JP2004196911A - インクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物 - Google Patents

インクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物 Download PDF

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Kyoko Horinouchi
京子 堀之内
Yasuyoshi Iinuma
泰賀 飯沼
Toshiki Yui
俊毅 由井
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Abstract

【課題】写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性などに優れ、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れたインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物を提供すること。
【解決手段】3色以上からなるインクジェット記録用インクセットであって、前記各インクは、それぞれ独立に、[1]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、[2]インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に式(1)0.01≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.6(ここで式(1)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:被記録媒体上へのインクの動的接触角)を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリット、多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布巾、フィルム等に記録するインクジェット記録方法は、小型、安価、静粛という特徴をもち、多くのプリンターに用いられている。中でも、圧電素子の変形を利用しノズルから液体インクを吐出させるピエゾインクジェット方式、熱沸騰現象を利用した熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性の観点から多く利用されている。
【0003】
近年、インクジェットプリンターの各要素技術が進み高解像度・高発色性が実現できるようになり、一方デジタルカメラの一般への普及が急速に進んだことにより、エンドユーザーによる写真画像出力の機会が増えてきている。写真画像出力用の専用光沢紙の市場への普及もすすみ、質感・画質ともにより銀塩写真に近い画像印刷物を個人が手にできるようになった。
【0004】
インクジェット記録方式での写真画質への要求性能には、(1)広い色再現性、(2)高い階調性、(3)粒状感なきこと、(4)銀塩写真に近い印刷物の質感、(5)銀塩写真並みの耐水性・耐光性、があり、これらの要求特性を満たすための開発が進められている。
【0005】
特に、より写真に近い色再現性・階調性、また、インクジェット記録方式による粒状性の改善を実現するために、通常のブラック、シアン、マゼンタ、イエローインクの他に、色材濃度を下げた淡シアンインク、淡マゼンタインクや特別色インクを搭載したプリンターが市場に出て多色化が進んでいること、また、通常濃度のカラーインクのみの搭載プリンターでも写真に近い画像を再現するために、全体として被記録材へのインク総打ち込み量が昔に比べて多くなっており、写真画像出力では光沢紙での画質とインクの乾燥性の両立が課題になっている。色再現範囲を広くしたり、階調性を上げるには、最高印字濃度が高いことが望ましく、インク中の染料濃度をある程度上げる必要があるが、インク中の染料濃度が高くなると、画質に粒状性が目立つ、ノズル目詰まりやコゲが発生しやすくなるなど吐出安定性に不利な面もあることから、前述した淡インクや特別色で補う方法、また、通常濃度のカラーインクのみを使用する場合でもインクの被被記録媒体への打ち込み方・打ち込み量など画像形成方法・画像処理方法の検討が進められている。
【0006】
このように写真に近い画像を得られるものの、画像を形成するためのインクの使用量が増えていることから、インクが光沢紙や光沢フィルムに定着し完全に乾燥し、ユーザーが手軽に扱えるようになるまでには時間がかかる、という課題が出てきた。
【0007】
写真画質と乾燥性を両立させる方法として、特開平11−323235号公報では、水性インク中に少なくとも一つのアニオン又は非イオン性界面活性剤と少なくとも一つのアルコキシル化ポリヒドロキシ有機溶媒と少なくとも一つの水混和性有機溶媒を含む水性ベヒクルを含有することによって、光沢紙上での画質と迅速な乾燥性の両立をはかる方法が提案されている。特開平8−132731号公報では、光沢紙のインク受容層中に、結晶度が15〜80の範囲であるベーマイト構造のアルミナ水和物をインク受容層との面内方向の平行度を1.5以上で含有させることで、ドット真円性が高い画像が得られ、インク吸収性に優れた被被記録媒体を提案している。特開平11−20145号公報では、光沢紙のインク受容層中に1次粒子が直鎖状及び/又は分岐状に連結した有機ポリマー樹脂微粒子からなる集合体を含有させることにより、クラック生成による髭状を改善し、かつ乾燥性に優れたインクジェットプリンター用記録シートを提案している。
また、特開2000−280602では、支持体に下層・上層の記録層が設けてある光沢性に優れたインクジェット記録体の下層・上層に平均粒径1μm以下の顔料を含有させることによって、印字濃度が高く、インク吸収性に優れた画像を提供できるインクジェット記録体を提案している。
【0008】
しかし、インクジェット記録により写真画質を手軽にすぐ手に入れられるのにユーザーが充分満足できるレベルにまでは到達していなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−323235号公報
【特許文献2】
特開平8−132731号公報
【特許文献3】
特開平11−20145号公報
【特許文献4】
特開2000−280602
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性などに優れ、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れたインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) 少なくとも、水、水溶性有機溶媒、色材を含み、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色以上からなるインクジェット記録用インクセットであって、
前記各インクは、それぞれ独立に、
[1]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
[2]インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に式(1)0.01≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.6(ここで式(1)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:被記録媒体上へのインクの動的接触角)
を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
【0012】
(2)少なくとも、水、水溶性有機溶媒、色材を含み、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色以上からなるインクジェット記録用インクセットであって、
前記各インクは、それぞれ独立に、
[3]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
[4]インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、光沢性被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に、式(2)0.03≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.35(ここで式(2)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:光沢性被記録媒体へのインクの動的接触角)
を満たすインクジェット記録用インクセット
