JP2004201593A - シロップ漬穀物およびそれを用いたベーカリー製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存性の向上したシロップ漬穀物を提供すること。また、それを用いた製造時の作業性がよく、保存性が向上した、かつ食味、食感の良好なベーカリー製品を提供すること。
【解決手段】穀物をオリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することを特徴とするシロップ漬穀物。穀物が蒸煮、および/または、圧扁、焙煎、粉砕のうち1つ以上の工程で処理したものである。穀物が発芽穀物である。オリゴ糖が分岐オリゴ糖である。上記のシロップ漬穀物を用いたベーカリー製品。
【選択図】 なし
【解決手段】穀物をオリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することを特徴とするシロップ漬穀物。穀物が蒸煮、および/または、圧扁、焙煎、粉砕のうち1つ以上の工程で処理したものである。穀物が発芽穀物である。オリゴ糖が分岐オリゴ糖である。上記のシロップ漬穀物を用いたベーカリー製品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、シロップ漬穀物およびそれを用いたパン、ケーキなどのベーカリー製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パンやケーキ、クッキーなどのベーカリー製品におけるバリエーションとして、穀類を添加配合したものが、その風味、食感、栄養価などの面から注目されてきている。
ローストした穀物や穀物フレークまたはこれらを調味したものを製パンに用いることにより穀物の風味や食感を生かしたベーカリー製品を製造する方法が提案されている(特許文献1、2、3)。また、栄養価を高めるために穀物を発芽させたものを製パンに用いる方法(特許文献4)、発芽穀物をフレーク等に加工する方法も提案されている(特許文献5)。
しかしながら、発芽した穀物をそのままパンに用いる場合、すぐに使用しないと、微生物の発生が起こり、保存には適さなかった。また、発芽穀物をフレーク状に加工してしまうと、穀物の粒感、風味が減少し、穀物そのものの存在感を味わうことができなくなってしまう。
また、製パン、製菓において、糖類を分岐オリゴ糖で置換したものを原料とする製法が提案されている(特許文献6、7)が、オリゴ糖を製パン、製菓生地に直接配合するとべたつきが起こりやすくなってしまう。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−143376号公報
【特許文献2】
特開平4−99436号公報
【特許文献3】
特開平5−168395号公報
【特許文献4】
特開平10−150909号公報
【特許文献5】
特開昭63−267247号公報
【特許文献6】
特開昭62−146548号公報
【特許文献7】
特開平5−49383号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
穀物にローストや圧扁等の処理をして調味液で浸漬したものは、保存性の面で問題があり、常温での保存に適さなかった。また、砂糖液でシロップ漬した穀物を製パン時に用いる際、生地のべたつきが起こり、作業性の面で問題があった。さらに、穀物を調味液で処理したものを用いて製パンする際、適度な粒感を残すと、粒が硬くなる傾向にあり食味や食感が劣ってしまう。
【0005】
本発明は、保存性の向上したシロップ漬穀物を提供することを目的とする。また、それを用いた製造時の作業性がよく、保存性が向上した、かつ食味、食感の良好なベーカリー製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、穀物、好ましくは蒸煮、および/または、圧扁、焙煎、粉砕のうち1つ以上の工程で処理した穀物、より好ましくは発芽穀物を、オリゴ糖、好ましくは分岐オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することを特徴とするシロップ漬穀物を要旨とする。
【0007】
