP処理は、所望の品質のシリコンウエーハが得られるように雰囲気や温度等のRTP処理条件を制御して行われているが、その後得られたシリコンウエーハに例えば酸素析出熱処理等を行った場合、必ずしも所望の品質を有するウエーハを得ることができなかった。そのため、RTP処理したシリコンウエーハにデバイスを作製する際に、安定したデバイス製造を行うことができず、デバイス歩留りの低下を招くといった問題があった。
【0034】
本発明者等は、実際にシリコンウエーハにRTP処理を行い、その後BMDを形成するための酸素析出熱処理を様々な条件で行って、得られたウエーハの深さ方向のBMD密度やDZ層を測定した。その結果、BMD分布及びDZ幅は、RTP処理後に行われる熱処理の条件に依存して大きく変化することが判明した。つまり、RTP処理された従来のシリコンウエーハをLSI製造工程に投入した場合、LSI製造工程の熱処理条件、特に熱処理雰囲気と温度の影響を受けてDZ幅、BMD密度分布が大きく変化することが分かった。
【0035】
また一方で、RTP処理した後に鏡面研磨を行う場合、種々の研磨代で鏡面研磨を行っても、その後行われる熱処理の処理条件によっては、研磨代の量に依らず所望のDZ幅を有するシリコンウエーハを得ることができることが判明した。
【0036】
以下に、本発明者等がRTP処理を行ったシリコンウエーハに種々の条件で熱処理を行い、得られたシリコンウエーハのDZ幅、BMD密度を測定した結果について説明する。
(テスト1)
直径200mm、p型、抵抗率8−12Ωcm、酸素濃度が10ppma(JEIDA)であるシリコンウエーハを用意した。このシリコンウエーハは図2に示したウエーハ製造工程において、第1の洗浄工程(工程▲6▼)まで終了したシリコンウエーハである。次に、ドナーキラー熱処理工程(工程▲7▼)においてRTP処理を行った。このとき、RTP処理は、NH3ガスとArガスの流量がともに2リットル/分の混合ガス雰囲気中で800℃から1150℃までを昇温速度50℃/秒で昇温し、1150℃で10秒間保持した後、800℃まで35℃/秒の降温速度で冷却することによって行った。その後、得られたシリコンウエーハを2分割し、一方はO2ガス中、800℃で4時間、次にN2ガス中、1000℃で16時間のアニール処理(酸素析出熱処理)を行い(サンプル1)、他方はN2ガス中、800℃において4時間、次に同雰囲気中、1000℃で16時間の酸素析出熱処理を行った(サンプル2)。
その後、得られた各シリコンウエーハの断面に選択エッチングを行った後、DZ幅を測定した。その測定結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示したように、サンプル1のDZ幅は20.2μmであるが、サンプル2におけるDZ幅は8.7μmとなり、酸素析出熱処理の雰囲気によって大きく変化していることがわかる。このサンプル1におけるDZ幅が拡大した理由としては、酸素析出熱処理を酸化性ガス雰囲気で行ったため、シリコンウエーハの表面が酸化されて酸化膜が形成され、その酸化膜界面からインタースティシャルシリコンがシリコンウエーハ内に注入され、そしてこの注入されたインタースティシャルシリコンがRTP処理で注入されたベーカンシーシリコンと結合して中性化され、その結果としてベーカンシー濃度が減少したことによりDZ幅の増加が生じたと考えられる。また、このような酸化性ガス雰囲気で得られる効果は、インタースティシャルシリコンを注入するArガスやH2ガス雰囲気下で酸素析出熱処理を行う場合にも同様に得られることが確認できた。
【0039】
(テスト2)
次に、上記テスト1と同一条件で作製された、直径200mm、p型、抵抗率8−12Ωcm、酸素濃度が10ppma(JEIDA)であるシリコンウエーハを2枚用いて、上記テスト1と同様の条件でRTP処理を行った。RTP処理後、一方のシリコンウエーハには、10μmの研磨代で鏡面研磨を行った後に第2の洗浄を行い(サンプル3)、また他方のシリコンウエーハは鏡面研磨及び第2の洗浄をせずにそのままの状態を保持した(サンプル4)。続いて、両シリコンウエーハをO2ガス雰囲気中、800℃で4時間保持し、次にN2ガス中、1000℃で16時間保持して酸素析出熱処理を行った。酸素析出熱処理後、得られた各シリコンウエーハの断面に選択エッチングを行った後、DZ幅とBMD密度を測定した。その測定結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表2に示したように、DZ幅は両サンプルとも約20μm程度と同一であった。またBMD密度の値も殆ど同一であることがわかった。
