JP2004198766A - ファイバグレーティング - Google Patents
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Abstract
【課題】大量生産が可能で、設置場所の制限がないファイバグレーティングを実現すること。
【解決手段】対向する光ファイバ1の端面間に、複数の異なる屈折率の層をポリマー導波路の作製プロセスにより積層した平板17を挿入し、固定することで、光ファイバ1の軸方向に沿って屈折率変化を持たせた構造とし、従来のファイバグレーティングの屈折率変化の構造と同じにする。平板17の作製時に、平板の各層の屈折率の値と層の厚さを任意に設定することで、所望の特性を得ることが可能であり、その結果、従来の一連の流れ工程の作製方法に比べて、大幅にファイバグレーティングの作製効率が上がる。
【選択図】 図3
【解決手段】対向する光ファイバ1の端面間に、複数の異なる屈折率の層をポリマー導波路の作製プロセスにより積層した平板17を挿入し、固定することで、光ファイバ1の軸方向に沿って屈折率変化を持たせた構造とし、従来のファイバグレーティングの屈折率変化の構造と同じにする。平板17の作製時に、平板の各層の屈折率の値と層の厚さを任意に設定することで、所望の特性を得ることが可能であり、その結果、従来の一連の流れ工程の作製方法に比べて、大幅にファイバグレーティングの作製効率が上がる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光センシングなどの分野で使用されるファイバ型光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信・光センシングなどの分野で、新しいタイプのファイバ型光部品としてファイバグレーティングが注目を集めている。ファイバグレーティングはファイバ型光部品の特徴である、伝送ファイバとの良好な接続性(低挿入損失)、部品の小型化といった点に加えて、これまでの光部品にない様々な機能が得られるため、精力的に開発が進められ、実用化されているものも数多くある。
【0003】
ファイバグレーティングの機能としては、主に、(1)広帯域の波長の中から特定の波長のみを選択的に反射する波長フィルタ、(2)長距離/高速光通信での、伝送路で累積する波長分散の影響を補償するため、反射する波長により遅延時間が異なる特性を利用した波長分散補償、(3)反射中心波長が温度依存性及び張力依存性を有することを利用した温度センサやひずみセンサなどが挙げられる。
【0004】
以下、図面を参照して従来のファイバグレーティングについて説明する。
【0005】
従来のファイバグレーティングは、図1で示すように、光ファイバ1のコアに対し、ファイバの軸方向に沿って所定のグレーティングピッチ(周期)2で屈折率変化部3が形成されたものである(例えば、非特許文献1)。ファイバグレーティングは光ファイバを導波している光のうち、その屈折率変化の周期に対応した特定の波長の光に選択的に作用して、他のモードへ結合させる作用を持つ。
【0006】
図1の例を用いて説明すると、ファイバグレーティングは広帯域の波長の光4の入射に対して、その中から特定の波長の光5のみを選択的に反射し、それ以外の波長の光6は透過させることが出来る。この機能を持っているファイバグレーティングは今後、光通信の中で注目されるWDM(Wavelength division multiplexing:波長多重通信)システムのキーコンポーネントとして期待されている。
【0007】
一般的にファイバグレーティングを作製する方法は、光ファイバの被覆を除去した後、光ファイバ側面から周期的な強度分布を持つUV(Ultra violet:紫外線)レーザを照射して、周期的な屈折率変化を形成する方法がとられる(例えば、非特許文献1)。その方法も屈折率変化の周期長の短長で分けることができ、周期が1μm以下のものの短周期型と、周期が100〜500μmの長周期型との2つに大別できる。
【0008】
短周期型ファイバグレーティングでは屈折率変化の周期が1μm以下と短いために、光の干渉による干渉縞で周期的な強度分布を実現し、ファイバグレーティングの形成を行う。
【0009】
図2はファイバグレーティングの作製方法の代表的なものを示している。
【0010】
図2(a)は2光束の干渉により作製する2光束干渉法であって、ある波長の紫外光7をビームスプリッタ8とミラー9を通して2方向から光ファイバ1に照射すると、光の干渉10によりコアの長手方向(軸方向)に周期的な屈折率変化部3が生じる原理を用いたものである。
【0011】
図2(b)は位相マスク法であって、紫外光7を位相格子11に照射することによって、位相格子11と同じものを光ファイバ1中に書き込むことができる。ここで、12,13は光ファイバの照射後の回折光である。以前は2光束干渉法が主に用いられていたが、作製時の安定性、再現性などの面から、現在では位相マスク法が主流となっている。
【0012】
