JP2004194592A - 玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米をざらつきのない滑らかな物性の玄米液化糖化物にして食品に加えることで玄米若しくは発芽玄米を多量に使用した栄養価が高く栄養バランスの良い食品を製造することができる用途性,実用性に秀れた画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法を提供すること。
【解決手段】玄米若しくは発芽玄米を液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加える玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】玄米若しくは発芽玄米を液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加える玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、発芽玄米は、玄米に由来する食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素が豊富であると共に、発芽により健康に良いとされる種々の効能を有するγ−アミノ酪酸(GABA)が多量に生成され含有されているため、健康に良い食品として近年注目されている。尚、γ−アミノ酪酸には血圧降下作用,精神安定作用,腎機能活性化作用,肝機能改善作用,肥満防止作用,アルコール代謝促進作用,消臭作用等の健康に良いとされる作用を発揮する性質を有することが知られている。また、米(精米前)が有する食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素のほとんどは、通常精米時に除去されている表層(糠層)と胚芽に含まれている。
【0003】
しかしながら、この玄米若しくは発芽玄米(以下、玄米等という。)は精米に比して著しく堅いため(玄米等の糠層はセルロースやヘミセルロースなどで構成され、微粉化して食品に加えてもざらつきが残るほど堅い。)、米と共に玄米等を用いて味噌や餅などの加工食品を製造する場合、この玄米等を十分に軟かく滑らかな状態とすることができず、よって、製造された味噌や餅などにはざらつきが残ってしまい舌ざわりが良くない食品となってしまうという問題点を有する。
【0004】
そのため、栄養価が高く、栄養バランスに秀れた健康に良いこの玄米等を食品に加える量はおのずと制限され、多量に含有させることはできないのが現状である。
【0005】
そこで、上記問題点を解決しようとするものとして、例えば、玄米等を粉体化して食品に加えることなどが提案されているが、この粉体化した玄米等を多量に加えれば、やはり食品にはざらつきが残ってしまい舌ざわりが良くない食品となってしまう。
【0006】
また、玄米及び発芽玄米を味噌等の発酵食品に用いる際には通常は麹化されているが、精米の2倍以上の熱量を加えて加熱しても、表層に麹菌が生育せず低品質の麹となる。
【0007】
また、玄米等の糠層を研磨してこの糠層に麹菌などの菌類を繁殖させ易くし、加熱し発酵させることで味噌を製造する方法も提案されてはいるが、栄養素を多分に含む糠層を研磨することで、せっかくの栄養価の高い発芽玄米等から食物繊維などの栄養素が除去されてしまい、食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素に富む玄米等を使用しても、あまり栄養価の高い味噌を製造できないという問題点がある。
【0008】
本発明は、繰り返し行った研究,検討により、上記問題点を解決したもので、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米をざらつきのない滑らかな物性の液化糖化物にして食品に加えることで玄米若しくは発芽玄米を多量に使用した栄養価が高く栄養バランスの良い食品を製造することができる用途性,実用性に秀れた画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨を説明する。
【0010】
玄米若しくは発芽玄米を液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0011】
また、玄米若しくは発芽玄米を加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して前記玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0012】
また、玄米若しくは発芽玄米に、少なくとも加熱処理,粉砕処理,加水処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0013】
また、前記液化糖化を5℃〜95℃の温度で1分〜30日間行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0014】
また、前記玄米液化糖化物を食品に加えて発酵熟成させることで味噌,麹漬け床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0015】
