JP2004197399A - 鋼管柱列土留壁における止水継手装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼管柱列土留壁を恒久的な止水壁として活用できるようにする。
【解決手段】外側に対向して継手部材を設けた鋼管杭Aを、互いに継手部材を介して連設し、鋼管柱列土留壁するものにおいて、鋼管杭Aの一側に雄型の継手部材2aを設け、他側に雌型の継手部材3aを設け、鋼管杭どうし(A−1,A−2)をそれぞれ継手部材2a,3aを嵌合して連設する。雌型の継手部材3aには水膨張性の板状の止水材6が添着されており、ソイルセメントの水分や地下浸透水等に触れて膨張し、両継手部材2a,3bに圧接し、止水シ−ルが形成され、地下構造物側への水の浸入が防止される。
【選択図】 図1
【解決手段】外側に対向して継手部材を設けた鋼管杭Aを、互いに継手部材を介して連設し、鋼管柱列土留壁するものにおいて、鋼管杭Aの一側に雄型の継手部材2aを設け、他側に雌型の継手部材3aを設け、鋼管杭どうし(A−1,A−2)をそれぞれ継手部材2a,3aを嵌合して連設する。雌型の継手部材3aには水膨張性の板状の止水材6が添着されており、ソイルセメントの水分や地下浸透水等に触れて膨張し、両継手部材2a,3bに圧接し、止水シ−ルが形成され、地下構造物側への水の浸入が防止される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鋼管柱列土留壁における、鋼管相互の継手部よりの水の漏出を防止するための止水継手装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建造物の地下構造部分の構築にあたっては、その構造物を囲む地盤に土留壁を仮設して工事を進め、工事終了後はこれを埋め殺しにしている。土留壁のうち鋼管杭(鋼管矢板)を多数連設した鋼管柱列による土留壁(ONS工法として知られている)は、耐力が優れているとともに、仮設物としては止水性が良好であることから、多く利用されるようになってきている。
【0003】
鋼管柱列土留壁は、一般に、鋼管の外側に長手方向に沿って継手部材を設けた鋼管杭(鋼管矢板)を、ソイルセメントを充填した掘削孔中に、互いに継手部材を嵌合させる等しながら連設してゆき柱列壁状に形成させるようにしている。この継手の方式としては、雄・雌型等の継手部材を嵌合あるいは係合させる方式のものが多く使用されているが、その他、継手部材を互いに係接させる方式のものがある。
【0004】
他方、建造物の地下構造部分は地下水の浸入を防止する必要があることから、従来一般的には、土留壁の開削側の面に防水シートを介して止水コンクリート壁を施設し、その内側に間隔をおいて地下構造部分を構築するようにしており、さらには、その間隔部分の下端部に排水手段を備えた釜場を設けて侵入水の排出が行えるようにしている。したがって、地下構造部分の構築には、止水壁や排水設備等を設ける等多額の費用を要している。
【0005】
鋼管柱列土留壁では、鋼管杭相互の継手部分がソイルセメントにより覆われていることから、相応の止水効果は発揮されるが、ソイルセメントは経年劣化などのため恒久的に侵水を防止するには無理があるため、従来は上記したような止水と排水手段を設けているのが実情である。
【0006】
鋼管柱列土留壁は耐力に優れていることから、従来のような仮設物ではなく、これを恒久的な構造物として活用することが検討され、その一環として、建造物の地下構造部分の止水壁として直接利用することが考えられてきた。鋼管柱列土留壁を止水壁として利用するためには、継手部の止水性を確実なものとする必要があり、これまで各種の方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3)。
【0007】
特許文献1に記載の工法は、鋼管矢板の継手部材のいずれか一方の下端を閉塞し、この閉塞された側の継手部材内に高吸水性繊維材を挿入し、これに水を含浸させて繊維材を膨張させ、継手部分の止水を行うものである。また、特許文献2に記載の継手工法は、鋼管矢板の継手部材の一方雌型部材の内面に水膨張性ゴムを塗着するとともに、その継手部材の下端を塞ぎ、上端および継手スリット部を保護フィルムで被覆しておき、継手部材の嵌合せで保護フィルムが破れて水が侵入し、水膨張性ゴムが膨張して継手部材間に充満し、止水シールが形成されるようにしたものである。また、特許文献3に記載の止水施工法は、鋼管杭どうしを雌、雄の継手により嵌合後、雌継手に注入孔を開設し、その孔より水膨張性止水材を注入して、継手部に止水施工するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−179725号公報
【特許文献2】
実開平6−56135号公報
