JP2004196674A - 内服固形製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上面11及び底面12とこれらの周縁部17に沿った側周面13とによって囲まれる形状を有する錠剤10からなる内服固形製剤であって、上面11及び底面12の少なくとも一方に凹凸模様14が施されており、且つ側周面11が凹凸面となっている。凹凸模様14の周縁部17からの凹凸の高低差が0.1〜5mmであることが好ましく、また凹凸模様14が施された上面11又は底面12の表面積が、これらを平坦な面とした場合の表面積の1.05〜1.75倍であることが好ましい。さらに側周面13の周長が、錠剤10の中心から側周面13における最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周よりも長くなっていることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上面及び底面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状を有する錠剤からなる内服固形製剤に関し、特に視覚的、触覚的識別性を向上させると共に、速崩壊性を向上させた内服固形製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に錠剤といわれるものは、その目的に応じて様々な形態が採用されている。内服固形製剤の場合は、処方される薬物の性状、吸収部位、生物学的利用率、副作用、服用する人の年齢、服用時の状態、環境等によって、剤形や投与方法が決定されている。またその形態は、杵と臼を用いた圧縮成形や、ポケット成形によって固形状の錠剤として形成されるのものが一般的であり、その平面的な外郭形状は、円形状、楕円形状、三角形状、四角形状等となっているものが多い。さらに、視覚的特徴を持たせるべく、表面に刻印を施したり、表面の一部又は全部を着色した坐剤や(例えば、特許文献1参照)、溶解性や強度の点から、表面中央部に凹部を設けた浴用剤なども知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、錠剤については、速効性や遅効性に関する種々の研究がなされており、速効性を発揮する速崩錠や遅効性を発揮する徐放剤の検討が多くの機関で行われ、数多くの商品が市場に出回っている。このような錠剤による薬物放出のコントロールは、一般に、特定の添加剤の使用や、配合される薬物の性状を改良することによって行われている。すなわち、徐放化については、顆粒にコーティング皮膜を施すことや、疎水性基剤を配合すること、或いはpHによって溶出を調整する添加物を混合すること等によって行われており、またフィルムコーティングやカプセル等で徐放化がコントロールされる場合もある。速崩化については、薬物の非結晶化や処方の検討により、チュアブル錠や口腔内速崩錠として製剤化すること等によって行われている。さらに、薬剤の活性成分を有効に生体に吸収させるべく、生体付着性を持たせるために錠剤の表面に凹部を設けたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第3067971号公報
【特許文献2】
特開平8−333236号公報
【特許文献3】
特開平11−152221号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内服固形製剤によれば、ある錠剤を他の錠剤と区別するための識別性が十分ではなく、特に視覚障害者や老眼の患者が服用する際に誤飲する可能性があった。すなわち、白色に代表される単一色の素錠やフィルム錠、糖衣錠によれば、他の錠剤と視覚的に区別することが難しく、また現在の技術においては単一色の錠剤を多色にすることは困難であるため、差別化できる範囲が限定されることになると共に、紛らわしい色彩を用いた製剤があると混乱する可能性がある。
【0006】
また、錠剤の大きさを変化させたり、錠剤の表面に刻印、割線、印刷等を施すことも考えられるが、大きさの変化だけでは現在の医薬品用の錠剤の種類からすると判別させるには十分と言えず、刻印、割線、印刷等による場合には、特に視覚障害者や老眼の患者にとっては識別し難く、誤飲の可能性を解消することは困難である。
【0007】