また、前記玄米液化糖化物と、大豆麹や米麹等の麹類と、大豆と食塩とを混合して発酵熟成させ味噌を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、その作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
玄米若しくは発芽玄米を液化糖化処理して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えるため、即ち、玄米若しくは発芽玄米を液化糖化処理により堅い表層(糠層)が十分に溶解された玄米液化糖化物として食品に加えるため、ざらつきのない玄米若しくは発芽玄米を使用した食品を製造することができる。
【0018】
これは、玄米若しくは発芽玄米を加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類や酵素剤を加えることで、堅い糠層をより表面積が大きい状態としてから、また、より液化し易い糊化状態としてから、麹類や酵素剤の発酵作用により発酵させることができるためであり、これにより、堅い糠層も十分に滑らかな物性に改変できるものである。
【0019】
また、堅い糠層を有する玄米若しくは発芽玄米を食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素をほとんど減じることなく滑らかな物性に改変できるため、味噌や餅はもちろん、豆腐,アイスクリーム,健康飲料等の食品に容易に加えられることとなる。
【0020】
従って、本発明は、堅い糠層を有する玄米若しくは発芽玄米を滑らかな物性の玄米液化糖化物にでき、これを食品に加えるため、玄米若しくは発芽玄米の栄養素をほとんど減ずることなく多量に使用して従来にはない、栄養価が高く栄養バランスの良い食品を種々製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0021】
また、例えば、玄米若しくは発芽玄米に、少なくとも加熱処理,粉砕処理,加水処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えれば、上記作用効果を確実に発揮することができる玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となるなど、一層実用的となる。
【0022】
また、例えば、前記液化糖化を5℃〜95℃の温度で1分〜30日間行えば、上記作用効果を一層確実に発揮することができることとなるなど、一層実用的となる。
【0023】
また、例えば、前記玄米液化糖化物を食品に加えて発酵熟成させることで味噌,麹漬け床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造すれば、栄養価が高く栄養バランスの良い玄米若しくは発芽玄米を多量に使用し、更にざらつきも生じない前記発酵食品を製造できることとなるなど、一層実用的となる。
【0024】
また、例えば、前記玄米液化糖化物と、大豆麹や米麹等の麹類と、大豆と食塩とを混合して発酵熟成させ味噌を製造すれば、玄米若しくは発芽玄米を多量に含有したざらつきのない栄養価が高く栄養バランスの良い味噌を製造することができることとなるなど、一層実用的となる。
【0025】
【実施例】
本発明の一実施例を、以下に説明する。
【0026】
本実施例は、発芽玄米に、少なくとも加水処理,加熱処理,粉砕処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して発芽玄米液化糖化物(図1に示す糖化磨砕物)を得て、この発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加えることで、前記発芽玄米を含んだ加工食品を製造する方法に係るものである。
【0027】
尚、本実施例では、発芽玄米として、粳玄米若しくは糯玄米の胚芽を0.5mm〜1.0mm程度発芽させたものを採用している。即ち、粳玄米若しくは糯玄米を一晩、水に浸漬し、水切りした後、室温で1日間以上放置することで発芽させたものを採用している。
【0028】
先ず、発芽玄米を粉砕処理(磨砕処理)する。
【0029】
この粉砕処理は、発芽玄米を液化糖化物とし易いようにより細かい状態に粉砕することで行う。即ち、発芽玄米をチョッパー等の粉砕機により粉砕して行う。
【0030】
次いで、粉砕(磨砕)した玄米に加水処理,加熱処理を施す。
【0031】
この加水処理は、発芽玄米を所定時間蒸すことで行う。尚、水に浸漬することで行っても良く、また、散水することで行っても良い。また、蒸すことと浸漬することの両方により前記加水処理を行っても良い。
【0032】
また、加熱処理は、前述のように、発芽玄米を所定時間蒸すことで行う。即ち、前述した加水処理を行うと同時に加熱処理を行う。尚、湯水に発芽玄米を浸漬することで行っても良い。
【0033】
前述した加水処理,加熱処理,粉砕処理を行うことで、発芽玄米は糊化されることとなる。
【0034】
尚、前述した各前処理は、どのような順番で実施しても良い。
【0035】