【特許文献3】
特開平10−292365号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の工法の継手では、両継手部材の一方の下端だけを閉塞するため、両継手部材を嵌合した継手の下端(底部)の開口部はその半分程度は開放されたままとなるので、施工時にその開放された個所から継手内にレキや土塊等が入り込み、それによって高吸収性繊維が機能を十分に発揮できず、止水が不完全である、という欠点がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の継手では、継手部材の上端及びスリット部に設けた保護シートは、輸送時や荷役時等に破損するおそれがあり、施工時にそこからレキや土塊等が入り込み、それによって水膨潤性ゴムが機能を十分に発揮できなくなるばかりでなく、雌継手部材の内面に水膨潤性ゴムを十分な厚さに塗着することは困難であるとともに、塗着作業が非常に面倒である、という問題がある。
【0011】
また、特許文献3に記載の工法の継手では、止水工が土留壁構築後となるので、施工時の止水が不十分であるとともに、作業工程が増大し、施工が面倒であり、また、注入した水膨張性止水材が水道に十分に行きわたらないことがあるばかりでなく、施工後に、地震等によって、両継手部材間のソイルセメントに亀裂や水道や発生した場合には止水性を確保できなくなる等の問題がある。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、土留壁として施設される鋼管柱列土留壁を、恒久的な止水壁として活用できるようにし、地下構造物における侵入水防止対策に要していた工費の大巾な節減を図ろうとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成について、添付の図面を参照して説明すると、請求項1の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を嵌合して連設した鋼管柱列土留壁において、嵌合する両継手部材の一方または両方の相手継手部材と対向する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項2の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係合して連設する鋼管柱列土留壁において、係合する両継手部材の一方または両方に、その長手方向に沿って、相手鋼管の外側面に接する、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項3の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係接または近接して連設する鋼管柱列土留壁において、それら継手部材どちらか一方の、相手継手部材と係接あるいは近接する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。図1〜図4は、それぞれ両鋼管杭の継手部材を嵌合して鋼管杭を連設する方式の第1の止水継手装置の実施態様を例示し、図5、図6は、それぞれ両鋼管杭の継手部材を入れ込み式に係合して鋼管杭を連設する方式の第2の止水継手装置の実施態様を示し、また、図7は、両鋼管杭の継手部材を係接あるいは近接して鋼管杭を連設する方式の第3の止水継手装置の実施態様を示したものである。
【0017】
図1は、第1の止水継手装置の一実施態様を示したもので、1は鋼管杭(鋼管矢板)A(A−1,A−2)の主体をなす鋼管で、その外面の一側には、嵌め合せする一方の雄型の継手部材2(2a)が、また、この継手部材2aと対向する他側には他方の雌型の継手部材3(3a)が、それぞれ鋼管1の長手方向に沿って延設されている。
【0018】
雄型の継手部材2aは、図示のように断面小径なパイプ状のO形に形成されている。また、雌型の継手部材3aは、継手部材2aに十分に緩く外嵌できる程度の大きさの断面チャンネル形をなし、その開放部4を外方に向けて設けられている。そして、継手部材3aの両翼部5の前部の内面には、継手部材2aの両外側面に接触を保つ水膨張性の板状や丸棒状その他適宜な形状に形成した止水材6が翼部5のほぼ全長にわたり接着剤等により添設されている。
【0019】
本発明の止水継手装置に用いられる水膨張性止水材としては、1.2〜8倍の飽和体積水膨張倍率(23℃の水)を有する物が好ましく、例えば、水膨張性ポリウレタン樹脂含有エラストマー(水膨張性ポリウレタン樹脂単体および、それと天然ゴム、合成ゴム、もしくは再生ゴムとの混合物等)、および、ポリアクリル酸ソ−ダ等の高吸水性樹脂を上記ゴムに練り込んだ水膨張性ゴムが挙げられる。
