JP2004200928A - 電力線間結合器 - Google Patents
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Abstract
【課題】停電を伴うことなく容易に電力線に取り付けることができる電力線間結合器を提供する。
【解決手段】導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に配置されて導体11と容量的に結合される導電部2と、電力線10の外周に配置された導電部2間を電気的に接続する接続部3とを具える。各電力線10の外周に導電部2を設置することで、電力線10の導体11と導電部2とを容量的に結合し、更に、導電部2同士を接続部3にて接続することで、電力線10の導体11同士をも容量的に結合する。本発明結合器1は、電力線10の導体11に接触させて取り付けるものではなく、導体11に非接触で取り付けることができるため、停電を伴うことがなく容易に設置することができる。また、本発明結合器1は、結合部分が低インピーダンスとなり、高周波信号の出入力を可能とする。
【選択図】 図3
【解決手段】導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に配置されて導体11と容量的に結合される導電部2と、電力線10の外周に配置された導電部2間を電気的に接続する接続部3とを具える。各電力線10の外周に導電部2を設置することで、電力線10の導体11と導電部2とを容量的に結合し、更に、導電部2同士を接続部3にて接続することで、電力線10の導体11同士をも容量的に結合する。本発明結合器1は、電力線10の導体11に接触させて取り付けるものではなく、導体11に非接触で取り付けることができるため、停電を伴うことがなく容易に設置することができる。また、本発明結合器1は、結合部分が低インピーダンスとなり、高周波信号の出入力を可能とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物理的に接続されていない電力線間を接続するのに最適な電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムに関するものである。特に、停電することなく容易に取り付けることができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力線を利用する通信、例えば、屋内配線などの電力線に高周波信号を重畳して高速通信を行う電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図8は、光ファイバケーブルを利用したPLC方式の通信システムの概要を模式的に示す説明図である。以下、図において同一符号は、同一物を示す。この例では、図8に示すように柱300に敷設された光ファイバケーブル400と、PLCユーザ家屋200A、200B内に電力供給を行う電力線(屋内配線102)とを利用するものを示す。具体的には、局舎(図示せず)から各PLCユーザ家屋200A、200Bまでの外部との通信に光ファイバケーブル400を用い、各家屋200A、200B内の通信に屋内配線102を用いる。各ユーザ家屋200A、200B内外には、子モデム201及び親モデム202を具え、信号を適宜変換している。図8では、光ファイバケーブル400から接続箱402を介して引き出された分岐線401と親モデム202間に電気信号/光信号変換を行うメディアコンバータ(以下、MCと呼ぶ)203を具える構成を示すが、親モデム202にMCを内蔵するものもある。
【0004】
上記方式において、例えば、PLCユーザが局舎などからの信号を受信する際は、光ファイバケーブル400から分岐線401を経た光信号をMC203にて電気信号に変換し、親モデム202→屋内配線102を経て、各家屋200A、200B内のコンセント(後述する図9参照)から子モデム201を介してパソコンなどの端末機器204にて信号を抽出することで行う。
【0005】
また、家庭にまで光ファイバケーブルを引き込んで通信を行う、いわゆるFTTH(Fiber To The Home)と呼ばれる方式と上記PLC方式とを併せて、屋内配線を利用して家庭内LANを構築することが検討されている。図9は、FTTH方式とPLC方式を併せた通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【0006】
この例では、上位のネットワークNTからPLCユーザ家屋200Cまでの通信に光ファイバケーブル(分岐線401)を用い、ユーザ家屋200C内の通信に電力供給を行う屋内配線102を用いる。屋内配線102は、引き込み線101から電力量メータ205、分電盤206を経て、末端のコンセント207にてユーザ家屋200C内に電力の供給を行う。コンセント207には、子モデム201を介して端末機器204が接続される。光ファイバケーブルは、柱などに敷設されて接続箱(図8参照)を介して引き出される分岐線401がユーザ家屋200Cに引き込まれ、MC203に接続される。MC203は、更に、ユーザ家屋200Cの屋内配線102に接続される。なお、この例において親モデムは、柱などに配置される。
【0007】
上記方式において、例えば、PLCユーザが信号を局舎に送信する際は、端末機器204からの信号を子モデム201にて変調してコンセント207から抽出し、屋内配線102→MC203→分岐線401を経て行われる。一方、PLCユーザ家屋200C内において、端末機器204間で通信を行う場合、ある端末機器204からの信号は、子モデム201→コンセント207→屋内配線102→別のコンセント207→子モデム201→別の端末機器204の順で伝送され、家庭内LANを構築する。
【0008】
【非特許文献1】
江藤潔、「電力線搬送(PLC:Power Line Communication)の現状」、Interface、CQ出版社、2000年9月、p.70-81
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の電力線搬送通信では、以下の問題があった。
【0010】
▲1▼ 異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間では、電力線搬送通信を行うことができない。
図10は、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋の模式図である。図10においてPLCユーザ家屋200Dは、トランスTr.Dの配電系統にあり、PLCユーザ家屋200Eは、トランスTr.Eの配電系統にあり、両家屋200D及び200Eは、それぞれ異なるトランス区間にある、いわゆる異なる低圧配電系統にある。異なるトランス区間では、通常、図10に示すように電力線(低圧配電線)が接続されていない。そのため、PLCユーザ家屋200Dと家屋200E間では、電力線で接続されないことから、電力線搬送通信を行うことができない。ここで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間で電力線搬送通信を行うには、電力線を物理的に接続する必要がある。しかし、その接続工事は、通常、停電を伴うものであり、家庭内において常時運転している家電機器が多い今日、現実的でない。
【0011】
▲2▼ 屋内配線を利用して家庭内LANを構築する場合、電力線搬送通信が行えない場合がある。
家庭内の電力線(屋内配線)は、単相3線式の形態がよく用いられており、3線は、図11に示すように高圧(例えば、6kV)の1次側から変圧器を介して分岐されて第一電源線102a、中性線102b、第二電源線102cから構成され、第一電源線102aと第二電源線102cとは、中性線102bに対して互いに逆相である。例えば、第一電源線102aは、+100V、第二電源線102cは、-100Vである。そして、家庭内には、第一電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Aや、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Bが混在していることがある。ここで、例えば、第一電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Aに子モデム201を接続し、端末機器204にて信号を注入する場合、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Bに接続された子モデム201では、位相が異なることにより、信号の減衰量が大きくなるので、上記注入された信号を引き出すことができない、又は引き出すことが困難である。従って、あるコンセントに接続した子モデムと、別のコンセントに接続した子モデム間において、電力線搬送通信が行えない場合がある。
【0012】
▲3▼ 更に、隣接するPLCユーザ家屋間に生じるクロストークを防止するフィルタを設置する際、停電を伴う工事が必要である。
PLC方式による通信では、信号の伝達に電力線を用いるため、図12に示すようにPLCユーザ家屋200Fから信号Sが漏れて電力線(低圧配電線100、引き込み線101)を介して隣接する別のPLCユーザ家屋200Gに伝わる、即ち、クロストークを生じる恐れがある。具体的には、例えば、PLCユーザ家屋200Fにおいて、端末機器から子モデムを経て屋内配線に伝達された信号が、分電盤→電力量メータ→引き込み線101→低圧配電線100に伝わり、更に、低圧配電線100を介してPLCユーザ家屋200Gに伝達され、クロストークが生じることがある。また、図9に示すように屋内配線にて家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋の場合も同様にこの家屋からの信号が、屋内配線を介して低圧配電線に伝わり、低圧配電線を経て隣接する別のPLCユーザ家屋に伝達されてクロストークが生じる恐れがある。このように隣接するPLCユーザ家屋200F、200G間のクロストークを防止するために、ハイパスフィルタHPFを設置することが考えられる。しかし、フィルタHPFを引き込み線101などの電力線に設置する工事では、通常、電力線を切断したりブレーカを落とすなど上記▲1▼と同様に停電を伴うものであり、現実的でない。