サンプル3はRTP処理後に鏡面研磨を行ったにも関わらず、サンプル4とDZ幅がほぼ同じであるということは、上記テスト1と同様に、800℃の酸素析出熱処理における雰囲気が酸化性ガス雰囲気であるために、シリコンウエーハにインタースティシャルシリコンが鏡面研磨後のウエーハ表面から注入され、このインタースティシャルシリコンがRTP処理で注入されたベーカンシーシリコンと結合して中性化することによって、DZ層が形成されたためと考えられる。
【0042】
また、サンプル3とサンプル4のDZ幅がほぼ同じような値を示したことから、注入されるインタースティシャルシリコンの深さ方向の分布はRTP処理後の熱処理条件で決まることが考えられる。例えばサンプル3のように酸素析出熱処理前に鏡面研磨が行われても、その研磨代の量に依らず、酸素析出熱処理の処理条件に従って一定のDZ幅を形成できると考えられる。さらに、BMD密度がほぼ同一となる理由としては、最初の800℃の熱処理ではRTP処理で注入されたベーカンシーを殆ど拡散させずにシリコンウエーハの酸素をクラスター化することができるため、ベーカンシー最大濃度が低下あるいは変化させずに、その後の1000℃の熱処理でBMDを形成できることに起因すると考えられる。
【0043】
(テスト3)
次に、上記テスト1と同一条件で作製された直径200mm、p型、抵抗率8−12Ωcm、酸素濃度が10ppma(JEIDA)であるシリコンウエーハを2枚用いて、上記テスト1と同様の条件でRTP処理を行った。RTP処理後、一方のシリコンウエーハには、N2ガス雰囲気中、650℃で4時間保持し、次にN2ガス中、1000℃で16時間保持して酸素析出熱処理を行った(サンプル5)。他方のシリコンウエーハには、N2ガス雰囲気中、1000℃で4時間保持し、次にN2ガス中、1000℃で16時間保持して酸素析出熱処理を行った(サンプル6)。酸素析出熱処理後、得られた各シリコンウエーハの断面に選択エッチングを行った後、DZ幅とBMD密度を測定した。その測定結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3に示したように、サンプル6は、サンプル5に比べてDZ幅は広がっているもののBMD密度が低下している。このサンプル6では、RTP処理でウエーハに注入されたベーカンシーがその後の酸素析出熱処理で拡散したために、DZ幅が広がったと考えられる。このサンプル6におけるDZ幅の拡大に関しては前述の特開2002−134515号公報にも記載されている。しかしながら、このように酸素析出熱処理でベーカンシーを拡散させたサンプル6では、表3のようにDZ幅は広がるものの、その一方でBMD密度の低下を招いていることがわかる。
【0046】
それに対してサンプル5では、DZ幅は小さいものの、BMD密度は大きな値を示した。これは、酸素析出熱処理の最初の段階でウエーハに650℃の低温で熱処理を行ったことによって、ベーカンシーの拡散が生じずにウエーハバルク中で酸素のクラスター化が生じ、その後1000℃で熱処理したことにより、ベーカンシー濃度プロファイルを変化させずに酸素析出物を成長させることができたためと考えられる。
【0047】
以上に示した実験やその他に行った種々の実験の結果から、本発明者等は、RTP処理後にインタースティシャルシリコンをウエーハに注入できる雰囲気で熱処理を行うことによって、ベーカンシーを拡散させずに、すなわちベーカンシー濃度プロファイルを変化させずにDZ幅を拡大することができること、またRTP処理後にベーカンシーを拡散させない低温度で熱処理して酸素のクラスター化を行い、RTP処理により形成したベーカンシー濃度プロファイルに従った酸素クラスターのウエーハ深さ方向における濃度分布を有するシリコンウエーハを形成することによって、その後様々な条件で熱処理を行ってもその熱処理条件に影響されず、所望の深さ方向のBMD分布形状を有するシリコンウエーハを得ることができることを見出し、鋭意検討を重ねることにより本発明を完成させた。
【0048】
以下に、本発明のシリコンウエーハの熱処理方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明のシリコンウエーハの熱処理方法を行う工程を含むシリコンウエーハの製造工程の一例を示すフロー図である。
【0049】