一方、錠剤を速崩化するための従来の方法によれば、特定の添加剤を処方に加えたり、非結晶化を行うものであるため、高価な添加剤や煩雑な製造工程を経ることになるので、これらの方法に代えて、或いはこれらの方法に加えて、簡易かつ効果的に速崩化を図ることのできる技術の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、視覚的、触覚的識別性を向上させることにより、特に視覚障害者や老眼の患者が服用する際に、誤飲するのを効果的に回避させることが可能な内服固形製剤を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、簡易な構成によって速崩壊性を効果的に向上させることが可能な内服固形製剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、識別性について種々検討したところ、錠剤表面の凸凹形状にポイントがあり、上面だけでなく側面にも特定の形状を施し、どのような方向から視ても陰影を生ずるように設計することにより、目的が達成されることを見出した。また、こういった形状を有することにより、速崩壊性も達成することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、上面及び底面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状を有する錠剤からなる内服固形製剤であって、前記上面及び底面の少なくとも一方に凹凸模様が施されており、且つ前記側周面が凹凸面となっている内服固形製剤を提供するものである。
【0012】
また本発明は、前記凹凸模様の前記周縁部からの凹凸の高低差が0.1〜5mmである内服固形製剤を提供するものであり、さらに、前記凹凸模様が施された前記上面又は底面の表面積が、これらを平坦な面とした場合の表面積の1.05〜1.75倍である内服固形製剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、内服固形製剤の上面及び底面の少なくとも一方に凹凸模様が施され、且つ内服固形製剤の側周面が凹凸面となっていることが必要である。また内服固形製剤の上面及び底面の少なくとも一方の凹凸模様のこれらの周縁部からの凹凸の高低差が0.1〜5mmであることが好ましく、特に0.2〜2mmであることが好ましい。凹凸の高低差を0.1〜5mmとすることにより、触覚による立体形状の識別性が向上し、さらに陰影を生じて、視覚による立体形状の識別性が向上する。当該凹凸模様の凹凸の高低差が0.1mmよりも小さいと凹凸面が明確にならず、視覚的な判別が困難となったり、触覚的な識別が困難になり易い。高低差が5mmよりも大きいと、打錠工程などを介して錠剤を成形した後、成形した錠剤を排出する際に、凹凸模様が破損し易くなったり、PTP包装やビン包装を行う際に、錠剤の滑りが悪くなって包装不良が生じたり、輸送時に破損し易くなる。
【0014】
また、本発明の内服固形製剤は、凹凸模様が施された上面又は底面の表面積が、これらを平坦な面とした場合の表面積の1.05〜1.75倍であることが好ましく、特に1.15〜1.45倍であることが好ましい。上面又は底面の表面積をこれらを平坦な面とした場合の表面積の1.05〜1.75倍とすることにより、凹凸模様を有効に施すことができ、視覚的な判別が容易となると共に、錠剤を形成する賦形剤や崩壊剤の露出部分が多くなって、水や唾液による速崩壊性を効果的に向上させることが可能となる。凹凸模様が施された上面又は底面の表面積がこれらを平坦な面とした場合の表面積の1.05倍よりも小さい場合には、凹凸の高低差を十分に確保することができず、視覚的判別性、触覚的識別性を向上させることが困難になり、また錠剤の崩壊時間を短縮させる効果を十分に得ることができなくなる。表面積が1.75倍よりも大きい場合には錠剤の成形時、特に打錠時に打錠障害が生じたり、包装不良、輸送時の凹凸模様の破損等が発生し易くなる。
【0015】
さらに、本発明の内服固形製剤は、上面又は底面の凹凸模様が、当該上面又は底面に対して5〜85度の角度で斜めに視た場合に、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じ、かつ上面又は底面に対して0〜5度の角度で視た場合に、光源を5〜85度の角度で照射することにより、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じる凹凸によって形成されていることが好ましい。内服固形製剤の凹凸模様をこのように設計することによって、どの様な状況においても凹凸模様による陰影を視認することが可能となり、錠剤成形時や包装時における錠剤不良を判別し易くなるため、品質管理を容易にすると共に、患者等の錠剤服用者が他の錠剤と視覚的に判別することが容易になって、誤飲防止やコンプライアンスを向上させることが可能になる。