【0013】
▲4▼ 加えて、電力線の終端部が高周波信号に対して開放されている場合、信号の伝達特性が劣化する恐れがある。
家庭内においてコンセントなどの電力線の終端部は、電力線の特性インピーダンスと同等の抵抗値を有する終端機器(いわゆる終端器)と異なり、高周波信号に対して開放端である。そのため、コンセント近傍でインピーダンスの不整合により信号の反射が生じて、信号の伝達特性が劣化する恐れがある。
【0014】
そこで、本発明の主目的は、停電を伴うことなく容易に取り付けることができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、更に、隣接するPLCユーザ家屋間に生じるクロストークを防止することができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の別の目的は、更に、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電力線の導体を容量的に結合することで上記目的を達成する。
即ち、本発明電力線間結合器は、導体の外周に絶縁層を有する電力線の外周に配置されて導体と容量的に結合される導電部と、複数の電力線に配置された前記導電部間を電気的に接続する接続部とを具えることを特徴とする。
【0018】
本発明は、物理的に接続されていない電力線の導体同士を直接結合するのではなく、導体に非接触で容量的に結合して、導体から導電部に高周波信号をバイパスさせる構成である。そのため、本発明結合器は、停電を伴うことなく電力線に容易に取り付けて電力線を結合することができる。また、本発明結合器を電力線に取り付けて電力線間を結合することで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間でも電力線搬送通信を行うことができる。更に、本発明結合器を特に屋内配線に取り付けて位相の異なる電力線を結合することで、異なる電源線の終端部(コンセント)に接続された子モデム間でも、電力線搬送通信を行うことができる。以下、本発明をより詳しく説明する。
【0019】
本発明において導電部は、電力線の外周に配置することができる導電性材料で形成されたものであれば、特に材料や形状は問わない。材料としては、例えば、銅、アルミニウムなどの金属が挙げられる。また、形状としては、例えば、箔などのシート状、網状、紐状などが挙げられる。箔電極などを用いてもよい。このような導電部は、電力線の全周を覆うように配置してもよいし、電力線の外周の一部にのみ配置してもよい。電力線への配置は、巻き付けたり、接着剤などで貼り付けたりすることで行ってもよい。
【0020】
本発明において接続部は、上記導電部を電気的に接続できるものであれば、特に材料や形状は問わない。材料としては、例えば、銅などの導電性材料が挙げられる。また、形状としては、例えば、線状、紐状などが挙げられる。公知のリード線や銅線などを用いてもよい。接続部と上記導電部との接続は、例えば、溶接、半田付けなどで行ってもよい。
【0021】
次に、本発明結合器を電力線に取り付けた状態を説明する。図1(A)は、本発明結合器のうち、導電部を電力線の外周に配置した状態を示す模式図、(B)は、導電部を配置した電力線間を接続部にて接続した状態を示す模式図である。導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に本発明結合器1の導電部2を配置(図1では全周を覆うように配置)すると、図1(A)に示すように導体11と導電部2とは、容量的に結合される。このように導電部2を配置した電力線10において、図1(B)に示すように導電部2間を接続部3で接続すると、これら電力線10は、高周波信号に対して、低インピーダンスで接続されることになる。従って、本発明結合器1を取り付けた電力線10間では、高周波信号の出入力を行うことができる、即ち、電力線搬送通信を行うことができる。
【0022】
より具体的に架空配電線を例として説明する。導体の外周にビニル絶縁層を有する屋外用電力線(導体径φ2mm、絶縁層の厚さ0.4mm、ビニル絶縁層の比誘電率3.0)の外周に、その全周を覆うように箔電極を巻き付けた場合、この電力線の単位長さあたりの静電容量C1(F/m)は、ε:誘電率、d2:絶縁層外径(箔電極の内径)(m)、d1:導体外径(m)を用いて以下のように表される。
【0023】
【数1】
【0024】
真空の誘導体を8.854×10-12(F/m)とすると、C1≒5.0×10-10(F/m)となる。ここで、箔電極を配置した電力線の単位長さあたりのインピーダンスZ1(Ω/m)は、静電容量C1(F/m)、周波数f(Hz)を用いて以下のように表される。
【0025】
【数2】
【0026】
周波数fを100MHzとすると、Z1=1/(2π×100×106×5.0×10-10)≒3.2(Ω/m)となる。即ち、箔電極を配置した各電力線の導体―箔電極間のインピーダンスは3.2Ω/mとなる。従って、箔電極間をリード線などの接続部にて接続した場合、導体間のインピーダンスは6.4Ω/mとなる。このように、1mの長さの箔電極を電力線に配置することで、充分に低いインピーダンスで電力線同士を結合することができる。即ち、本発明結合器は、電力線同士を低インピーダンスで接続し、高周波信号の出入力が可能な状態を形成することができる。
【0027】
導電部が配置される電力線としては、低圧配電線から各家屋に引き込まれる引き込み線や、家屋内に配置される屋内配線が挙げられる。異なるPLCユーザ家屋の各引き込み線に本発明結合器を配置する場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う第一家屋及び第二家屋と、前記各家屋に配置される電力線と、前記電力線に取り付けられる上記本発明電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、第一家屋の電力線及び第二家屋の電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を接続部にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、上記第一家屋と第二家屋とが、異なるトランス区間にある場合に適用することが好ましい。なお、第一家屋と第二家屋とが、同一のトランス区間にある場合は、後述する。
【0028】
屋内配線は、通常、上記のように位相の異なる複数の電力線(電源線、中性線)からなり、位相の異なる電源線のコンセントに接続された子モデム間では、電力線搬送通信が行えない。従って、屋内配線に本発明結合器を取り付ける場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋内に配置される位相の異なる複数の電力線と、前記電力線に取り付けられる上記本発明電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、位相の異なる電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を接続部にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、屋内配線を利用して家庭内LANを構築している家屋に適用することが好ましい。
【0029】
本発明結合器を電力線に取り付けることで、上記のように異なるトランス区間や、異なる位相の電源線のコンセントに接続された子モデム間での電力線搬送通信を可能にする。加えて、上記本発明結合器において、接続部の中間部にコンデンサを具え、隣接するPLCユーザ家屋間の電力線に本発明結合器を配置すると、コンデンサがフィルタ機能を果たし、同家屋間のクロストークを防止することができる。従って、このコンデンサを具える本発明結合器は、従来のように停電を伴うことなくクロストーク防止用のフィルタをも電力線に配置することができる。
【0030】
本発明においてコンデンサは、あるPLCユーザ家屋が送信する高周波信号の減衰量を10dB以下にできる容量を有するものが好ましい。例えば、高周波信号の周波数が2〜30MHzの場合、0.01〜100μFの容量を有するものが好ましく、特に、1〜100μFが好ましい。
【0031】
上記コンデンサを具えることで高周波信号を十分に減衰することができる。しかし、電力線間に配置されるコンデンサ部分は、インピーダンスが回路的に小さくなって電圧が小さくなり、コンデンサを取り付けたPLCユーザ家屋の受信信号のレベルも小さくなって、この家屋では、子モデムと親モデム間の通信が行えない恐れがある。PLCユーザ家屋の高周波信号を十分に減衰させるには、その家屋の受信機の入力インピーダンスZrがコンデンサのインピーダンスZcよりも十分に大きい、即ち、Zr≫Zcであることが望ましい。しかし、コンデンサのインピーダンスZcが受信機の入力インピーダンスよりも小さ過ぎると、送出された電力がコンデンサに吸い込まれ易く、電圧が低下して受信信号レベルをも低下させる場合が考えられる。そこで、本発明結合器には、更に、電力線の外周に配置される磁性体を具えていてもよい。磁性体は、コンデンサと直列に配置し、特に、コンデンサを取り付けるPLCユーザ家屋側からみた際、コンデンサの前に磁性体を配置する、即ち、隣接する別のPLCユーザ家屋側に近い方から順にコンデンサ、磁性体と配置することが望ましい。磁性体を具えることで、コンデンサを取り付けるPLCユーザ家屋側からみたインピーダンス(コンデンサと磁性体とのインピーダンス)をある一定のレベル、例えば、その家屋の受信機の入力インピーダンス程度(入力インピーダンスが50Ωの場合は50Ω程度)に保持して、この家屋側の受信機レベルを上げることができる。
【0032】