図1に示したように、先ず、単結晶育成工程(工程1)でCZ法により円筒状のシリコン単結晶インゴットを育成し、育成した半導体単結晶インゴットをスライス工程(工程2)で薄板状にスライスしてウエーハを作製した後、ウエーハの割れ・欠けを防止するためにウエーハ外周部を面取りする面取り工程(工程3)、ウエーハの平坦度を向上させるためのラッピング工程(工程4)、ウエーハの加工歪みを除去するためにウエーハをエッチングするケミカルエッチング工程(工程5)、エッチング処理されたウエーハを洗浄する第1の洗浄工程(工程6)が順次施される。尚、これらの工程は例示列挙したにとどまり、工程順の変更、一部追加や省略など、目的に応じ適宜変更して行われる場合もある。
【0050】
その後、第1の熱処理でRTP処理が行われる(工程7)。この第1の熱処理は、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却することによって行われる。
この第1の熱処理工程で用いられる熱処理装置、すなわちRTP処理装置は特に限定されるものではないが、例えば一般的に市販されているRTP装置AST−2800(Steag社製)等を用いることができる。ここで、本発明で用いられるRTP処理装置の一例を図5を参照しながら説明する。
【0051】
このRTP処理装置15は、ハウジング13内に石英チューブからなる熱処理室3が設けられており、該熱処理室3の上下に加熱用のハロゲンランプ2が配置されている。このとき、ハロゲンランプ2は半導体ウエーハの中心位置から同心円状に配置することもできる。また、ハウジング13には、熱処理室3に半導体ウエーハを投入するためのウエーハ投入口11が設けられている。
【0052】
熱処理室3は、その一方に置換用ガスやプロセスガスのガス導入口7が、また他方の端には熱処理室3に導入されたガスを排出するためのガス排出口8が設けられており、この熱処理室3内に石英からなる保持ピン5が設置されており、この保持ピン5上に被処理対象物であるシリコンウエーハ4を保持することができる。
【0053】
さらに、この熱処理室3内に保持されたシリコンウエーハの温度を計測するために、ハウジング13の空隙に赤外線温度センサー6(以下IRセンサーという)が配置されており、IRセンサー6で検出した温度信号は制御用コントローラー9に送られて、この温度コントローラー9によって設定した昇温速度、保持温度、及び降温速度になるようにランプ加熱電源10の出力を制御することができるようになっている。
【0054】
このようなRTP処理装置15を用いてシリコンウエーハにRTP処理(第1の熱処理)を行う際、1000〜1300℃の温度まで昇温する昇温速度は5℃/秒以上とすることが好ましく、より好ましくは30〜100℃/秒とすることが望ましい。5℃/秒未満では昇温のための時間が長くなり過ぎて、生産性の低下を招く恐れがある。一方、昇温速度が100℃/秒を超える場合では、急激な温度変化に伴って発生する熱歪のためにウエーハにスリップが発生する可能性が高くなる。
【0055】
1000〜1300℃の温度に昇温した後、窒素を含有する雰囲気下で少なくとも2秒以上保持することによって、シリコンウエーハにベーカンシーを注入する。
このとき、RTP処理温度が1000℃より低いとベーカンシーの注入を十分に行うことができず、また一方1300℃より高いとシリコンウエーハにスリップ転位や重金属汚染が発生する。また、1000〜1300℃の温度における保持時間が2秒未満の場合、シリコンウエーハ内部に十分なベーカンシーの注入を行うことができないが、あまり長過ぎても生産性の低下を招く恐れがあるので、RTP処理温度での保持時間は10分以下であることが好ましい。
【0056】
このように、RTP処理温度で2秒以上保持した後、少なくとも5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却し、より好ましくは30℃/秒以上の冷却速度で急速冷却することが望ましい。この急速冷却において冷却速度が5℃/秒未満である場合は、シリコンウエーハ内部に発生したベーカンシーが降温中に拡散してしまい、所望の濃度プロファイルを形成することができない。
このようにして第1の熱処理を行うことによって、シリコンウエーハにベーカンシーを確実に注入して所望のベーカンシー濃度プロファイルを形成することができる。
【0057】