【0013】
(3) ブラックインクをさらに含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のインクジェット記録用インクセット
【0014】
(4) 色材濃度が前記シアンインクに対して1/8〜1/3である淡シアンインクと、色材濃度が前記マゼンタインクに対して1/8〜1/3である淡マゼンタインクをさらに含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
【0015】
(5) 各色インクの色材として、少なくともシアンインクにC.I.DirectBlue−19、マゼンタインクにM−377、イエローインクにC.I.DirectYellow−86あるいはC.I.DirectYellow−132を含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
【0016】
(6) 前記(1)、(3)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを被記録媒体上へ吐出して画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0017】
(7) 前記(2)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを光沢性被記録媒体上へ吐出して画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
(8) 前記各インクの吐出量が1ドロップあたり20ng以下とすることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載のインクジェット記録方法。
【0019】
(9) プロセスブラックによるソリッド画像の黒色度C*が、20以下であり、
且つシアン、マゼンタ、及びイエローによる単色ソリッド画像の褪色前後の色差ΔEのうち、最も大きい色差ΔE間での比(色差ΔEMAX/色差ΔEMIN)が5以下であるように、
画像を記録することを特徴とする前記(6)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0020】
(10) シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦3、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦5、の関係を満たすように、画像を記録することを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0021】
(11) シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦1.5、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦2.5、の関係を満たすように、画像を記録することを特徴とする前記(6)〜(9)のいずれかにインクジェット記録方法。
【0022】
(12) 前記(1)、(2)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを被記録媒体上へ吐出して画像が記録されていることを特徴とするインクジェット記録物。
【0023】
(13) 前記(2)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを光沢性被記録媒体上へ吐出して画像が記録されていることを特徴とするインクジェット記録物。
【0024】
(14) 前記各インクの吐出量が1ドロップあたり20ng以下で画像が記録されていることを特徴とする前記(12)又は(13)に記載のインクジェット記録物。
【0025】
(15) プロセスブラックによるソリッド画像の黒色度C※が、20以下であり、
且つシアン、マゼンタ、及びイエローによる単色ソリッド画像の褪色前後の色差ΔEのうち、最も大きい色差ΔE間での比が5以下で、
画像が記録されていることを特徴とする前記(12)〜(14)のいずれかに記載のインクジェット記録物。
【0026】
(16) シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦3、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦5、の関係を満たして、画像が記録されていることを特徴とする前記(12)〜(15)のいずれかに記載のインクジェット記録物。
【0027】
(17) シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦1.5、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦2.5、の関係を満たすように、画像を記録することを特徴とする前記(12)〜(15)のいずれかにインクジェット記録物。
【0028】
(18) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットにおける各インクを吐出する複数の記録ヘッドを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【0029】
(19) 前記複数の記録ヘッドが、主走査方向に略直交して1列に配置されていることを特徴とする前記(18)に記載のインクジェット記録装置。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(インクジェット記録用インクセット)
本発明のインクセットは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色以上からなり、このインクセットを用いて被記録媒体上に画像を記録する場合、各インクが、それぞれ独立に下記関係[1]及び[2]の関係を満たすこと特徴とする。
[1]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
(2)インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に式(1)0.01≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.6(ここで式(1)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:被記録媒体上へのインクの動的接触角)
【0031】
一方、被記録媒体のうち光沢性被記録媒体上に画像を記録する場合、各インクが、それぞれ独立に下記関係[3]及び[4]の関係を満たすことを特徴とする。
[3]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
[4]インク中の色材濃度がインク10質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、光沢性被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に、式(2)0.03≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.35(ここで式(2)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:光沢性被記録媒体へのインクの動的接触角)
【0032】
本発明のインクセットは、上記関係を満たすことで、写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性などに優れ、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れるという効果を奏するものであり、この効果を奏する理由は、定かではないが以下のように推測している。
【0033】
インクジェット記録において、写真画像に必要な色再現範囲、階調性を得るためには、最高画像濃度が高いことが望ましい。最高画像濃度を高くするには、インク中の染料濃度を上げることが必要になる。画像濃度は、通常、被記録媒体へのインクの浸透性に依存するといわれ、浸透性が高いと画像濃度が低く、浸透性が低いと画像濃度が高くなる傾向があるが、光沢紙・光沢フィルムでは、インク受容層を持つためインク中の染料濃度の効果も大きい。また、インクの被記録媒体への浸透性が高いと乾燥性には優れるが画像濃度低下の原因となり、浸透性が低いと画像濃度は高いが乾燥性が悪化しやすい。
【0034】