また、本発明は、上記のいずれかのシロップ漬穀物を用いたベーカリー製品を要旨とする。穀物をオリゴ糖を含有する糖液で浸漬、加熱処理してシロップ漬にすることにより、シロップ漬穀物の食味、食感および保存性が向上し、これをベーカリー製品に用いることにより、製パン時の作業性、パン、菓子の食味、食感が向上する。特に、発芽穀物を用いることにより、より風味、食感に優れたベーカリー製品を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の穀物としては、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、玄米、蕎麦、ひえ、あわ、とうもろこし、もろこし、大豆など食用の穀物であれば特に制限はない。特に、発芽した穀物を用いることによって、よりソフトな食感で、自然な甘味のある栄養価の高いシロップ漬穀物を得ることができる。発芽穀物は、上記の穀物を発芽させたものであれば製法は問わないが、例えば、穀物を洗浄し、数時間以上水または温水に浸漬した後、水切りし、乾燥しないように放置すると、1〜4日後に得ることができる。
【0009】
本発明で用いる糖液はオリゴ糖を含有するものであり、特に、分岐オリゴ糖を用いることが好ましい。分岐オリゴ糖とは、α1,4結合以外の結合を構造内に含むオリゴ糖の総称であり、代表的なものとしてグルコースがα1,6結合のみで結合したもの、α1,6結合とα1,4結合の両方を有するもの、α1,3結合をもつもの、α1,2結合をもつものが挙げられる。具体的には、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、パノース、イソパノース、イソマルトシルマルトース、ニゲロース、コージビオースなどがあげられる。
【0010】
また、シロップ糖液中のオリゴ糖の含有量は固形物換算で1〜25重量%の範囲であることが望ましい。特に2〜20重量%の範囲が最も望ましく、製パン時の作業性、パン、ケーキの食味、食感が最も良好となる。オリゴ糖の含有量が1重量%より少なくなると、食味、食感、特に保存性の改良効果が得られにくくなり、25重量%よりも多くなりすぎると、パン、ケーキの体積が出にくくなるなどの影響が出る。
【0011】
本発明のシロップ漬穀物は、穀物を蒸煮した後で、必要に応じて圧扁、焙煎処理のいずれかまたは両方の工程で処理したものをそのまま、あるいは粉砕し、これをオリゴ糖を含有する糖液に浸漬後、加熱処理を行って製造することができる。また、穀物を蒸煮する前に粉砕し、これを糖液に浸漬した後、加熱処理を行って製造してもよい。粉砕は、粒がわずかに残る程度に行うことによって、穀物の適度な粒感が残り、好ましい食感のベーカリー製品を得ることができる。また、このときの加熱条件は、煮沸の場合90℃以上の温度で15分間以上行うことが望ましく、20〜30分間の範囲が殺菌効果、風味の面からより好ましい。さらに、加熱処理は、脱気包装した後に行うことによってより殺菌効果が向上し、保存性を向上させることができる。
穀物と糖液シロップの配合比率は、原料の種類、水分等により増減するが、2:1〜1:5の割合の範囲が望ましく、より好ましい範囲は1:1〜1:3である。
【0012】
本発明のシロップ漬穀物は、食パンや菓子パン、フランスパンなどのハード系パンなどのパン製品、クッキー、スポンジケーキ、バターケーキ等の菓子類などあらゆるベーカリー製品に用いることができる。特に、食パンなどの内相面が大きくて目立つパンに用いることによって、見た目が好ましく、穀物由来の風味、食感がひきたち、より好ましい食味のパンを得ることができる。
ベーカリー製品へのシロップ漬穀物の配合量は、小麦粉に対して10〜50%、ケーキの場合は10〜40重量%の範囲が好ましい。配合量がこれよりも少なくなると、ベーカリー製品の風味、食感の改良効果が少なくなり、多く配合しすぎると、製品の体積が出にくくなる。特に、パン製品に用いる場合は、20〜35重量%の範囲が最も好ましい。
【0013】
【作用】
穀物をオリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することにより、シロップ漬穀物の保存性が向上する。
本発明のシロップ漬穀物は、製パン時に添加すると、生地のべたつきが抑えられ、伸展性がよくなるなど作業性が改善される。また、パン生地の発酵が良好となり、ソフトでしっとりした口溶けのよいパンになる。さらにまた、穀物の風味と適度な粒感により良好な食感が得られ、パンの食味が良好となる。
すなわち、小麦等の穀物を発芽させ、蒸煮、および/または圧扁、ロースト処理したものを必要に応じて粉砕し、オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、包装後加熱処理する。これを製パン時に生地に練り込んで使用することによって、シロップ漬穀物およびこれを用いたパンの保存性が向上するとともに、製パン時の作業性、およびパンの食味、食感が良好となる。