またこの第1の熱処理において、窒素を含有する雰囲気は、N2ガス、NH3ガス、N2ガスとNH3ガスの混合ガス、またはそれらのうちのいずれかとArガス及び/またはH2ガスとの混合ガスのような、少なくとも窒素分子または窒素原子を含むガスを含有する雰囲気であることが好ましい。このような雰囲気下で第1の熱処理を行うことによって、シリコンウエーハに形成されるベーカンシー濃度プロファイルの形状を目的に応じて容易に制御することが可能となる。
【0058】
このようにして第1の熱処理を行った後、シリコンウエーハ内の酸素をクラスター化するとともにDZ層を形成するための第2の熱処理(クラスター化熱処理)を行う(工程8)。この第2の熱処理は、400℃以上1050℃以下の温度において、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で少なくとも10秒以上保持した後、続いてN2ガス、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で保持して、その合計の熱処理時間が30分以上となるように行われる。
【0059】
このように第2の熱処理を、400〜1050℃の温度で、少なくとも始めの10秒以上の間は、インタースティシャルシリコン(以下、Iシリコンと略記することがある)注入効果の高いO2やH2Oを含有する酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で行うことによりIシリコンを必要十分なだけ注入し、その後Iシリコン注入効果のないN2ガスに切り換えたり、またはそのまま酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスを用いた雰囲気下で、合計熱処理時間が30分以上となるように行うことによって、シリコンウエーハ内の酸素をクラスター化して、上記第1の熱処理で形成されたベーカンシー濃度プロファイルに従った酸素クラスター分布形状を形成するとともに、シリコンウエーハ表面のDZ層を拡大することができる。
【0060】
この第2の熱処理では、シリコンウエーハ内の酸素をクラスター化するために、400〜1050℃の温度で合計熱処理時間が30分以上となるように行えば良く、好ましくは500〜850℃、さらに好ましくは600〜700℃の温度で合計熱処理時間が1〜8時間となるように行うことが望ましい。熱処理温度が400℃未満の場合では、酸素をクラスター化するのに長時間の熱処理時間が必要とされ、生産性を低下させる。一方、熱処理温度が1050℃を超える場合では、第1の熱処理(RTP処理)で注入したベーカンシーの拡散が大きいため、酸素がクラスター化する前にベーカンシー濃度の低下が生じ、ベーカンシー濃度プロファイルを変化させるので所望の酸素クラスター分布形状を得ることができなくなるとともに、BMD密度の低下を招いてしまう。
【0061】
また、第2の熱処理における熱処理時間が30分未満の場合、酸素のクラスター化が十分に進行しないことや、RTP処理で注入されたベーカンシーが充分に消費されないため、得られたシリコンウエーハにその後酸素析出熱処理等のアニール処理を行った際に、その熱処理条件に応じてシリコンウエーハに形成されるBMD分布形状やDZ幅に変化を生じさせてしまう。
【0062】
また、この第2の熱処理を行うことによって、上記のように酸素をクラスター化するとともに、シリコンウエーハにIシリコンを注入してDZ層を所望の幅となるように形成することができる。この第2の熱処理において、シリコンウエーハ表面から注入されるIシリコンの量は、熱処理雰囲気と熱処理温度で大きく異なるため、第2の熱処理における最初の10秒以上の処理、及びその後続いて行われる処理における雰囲気と熱処理温度を必要に応じて制御することにより、また、雰囲気や熱処理温度を変更するタイミングを変えることにより、多種多様なIシリコンの深さ方向の分布を得ることができ、DZ層の幅を精密に制御することができる。
【0063】
例えば、第2の熱処理が酸化性ガス(例えばO2ガス)雰囲気で行われる場合、第2の熱処理中にシリコンウエーハ表面が酸化されて酸化膜が形成され、この酸化膜界面からシリコンウエーハ内にIシリコンを多く注入することができるため、注入されるIシリコン量も大きい。また、ArガスやH2ガスはIシリコン注入効果を有するものの、注入されるIシリコン量は酸化性ガスに比べて小さく、さらにN2ガスの場合はIシリコン注入効果がほとんどないため、注入されるIシリコン量は極めて小さい。また、これらのガスを混合した混合ガス下で第2の熱処理を行えば、混合されるガスの割合を制御することによって、シリコンウエーハに注入されるIシリコン量を適切に制御することが可能となる。
【0064】
