JP2004194544A - 接ぎ木用苗の切断方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】台木苗や穂木苗の茎部を簡単かつ正確に切断できるとともに、高い活着率が得られる切断方法を提供する。
【解決手段】台木苗における茎部SDのうち根元部側を苗載せ台と押え機構とにより把持し、次いで、一対の斜め切り刃32,32及び一つの縦切り刃33を断面Y字状に配置してなるカッタ機構を、ガイド部材8で前記両斜め切り刃32,32を茎部SDに向かって案内しながら、三つの切り刃32,32,33の突合せ部46及び縦切り刃33が茎部SDの軸線Aを略通るように移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、茎部SDを切断する。
【選択図】 図11
【解決手段】台木苗における茎部SDのうち根元部側を苗載せ台と押え機構とにより把持し、次いで、一対の斜め切り刃32,32及び一つの縦切り刃33を断面Y字状に配置してなるカッタ機構を、ガイド部材8で前記両斜め切り刃32,32を茎部SDに向かって案内しながら、三つの切り刃32,32,33の突合せ部46及び縦切り刃33が茎部SDの軸線Aを略通るように移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、茎部SDを切断する。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接ぎ木作業に際して穂木苗や台木苗の茎部を切断する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、耐病性向上、着果促進及び品質向上等を目的として、野菜や果物等の苗を接ぎ木するに際しては、割り接ぎが広く行われている。割り接ぎは、穂木苗の茎部をV字状(楔状)に切断し、台木のうち縦割りした先端部にV字状の被切断部を差し込んだのち、この接合部分を合成樹脂等のクリップ等で固定するというものである。
【0003】
例えば特許文献1には、穂木苗の茎部をV字状に切断する装置の一例が開示されている。この例では、長手側縁部に刃先を有する一対の切り刃が平面視略矩形状の基台に立設されている。これら両切り刃は、両刃先のうち基台から離れた先端同士が当接し、基台寄りの基端に近付くにつれて刃先間の隙間間隔が広がるようにして、平面視で略V字状に配置されており、両切り刃における刃先間には昇降動可能な穂木載せ台が設けられている。穂木苗が置かれた穂木載せ台を上昇動させると、穂木苗の茎部は、両刃先の当接部分を突き抜けてV字状に切断されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には切断装置の別例が開示されている。この例では、鋏型器具における一方の腕部の先端部位に、可撓性を有する一対の切り刃が設けられており、他方の腕部の先端部位には凹溝及びV字スリットが設けられている。この凹溝に茎部をあてがいながら、両切り刃の切先をV字スリットに沿わせて突き合せるまで撓ませると、茎部はV字状に切断されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−223635号公報
【特許文献2】
特公平7−36734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1の構成では、両切り刃の先端部側(両刃先の当接部分を含む側)は全く固定されておらず、両刃先の先端同士も当接しているだけであるから、穂木苗の茎部の強度や太さ等によっては、この茎部が両刃先の当接部分を突き抜けるに際して、両切り刃の先端部が茎部の半径方向外向きに広がるように弾性変形し、両刃先の当接部分が離れたり、両切り刃のなす角度が広がったりするおそれがあった。
【0007】
このため、例えば略同じ茎径の穂木苗群を各々切断したとしても、茎部を切り損ねたり、V字状の被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なり、常に一定の尖り角度とはならないという問題があった。
【0008】
一方、前記特許文献2の構成では、穂木苗の茎部をV字状に切断する際に、両切り刃がV字スリットでガイド(案内)されるものの、両腕部が閉じ動するように鋏型器具を握って、両切り刃の切先をV字スリットに沿わせて突き合せるまで撓ませるという操作を、切断のたびに行わなければならないから、茎部の強度や太さ、鋏型器具の握り加減等によっては、両切り刃の切先を突き合せる前に鋏型器具の握り操作を解除して、茎部を切り損ねる場合があり、前記特許文献2の場合も、常に一定の尖り角度とはならないという問題があった。
【0009】
また、V字状の被切断部における両方の被切断面に、茎における維管束をできるだけ大きく出現させるには、V字状の被切断部の突端が茎部の軸線上に位置するように茎部を切断すべきであるが、そのためには、V字スリットの突合せ部分が茎部の軸線と重なるように、茎部を凹溝にあてがう必要がある。
【0010】
しかし、例えば穂木苗の茎径が凹溝の内径よりも小さい場合は、茎部と凹溝との間に遊びができることに加えて、茎部は作業者の手で凹溝にあてがわれることから、V字スリットに対する茎部の位置合せが難しいという問題もあった。
【0011】
ところで、通常の割り接ぎでは、台木の先端部は穂木の被切断部を差し込めるように縦割りされていたから、この先端部には生長点(茎頂)が残っていた。このため、接ぎ木終了後、二つ割りした台木先端部の一方または両方から、穂木とは別の芽(以下、脇芽という)が出てくる場合があり、穂木の生長に好ましくないという問題も存在していた。
【0012】
そこで本発明は、以上のような割り接ぎに関する問題点を全て解消して、常に簡単かつ正確に、穂木苗や台木苗の茎部を切断でき、しかも、高い活着率が得られる切断方法およびその装置を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、本発明に係る切断方法の一つは、請求項1に記載したように、穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、次いで、一対の斜め切り刃を断面V字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、前記茎部をV字状に切断するというものである。
【0014】
もう一つの方法は、請求項2に記載したように、穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、次いで、一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、前記茎部を切断するというものである。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る切断方法に対応した切断装置であって、穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、一対の斜め切り刃を断面V字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、前記両斜め切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したというものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る切断方法に対応した切断装置であって、穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、前記両斜め切り刃及び前記縦切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したというものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載した切断装置において、前記ガイド手段は、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて前記両斜め切り刃よりも外側に配置した一対の案内片を備え、これら両案内片のうち相対向する内側の案内面を、前記カッタ手段または前記把持手段とのうち少なくとも一方が相対移動したときに前記各斜め切り刃が略沿うように、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて略ハ字状に形成したというものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図18)に基づいて説明する。
【0019】
まず、図1〜図3を参照しながら切断装置1の概要について説明する。図1は切断装置1の全体を示す概略正断面図、図2は概略側断面図、図3のうち(a)は図1のIIIa−IIIa視平断面図、(b)はカッタ機構5を構成するカッタホルダ31等の拡大平断面図である。
【0020】
この実施形態の切断装置1は、平面視略矩形状の基台2と、この基台2の上面に下方からのねじ10,10で立設固定した一対の支柱3,3と、これら両支柱3,3で昇降動可能に支持された平面視略三角形状の昇降プレート4と、当該昇降プレート4の下面に取付けたカッタ機構5と、このカッタ機構5の一側部(実施形態では図1において右側部)に配置した押え機構6と、当該押え機構6と相対向するように基台2の上面に配置した苗載せ台7と、カッタ機構5における一対の斜め切り刃32,32(詳細は後述する)と相対向するように苗載せ台7の近傍箇所(実施形態では図1において苗載せ台7の左方)に下方からのねじ11で固定したガイド部材8とを備えている。
【0021】
基台2は金属板または合成樹脂板製等のものである。基台2における下面の四隅部には、切断装置1を作業机上等に安定的に載置する等のために、ゴム製等の足部材12が下方からのねじ13で固定されている(実施形態では四つ)。
【0022】
一対の支柱3は金属または合成樹脂製等のものであり、中空パイプ状に形成されている。各支柱3の外周には圧縮ばね14が被嵌されており、これら各圧縮ばね14により、昇降プレート4が常時上向きに弾力付勢されている。
【0023】
両支柱3,3の上端間には、昇降プレート4の上方への抜け出しを規制する規制板15が装架されている。この実施形態では、規制板15は各支柱3の上端に上方からのねじ16で固定されている。
【0024】
なお、この実施形態では、昇降プレート4は手動で昇降動させるが、これに限らず、例えばモータで昇降動するように構成してもよい。
【0025】
金属板または合成樹脂板製等の昇降プレート4には、両支柱3,3の間の部位に、下向きに延びるストッパ部材17が取付けられている(図2及び図3参照)。ストッパ部材17は、昇降プレート4とともに下降動するカッタ機構5の各切り刃32,32,33(詳細は後述する)の下降限を設定するためのものである。
【0026】
この実施形態では、昇降プレート4のうち両支柱3,3の間の部位に上下に貫通するように設けたナット部18に、ストッパ部材17の上端部に形成した雄ねじ部19を下方からねじ込んで、そのねじ込み量を加減することにより、ストッパ部材17の下向き突出長さ、ひいては昇降プレート4や各切り刃32,32,33の下降限を調節するようになっている。ストッパ部材17の下端部には、下降限において基台2の上面に当接するゴム製等の緩衝体20が下方からのねじ21で固定されている。