ここで水膨張性止水材の一部に非水膨張性ゴムの部分を有していてもよく、また、止水材の少なくとも一部が発泡体であってもよい。
【0020】
上記水膨張性ポリウレタン樹脂としては、吸水した際にポリウレタン樹脂自体が膨張するオキシエチレン基含有ポリウレタン樹脂が挙げられる。水膨張性ポリウレタン樹脂の例としては、特開昭60−76525号公報記載のウレタン組成物および特開2000-80143号公報記載のポリウレタンフォ−ムが挙げられる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンプロビレンジエンゴム、ブチルゴム、非水膨張性ポリウレタンゴムなどから選ばれるゴムが挙げられ、2種類以上を併用することもできる。
【0021】
これらの止水材の中で好ましいものは、水中へ溶出する膨張成分を含んでおらず、したがって質量減少率が小さく、長期にわたって安定した膨張性能を示すという点で水膨張性ポリウレタン樹脂含有エラストマ−であり、さらに好ましいのは水膨張性ポリウレタン樹脂単体である。
【0022】
鋼管杭Aは、ソイルセメントを充填した連続した掘削孔中に建込み、その際、隣り合う一方の鋼管杭A(A−1)の雄型の継手部材2(2a)に他方の鋼管杭A(A−2)の雌型の継手部材3(3a)を嵌め合せて連設してゆく。この嵌め合せにあたっては、図1(イ)に示すように、継手部材3a外端の開放部4が継手部材2aの鋼管1との接続基部と鋼管1との凹み部に位置するようにさせる。それによって、止水材6が継手部材2aの外面に沿ってほぼ接すようになる。
【0023】
継手部材2a,3aの嵌合した部分はソイルセメントの未硬化中に建て込まれるためソイルセメントや浸入水等の水分に触れると、それによって止水材が膨張し、嵌合した雄継手材2aの外面と雌継手材3aの内面とに止水材が圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0024】
図2は、第1の止水継手装置の他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側にはさきの実施態様におけると同様の雄継手部材2aが設けられ、同他側には、巾狭チャンネル部7の両翼先端に雄型の継手部材2aより大径の半円弧部8を突設した雌型の継手部材3bが鋼管の長さ方向に沿って延設されている。そして、チャンネル部7の両翼間には、さきに説明した止水材6が、その先端部をチャンネル部の先端より突出して設けられている。
【0025】
両継手部材2a,3bの嵌め合せは、図2(イ)に示すように、継手部材3bの半円弧部8を継手部材2aの外側に囲み、止水部材6の先端を継手部材2aに接するようにして行う。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張して継手部材2aに圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0026】
図3は、第1の止水装置さらに他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側には、上記実施態様における継手部材2aに代って断面角管形(菱形)の継手部材2bが設けられ、同他側には、鋼管1の外方に突設した脚板部10の先端に、継手部材2bに緩く外嵌する、継手部材2bと相似で外端部に開放部14を設けた角管状部11を設けた継手部材3cが建設されている。そして、角管状部11の内面基部には、さきに説明した板状の止水材6が添着されている。
【0027】
上記両継手部材2b,3cの嵌め合せは、図3(イ)に示すように、継手部材2bの外側に継手部材3cの角管状部11を嵌め合せ、止水材6を継手部材3bの外面に接するようにして行う。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張して継手部材2bに圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0028】
図4は、第1の止水装置のさらに他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側には、断面T形をした継手部材2cが、その頭部15を外方にして設けられ、その脚部16の両外側に上記同様の止水材が添着されている。また、同他側には、この継手部材2cを囲めるような外端に止水材を添着した脚部の厚さと同様の開放巾17を有する断面C形の継手部材3dを設けたものとなっている。
【0029】
上記両継手部材2c,3dの嵌め合せは、継手部材3dの開放部17が継手部材2cの止水材6の個所に位置させ、継手部材3dの中に頭部15を入れた状態にして行われる。上記のように、止水材6は水分に触れて継手部材2cの先端部に圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0030】