【0016】
さらにまた、本発明の内服固形製剤は、側周面の周長が、平面視した錠剤の中心から側周面における最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周よりも長くなっていることが好ましい。また側周面の周長は、上記錠剤の中心から最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周の1.01〜1.85倍であることが好ましく、特に1.01〜1.70倍であることが好ましい。側周面の周長が錠剤の中心から最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周よりも長くなっていることにより、側周面においても凹凸が形成され、視覚的判別性、触覚的識別性が向上すると共に、誤飲防止やコンプライアンスの向上が可能になる。さらに、側周面部の表面積が拡大することによって、崩壊時間の短縮化が図れ、老人や小児、嚥下し辛い患者等が錠剤を服用する際の、喉へのつまりを効果的に回避することが可能となる。
【0017】
そして、本実施形態の錠剤は、例えば杵と臼を用いた圧縮成形や、ポケット成形によって、上述の形状を有する固形状の錠剤として容易に形成することができる。なお、本発明によれば、内服固形製剤の錠剤を圧縮成形又はポケット成形により形成する場合には、錠剤を平面視した際の上面及び底面の錠径を5〜25mm、側周面の高さを1〜10mmとすることが好ましい。また、錠径と側周面の高さとの比を10:1〜2:1とすることが好ましく、特に20:3〜4:1とすることが好ましい。圧縮成形又はポケット成形により形成される錠剤の大きさをこのような範囲とすることにより、錠剤の形状に伴う崩壊時間の遅延を効果的に回避することが可能になる。なお、上記記載における錠径は、上面及び底面の平面形状が円形である場合には、これの半径の2倍を意味し、上面及び底面の平面形状が円形以外の場合には、当該平面形状の断面2次半径の2倍を意味するものである。
【0018】
また、本実施形態によれば、錠剤の上面又は底面の凹凸模様を加体物によって形成することもできる。加体物としては、例えば自然界に存在する動物や植物などの有形物、人工的に造られた有形物等を挙げることができ、またこれら有形物が陰影などにより視覚的形態が変化することによって、その外観形状が認識されるようなものも含まれる。
【0019】
さらに、本実施形態によれば、錠剤の表面にフィルムコーティングを施すか、又は多層錠とすると共に、単色又は多色の着色を施すこともできる。フィルムコーティングを施す材料としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、デキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアルコール、アラビアゴム末、アルギン酸ナトリウム、カンテン、ゼラチン、セラック、ゼイン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、オパドライ、カルボキシビニルポリマー、酢酸セルロース、酵母抽出物等を用いることができる。また着色を施す材料としては、例えば食用青色1号、インジゴカルミン、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号などのタール系色素、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、三二酸化鉄などのベンガラ系色素、カーボンブラック、酸化チタン、タルクなどの無機物、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出物、オレンジエッセンス、カラメル、カロチン液、β-カロテン、カンゾウエキス、クマザサエキス、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉エキス末、薬用炭、リボフラビン、緑茶末、ローズ油などの天然物又はその加工物等を用いることができる。錠剤の表面にフィルムコーティングを施すか、又は多層錠とすると共に、単色又は多色の着色を施すことにより、凹凸がより鮮明となり、老眼者や弱視者に対する視覚的な識別性を効果的に向上させることが可能になる。
【0020】