上記磁性体は、複数の分割片を組み合わせてリング状となるもの、例えば、一対の半円弧状の分割片を組み合わせてリング状となるものが電力線の外周に配置し易くて好ましく、例えば、公知のフェライトコアを用いてもよい。このような磁性体は、導電部を電力線に配置した後、この導電部の外周に配置するとよい。
【0033】
上記フィルタ機能を有する本発明結合器は、以下の電力線搬送通信システムの構築に利用することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋に配置される複数の電力線と、前記電力線に取り付けられるフィルタ機能を有する電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、各電力線の外周に導電部を配置し、電力線間をコンデンサにて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、同一のトランス区間に電力線搬送通信を行う家屋が隣接する場合に適用することが好ましい。このとき、フィルタ機能を有する本発明結合器は、同一のトランス区間にある隣接する電力線搬送通信を行う家屋間の電力線に取り付ければよく、例えば、一方の家屋の引き込み線や屋内配線などが挙げられる。具体的には、例えば、電力線搬送通信を行う家屋の引き込み線に、引き込み線間をコンデンサで接続するように上記フィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。このとき、同一のトランス区間にある隣接する別の電力線搬送通信を行う家屋に上記本発明結合器を取り付けた家屋からの信号が伝達されにくくなり、クロストークが防止できる。
【0034】
また、本発明結合器により電力線搬送通信が可能となった異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間においても、クロストークが発生することが考えられる。従って、このような家屋の電力線にもフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。更に、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋についても、クロストークが生じる恐れがあるので、このような家屋の引き込み線などにもフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。
【0035】
更に加えて、上記本発明結合器において、接続部の中間部に電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値を得るための抵抗を具えることが好ましい。そして、屋内配線において終端部(コンセント)近傍の電力線間をこの抵抗にて接続するように本発明結合器を取り付けると、終端部が高周波信号に対して閉塞され、この抵抗は、インピーダンスを整合して、いわゆる終端器と同様の機能を果たし、終端部近傍での信号の反射を防止することができる。即ち、接続部の中間部に上記抵抗を具える本発明結合器は、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる。従って、この抵抗を具える本発明結合器は、従来のように停電を伴うことなく信号の反射防止用の抵抗をも電力線に配置することができる。
【0036】
本発明において抵抗は、電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値が得られる大きさを有していればよい。具体的には、導電部のインピーダンスをZ1、設置する抵抗のインピーダンスをRとすると、電力線の特性インピーダンスZ0は以下の関係を満たす。
Z0=2×Z1+R・・・式▲1▼
従って、上記の式▲1▼を満たすインピーダンスを具える抵抗を用いればよい。
【0037】
上記抵抗を具える本発明結合器を電力線に取り付ける場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋内に配置される電力線の終端部と、前記電力線に取り付けられる上記抵抗を有する電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、終端部近傍の電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を抵抗にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、屋内配線を利用して家庭内LANを構築している家屋に適用することが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
(実施例1)
<電力線間結合器>
図2は、本発明電力線間結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。本発明結合器1は、導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に配置されて導体11と容量的に結合される導電部2と、電力線10の外周に配置された導電部2間を電気的に接続する接続部3とを具える。本例において、導電部2は銅製の箔電極、接続部3は銅線を用い、導電部2は、電力線10の外周に巻き付けることで配置した。また、導電部2と接続部3の接続は、溶接にて行った。また、本例では、図2に示すように電力線10の全周を覆うように一定の長さの箔電極を巻き付けている。
【0040】
本発明結合器1は、図2に示すように各電力線10の周囲に導電性の導電部2を設置することで、電力線10の導体11と導電部2とを容量的に結合する。そして、各電力線10に設置された導電部2同士を接続部3にて接続することで、電力線10の導体11同士を容量的に結合する。本発明結合器は、電力線の導体に接触させて取り付けるものではなく、導体に非接触で取り付けることができるため、停電を伴うことがなく容易に設置することができる。また、本発明結合器は、上記のように電力線の導体同士を容量的に結合させることで、結合部分が低インピーダンスとなり、高周波信号の出入力を可能とする。
【0041】
<取り付け例>
図3(A)は、トランス区間が異なるPLCユーザ家屋の引き込み線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図、(B)は、位相の異なる電力線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋(第一家屋)200DとPLCユーザ家屋(第二家屋)200E間では、電力線が接続されていないため、電力線搬送通信を行うことができなかった。そこで、各家屋200D、200Eに配置される電力線(ここでは、引き込み線101)の外周に、それぞれ本発明結合器1の導電部2を配置し、引き込み線101間を接続部3にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、両家屋200D、200Eの引き込み線101は、本発明結合器1を介して容量的に結合され、両家屋200D、200E間における高周波信号の注入抽出を可能とする。即ち、本発明結合器は、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間の電力線搬送通信を可能にする。
【0042】
また、従来は、屋内配線において第一電源線−中性線で100Vをとるコンセントに接続された子モデム201と、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセントに接続された子モデム201との間でも、電力線搬送通信を行うことができない場合があった。そこで、図3(B)に示すように、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋において、位相の異なる電力線(ここでは、第一電源線と第二電源線)の外周に、それぞれ本発明結合器1の導電部2を配置し、上記電力線間(第一電源線と第二電源間)を接続部3にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、第一電源線と第二電源線とは、本発明結合器1を介して容量的に結合され、上記両子モデム201間における高周波信号の注入抽出を可能とする。即ち、本発明結合器は、位相の異なる電力線間の電力線搬送通信を可能にして、より快適な家庭内LANを構築することができる。
【0043】
(実施例2)
<電力線間結合器>
次に、本発明結合器においてフィルタ機能を有するものを説明する。図4(A)は、接続部の中間部にコンデンサを具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図、(B)は、更に、磁性体を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。本発明結合器1aは、実施例1に示す結合器1(図2参照)と基本的構成は同様であり、異なる点は、図4(A)に示すように接続部3の中間部にコンデンサ4を具える点である。本例においてコンデンサ4は、あるPLCユーザ家屋(ここでは、家屋Aとする)が送信する高周波信号を十分に減衰できる容量のものを用いた。
【0044】
本発明結合器1aは、コンデンサがフィルタ機能(ハイパスフィルタ機能)を果たし、家屋Aの引き込み線などに取り付けることで、同一のトランス区間にある隣接する別のPLCユーザ家屋(ここでは、家屋Bとする)に家屋Aからの信号が伝わりにくくなり、家屋A、B間のクロストークを防止することができる。
【0045】
上記コンデンサ4を具えることで、家屋Aの高周波信号を十分に減衰することができるが、本発明結合器1aを取り付けた家屋Aの受信信号レベルが小さくなり、家屋Aにおいて電力線搬送通信が行えない恐れがある。そこで、コンデンサに加えて磁性体5を具えてもよい。即ち、本発明結合器1bは、コンデンサ4及び磁性体5からなるハイパスフィルタ(HPF)を有する。本例において、磁性体5は、公知のフェライトコアを用い、図4(B)に示すように導電部2の外周に配置する。このようにコンデンサに加えて磁性体を具えることで、本発明結合器は、家屋Aの通信を妨げることなく、信号レベルを効率よく減衰させて家屋A、B間クロストークを抑制することができる。