このため、カラーインクセットと被記録媒体が、分子にインク中の色材濃度、分母にLucas−Washburnの毛管浸透現象式の浸透長さの項を入れたファクターが上記式(1)の範囲を満たすときに、最高画像濃度が高く、かつ、乾燥性に優れた印字物を得られ、特に被記録媒体が光沢性被記録媒体の場合、分子にインク中の色材濃度、分母にLucas−Washburnの毛管浸透現象式の浸透長さの項を入れたファクターが式(2)の範囲を満たすときに、最高画像濃度が高く、かつ、乾燥性に優れた写真画像印字物を得られると考えられる。
特に、被記録媒体が光沢性被記録媒体の場合にも、毛管浸透現象式の浸透長さの項を入れたファクターは画質と乾燥性の観点において充分に有効であると考えられる。このような、式(1)、(2)は、分子がインク中の色材濃度で画像濃度の項、分母が毛管式の浸透長さを表すファクターであり、これらの範囲を満たすことで、乾燥性ひいては画像濃度、ドット広がりの項で、画質と乾燥性が実現できると考えられる。
【0035】
一方で、式(1)さらには(2)を満たすインク浸透性を実現し、かつ吐出安定性、目詰まりなどのインクジェット適性を満たすには、インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、インク物性値(pH、表面張力、粘度)が特定の範囲を満たすことが必要であることが考えられる。
【0036】
上記式(1)において、インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]は0.01以上0.6以下であるが、好ましくは0.03以上0.40以下であり、より好ましくは0.10以上0.30以下である。また、上記(2)において、インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]は、0.03以上0.35以下であるが、好ましくは0.05以上0.30以下であり、より好ましくは0.10以上0.30以下である。
【0037】
このインク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]が、上記範囲未満では、画像濃度が低く充分な写真画像が得にくく、上記範囲を超えると画像濃度は出るが乾燥性が悪化することとなる。
【0038】
本発明のインクセットにおいて、インク中の色材濃度はインク100質量部に対し1.0〜5.0質量部であるが、好ましくは2.0〜4.0質量部の範囲である。このインク中の色材濃度がインク100質量部に対し1.0質量部未満の場合には、十分な最高印字濃度が得られず充分な写真画質が得られず、色材濃度がインク100質量部に対し5.0質量部よりも多い場合には、インクの目詰まりが発生し吐出安定性が損なわれることとなる。
【0039】
また、インク物性値として具体的には、吐出安定性、インク浸透性調節の両立のために、pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sを満たすことが必要である。
pHが4.0以下では、色材のインク中での溶解性・分散安定性が損なわれる場合がある。一方pH11.0以上ではヘッドの部材に対して腐食性が高くなる可能性がある。また、表面張力が20mN/m以下ではノズルからのインクの溢れ出しがおこりやすくなり、吐出性が悪化することがある。また、インク粘度が1.0mPa・s未満では吐出性が安定せず、6.0mPa.sを超えると吐出性が低下しやすい。
【0040】
なお、表面張力と粘度に関しては、前述した範囲で式(1)さらには(2)を満たすことにより、上述のように、インクの被記録媒体への浸透性が制御しやすくなることとなる。これらのインク物性値はさらには、pHは4.5〜9.5、表面張力は25〜40mN/m、粘度が2.0〜3.5mPa・sであることがより望ましい。
【0041】
本発明のインクセットにおいて、被記録媒体は、いわゆる市販されている事務機器用、インクジェット用で市販されている普通紙、コート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPなどで特に限定するものではない。また、光沢性被記録媒体は、光沢紙、光沢フィルムが挙げられ、75°入射角におけるグロスユニットが30以上、好ましくは50以上のものである。なお、このグロスユニットは、グロスメータModel GM−26D for 75°(村上色彩技術研究所)を用いて容易に測定することができる。光沢性被記録媒体は、いわゆるインクジェットプリンター用で市販されているもので特に限定するものではないが、有機アミンもしくはその塩、アニモニウム塩、ホスホニウム塩、カチオン性オリゴマーもしくはポリマー、又は無機多価カチオンを含有するものであるものが挙げられ、具体的には、例えば、富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製インクジェット用フォト光沢紙、富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製インクジェット用光沢紙、富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製インクジェット用光沢フィルムなどが挙げられる。また具体的には、被記録媒体である。
【0042】
本発明のインクセットにおいては、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの他に、写真画像としての色再現範囲を更に広げるために、前記カラーインクセットに、ブラックインクをさらに加えることが望ましい。特に、写真画像においては、黒画像部の黒色度が画像全体の見た目に大きく影響を与えることが知られており、ブラックインクを加えることが好適な形態である。なお、ブラックインクは、写真画像としての色再現範囲を更に広げるためには、カラーインクと同様の上記関係を満たすことがよいが、ビジネス用の文字画像を印字する場合、上記関係を満たす必要はない。
【0043】
また、本発明のインクセットには、再現範囲、階調性を上げ、粒状性を改善するために、色材濃度がカラーインク中の1/8〜1/3である淡インクを更に加えることが望ましい。具体的には、色材濃度がシアンインクに対して1/8〜1/3である淡シアンインクと、色材濃度が前記マゼンタインクに対して1/8〜1/3である淡マゼンタインクをさらに加えることが好適である。
【0044】
本発明のインクセットにおける各インクには、少なくとも、水、水溶性有機溶媒、色材を含む。以下、各材料について説明する。
【0045】
水溶性有機溶媒としては、多価アルコール、グリコールエーテル、含窒素溶媒、及び含硫黄溶媒から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、これら水溶性有機溶媒をインクに含有すると、インクの保湿性及び色材の溶解性がさらに良好になり、目詰まり、インクジェット記録用インクの吐出安定性を維持し、さらに長期の保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐことができる。
【0046】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等など多価アルコール誘導体が挙げられる。
含窒素溶媒としては、例えば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
含硫黄溶媒としては、例えば、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0047】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を併せて用いることもできる。また、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類も併せて用いることができる。
【0048】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用することが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量としては、インク100質量部に対して、1〜60質量部、好ましくは、5〜40質量質量部で使用される。
【0049】
色材としては、ブラックインク、カラーインク問わず、顔料、染料、共に使用することができ、これらは色材を混合して使用してもよい。
【0050】