【0027】
次に、図1〜図5を参照しながら、切断装置1の主要部(カッタ機構5、押え機構6、苗載せ台7及びガイド部材8)の構成について説明する。図4は図1のIV−IV視平断面図、図5は三つの切り刃32,32,33の拡大側面図である。
【0028】
請求項に記載したカッタ手段としてのカッタ機構5は、昇降プレート4の下面前部側に上方からのねじ35(実施形態では二つ)で固定したカッタホルダ31と、このカッタホルダ31に下向きに突出するように装着した一対の斜め切り刃32,32及び一つの縦切り刃33と、昇降プレート4の下面のうちカッタホルダ31の一側方に固定した支持ブラケット34とにより構成されている。
【0029】
カッタホルダ31には、平面視略く字状に凹み、かつ下向きに開口したホルダ溝36と、下向きに開口したホルダ穴37とが形成されている(図3(a)(b)参照)。図3(b)に詳細に示すように、ホルダ溝36の突当り隅部38はホルダ穴37に連通している。
【0030】
この実施形態では、ホルダ溝36のうち平断面視略ハ字状に並ぶ両支持面39,39に、斜め切り刃32のうち刃先32aと反対側の柄部を各々沿わせて、断面略三角形状の第1刃押え体40により両方の柄部を押えた状態で、支持ブラケット34のねじ穴41に第1止めねじ42をねじ込み、その先端部で第1刃押え体40を押付けることにより、両斜め切り刃32,32がカッタホルダ31に押え固定されている。
【0031】
また同様に、ホルダ穴37内の奥寄りの端面に、縦切り刃33のうち刃先33aと反対側の柄部を沿わせて、ホルダ穴37に内装した断面略矩形状の第2刃押え体43により柄部を押えた状態で、カッタホルダ31の前面に設けたねじ穴44に第2止めねじ45をねじ込み、その先端部で第2刃押え体43を押付けることにより、縦切り刃33がカッタホルダ31に押え固定されている。
【0032】
これら三つの切り刃32,32,33は、ホルダ溝36とホルダ穴37との連通部位(突当り隅部38)において互いに向かい合う側端部同士を突き合せた状態で、カッタホルダ31に着脱可能に装着されている。
【0033】
両斜め切り刃32,32は、平断面視において縦切り刃33を仮想中心線として線対称状に位置しており、切り刃32,32,33全体の平断面視形状はY字状となっている(図3(a)及び図4参照)。
【0034】
突合せ部46及び縦切り刃33は、平面視で苗載せ台7の根元受け溝68における中心線Cの延長線(詳細は後述する、図4及び図8参照)上に位置している。したがって、両斜め切り刃32,32は、平面視で前記中心線Cの延長線を挟んで線対称状に位置しているのである。
【0035】
両斜め切り刃32,32の夾角θ(以下、くさび角θという)は、台木苗を切断する場合は略40°程度、穂木苗を切断する場合は略20°程度に設定するのが好ましい。
【0036】
なお、詳細は図示していないが、この場合は、各切り刃32,32,33の柄部に設けた係止穴(図示せず)に、各刃押え体40,42の当接端面に設けた突起(図示せず)を嵌合させている。これにより、各切り刃32,32,33がカッタホルダ31から不用意に脱落することを防止している。
【0037】
図1及び図2等に示すように、各切り刃32,32,33は、突合せ部46が短辺でもう一方の側端部が長辺であり、かつ下端側の刃先32a,32a,33aが傾斜状という略台形状に形成されている。
【0038】
したがって、隣り合う刃先間(両斜め切り刃32,32の刃先32a,32a間や、一方の斜め切り刃32の刃先32aと縦切り刃33の刃先33aとの間)の隙間間隔は、突合せ部46の最下端から各々の切先32b,32b,33bに向かってだんだんと広がっている(図5、図7及び図9〜図11参照)。換言すると、これら三つの切り刃32,32,33は、その下方に、突合せ部46の最下端を頂点とし各刃先32a,32a,33aを斜辺とする略三角錐状の空間を形成するように、カッタホルダ31に着脱可能に装着されているのである。
【0039】
また、図1、図2及び図5に示すように、両斜め切り刃32,32の上下方向の長さBL1(カッタホルダ31の下端面から切先32bまでの長さ)は、縦切り刃33の上下方向の長さBL2(カッタホルダ31の下端面から切先33bまでの長さ)よりも長くなっている。
【0040】
このことと、両斜め切り刃32,32の刃先32a,32a間の隙間間隔が下向きに広がっていることとにより、両斜め切り刃32,32の刃先32a,32aを接線とし、かつ縦切り刃33の切先33bにも接する半径Rを有する茎部SD0(SH0)(図5の一点鎖線状態参照)よりも小さい半径の茎部SD(SH)を、カッタ機構5で切断する場合は、その茎部SD(SH)の外径部に、両斜め切り刃32,32よりも先に縦切り刃33が突き刺さることになる。
【0041】
なお、各切り刃32,32,33はカッタホルダ31に対して着脱不能に固定されていてもよいし、各切り刃32,32,33同士が一体的に形成されていてもよい。また、各切り刃32,32,33の材質は、金属製、セラミックス製または合成樹脂製等いずれのものでもよい。
【0042】
図1〜図3に示すように、押え機構6は、カッタ機構5の一側部にねじ54(実施形態では二つ)固定した支持ブロック51と、この支持ブロック51に設けた上下貫通状の軸穴55(実施形態では二つ)に遊嵌した一対の支軸52,52と、これら両支軸52,52の下端に設けた平面視略矩形状の茎押え体53とを備えている。
【0043】
各支軸52の外周には押しばね56が被嵌されており、これら各押しばね56により茎押え体53が常時下向きに弾力付勢されている。各支軸52の上端部にはナット57がねじ込まれており、各支軸52が支持ブロック51の軸穴55から下方に抜け出るのを防止している。
【0044】
この実施形態では、例えば昇降プレート4を下降動させると、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接するまではカッタ機構5及び押え機構6の両方とも下降動するが、その後はストッパ部材17の緩衝体20が基台2の上面に突き当るまで、カッタ機構5だけが下降動することになる。
【0045】
なお、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接した状態で、さらに昇降プレート4を下降動させると、押え機構6の両支軸52,52は、カッタ機構5に固定した支持ブロック51から上向きに突出することになるので、これら両支軸52,52が昇降プレート4の下降動の邪魔にならないように、昇降プレート4の前部のうち支持ブロック51の上方部位は切り欠かれている(図3参照)。
【0046】
茎押え体53の下面には、昇降プレート4の下降動時に苗載せ台7の根元受け溝68(詳細は後述する)に嵌る押え突起58が取付けられている(図1、図2及び図8参照)。この押え突起58はゴムやスポンジ等の軟質材製である。これにより、茎押え体53と苗載せ台7の根元受け溝68とで、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)を移動不能に把持する際に、茎部SD,SHの損傷を防止している。
【0047】
茎押え体53及び押え突起58の一側には、苗載せ台7の根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)に向かって縦切り刃33を案内するための案内溝59が上下に延びるように形成されている。茎押え体53を苗載せ台7の上面に当接させた状態で、縦切り刃33が案内溝59内を通過するように構成されている。
【0048】
これにより、縦切り刃33は、平面視で根元受け溝68における中心線Cの延長線(詳細は後述する、図4及び図8参照)をほとんど位置ずれすることなく確実に通過する。
【0049】
苗載せ台7は、基台2の上面にねじ62固定した前後一対のL字プレート61,61の間に挟まれて、水平方向(実施形態では左右方向)に移動可能に構成されている。この実施形態では、苗載せ台7の一端部(実施形態では図1において右端部)に設けたねじ穴63(図1参照)に、アジャスタねじ64が、基台2の一側面(実施形態では図1において右側面)に固定した支持ブラケット65の貫通穴及び二つのナット66,67を介してねじ込まれている(図3及び図4参照)。
【0050】
したがって、苗載せ台7のねじ穴63に対するアジャスタねじ64のねじ込み量を加減することにより、苗載せ台7の位置が調節される。その後、アジャスタねじ64の頭部と第1ナット66とで支持ブラケット65を挟み付け、かつ第2ナット67を苗載せ台7の一端部に当接させることにより、苗載せ台7は調節後の位置に固定される。
【0051】
苗載せ台7の上面には、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)が嵌る上向き開放状の根元受け溝68が水平方向に延びるように形成されている。この根元受け溝68の断面形状は略円弧状となっている。これは、通常、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)が略円柱形状であるから、根元受け溝68の溝幅を二分する中心線C(図4及び図8参照)と、根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)の軸線A(図8〜図12参照)とを平面視で常に略一致させるため、すなわち茎部SD(SH)の位置決めを簡単かつ確実に行うためである。
【0052】
この根元受け溝68に嵌め込んだ茎部SD(SH)を、茎押え体53の押え突起58で上方から押えることにより、茎部SD(SH)は根元受け溝68内でがたつくことなくしっかりと把持される(図7及び図8参照)。
【0053】
根元受け溝68の一端(右端)は、苗載せ台7における上面側の右コーナ部まで延びて外向きに開口している一方、その他端(左端)は、苗載せ台7における上面側に開放された略縦溝状の凹所69に連通している。
【0054】
この凹所69は、例えば台木苗における子葉L,Lの葉柄を折らないようにするため、前後幅間隔が外向きに広がった平面視略く字状に形成されている。
【0055】
また、凹所69における水平方向の凹み寸法X(図1及び図4参照)及び上下方向の深さ寸法Z(図1及び図8参照)は、昇降プレート4が下降動するに際して、縦切り刃33が凹所69内の端面に干渉せずに移動できる程度の寸法となるように設定されている。苗載せ台7及び前述した押え機構6は、請求項に記載した把持手段に相当するものである。
【0056】
請求項に記載したガイド手段としてのガイド部材8は、苗載せ台7の根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)に向かって両斜め切り刃32,32を案内するためのものであり、上向きに突出した一対の案内片71,71と、これら両案内片71,71を連結する底部72とからなる略U字状に形成されている(図2、図4及び図8参照)。
【0057】
両案内片71,71は、平面視において苗載せ台7の根元受け溝68における中心線Cの延長線を中心として、両斜め切り刃32,32よりも外側に位置している。
【0058】