図5は、継手部材の係合方式による第2の止水装置の一実施態様を示したものである。この場合は、鋼管1の一側には、図1,図2の実施態様におけると同様の継手部材2aが設けられ、同他側には、両翼部18が継手部材2aの横断巾以上の間隔をおいた断面U形をなし、翼部の先側にその長手方向溝部19を有した継手部材3eが設けられ、この溝部19に、さきに説明した板状の止水材6が、一部を溝部19より突出させて差し込んだものとなっている。
【0031】
両鋼管杭A−1,A−2は、継手部材3eの両翼部18を継手部材2aの両側に添わせて係接し、止水材6の先端が隣りの鋼管A−1の外面に接合させるようにして連設される。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張、延長し、両翼部18および鋼管1の外面に圧接し、止水シールが形成される。
【0032】
図6は、第2の止水装置の他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側に、径方向に長いプレート状の継手部材2dを突設し、同他側に、この継手部材2dと互いに入れ合い自在となる、平行に間隔をおいた複数のプレート20よりなる継手部材3fを突設し、このプレート20の互いに対向する内側の先部に、さきに説明した止水材6を、その先部を突出して設けたものとなっている。
【0033】
両鋼管杭A(A−1,A−2)は、継手部材2dと継手部材3fの各プレートを入れ込み状に近接させ、止水材6の先端が隣の鋼管A(A−1)の外面に接合させるようにして連設する。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張、延長して鋼管1の外面に圧接し、止水シールが形成される。なおこの場合、継手部材2dはプレートを複数間隔をおいて設けたものとすることができる。
【0034】
図7は、継手部材を互いに係接する方式による第3の止水装置の一実施態様を示したものである。この場合は、鋼管1の一側には、図1、図2、図5の実施態様におけると同様の継手部材2aが設けられ、同他側には、脚部21の先端に、継手部材2aの先端部に係接される平坦な溝型材22を固着した継手部材3gが突設され、溝型材22の溝内にはさきに説明した止水材6が挿入、添着されたものとなっている。両鋼管杭A(A−1,A−2)は、継手部材2a,3gどうしを止水材6を介して係接して連設される。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張し、継手部材2aに圧接され、止水シールが形成される。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋼管柱列土留壁における鋼管相互の連設に使用する嵌め合せ方式や係合方式あるいは係接、近接方式の継手部分の止水が継手部材どうしがまたは継手部材と鋼管どうしが水膨張性の止水材を介し接続し、止水材が水分に触れて膨張し、両継手部材管または継手部材と鋼管とに圧接し、強力な止水シールが恒久的に形成されることになる。そのため、従来、仮設構造物として施工後埋め殺しにされてきた鋼管柱列土留壁を、恒久的な止水壁として活用できることになる。その結果、従来のような土留壁の内側に止水シートや止水コンクリート等の止水構造物を設けることとなる地下構造物の構築費の低減が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)本発明の第1の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図2】(イ)同他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図3】(イ)同さらに他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図4】(イ)同さらに他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図5】(イ)本発明の第2の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図6】同他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図7】(イ)本発明の第3の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【符号の説明】
A,A−1,A−2 鋼管杭
1 鋼管
2a,2b,2c,2d 一方の継手部材
3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g 他方の継手部材