次いで、前記前処理を施した糊化した発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加え、所定時間,所定温度で放置して前記発芽玄米を液化糖化処理し、発芽玄米液化糖化物(図1に示す糖化磨砕物)を得る。
【0036】
麹類としては、米麹,大豆麹等の穀類に麹菌をはやしたものを採用している。
【0037】
酵素剤としては、セルラーゼ,アミラーゼ,プロテアーゼなどの澱粉を糖化処理させ得る酵素を含んだ酵素剤を採用している。
【0038】
液化糖化処理は、5℃〜95℃で1分間〜30日間の範囲で行う。また、15℃〜55℃で5分〜5日間の範囲で行うのが好ましい。尚、液化糖化処理の際は加温装置内で行っても良い。液化糖化処理を15℃〜55℃の温度で行うことで、前記麹類若しくは酵素剤による発酵作用を確実に発揮させ、前記液化糖化処理を良好に行うことができる。また、状態に応じ、5分〜5日間液化糖化処理することで、堅い糠層を有する発芽玄米を滑らかな物性の発芽玄米液化糖化物にすることができる。
【0039】
次いで、前記発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加えて発芽玄米を含んだ加工食品を製造する。
【0040】
例えば、発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加え、更に発酵処理することで、味噌,麹つけ床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造する。尚、この発芽玄米液化糖化物は所定の食品に5%〜最大100%(原料比)の割合で加えることができる。
【0041】
例えば味噌を製造する場合には、前述の発芽玄米液化糖化物と、大豆麹と、蒸した大豆と、食塩とを混合し、酵母菌,乳酸菌を添加して発酵熟成させることで製造する。
【0042】
大豆麹は、大豆に麹菌を接種して得たものを採用している。
【0043】
蒸した大豆は、先ず大豆を水に所定時間浸漬し、この水に浸漬した大豆を蒸して擂砕したものを採用している。
【0044】
本実施例は上述のようにすることで、ざらつきの原因となっていた堅い表層(糠層)をざらつきの感じない滑らかな物性に改変できるため、加える量が制限されたり、製造できる食品の種類が限られることなく多量に発芽玄米を使用して栄養価が高く栄養バランスが良く、しかも、食感にも秀れた発芽玄米を使用した加工食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0045】
また、堅い表層(糠層)を有する発芽玄米を液化糖化処理により、ざらつきのない滑らかな物性に改変できるため、前述のように、多種多様な食品に加えることができ、これにより、発芽玄米を含んだ様々な加工食品(味噌,餅などの米加工食品はもちろん、豆腐やアイスクリーム等)を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0046】
以下、本実施例の具体的な実験例を示す。
【0047】
第一実験例(発芽玄米入り味噌の製造方法)
先ず、発芽玄米30kgを1日間水に浸漬した。
【0048】
水切りした後、セイロに入れ、1時間蒸した。
【0049】
蒸した発芽玄米に温水6リットルを加え吸水させた。尚、この温水は40℃以上の温度に設定するのが好ましい。
【0050】
この吸水させた蒸した発芽玄米をチョッパーで磨砕し、磨砕物を得た。
【0051】
磨砕物に、酵素剤を添加して約55℃で略24時間反応させて発芽玄米液化糖化物を得た。
【0052】
この発芽玄米液化糖化物43kgに大豆麹(大豆に麹菌を接種して得た麹)18kg,蒸煮大豆26kg,食塩11kgを混合し、30℃で60日間発酵・熟成して100kgの発芽玄米入りの味噌を得た。
【0053】
第一実験例によれば、ざらつきのない滑らかな食感の味噌を製造できることが確認された。
【0054】
従って、発芽玄米を多量に使用してもざらつきが生じない栄養価が高く栄養バランスの良い、美味しい発芽玄米入り味噌を製造できるといえる。
【0055】
第二実験例(麹漬けの漬床の製造)
発芽玄米100kgを洗浄し、水に所定時間浸漬した。
【0056】
次いで、この発芽玄米を粉砕し、所定時間蒸した後、糊化した。
【0057】
次いで、この糊化した発芽玄米と、米麹45kgと、塩36kgと、水8リットルとを混合し、室温50℃〜60℃で30時間加温し液化糖化して、麹漬け床230kgを生産した。
【0058】
第二実験例によれば、化学調味料等を添加することなく、発芽玄米液化糖化物が生み出す甘味と塩だけを調味料としたざらつきのない浅漬の素を製造できることが確認された。従って、発芽玄米を多量に使用してもざらつきが生じない栄養価が高く栄養バランスが良い漬床を製造できるといえる。
【0059】
第三実験例(発芽玄米の加工適性の確認)
第三実験例は、水に浸漬した発芽玄米を以下の条件で処理することで、加工適性の確認を行った。尚、蒸し条件は抜け掛け法(浸漬米を薄い層にして蒸気を通し蒸気が吹き抜けたら更に浸漬米を重ねてゆく方法)を採用した。
【0060】
即ち、水に浸漬した発芽玄米は、そのままでは表層(糠層)が硬く、加工適性は不適であった。
【0061】
一方、水に浸漬した発芽玄米を割砕したものは、表層(糠層)が破壊されているため、加工適性は割砕しないそのままのものよりも良くやや扱い易いが、ざらつき等の舌ざわりの問題は残ると考えられた。