ブラックインクに用いられる顔料では、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。具体例としてRaven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRA II,Raven3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRA II,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch700,Monarch800,Monarch880,Monarch900,Monarch1000,Monarch1100,Monarch1300,Monarch1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,ColorBlack FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color BlackS150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0051】
顔料としては、水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤の存在がなくとも水中で安定に分散する顔料のことである。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0052】
水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−253、IJX−266、IJX−444、IJX−273、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2、更には日本触媒社から販売されている自己分散顔料等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0053】
ブラックインクに用いられる染料の具体例としては、C.I.Direct Black−2,−4,−9,−11,−17,−19,−22,−32,−80,−151,−154,−168,−171,−194,−195、C.I.Food Black−1,−2、C.I.Acid Black−1,−2,−7,−16,−24,−26,−28,−31,−48,−52,−63,−107,−112,−118,−119,−121,−156,−172,−194,−208、が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0054】
カラーインクの色材としては、色再現範囲、発色性、耐光性の観点、即ち、色再現範囲も広く、耐光性も良好で、かつ、2次色部の触媒的な褪色も起こりにくい観点から、少なくともシアンインクにはC.I.DirectBlue−199、マゼンタインクにはM−377、イエローインクには、C.I.DirectYellow−86、あるいはC.I.DirectYellow−132をそれぞれ含むことが好適である。これに限られず、以下に示す色材を用いることができる。
【0055】
シアンインクの顔料としてはC.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シアンインクの水溶性染料としては、C.I.Direct Blue−1,−2,−6,−8,−22,−34,−70,−71,−76,−78,−86,−112,−142,−165,−200,−201,−202,−203,−207,−218,−236,−287,−307,C.I.Acid Blue−1,−7,−9,−15,−22,−23,−27,−29,−40,−43,−55,−59,−62,−78,−80,−81,−83,−90,−102,−104,−111,−185,−249,−254等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0056】
マゼンタインクの顔料としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−184,−202等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
マゼンタインクの水溶性染料としては、C.I.Direct Red−1,−2,−4,−8,−9,−11,−13,−15,−20,−28,−31,−33,−37,−39,−51,−59,−62,−63,−73,−75,−80,−81,−83,−87,−90,−94,−95,−99,−101,−110,−189,−227、C.I.Acid Red−1,−4,−8,−13,−14,−15,−18,−21,−26,−35,−37,−52,−110,−144,−180,−249,−257,−289が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0057】
イエローインクの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
イエローインクの水溶性染料としては、C.I.Direct Yellow−1,−2,−4,−8,−11,−12,−26,−27,−28,−33,−34,−41,−44,−48,−58,−87,−88,−132,−135,−142,−144,−173、C.I.Acid Yellow−1,−3,−4,−7,−11,−12,−13,−14,−18,−19,−23,−25,−34,−38,−41,−42,−44,−53,−55,−61,−71,−76,−78,−79,−122が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0058】
これら、各色の色材は、色材が各種樹脂でカプセル化されたいわゆるカプセル染料・顔料として使用してもよい。
【0059】
インク中には、界面活性剤を使用しても構わない。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等を使用することが出来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれを使用しても構わない。又、上記高分子物質を界面活性剤として用いることもできる。
【0060】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が使用でき、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等も有効に使用される。
【0061】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0062】
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
【0063】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0064】
インク中に添加する界面活性剤量は、インク100質量部に対して、10質量質量部未満であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量質量部の範囲で使用される。添加量が10質量質量部以上の場合には、光学濃度、及び、インクの保存安定性が悪化する場合が存在した。
【0065】
その他、インク中には、インク吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を用いることができる。また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
【0066】
また、インク中には、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0067】
(インクジェット記録方法、インクジェット記録物)
本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを被記録媒体上へ吐出して画像を記録するものである。また、本発明のインクジェット記録物は、この方法により画像が記録された被記録媒体であるため、本発明のインクジェット記録方法と共に説明する。
【0068】
本発明のインクジェット記録方法は、ピエゾインクジェット方式や熱インクジェット方式等の公知の方式のインクジェット記録方法が適用可能であるが、特に、粒状性の観点から、吐出量が1ドロップあたり20ng以下であること、更には、10ng以下であることが望ましい。ドロップ量が20ngを超えると、画像のドットが目立ち、ざらつき感が出る場合がある。
【0069】
また、画質、色再現性は画像の形成方法に影響を受ける。前述したように、黒画像部の黒色度、褪色時の色バランスは写真画質にとって重要な項目である。このため、本発明のインクジェット記録方法では、上記本発明のインクジェット記録用インクセットを用いることで、以下に示す黒画像部の黒色度、褪色時の色バランスを実現することが可能である。特に、被記録媒体として光沢性被記録媒体を用いたり、インク中に含ませる色材を特定の色材(特に、シアンインクにC.I.DirectBlue−199、マゼンタインクにM−377、イエローインクにC.I.DirectYellow−86あるいはC.I.DirectYellow−132を用いることで容易に実現できる。