そして、シリコンウエーハに形成されるDZ幅は、上記の第1の熱処理(RTP処理)で注入されたベーカンシーとこの第2の熱処理で注入されたIシリコンの濃度がほぼ等しくなる深さとなるので、上記のように第2の熱処理における雰囲気や温度、時間等の熱処理条件を変えてシリコンウエーハに注入されるIシリコン量を適切に制御することによって、DZ幅を広範囲で高精度に制御することができる。
【0065】
例えば、第2の熱処理を850℃においてO2ガス雰囲気下で2時間行うことによって、ベーカンシーの拡散を抑制してシリコンウエーハ内の酸素をクラスター化するとともに、シリコンウエーハ表面に形成された酸化膜よりIシリコンが注入されてシリコンウエーハ内のベーカンシー濃度とIシリコンの濃度がほぼ等しくなる距離までDZ層を形成することができる。このような条件で第2の熱処理を行うことによって、上記第1の熱処理で形成されたベーカンシー濃度プロファイルに基づいて形成された酸素クラスター分布の形状と所望の厚さに制御されたDZ幅とを有するシリコンウエーハを製造することができる。
【0066】
また、本発明によれば、比較的高温で第2の熱処理を行うことにより、例えば、O2ガス雰囲気下、1000℃で第2の熱処理を行うことによって、上記第1の熱処理で注入されたベーカンシーが若干拡散するものの、このベーカンシーの拡散によって生じるDZ層の拡大と、Iシリコン注入によるDZ層の拡大の相乗効果により、従来のベーカンシーの拡散のみを用いた方法よりも、短時間で効果的にDZ層をより一層拡大することが可能となる。
【0067】
尚、このような第2の熱処理において、最初の10秒以上の処理とその後行われる処理は必ずしも連続して行う必要はなく、必要に応じてそれぞれの処理を別々に合計の熱処理時間が30分以上となるように独立して行っても良い。
【0068】
このようにして第2の熱処理を行った後、鏡面研磨工程(工程9)、及びウエーハに付着した研磨剤や異物を除去する第2の洗浄工程(工程10)を行うことによって、所望の深さ方向のBMD分布とDZ幅とを形成することのできるシリコンウエーハを製造することができる。
【0069】
尚、図1に示したシリコンウエーハの製造方法では、第1の熱処理(RTP処理)及び第2の熱処理(クラスター化熱処理)は、鏡面研磨工程の前に行われているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の熱処理及び第2の熱処理は、第1の熱処理の後に第2の熱処理が行われるのであれば、それぞれの工程はどの段階で行われても良い。
【0070】
例えば、図1のように、ケミカルエッチングの施されたシリコンウエーハに対して、第1の熱処理及び第2の熱処理を鏡面研磨前に行うことによって、例えばこの第1及び第2の熱処理を行ったときにシリコンウエーハの表面に重金属汚染や表面粗れが生じた場合でも、後の鏡面研磨工程においてこれらを確実に除去することができる。
【0071】
また一方、第1の熱処理及び第2の熱処理はシリコンウエーハを鏡面研磨した後に行うこともでき、それによって、第2の熱処理によって形成したDZ幅を鏡面研磨工程によって減少させることもないので、より幅の広いDZ層を有するシリコンウエーハを得ることができる。
【0072】
さらにその他の方法としては、第1の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨する前に行い、また第2の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨した後に行っても良い。このように、第1の熱処理を鏡面研磨前に行うことによって、高温の第1の熱処理でウエーハ表面に汚染や表面粗れが発生したとしても鏡面研磨工程でこれらを確実に除去することができ、また鏡面研磨後に低温の第2の熱処理を行うことによって、第2の熱処理によって拡張されたDZ幅を鏡面研磨によって減少させることもないので、より幅広いDZ層を有するシリコンウエーハを得ることができる。
【0073】
また、シリコンウエーハの製造工程において、例えば図2の工程▲7▼に示したような酸素ドナーを消滅させるためのドナーキラー熱処理工程を行う場合であれば、このドナーキラー熱処理工程で第1の熱処理(RTP処理)を行うことができる。RTP処理では、前述のようにドナーキラーの効果も同時に得られるため、このように第1の熱処理をドナーキラー熱処理工程で行うことによって、より効率的にシリコンウエーハを製造することができる。
【0074】