【0062】
以上の加工適性の確認により、水に浸漬した発芽玄米を割砕したもの30kgに酵素剤20gと水6リットルとを加えて混合した後、52℃〜55℃の温度で約24時間加温し糖化した。
【0063】
第三実験例によれば、加工適性の高い発芽玄米糖化磨砕物を得ることができた。
【0064】
【発明の効果】
本発明は上述のようにするから、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米をざらつきのない滑らかな物性の玄米液化糖化物にして食品に加えることで玄米若しくは発芽玄米を多量に使用した栄養価が高く栄養バランスの良い食品を製造することができる用途性,実用性に秀れた画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0065】
即ち、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米を例えば加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化してざらつきのない玄米液化糖化物としてから食品に加えるため、玄米若しくは発芽玄米を多量に加えることができ、これにより、栄養価が高く栄養バランスが良い加工食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0066】
また、請求項3,4記載の発明については、上記作用効果を確実に発揮することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0067】
また、請求項5記載の発明については、玄米若しくは発芽玄米の栄養素をほとんど減ずることなく多量に含有させてもざらつきが生じない、栄養価が高く栄養バランスの良い発酵食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0068】
また、請求項6記載の発明については、玄米若しくは発芽玄米を多量に含有したざらつきのない、栄養価が高く栄養バランスの良い味噌を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の発芽玄米入り味噌の製造方法を示す説明図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、発芽玄米は、玄米に由来する食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素が豊富であると共に、発芽により健康に良いとされる種々の効能を有するγ−アミノ酪酸(GABA)が多量に生成され含有されているため、健康に良い食品として近年注目されている。尚、γ−アミノ酪酸には血圧降下作用,精神安定作用,腎機能活性化作用,肝機能改善作用,肥満防止作用,アルコール代謝促進作用,消臭作用等の健康に良いとされる作用を発揮する性質を有することが知られている。また、米(精米前)が有する食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素のほとんどは、通常精米時に除去されている表層(糠層)と胚芽に含まれている。
【0003】
しかしながら、この玄米若しくは発芽玄米(以下、玄米等という。)は精米に比して著しく堅いため(玄米等の糠層はセルロースやヘミセルロースなどで構成され、微粉化して食品に加えてもざらつきが残るほど堅い。)、米と共に玄米等を用いて味噌や餅などの加工食品を製造する場合、この玄米等を十分に軟かく滑らかな状態とすることができず、よって、製造された味噌や餅などにはざらつきが残ってしまい舌ざわりが良くない食品となってしまうという問題点を有する。
【0004】
そのため、栄養価が高く、栄養バランスに秀れた健康に良いこの玄米等を食品に加える量はおのずと制限され、多量に含有させることはできないのが現状である。
【0005】
そこで、上記問題点を解決しようとするものとして、例えば、玄米等を粉体化して食品に加えることなどが提案されているが、この粉体化した玄米等を多量に加えれば、やはり食品にはざらつきが残ってしまい舌ざわりが良くない食品となってしまう。
【0006】
また、玄米及び発芽玄米を味噌等の発酵食品に用いる際には通常は麹化されているが、精米の2倍以上の熱量を加えて加熱しても、表層に麹菌が生育せず低品質の麹となる。
【0007】
また、玄米等の糠層を研磨してこの糠層に麹菌などの菌類を繁殖させ易くし、加熱し発酵させることで味噌を製造する方法も提案されてはいるが、栄養素を多分に含む糠層を研磨することで、せっかくの栄養価の高い発芽玄米等から食物繊維などの栄養素が除去されてしまい、食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素に富む玄米等を使用しても、あまり栄養価の高い味噌を製造できないという問題点がある。
【0008】