両案内片71,71のうち相対向する内側の案内面73,73は、その隙間間隔が平面視で苗載せ台7から遠ざかるにつれて広がるように、略ハ字状に傾斜している。これら両案内面73,73の夾角は、両斜め切り刃32,32のくさび角θに対応させている。したがって、昇降プレート4が昇降動するに際して、各案内面73には、これに対応する斜め切り刃32の片面が略沿うことになる(図4参照)。なお、両案内片71,71は、前述のように一体的に設けるに限らず、各々別体で構成してもよい。
【0059】
両案内面73,73に挟まれた底部72は、昇降プレート4の下降動時に両斜め切り刃32,32の刃先32a,32aが干渉せずに移動できるように、右下がり傾斜状に形成されている。なお、ガイド部材8のうち苗載せ台7に対向する部位には、苗載せ台7の端部が嵌り得るように内向きに凹ませた受け部74が形成されている(図4参照)。
【0060】
次に、台木苗を例に挙げて、切断装置1による切断態様を説明する。図6、図7、図9〜図12は台木苗の切断手順を示す概略斜視図、図8は図7のVIII−VIII視側面図である。
【0061】
この例では、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるように(図12参照)、台木苗の茎部SDのうち子葉L,Lは残した状態で、これら両子葉L,L間であって生長点を含んだ先端部G(穂先部)を切断する。
【0062】
まず、アジャスタねじ64を回してねじ込み量を加減することにより、苗載せ台7の位置を予め調節固定しておく(図6の二点鎖線状態参照)。これは、苗載せ台7の根元受け溝68に茎部SDの根元部側を嵌め込んだときに、茎部SDの先端部G(生長点全体)が平面視で両斜め切り刃32,32に挟まれる位置となり、かつ先端部G側の子葉L,Lが苗載せ台7とガイド部材8の受け部74とで潰されないようにするためである。
【0063】
次いで、苗載せ台7の根元受け溝68に、茎部SDの根元部側を嵌め込む。この場合、茎部SDは、根元受け溝68に対して、その中心線Cと茎部SDの軸線Aとが平面視で略一致するように、簡単かつ確実に位置決めされる。
【0064】
次いで、各支柱3の外周に被嵌した圧縮ばね14の付勢力に抗して、昇降プレート4を手動で下降動させると、昇降プレート4とともにカッタ機構5及び押え機構6が下降し、カッタ機構5での切断よりも先に、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接して、根元受け溝68内における茎部SDの根元部側を押え突起58で押え固定する(図7及び図8参照)。
【0065】
次いで、各圧縮ばね14と、押え機構6の各支軸52に被嵌した押しばね56との付勢力に抗して、さらに昇降プレート4を下降動させると、両斜め切り刃32,32はガイド部材8の両案内面73,73に沿って、縦切り刃33は茎押え体53の案内溝59に沿って下降する。そして、根元受け溝68と押え突起59とにより茎部SDの根元部側を把持した状態で、その先端部Gの切断を開始する(図9参照)。
【0066】
この場合、平面視において茎部SDの軸線Aに対して略垂直に延びる案内溝59(図8参照)が、茎部SDのうち平面視で軸線A上の外径部に向けて、縦切り刃33をガイド(案内)するので、縦切り刃33は、その厚み方向にぶれることなく、前記外径部に切先33bから突き刺さる(図9及び図10参照)。
【0067】
したがって、縦切り刃33が平面視で茎部SDの軸線Aからずれた位置に突き刺さるおそれはほとんどない。
【0068】
一方、両斜め切り刃32,32の方では、下降動につれて末広がり状の両刃先32a,32a間の隙間に茎部SDの先端部Gが進入していくと、茎部SDのうち先端部G側の外径部と各刃先32aとの間隔がだんだんと狭まっていき、結果的に、両刃先32a,32aの中途部が茎部SDに対して前記外径部側から斜めに切り込む(図9及び図10参照)。
【0069】
この場合、両斜め切り刃32,32は、平面視でその内面側に茎部SDの先端部Gを挟んだ状態となるため、切断時にはこの先端部Gの抵抗により、両斜め切り刃32,32を茎部SDを挟んで外向きに押し出そうとする力が作用する。
【0070】
これに対して、平面視で両斜め切り刃32,32よりも外側に、昇降動時に両斜め切り刃32,32を略沿わせるための一対の案内片71,71(図4及び図7参照)が存在しており、これら両案内片71,71が、切断に際して、両斜め切り刃32,32における外向きの弾性変形を防止している。
【0071】
したがって、両斜め切り刃32,32は、茎部SDの先端部Gに対して、平面視で常に一定のくさび角θをもって切り込むのである。
【0072】
また、前述した通り、切断に際して、両案内片71,71が両斜め切り刃32,32における外向きの弾性変形を防止しているので、三つの切り刃32,32,33の突合せ部46が離れることもない。これにより、突合せ部46も、縦切り刃33の場合と同様に、平面視で根元受け溝68における中心線Cの延長線をほとんど位置ずれすることなく確実に通過する。
【0073】
次いで、図1の二点鎖線状態で示すように、さらに昇降プレート4を下降動させると、茎部SDのうち平面視で突合せ部46と重なる部位に向かって近付くように、各切り刃32,32,33の切り込み深さが深まり(図10参照)、最終的には、突合せ部46及び縦切り刃33が茎部SDの軸線Aを通り抜けて茎部SDの先端部Gを上下方向に貫通し、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるように切断される(図11及び図12参照)。
【0074】
以上のことから、第1実施形態の切断方法及びその装置によると、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるので、台木苗の茎部SDのうち子葉L,Lは残した状態で、これら両子葉L,L間の先端部Gすなわち生長点全体を完全に取り除くことができる。
【0075】
これにより、接ぎ木終了後に、接ぎ木した部分から穂木Hとは別の脇芽がでることがなく、接ぎ木後の苗を管理する際の手間を省略できるとともに、穂木Hの生長にとっても好ましいのである。
【0076】
また、台木Dにおける被切断部CDの両内向き傾斜面FD,FDのなす角度(くさび角θに略等しい)が切断のたびに異なったり、台木苗の茎部SDを切り損ねたりするという切断ミスのおそれを格段に低減できる。
【0077】
したがって、台木Dとなる根元部側の被切断部形状を、両内向き傾斜面FD,FDのなす角度が常に一定(くさび角θに略等しい)で、かつ被切断部CDの縦割り部BDが平面視で茎部SDの軸線Aと略一致した正確なY字状とすることができる。すなわち、台木苗における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである。
【0078】
その後、昇降プレート4から手を離せば、圧縮ばね14,14及び押しばね56,56の付勢力により、昇降プレート4、ひいてはカッタ機構5及び押え機構6がもとの上昇位置(図1の実線状態参照)まで上昇する。
【0079】
なお、カッタホルダ31における第2止めねじ43を緩めて、縦切り刃33を外した状態で、台木苗を切断することも可能である。
【0080】
次に、穂木苗を切断する場合の切断装置1の構成、及びその切断態様について説明する。図13は切断装置1の下部を示す拡大断面図、図14は穂木苗の切断態様を示す概略斜視図である。
【0081】
この場合は、ガイド部材8の側方であって苗載せ台7と反対側に、両案内片72,72の間に嵌る突出部75を有する平面視略T字状の台座9が下方からのねじ76で固定される。台座9における突出部75の外面とガイド部材8の両案内面73,73との間には、両斜め切り刃32,32が通過できる程度の隙間77,77が空いている。
【0082】
台座9の上面には、上向き開放状でかつ断面略円弧状の穂先受け溝78が、苗載せ台7における根元受け溝68の延長上に延びるように形成されている。この穂先受け溝78には、穂木苗における茎部SHの穂先部側が嵌め込まれることになる。
【0083】
穂木苗を切断するに際しては、予め、ガイド部材8の側方であって苗載せ台7と反対側に台座9をねじ76止めし、アジャスタねじ64のねじ込み量を加減して苗載せ台7の位置を調節固定しておく。
【0084】
次いで、苗載せ台7の根元受け溝68に、穂木苗における茎部SHの根元部側を嵌め込むとともに、台座9の穂先受け溝78に、茎部SHの穂先部側を嵌め込む(図14参照)。
【0085】
以降の手順は、前述した台木苗の場合と同様である。すなわち、各支柱3の外周に被嵌した圧縮ばね14と、押え機構6の各支軸52に被嵌した押しばね56との付勢力に抗して、昇降プレート4を手動で下降動させると、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接して、根元受け溝68内における茎部SHの根元部側を押え突起58で押え固定したのち、両斜め切り刃32,32はガイド部材8の両案内面73,73に沿って、縦切り刃33は茎押え体53の案内溝59に沿って下降し、最終的には、茎部SHを平面視でV字状に切断するのである。
【0086】
このように、穂木苗も台木苗と同様の手順で切断できるので、穂木Hとなる穂先部側の被切断部CH(図15(a)参照)の形状を、両外向き傾斜面FH,FHのなす角度が常に一定(くさび角θに略等しい)で、かつ被切断部CHの突端が平面視で茎部SHの軸線Aと略交差した正確なV字状とすることができる。すなわち、穂木苗における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである(図15(a)参照)。
【0087】
ここで、穂木苗における根元部側の被切断部は平面視でY字状となるが、この部分は捨てられるので、この部分がどのような形状に切断されても、問題となることはない。なお、穂木苗を切断する場合も、カッタホルダ31における第2止めねじ43を緩めて、縦切り刃33を外しておいてもよい。
【0088】
以上の手順で切断した台木D及び穂木Hを接ぎ木するに際しては、台木Dにおける被切断部CDの両内向き傾斜面FD,FDと、穂木Hにおける被切断部CHの両外向き傾斜面FH,FHを合せるように、台木Dの被切断部CDに穂木Hの被切断部CHを差し込む(図15(a)(b)参照)。
【0089】
次いで、弾性を有する合成樹脂製等で断面略C字状のクリップ80により、台木Dと穂木Hとの接合部分を包持して固定するのである(図15(b)(c)参照)。
【0090】
このようにして製作した接ぎ木は、対応し合う傾斜面FD,FHに現れた維管束同士を密接させることができるので、高い活着率が得られる。
【0091】
また、穂木Hにおける被切断部CHの突端が、台木Dにおける被切断部CDの縦割り部BDにまで差し込まれるため、被切断部CD,CH同士は外れにくくなる。これにより、作業者が接ぎ木後の苗を管理する上で手間がかからず、結果的に管理コストの低減に寄与できるのである。
【0092】
図16〜図18は、切断装置の別例を示す第2実施形態である。図16は切断装置81の全体を示す概略正面図、図17はクランプ状態を示す拡大断面図、図18は台木苗または穂木苗の切断態様を示す概略図である。
【0093】
第2実施形態の切断装置81は、門型フレーム82における天板の下面側に取付けた一対のクランプ機構83,84及びカッタ機構85とにより構成されている。