尚、上記のシリコンウエーハの熱処理方法は、第1の熱処理(RTP処理)で形成したベーカンシー濃度プロファイルをテンプレートとして酸素クラスター分布を形成するとともに、DZ幅をベーカンシー濃度プロファイルよりも拡大する場合において非常に有効であるが、一方、第1の熱処理(RTP処理)で形成したベーカンシー濃度プロファイルをテンプレートとして酸素クラスター分布形状とDZ幅をそのまま実現させたい場合、すなわちDZ幅を広げる必要がない場合は、上記第1の熱処理を行った後、第2の熱処理としてN2ガス雰囲気下、700℃未満の温度で30分以上の熱処理を行えば良い。
【0075】
このように第1の熱処理でシリコンウエーハにベーカンシーを注入して、所望の深さ方向のBMD分布の形状が得られるようにベーカンシー濃度プロファイルを形成した後、次に第2の熱処理において、N2ガス雰囲気下においてベーカンシーの拡散が無視できる700℃未満の温度でバルク中の酸素をクラスター化することによって、DZ幅を拡大させずに第1の熱処理で形成されたベーカンシープロファイルを直接反映した酸素クラスター分布形状及びDZ幅を有するシリコンウエーハを容易に製造することが可能となる。
このとき、熱処理時間が30分未満の場合では、酸素のクラスターが充分に進行しないため、第2の熱処理の熱処理時間は少なくとも30分以上とする。
【0076】
上記のような本発明のシリコンウエーハの熱処理方法によってシリコンウエーハを熱処理することによって、シリコンウエーハの酸素クラスター分布形状やDZ幅を広範囲で高精度に制御して、所望のBMD分布の形状及びDZ幅を形成できる高品質のシリコンウエーハを容易に得ることが可能となる。
【0077】
そして、このように熱処理されたシリコンウエーハであれば、シリコンウエーハ内のベーカンシーが第2の熱処理における酸素のクラスター化で消費されて、その濃度が十分に低下しているため、その後行われるLSI製造工程における熱処理等で新たに発生する酸素の析出は殆どないし、またベーカンシーの拡散が生じることもない。したがって、このようなLSI製造工程の熱処理等ではクラスター化した酸素の析出核を成長させるだけであるため、最終的に得られるシリコンウエーハのBMD分布の形状とDZ幅は、本発明の熱処理方法によって形成された酸素クラスター分布形状とDZ幅に従って発生することになる。その結果、LSI製造工程における熱処理等の処理条件とは無関係にシリコンウエーハに所望のDZ幅とBMD分布形状を確実に形成することができるため、安定した品質を確保でき、デバイス歩留りの低下を防止することができる。
【0078】
さらに、本発明の熱処理を施したシリコンウエーハ上にエピタキシャル層を成長させたエピタキシャルウエーハは、シリコンウエーハに形成した酸素クラスター分布形状及びDZ幅がエピタキシャル成長の際に行われる熱処理の影響を受けないため、エピタキシャル成長後であっても所望のBMD分布形状を有するし、表面にDZ層を有するので、エピタキシャル層に悪影響を及ぼすことのない高品質のエピタキシャルウエーハとすることができる。
尚、このようにエピタキシャルウエーハを製造する場合であれば、本発明の熱処理方法における第二の熱処理を、エピタキシャル成長の昇温工程で兼ねることもできる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0080】
例えば、上記の実施の形態では、第1の熱処理(RTP処理)及び第2の熱処理(クラスター化熱処理)について詳細に説明したが、シリコンウエーハに発生した酸素クラスターを成長させるために、第2の熱処理後に例えば1000℃で16時間の酸素析出熱処理を追加して行うこともできる。このような酸素析出熱処理を行うことによって、酸素クラスター分布形状に応じて酸素クラスターが成長し、所望の分布形状を有するBMDを形成することができる。このように所望の分布形状を有するBMDをウエーハ製造段階で形成することにより、ゲッタリングサイトとして働くBMDがウエーハ製造段階でバルク内に存在するので、LSI製造工程の初期段階から十分なゲッタリング能力を有するウエーハを提供することができる。
【0081】