一方、長周期型ファイバグレーティングでは屈折率変化の周期が数百μmと長いため、干渉を用いなくても作製が可能である。作製方法は、図2(c)に示されるようなグレーティングをミラー9付きの移動ステージ14と集光するレンズ15を用いて1段ずつ書いていくステップ露光法などが用いられている。
【0013】
ファイバグレーティングは、現在上記のような方法で作製され、光通信・光センシングなどの分野で数多く使用されている。
【0014】
【非特許文献1】
山内良三、「ファイバグレーティングの最新技術動向」、電子情報通信学会信学技報、1999年5月発行、OFT99−8、P.43〜48
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のファイバグレーティングは、以下のような欠点があった。即ち、作製において、光ファイバの被覆を除去して光を照射し、光ファイバに屈折率変化をつけた後、その部分を補強する目的で、例えばガラス基板などにファイバを固定する、というプロセスが必要である。そのため、作製効率が悪く、大量生産に不向きという問題があった。さらに基板にファイバを固定する構造であると、ファイバグレーティング部が比較的に大きくなるため、設置する場所が制限されるという問題があった。
【0016】
本発明は前述した従来の欠点を除去し、大量生産を可能とする新たな構造を有するファイバグレーティングを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は前述した従来の欠点を除去し、設置場所が制限されないファイバグレーティングを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1では、光ファイバの軸方向に沿って複数の異なる屈折率の層を有するファイバグレーティングであって、対向する光ファイバと、複数の異なる屈折率の層を積層した平板とからなり、前記光ファイバの端面間に前記平板を挿入し、該各光ファイバと平板とを機械的または接着剤等で固定することで、光ファイバの軸方向に沿って任意の屈折率変化を付与したことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項2では、請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、ポリマー導波路の作製プロセスにより作製した平板を用いたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項3では、請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けられた光コネクタプラグの間に平板を挿入・固定することを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の作用・原理について、詳細に説明する。
【0022】
本発明の請求項1によれば、対向する光ファイバの端面間に、予め屈折率変化を持たせた平板を挿入・固定する構造を採用するため、従来の1本や数本ずつ作製するという一連の流れ工程の作製方法に比べて、平板を光ファイバの端面間に挿入・固定するだけで作製可能なため、大幅に作製効率が上がる。さらに光ファイバの長手方向の任意の場所に平板を挿入するだけで、グレーティングの機能を付加することが出来る。また、該平板を取り除けば、グレーティングの機能を除去し、一般的なファイバ伝送の機能に復帰させることも可能であり、光ファイバ網の中で任意にグレーティングの機能を追加、除去する等の運用が可能となる。
【0023】
また、請求項2によれば、複数の異なる屈折率の層を積層した平板をポリマー導波路の作製プロセスを用いて作製することで、前記平板の大量生産が可能となり、ファイバグレーティングの効率的な作製が可能となる。
【0024】
また、請求項3によれば、光ファイバが光コネクタプラグに実装されていれば、コネクタ接続の機構をほとんどそのまま活用し、ファイバグレーティングの機能を持たせることが出来るため、既にインストールしている光ファイバの中にも追加的にグレーティングの機能を持たせることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図3は本発明のファイバグレーティングの第1の実施の形態を示すもので、図中、1は光ファイバ、16は光ファイバ1のコア、17は平板、18,19は平板17における複数の屈折率の異なる層を示している。予め複数の異なる屈折率の層を積層させた平板17を作製しておき、該平板17を2本の光ファイバ1の端面間に挿入し、機械的または接着剤等で固定する。これにより、図4に示すような光ファイバの長手方向(軸方向)に屈折率変化を持たせた構造となり、図1に示した従来のファイバグレーティングと同じ屈折率変化の構造になる。平板17の作製時に、平板17の各層の屈折率の値と層の厚さを任意に設定することで、所望の特性を得ることが可能である。
【0027】
図5は前述した平板の作製に適しているポリマー光導波路の作製プロセスを表している。
【0028】