【0014】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0015】
製造例
1.シロップ漬穀物(試料1〜14)の製造
穀物試料(小麦:333g、発芽小麦:500g)を0.05%クエン酸溶液で洗浄後、100℃で20分間蒸煮し、フードカッターで15分間(粒の大きさが1/4〜1/16のサイズになる位まで)粉砕後、表1に示す配合の糖液1000gに浸漬し、ナイロンラミネート製袋で密封包装(80%脱気)し、100℃で25分熱水中で加熱し、試料1〜14を得た。
【0016】
(発芽小麦の製造方法)
小麦の種子をステンレス製のバットに入れ、30℃付近の水を小麦が浸る程度加えて約12時間浸漬する。その後、水を切り、乾燥しないように布で覆い、25℃の恒温室に保管し、36時間発芽させた。
【0017】
【表1】
【0018】
保存試験例
2.シロップ漬穀物(試料1〜14)の保存試験
上記1.で製造した試料1〜14を5℃、および30℃で、30日間保存し、状態を観察した。
試料1〜12は30日後も5℃、30℃保存とも風味、外観に変化がみられなかったが、30℃保存において、試料13で風味が劣っており、試料14では、風味に少し変化が見られた。
【0019】
実施例1〜12、比較例1、2
3.製パン試験
上記1.のシロップ漬穀物(試料1〜14)を使用し、中種製パン法で食パンを製造した。
【0020】
【表2】
中種
──────────────
小麦粉 70%
イースト 2%
イーストフード 0.1%
水 40%
──────────────
【0021】
表2の材料をミキサーボールに投入後、パン用フックを低速で3分、中速で1分で回転させ生地をまとめ、捏ね上げ温度を24℃付近となるように中種生地を調整した。この中種生地を温度28℃、湿度75%で4時間発酵させた。
【0022】
【表3】
──────────────
小麦粉 30%
砂糖 3%
食塩 2%
ショートニング 6%
脱脂粉乳 3%
イースト 0.5%
シロップ漬穀物 30%
水 22%
──────────────
【0023】
4時間経過後、この中種生地にショートニングとシロップ漬穀物試料以外の表3の材料を加えミキシングを行なう。低速で3分、中速4分後、ショートニングを加えさらに低速2分、中速5分行ない、シロップ漬穀物試料を加え低速2分ミキシングする。捏ね上げ温度を28℃前後とした。その後、フロアタイムを20分間とり、分割、丸めを行ない、ベンチタイムを20分間とる。食パン型に成型した生地を入れ、ホイロを45分とり、200℃、40分間焼成を行なった。
【0024】
製造した食パンについて製パン時の作業性(生地の伸展性、べたつき)、20℃の恒温槽で製造18時間後、および3日間保存した後の製品体積、官能検査の評価を行った。官能検査は、食味(甘味、風味)、食感(ソフト感、しっとり感、口溶け)、触感(内相のしっとり感)について10名の専門パネラーによって行った。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】
砂糖液のみでシロップ漬した試料(13、14)に比べ、オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した本発明品(試料1〜12)は、製パン時の作業性にすぐれていた。また、本発明のシロップ漬穀物試料ではソフト感、しっとり感、口溶け、甘味、風味について砂糖のみでシロップ漬した穀物に比べ良好な結果が得られた。特に、製造18時間後よりも3日後と日数の経過に伴い優位性が顕著に現れた。特に、分岐オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した試料において、作業性、製品体積、官能評価の全てにおいて良好な結果が得られた。
さらに、発芽小麦を用いた試料は、パンの食味において小麦の自然の甘味が加わり、甘味以外の小麦の好ましい風味が増し、食味において、良好な評価が得られた。
また、試料の添加量が少なくなると(実施例4)しっとり感(特に保存3日後)がやや弱くなり、添加量が多くなると(実施例12)製品体積がやや出にくくなる。
【0027】
実施例13〜24,比較例3、4
4.ケーキ試験
1のシロップ漬穀物試料1〜14を使用し、パウンドケーキを製造した。
【0028】
【表5】
配合
───────────────
小麦粉 100%
砂糖 100%
マーガリン 90%