【0046】
<取り付け例>
図5は、PLCユーザ家屋の引き込み線にフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、同一のトランス区間にある隣接するPLCユーザ家屋200FとPLCユーザ家屋200G間では、信号の伝達に電力線(ここでは、低圧配電線100、引き込み線101)を用いることから、電力線を介してクロストークを生じることがあった。そして、クロストーク防止のためにフィルタを設けるには、停電を伴う工事が必要であった。そこで、家屋200Fに配置される電力線(ここでは、引き込み線101)の外周に本発明結合器1bの導電部2を配置し、引き込み線101間をコンデンサ4にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、家屋200Fからの高周波信号を効率よく減衰させて家屋200Gに行かせないようにする。また、図5では、家屋200Gも本発明結合器1bを具えており、家屋Gからの高周波信号も効率よく減衰させて家屋200Fに行かせないようにする。即ち、本発明結合器1bは、PLCユーザ家屋200F、200G間のクロストークを防止することができる。特に、本例では、磁性体5を具える結合器1bを取り付けていることから、PLCユーザ家屋200F、200Gにおいて、それぞれの通信を妨げることがない。
【0047】
なお、図5では、磁性体5をも具える結合器1bを取り付けた例を示したが、コンデンサ4のみ具える結合器1aを配置してももちろんよい。また、図5では、同一トランス区間にあるPLCユーザ家屋にフィルタ機能を有する本発明結合器を配置した状態を説明したが、図3(A)に示すように異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋で、本発明結合器1を取り付けた家屋に配置してももちろんよい。このとき、上記と同様に、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋で、本発明結合器1にて連結されたPLCユーザ家屋間のクロストークを防止することができる。更に、図5では、低圧配電線や引き込み線を用いて電力線搬送通信を行うPLCユーザ家屋について説明したが、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋についても、クロストークが生じることが考えられるため、このような家屋の引き込み線などに本発明結合器を取り付けてもよい。
【0048】
(実施例3)
<電力線間結合器>
次に、本発明結合器において信号の反射防止機能を有するものを説明する。図6は、接続部の中間部に抵抗を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図である。本発明結合器1cは、実施例1に示す結合器1(図2参照)と基本的構成は同様であり、異なる点は、図6に示すように接続部3の中間部に抵抗6を具える点である。本例において抵抗6は、電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値が得られるもの、具体的には、上記式▲1▼を満たすものとした。
【0049】
本発明結合器1cは、終端部(コンセント)近傍の電力線に取り付けることで、抵抗6がいわゆる終端器の機能を果たし、終端部近傍で生じる信号の反射を防止して、信号の送達特性の低減を抑制することができる。
【0050】
<取り付け例>
図7は、コンセント近傍の屋内配線に信号の反射防止機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、家庭内のコンセントは、高周波信号に対して開放端であり、屋内配線を利用して家庭内LANなどを構築するPLCユーザ家屋において、コンセント近傍でインピーダンスが整合せず信号の反射を生じて、信号の伝達特性が劣化することがあった。そこで、PLCユーザ家屋内に配置される電力線(屋内配線)において、コンセント207近傍の屋内配線の外周に導電部2を配置し、屋内配線間(電源線と中性線間)を抵抗6で接続するように、本発明結合器1cを取り付ける。このとき、コンセント207近傍は、高周波信号に対して閉塞し、抵抗6により、屋内配線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値を得て、コンセント207近傍での信号の反射を防止することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明結合器によれば、停電工事を伴うことなく容易に物理的に接続されていない電力線間を接続することができるという優れた効果を奏し得る。このような本発明結合器を利用することで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間の電力線搬送通信を可能にしたり、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋においてより確実に電力線搬送通信を行うことができる。
【0052】
加えて、フィルタ機能を有する本発明結合器を用いることで、PLCユーザ家屋間のクロストークを防止することができる。また、信号の反射防止機能を有する本発明結合器を用いることで、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明結合器のうち、導電部を電力線の外周に配置した状態を示す模式図、(B)は、導電部を配置した電力線間を接続部にて接続した状態を示す模式図である。
【図2】本発明電力線間結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。
【図3】(A)は、トランス区間が異なるPLCユーザ家屋の引き込み線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図、(B)は、位相の異なる電力線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】(A)は、接続部の中間部にコンデンサを具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図、(B)は、更に、磁性体を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。
【図5】PLCユーザ家屋の引き込み線にフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図6】接続部の中間部に抵抗を具える本発明結合器を示す模式図である。
【図7】コンセント近傍の屋内配線に信号の反射防止機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図8】光ファイバケーブルを利用したPLC方式の通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【図9】FTTH方式とPLC方式を併せた通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【図10】異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋の模式図である。
【図11】単相3線式の屋内配線において、コンセントの配置状態を説明する模式図である。
【図12】隣接するPLCユーザ家屋間にクロストーク防止用のフィルタを具えた状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 結合器 2 導電部 3 接続部 4 コンデンサ 5 磁性体
6 抵抗
10 電力線 11 導体 12 絶縁層
100 低圧配電線 101 引き込み線 102 屋内配線 102a 第一電源線
102b 中性線 102c 第二電源線
200A〜200G PLCユーザ家屋 201 子モデム 202 親モデム
203 メディアコンバータ 204 端末機器 205 電力量メータ 206 分電盤
207、207A、207B コンセント
300 柱 400 光ファイバケーブル 401 分岐線 402 接続箱
NT ネットワーク S 信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、物理的に接続されていない電力線間を接続するのに最適な電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムに関するものである。特に、停電することなく容易に取り付けることができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力線を利用する通信、例えば、屋内配線などの電力線に高周波信号を重畳して高速通信を行う電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図8は、光ファイバケーブルを利用したPLC方式の通信システムの概要を模式的に示す説明図である。以下、図において同一符号は、同一物を示す。この例では、図8に示すように柱300に敷設された光ファイバケーブル400と、PLCユーザ家屋200A、200B内に電力供給を行う電力線(屋内配線102)とを利用するものを示す。具体的には、局舎(図示せず)から各PLCユーザ家屋200A、200Bまでの外部との通信に光ファイバケーブル400を用い、各家屋200A、200B内の通信に屋内配線102を用いる。各ユーザ家屋200A、200B内外には、子モデム201及び親モデム202を具え、信号を適宜変換している。図8では、光ファイバケーブル400から接続箱402を介して引き出された分岐線401と親モデム202間に電気信号/光信号変換を行うメディアコンバータ(以下、MCと呼ぶ)203を具える構成を示すが、親モデム202にMCを内蔵するものもある。