シリコン基板20上に、ある屈折率を有するポリマー材料21をある一定時間だけ塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った屈折率層22(下部クラッド層)を形成する(同図(a)(b))。次に、上記と異なる屈折率を持ったポリマー材料23を同様に塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った層24を重ね上げる(同図(c))。その後、反応性イオンエッチング25を用いて不要な部分を除去し、リッジ状のコア部26を形成する(同図(d))。その後、もう一度ポリマー材料21を塗布・積層し、コア部26を屈折率層27(上部クラッド層)で覆って埋め込み構造の光導波路を形成し(同図(e))、最後にダイシングソー28で所定の大きさに切り出す(同図(f))ことで、ポリマー光導波路を作製する。
【0029】
このポリマー光導波路の作製プロセスにより、本発明のファイバグレーティングにおける平板を作製する工程を表したものが図6である。
【0030】
その作製工程は、シリコンウエハなどの基板20に、ある屈折率を有するポリマー材料21をある一定時間だけ塗布・積層し、任意の屈折率と厚みを持った層22を形成する(同図(a))。次に、上記と異なる屈折率を持ったポリマー材料23を同様に塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った層24を重ね上げる(同図(b))。前記の工程を繰り返し行うことで、複数の異なる屈折率を有した層を任意に多段重ね合わせることが出来る。層の堆積後は、ダイシングソー28で所定の大きさに切り出し(同図(c))、塩酸を用いて積層した部分をシリコン基板20から剥離することで、複数の異なる屈折率の層を有した平板を作製することが可能である。
【0031】
図7は本発明のファイバグレーティングに適した光ファイバコネクタの一例、ここでは周知のMTコネクタを示すものである。
【0032】
同図(a)は分解斜視図を示すもので、MTコネクタは、2個のMTコネクタプラグ29と、2本のガイドピン30と、クランプスプリング31とからなり、多心の光ファイバテープ34同士の接続に用いられる。
【0033】
同図(b)はMTコネクタプラグ29の端面を拡大して示すもので、2つのガイドピン穴32と、複数の光ファイバ穴33とを有し、光ファイバテープ34に含まれる複数の光ファイバ1は光ファイバ穴33に挿入した状態でMTコネクタプラグ29に接着・固定される。
【0034】
MTコネクタプラグ29同士の接続は、2本のガイドピン30を各プラグ29のガイドピン穴32に挿入して突き合わせ、クランプスプリング31により締結することで行う。この締結で、対向するプラグ29中の複数の光ファイバの端面同士が軸合わせされて、多心の光ファイバテープ34が一括接続される。
【0035】
図8は本発明のファイバグレーティングの第2の実施の形態、ここでは前述したMTコネクタを対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けた例を示す。
【0036】
ここでは平板、例えば図6に示したプロセスで作製した平板17にガイドピン挿入用の穴を設けてガイドピン30を通し、このガイドピン付きの平板17を介して、対向するMTコネクタプラグ29同士を接続し、その後、MTコネクタと同様にクランプスプリング31で機械的に固定する(但し、クランプスプリング31としては平板17の厚みを考慮した長さのものを使用する。)。
【0037】
このMTコネクタを用いた接続形態では、ファイバグレーティングを光ファイバテープにおける光ファイバの数の分だけ、まとめて実現することが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のファイバグレーティングによれば、対向する光ファイバと、複数の異なる屈折率の層を積層した平板とからなり、前記光ファイバの端面間に前記平板を挿入し、該各光ファイバと平板とを機械的または接着剤等で固定することで、光ファイバの軸方向に沿って任意の屈折率変化を付与した構造を採用したため、従来の1本や数本ずつの一連の流れ工程の作製方法に比べて、平板を光ファイバの端面間に挿入・固定するだけで作製可能となり、大幅に作製効率が上がる。さらに光ファイバの長手方向の任意の場所でも、平板を挿入するだけで、グレーティングの機能を付加することが出来、また該平板を取り除けば、グレーティングの機能を除去し、一般的なファイバ伝送の機能に復帰させることも可能であり、光ファイバ網の中で任意にグレーティングの機能を追加、除去する等の運用が可能となる。
【0039】
また、請求項2記載のファイバグレーティングによれば、ポリマー導波路の作製プロセスにより作製した平板を用いることで、平板の大量生産が可能となり、ひいてはファイバグレーティングの大量生産が可能になる。
【0040】