全卵 100%
シロップ漬穀物 30%
ラム酒 0.5%
───────────────
【0029】
シュガーバッター法に基づき表5の配合でパウンドケ−キを製造した。
製品体積、官能試験については上記3.の製パン試験と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
【0030】
【表6】
【0031】
砂糖液のみでシロップ漬した穀物試料に比べ、オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した本発明品は、製品体積は同レベルであるものの、食感、触感に優れ、保存日数の経過に伴い優位差が大きくなった。特に、分岐オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した試料では、食感、触感とも良好な結果が得られた。
また、製パン試験と同様に、試料の添加量が少なくなると(実施例16)内相のしっとり感がやや弱くなり、添加量が多くなると(実施例24)製品体積がやや出にくくなった。
【0032】
【発明の効果】
保存性の向上したシロップ漬穀物を提供することができる。また、それを用いた製造時の作業性がよく、保存性が向上した、かつ食味、食感の良好なベーカリー製品を提供することができる。
小麦等の穀物を発芽させ、蒸煮、および/または圧扁、ロースト処理したものを必要に応じて粉砕し、オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、包装後加熱処理する。これを製パン時に生地に練り込んで使用することによって、シロップ漬穀物およびこれを用いたパンの保存性が向上するとともに、製パン時の作業性、およびパンの食味、食感が良好となる。
【産業の属する技術分野】
本発明は、シロップ漬穀物およびそれを用いたパン、ケーキなどのベーカリー製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パンやケーキ、クッキーなどのベーカリー製品におけるバリエーションとして、穀類を添加配合したものが、その風味、食感、栄養価などの面から注目されてきている。
ローストした穀物や穀物フレークまたはこれらを調味したものを製パンに用いることにより穀物の風味や食感を生かしたベーカリー製品を製造する方法が提案されている(特許文献1、2、3)。また、栄養価を高めるために穀物を発芽させたものを製パンに用いる方法(特許文献4)、発芽穀物をフレーク等に加工する方法も提案されている(特許文献5)。
しかしながら、発芽した穀物をそのままパンに用いる場合、すぐに使用しないと、微生物の発生が起こり、保存には適さなかった。また、発芽穀物をフレーク状に加工してしまうと、穀物の粒感、風味が減少し、穀物そのものの存在感を味わうことができなくなってしまう。
また、製パン、製菓において、糖類を分岐オリゴ糖で置換したものを原料とする製法が提案されている(特許文献6、7)が、オリゴ糖を製パン、製菓生地に直接配合するとべたつきが起こりやすくなってしまう。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−143376号公報
【特許文献2】
特開平4−99436号公報
【特許文献3】
特開平5−168395号公報
【特許文献4】
特開平10−150909号公報
【特許文献5】
特開昭63−267247号公報
【特許文献6】
特開昭62−146548号公報
【特許文献7】
特開平5−49383号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
穀物にローストや圧扁等の処理をして調味液で浸漬したものは、保存性の面で問題があり、常温での保存に適さなかった。また、砂糖液でシロップ漬した穀物を製パン時に用いる際、生地のべたつきが起こり、作業性の面で問題があった。さらに、穀物を調味液で処理したものを用いて製パンする際、適度な粒感を残すと、粒が硬くなる傾向にあり食味や食感が劣ってしまう。
【0005】
本発明は、保存性の向上したシロップ漬穀物を提供することを目的とする。また、それを用いた製造時の作業性がよく、保存性が向上した、かつ食味、食感の良好なベーカリー製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、穀物、好ましくは蒸煮、および/または、圧扁、焙煎、粉砕のうち1つ以上の工程で処理した穀物、より好ましくは発芽穀物を、オリゴ糖、好ましくは分岐オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することを特徴とするシロップ漬穀物を要旨とする。