【0070】
(1)プロセスブラックによるソリッド画像の黒色度C*が、20以下であり、且つシアン、マゼンタ、及びイエローによる単色ソリッド画像の褪色前後の色差ΔEのうち、最も大きい色差ΔE間での比(ΔEMAX/ΔEMIN)が5以下である画像。
【0071】
(2)シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦3、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦5、の関係を満たした画像。なお、好ましくは、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦1.5、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔEマゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦2.5、の関係を満たした画像。
【0072】
ここで、プロセスブラックによるソリッド画像(ベタ画像)の黒色度C*は、式(3)C*=(a*2+b*20.5(a*、及びb*はCIELAB色座標におけるパラメータを示す)で表される指標で評価される場合が多く、C*が0に近いほど、理想の黒に近いとされている。特に写真画質では、被記録媒体(特に光沢性被記録媒体)上で、黒100質量部ソリッド部で20以下であることが必要であり、更には10以下であることが望ましい。プロセスブラックのソリッド画像は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを任意の比率と順番で打ち込むことで、また、ブラックインクを搭載する場合には、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを任意の比率と順番で打ち込むことで形成されるものであり、また、淡シアンインク、淡マゼンタインクを使用する場合でも、同様に、任意の比率と順番で打ち込むことで形成されるものである。
【0073】
また、褪色後の色バランスが崩れると、写真画像が不自然な色合いになる。写真画像は、多くの場合2次色以上の様々な濃度の画像部から形成されている。シアン、マゼンタ、イエローのいずれかの褪色性が強い場合弱い場合いずれも、特に低濃度〜中間濃度の画像部でバランスが崩れ、画像全体の色合いが不自然になる場合が多い。そこで、シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色ソリッド画像の褪色前後の色差ΔEのうち、最も大きい色差ΔE間での比、即ち、同じインクセット内で、各インクによる単色ソリッド画像の褪色前後の色差ΔEの最大値ΔEMAXと最小値ΔEMAXとの比(色差ΔEMAX/色差ΔEMIN)が5以下である画像であると,色変化が小さくなり褪色前後の色バランスがよく、耐光性が良好であることを示している。なお、ΔEが小さい値ほど色変化が少ないことを示す。
【0074】
この褪色前後の色差ΔEは、式(4)ΔE=[(L*褪色後−L*褪色前)2+(a*褪色後−a*褪色前)2+(b*褪色後−b*褪色前)20.5(L*、a*、及びb*はCIELAB色座標におけるパラメータを示し、褪色前後とは後述する耐光性評価を行なう前後のパラメータを示す)で表される。
【0075】
また、シアン、マゼンタ、及びイエローによる単色画像濃度(O.D.=1.0部)における褪色前後の色差ΔEが、(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦3、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦5、の関係を満たすことで、
特に光沢性被記録媒体上の画像では、褪色後のΔEが(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦1.5、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦2.5、を満たすことができ、これにより、初期画像の画質だけでなく褪色後もより自然な色合いを保つことができる。
【0076】
ここで、褪色後の色差ΔEを求めるための耐光性評価方法は、被記録媒体(特に光沢性被記録媒体)に印字したサンプルに対し、光源にキセノンランプ又は/及び蛍光灯を使用し以下の条件で光を照射することにより行う。
光源としてキセノンランプを使用する場合は、紫外波長領域における平均光量が約45W/m2で照射時間が100時間とする。この条件では、屋外での日光直射に近い状態を想定でき、約2週間に相当する。
光源として蛍光灯を使用する場合は、屋内で通常銀塩写真を飾ることを想定し、サンプル上に紫外線カットなしのガラスを置いた状態で、平均約50000〜80000LUXの蛍光灯で720時間照射することとする。これは仮に1日の仮定照射量を500LUX×10時間=5000LUXとすると、約20〜30年近くに相当する。
【0077】
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、上記インクジェット記録方法に適用、即ち、上記本発明のインクジェット記録用カラーインクセットにおける各インクを被記録媒体上へ吐出する複数の記録ヘッドを備える装置である。
【0078】
インクジェット記録装置も、ピエゾインクジェット方式や熱インクジェット方式等の公知の方式のインクジェット記録装置が適用可能であるが、各カラーインクを吐出する複数の記録ヘッドが主走査方向に略直交して1列に配置されていることが乾燥性の観点からよい。具体的には、例えば、記録ヘッドとして、一つのノズルを主走査方向に略直交に3分割してそれぞれ各カラーインクを吐出口を割り当てて使用する。これは、写真画像のように2次色以上が多い画像において、色を重ねて画像を形成しなければならない場合でも、このような記録ヘッドを使用すると複数色を同時スキャン内に重ねて打つことがないので、一つの色のインクを打ち込んだ後に次の色のインクを打ち込むので、被記録材の同部位に対して多色を打ち込むときにも1色ごとに乾燥させながら重ねて打ち込むため、被記録材のインク受容可能容量をオーバーすることがないためである。また、プリンターのスキャン方向の小型化に対しても有利となる。
【0079】
インクジェット記録装置は、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオで撮影・編集した画像のデジタルデータが入った各種メデイア(例えばPCカードや、メモリカード、フロッピー(R)ディスク、CDロム、DVDロム等)に対応したスロットを具備し、各種メディアをスロットに挿入することで、画像データを取得し、この画像データに基づいた画像をインクジェット記録可能な記録装置に適用可能である。この装置では、小型なプリンターで手軽にデジタル写真画像をユーザーに提供することができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0081】
−実施例1−
[カラーインクセット作製]
色材溶液に、水溶性有機溶媒、その他添加剤、イオン交換水を適量加え、各材料が所定量含まれるようにインクを調製したあと、混合・攪拌を行った。0.5μmフィルタでろ過を行い、インクを得た。
【0082】
(実施例カラーインクセットA)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0083】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 2.5質量部
C.I.AcidRed−52 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0084】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0085】
(比較例カラーインクセットB)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 0.3質量部
C.I. AcidBlue−9 0.2質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.47質量部
【0086】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 0.3質量部
C.I.AcidRed−52 0.2質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.47質量部
【0087】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 0.3質量部