また、請求項3のファイバグレーティングによれば、対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けられた光コネクタプラグの間に平板を挿入・固定する構造を採用したため、光ファイバが光コネクタプラグに実装されていれば、コネクタ接続の機構をほとんどそのまま活用し、ファイバグレーティングの機能を持たせることが出来るため、既にインストールしている光ファイバの中にも追加的にグレーティングの機能を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファイバグレーティングの機能を示す説明図
【図2】従来のファイバグレーティングの作製方法を示す説明図
【図3】本発明のファイバグレーティングの第1の実施の形態を示す構成図
【図4】第1の実施の形態における光ファイバの軸方向の屈折率変化を示す説明図
【図5】ポリマー光導波路の作製プロセスを示す工程図
【図6】本発明のファイバグレーティングにおける平板の作製プロセスを示す工程図
【図7】光ファイバコネクタの一例を示す構造図
【図8】本発明のファイバグレーティングの第2の実施の形態を示す構成図
【符号の説明】
1:光ファイバ、2:グレーティング周期、3:屈折率変化部、4:広範囲な波長の入射光、5:グレーティングで選択反射された光、6:グレーティング透過後の光、7:紫外光、8:ビームスプリッタ、9:ミラー、10:干渉光、11:位相格子、12,13:回折光、14:移動ステージ、15:レンズ、16:光ファイバのコア、17:平板、18,19:屈折率層、20:シリコン基板、21,23:ポリマー材料、22,24,27:屈折率層、25:反応性イオンエッチング、26:導波路のコア、28:ダイシングソー、29:MTコネクタプラグ、30:ガイドピン、31:クランプスプリング、32:ガイドピン穴、33:光ファイバ穴、34:多心光ファイバテープ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光センシングなどの分野で使用されるファイバ型光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信・光センシングなどの分野で、新しいタイプのファイバ型光部品としてファイバグレーティングが注目を集めている。ファイバグレーティングはファイバ型光部品の特徴である、伝送ファイバとの良好な接続性(低挿入損失)、部品の小型化といった点に加えて、これまでの光部品にない様々な機能が得られるため、精力的に開発が進められ、実用化されているものも数多くある。
【0003】
ファイバグレーティングの機能としては、主に、(1)広帯域の波長の中から特定の波長のみを選択的に反射する波長フィルタ、(2)長距離/高速光通信での、伝送路で累積する波長分散の影響を補償するため、反射する波長により遅延時間が異なる特性を利用した波長分散補償、(3)反射中心波長が温度依存性及び張力依存性を有することを利用した温度センサやひずみセンサなどが挙げられる。
【0004】
以下、図面を参照して従来のファイバグレーティングについて説明する。
【0005】
従来のファイバグレーティングは、図1で示すように、光ファイバ1のコアに対し、ファイバの軸方向に沿って所定のグレーティングピッチ(周期)2で屈折率変化部3が形成されたものである(例えば、非特許文献1)。ファイバグレーティングは光ファイバを導波している光のうち、その屈折率変化の周期に対応した特定の波長の光に選択的に作用して、他のモードへ結合させる作用を持つ。
【0006】
図1の例を用いて説明すると、ファイバグレーティングは広帯域の波長の光4の入射に対して、その中から特定の波長の光5のみを選択的に反射し、それ以外の波長の光6は透過させることが出来る。この機能を持っているファイバグレーティングは今後、光通信の中で注目されるWDM(Wavelength division multiplexing:波長多重通信)システムのキーコンポーネントとして期待されている。
【0007】
一般的にファイバグレーティングを作製する方法は、光ファイバの被覆を除去した後、光ファイバ側面から周期的な強度分布を持つUV(Ultra violet:紫外線)レーザを照射して、周期的な屈折率変化を形成する方法がとられる(例えば、非特許文献1)。その方法も屈折率変化の周期長の短長で分けることができ、周期が1μm以下のものの短周期型と、周期が100〜500μmの長周期型との2つに大別できる。
【0008】
短周期型ファイバグレーティングでは屈折率変化の周期が1μm以下と短いために、光の干渉による干渉縞で周期的な強度分布を実現し、ファイバグレーティングの形成を行う。
【0009】
図2はファイバグレーティングの作製方法の代表的なものを示している。
【0010】
図2(a)は2光束の干渉により作製する2光束干渉法であって、ある波長の紫外光7をビームスプリッタ8とミラー9を通して2方向から光ファイバ1に照射すると、光の干渉10によりコアの長手方向(軸方向)に周期的な屈折率変化部3が生じる原理を用いたものである。
【0011】