【0007】
また、本発明は、上記のいずれかのシロップ漬穀物を用いたベーカリー製品を要旨とする。穀物をオリゴ糖を含有する糖液で浸漬、加熱処理してシロップ漬にすることにより、シロップ漬穀物の食味、食感および保存性が向上し、これをベーカリー製品に用いることにより、製パン時の作業性、パン、菓子の食味、食感が向上する。特に、発芽穀物を用いることにより、より風味、食感に優れたベーカリー製品を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の穀物としては、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、玄米、蕎麦、ひえ、あわ、とうもろこし、もろこし、大豆など食用の穀物であれば特に制限はない。特に、発芽した穀物を用いることによって、よりソフトな食感で、自然な甘味のある栄養価の高いシロップ漬穀物を得ることができる。発芽穀物は、上記の穀物を発芽させたものであれば製法は問わないが、例えば、穀物を洗浄し、数時間以上水または温水に浸漬した後、水切りし、乾燥しないように放置すると、1〜4日後に得ることができる。
【0009】
本発明で用いる糖液はオリゴ糖を含有するものであり、特に、分岐オリゴ糖を用いることが好ましい。分岐オリゴ糖とは、α1,4結合以外の結合を構造内に含むオリゴ糖の総称であり、代表的なものとしてグルコースがα1,6結合のみで結合したもの、α1,6結合とα1,4結合の両方を有するもの、α1,3結合をもつもの、α1,2結合をもつものが挙げられる。具体的には、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、パノース、イソパノース、イソマルトシルマルトース、ニゲロース、コージビオースなどがあげられる。
【0010】
また、シロップ糖液中のオリゴ糖の含有量は固形物換算で1〜25重量%の範囲であることが望ましい。特に2〜20重量%の範囲が最も望ましく、製パン時の作業性、パン、ケーキの食味、食感が最も良好となる。オリゴ糖の含有量が1重量%より少なくなると、食味、食感、特に保存性の改良効果が得られにくくなり、25重量%よりも多くなりすぎると、パン、ケーキの体積が出にくくなるなどの影響が出る。
【0011】
本発明のシロップ漬穀物は、穀物を蒸煮した後で、必要に応じて圧扁、焙煎処理のいずれかまたは両方の工程で処理したものをそのまま、あるいは粉砕し、これをオリゴ糖を含有する糖液に浸漬後、加熱処理を行って製造することができる。また、穀物を蒸煮する前に粉砕し、これを糖液に浸漬した後、加熱処理を行って製造してもよい。粉砕は、粒がわずかに残る程度に行うことによって、穀物の適度な粒感が残り、好ましい食感のベーカリー製品を得ることができる。また、このときの加熱条件は、煮沸の場合90℃以上の温度で15分間以上行うことが望ましく、20〜30分間の範囲が殺菌効果、風味の面からより好ましい。さらに、加熱処理は、脱気包装した後に行うことによってより殺菌効果が向上し、保存性を向上させることができる。
穀物と糖液シロップの配合比率は、原料の種類、水分等により増減するが、2:1〜1:5の割合の範囲が望ましく、より好ましい範囲は1:1〜1:3である。
【0012】
本発明のシロップ漬穀物は、食パンや菓子パン、フランスパンなどのハード系パンなどのパン製品、クッキー、スポンジケーキ、バターケーキ等の菓子類などあらゆるベーカリー製品に用いることができる。特に、食パンなどの内相面が大きくて目立つパンに用いることによって、見た目が好ましく、穀物由来の風味、食感がひきたち、より好ましい食味のパンを得ることができる。
ベーカリー製品へのシロップ漬穀物の配合量は、小麦粉に対して10〜50%、ケーキの場合は10〜40重量%の範囲が好ましい。配合量がこれよりも少なくなると、ベーカリー製品の風味、食感の改良効果が少なくなり、多く配合しすぎると、製品の体積が出にくくなる。特に、パン製品に用いる場合は、20〜35重量%の範囲が最も好ましい。
【0013】
【作用】
穀物をオリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することにより、シロップ漬穀物の保存性が向上する。
本発明のシロップ漬穀物は、製パン時に添加すると、生地のべたつきが抑えられ、伸展性がよくなるなど作業性が改善される。また、パン生地の発酵が良好となり、ソフトでしっとりした口溶けのよいパンになる。さらにまた、穀物の風味と適度な粒感により良好な食感が得られ、パンの食味が良好となる。