本発明は、繰り返し行った研究,検討により、上記問題点を解決したもので、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米をざらつきのない滑らかな物性の液化糖化物にして食品に加えることで玄米若しくは発芽玄米を多量に使用した栄養価が高く栄養バランスの良い食品を製造することができる用途性,実用性に秀れた画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨を説明する。
【0010】
玄米若しくは発芽玄米を液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0011】
また、玄米若しくは発芽玄米を加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して前記玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0012】
また、玄米若しくは発芽玄米に、少なくとも加熱処理,粉砕処理,加水処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0013】
また、前記液化糖化を5℃〜95℃の温度で1分〜30日間行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0014】
また、前記玄米液化糖化物を食品に加えて発酵熟成させることで味噌,麹漬け床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0015】
また、前記玄米液化糖化物と、大豆麹や米麹等の麹類と、大豆と食塩とを混合して発酵熟成させ味噌を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、その作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
玄米若しくは発芽玄米を液化糖化処理して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えるため、即ち、玄米若しくは発芽玄米を液化糖化処理により堅い表層(糠層)が十分に溶解された玄米液化糖化物として食品に加えるため、ざらつきのない玄米若しくは発芽玄米を使用した食品を製造することができる。
【0018】
これは、玄米若しくは発芽玄米を加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類や酵素剤を加えることで、堅い糠層をより表面積が大きい状態としてから、また、より液化し易い糊化状態としてから、麹類や酵素剤の発酵作用により発酵させることができるためであり、これにより、堅い糠層も十分に滑らかな物性に改変できるものである。
【0019】
また、堅い糠層を有する玄米若しくは発芽玄米を食物繊維,ミネラル,ビタミン等の栄養素をほとんど減じることなく滑らかな物性に改変できるため、味噌や餅はもちろん、豆腐,アイスクリーム,健康飲料等の食品に容易に加えられることとなる。
【0020】
従って、本発明は、堅い糠層を有する玄米若しくは発芽玄米を滑らかな物性の玄米液化糖化物にでき、これを食品に加えるため、玄米若しくは発芽玄米の栄養素をほとんど減ずることなく多量に使用して従来にはない、栄養価が高く栄養バランスの良い食品を種々製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0021】
また、例えば、玄米若しくは発芽玄米に、少なくとも加熱処理,粉砕処理,加水処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えれば、上記作用効果を確実に発揮することができる玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となるなど、一層実用的となる。
【0022】
また、例えば、前記液化糖化を5℃〜95℃の温度で1分〜30日間行えば、上記作用効果を一層確実に発揮することができることとなるなど、一層実用的となる。
【0023】
また、例えば、前記玄米液化糖化物を食品に加えて発酵熟成させることで味噌,麹漬け床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造すれば、栄養価が高く栄養バランスの良い玄米若しくは発芽玄米を多量に使用し、更にざらつきも生じない前記発酵食品を製造できることとなるなど、一層実用的となる。
【0024】
また、例えば、前記玄米液化糖化物と、大豆麹や米麹等の麹類と、大豆と食塩とを混合して発酵熟成させ味噌を製造すれば、玄米若しくは発芽玄米を多量に含有したざらつきのない栄養価が高く栄養バランスの良い味噌を製造することができることとなるなど、一層実用的となる。
【0025】
【実施例】
本発明の一実施例を、以下に説明する。
【0026】
本実施例は、発芽玄米に、少なくとも加水処理,加熱処理,粉砕処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して発芽玄米液化糖化物(図1に示す糖化磨砕物)を得て、この発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加えることで、前記発芽玄米を含んだ加工食品を製造する方法に係るものである。
【0027】