図2(b)は位相マスク法であって、紫外光7を位相格子11に照射することによって、位相格子11と同じものを光ファイバ1中に書き込むことができる。ここで、12,13は光ファイバの照射後の回折光である。以前は2光束干渉法が主に用いられていたが、作製時の安定性、再現性などの面から、現在では位相マスク法が主流となっている。
【0012】
一方、長周期型ファイバグレーティングでは屈折率変化の周期が数百μmと長いため、干渉を用いなくても作製が可能である。作製方法は、図2(c)に示されるようなグレーティングをミラー9付きの移動ステージ14と集光するレンズ15を用いて1段ずつ書いていくステップ露光法などが用いられている。
【0013】
ファイバグレーティングは、現在上記のような方法で作製され、光通信・光センシングなどの分野で数多く使用されている。
【0014】
【非特許文献1】
山内良三、「ファイバグレーティングの最新技術動向」、電子情報通信学会信学技報、1999年5月発行、OFT99−8、P.43〜48
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のファイバグレーティングは、以下のような欠点があった。即ち、作製において、光ファイバの被覆を除去して光を照射し、光ファイバに屈折率変化をつけた後、その部分を補強する目的で、例えばガラス基板などにファイバを固定する、というプロセスが必要である。そのため、作製効率が悪く、大量生産に不向きという問題があった。さらに基板にファイバを固定する構造であると、ファイバグレーティング部が比較的に大きくなるため、設置する場所が制限されるという問題があった。
【0016】
本発明は前述した従来の欠点を除去し、大量生産を可能とする新たな構造を有するファイバグレーティングを提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は前述した従来の欠点を除去し、設置場所が制限されないファイバグレーティングを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1では、光ファイバの軸方向に沿って複数の異なる屈折率の層を有するファイバグレーティングであって、対向する光ファイバと、複数の異なる屈折率の層を積層した平板とからなり、前記光ファイバの端面間に前記平板を挿入し、該各光ファイバと平板とを機械的または接着剤等で固定することで、光ファイバの軸方向に沿って任意の屈折率変化を付与したことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項2では、請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、ポリマー導波路の作製プロセスにより作製した平板を用いたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項3では、請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けられた光コネクタプラグの間に平板を挿入・固定することを特徴とする。
【0021】
以下、本発明の作用・原理について、詳細に説明する。
【0022】
本発明の請求項1によれば、対向する光ファイバの端面間に、予め屈折率変化を持たせた平板を挿入・固定する構造を採用するため、従来の1本や数本ずつ作製するという一連の流れ工程の作製方法に比べて、平板を光ファイバの端面間に挿入・固定するだけで作製可能なため、大幅に作製効率が上がる。さらに光ファイバの長手方向の任意の場所に平板を挿入するだけで、グレーティングの機能を付加することが出来る。また、該平板を取り除けば、グレーティングの機能を除去し、一般的なファイバ伝送の機能に復帰させることも可能であり、光ファイバ網の中で任意にグレーティングの機能を追加、除去する等の運用が可能となる。
【0023】
また、請求項2によれば、複数の異なる屈折率の層を積層した平板をポリマー導波路の作製プロセスを用いて作製することで、前記平板の大量生産が可能となり、ファイバグレーティングの効率的な作製が可能となる。
【0024】
また、請求項3によれば、光ファイバが光コネクタプラグに実装されていれば、コネクタ接続の機構をほとんどそのまま活用し、ファイバグレーティングの機能を持たせることが出来るため、既にインストールしている光ファイバの中にも追加的にグレーティングの機能を持たせることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図3は本発明のファイバグレーティングの第1の実施の形態を示すもので、図中、1は光ファイバ、16は光ファイバ1のコア、17は平板、18,19は平板17における複数の屈折率の異なる層を示している。予め複数の異なる屈折率の層を積層させた平板17を作製しておき、該平板17を2本の光ファイバ1の端面間に挿入し、機械的または接着剤等で固定する。これにより、図4に示すような光ファイバの長手方向(軸方向)に屈折率変化を持たせた構造となり、図1に示した従来のファイバグレーティングと同じ屈折率変化の構造になる。平板17の作製時に、平板17の各層の屈折率の値と層の厚さを任意に設定することで、所望の特性を得ることが可能である。