また、上記実施の形態では、シリコンウエーハに第1の熱処理及び第2の熱処理を行う際にシリコンウエーハの表裏面を同一の雰囲気で処理する場合について説明を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1の熱処理及び/または第2の熱処理を行う際にシリコンウエーハの表裏面をそれぞれ異なる雰囲気で熱処理することによって、ウエーハの表裏面でそれぞれ異なるBMD分布形状とDZ幅が形成されたシリコンウエーハを得ることが可能となる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱処理方法によれば、シリコンウエーハに形成される深さ方向のBMD分布やDZ幅を広範囲で高精度に制御して、所望のBMD分布形状及びDZ幅を形成できる高品質のシリコンウエーハを容易に得ることが可能となる。また、本発明の熱処理方法によって熱処理されたシリコンウエーハであれば、その後行われるLSI製造工程における熱処理等の処理条件に影響されず、所望の品質を安定して維持することのできるシリコンウエーハとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコンウエーハの熱処理方法を行う工程を含むシリコンウエーハの製造方法の一例を示すフロー図である。
【図2】従来のシリコンウエーハの製造工程を示すフロー図である。
【図3】N2/Ar混合ガス雰囲気中でRTP処理したウエーハの酸素析出物の濃度分布を示した図である。
【図4】Arガス雰囲気中でRTP処理したウエーハの酸素析出物の濃度分布を示した図である。
【図5】本発明で用いたRTP処理装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
2…ハロゲンランプ、 3…熱処理室、 4…シリコンウエーハ、
5…保持ピン、 6…赤外線温度センサー(IRセンサー)、
7…ガス導入口、 8…ガス排出口、
9…温度コントローラー、 10…ランプ加熱電源、
11…ウエーハ投入口、 13…ハウジング、
15…RTP処理装置。
Claims (8)
- チョクラルスキー法により製造された単結晶から得られたシリコンウエーハを熱処理する方法において、先ず、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却する第1の熱処理を行い、その後、400℃以上1050℃以下の温度において、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で少なくとも10秒以上保持した後、続いてN2ガス、酸化性ガス、Arガス、H2ガス、またはこれらの混合ガスの雰囲気下で保持して、その合計の熱処理時間が30分以上となる第2の熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法。
- チョクラルスキー法により製造された単結晶から得られたシリコンウエーハを熱処理する方法において、先ず、窒素を含有する雰囲気下、1000℃以上1300℃以下の温度で少なくとも2秒以上保持した後5℃/秒以上の冷却速度で急速冷却する第1の熱処理を行い、その後、N2ガス雰囲気下、700℃未満の温度で30分以上の第2の熱処理を行うことを特徴とするシリコンウエーハの熱処理方法。
- 前記第1の熱処理における窒素を含有する雰囲気を、N2ガス、NH3ガス、N2ガスとNH3ガスの混合ガス、またはそれらのうちのいずれかとArガス及び/またはH2ガスとの混合ガスの雰囲気とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコンウエーハの熱処理方法。
- 前記第1の熱処理及び第2の熱処理を、前記シリコンウエーハを鏡面研磨する前に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの熱処理方法。
- 前記第1の熱処理及び第2の熱処理を、前記シリコンウエーハを鏡面研磨した後に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの熱処理方法。
- 前記第1の熱処理を前記シリコンウエーハを鏡面研磨する前に行い、前記第2の熱処理をシリコンウエーハを鏡面研磨した後に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの熱処理方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の方法によって熱処理されたことを特徴とするシリコンウエーハ。
- 請求項7に記載の熱処理されたシリコンウエーハ上に、エピタキシャル層を成長させたことを特徴とするエピタキシャルウエーハ。
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