尚、本実施例では、発芽玄米として、粳玄米若しくは糯玄米の胚芽を0.5mm〜1.0mm程度発芽させたものを採用している。即ち、粳玄米若しくは糯玄米を一晩、水に浸漬し、水切りした後、室温で1日間以上放置することで発芽させたものを採用している。
【0028】
先ず、発芽玄米を粉砕処理(磨砕処理)する。
【0029】
この粉砕処理は、発芽玄米を液化糖化物とし易いようにより細かい状態に粉砕することで行う。即ち、発芽玄米をチョッパー等の粉砕機により粉砕して行う。
【0030】
次いで、粉砕(磨砕)した玄米に加水処理,加熱処理を施す。
【0031】
この加水処理は、発芽玄米を所定時間蒸すことで行う。尚、水に浸漬することで行っても良く、また、散水することで行っても良い。また、蒸すことと浸漬することの両方により前記加水処理を行っても良い。
【0032】
また、加熱処理は、前述のように、発芽玄米を所定時間蒸すことで行う。即ち、前述した加水処理を行うと同時に加熱処理を行う。尚、湯水に発芽玄米を浸漬することで行っても良い。
【0033】
前述した加水処理,加熱処理,粉砕処理を行うことで、発芽玄米は糊化されることとなる。
【0034】
尚、前述した各前処理は、どのような順番で実施しても良い。
【0035】
次いで、前記前処理を施した糊化した発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加え、所定時間,所定温度で放置して前記発芽玄米を液化糖化処理し、発芽玄米液化糖化物(図1に示す糖化磨砕物)を得る。
【0036】
麹類としては、米麹,大豆麹等の穀類に麹菌をはやしたものを採用している。
【0037】
酵素剤としては、セルラーゼ,アミラーゼ,プロテアーゼなどの澱粉を糖化処理させ得る酵素を含んだ酵素剤を採用している。
【0038】
液化糖化処理は、5℃〜95℃で1分間〜30日間の範囲で行う。また、15℃〜55℃で5分〜5日間の範囲で行うのが好ましい。尚、液化糖化処理の際は加温装置内で行っても良い。液化糖化処理を15℃〜55℃の温度で行うことで、前記麹類若しくは酵素剤による発酵作用を確実に発揮させ、前記液化糖化処理を良好に行うことができる。また、状態に応じ、5分〜5日間液化糖化処理することで、堅い糠層を有する発芽玄米を滑らかな物性の発芽玄米液化糖化物にすることができる。
【0039】
次いで、前記発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加えて発芽玄米を含んだ加工食品を製造する。
【0040】
例えば、発芽玄米液化糖化物を所定の食品に加え、更に発酵処理することで、味噌,麹つけ床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造する。尚、この発芽玄米液化糖化物は所定の食品に5%〜最大100%(原料比)の割合で加えることができる。
【0041】
例えば味噌を製造する場合には、前述の発芽玄米液化糖化物と、大豆麹と、蒸した大豆と、食塩とを混合し、酵母菌,乳酸菌を添加して発酵熟成させることで製造する。
【0042】
大豆麹は、大豆に麹菌を接種して得たものを採用している。
【0043】
蒸した大豆は、先ず大豆を水に所定時間浸漬し、この水に浸漬した大豆を蒸して擂砕したものを採用している。
【0044】
本実施例は上述のようにすることで、ざらつきの原因となっていた堅い表層(糠層)をざらつきの感じない滑らかな物性に改変できるため、加える量が制限されたり、製造できる食品の種類が限られることなく多量に発芽玄米を使用して栄養価が高く栄養バランスが良く、しかも、食感にも秀れた発芽玄米を使用した加工食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0045】
また、堅い表層(糠層)を有する発芽玄米を液化糖化処理により、ざらつきのない滑らかな物性に改変できるため、前述のように、多種多様な食品に加えることができ、これにより、発芽玄米を含んだ様々な加工食品(味噌,餅などの米加工食品はもちろん、豆腐やアイスクリーム等)を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0046】
以下、本実施例の具体的な実験例を示す。
【0047】
第一実験例(発芽玄米入り味噌の製造方法)
先ず、発芽玄米30kgを1日間水に浸漬した。
【0048】
水切りした後、セイロに入れ、1時間蒸した。
【0049】
蒸した発芽玄米に温水6リットルを加え吸水させた。尚、この温水は40℃以上の温度に設定するのが好ましい。
【0050】
この吸水させた蒸した発芽玄米をチョッパーで磨砕し、磨砕物を得た。
【0051】
磨砕物に、酵素剤を添加して約55℃で略24時間反応させて発芽玄米液化糖化物を得た。
【0052】
この発芽玄米液化糖化物43kgに大豆麹(大豆に麹菌を接種して得た麹)18kg,蒸煮大豆26kg,食塩11kgを混合し、30℃で60日間発酵・熟成して100kgの発芽玄米入りの味噌を得た。
【0053】
第一実験例によれば、ざらつきのない滑らかな食感の味噌を製造できることが確認された。
【0054】
従って、発芽玄米を多量に使用してもざらつきが生じない栄養価が高く栄養バランスの良い、美味しい発芽玄米入り味噌を製造できるといえる。
【0055】
第二実験例(麹漬けの漬床の製造)
