JP2004201680A - ホワイトアスパラガス等の周年安定生産方法 - Google Patents

ホワイトアスパラガス等の周年安定生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ホワイトアスパラガス等の周年安定生産方法を提供する。
【解決手段】 ホワイトアスパラガスに代表される軟白野菜類を周年安定して生産する方法であって、(1)軟白野菜類の株を所定の箱体容器に収容する、(2)上記株を所定の温度及び暗闇条件の栽培施設内に伏せ込み、軟白野菜類を萌芽させる、(3)上記株を伏せ込む時期を調節することにより、栽培施設における萌芽状況を制御する、(4)上記(1)〜(3)により、周年安定した軟白野菜類の萌芽を実現する、ことからなる軟白野菜類の生産方法、上記栽培施設が、所定の温度及び暗闇条件を有する施設である上記方法、及び上記方法で萌芽させたホワイトアスパラガスを所定の萌芽周期に合わせて収穫し、出荷することからなるホワイトアスパラガスの収穫・出荷方法。
【選択図】 なし


Description

本発明は、ホワイトアスパラガス等の軟白野菜類を年間を通じて安定して生産する方法に関するものであり、更に詳しくは、例えば、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株を利用し、これをコンテナに入れて所定の栽培施設内に伏せ込むことにより、従来、国内生産品の出荷時期が2〜7月に限られていた生食用のホワイトアスパラガスを、1年を通じて収穫及び出荷することを可能とする新規ホワイトアスパラガスの生産方法に関するものである。本発明は、特に、露地物と比較して、外皮が軟らかく、そのまま生食が可能で、糖度が高く、生食に好適な高品質の生食用ホワイトアスパラガスの周年安定生産及び通年収穫・出荷を可能とする生食用ホワイトアスパラガス生産の新しいテクノロジーを提供するものとして有用である。
一般に、軟白野菜類の中でも、アスパラガスは、食用及び観賞用として世界的に広く栽培されている重要な作物である。特に、食用として利用されるアスパラガス(Asparagus officinalis)の増殖及び育種・栽培に関する研究は活発に行われており、例えば、食用として有用な雄株の増殖方法や、若茎が太く、多収性の新品種の作出方法などの研究が進められている。そこで、本発明について、以下、本発明が対象とする軟白野菜類のうち、特に、アスパラガスを代表的な例として説明することとする。ところで、アスパラガスの原産地は、南ヨーロッパの地中海沿岸あたりからベラルーシ、ウクライナ、及びロシア南部にかけてであり、日本には江戸時代に鑑賞用として伝えられた。これが食用になったのは明治になって北海道でホワイトアスパラガスの栽培が始まってからである。
現在でも、ヨーロッパ等の諸外国ではアスパラガスと言えばホワイトアスパラガスを指すが、我が国では、グリーンアスパラガスが生産の主流となっている。また、日本ではホワイトアスパラガスは、一般的に加熱処理された瓶詰が主であり、生食用はほとんど市場に出回らず、高級食材として位置付けられている。現在、生食用のホワイトアスパラガスは、2月の香川産から7月の北海道産が国産であり、他の時期は、中華人民共和国、ペルー等の外国産に頼った状況である(平成14年東京大田市場調べ)。
一般に、アスパラガスは、外国産と国産を比べると、例えば、ビタミンC、ミネラル分等の栄養分は国産品が勝る。また、ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスと比べて血液をサラサラにする作用を有するサポニンを多く含む。しかし、生食用と瓶詰を比較すると、加熱により栄養価が低下する。また、グリーンアスパラガスにおいても、夏後半になると気温の上昇による品質の低下や糖度の低下が見られる。従来、ホワイトアスパラガス等の軟白野菜類の栽培では、遮光して栽培するいわゆる軟白栽培が行われている。遮光する方法としては、例えば、モミガラやバーミキュライト、あるいは土や砂、遮光フィルムなどの遮光材で新芽を覆い、軟白させて収穫する方法、あるいは自然光のとどかない地下室や穴蔵等に苗を配置して軟白栽培する方法、等があげられる。すなわち、これらの野菜類は、畑の地表面から生長する植物体に光が当たらないようにすることが可能な遮光手段で遮光することにより生産されており、そのための技術が種々開発されている。