また、上記着色を施す場合、錠剤の凹凸模様中、周縁部からの凹凸の高低差の20〜80%の高さまで、好ましくは30〜60%の高さまでの部分を、それ以上の高さの部分よりも、明度において低く、彩度において高く着色し、かつ前記凹凸の高低差の20〜80%の高さまでの部分の色と、それ以上の高さの部分の色の色差が3以上、好ましくは5以上、特に好ましくは10以上とする。ここでいう明度、彩度及び色差とは、それぞれCIE 1973 均等色空間における明度(△L*)、彩度(△Cab*)、及び色差(△L*a*b*)をいう。上記色差を3以上とすることにより、錠剤の陰影が強調され、視覚による識別性が更に高まるという効果がある。
【0021】
さらにまた、本実施形態によれば、内服固形製剤を便秘薬として処方する場合には、当該処方中に、酸味・甘味等の嬌味剤又は香料を配合することもできる。配合される嬌味剤としては、例えばアスコルビン酸、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、アスパルテーム、アセンヤク末、アマチャ、アミノエチルスルホン酸、DL-アラニン、5'-イノシン酸二ナトリウム、ウイキョウ、液糖、エリスリトール、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、オイゲノール、オウバク末、オウヒエキス、オウレン、オノニス根乾燥エキス、オレンジ、カカオ末、果糖、カラメル、カルバコール、還元麦芽糖アメ、カンゾウ、乾燥酵母、カンフル、キシリトール、D-キシロース、クエン酸、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸、L-グルタミン酸、黒砂糖、クロレラエキス、ケイヒ末、コハク酸、コンブ末、サッカリン、サフラン、サンショウ末、シュクシャ末、酒石酸、ショウキョウ末、食用ニンジン末、センブリ、D-ソルビトール、ダイズ油、チョウジ、トウガラシ、トウヒ末、乳糖、梅肉エキス、白糖、ハチミツ、ハッカ水、ペパーミントパウダー、マルトース、メントール、ユーカリ、リンゴ果汁、レモン油、ローズ油等を用いることができる。また配合される香料としては、例えばウイキョウ末、オレンジ、カミツレ油、カラメル、カンゾウ、カンフル、ケイヒ、シュガーフレーバー、スペアミント油、チェリーフレーバー、チリフレーバー、パイナップル、バニラフレーバー、フルーツフレーバー、ベルガモット油、メントール、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油等を用いることができる。処方中に嬌味剤又は香料を配合することにより、視覚・触覚による感覚器以外の嗅覚や味覚を使用して、服用以前或いは口中で錠剤の種類を識別することが可能になる。
【0022】
本実施形態によれば、内服固形製剤は、例えば杵と臼を用いた圧縮成形や、ポケット成形によって、上述の形状を有する固形状の錠剤として容易に形成することができる。圧縮成形の手段としては、打錠方法を採用することができ、錠剤の成形に一般的に使用される各種の装置を用いて行うことができる。このような装置としては、例えば手動式単発打錠機(理研精機製)、単発式打錠機(岡田精工製)、ロータリー式打錠機(菊水製作所製)、積層打錠機(畑鐵工所製)、ロータリー式有核打錠機(菊水製作所製)等を用いることができる。打錠の際の圧力は、許容圧力範囲内において、錠剤の厚さや径、硬度、崩壊時間等、錠剤の物理学的性質に応じて任意に設定する。また、ポケット成形の手段としては、PTP包装のポケットに用いられるような形状の、鋳型において成形される方法を採用することができる。こうのような方法としては、例えば鋳型にて乾燥後、成形物をPTPシートのポケットに入れシールする方法や、鋳型ブリスターにて乾燥させ、そのままシールする方法等を挙げることができる。
【0023】
そして、本実施形態の内服固形製剤によれば、錠剤の上面及び底面の少なくとも一方に凹凸模様が施されており、且つ側周面が凹凸面となっているので、手で錠剤を触った時に、周面の凹凸が手の感覚刺激や末梢神経を介して神経伝達され、脳によって形状を認識させることになる。また視覚からは、網膜の視細胞の色を見分ける錘状体と明暗を見分ける杆状体による伝達回路により立体形状が認識されることになるので、これらの視覚的、触覚的作用によって、特に視覚障害者や老眼の患者が識別可能な程度に、視覚的、触覚的識別性を容易に向上させることが可能になる。
【0024】