【0094】
両クランプ機構83,84は、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)をクランプするためのものであり、茎部SD′(SH′)の穂先部(上部)側をクランプする上クランプ機構83の基部は、カッタ機構85に近い側に配置されている一方、茎部SD′(SH′)の根元部側をクランプする下クランプ機構84の基部は、カッタ機構85から遠い側に配置されている。
【0095】
これら両クランプ機構83,84は、取付け位置の違いに拘らず、基本的に同じ構造である。
【0096】
上クランプ機構83は、水平方向に開閉動可能な一対の支持体86,87を備えている。上開閉アクチュエータ(図示せず)を介して、両支持体86,87を互いの間隔が狭まるように閉じ動させることにより、これら両支持体86,87の先端部に設けた挟持片88,89で茎部SD′(SH′)をクランプするように構成されている。また反対に、両支持体86,87を互いの間隔が広がるように開き動させることにより、先端部の挟持片88,89で茎部SD′(SH′)のクランプを解除するように構成されている。
【0097】
他方、下クランプ機構84についても、下開閉アクチュエータ(図示せず)を介して、一対の支持体90,91を互いの間隔が広狭するように開閉動させることにより、先端部の挟持片92,93で茎部SD′(SH′)をクランプ解除したりクランプしたりするように構成されている。
【0098】
なお、各挟持片88,89,92,93は断面L字状に形成されており(図17参照)、各水平板部の内辺には茎部SD′(SH′)を囲むように案内するためのガイド溝94,94,94,94が形成されている。また、各挟持片88,89,92,93には、挟持する際に茎部SD′(SH′)の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体95,95,95,95が取付けられている。両クランプ機構83,84は、請求項に記載した把持手段に相当する。
【0099】
カッタ手段としてのカッタ機構85は、両クランプ機構83,84と対向するように配置されており、接離移動用アクチュエータ104を介して両クランプ機構83,84の間に向かって接離するように移動可能なカッタ軸101と、このカッタ軸101の先端部に突設した一対の斜め切り刃102,102及び一つの縦切り刃103とを備えている。
【0100】
この実施形態では、茎部SD′(SH′)が三つの切り刃102,102,103による押し切りに対して逃げ移動しないように、両クランプ機構83,84で茎部SD′(SH′)の位置を拘束したのち、カッタ軸101における三つの切り刃102,102,103を両クランプ機構83,84の間に押し進めるように構成されている。
【0101】
三つの切り刃102,102,103は、互いに向かい合う側端部同士を突き合せた状態で、カッタ軸101に固着されている。両斜め切り刃102,102は、縦切り刃103を仮想中心線として線対称状に位置しており、切り刃102,102,103全体の断面形状はY字状となっている(図17の二点鎖線状態参照)。
【0102】
各切り刃102,102,103の形状及び配置関係は、第1実施形態の各切り刃32,32,33と基本的に同様である。
【0103】
すなわち、第1実施形態の場合と同様に、突合せ部105が短辺でもう一方の側端部が長辺であり、かつ先端側の刃先102a,102a,103aが傾斜状という略台形状に形成されている(図18参照)。
【0104】
また、隣り合う刃先間(両斜め切り刃102,102の刃先102a,102a間や、一方の斜め切り刃102の刃先102aと縦切り刃103の刃先103aとの間)の隙間間隔は、突合せ部105の最先端から各々の切先102b,102b,103bに向かってだんだんと広がっている。
【0105】
さらに、両斜め切り刃32,32の長さ(カッタ軸101の先端面から切先32bまでの長さ)も、縦切り刃33の長さ(カッタ軸101の先端面から切先33bまでの長さ)より長くなっている。
【0106】
カッタ軸101の先端には、両斜め切り刃102,102の外面側に略沿うように、上向きに広がる略ハ字状の案内片106,106が設けられている。これら両案内片106,106のうち相対向する内側の案内面107,107の夾角は、両斜め切り刃102,102のくさび角θ′に対応させている。
【0107】
この実施形態では、カッタ軸101とともに両案内片106,106も進退動するので、両斜め切り刃102,102は、これらに対応する案内面107,107に沿った状態で進退動することになる(図17参照)。
【0108】
両案内片106,106の下端側の隙間間隔は、茎部SD′(SH′)が嵌る程度の大きさに設定されている。両案内片106,106は請求項に記載したガイド手段に相当する。
【0109】
以上の構成において、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)を切断するには、両クランプ機構83,84により茎部SD′(SH′)の位置を拘束したのち、カッタ軸101における三つの切り刃102,102,103を両クランプ機構83,84の間に押し進めて、突合せ部105及び縦切り刃103が茎部SD′(SH′)の軸線A′を通り抜けて貫通することにより、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)を、両クランプ機構83,84の間で正面視Y字状に切断する。
【0110】
したがって、第2実施形態の切断方法及びその装置についても、第1実施形態の場合と同様に、茎部SD′(SH′)の切断ミスのおそれを格段に低減することができ、台木苗(穂木苗)における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである。
【0111】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えばカッタ機構に対して台木苗や穂木苗の茎部を移動させることにより切断するように構成したり、両者を互いに接近動させることにより切断するように構成したりしてもよい。
【0112】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る切断方法、及びこれに対応した請求項3の発明に係る切断装置によると、ガイド手段で両斜め切り刃を台木苗または穂木苗の茎部に向かって案内しながら、突合せ部が台木苗または穂木苗の茎部の軸線を略通るように、カッタ手段と把持手段とのうち少なくとも一方を相対移動させることにより、前記茎部をV字状に切断するので、被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なるというような切断ミスのおそれを格段に低減することができる。
【0113】
一方、請求項2の発明に係る切断方法、及びこれに対応した請求項4の発明に係る切断装置によると、ガイド手段で両斜め切り刃を台木苗または穂木苗の茎部に向かって案内しながら、突合せ部及び前記縦切り刃が台木苗または穂木苗の茎部の軸線を略通るように、カッタ手段と把持手段とのうち少なくとも一方を相対移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、前記茎部を切断するので、請求項1の場合と同様に、被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なるというような切断ミスのおそれを格段に低減することができる。
【0114】
したがって、本発明によると、台木苗や穂木苗における茎部の被切断部形状を常に一定形状とすることができるという効果を奏する。
【0115】
特に、台木苗を切断する場合は、台木となる根元部側の被切断部がV字状またはY字状となるから、生長点全体を完全に取り除くことができる。
【0116】
これにより、接ぎ木終了後に、接ぎ木した部分から穂木とは別の脇芽がでることがなく、接ぎ木後の苗を管理する際の手間を省略することができるとともに、穂木の効率のよい生長に寄与できるという効果を奏する。
【0117】
請求項5の発明は、請求項3または4の発明を具体化したものである。このように構成すると、平面視で両斜め切り刃よりも外側に、進退動時に両斜め切り刃を略沿わせるための一対の案内片が存在することになるので、切断に際して、これら両案内片により、両斜め切り刃における外向きの弾性変形を防止することができる。
【0118】
したがって、前記両斜め切り刃を、茎部に対して、平面視で常に一定のくさび角をもって切り込ませることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の切断装置の全体を示す概略正断面図である。
【図2】切断装置の全体を示す概略側断面図である。
【図3】(a)は図1のIIIa−IIIa視平断面図、(b)はカッタホルダ等の拡大平断面図である。
【図4】図1のIV−IV視平断面図である。
【図5】三つの切り刃の拡大側面図である。
【図6】台木苗を苗載せ台に載せた状態を示す概略斜視図である。
【図7】台木苗を苗載せ台と押え機構とで把持した状態を示す概略斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII視側面図である。
【図9】台木苗の茎部を切断する直前の状態を示す概略斜視図である。
【図10】切断途中の状態を示す概略斜視図である。
【図11】突合せ部まで貫通した状態を示す概略斜視図である。
【図12】切断後の台木を示す概略斜視図である。
【図13】切断装置の下部を示す拡大断面図である。
【図14】穂木苗の切断態様を示す概略斜視図である。
【図15】接ぎ木の手順を示す概略斜視図であり、(a)は被切断部同士を向かい合わせた状態を示す概略斜視図、(b)は穂木を台木に差し込んだ状態を示す概略斜視図、(c)は接合部分をクリップで包持固定した状態を示す概略斜視図である。
【図16】第2実施形態の切断装置の全体を示す概略正面図である。
【図17】クランプ状態を示す拡大断面図である。
【図18】台木苗または穂木苗の切断態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1,81 切断装置
4 昇降プレート
5,101 カッタ機構
6 押え機構
7 苗載せ台
8 ガイド部材
31 カッタホルダ
32,102 斜め切り刃
33,103 縦切り刃
46,105 突合せ部
53 茎押え体
58 押え突起
59 案内溝
68 根元受け溝
69 凹所
71,106 案内片
73,107 案内面
83 上クランプ機構
84 下クランプ機構
86,87,90,91 支持体
88,89,92,93 挟持片
【発明の属する技術分野】
本発明は、接ぎ木作業に際して穂木苗や台木苗の茎部を切断する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、耐病性向上、着果促進及び品質向上等を目的として、野菜や果物等の苗を接ぎ木するに際しては、割り接ぎが広く行われている。割り接ぎは、穂木苗の茎部をV字状(楔状)に切断し、台木のうち縦割りした先端部にV字状の被切断部を差し込んだのち、この接合部分を合成樹脂等のクリップ等で固定するというものである。
【0003】