ここで、従来法によるホワイトアスパラガスの栽培方法をいくつか説明すると、野菜類の軟白栽培方法として、例えば、(1)通気度1cc/cm2 /sec以上の多孔性シートからなり、遮光率が95%以上であるシートで茎葉の少なくとも一部を覆うことを特徴とする野菜類の栽培方法(特許文献1参照)、が提案されている。また、ホワイトアスパラガス等の軟白野菜類の栽培装置として、例えば、(2)芽の部分を強制的に遮光性のパイプ材で覆い、太陽光を遮蔽して芽を軟化させるようにした装置(特許文献2参照)、(3)支柱及びフレーム等を用いて構成した本体を遮光性フィルム等で覆い遮光空間を構成するようにした栽培装置(特許文献3参照)、及び(4)発泡樹脂成形体製の身箱体と蓋体とからなるホワイトアスパラガスの栽培装置(特許文献4参照)、等が提案されている。しかしながら、これらは、通常の露地栽培等を前提として、それに、上記特定の手段を組み合わせたものであり、基本的には、従来の栽培法の改良を目的としたものである。例えば、上記(3)の栽培装置は、箱体を構成要素としているが、該箱体は、底部が開放されており、春、畑にアスパラガスの芽が出る前に、該箱体を芽の出る部分に設置し、蓋体を閉じて、畑の地表面から突き出て生長するアスパラガスに光が当たらないようにして軟白させ、ホワイトアスパラガスの収穫時には地表面上の空間で切取り作業ができるようにしたことを特徴とする栽培装置であり、栽培方法自体は、従来法の域をでていない。
上記のように、現在、ホワイトアスパラガスの栽培では、露地等の土の中で遮光された状態で生長させ、収穫する方法がとられているため、ホワイトアスパラガスは、気温による影響下におかれ、国内の生産出荷時期が2〜7月と決まっている。また、一般に、グリーンアスパラガスにおいても、「気温が低い時期に生長が緩やかで栄養分が温存され、気温の高い時期は生長が早く、品質が低下する」と指摘されている。このため、品質を均一化したホワイトアスパラガスを栽培するためには、第一に、外気温の影響を排除し、温度管理及び湿度管理を可能とする栽培施設が必要となる。また、アスパラガスの萌芽には、一般に、株養成期間が必要であるため、同一の株から1年を通じて収穫することは不可能である。そのために、当該技術分野においては、年間を通じて、高品質のホワイトアスパラガスを安定して生産できる新しい生産技術の開発が要請されていた。
実開昭62−7834号公報 特開平4−179417号公報 実開平7−11139号公報 特開平5−304836号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、グリーンアスパラガスと比べて血液をサラサラにする生理作用を有するサポニン、プロトディオシンを多く含む生食用ホワイトアスパラガスを、一年を通じて栽培できる新しい生産技術を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株を利用し、これらをコンテナに入れて所定の温度及び暗闇条件を有する栽培施設内に伏せ込む方法を採用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、栽培施設を利用してホワイトアスパラガスを周年安定して生産する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、従来、出荷時期が限られていた生食用ホワイトアスパラガスを年間を通して安定に収穫・出荷することを可能とする方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、生食用に好適な、外皮が軟らかく、そのまま生食が可能で、糖度が高く、栄養価が高い、高品質なホワイトアスパラガスを生育させる方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、連作障害のない新しい栽培方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)ホワイトアスパラガスに代表される軟白野菜類を周年安定して生産する方法であって、
(a)軟白野菜類の株を所定の箱体容器に収容する、
(b)上記株を、所定の温度及び暗闇条件の栽培施設内に伏せ込み、軟白野菜類を萌芽させる、
(c)上記株を伏せ込む時期を調節することにより、栽培施設における萌芽状況を制御する、
(d)上記(a)〜(c)により、周年安定した軟白野菜類の萌芽を実現する、
ことを特徴とする軟白野菜類の生産方法。
(2)軟白野菜類が、ホワイトアスパラガスであり、アスパラガスの養成株及び/又は廃株を、所定の箱体容器に収容する前記(1)に記載の生産方法。