すなわち、本実施形態によれば、内服固形製剤の錠剤の上面及び底面の両方又は一方に凹凸模様が施されており、且つ側周面が凹凸面となっていることにより、手で錠剤を触った時に指先の腹などで凹凸を容易に認識することができ、一般に市販されている錠剤とは明らかな形状の違いを判別することが可能となって、視覚障害者や老眼の患者においても錠剤の種別を容易に識別することが可能になる。さらに錠剤にフィルムコーティングを施すか、又は多層錠とすると共に、着色して凹凸を明快にすることにより、一層識別性が向上し、錠剤の種別をさらに容易に識別することが可能になる。
【0025】
また、本実施形態の内服固形製剤は、錠剤の上面及び底面の少なくとも一方に凹凸模様が施されており、且つ側周面が凹凸面となっているので、その表面積が拡大することになる。したがって、このような表面積の拡大によって水などの溶媒に対して高い溶解性や溶融性を発揮することになると共に、水や唾液と接触する面積が広がって溶解時間が短縮し、また凹凸の突起物が速く崩壊するという作用も得られるため、簡易な構成によって速崩壊性を効果的に向上させることが可能となる。
【0026】
すなわち、日本薬局方で示されている崩壊試験方法は勿論のこと、実際に水を含まない口の中で錠剤を溶かす場合でも、錠剤の上面及び底面と側周面とに設けられた凹凸により、凹凸がないか或いは少ない錠剤に比べて錠剤の溶け方を速くすることが可能になり、特に口腔内で速く溶かすための錠剤として有効であり、好ましくは1分以内に口腔内で溶ける錠剤として有効である。
【0027】
なお、本発明によれば、凹凸模様は、底面又は上面から突出する凹凸模様である必要は必ずしもなく、底面又は上面から窪んだ形態の凹凸模様であっても良い。また、側周面は滑らかに連続する凹凸面となっている必要は必ずしもない。さらに、圧縮成形やポケット成形以外の方法により形成されるものであっても良い。
【0028】
また、本発明の内服固形製剤は、便秘薬として服用される錠剤の他、例えば抗生物質、化学療法薬、催眠鎮静薬、抗不安薬、抗てんかん薬、解熱鎮痛消炎薬、抗パーキンソン薬、精神神経用薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮けい薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、血管拡張薬、高脂血症薬、鎮咳去痰薬、気管支拡張薬、止しゃ薬、整腸薬、瀉下薬、駆虫薬、消化性潰瘍薬、健胃消化薬、制酸薬、胃腸薬、ビタミン薬、滋養強壮薬、肝臓疾患用薬、痛風治療薬、糖尿病用薬、腫瘍用薬、抗ヒスタミン薬、生薬、骨粗鬆症薬等として形成することができる。さらに、凹凸模様は、略花形の形状とすることができる他、例えば葉、動物、魚類、貝類、果物、乗り物、天体物、文房具などの雑貨、人体のパーツ、食物等の形状とすることもできる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明の内服固形製剤をさらに詳細に説明すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、後述する実施例1,2及び比較例1〜4の錠剤は、一例として表1に示す配合で処方された便秘薬の粉粒体を原料組成物とし、ロータリー式打錠機にて0.8tの打圧で、質量がおよそ200mgとなるように打錠することによって製造した。
【0030】
【表1】
【0031】
〔実施例1〕
実施例1に係る内服固形製剤10を図1及び図2(a),(b)に示す。実施例1の内服固形製剤10は、上面11及び底面12とこれらの周縁部に沿った側周面13とによって囲まれる形状を有している。そして、内服固形製剤10の上面11及び底面12には凹凸模様14が施されており、また側周面13は凹凸面となっている。
【0032】
錠剤10は、その上面11及び底面12の周縁部17の形状(錠剤10の平面形状)が、直径8mmの円の外周部分に、湾曲させつつ内側に窪ませた4箇所の凹部18を90度間隔で備える略花形の形状となっている。これによって、錠剤10の側周面13は、上面11及び底面12の略花形の形状の周縁部17に沿って滑らかに連続する凹凸面を形成することになる。
【0033】
また、錠剤10の上面11及び底面12に施された凹凸模様14は、花形の形状の中央部分に位置する直径2.5mmの円形の花芯凸部15の周囲に、花びら形状の花びら凸部16を4箇所に放射状に配置してなるもので、花芯凸部15及び各花びら凸部16は、上面11の周縁部17から頂部までの高さが1mmとなるようになだらかに突出している。これによって、凹凸模様14が施された上面11及び底面12の表面積が、当該上面11及び底面12を周縁部17によって囲まれる平坦な面とした場合の表面積の1.10倍となっている。
【0034】