例えば特許文献1には、穂木苗の茎部をV字状に切断する装置の一例が開示されている。この例では、長手側縁部に刃先を有する一対の切り刃が平面視略矩形状の基台に立設されている。これら両切り刃は、両刃先のうち基台から離れた先端同士が当接し、基台寄りの基端に近付くにつれて刃先間の隙間間隔が広がるようにして、平面視で略V字状に配置されており、両切り刃における刃先間には昇降動可能な穂木載せ台が設けられている。穂木苗が置かれた穂木載せ台を上昇動させると、穂木苗の茎部は、両刃先の当接部分を突き抜けてV字状に切断されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には切断装置の別例が開示されている。この例では、鋏型器具における一方の腕部の先端部位に、可撓性を有する一対の切り刃が設けられており、他方の腕部の先端部位には凹溝及びV字スリットが設けられている。この凹溝に茎部をあてがいながら、両切り刃の切先をV字スリットに沿わせて突き合せるまで撓ませると、茎部はV字状に切断されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−223635号公報
【特許文献2】
特公平7−36734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1の構成では、両切り刃の先端部側(両刃先の当接部分を含む側)は全く固定されておらず、両刃先の先端同士も当接しているだけであるから、穂木苗の茎部の強度や太さ等によっては、この茎部が両刃先の当接部分を突き抜けるに際して、両切り刃の先端部が茎部の半径方向外向きに広がるように弾性変形し、両刃先の当接部分が離れたり、両切り刃のなす角度が広がったりするおそれがあった。
【0007】
このため、例えば略同じ茎径の穂木苗群を各々切断したとしても、茎部を切り損ねたり、V字状の被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なり、常に一定の尖り角度とはならないという問題があった。
【0008】
一方、前記特許文献2の構成では、穂木苗の茎部をV字状に切断する際に、両切り刃がV字スリットでガイド(案内)されるものの、両腕部が閉じ動するように鋏型器具を握って、両切り刃の切先をV字スリットに沿わせて突き合せるまで撓ませるという操作を、切断のたびに行わなければならないから、茎部の強度や太さ、鋏型器具の握り加減等によっては、両切り刃の切先を突き合せる前に鋏型器具の握り操作を解除して、茎部を切り損ねる場合があり、前記特許文献2の場合も、常に一定の尖り角度とはならないという問題があった。
【0009】
また、V字状の被切断部における両方の被切断面に、茎における維管束をできるだけ大きく出現させるには、V字状の被切断部の突端が茎部の軸線上に位置するように茎部を切断すべきであるが、そのためには、V字スリットの突合せ部分が茎部の軸線と重なるように、茎部を凹溝にあてがう必要がある。
【0010】
しかし、例えば穂木苗の茎径が凹溝の内径よりも小さい場合は、茎部と凹溝との間に遊びができることに加えて、茎部は作業者の手で凹溝にあてがわれることから、V字スリットに対する茎部の位置合せが難しいという問題もあった。
【0011】
ところで、通常の割り接ぎでは、台木の先端部は穂木の被切断部を差し込めるように縦割りされていたから、この先端部には生長点(茎頂)が残っていた。このため、接ぎ木終了後、二つ割りした台木先端部の一方または両方から、穂木とは別の芽(以下、脇芽という)が出てくる場合があり、穂木の生長に好ましくないという問題も存在していた。
【0012】
そこで本発明は、以上のような割り接ぎに関する問題点を全て解消して、常に簡単かつ正確に、穂木苗や台木苗の茎部を切断でき、しかも、高い活着率が得られる切断方法およびその装置を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、本発明に係る切断方法の一つは、請求項1に記載したように、穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、次いで、一対の斜め切り刃を断面V字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、前記茎部をV字状に切断するというものである。
【0014】
もう一つの方法は、請求項2に記載したように、穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、次いで、一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、前記茎部を切断するというものである。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る切断方法に対応した切断装置であって、穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、一対の斜め切り刃を断面V字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、前記両斜め切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したというものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2の発明に係る切断方法に対応した切断装置であって、穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、前記両斜め切り刃及び前記縦切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したというものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載した切断装置において、前記ガイド手段は、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて前記両斜め切り刃よりも外側に配置した一対の案内片を備え、これら両案内片のうち相対向する内側の案内面を、前記カッタ手段または前記把持手段とのうち少なくとも一方が相対移動したときに前記各斜め切り刃が略沿うように、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて略ハ字状に形成したというものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図18)に基づいて説明する。
【0019】
まず、図1〜図3を参照しながら切断装置1の概要について説明する。図1は切断装置1の全体を示す概略正断面図、図2は概略側断面図、図3のうち(a)は図1のIIIa−IIIa視平断面図、(b)はカッタ機構5を構成するカッタホルダ31等の拡大平断面図である。
【0020】
この実施形態の切断装置1は、平面視略矩形状の基台2と、この基台2の上面に下方からのねじ10,10で立設固定した一対の支柱3,3と、これら両支柱3,3で昇降動可能に支持された平面視略三角形状の昇降プレート4と、当該昇降プレート4の下面に取付けたカッタ機構5と、このカッタ機構5の一側部(実施形態では図1において右側部)に配置した押え機構6と、当該押え機構6と相対向するように基台2の上面に配置した苗載せ台7と、カッタ機構5における一対の斜め切り刃32,32(詳細は後述する)と相対向するように苗載せ台7の近傍箇所(実施形態では図1において苗載せ台7の左方)に下方からのねじ11で固定したガイド部材8とを備えている。
【0021】
基台2は金属板または合成樹脂板製等のものである。基台2における下面の四隅部には、切断装置1を作業机上等に安定的に載置する等のために、ゴム製等の足部材12が下方からのねじ13で固定されている(実施形態では四つ)。
【0022】
一対の支柱3は金属または合成樹脂製等のものであり、中空パイプ状に形成されている。各支柱3の外周には圧縮ばね14が被嵌されており、これら各圧縮ばね14により、昇降プレート4が常時上向きに弾力付勢されている。
【0023】
両支柱3,3の上端間には、昇降プレート4の上方への抜け出しを規制する規制板15が装架されている。この実施形態では、規制板15は各支柱3の上端に上方からのねじ16で固定されている。
【0024】
なお、この実施形態では、昇降プレート4は手動で昇降動させるが、これに限らず、例えばモータで昇降動するように構成してもよい。
【0025】
金属板または合成樹脂板製等の昇降プレート4には、両支柱3,3の間の部位に、下向きに延びるストッパ部材17が取付けられている(図2及び図3参照)。ストッパ部材17は、昇降プレート4とともに下降動するカッタ機構5の各切り刃32,32,33(詳細は後述する)の下降限を設定するためのものである。
【0026】
この実施形態では、昇降プレート4のうち両支柱3,3の間の部位に上下に貫通するように設けたナット部18に、ストッパ部材17の上端部に形成した雄ねじ部19を下方からねじ込んで、そのねじ込み量を加減することにより、ストッパ部材17の下向き突出長さ、ひいては昇降プレート4や各切り刃32,32,33の下降限を調節するようになっている。ストッパ部材17の下端部には、下降限において基台2の上面に当接するゴム製等の緩衝体20が下方からのねじ21で固定されている。
【0027】
次に、図1〜図5を参照しながら、切断装置1の主要部(カッタ機構5、押え機構6、苗載せ台7及びガイド部材8)の構成について説明する。図4は図1のIV−IV視平断面図、図5は三つの切り刃32,32,33の拡大側面図である。
【0028】
請求項に記載したカッタ手段としてのカッタ機構5は、昇降プレート4の下面前部側に上方からのねじ35(実施形態では二つ)で固定したカッタホルダ31と、このカッタホルダ31に下向きに突出するように装着した一対の斜め切り刃32,32及び一つの縦切り刃33と、昇降プレート4の下面のうちカッタホルダ31の一側方に固定した支持ブラケット34とにより構成されている。
【0029】
カッタホルダ31には、平面視略く字状に凹み、かつ下向きに開口したホルダ溝36と、下向きに開口したホルダ穴37とが形成されている(図3(a)(b)参照)。図3(b)に詳細に示すように、ホルダ溝36の突当り隅部38はホルダ穴37に連通している。
【0030】
この実施形態では、ホルダ溝36のうち平断面視略ハ字状に並ぶ両支持面39,39に、斜め切り刃32のうち刃先32aと反対側の柄部を各々沿わせて、断面略三角形状の第1刃押え体40により両方の柄部を押えた状態で、支持ブラケット34のねじ穴41に第1止めねじ42をねじ込み、その先端部で第1刃押え体40を押付けることにより、両斜め切り刃32,32がカッタホルダ31に押え固定されている。
【0031】
また同様に、ホルダ穴37内の奥寄りの端面に、縦切り刃33のうち刃先33aと反対側の柄部を沿わせて、ホルダ穴37に内装した断面略矩形状の第2刃押え体43により柄部を押えた状態で、カッタホルダ31の前面に設けたねじ穴44に第2止めねじ45をねじ込み、その先端部で第2刃押え体43を押付けることにより、縦切り刃33がカッタホルダ31に押え固定されている。
【0032】