C.I.DirectYellow−86 0.2質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.47質量部
【0088】
(比較例カラーインクセットC)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 4.5質量部
C.I.AcidBlue−9 1.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 65.47質量部
【0089】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 4.5質量部
C.I.AcidRed−52 1.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 65.47質量部
【0090】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 4.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 66.47質量部
【0091】
(比較例カラーインクセットD)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール465(日信化学社製) 5.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 64.97質量部
【0092】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 2.5質量部
C.I.AcidRed−52 0.5質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール465(日信化学社製) 5.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 64.97質量部
【0093】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール465(日信化学社製) 5.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0094】
(比較例カラーインクセットE)
・シアンインク
C.I..DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.05質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.92質量部
【0095】
・マゼンタインク
C.I.AcidRed52 3.0質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.05質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.92質量部
【0096】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
ジエチレングリコール 20質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.05質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.42質量部
【0097】
(比較例カラーインクセットF)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0098】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 0.3質量部
C.I.AsidRed−52 0.2質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.47質量部
【0099】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0100】
(実施例カラーインクセットG)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0101】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0102】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0103】
(実施例カラーインクセットH)
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.67質量部
【0104】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.67質量部
【0105】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 70.17質量部
【0106】
[インク物性測定]
上記各カラーインクセットにおけるインクの物性値を表1に示す。
(i)インクのpH
23℃、55%RHの環境で、ガラス電極を用いて測定した。
(ii)インクの粘度
レオマット115(Contraves製)装置を用いた。測定は23℃、せん断速度は1400s-1で行った。
(iii)インクの表面張力
23℃、55%RHの環境で、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて測定した。
(iv)インクの接触角
23℃、55%RH環境で、各インク4.0μlをインクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)上にセットし、FIBRO1100 DAT MKII(FIBRO system社製)装置を用いて、動的接触角を測定し、インクが光沢紙へ着弾してから1000秒まで測定した。着弾後1.0秒後のデータを読み取った。なお、表中には、(ii)で測定したインクの粘度η、(iii)で測定したインクの表面張力γ、測定したインクの光沢紙への着弾1.0秒後の接触角θを用いて、インク中の染料濃度/[(γ/η)cosθ]を算出した値を示す。値が0.03〜0.35の場合を○、0.01〜0.6の場合を△、0.01未満あるいは0.6を超えた場合を×とした。
【0107】
[印字評価]
印字特性の評価は、23℃、55%RH環境で、フルカラー印字可能な熱インクジェット印字装置を試作して行った。印字は、インクに複数パルスを印加することにより1ドロップを形成して行った。記録ヘッドは、400dpi、1色あたり96ノズルが3色分1列に主走査方向に対して略直交に配列されたヘッドを試作した。この印字装置に、実施例及び比較例カラーインクセットをセットして印字評価を行なった。
【0108】
(1)単色部(単色画像)及びプロセスブラック画像の光学濃度
インクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に対し、2cm×2cmのシアン、マゼンタ、イエロー単色100%べた画像(ソリッド画像)を印字した。プロセスブラック100%べた画像では、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの打ち込み比率が1:1:1になるように調整して出力した。1日放置後、光学濃度計X−Rite MODEL404(X−Rite社製)を用いて測定した。得られた各色画像の測定値について、○:1.3以上、×:1.3未満として評価を行った。
【0109】
(2)プロセスブラック画像の黒色度
(1)で作成したプロセスブラック100%べた画像(ソリッド画像)に対し、印字から1日放置後、X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定した。式(3)C*=(a*2+b*20.5に従って、C*を算出し、C*が20以下である場合は○、20を超える場合は×とした。
【0110】
(3)単色部の耐光性試験方法と色バランス−1
インクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に対し、2cm×2cmのシアン、マゼンタ、イエロー単色の100%べた画像(ソリッド画像)を印字した。1日放置後、光学濃度計X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定した。そして、下記(a)、(b)に従って耐光性評価方法を終了した後、再び前記べた画像部に対し、光学濃度計X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定し、式(4)ΔE=[(L*褪色後−L*褪色前)2+(a*褪色後−a*褪色前)2+(b*褪色後−b*褪色前)20.5に基づいてΔEを算出した。同じカラーインクセット内で、最もΔE差が大きかった色間のΔEの比(色差ΔEMAX/色差ΔEMIN)をとり5以下である場合を○、5を超えた場合を×とした。