さらに、凹凸模様14は、上面11又は底面12に対して5〜85度の角度で斜めに視た場合に、花芯凸部15及び各花びら凸部16によって、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じるようになっており、かつ上面11又は底面12に対して0〜5度の角度で視た場合に、光源を5〜85度の角度で照射することにより、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じるようになっている。
【0035】
さらにまた、側周面13は、上述のように上面11及び底面12の略花形の形状の周縁部17に沿って滑らかに連続する凹凸面を形成しており、これによって、側周面13の周長が、平面視した錠剤の中心から側周面13における最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周よりも長い、当該円周の1.18倍の長さとなっている。また錠剤10を平面視した際の錠径と側周面13の高さとの比は8:3となっている。
【0036】
〔実施例2〕
実施例2に係る内服固形製剤20を図3及び図4(a),(b)に示す。実施例2の内服固形製剤20は、実施例1の内服固形製剤10の底面12に凹凸模様を施すことなく平坦な面とし、上面11にのみ凹凸模様14を施した形状を有している。それ以外の点は、実施例1と同じである。
【0037】
〔比較例1〕
比較例1に係る内服固形製剤30を図5及び図6(a),(b)に示す。比較例1の内服固形製剤30は、上面及び底面を平坦な面とした、直径8mm、高さ3mmの円形ドラム形状を有しており、また側周面の直径と高さとの比は8:3となっている。
【0038】
〔比較例2〕
比較例2に係る内服固形製剤40を図7及び図8(a),(b)に示す。比較例2の内服固形製剤40は、上面及び底面をR6.5湾曲する凸面とした直径8mmの円形の平面形状を有する錠剤であって、直径と最大厚との比を2:1としたものである。
【0039】
〔比較例3〕
比較例3に係る内服固形製剤50を図9及び図10(a),(b)に示す。比較例3の内服固形製剤50は、上面にのみ、深さ0.5mm、幅0.8mmの溝を設けた、上面及び底面が平坦な面となった直径8mm、高さ3mmの円形ドラム形状を有しており、また側周面の直径と高さとの比は8:3となっている。
【0040】
〔比較例4〕
比較例4に係る内服固形製剤60を図11及び図12(a),(b)に示す。比較例4の内服固形製剤60は、実施例1の内服固形製剤10の上面11及び底面12に凹凸模様を施すことなく平坦な面とした、平面形状が略花形の形状となった錠剤であって、それ以外の点は、実施例1と同じである。また錠径と側周面13の高さとの比は8:3となっている。
【0041】
〔触覚による立体形状識別性試験〕
実施例1,2及び比較例1〜4の錠剤について、触覚による立体形状識別性試験を行った。この試験は、20〜40代の男性8名、女性4名の合計12名をパネラーとし、同一形状の錠剤9錠と、異なった形状の錠剤1錠をビンに入れて混合し、目隠しをした後、異なった形状の錠剤を指で触って判別できるまでの時間を計測した。その中から判定値のバラツキを考慮して、最大値および最小値を除いた10名で評価した。試験結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示す試験結果によれば、側周面が湾曲していない円形状の錠剤同士では、割線が入っていても、判別が不能であることが判明する。このことは、視覚が損なわれた状態で、触覚のみによってこれらの異なった錠剤を識別することは困難であることを意味している。また、本発明に係る実施例1,2の錠剤以外の錠剤は、触覚による識別性を有するものもあるが、総合的にみるとあらゆる形状に対して識別性を有するとはいえない。一方、表面を凹凸形状とし、側周面を湾曲させた実施例1,2の錠剤は、触覚による識別性が高いことが判明する。
【0044】
〔視覚による立体形状識別性試験〕
実施例1,2及び比較例1〜4の錠剤について、視覚による立体形状識別性試験を行った。この試験は、上記触覚による立体形状識別性試験と同じパネラー、サンプル検体を用い、サンプルをステンレスのトレーに広げたときの、視覚的な判別時間を計測した。その際、照明を錠剤の上面に対し、45度の角度となるように照射しつつ試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0045】