これら三つの切り刃32,32,33は、ホルダ溝36とホルダ穴37との連通部位(突当り隅部38)において互いに向かい合う側端部同士を突き合せた状態で、カッタホルダ31に着脱可能に装着されている。
【0033】
両斜め切り刃32,32は、平断面視において縦切り刃33を仮想中心線として線対称状に位置しており、切り刃32,32,33全体の平断面視形状はY字状となっている(図3(a)及び図4参照)。
【0034】
突合せ部46及び縦切り刃33は、平面視で苗載せ台7の根元受け溝68における中心線Cの延長線(詳細は後述する、図4及び図8参照)上に位置している。したがって、両斜め切り刃32,32は、平面視で前記中心線Cの延長線を挟んで線対称状に位置しているのである。
【0035】
両斜め切り刃32,32の夾角θ(以下、くさび角θという)は、台木苗を切断する場合は略40°程度、穂木苗を切断する場合は略20°程度に設定するのが好ましい。
【0036】
なお、詳細は図示していないが、この場合は、各切り刃32,32,33の柄部に設けた係止穴(図示せず)に、各刃押え体40,42の当接端面に設けた突起(図示せず)を嵌合させている。これにより、各切り刃32,32,33がカッタホルダ31から不用意に脱落することを防止している。
【0037】
図1及び図2等に示すように、各切り刃32,32,33は、突合せ部46が短辺でもう一方の側端部が長辺であり、かつ下端側の刃先32a,32a,33aが傾斜状という略台形状に形成されている。
【0038】
したがって、隣り合う刃先間(両斜め切り刃32,32の刃先32a,32a間や、一方の斜め切り刃32の刃先32aと縦切り刃33の刃先33aとの間)の隙間間隔は、突合せ部46の最下端から各々の切先32b,32b,33bに向かってだんだんと広がっている(図5、図7及び図9〜図11参照)。換言すると、これら三つの切り刃32,32,33は、その下方に、突合せ部46の最下端を頂点とし各刃先32a,32a,33aを斜辺とする略三角錐状の空間を形成するように、カッタホルダ31に着脱可能に装着されているのである。
【0039】
また、図1、図2及び図5に示すように、両斜め切り刃32,32の上下方向の長さBL1(カッタホルダ31の下端面から切先32bまでの長さ)は、縦切り刃33の上下方向の長さBL2(カッタホルダ31の下端面から切先33bまでの長さ)よりも長くなっている。
【0040】
このことと、両斜め切り刃32,32の刃先32a,32a間の隙間間隔が下向きに広がっていることとにより、両斜め切り刃32,32の刃先32a,32aを接線とし、かつ縦切り刃33の切先33bにも接する半径Rを有する茎部SD0(SH0)(図5の一点鎖線状態参照)よりも小さい半径の茎部SD(SH)を、カッタ機構5で切断する場合は、その茎部SD(SH)の外径部に、両斜め切り刃32,32よりも先に縦切り刃33が突き刺さることになる。
【0041】
なお、各切り刃32,32,33はカッタホルダ31に対して着脱不能に固定されていてもよいし、各切り刃32,32,33同士が一体的に形成されていてもよい。また、各切り刃32,32,33の材質は、金属製、セラミックス製または合成樹脂製等いずれのものでもよい。
【0042】
図1〜図3に示すように、押え機構6は、カッタ機構5の一側部にねじ54(実施形態では二つ)固定した支持ブロック51と、この支持ブロック51に設けた上下貫通状の軸穴55(実施形態では二つ)に遊嵌した一対の支軸52,52と、これら両支軸52,52の下端に設けた平面視略矩形状の茎押え体53とを備えている。
【0043】
各支軸52の外周には押しばね56が被嵌されており、これら各押しばね56により茎押え体53が常時下向きに弾力付勢されている。各支軸52の上端部にはナット57がねじ込まれており、各支軸52が支持ブロック51の軸穴55から下方に抜け出るのを防止している。
【0044】
この実施形態では、例えば昇降プレート4を下降動させると、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接するまではカッタ機構5及び押え機構6の両方とも下降動するが、その後はストッパ部材17の緩衝体20が基台2の上面に突き当るまで、カッタ機構5だけが下降動することになる。
【0045】
なお、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接した状態で、さらに昇降プレート4を下降動させると、押え機構6の両支軸52,52は、カッタ機構5に固定した支持ブロック51から上向きに突出することになるので、これら両支軸52,52が昇降プレート4の下降動の邪魔にならないように、昇降プレート4の前部のうち支持ブロック51の上方部位は切り欠かれている(図3参照)。
【0046】
茎押え体53の下面には、昇降プレート4の下降動時に苗載せ台7の根元受け溝68(詳細は後述する)に嵌る押え突起58が取付けられている(図1、図2及び図8参照)。この押え突起58はゴムやスポンジ等の軟質材製である。これにより、茎押え体53と苗載せ台7の根元受け溝68とで、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)を移動不能に把持する際に、茎部SD,SHの損傷を防止している。
【0047】
茎押え体53及び押え突起58の一側には、苗載せ台7の根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)に向かって縦切り刃33を案内するための案内溝59が上下に延びるように形成されている。茎押え体53を苗載せ台7の上面に当接させた状態で、縦切り刃33が案内溝59内を通過するように構成されている。
【0048】
これにより、縦切り刃33は、平面視で根元受け溝68における中心線Cの延長線(詳細は後述する、図4及び図8参照)をほとんど位置ずれすることなく確実に通過する。
【0049】
苗載せ台7は、基台2の上面にねじ62固定した前後一対のL字プレート61,61の間に挟まれて、水平方向(実施形態では左右方向)に移動可能に構成されている。この実施形態では、苗載せ台7の一端部(実施形態では図1において右端部)に設けたねじ穴63(図1参照)に、アジャスタねじ64が、基台2の一側面(実施形態では図1において右側面)に固定した支持ブラケット65の貫通穴及び二つのナット66,67を介してねじ込まれている(図3及び図4参照)。
【0050】
したがって、苗載せ台7のねじ穴63に対するアジャスタねじ64のねじ込み量を加減することにより、苗載せ台7の位置が調節される。その後、アジャスタねじ64の頭部と第1ナット66とで支持ブラケット65を挟み付け、かつ第2ナット67を苗載せ台7の一端部に当接させることにより、苗載せ台7は調節後の位置に固定される。
【0051】
苗載せ台7の上面には、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)が嵌る上向き開放状の根元受け溝68が水平方向に延びるように形成されている。この根元受け溝68の断面形状は略円弧状となっている。これは、通常、台木苗の茎部SD(穂木苗の茎部SH)が略円柱形状であるから、根元受け溝68の溝幅を二分する中心線C(図4及び図8参照)と、根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)の軸線A(図8〜図12参照)とを平面視で常に略一致させるため、すなわち茎部SD(SH)の位置決めを簡単かつ確実に行うためである。
【0052】
この根元受け溝68に嵌め込んだ茎部SD(SH)を、茎押え体53の押え突起58で上方から押えることにより、茎部SD(SH)は根元受け溝68内でがたつくことなくしっかりと把持される(図7及び図8参照)。
【0053】
根元受け溝68の一端(右端)は、苗載せ台7における上面側の右コーナ部まで延びて外向きに開口している一方、その他端(左端)は、苗載せ台7における上面側に開放された略縦溝状の凹所69に連通している。
【0054】
この凹所69は、例えば台木苗における子葉L,Lの葉柄を折らないようにするため、前後幅間隔が外向きに広がった平面視略く字状に形成されている。
【0055】
また、凹所69における水平方向の凹み寸法X(図1及び図4参照)及び上下方向の深さ寸法Z(図1及び図8参照)は、昇降プレート4が下降動するに際して、縦切り刃33が凹所69内の端面に干渉せずに移動できる程度の寸法となるように設定されている。苗載せ台7及び前述した押え機構6は、請求項に記載した把持手段に相当するものである。
【0056】
請求項に記載したガイド手段としてのガイド部材8は、苗載せ台7の根元受け溝68に嵌った茎部SD(SH)に向かって両斜め切り刃32,32を案内するためのものであり、上向きに突出した一対の案内片71,71と、これら両案内片71,71を連結する底部72とからなる略U字状に形成されている(図2、図4及び図8参照)。
【0057】
両案内片71,71は、平面視において苗載せ台7の根元受け溝68における中心線Cの延長線を中心として、両斜め切り刃32,32よりも外側に位置している。
【0058】
両案内片71,71のうち相対向する内側の案内面73,73は、その隙間間隔が平面視で苗載せ台7から遠ざかるにつれて広がるように、略ハ字状に傾斜している。これら両案内面73,73の夾角は、両斜め切り刃32,32のくさび角θに対応させている。したがって、昇降プレート4が昇降動するに際して、各案内面73には、これに対応する斜め切り刃32の片面が略沿うことになる(図4参照)。なお、両案内片71,71は、前述のように一体的に設けるに限らず、各々別体で構成してもよい。
【0059】
両案内面73,73に挟まれた底部72は、昇降プレート4の下降動時に両斜め切り刃32,32の刃先32a,32aが干渉せずに移動できるように、右下がり傾斜状に形成されている。なお、ガイド部材8のうち苗載せ台7に対向する部位には、苗載せ台7の端部が嵌り得るように内向きに凹ませた受け部74が形成されている(図4参照)。
【0060】
次に、台木苗を例に挙げて、切断装置1による切断態様を説明する。図6、図7、図9〜図12は台木苗の切断手順を示す概略斜視図、図8は図7のVIII−VIII視側面図である。
【0061】
この例では、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるように(図12参照)、台木苗の茎部SDのうち子葉L,Lは残した状態で、これら両子葉L,L間であって生長点を含んだ先端部G(穂先部)を切断する。
【0062】
まず、アジャスタねじ64を回してねじ込み量を加減することにより、苗載せ台7の位置を予め調節固定しておく(図6の二点鎖線状態参照)。これは、苗載せ台7の根元受け溝68に茎部SDの根元部側を嵌め込んだときに、茎部SDの先端部G(生長点全体)が平面視で両斜め切り刃32,32に挟まれる位置となり、かつ先端部G側の子葉L,Lが苗載せ台7とガイド部材8の受け部74とで潰されないようにするためである。
【0063】
次いで、苗載せ台7の根元受け溝68に、茎部SDの根元部側を嵌め込む。この場合、茎部SDは、根元受け溝68に対して、その中心線Cと茎部SDの軸線Aとが平面視で略一致するように、簡単かつ確実に位置決めされる。
【0064】