(a).光源にキセノンランプを使用する場合
紫外波長領域における平均光量が約45W/m2で100時間連続照射した。
(b).光源として蛍光灯を使用する場合
サンプル上に紫外線カットなしのガラスを置いた状態で、約65000LUXの蛍光灯で720時間照射した。
【0111】
(4)単色部の耐光性試験方法と色バランス−2
インクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に対し、2cm×2cmのシアン、マゼンタ、イエロー単色画像濃度(O.D.=1.0部)となる画像を印字した。1日放置後、光学濃度計X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定した。上記(a)、(b)に従って耐光性試験評価を終了した後、再び前記べた画像部に対し、光学濃度計X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定し、式(4)ΔE=[(L*褪色後−L*褪色前)2+(a*褪色後−a*褪色前)2+(b*褪色後−b*褪色前)20.5に基づいてΔEを算出した。シアン、マゼンタ、イエロー単色画像濃度(O.D.=1.0部)の褪色前後のΔEが(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦1.5、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦2.5を満たした場合を○、ΔEが(マゼンタ単色部ΔE/シアン単色部ΔE)≦3、(マゼンタ単色部ΔE/イエロー単色部ΔE)≦5.0満たした場合を△、満たさなかった場合を×とした。
【0112】
(5)画像全体の褪色色バランスの官能評価
各カラーインクセットで日本規格協会標準画像N1を出力した。a、bに従って耐光性試験を行った後、プリンター開発者20名が目視にて、色バランスの崩れがないかどうかを官能評価し、15名以上が色バランスの崩れが許容できるレベルであると答えた場合を○、それを満たさない場合を×とした。
【0113】
(6)乾燥性評価
23℃、55%RH環境で、インクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に、日本規格協会標準画像N7を出力した。出力後1分後にプリント物の印字面を手で触り、湿りを感じない場合を○、湿りを感じる場合を×として官能評価した。
【0114】
(7)インクドロップ量測定
23℃、55%RHの環境で、試作ヘッドを用い、1/4トーンの画像を5回吐出させ、吐出されたインクをインク吸収体の小片に受けてその重さを測定することにより、液滴1個当たりの吐出量を求めた。
【0115】
(8)目詰まり性評価
23℃、55%RHの環境で、所定時時間開放放置後、吐出テストを行い、以下の基準で評価した。
○:300秒放置で吐出可能な状態。
×:300秒放置で吐出不可能な状態。
【0116】
(9)印字周波数への追随性(周波数応答性)評価
100%べた画像を印字し、目視による画像白抜け評価を行った。評価判定基準は以下の通りとした。
○:ベタ画像中の白抜けがなく、均一な画像である。
△:ベタ画像中に若干の白く抜けた部分がある。
×:ベタ画像中に大きく白く抜けた部分がある。
【0117】
【表1】
Figure 2004196911
【0118】
【表2】
Figure 2004196911
【0119】
表1〜2の結果から、上記[3]及び[4]を満たす実施例のカラーインクセットを用て被記録媒体として光沢性被記録媒体に印字することで、写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性が良好であることがわかる。また、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れていることもわかる。
【0120】
−実施例2−
[カラーインクセット作製]
色材溶液に、水溶性有機溶媒、その他添加剤、イオン交換水を適量加え、各材料が所定量含まれるようにインクを調製したあと、混合・攪拌を行った。0.5μmフィルタでろ過を行い、インクを得た。
【0121】
(実施例カラーインクセットI)
・シアンインク
IJX253(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 40.97質量部
【0122】
・マゼンタインク
IJX266(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 40.97質量部
【0123】
・イエローインク
IJX273(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 40.97質量部
(実施例カラーインクセットJ)
・シアンインク
IJX253(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 42.67質量部
【0124】
・マゼンタインク
IJX266(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 42.67質量部
【0125】
・イエローインク
IJX273(Cabot社製)10%色材濃度分散液 30質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
サーフィノール104(日信化学社製) 0.3質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 42.67質量部
【0126】
[印字評価]
これらのカラーインクセットを用いて、実施例1と同様に印字評価した。但し、各インク物性測定及び各評価に用いたインクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)(被記録媒体)の代わりに、普通紙であるインクジェットハイグレード普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)を用いた。結果を表3に示す。
【0127】
【表3】
Figure 2004196911
【0128】
表3の結果から、上記[1]及び[2]を満たす実施例のカラーインクセットを用て被記録媒体として普通紙に印字することで、写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性が良好であることがわかる。また、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れているこのもわかる。
【0129】
―実施例3―
[カラーインクセット作製]
色材溶液に、水溶性有機溶媒、その他添加剤、イオン交換水を適量加え、各材料が所定量含まれるようにインクを調製したあと、混合・攪拌を行った。0.5μmフィルタでろ過を行い、インクを得た。
【0130】
(実施例カラーインクセットK)
・ブラックインク
C.I.Direct Black−4 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0131】
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0132】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 2.5質量部
C.I.AcidRed−52 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0133】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0134】
(比較例カラーインクセットL)
・ブラックインク
C.I.Direct Black−4 1.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.47質量部
【0135】
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0136】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 2.5質量部
C.I.AcidRed−52 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0137】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0138】
[印字評価]