【0027】
図5は前述した平板の作製に適しているポリマー光導波路の作製プロセスを表している。
【0028】
シリコン基板20上に、ある屈折率を有するポリマー材料21をある一定時間だけ塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った屈折率層22(下部クラッド層)を形成する(同図(a)(b))。次に、上記と異なる屈折率を持ったポリマー材料23を同様に塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った層24を重ね上げる(同図(c))。その後、反応性イオンエッチング25を用いて不要な部分を除去し、リッジ状のコア部26を形成する(同図(d))。その後、もう一度ポリマー材料21を塗布・積層し、コア部26を屈折率層27(上部クラッド層)で覆って埋め込み構造の光導波路を形成し(同図(e))、最後にダイシングソー28で所定の大きさに切り出す(同図(f))ことで、ポリマー光導波路を作製する。
【0029】
このポリマー光導波路の作製プロセスにより、本発明のファイバグレーティングにおける平板を作製する工程を表したものが図6である。
【0030】
その作製工程は、シリコンウエハなどの基板20に、ある屈折率を有するポリマー材料21をある一定時間だけ塗布・積層し、任意の屈折率と厚みを持った層22を形成する(同図(a))。次に、上記と異なる屈折率を持ったポリマー材料23を同様に塗布・積層し、ある屈折率と厚みを持った層24を重ね上げる(同図(b))。前記の工程を繰り返し行うことで、複数の異なる屈折率を有した層を任意に多段重ね合わせることが出来る。層の堆積後は、ダイシングソー28で所定の大きさに切り出し(同図(c))、塩酸を用いて積層した部分をシリコン基板20から剥離することで、複数の異なる屈折率の層を有した平板を作製することが可能である。
【0031】
図7は本発明のファイバグレーティングに適した光ファイバコネクタの一例、ここでは周知のMTコネクタを示すものである。
【0032】
同図(a)は分解斜視図を示すもので、MTコネクタは、2個のMTコネクタプラグ29と、2本のガイドピン30と、クランプスプリング31とからなり、多心の光ファイバテープ34同士の接続に用いられる。
【0033】
同図(b)はMTコネクタプラグ29の端面を拡大して示すもので、2つのガイドピン穴32と、複数の光ファイバ穴33とを有し、光ファイバテープ34に含まれる複数の光ファイバ1は光ファイバ穴33に挿入した状態でMTコネクタプラグ29に接着・固定される。
【0034】
MTコネクタプラグ29同士の接続は、2本のガイドピン30を各プラグ29のガイドピン穴32に挿入して突き合わせ、クランプスプリング31により締結することで行う。この締結で、対向するプラグ29中の複数の光ファイバの端面同士が軸合わせされて、多心の光ファイバテープ34が一括接続される。
【0035】
図8は本発明のファイバグレーティングの第2の実施の形態、ここでは前述したMTコネクタを対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けた例を示す。
【0036】
ここでは平板、例えば図6に示したプロセスで作製した平板17にガイドピン挿入用の穴を設けてガイドピン30を通し、このガイドピン付きの平板17を介して、対向するMTコネクタプラグ29同士を接続し、その後、MTコネクタと同様にクランプスプリング31で機械的に固定する(但し、クランプスプリング31としては平板17の厚みを考慮した長さのものを使用する。)。
【0037】
このMTコネクタを用いた接続形態では、ファイバグレーティングを光ファイバテープにおける光ファイバの数の分だけ、まとめて実現することが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のファイバグレーティングによれば、対向する光ファイバと、複数の異なる屈折率の層を積層した平板とからなり、前記光ファイバの端面間に前記平板を挿入し、該各光ファイバと平板とを機械的または接着剤等で固定することで、光ファイバの軸方向に沿って任意の屈折率変化を付与した構造を採用したため、従来の1本や数本ずつの一連の流れ工程の作製方法に比べて、平板を光ファイバの端面間に挿入・固定するだけで作製可能となり、大幅に作製効率が上がる。さらに光ファイバの長手方向の任意の場所でも、平板を挿入するだけで、グレーティングの機能を付加することが出来、また該平板を取り除けば、グレーティングの機能を除去し、一般的なファイバ伝送の機能に復帰させることも可能であり、光ファイバ網の中で任意にグレーティングの機能を追加、除去する等の運用が可能となる。
【0039】
また、請求項2記載のファイバグレーティングによれば、ポリマー導波路の作製プロセスにより作製した平板を用いることで、平板の大量生産が可能となり、ひいてはファイバグレーティングの大量生産が可能になる。
【0040】