次いで、各支柱3の外周に被嵌した圧縮ばね14の付勢力に抗して、昇降プレート4を手動で下降動させると、昇降プレート4とともにカッタ機構5及び押え機構6が下降し、カッタ機構5での切断よりも先に、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接して、根元受け溝68内における茎部SDの根元部側を押え突起58で押え固定する(図7及び図8参照)。
【0065】
次いで、各圧縮ばね14と、押え機構6の各支軸52に被嵌した押しばね56との付勢力に抗して、さらに昇降プレート4を下降動させると、両斜め切り刃32,32はガイド部材8の両案内面73,73に沿って、縦切り刃33は茎押え体53の案内溝59に沿って下降する。そして、根元受け溝68と押え突起59とにより茎部SDの根元部側を把持した状態で、その先端部Gの切断を開始する(図9参照)。
【0066】
この場合、平面視において茎部SDの軸線Aに対して略垂直に延びる案内溝59(図8参照)が、茎部SDのうち平面視で軸線A上の外径部に向けて、縦切り刃33をガイド(案内)するので、縦切り刃33は、その厚み方向にぶれることなく、前記外径部に切先33bから突き刺さる(図9及び図10参照)。
【0067】
したがって、縦切り刃33が平面視で茎部SDの軸線Aからずれた位置に突き刺さるおそれはほとんどない。
【0068】
一方、両斜め切り刃32,32の方では、下降動につれて末広がり状の両刃先32a,32a間の隙間に茎部SDの先端部Gが進入していくと、茎部SDのうち先端部G側の外径部と各刃先32aとの間隔がだんだんと狭まっていき、結果的に、両刃先32a,32aの中途部が茎部SDに対して前記外径部側から斜めに切り込む(図9及び図10参照)。
【0069】
この場合、両斜め切り刃32,32は、平面視でその内面側に茎部SDの先端部Gを挟んだ状態となるため、切断時にはこの先端部Gの抵抗により、両斜め切り刃32,32を茎部SDを挟んで外向きに押し出そうとする力が作用する。
【0070】
これに対して、平面視で両斜め切り刃32,32よりも外側に、昇降動時に両斜め切り刃32,32を略沿わせるための一対の案内片71,71(図4及び図7参照)が存在しており、これら両案内片71,71が、切断に際して、両斜め切り刃32,32における外向きの弾性変形を防止している。
【0071】
したがって、両斜め切り刃32,32は、茎部SDの先端部Gに対して、平面視で常に一定のくさび角θをもって切り込むのである。
【0072】
また、前述した通り、切断に際して、両案内片71,71が両斜め切り刃32,32における外向きの弾性変形を防止しているので、三つの切り刃32,32,33の突合せ部46が離れることもない。これにより、突合せ部46も、縦切り刃33の場合と同様に、平面視で根元受け溝68における中心線Cの延長線をほとんど位置ずれすることなく確実に通過する。
【0073】
次いで、図1の二点鎖線状態で示すように、さらに昇降プレート4を下降動させると、茎部SDのうち平面視で突合せ部46と重なる部位に向かって近付くように、各切り刃32,32,33の切り込み深さが深まり(図10参照)、最終的には、突合せ部46及び縦切り刃33が茎部SDの軸線Aを通り抜けて茎部SDの先端部Gを上下方向に貫通し、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるように切断される(図11及び図12参照)。
【0074】
以上のことから、第1実施形態の切断方法及びその装置によると、台木Dとなる根元部側の被切断部CDが平面視でY字状となるので、台木苗の茎部SDのうち子葉L,Lは残した状態で、これら両子葉L,L間の先端部Gすなわち生長点全体を完全に取り除くことができる。
【0075】
これにより、接ぎ木終了後に、接ぎ木した部分から穂木Hとは別の脇芽がでることがなく、接ぎ木後の苗を管理する際の手間を省略できるとともに、穂木Hの生長にとっても好ましいのである。
【0076】
また、台木Dにおける被切断部CDの両内向き傾斜面FD,FDのなす角度(くさび角θに略等しい)が切断のたびに異なったり、台木苗の茎部SDを切り損ねたりするという切断ミスのおそれを格段に低減できる。
【0077】
したがって、台木Dとなる根元部側の被切断部形状を、両内向き傾斜面FD,FDのなす角度が常に一定(くさび角θに略等しい)で、かつ被切断部CDの縦割り部BDが平面視で茎部SDの軸線Aと略一致した正確なY字状とすることができる。すなわち、台木苗における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである。
【0078】
その後、昇降プレート4から手を離せば、圧縮ばね14,14及び押しばね56,56の付勢力により、昇降プレート4、ひいてはカッタ機構5及び押え機構6がもとの上昇位置(図1の実線状態参照)まで上昇する。
【0079】
なお、カッタホルダ31における第2止めねじ43を緩めて、縦切り刃33を外した状態で、台木苗を切断することも可能である。
【0080】
次に、穂木苗を切断する場合の切断装置1の構成、及びその切断態様について説明する。図13は切断装置1の下部を示す拡大断面図、図14は穂木苗の切断態様を示す概略斜視図である。
【0081】
この場合は、ガイド部材8の側方であって苗載せ台7と反対側に、両案内片72,72の間に嵌る突出部75を有する平面視略T字状の台座9が下方からのねじ76で固定される。台座9における突出部75の外面とガイド部材8の両案内面73,73との間には、両斜め切り刃32,32が通過できる程度の隙間77,77が空いている。
【0082】
台座9の上面には、上向き開放状でかつ断面略円弧状の穂先受け溝78が、苗載せ台7における根元受け溝68の延長上に延びるように形成されている。この穂先受け溝78には、穂木苗における茎部SHの穂先部側が嵌め込まれることになる。
【0083】
穂木苗を切断するに際しては、予め、ガイド部材8の側方であって苗載せ台7と反対側に台座9をねじ76止めし、アジャスタねじ64のねじ込み量を加減して苗載せ台7の位置を調節固定しておく。
【0084】
次いで、苗載せ台7の根元受け溝68に、穂木苗における茎部SHの根元部側を嵌め込むとともに、台座9の穂先受け溝78に、茎部SHの穂先部側を嵌め込む(図14参照)。
【0085】
以降の手順は、前述した台木苗の場合と同様である。すなわち、各支柱3の外周に被嵌した圧縮ばね14と、押え機構6の各支軸52に被嵌した押しばね56との付勢力に抗して、昇降プレート4を手動で下降動させると、茎押え体53が苗載せ台7の上面に当接して、根元受け溝68内における茎部SHの根元部側を押え突起58で押え固定したのち、両斜め切り刃32,32はガイド部材8の両案内面73,73に沿って、縦切り刃33は茎押え体53の案内溝59に沿って下降し、最終的には、茎部SHを平面視でV字状に切断するのである。
【0086】
このように、穂木苗も台木苗と同様の手順で切断できるので、穂木Hとなる穂先部側の被切断部CH(図15(a)参照)の形状を、両外向き傾斜面FH,FHのなす角度が常に一定(くさび角θに略等しい)で、かつ被切断部CHの突端が平面視で茎部SHの軸線Aと略交差した正確なV字状とすることができる。すなわち、穂木苗における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである(図15(a)参照)。
【0087】
ここで、穂木苗における根元部側の被切断部は平面視でY字状となるが、この部分は捨てられるので、この部分がどのような形状に切断されても、問題となることはない。なお、穂木苗を切断する場合も、カッタホルダ31における第2止めねじ43を緩めて、縦切り刃33を外しておいてもよい。
【0088】
以上の手順で切断した台木D及び穂木Hを接ぎ木するに際しては、台木Dにおける被切断部CDの両内向き傾斜面FD,FDと、穂木Hにおける被切断部CHの両外向き傾斜面FH,FHを合せるように、台木Dの被切断部CDに穂木Hの被切断部CHを差し込む(図15(a)(b)参照)。
【0089】
次いで、弾性を有する合成樹脂製等で断面略C字状のクリップ80により、台木Dと穂木Hとの接合部分を包持して固定するのである(図15(b)(c)参照)。
【0090】
このようにして製作した接ぎ木は、対応し合う傾斜面FD,FHに現れた維管束同士を密接させることができるので、高い活着率が得られる。
【0091】
また、穂木Hにおける被切断部CHの突端が、台木Dにおける被切断部CDの縦割り部BDにまで差し込まれるため、被切断部CD,CH同士は外れにくくなる。これにより、作業者が接ぎ木後の苗を管理する上で手間がかからず、結果的に管理コストの低減に寄与できるのである。
【0092】
図16〜図18は、切断装置の別例を示す第2実施形態である。図16は切断装置81の全体を示す概略正面図、図17はクランプ状態を示す拡大断面図、図18は台木苗または穂木苗の切断態様を示す概略図である。
【0093】
第2実施形態の切断装置81は、門型フレーム82における天板の下面側に取付けた一対のクランプ機構83,84及びカッタ機構85とにより構成されている。
【0094】
両クランプ機構83,84は、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)をクランプするためのものであり、茎部SD′(SH′)の穂先部(上部)側をクランプする上クランプ機構83の基部は、カッタ機構85に近い側に配置されている一方、茎部SD′(SH′)の根元部側をクランプする下クランプ機構84の基部は、カッタ機構85から遠い側に配置されている。
【0095】
これら両クランプ機構83,84は、取付け位置の違いに拘らず、基本的に同じ構造である。
【0096】
上クランプ機構83は、水平方向に開閉動可能な一対の支持体86,87を備えている。上開閉アクチュエータ(図示せず)を介して、両支持体86,87を互いの間隔が狭まるように閉じ動させることにより、これら両支持体86,87の先端部に設けた挟持片88,89で茎部SD′(SH′)をクランプするように構成されている。また反対に、両支持体86,87を互いの間隔が広がるように開き動させることにより、先端部の挟持片88,89で茎部SD′(SH′)のクランプを解除するように構成されている。
【0097】
他方、下クランプ機構84についても、下開閉アクチュエータ(図示せず)を介して、一対の支持体90,91を互いの間隔が広狭するように開閉動させることにより、先端部の挟持片92,93で茎部SD′(SH′)をクランプ解除したりクランプしたりするように構成されている。
【0098】
なお、各挟持片88,89,92,93は断面L字状に形成されており(図17参照)、各水平板部の内辺には茎部SD′(SH′)を囲むように案内するためのガイド溝94,94,94,94が形成されている。また、各挟持片88,89,92,93には、挟持する際に茎部SD′(SH′)の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体95,95,95,95が取付けられている。両クランプ機構83,84は、請求項に記載した把持手段に相当する。
【0099】
カッタ手段としてのカッタ機構85は、両クランプ機構83,84と対向するように配置されており、接離移動用アクチュエータ104を介して両クランプ機構83,84の間に向かって接離するように移動可能なカッタ軸101と、このカッタ軸101の先端部に突設した一対の斜め切り刃102,102及び一つの縦切り刃103とを備えている。