印字特性の評価は、23℃、55%RH環境で、フルカラー印字可能な熱インクジェット印字装置を試作して行った。印字は、インクに複数パルスを印加することにより1ドロップを形成して行った。記録ヘッドは、400dpi、ブラックは288ノズルが1列に配列されたヘッド、カラーは1色あたり96ノズルが3色分1列に主走査方向に対して直交に配列されたヘッドを試作した。ブラックヘッドの隣に、カラーヘッドを配列した印字装置に、実施例カラーインクセットK及び比較例カラーインクセットKをセットして黒画像印字評価を行なった。インクジェット用フォト光沢紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に対し、2cm×2cmのブラック単色となる画像を印字した。この際、黒画像はブラックヘッドのみにより作成される印字モードにより印字した。また1日放置後、光学濃度計X−Rite MODEL404(X−Rite社製)を用いて測定した。さらに光学濃度計X−Rite MODEL938(X−Rite社製)を用いてL*、a*、b*を測定した。式(3)C*=(a*2+b*20.5に従って、C*を算出した。
【0139】
[結果]
実施例カラーインクセットKを用いて上記に従って印字評価を行った結果、光学濃度1.8、C*=10であり、光学濃度、黒色度の高い黒画像が得られた。一方、比較例カラーインクセットLを用いた場合、光学濃度1.2、C*=25となり、光学濃度、黒色度ともに満足できない画像となった。
【0140】
―実施例4―
[カラーインクセット作製]
色材溶液に、水溶性有機溶媒、その他添加剤、イオン交換水を適量加え、各材料が所定量含まれるようにインクを調製したあと、混合・攪拌を行った。0.5μmフィルタでろ過を行い、インクを得た。
【0141】
(実施例カラーインクセットM)
・ブラックインク
C.I.Direct Black−4 3.0質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0142】
・シアンインク
C.I.DirectBlue−199 2.5質量部
C.I.AcidBlue−9 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0143】
・マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 2.5質量部
C.I.AcidRed−52 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 67.97質量部
【0144】
・イエローインク
C.I.DirectYellow−132 2.0質量部
C.I.DirectYellow−86 0.5質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 68.47質量部
【0145】
・淡シアンインク
C.I.DirectBlue−199 1.2質量部
C.I.AcidBlue−9 0.3質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.47質量部
【0146】
・淡マゼンタインク
M−377(Ilford社製) 1.2質量部
C.I.AcidRed−52 0.3質量部
1,5−ペンタンジオール 10質量部
チオジエタノール 10質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.0質量部
チオ尿素 3.0質量部
イソプロピルアルコール 4.0質量部
水酸化ナトリウム 0.03質量部
イオン交換水 69.47質量部
【0147】
[印字評価]
カラーインクセットで日本規格協会標準画像N1を出力した。プリンター開発者20名が目視にて官能評価し、15名以上が銀塩写真の代替となりうると答えた場合を○、それを満たさない場合を×とした。
【0148】
[結果]
結果は○であり、淡シアンインク及び淡マゼンタインクを追加したカラーインクセットMはより良好な画質を得ることが可能なことがわかる。
【0149】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、写真画像に求められている要求性能、すなわち、色再現範囲、階調性、質感、耐水性・耐光性などに優れ、粒状性が改善され、かつ乾燥性に優れたインクジェット記録用インクセット、並びに、これを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録物を提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、水、水溶性有機溶媒、色材を含み、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色以上からなるインクジェット記録用インクセットであって、
    前記各インクは、それぞれ独立に、
    [1]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
    [2]インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に式(1)0.01≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.6(ここで式(1)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:被記録媒体上へのインクの動的接触角)
    を満たすことを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. 少なくとも、水、水溶性有機溶媒、色材を含み、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色以上からなるインクジェット記録用インクセットであって、
    前記各インクは、それぞれ独立に、
    [3]pHが4.0〜11.0、表面張力が20〜45mN/m、粘度が1.0〜6.0mPa・sであり、
    [4]インク中の色材濃度がインク100質量部に対して1.0〜5.0質量部であり、光沢性被記録媒体上へのインクの着弾1.0秒後に、式(2)0.03≦インク中の色材濃度/[(γ/η)cosθ]≦0.35(ここで式(2)中、γ:インクの表面張力、η:インクの粘度、θ:光沢性被記録媒体へのインクの動的接触角)
    を満たすインクジェット記録用インクセット
  3. 請求項1に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを被記録媒体上へ吐出して画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 請求項2に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを光沢性被記録媒体上へ吐出して画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 請求項1に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを被記録媒体上へ吐出して画像が記録されていることを特徴とするインクジェット記録物。
  6. 請求項2に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクを光沢性被記録媒体上へ吐出して画像が記録されていることを特徴とするインクジェット記録物。
  7. 請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセットにおける各インクを吐出する複数の記録ヘッドを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1783181A4 (en) * 2004-07-29 2008-10-08 Canon Kk YELLOW INK FOR INK JET PRINTING, INK SET, RECORDING METHOD FOR INK JET PRINTING, INK CARTRIDGE, AND RECORDER FOR INK JET PRINTING

Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1783181A4 (en) * 2004-07-29 2008-10-08 Canon Kk YELLOW INK FOR INK JET PRINTING, INK SET, RECORDING METHOD FOR INK JET PRINTING, INK CARTRIDGE, AND RECORDER FOR INK JET PRINTING

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