すなわち、小麦等の穀物を発芽させ、蒸煮、および/または圧扁、ロースト処理したものを必要に応じて粉砕し、オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、包装後加熱処理する。これを製パン時に生地に練り込んで使用することによって、シロップ漬穀物およびこれを用いたパンの保存性が向上するとともに、製パン時の作業性、およびパンの食味、食感が良好となる。
【0014】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0015】
製造例
1.シロップ漬穀物(試料1〜14)の製造
穀物試料(小麦:333g、発芽小麦:500g)を0.05%クエン酸溶液で洗浄後、100℃で20分間蒸煮し、フードカッターで15分間(粒の大きさが1/4〜1/16のサイズになる位まで)粉砕後、表1に示す配合の糖液1000gに浸漬し、ナイロンラミネート製袋で密封包装(80%脱気)し、100℃で25分熱水中で加熱し、試料1〜14を得た。
【0016】
(発芽小麦の製造方法)
小麦の種子をステンレス製のバットに入れ、30℃付近の水を小麦が浸る程度加えて約12時間浸漬する。その後、水を切り、乾燥しないように布で覆い、25℃の恒温室に保管し、36時間発芽させた。
【0017】
【表1】
【0018】
保存試験例
2.シロップ漬穀物(試料1〜14)の保存試験
上記1.で製造した試料1〜14を5℃、および30℃で、30日間保存し、状態を観察した。
試料1〜12は30日後も5℃、30℃保存とも風味、外観に変化がみられなかったが、30℃保存において、試料13で風味が劣っており、試料14では、風味に少し変化が見られた。
【0019】
実施例1〜12、比較例1、2
3.製パン試験
上記1.のシロップ漬穀物(試料1〜14)を使用し、中種製パン法で食パンを製造した。
【0020】
【表2】
中種
──────────────
小麦粉 70%
イースト 2%
イーストフード 0.1%
水 40%
──────────────
【0021】
表2の材料をミキサーボールに投入後、パン用フックを低速で3分、中速で1分で回転させ生地をまとめ、捏ね上げ温度を24℃付近となるように中種生地を調整した。この中種生地を温度28℃、湿度75%で4時間発酵させた。
【0022】
【表3】
──────────────
小麦粉 30%
砂糖 3%
食塩 2%
ショートニング 6%
脱脂粉乳 3%
イースト 0.5%
シロップ漬穀物 30%
水 22%
──────────────
【0023】
4時間経過後、この中種生地にショートニングとシロップ漬穀物試料以外の表3の材料を加えミキシングを行なう。低速で3分、中速4分後、ショートニングを加えさらに低速2分、中速5分行ない、シロップ漬穀物試料を加え低速2分ミキシングする。捏ね上げ温度を28℃前後とした。その後、フロアタイムを20分間とり、分割、丸めを行ない、ベンチタイムを20分間とる。食パン型に成型した生地を入れ、ホイロを45分とり、200℃、40分間焼成を行なった。
【0024】
製造した食パンについて製パン時の作業性(生地の伸展性、べたつき)、20℃の恒温槽で製造18時間後、および3日間保存した後の製品体積、官能検査の評価を行った。官能検査は、食味(甘味、風味)、食感(ソフト感、しっとり感、口溶け)、触感(内相のしっとり感)について10名の専門パネラーによって行った。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】
砂糖液のみでシロップ漬した試料(13、14)に比べ、オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した本発明品(試料1〜12)は、製パン時の作業性にすぐれていた。また、本発明のシロップ漬穀物試料ではソフト感、しっとり感、口溶け、甘味、風味について砂糖のみでシロップ漬した穀物に比べ良好な結果が得られた。特に、製造18時間後よりも3日後と日数の経過に伴い優位性が顕著に現れた。特に、分岐オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した試料において、作業性、製品体積、官能評価の全てにおいて良好な結果が得られた。
さらに、発芽小麦を用いた試料は、パンの食味において小麦の自然の甘味が加わり、甘味以外の小麦の好ましい風味が増し、食味において、良好な評価が得られた。