【0004】
上記方式において、例えば、PLCユーザが局舎などからの信号を受信する際は、光ファイバケーブル400から分岐線401を経た光信号をMC203にて電気信号に変換し、親モデム202→屋内配線102を経て、各家屋200A、200B内のコンセント(後述する図9参照)から子モデム201を介してパソコンなどの端末機器204にて信号を抽出することで行う。
【0005】
また、家庭にまで光ファイバケーブルを引き込んで通信を行う、いわゆるFTTH(Fiber To The Home)と呼ばれる方式と上記PLC方式とを併せて、屋内配線を利用して家庭内LANを構築することが検討されている。図9は、FTTH方式とPLC方式を併せた通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【0006】
この例では、上位のネットワークNTからPLCユーザ家屋200Cまでの通信に光ファイバケーブル(分岐線401)を用い、ユーザ家屋200C内の通信に電力供給を行う屋内配線102を用いる。屋内配線102は、引き込み線101から電力量メータ205、分電盤206を経て、末端のコンセント207にてユーザ家屋200C内に電力の供給を行う。コンセント207には、子モデム201を介して端末機器204が接続される。光ファイバケーブルは、柱などに敷設されて接続箱(図8参照)を介して引き出される分岐線401がユーザ家屋200Cに引き込まれ、MC203に接続される。MC203は、更に、ユーザ家屋200Cの屋内配線102に接続される。なお、この例において親モデムは、柱などに配置される。
【0007】
上記方式において、例えば、PLCユーザが信号を局舎に送信する際は、端末機器204からの信号を子モデム201にて変調してコンセント207から抽出し、屋内配線102→MC203→分岐線401を経て行われる。一方、PLCユーザ家屋200C内において、端末機器204間で通信を行う場合、ある端末機器204からの信号は、子モデム201→コンセント207→屋内配線102→別のコンセント207→子モデム201→別の端末機器204の順で伝送され、家庭内LANを構築する。
【0008】
【非特許文献1】
江藤潔、「電力線搬送(PLC:Power Line Communication)の現状」、Interface、CQ出版社、2000年9月、p.70-81
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の電力線搬送通信では、以下の問題があった。
【0010】
▲1▼ 異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間では、電力線搬送通信を行うことができない。
図10は、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋の模式図である。図10においてPLCユーザ家屋200Dは、トランスTr.Dの配電系統にあり、PLCユーザ家屋200Eは、トランスTr.Eの配電系統にあり、両家屋200D及び200Eは、それぞれ異なるトランス区間にある、いわゆる異なる低圧配電系統にある。異なるトランス区間では、通常、図10に示すように電力線(低圧配電線)が接続されていない。そのため、PLCユーザ家屋200Dと家屋200E間では、電力線で接続されないことから、電力線搬送通信を行うことができない。ここで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間で電力線搬送通信を行うには、電力線を物理的に接続する必要がある。しかし、その接続工事は、通常、停電を伴うものであり、家庭内において常時運転している家電機器が多い今日、現実的でない。
【0011】
▲2▼ 屋内配線を利用して家庭内LANを構築する場合、電力線搬送通信が行えない場合がある。
家庭内の電力線(屋内配線)は、単相3線式の形態がよく用いられており、3線は、図11に示すように高圧(例えば、6kV)の1次側から変圧器を介して分岐されて第一電源線102a、中性線102b、第二電源線102cから構成され、第一電源線102aと第二電源線102cとは、中性線102bに対して互いに逆相である。例えば、第一電源線102aは、+100V、第二電源線102cは、-100Vである。そして、家庭内には、第一電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Aや、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Bが混在していることがある。ここで、例えば、第一電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Aに子モデム201を接続し、端末機器204にて信号を注入する場合、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセント207Bに接続された子モデム201では、位相が異なることにより、信号の減衰量が大きくなるので、上記注入された信号を引き出すことができない、又は引き出すことが困難である。従って、あるコンセントに接続した子モデムと、別のコンセントに接続した子モデム間において、電力線搬送通信が行えない場合がある。
【0012】
▲3▼ 更に、隣接するPLCユーザ家屋間に生じるクロストークを防止するフィルタを設置する際、停電を伴う工事が必要である。
PLC方式による通信では、信号の伝達に電力線を用いるため、図12に示すようにPLCユーザ家屋200Fから信号Sが漏れて電力線(低圧配電線100、引き込み線101)を介して隣接する別のPLCユーザ家屋200Gに伝わる、即ち、クロストークを生じる恐れがある。具体的には、例えば、PLCユーザ家屋200Fにおいて、端末機器から子モデムを経て屋内配線に伝達された信号が、分電盤→電力量メータ→引き込み線101→低圧配電線100に伝わり、更に、低圧配電線100を介してPLCユーザ家屋200Gに伝達され、クロストークが生じることがある。また、図9に示すように屋内配線にて家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋の場合も同様にこの家屋からの信号が、屋内配線を介して低圧配電線に伝わり、低圧配電線を経て隣接する別のPLCユーザ家屋に伝達されてクロストークが生じる恐れがある。このように隣接するPLCユーザ家屋200F、200G間のクロストークを防止するために、ハイパスフィルタHPFを設置することが考えられる。しかし、フィルタHPFを引き込み線101などの電力線に設置する工事では、通常、電力線を切断したりブレーカを落とすなど上記▲1▼と同様に停電を伴うものであり、現実的でない。
【0013】
▲4▼ 加えて、電力線の終端部が高周波信号に対して開放されている場合、信号の伝達特性が劣化する恐れがある。
家庭内においてコンセントなどの電力線の終端部は、電力線の特性インピーダンスと同等の抵抗値を有する終端機器(いわゆる終端器)と異なり、高周波信号に対して開放端である。そのため、コンセント近傍でインピーダンスの不整合により信号の反射が生じて、信号の伝達特性が劣化する恐れがある。
【0014】
そこで、本発明の主目的は、停電を伴うことなく容易に取り付けることができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、更に、隣接するPLCユーザ家屋間に生じるクロストークを防止することができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0016】
また、本発明の別の目的は、更に、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる電力線間結合器、及びこの結合器を用いた電力線搬送通信システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電力線の導体を容量的に結合することで上記目的を達成する。
即ち、本発明電力線間結合器は、導体の外周に絶縁層を有する電力線の外周に配置されて導体と容量的に結合される導電部と、複数の電力線に配置された前記導電部間を電気的に接続する接続部とを具えることを特徴とする。
【0018】
本発明は、物理的に接続されていない電力線の導体同士を直接結合するのではなく、導体に非接触で容量的に結合して、導体から導電部に高周波信号をバイパスさせる構成である。そのため、本発明結合器は、停電を伴うことなく電力線に容易に取り付けて電力線を結合することができる。また、本発明結合器を電力線に取り付けて電力線間を結合することで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間でも電力線搬送通信を行うことができる。更に、本発明結合器を特に屋内配線に取り付けて位相の異なる電力線を結合することで、異なる電源線の終端部(コンセント)に接続された子モデム間でも、電力線搬送通信を行うことができる。以下、本発明をより詳しく説明する。
【0019】
本発明において導電部は、電力線の外周に配置することができる導電性材料で形成されたものであれば、特に材料や形状は問わない。材料としては、例えば、銅、アルミニウムなどの金属が挙げられる。また、形状としては、例えば、箔などのシート状、網状、紐状などが挙げられる。箔電極などを用いてもよい。このような導電部は、電力線の全周を覆うように配置してもよいし、電力線の外周の一部にのみ配置してもよい。電力線への配置は、巻き付けたり、接着剤などで貼り付けたりすることで行ってもよい。
【0020】
本発明において接続部は、上記導電部を電気的に接続できるものであれば、特に材料や形状は問わない。材料としては、例えば、銅などの導電性材料が挙げられる。また、形状としては、例えば、線状、紐状などが挙げられる。公知のリード線や銅線などを用いてもよい。接続部と上記導電部との接続は、例えば、溶接、半田付けなどで行ってもよい。
【0021】