発芽玄米100kgを洗浄し、水に所定時間浸漬した。
【0056】
次いで、この発芽玄米を粉砕し、所定時間蒸した後、糊化した。
【0057】
次いで、この糊化した発芽玄米と、米麹45kgと、塩36kgと、水8リットルとを混合し、室温50℃〜60℃で30時間加温し液化糖化して、麹漬け床230kgを生産した。
【0058】
第二実験例によれば、化学調味料等を添加することなく、発芽玄米液化糖化物が生み出す甘味と塩だけを調味料としたざらつきのない浅漬の素を製造できることが確認された。従って、発芽玄米を多量に使用してもざらつきが生じない栄養価が高く栄養バランスが良い漬床を製造できるといえる。
【0059】
第三実験例(発芽玄米の加工適性の確認)
第三実験例は、水に浸漬した発芽玄米を以下の条件で処理することで、加工適性の確認を行った。尚、蒸し条件は抜け掛け法(浸漬米を薄い層にして蒸気を通し蒸気が吹き抜けたら更に浸漬米を重ねてゆく方法)を採用した。
【0060】
即ち、水に浸漬した発芽玄米は、そのままでは表層(糠層)が硬く、加工適性は不適であった。
【0061】
一方、水に浸漬した発芽玄米を割砕したものは、表層(糠層)が破壊されているため、加工適性は割砕しないそのままのものよりも良くやや扱い易いが、ざらつき等の舌ざわりの問題は残ると考えられた。
【0062】
以上の加工適性の確認により、水に浸漬した発芽玄米を割砕したもの30kgに酵素剤20gと水6リットルとを加えて混合した後、52℃〜55℃の温度で約24時間加温し糖化した。
【0063】
第三実験例によれば、加工適性の高い発芽玄米糖化磨砕物を得ることができた。
【0064】
【発明の効果】
本発明は上述のようにするから、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米をざらつきのない滑らかな物性の玄米液化糖化物にして食品に加えることで玄米若しくは発芽玄米を多量に使用した栄養価が高く栄養バランスの良い食品を製造することができる用途性,実用性に秀れた画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0065】
即ち、堅い表層(糠層)を有する玄米若しくは発芽玄米を例えば加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化してざらつきのない玄米液化糖化物としてから食品に加えるため、玄米若しくは発芽玄米を多量に加えることができ、これにより、栄養価が高く栄養バランスが良い加工食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0066】
また、請求項3,4記載の発明については、上記作用効果を確実に発揮することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0067】
また、請求項5記載の発明については、玄米若しくは発芽玄米の栄養素をほとんど減ずることなく多量に含有させてもざらつきが生じない、栄養価が高く栄養バランスの良い発酵食品を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【0068】
また、請求項6記載の発明については、玄米若しくは発芽玄米を多量に含有したざらつきのない、栄養価が高く栄養バランスの良い味噌を製造することができる画期的な玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の発芽玄米入り味噌の製造方法を示す説明図である。
Claims (6)
- 玄米若しくは発芽玄米を液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
- 玄米若しくは発芽玄米を加熱によって糊化し、この加熱前若しくは加熱後に粉砕し、この粉砕した玄米若しくは発芽玄米に麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して前記玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
- 玄米若しくは発芽玄米に、少なくとも加熱処理,粉砕処理,加水処理を行う前処理を施した後、麹類若しくは酵素剤を加えて液化糖化して玄米液化糖化物を得て、これを食品に加えることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
- 前記液化糖化を5℃〜95℃の温度で1分〜30日間行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
- 前記玄米液化糖化物を食品に加えて発酵熟成させることで味噌,麹漬け床,甘酒,醤油等の発酵食品を製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
- 前記玄米液化糖化物と、大豆麹や米麹等の麹類と、大豆と食塩とを混合して発酵熟成させ味噌を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の玄米若しくは発芽玄米を使用した加工食品の製造方法。
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