また、請求項3のファイバグレーティングによれば、対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けられた光コネクタプラグの間に平板を挿入・固定する構造を採用したため、光ファイバが光コネクタプラグに実装されていれば、コネクタ接続の機構をほとんどそのまま活用し、ファイバグレーティングの機能を持たせることが出来るため、既にインストールしている光ファイバの中にも追加的にグレーティングの機能を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファイバグレーティングの機能を示す説明図
【図2】従来のファイバグレーティングの作製方法を示す説明図
【図3】本発明のファイバグレーティングの第1の実施の形態を示す構成図
【図4】第1の実施の形態における光ファイバの軸方向の屈折率変化を示す説明図
【図5】ポリマー光導波路の作製プロセスを示す工程図
【図6】本発明のファイバグレーティングにおける平板の作製プロセスを示す工程図
【図7】光ファイバコネクタの一例を示す構造図
【図8】本発明のファイバグレーティングの第2の実施の形態を示す構成図
【符号の説明】
1:光ファイバ、2:グレーティング周期、3:屈折率変化部、4:広範囲な波長の入射光、5:グレーティングで選択反射された光、6:グレーティング透過後の光、7:紫外光、8:ビームスプリッタ、9:ミラー、10:干渉光、11:位相格子、12,13:回折光、14:移動ステージ、15:レンズ、16:光ファイバのコア、17:平板、18,19:屈折率層、20:シリコン基板、21,23:ポリマー材料、22,24,27:屈折率層、25:反応性イオンエッチング、26:導波路のコア、28:ダイシングソー、29:MTコネクタプラグ、30:ガイドピン、31:クランプスプリング、32:ガイドピン穴、33:光ファイバ穴、34:多心光ファイバテープ。
Claims (3)
- 光ファイバの軸方向に沿って複数の異なる屈折率の層を有するファイバグレーティングであって、
対向する光ファイバと、複数の異なる屈折率の層を積層した平板とからなり、前記光ファイバの端面間に前記平板を挿入し、該各光ファイバと平板とを機械的または接着剤等で固定することで、光ファイバの軸方向に沿って任意の屈折率変化を付与した
ことを特徴とするファイバグレーティング。 - 請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、
ポリマー導波路の作製プロセスにより作製した平板を用いた
ことを特徴とするファイバグレーティング。 - 請求項1に記載のファイバグレーティングにおいて、
対向する光ファイバの端部にそれぞれ取り付けられた光コネクタプラグの間に平板を挿入・固定する
ことを特徴とするファイバグレーティング。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002367761A JP2004198766A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | ファイバグレーティング |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002367761A JP2004198766A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | ファイバグレーティング |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004198766A true JP2004198766A (ja) | 2004-07-15 |
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ID=32764549
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2002367761A Pending JP2004198766A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | ファイバグレーティング |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004198766A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2017158808A1 (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-21 | 株式会社日立製作所 | 光計測装置、光スペクトルフィルタ及び光スペクトルフィルタの製造方法 |
-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002367761A patent/JP2004198766A/ja active Pending
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