次に、本発明結合器を電力線に取り付けた状態を説明する。図1(A)は、本発明結合器のうち、導電部を電力線の外周に配置した状態を示す模式図、(B)は、導電部を配置した電力線間を接続部にて接続した状態を示す模式図である。導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に本発明結合器1の導電部2を配置(図1では全周を覆うように配置)すると、図1(A)に示すように導体11と導電部2とは、容量的に結合される。このように導電部2を配置した電力線10において、図1(B)に示すように導電部2間を接続部3で接続すると、これら電力線10は、高周波信号に対して、低インピーダンスで接続されることになる。従って、本発明結合器1を取り付けた電力線10間では、高周波信号の出入力を行うことができる、即ち、電力線搬送通信を行うことができる。
【0022】
より具体的に架空配電線を例として説明する。導体の外周にビニル絶縁層を有する屋外用電力線(導体径φ2mm、絶縁層の厚さ0.4mm、ビニル絶縁層の比誘電率3.0)の外周に、その全周を覆うように箔電極を巻き付けた場合、この電力線の単位長さあたりの静電容量C1(F/m)は、ε:誘電率、d2:絶縁層外径(箔電極の内径)(m)、d1:導体外径(m)を用いて以下のように表される。
【0023】
【数1】
【0024】
真空の誘導体を8.854×10-12(F/m)とすると、C1≒5.0×10-10(F/m)となる。ここで、箔電極を配置した電力線の単位長さあたりのインピーダンスZ1(Ω/m)は、静電容量C1(F/m)、周波数f(Hz)を用いて以下のように表される。
【0025】
【数2】
【0026】
周波数fを100MHzとすると、Z1=1/(2π×100×106×5.0×10-10)≒3.2(Ω/m)となる。即ち、箔電極を配置した各電力線の導体―箔電極間のインピーダンスは3.2Ω/mとなる。従って、箔電極間をリード線などの接続部にて接続した場合、導体間のインピーダンスは6.4Ω/mとなる。このように、1mの長さの箔電極を電力線に配置することで、充分に低いインピーダンスで電力線同士を結合することができる。即ち、本発明結合器は、電力線同士を低インピーダンスで接続し、高周波信号の出入力が可能な状態を形成することができる。
【0027】
導電部が配置される電力線としては、低圧配電線から各家屋に引き込まれる引き込み線や、家屋内に配置される屋内配線が挙げられる。異なるPLCユーザ家屋の各引き込み線に本発明結合器を配置する場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う第一家屋及び第二家屋と、前記各家屋に配置される電力線と、前記電力線に取り付けられる上記本発明電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、第一家屋の電力線及び第二家屋の電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を接続部にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、上記第一家屋と第二家屋とが、異なるトランス区間にある場合に適用することが好ましい。なお、第一家屋と第二家屋とが、同一のトランス区間にある場合は、後述する。
【0028】
屋内配線は、通常、上記のように位相の異なる複数の電力線(電源線、中性線)からなり、位相の異なる電源線のコンセントに接続された子モデム間では、電力線搬送通信が行えない。従って、屋内配線に本発明結合器を取り付ける場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋内に配置される位相の異なる複数の電力線と、前記電力線に取り付けられる上記本発明電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、位相の異なる電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を接続部にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、屋内配線を利用して家庭内LANを構築している家屋に適用することが好ましい。
【0029】
本発明結合器を電力線に取り付けることで、上記のように異なるトランス区間や、異なる位相の電源線のコンセントに接続された子モデム間での電力線搬送通信を可能にする。加えて、上記本発明結合器において、接続部の中間部にコンデンサを具え、隣接するPLCユーザ家屋間の電力線に本発明結合器を配置すると、コンデンサがフィルタ機能を果たし、同家屋間のクロストークを防止することができる。従って、このコンデンサを具える本発明結合器は、従来のように停電を伴うことなくクロストーク防止用のフィルタをも電力線に配置することができる。
【0030】
本発明においてコンデンサは、あるPLCユーザ家屋が送信する高周波信号の減衰量を10dB以下にできる容量を有するものが好ましい。例えば、高周波信号の周波数が2〜30MHzの場合、0.01〜100μFの容量を有するものが好ましく、特に、1〜100μFが好ましい。
【0031】
上記コンデンサを具えることで高周波信号を十分に減衰することができる。しかし、電力線間に配置されるコンデンサ部分は、インピーダンスが回路的に小さくなって電圧が小さくなり、コンデンサを取り付けたPLCユーザ家屋の受信信号のレベルも小さくなって、この家屋では、子モデムと親モデム間の通信が行えない恐れがある。PLCユーザ家屋の高周波信号を十分に減衰させるには、その家屋の受信機の入力インピーダンスZrがコンデンサのインピーダンスZcよりも十分に大きい、即ち、Zr≫Zcであることが望ましい。しかし、コンデンサのインピーダンスZcが受信機の入力インピーダンスよりも小さ過ぎると、送出された電力がコンデンサに吸い込まれ易く、電圧が低下して受信信号レベルをも低下させる場合が考えられる。そこで、本発明結合器には、更に、電力線の外周に配置される磁性体を具えていてもよい。磁性体は、コンデンサと直列に配置し、特に、コンデンサを取り付けるPLCユーザ家屋側からみた際、コンデンサの前に磁性体を配置する、即ち、隣接する別のPLCユーザ家屋側に近い方から順にコンデンサ、磁性体と配置することが望ましい。磁性体を具えることで、コンデンサを取り付けるPLCユーザ家屋側からみたインピーダンス(コンデンサと磁性体とのインピーダンス)をある一定のレベル、例えば、その家屋の受信機の入力インピーダンス程度(入力インピーダンスが50Ωの場合は50Ω程度)に保持して、この家屋側の受信機レベルを上げることができる。
【0032】
上記磁性体は、複数の分割片を組み合わせてリング状となるもの、例えば、一対の半円弧状の分割片を組み合わせてリング状となるものが電力線の外周に配置し易くて好ましく、例えば、公知のフェライトコアを用いてもよい。このような磁性体は、導電部を電力線に配置した後、この導電部の外周に配置するとよい。
【0033】
上記フィルタ機能を有する本発明結合器は、以下の電力線搬送通信システムの構築に利用することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋に配置される複数の電力線と、前記電力線に取り付けられるフィルタ機能を有する電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、各電力線の外周に導電部を配置し、電力線間をコンデンサにて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、同一のトランス区間に電力線搬送通信を行う家屋が隣接する場合に適用することが好ましい。このとき、フィルタ機能を有する本発明結合器は、同一のトランス区間にある隣接する電力線搬送通信を行う家屋間の電力線に取り付ければよく、例えば、一方の家屋の引き込み線や屋内配線などが挙げられる。具体的には、例えば、電力線搬送通信を行う家屋の引き込み線に、引き込み線間をコンデンサで接続するように上記フィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。このとき、同一のトランス区間にある隣接する別の電力線搬送通信を行う家屋に上記本発明結合器を取り付けた家屋からの信号が伝達されにくくなり、クロストークが防止できる。
【0034】
また、本発明結合器により電力線搬送通信が可能となった異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間においても、クロストークが発生することが考えられる。従って、このような家屋の電力線にもフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。更に、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋についても、クロストークが生じる恐れがあるので、このような家屋の引き込み線などにもフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けてもよい。
【0035】
更に加えて、上記本発明結合器において、接続部の中間部に電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値を得るための抵抗を具えることが好ましい。そして、屋内配線において終端部(コンセント)近傍の電力線間をこの抵抗にて接続するように本発明結合器を取り付けると、終端部が高周波信号に対して閉塞され、この抵抗は、インピーダンスを整合して、いわゆる終端器と同様の機能を果たし、終端部近傍での信号の反射を防止することができる。即ち、接続部の中間部に上記抵抗を具える本発明結合器は、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる。従って、この抵抗を具える本発明結合器は、従来のように停電を伴うことなく信号の反射防止用の抵抗をも電力線に配置することができる。
【0036】