6 止水材
【産業上の利用分野】
本発明は、鋼管柱列土留壁における、鋼管相互の継手部よりの水の漏出を防止するための止水継手装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建造物の地下構造部分の構築にあたっては、その構造物を囲む地盤に土留壁を仮設して工事を進め、工事終了後はこれを埋め殺しにしている。土留壁のうち鋼管杭(鋼管矢板)を多数連設した鋼管柱列による土留壁(ONS工法として知られている)は、耐力が優れているとともに、仮設物としては止水性が良好であることから、多く利用されるようになってきている。
【0003】
鋼管柱列土留壁は、一般に、鋼管の外側に長手方向に沿って継手部材を設けた鋼管杭(鋼管矢板)を、ソイルセメントを充填した掘削孔中に、互いに継手部材を嵌合させる等しながら連設してゆき柱列壁状に形成させるようにしている。この継手の方式としては、雄・雌型等の継手部材を嵌合あるいは係合させる方式のものが多く使用されているが、その他、継手部材を互いに係接させる方式のものがある。
【0004】
他方、建造物の地下構造部分は地下水の浸入を防止する必要があることから、従来一般的には、土留壁の開削側の面に防水シートを介して止水コンクリート壁を施設し、その内側に間隔をおいて地下構造部分を構築するようにしており、さらには、その間隔部分の下端部に排水手段を備えた釜場を設けて侵入水の排出が行えるようにしている。したがって、地下構造部分の構築には、止水壁や排水設備等を設ける等多額の費用を要している。
【0005】
鋼管柱列土留壁では、鋼管杭相互の継手部分がソイルセメントにより覆われていることから、相応の止水効果は発揮されるが、ソイルセメントは経年劣化などのため恒久的に侵水を防止するには無理があるため、従来は上記したような止水と排水手段を設けているのが実情である。
【0006】
鋼管柱列土留壁は耐力に優れていることから、従来のような仮設物ではなく、これを恒久的な構造物として活用することが検討され、その一環として、建造物の地下構造部分の止水壁として直接利用することが考えられてきた。鋼管柱列土留壁を止水壁として利用するためには、継手部の止水性を確実なものとする必要があり、これまで各種の方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3)。
【0007】
特許文献1に記載の工法は、鋼管矢板の継手部材のいずれか一方の下端を閉塞し、この閉塞された側の継手部材内に高吸水性繊維材を挿入し、これに水を含浸させて繊維材を膨張させ、継手部分の止水を行うものである。また、特許文献2に記載の継手工法は、鋼管矢板の継手部材の一方雌型部材の内面に水膨張性ゴムを塗着するとともに、その継手部材の下端を塞ぎ、上端および継手スリット部を保護フィルムで被覆しておき、継手部材の嵌合せで保護フィルムが破れて水が侵入し、水膨張性ゴムが膨張して継手部材間に充満し、止水シールが形成されるようにしたものである。また、特許文献3に記載の止水施工法は、鋼管杭どうしを雌、雄の継手により嵌合後、雌継手に注入孔を開設し、その孔より水膨張性止水材を注入して、継手部に止水施工するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−179725号公報
【特許文献2】
実開平6−56135号公報
【特許文献3】
特開平10−292365号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の工法の継手では、両継手部材の一方の下端だけを閉塞するため、両継手部材を嵌合した継手の下端(底部)の開口部はその半分程度は開放されたままとなるので、施工時にその開放された個所から継手内にレキや土塊等が入り込み、それによって高吸収性繊維が機能を十分に発揮できず、止水が不完全である、という欠点がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の継手では、継手部材の上端及びスリット部に設けた保護シートは、輸送時や荷役時等に破損するおそれがあり、施工時にそこからレキや土塊等が入り込み、それによって水膨潤性ゴムが機能を十分に発揮できなくなるばかりでなく、雌継手部材の内面に水膨潤性ゴムを十分な厚さに塗着することは困難であるとともに、塗着作業が非常に面倒である、という問題がある。
【0011】