また、試料の添加量が少なくなると(実施例4)しっとり感(特に保存3日後)がやや弱くなり、添加量が多くなると(実施例12)製品体積がやや出にくくなる。
【0027】
実施例13〜24,比較例3、4
4.ケーキ試験
1のシロップ漬穀物試料1〜14を使用し、パウンドケーキを製造した。
【0028】
【表5】
配合
───────────────
小麦粉 100%
砂糖 100%
マーガリン 90%
全卵 100%
シロップ漬穀物 30%
ラム酒 0.5%
───────────────
【0029】
シュガーバッター法に基づき表5の配合でパウンドケ−キを製造した。
製品体積、官能試験については上記3.の製パン試験と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
【0030】
【表6】
【0031】
砂糖液のみでシロップ漬した穀物試料に比べ、オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した本発明品は、製品体積は同レベルであるものの、食感、触感に優れ、保存日数の経過に伴い優位差が大きくなった。特に、分岐オリゴ糖を含有した糖液でシロップ漬した試料では、食感、触感とも良好な結果が得られた。
また、製パン試験と同様に、試料の添加量が少なくなると(実施例16)内相のしっとり感がやや弱くなり、添加量が多くなると(実施例24)製品体積がやや出にくくなった。
【0032】
【発明の効果】
保存性の向上したシロップ漬穀物を提供することができる。また、それを用いた製造時の作業性がよく、保存性が向上した、かつ食味、食感の良好なベーカリー製品を提供することができる。
小麦等の穀物を発芽させ、蒸煮、および/または圧扁、ロースト処理したものを必要に応じて粉砕し、オリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、包装後加熱処理する。これを製パン時に生地に練り込んで使用することによって、シロップ漬穀物およびこれを用いたパンの保存性が向上するとともに、製パン時の作業性、およびパンの食味、食感が良好となる。
Claims (5)
- 穀物をオリゴ糖を含有する糖液に浸漬し、加熱処理することを特徴とするシロップ漬穀物。
- 穀物が蒸煮、および/または、圧扁、焙煎、粉砕のうち1つ以上の工程で処理したものである請求項1のシロップ漬穀物。
- 穀物が発芽穀物である請求項1または2のシロップ漬穀物。
- オリゴ糖が分岐オリゴ糖である請求項1、2または3のシロップ漬穀物。
- 請求項1ないし4のいずれかのシロップ漬穀物を用いたベーカリー製品。
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|---|---|---|---|
| JP2002375396A JP2004201593A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | シロップ漬穀物およびそれを用いたベーカリー製品 |
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011135810A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Nisshin Flour Milling Inc | パン類の製造方法 |
| KR101215510B1 (ko) | 2012-10-09 | 2012-12-26 | 김범안 | 귀리 발아 효소를 이용한 빵의 제조 방법 |
| JP2016514484A (ja) * | 2013-04-11 | 2016-05-23 | ピュラトス・エヌブイPuratos Nv | 機能化穀物を含むドウまたはバッター |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002375396A patent/JP2004201593A/ja not_active Withdrawn
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| JP7069230B2 (ja) | 2013-04-11 | 2022-05-17 | ピュラトス・エヌブイ | 機能化穀物を含むドウまたはバッター |
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