本発明において抵抗は、電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値が得られる大きさを有していればよい。具体的には、導電部のインピーダンスをZ1、設置する抵抗のインピーダンスをRとすると、電力線の特性インピーダンスZ0は以下の関係を満たす。
Z0=2×Z1+R・・・式▲1▼
従って、上記の式▲1▼を満たすインピーダンスを具える抵抗を用いればよい。
【0037】
上記抵抗を具える本発明結合器を電力線に取り付ける場合、以下の電力線搬送通信システムを構築することが好適である。即ち、電力線搬送通信を行う家屋と、前記家屋内に配置される電力線の終端部と、前記電力線に取り付けられる上記抵抗を有する電力線間結合器とを具える。そして、この電力線間結合器は、終端部近傍の電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を抵抗にて接続するように取り付ける。このような電力線搬送通信システムは、例えば、屋内配線を利用して家庭内LANを構築している家屋に適用することが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
(実施例1)
<電力線間結合器>
図2は、本発明電力線間結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。本発明結合器1は、導体11の外周に絶縁層12を有する電力線10の外周に配置されて導体11と容量的に結合される導電部2と、電力線10の外周に配置された導電部2間を電気的に接続する接続部3とを具える。本例において、導電部2は銅製の箔電極、接続部3は銅線を用い、導電部2は、電力線10の外周に巻き付けることで配置した。また、導電部2と接続部3の接続は、溶接にて行った。また、本例では、図2に示すように電力線10の全周を覆うように一定の長さの箔電極を巻き付けている。
【0040】
本発明結合器1は、図2に示すように各電力線10の周囲に導電性の導電部2を設置することで、電力線10の導体11と導電部2とを容量的に結合する。そして、各電力線10に設置された導電部2同士を接続部3にて接続することで、電力線10の導体11同士を容量的に結合する。本発明結合器は、電力線の導体に接触させて取り付けるものではなく、導体に非接触で取り付けることができるため、停電を伴うことがなく容易に設置することができる。また、本発明結合器は、上記のように電力線の導体同士を容量的に結合させることで、結合部分が低インピーダンスとなり、高周波信号の出入力を可能とする。
【0041】
<取り付け例>
図3(A)は、トランス区間が異なるPLCユーザ家屋の引き込み線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図、(B)は、位相の異なる電力線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋(第一家屋)200DとPLCユーザ家屋(第二家屋)200E間では、電力線が接続されていないため、電力線搬送通信を行うことができなかった。そこで、各家屋200D、200Eに配置される電力線(ここでは、引き込み線101)の外周に、それぞれ本発明結合器1の導電部2を配置し、引き込み線101間を接続部3にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、両家屋200D、200Eの引き込み線101は、本発明結合器1を介して容量的に結合され、両家屋200D、200E間における高周波信号の注入抽出を可能とする。即ち、本発明結合器は、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間の電力線搬送通信を可能にする。
【0042】
また、従来は、屋内配線において第一電源線−中性線で100Vをとるコンセントに接続された子モデム201と、第二電源線−中性線で100Vをとるコンセントに接続された子モデム201との間でも、電力線搬送通信を行うことができない場合があった。そこで、図3(B)に示すように、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋において、位相の異なる電力線(ここでは、第一電源線と第二電源線)の外周に、それぞれ本発明結合器1の導電部2を配置し、上記電力線間(第一電源線と第二電源間)を接続部3にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、第一電源線と第二電源線とは、本発明結合器1を介して容量的に結合され、上記両子モデム201間における高周波信号の注入抽出を可能とする。即ち、本発明結合器は、位相の異なる電力線間の電力線搬送通信を可能にして、より快適な家庭内LANを構築することができる。
【0043】
(実施例2)
<電力線間結合器>
次に、本発明結合器においてフィルタ機能を有するものを説明する。図4(A)は、接続部の中間部にコンデンサを具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図、(B)は、更に、磁性体を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。本発明結合器1aは、実施例1に示す結合器1(図2参照)と基本的構成は同様であり、異なる点は、図4(A)に示すように接続部3の中間部にコンデンサ4を具える点である。本例においてコンデンサ4は、あるPLCユーザ家屋(ここでは、家屋Aとする)が送信する高周波信号を十分に減衰できる容量のものを用いた。
【0044】
本発明結合器1aは、コンデンサがフィルタ機能(ハイパスフィルタ機能)を果たし、家屋Aの引き込み線などに取り付けることで、同一のトランス区間にある隣接する別のPLCユーザ家屋(ここでは、家屋Bとする)に家屋Aからの信号が伝わりにくくなり、家屋A、B間のクロストークを防止することができる。
【0045】
上記コンデンサ4を具えることで、家屋Aの高周波信号を十分に減衰することができるが、本発明結合器1aを取り付けた家屋Aの受信信号レベルが小さくなり、家屋Aにおいて電力線搬送通信が行えない恐れがある。そこで、コンデンサに加えて磁性体5を具えてもよい。即ち、本発明結合器1bは、コンデンサ4及び磁性体5からなるハイパスフィルタ(HPF)を有する。本例において、磁性体5は、公知のフェライトコアを用い、図4(B)に示すように導電部2の外周に配置する。このようにコンデンサに加えて磁性体を具えることで、本発明結合器は、家屋Aの通信を妨げることなく、信号レベルを効率よく減衰させて家屋A、B間クロストークを抑制することができる。
【0046】
<取り付け例>
図5は、PLCユーザ家屋の引き込み線にフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、同一のトランス区間にある隣接するPLCユーザ家屋200FとPLCユーザ家屋200G間では、信号の伝達に電力線(ここでは、低圧配電線100、引き込み線101)を用いることから、電力線を介してクロストークを生じることがあった。そして、クロストーク防止のためにフィルタを設けるには、停電を伴う工事が必要であった。そこで、家屋200Fに配置される電力線(ここでは、引き込み線101)の外周に本発明結合器1bの導電部2を配置し、引き込み線101間をコンデンサ4にて接続するように両導電部2を接続部3にて接続する。このとき、家屋200Fからの高周波信号を効率よく減衰させて家屋200Gに行かせないようにする。また、図5では、家屋200Gも本発明結合器1bを具えており、家屋Gからの高周波信号も効率よく減衰させて家屋200Fに行かせないようにする。即ち、本発明結合器1bは、PLCユーザ家屋200F、200G間のクロストークを防止することができる。特に、本例では、磁性体5を具える結合器1bを取り付けていることから、PLCユーザ家屋200F、200Gにおいて、それぞれの通信を妨げることがない。
【0047】
なお、図5では、磁性体5をも具える結合器1bを取り付けた例を示したが、コンデンサ4のみ具える結合器1aを配置してももちろんよい。また、図5では、同一トランス区間にあるPLCユーザ家屋にフィルタ機能を有する本発明結合器を配置した状態を説明したが、図3(A)に示すように異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋で、本発明結合器1を取り付けた家屋に配置してももちろんよい。このとき、上記と同様に、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋で、本発明結合器1にて連結されたPLCユーザ家屋間のクロストークを防止することができる。更に、図5では、低圧配電線や引き込み線を用いて電力線搬送通信を行うPLCユーザ家屋について説明したが、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋についても、クロストークが生じることが考えられるため、このような家屋の引き込み線などに本発明結合器を取り付けてもよい。
【0048】
(実施例3)
<電力線間結合器>
次に、本発明結合器において信号の反射防止機能を有するものを説明する。図6は、接続部の中間部に抵抗を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図である。本発明結合器1cは、実施例1に示す結合器1(図2参照)と基本的構成は同様であり、異なる点は、図6に示すように接続部3の中間部に抵抗6を具える点である。本例において抵抗6は、電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値が得られるもの、具体的には、上記式▲1▼を満たすものとした。
【0049】
本発明結合器1cは、終端部(コンセント)近傍の電力線に取り付けることで、抵抗6がいわゆる終端器の機能を果たし、終端部近傍で生じる信号の反射を防止して、信号の送達特性の低減を抑制することができる。
【0050】