また、特許文献3に記載の工法の継手では、止水工が土留壁構築後となるので、施工時の止水が不十分であるとともに、作業工程が増大し、施工が面倒であり、また、注入した水膨張性止水材が水道に十分に行きわたらないことがあるばかりでなく、施工後に、地震等によって、両継手部材間のソイルセメントに亀裂や水道や発生した場合には止水性を確保できなくなる等の問題がある。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたもので、土留壁として施設される鋼管柱列土留壁を、恒久的な止水壁として活用できるようにし、地下構造物における侵入水防止対策に要していた工費の大巾な節減を図ろうとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成について、添付の図面を参照して説明すると、請求項1の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を嵌合して連設した鋼管柱列土留壁において、嵌合する両継手部材の一方または両方の相手継手部材と対向する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項2の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係合して連設する鋼管柱列土留壁において、係合する両継手部材の一方または両方に、その長手方向に沿って、相手鋼管の外側面に接する、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項3の装置は、鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係接または近接して連設する鋼管柱列土留壁において、それら継手部材どちらか一方の、相手継手部材と係接あるいは近接する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。図1〜図4は、それぞれ両鋼管杭の継手部材を嵌合して鋼管杭を連設する方式の第1の止水継手装置の実施態様を例示し、図5、図6は、それぞれ両鋼管杭の継手部材を入れ込み式に係合して鋼管杭を連設する方式の第2の止水継手装置の実施態様を示し、また、図7は、両鋼管杭の継手部材を係接あるいは近接して鋼管杭を連設する方式の第3の止水継手装置の実施態様を示したものである。
【0017】
図1は、第1の止水継手装置の一実施態様を示したもので、1は鋼管杭(鋼管矢板)A(A−1,A−2)の主体をなす鋼管で、その外面の一側には、嵌め合せする一方の雄型の継手部材2(2a)が、また、この継手部材2aと対向する他側には他方の雌型の継手部材3(3a)が、それぞれ鋼管1の長手方向に沿って延設されている。
【0018】
雄型の継手部材2aは、図示のように断面小径なパイプ状のO形に形成されている。また、雌型の継手部材3aは、継手部材2aに十分に緩く外嵌できる程度の大きさの断面チャンネル形をなし、その開放部4を外方に向けて設けられている。そして、継手部材3aの両翼部5の前部の内面には、継手部材2aの両外側面に接触を保つ水膨張性の板状や丸棒状その他適宜な形状に形成した止水材6が翼部5のほぼ全長にわたり接着剤等により添設されている。
【0019】
本発明の止水継手装置に用いられる水膨張性止水材としては、1.2〜8倍の飽和体積水膨張倍率(23℃の水)を有する物が好ましく、例えば、水膨張性ポリウレタン樹脂含有エラストマー(水膨張性ポリウレタン樹脂単体および、それと天然ゴム、合成ゴム、もしくは再生ゴムとの混合物等)、および、ポリアクリル酸ソ−ダ等の高吸水性樹脂を上記ゴムに練り込んだ水膨張性ゴムが挙げられる。
ここで水膨張性止水材の一部に非水膨張性ゴムの部分を有していてもよく、また、止水材の少なくとも一部が発泡体であってもよい。
【0020】
上記水膨張性ポリウレタン樹脂としては、吸水した際にポリウレタン樹脂自体が膨張するオキシエチレン基含有ポリウレタン樹脂が挙げられる。水膨張性ポリウレタン樹脂の例としては、特開昭60−76525号公報記載のウレタン組成物および特開2000-80143号公報記載のポリウレタンフォ−ムが挙げられる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンプロビレンジエンゴム、ブチルゴム、非水膨張性ポリウレタンゴムなどから選ばれるゴムが挙げられ、2種類以上を併用することもできる。
【0021】
これらの止水材の中で好ましいものは、水中へ溶出する膨張成分を含んでおらず、したがって質量減少率が小さく、長期にわたって安定した膨張性能を示すという点で水膨張性ポリウレタン樹脂含有エラストマ−であり、さらに好ましいのは水膨張性ポリウレタン樹脂単体である。
【0022】
鋼管杭Aは、ソイルセメントを充填した連続した掘削孔中に建込み、その際、隣り合う一方の鋼管杭A(A−1)の雄型の継手部材2(2a)に他方の鋼管杭A(A−2)の雌型の継手部材3(3a)を嵌め合せて連設してゆく。この嵌め合せにあたっては、図1(イ)に示すように、継手部材3a外端の開放部4が継手部材2aの鋼管1との接続基部と鋼管1との凹み部に位置するようにさせる。それによって、止水材6が継手部材2aの外面に沿ってほぼ接すようになる。