表2に示す試験結果によれば、側周面が湾曲していない円形状の錠剤同士では、割線が入れてあっても、判別に時間がかかることが判明する。このことは、健眼者が視覚的に対象を判別するときは、まず外郭の形状で判断し、その後から表面形状の違いを見ていることを意味している。一方、表面を凹凸形状とし、側周面を湾曲させた本発明に係る実施例1,2の錠剤は、視覚による識別性が高いことが判明する。
【0046】
〔口腔内崩壊試験〕
実施例1,2及び比較例1,4の錠剤について、口腔内崩壊試験を行った。この試験は、上述の触覚及び視覚による立体形状識別性試験と同じパネラー中、男性3名、女性1名の合計4名により、実際に錠剤を1錠ずつ口腔内で崩壊させてもらい、その崩壊時間を計測した。試験は、各サンプルについて3回づつ行い、その平均値を求めた。試験結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3に示す試験結果によれば、比較例4の錠剤に対する実施例1,2の錠剤のように、表面積が大きい錠剤ほど崩壊時間が短く、特に上面又は底面を凹凸形状とし、側周面を湾曲させた本発明に係る実施例1,2の錠剤は、水を含まず、唾液のみで崩壊させる場合でも口腔内崩壊時間が非常に短かった。ここで、比較例1の錠剤と比較例2の錠剤とでは平面形状の表面積が異なり、また単位面積あたりの打錠圧力も異なることから、実施例1,2の錠剤と圧縮密度がより近いものとして、これらを比較例1の錠剤と比較した。
【0049】
なお、この口腔内崩壊時間を向上させた錠剤として、大きさが実施例1の錠剤10と略同様の、図13及び図14(a),(b)に示す実施例3の錠剤70、図15及び図16(a),(b)に示す実施例4の錠剤80、図17及び図18(a),(b)に示す実施例5の錠剤90を各々製造し、その外周長と全体表面積のデータを、実施例1の錠剤10及び比較例1の錠剤30と共に表4に示した。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示すデータによれば、上面及び底面の凹凸模様における周縁部からの凹凸の高低差、及び側周面の凹凸の度合いによっても影響されるが、実施例3〜5の錠剤ように、凹凸をより複雑な形状とした方が表面積を大きくできることが判明する。
【0052】
〔色差による立体形状識別性試験〕
図1に示す実施例1の錠剤10の上面11に形成されている凹凸模様14中、周縁部17からの凹凸の高低差の80%の高さまでの部分に、着色した乳糖粉末を表5に示す量ずつ配合して、濃淡を変化させつつ着色を施し、当該80%の高さまでの部分が、周縁部17からの凹凸の高低差の80%以上の高さ部分より低明度、高彩度となるように二層錠を打錠し、表5に示すような実施例6〜11及び比較例5,6の錠剤サンプルを得た。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例6〜11及び比較例5,6の錠剤サンプルについて、色差による立体形状識別性試験を行った。この試験は、20〜40代の男性7名、女性3名の合計10名をパネラーとし、表5に示す着色なしの錠剤3錠と、各錠剤サンプル3錠とを混ぜ、全てを識別できた人数(識別率)により色差による立体形状識別性を評価した。試験結果を表5に示す。
【0055】
表5に示す試験結果によれば、錠剤10の上面に形成されている凹凸模様中、周縁部17からの凹凸の高低差の80%の高さまでの部分の着色を低明度、高彩度とすると共に、それ以外の部分を高明度、低彩度とし、かつこれらの部分の色差が3以上である実施例6〜11の錠剤は、錠剤10の上面に施されている凹凸模様の陰影が明確となり、視覚による識別性を向上させる効果があることが判明する。
【0056】
【発明の効果】
本発明の内服固形製剤によれば、視覚的、触覚的識別性を向上させることにより、特に視覚障害者や老眼の患者が服用する際に、誤飲するのを効果的に回避させることができる。また、簡易な構成によって速崩壊性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図2】実施例1の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図3】実施例2の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図4】実施例2の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図5】比較例1の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図6】比較例1の