<取り付け例>
図7は、コンセント近傍の屋内配線に信号の反射防止機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。従来、家庭内のコンセントは、高周波信号に対して開放端であり、屋内配線を利用して家庭内LANなどを構築するPLCユーザ家屋において、コンセント近傍でインピーダンスが整合せず信号の反射を生じて、信号の伝達特性が劣化することがあった。そこで、PLCユーザ家屋内に配置される電力線(屋内配線)において、コンセント207近傍の屋内配線の外周に導電部2を配置し、屋内配線間(電源線と中性線間)を抵抗6で接続するように、本発明結合器1cを取り付ける。このとき、コンセント207近傍は、高周波信号に対して閉塞し、抵抗6により、屋内配線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値を得て、コンセント207近傍での信号の反射を防止することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明結合器によれば、停電工事を伴うことなく容易に物理的に接続されていない電力線間を接続することができるという優れた効果を奏し得る。このような本発明結合器を利用することで、異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋間の電力線搬送通信を可能にしたり、屋内配線を利用して家庭内LANを構築するPLCユーザ家屋においてより確実に電力線搬送通信を行うことができる。
【0052】
加えて、フィルタ機能を有する本発明結合器を用いることで、PLCユーザ家屋間のクロストークを防止することができる。また、信号の反射防止機能を有する本発明結合器を用いることで、信号の伝達特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明結合器のうち、導電部を電力線の外周に配置した状態を示す模式図、(B)は、導電部を配置した電力線間を接続部にて接続した状態を示す模式図である。
【図2】本発明電力線間結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。
【図3】(A)は、トランス区間が異なるPLCユーザ家屋の引き込み線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図、(B)は、位相の異なる電力線に本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】(A)は、接続部の中間部にコンデンサを具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す断面模式図、(B)は、更に、磁性体を具える本発明結合器を電力線に取り付けた状態を示す模式図である。
【図5】PLCユーザ家屋の引き込み線にフィルタ機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図6】接続部の中間部に抵抗を具える本発明結合器を示す模式図である。
【図7】コンセント近傍の屋内配線に信号の反射防止機能を有する本発明結合器を取り付けた状態を示す説明図である。
【図8】光ファイバケーブルを利用したPLC方式の通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【図9】FTTH方式とPLC方式を併せた通信システムの概要を模式的に示す説明図である。
【図10】異なるトランス区間にあるPLCユーザ家屋の模式図である。
【図11】単相3線式の屋内配線において、コンセントの配置状態を説明する模式図である。
【図12】隣接するPLCユーザ家屋間にクロストーク防止用のフィルタを具えた状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 結合器 2 導電部 3 接続部 4 コンデンサ 5 磁性体
6 抵抗
10 電力線 11 導体 12 絶縁層
100 低圧配電線 101 引き込み線 102 屋内配線 102a 第一電源線
102b 中性線 102c 第二電源線
200A〜200G PLCユーザ家屋 201 子モデム 202 親モデム
203 メディアコンバータ 204 端末機器 205 電力量メータ 206 分電盤
207、207A、207B コンセント
300 柱 400 光ファイバケーブル 401 分岐線 402 接続箱
NT ネットワーク S 信号
Claims (8)
- 導体の外周に絶縁層を有する電力線の外周に配置されて導体と容量的に結合される導電部と、
複数の電力線に配置された前記導電部間を電気的に接続する接続部とを具えることを特徴とする電力線間結合器。 - 更に、接続部の中間部にコンデンサを具えることを特徴とする請求項1記載の電力線間結合器。
- 更に、電力線の外周に配置される磁性体を具えることを特徴とする請求項2記載の電力線間結合器。
- 更に、接続部の中間部に電力線の特性インピーダンスと同等の終端抵抗値を得るための抵抗を具えることを特徴とする請求項1記載の電力線間結合器。
- 電力線搬送通信を行う第一家屋及び第二家屋と、
前記各家屋に配置される電力線と、
前記電力線に取り付けられる請求項1に記載の電力線間結合器とを具え、
前記電力線間結合器は、第一家屋の電力線及び第二家屋の電力線の外周に導電部を配置し、両家屋の電力線間を接続部にて接続するように取り付けられることを特徴とする電力線搬送通信システム。 - 電力線搬送通信を行う家屋と、
前記家屋内に配置される位相の異なる複数の電力線と、
前記電力線に取り付けられる請求項1記載の電力線間結合器とを具え、
前記電力線間結合器は、位相の異なる電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を接続部にて接続するように取り付けられることを特徴とする電力線搬送通信システム。 - 電力線搬送通信を行う家屋と、
前記家屋に配置される複数の電力線と、
前記電力線に取り付けられる請求項2又は3記載の電力線間結合器とを具え、
前記電力線間結合器は、各電力線の外周に導電部を配置し、電力線間をコンデンサにて接続するように取り付けられることを特徴とする電力線搬送通信システム。 - 電力線搬送通信を行う家屋と、
前記家屋内に配置される電力線の終端部と、
前記電力線に取り付けられる請求項4記載の電力線間結合器とを具え、
前記電力線間結合器は、終端部近傍の電力線の外周に導電部を配置し、電力線間を抵抗にて接続するように取り付けられることを特徴とする電力線搬送通信システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002365655A JP2004200928A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電力線間結合器 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002365655A JP2004200928A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電力線間結合器 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004200928A true JP2004200928A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32763150
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002365655A Pending JP2004200928A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 電力線間結合器 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004200928A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007053704A (ja) * | 2005-08-19 | 2007-03-01 | Matsushita Electric Works Ltd | 電力線通信用結合器 |
| WO2015190039A1 (ja) * | 2014-06-10 | 2015-12-17 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 容量性結合器 |
| WO2016098294A1 (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-23 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電極付き通信端末、通信端末、通信システム、電動車両、および充電装置 |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002365655A patent/JP2004200928A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| WO2015190039A1 (ja) * | 2014-06-10 | 2015-12-17 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 容量性結合器 |
| WO2016098294A1 (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-23 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電極付き通信端末、通信端末、通信システム、電動車両、および充電装置 |
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