【0100】
この実施形態では、茎部SD′(SH′)が三つの切り刃102,102,103による押し切りに対して逃げ移動しないように、両クランプ機構83,84で茎部SD′(SH′)の位置を拘束したのち、カッタ軸101における三つの切り刃102,102,103を両クランプ機構83,84の間に押し進めるように構成されている。
【0101】
三つの切り刃102,102,103は、互いに向かい合う側端部同士を突き合せた状態で、カッタ軸101に固着されている。両斜め切り刃102,102は、縦切り刃103を仮想中心線として線対称状に位置しており、切り刃102,102,103全体の断面形状はY字状となっている(図17の二点鎖線状態参照)。
【0102】
各切り刃102,102,103の形状及び配置関係は、第1実施形態の各切り刃32,32,33と基本的に同様である。
【0103】
すなわち、第1実施形態の場合と同様に、突合せ部105が短辺でもう一方の側端部が長辺であり、かつ先端側の刃先102a,102a,103aが傾斜状という略台形状に形成されている(図18参照)。
【0104】
また、隣り合う刃先間(両斜め切り刃102,102の刃先102a,102a間や、一方の斜め切り刃102の刃先102aと縦切り刃103の刃先103aとの間)の隙間間隔は、突合せ部105の最先端から各々の切先102b,102b,103bに向かってだんだんと広がっている。
【0105】
さらに、両斜め切り刃32,32の長さ(カッタ軸101の先端面から切先32bまでの長さ)も、縦切り刃33の長さ(カッタ軸101の先端面から切先33bまでの長さ)より長くなっている。
【0106】
カッタ軸101の先端には、両斜め切り刃102,102の外面側に略沿うように、上向きに広がる略ハ字状の案内片106,106が設けられている。これら両案内片106,106のうち相対向する内側の案内面107,107の夾角は、両斜め切り刃102,102のくさび角θ′に対応させている。
【0107】
この実施形態では、カッタ軸101とともに両案内片106,106も進退動するので、両斜め切り刃102,102は、これらに対応する案内面107,107に沿った状態で進退動することになる(図17参照)。
【0108】
両案内片106,106の下端側の隙間間隔は、茎部SD′(SH′)が嵌る程度の大きさに設定されている。両案内片106,106は請求項に記載したガイド手段に相当する。
【0109】
以上の構成において、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)を切断するには、両クランプ機構83,84により茎部SD′(SH′)の位置を拘束したのち、カッタ軸101における三つの切り刃102,102,103を両クランプ機構83,84の間に押し進めて、突合せ部105及び縦切り刃103が茎部SD′(SH′)の軸線A′を通り抜けて貫通することにより、台木苗(穂木苗)の茎部SD′(SH′)を、両クランプ機構83,84の間で正面視Y字状に切断する。
【0110】
したがって、第2実施形態の切断方法及びその装置についても、第1実施形態の場合と同様に、茎部SD′(SH′)の切断ミスのおそれを格段に低減することができ、台木苗(穂木苗)における茎部の被切断部形状を、常に一定形状とすることができるのである。
【0111】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えばカッタ機構に対して台木苗や穂木苗の茎部を移動させることにより切断するように構成したり、両者を互いに接近動させることにより切断するように構成したりしてもよい。
【0112】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る切断方法、及びこれに対応した請求項3の発明に係る切断装置によると、ガイド手段で両斜め切り刃を台木苗または穂木苗の茎部に向かって案内しながら、突合せ部が台木苗または穂木苗の茎部の軸線を略通るように、カッタ手段と把持手段とのうち少なくとも一方を相対移動させることにより、前記茎部をV字状に切断するので、被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なるというような切断ミスのおそれを格段に低減することができる。
【0113】
一方、請求項2の発明に係る切断方法、及びこれに対応した請求項4の発明に係る切断装置によると、ガイド手段で両斜め切り刃を台木苗または穂木苗の茎部に向かって案内しながら、突合せ部及び前記縦切り刃が台木苗または穂木苗の茎部の軸線を略通るように、カッタ手段と把持手段とのうち少なくとも一方を相対移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、前記茎部を切断するので、請求項1の場合と同様に、被切断部における両方の被切断面のなす角度が切断のたびに異なるというような切断ミスのおそれを格段に低減することができる。
【0114】
したがって、本発明によると、台木苗や穂木苗における茎部の被切断部形状を常に一定形状とすることができるという効果を奏する。
【0115】
特に、台木苗を切断する場合は、台木となる根元部側の被切断部がV字状またはY字状となるから、生長点全体を完全に取り除くことができる。
【0116】
これにより、接ぎ木終了後に、接ぎ木した部分から穂木とは別の脇芽がでることがなく、接ぎ木後の苗を管理する際の手間を省略することができるとともに、穂木の効率のよい生長に寄与できるという効果を奏する。
【0117】
請求項5の発明は、請求項3または4の発明を具体化したものである。このように構成すると、平面視で両斜め切り刃よりも外側に、進退動時に両斜め切り刃を略沿わせるための一対の案内片が存在することになるので、切断に際して、これら両案内片により、両斜め切り刃における外向きの弾性変形を防止することができる。
【0118】
したがって、前記両斜め切り刃を、茎部に対して、平面視で常に一定のくさび角をもって切り込ませることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の切断装置の全体を示す概略正断面図である。
【図2】切断装置の全体を示す概略側断面図である。
【図3】(a)は図1のIIIa−IIIa視平断面図、(b)はカッタホルダ等の拡大平断面図である。
【図4】図1のIV−IV視平断面図である。
【図5】三つの切り刃の拡大側面図である。
【図6】台木苗を苗載せ台に載せた状態を示す概略斜視図である。
【図7】台木苗を苗載せ台と押え機構とで把持した状態を示す概略斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII視側面図である。
【図9】台木苗の茎部を切断する直前の状態を示す概略斜視図である。
【図10】切断途中の状態を示す概略斜視図である。
【図11】突合せ部まで貫通した状態を示す概略斜視図である。
【図12】切断後の台木を示す概略斜視図である。
【図13】切断装置の下部を示す拡大断面図である。
【図14】穂木苗の切断態様を示す概略斜視図である。
【図15】接ぎ木の手順を示す概略斜視図であり、(a)は被切断部同士を向かい合わせた状態を示す概略斜視図、(b)は穂木を台木に差し込んだ状態を示す概略斜視図、(c)は接合部分をクリップで包持固定した状態を示す概略斜視図である。
【図16】第2実施形態の切断装置の全体を示す概略正面図である。
【図17】クランプ状態を示す拡大断面図である。
【図18】台木苗または穂木苗の切断態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1,81 切断装置
4 昇降プレート
5,101 カッタ機構
6 押え機構
7 苗載せ台
8 ガイド部材
31 カッタホルダ
32,102 斜め切り刃
33,103 縦切り刃
46,105 突合せ部
53 茎押え体
58 押え突起
59 案内溝
68 根元受け溝
69 凹所
71,106 案内片
73,107 案内面
83 上クランプ機構
84 下クランプ機構
86,87,90,91 支持体
88,89,92,93 挟持片
Claims (5)
- 穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、
次いで、一対の斜め切り刃を断面V字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、前記茎部をV字状に切断することを特徴とする接ぎ木用苗の切断方法。 - 穂木苗または台木苗における茎部のうち少なくとも根元部側を把持手段により把持し、
次いで、一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置してなるカッタ手段と前記把持手段とのうち少なくとも一方を、ガイド手段で前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内しながら、前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように相対移動させることにより、穂先部側の被切断部位がV字状であり、根元部側の被切断部位がY字状となるように、前記茎部を切断することを特徴とする接ぎ木用苗の切断方法。 - 穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、
一対の斜め切り刃を断面V字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記両斜め切り刃の突合せ部が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、
前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、
前記両斜め切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したことを特徴とする接ぎ木用苗の製造装置。 - 穂木苗または台木苗における茎部を把持する把持手段と、
一対の斜め切り刃及び一つの縦切り刃を断面Y字状に配置し、かつ前記茎部に対して前記三つの切り刃の突合せ部及び前記縦切り刃が前記茎部の軸線を略通るように進退動可能に構成してなるカッタ手段と、
前記両斜め切り刃を前記茎部に向かって案内するガイド手段とを備え、
前記両斜め切り刃及び前記縦切り刃の刃先を、前記突合せ部から切先に向けて刃先間の隙間間隔が広がるように傾斜状に形成したことを特徴とする接ぎ木用苗の製造装置。 - 前記ガイド手段は、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて前記両斜め切り刃よりも外側に配置した一対の案内片を備え、
これら両案内片のうち相対向する内側の案内面を、前記カッタ手段または前記把持手段とのうち少なくとも一方が相対移動したときに前記各斜め切り刃が略沿うように、前記カッタ手段または前記把持手段の相対移動方向からみて略ハ字状に形成したことを特徴とする請求項3または4に記載した接ぎ木用苗の切断装置。
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