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図7】比較例2の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図8】比較例2の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図9】比較例3の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図10】比較例3の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図11】比較例4の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図12】比較例4の内服固形製剤を示す(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図13】実施例3の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図14】実施例3の内服固形製剤を示す(a)上面図、(b)は側面図である。
【図15】実施例4の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図16】実施例4の内服固形製剤を示す(a)上面図、(b)は側面図である。
【図17】実施例5の内服固形製剤を示す斜視図である。
【図18】実施例5の内服固形製剤を示す(a)上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
10,20,70,80,90 錠剤(内服固形製剤)
11 上面
12 底面
13 側周面
14 凹凸模様
15 花芯凸部
16 花びら凸部
17 周縁部
18 凹部
Claims (7)
- 上面及び底面とこれらの周縁部に沿った側周面とによって囲まれる形状を有する錠剤からなる内服固形製剤であって、前記上面及び底面の少なくとも一方に凹凸模様が施されており、且つ前記側周面が凹凸面となっている内服固形製剤。
- 前記凹凸模様の前記周縁部からの凹凸の高低差が、0.1〜5mmである請求項1記載の内服固形製剤。
- 前記凹凸模様が施された前記上面又は底面の表面積が、これらを平坦な面とした場合の表面積の1.05〜1.75倍である請求項1又は2に記載の内服固形製剤。
- 前記凹凸模様は、上面又は底面に対して 5〜85度の角度で斜めに視た場合に、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じ、且つ上面又は底面に対して0〜5度の角度で視た場合に、光源を5〜85度の角度で照射することにより、いずれの方向からも視認可能な陰影を生じる凹凸によって形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の内服固形製剤。
- 前記側周面の周長が、前記錠剤の中心から前記側周面における最も離れた位置までの長さを半径とする円の円周よりも長くなっている請求項1〜4のいずれかに記載の内服固形製剤。
- 前記錠剤の表面にフィルムコーティングを施すか、又は多層錠とすると共に、単色又は多色の着色を施した請求項1〜5のいずれかに記載の内服固形製剤。
- 前記凹凸模様における前記周縁部からの凹凸の高低差の20〜80%の高さまで部分を、それ以上の高さの部分よりも、明度において低く、彩度において高く着色し、かつ前記凹凸の高低差の20〜80%の高さまでの部分の色と、それ以上の高さの部分の色の色差が3以上である請求項1〜6のいずれかに記載の内服固形製剤。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP2018024596A (ja) * | 2016-08-09 | 2018-02-15 | アサヒグループ食品株式会社 | 口腔内溶解性固形物 |
| JP2021107331A (ja) * | 2019-12-27 | 2021-07-29 | 小林製薬株式会社 | 内服用医薬組成物 |
| JP2021138675A (ja) * | 2020-02-29 | 2021-09-16 | Yoshimoto R&D株式会社 | 発泡性化粧品の製造方法 |
-
2002
- 2002-12-16 JP JP2002364358A patent/JP2004196674A/ja active Pending
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