【0023】
継手部材2a,3aの嵌合した部分はソイルセメントの未硬化中に建て込まれるためソイルセメントや浸入水等の水分に触れると、それによって止水材が膨張し、嵌合した雄継手材2aの外面と雌継手材3aの内面とに止水材が圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0024】
図2は、第1の止水継手装置の他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側にはさきの実施態様におけると同様の雄継手部材2aが設けられ、同他側には、巾狭チャンネル部7の両翼先端に雄型の継手部材2aより大径の半円弧部8を突設した雌型の継手部材3bが鋼管の長さ方向に沿って延設されている。そして、チャンネル部7の両翼間には、さきに説明した止水材6が、その先端部をチャンネル部の先端より突出して設けられている。
【0025】
両継手部材2a,3bの嵌め合せは、図2(イ)に示すように、継手部材3bの半円弧部8を継手部材2aの外側に囲み、止水部材6の先端を継手部材2aに接するようにして行う。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張して継手部材2aに圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0026】
図3は、第1の止水装置さらに他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側には、上記実施態様における継手部材2aに代って断面角管形(菱形)の継手部材2bが設けられ、同他側には、鋼管1の外方に突設した脚板部10の先端に、継手部材2bに緩く外嵌する、継手部材2bと相似で外端部に開放部14を設けた角管状部11を設けた継手部材3cが建設されている。そして、角管状部11の内面基部には、さきに説明した板状の止水材6が添着されている。
【0027】
上記両継手部材2b,3cの嵌め合せは、図3(イ)に示すように、継手部材2bの外側に継手部材3cの角管状部11を嵌め合せ、止水材6を継手部材3bの外面に接するようにして行う。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張して継手部材2bに圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0028】
図4は、第1の止水装置のさらに他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側には、断面T形をした継手部材2cが、その頭部15を外方にして設けられ、その脚部16の両外側に上記同様の止水材が添着されている。また、同他側には、この継手部材2cを囲めるような外端に止水材を添着した脚部の厚さと同様の開放巾17を有する断面C形の継手部材3dを設けたものとなっている。
【0029】
上記両継手部材2c,3dの嵌め合せは、継手部材3dの開放部17が継手部材2cの止水材6の個所に位置させ、継手部材3dの中に頭部15を入れた状態にして行われる。上記のように、止水材6は水分に触れて継手部材2cの先端部に圧接し、止水シールが形成されることになる。
【0030】
図5は、継手部材の係合方式による第2の止水装置の一実施態様を示したものである。この場合は、鋼管1の一側には、図1,図2の実施態様におけると同様の継手部材2aが設けられ、同他側には、両翼部18が継手部材2aの横断巾以上の間隔をおいた断面U形をなし、翼部の先側にその長手方向溝部19を有した継手部材3eが設けられ、この溝部19に、さきに説明した板状の止水材6が、一部を溝部19より突出させて差し込んだものとなっている。
【0031】
両鋼管杭A−1,A−2は、継手部材3eの両翼部18を継手部材2aの両側に添わせて係接し、止水材6の先端が隣りの鋼管A−1の外面に接合させるようにして連設される。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張、延長し、両翼部18および鋼管1の外面に圧接し、止水シールが形成される。
【0032】
図6は、第2の止水装置の他の実施態様を示したものである。この装置では、鋼管1の一側に、径方向に長いプレート状の継手部材2dを突設し、同他側に、この継手部材2dと互いに入れ合い自在となる、平行に間隔をおいた複数のプレート20よりなる継手部材3fを突設し、このプレート20の互いに対向する内側の先部に、さきに説明した止水材6を、その先部を突出して設けたものとなっている。
【0033】
両鋼管杭A(A−1,A−2)は、継手部材2dと継手部材3fの各プレートを入れ込み状に近接させ、止水材6の先端が隣の鋼管A(A−1)の外面に接合させるようにして連設する。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張、延長して鋼管1の外面に圧接し、止水シールが形成される。なおこの場合、継手部材2dはプレートを複数間隔をおいて設けたものとすることができる。
【0034】
図7は、継手部材を互いに係接する方式による第3の止水装置の一実施態様を示したものである。この場合は、鋼管1の一側には、図1、図2、図5の実施態様におけると同様の継手部材2aが設けられ、同他側には、脚部21の先端に、継手部材2aの先端部に係接される平坦な溝型材22を固着した継手部材3gが突設され、溝型材22の溝内にはさきに説明した止水材6が挿入、添着されたものとなっている。両鋼管杭A(A−1,A−2)は、継手部材2a,3gどうしを止水材6を介して係接して連設される。上記のように、止水材6は水分に触れて膨張し、継手部材2aに圧接され、止水シールが形成される。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋼管柱列土留壁における鋼管相互の連設に使用する嵌め合せ方式や係合方式あるいは係接、近接方式の継手部分の止水が継手部材どうしがまたは継手部材と鋼管どうしが水膨張性の止水材を介し接続し、止水材が水分に触れて膨張し、両継手部材管または継手部材と鋼管とに圧接し、強力な止水シールが恒久的に形成されることになる。そのため、従来、仮設構造物として施工後埋め殺しにされてきた鋼管柱列土留壁を、恒久的な止水壁として活用できることになる。その結果、従来のような土留壁の内側に止水シートや止水コンクリート等の止水構造物を設けることとなる地下構造物の構築費の低減が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)本発明の第1の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図2】(イ)同他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図3】(イ)同さらに他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図4】(イ)同さらに他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図5】(イ)本発明の第2の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図6】同他の実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【図7】(イ)本発明の第3の止水装置の一実施態様を示す平断面図、(ロ)その鋼管杭の平断面図である。
【符号の説明】
A,A−1,A−2 鋼管杭
1 鋼管
2a,2b,2c,2d 一方の継手部材
3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g 他方の継手部材
6 止水材
Claims (3)
- 鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を嵌合して連設する鋼管柱列土留壁において、嵌合する両継手部材の一方または両方の相手継手部材と対向する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とする、鋼管柱列土留壁における止水継手装置。
- 鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係合して連設する鋼管柱列土留壁において、係合する両継手部材の一方または両方に、その長手方向に沿って、相手鋼管の外側面に接する、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とする、請求項1記載の鋼管柱列土留壁における止水継手装置。
- 鋼管杭どうしを互いにそれらの継手部材を係接あるいは近接して連設する鋼管柱列土留壁において、それら継手部材どちらか一方の、相手継手部材と係接する部位に、継手部材の長手方向に沿って、水膨張性の止水材を添着したことを特徴とする、鋼管柱列土留壁における止水継手装置。
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2002
- 2002-12-18 JP JP2002366478A patent/JP2004197399A/ja active Pending
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