(3)栽培施設が、所定の温度及び暗闇条件を有する施設である前記(1)又は(2)に記載の生産方法。
(4)箱体容器として、一定の容積を有する複数のコンテナを使用する前記(1)又は(2)に記載の生産方法。
(5)養成株及び/又は廃株の表面を、キノコ栽培廃棄物又は該廃棄物を含む土で覆い、株からの萌芽に重量を掛ける前記(2)に記載の生産方法。
(6)温度16℃前後及び湿度90%前後の気相中でホワイトアスパラガスを萌芽させる前記(2)に記載の生産方法。
(7)異なる萌芽周期を有する複数の株を所定のローテーションで組み合わせて伏せ込むことにより、所定の周期で連続的にホワイトアスパラガスを萌芽させる前記(2)に記載の生産方法。
(8)アスパラガスの養成株及び/又は廃株が、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株である前記(2)に記載の生産方法。
(9)前記(2)から(8)のいずれかに記載の生産方法で萌芽させたホワイトアスパラガスを所定の萌芽周期に合わせて収穫し、出荷することを特徴とするホワイトアスパラガスの収穫・出荷方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、軟白野菜類を周年安定して生産する方法に係るものであり、前記したように、例えば、アスパラガスの養成株及び/又は廃株を所定の箱体容器に収容し、所定の温度及び暗闇(遮光)条件の栽培施設内に伏せ込み(設置し)、ホワイトアスパラガスを萌芽させ、上記養成株及び/又は廃株を伏せ込む(設置する)時期を調節することにより栽培施設におけるホワイトアスパラガスの萌芽状況を制御し、これらの工程により、周年安定した萌芽を実現し、ホワイトアスパラガスを周年安定して生産することを特徴とするものである。
本発明では、上記アスパラガスの養成株及び/又は廃株として、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株が用いられる。なお、ウド等の場合は、ウド等の根株が用いられる。アスパラガスの廃株を利用する場合は、通常、露地栽培のアスパラガスが約10年で改植となり、その廃株を利用することができる。本発明では、上記養成株及び/又は廃株を所定の箱体容器に収容するが、この場合、該容器として、上記養成株及び/又は廃株を収容できる上面開口箱体容器、例えば、一定の容積を有する複数のコンテナを使用することができ、好適には、例えば、4年株程度のアスパラガス1株(1m2 弱)を収容できる容量のコンテナが例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、適宜の容量及び形態の箱体容器を使用することができる。コンテナ栽培により、運搬及び格納の効率化、栽培作業の簡便化、生育状況の適正な把握及び管理、収穫作業の簡便化、歩留りの向上等を実現することが可能となる。
次に、上記養成株及び/又は廃株の表面を必要により土等で覆い、これを所定の温度及び暗闇条件の栽培施設内に設置する。この場合、上記覆土としては、通常の覆土として用いられるあらゆる種類の材料を使用することができるが、好適には、例えば、キノコの栽培施設から廃棄物として処分されるキノコ栽培廃棄物、培養土(コーンコブ等)、くん炭、モミガラ、及びこれらを含む土が用いられる。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと同効若しくは類似のものであれば同様に使用することができる。本発明では、これらの覆土を少なくして、好適には約数cmの厚さの覆土を施すことで株からの萌芽に重量を掛けることにより、先端の尖った真直な高品質のホワイトアスパラガスを生産することが可能となる。上記覆土を施さない場合でもホワイトアスパラガスの生産は可能であるが、その場合、萌芽の方向性が定まらず、曲がりが多く、頭部も丸みが強くなり、商品としての形状が悪く、品質及び価値が低下する問題を有する。
本発明では、上記栽培施設として、好適には、例えば、所定の温度及び暗闇条件を有する施設が例示される。この場合、好ましい温度条件は10〜30℃、より好ましくは15〜20℃であり、好適には、例えば、温度16℃前後及び湿度90%前後の気相中でアスパラガスを萌芽させることにより、外皮が軟らかく、そのまま生食できるホワイトアスパラガスが得られる。通常のホワイトアスパラガスの料理では、外皮を削ぎ落とすが、上記気相中で萌芽させた生食用ホワイトアスパラガスを利用することにより、外皮に含有量の高いサポニンの摂取が可能となる。しかし、これらに制限されるものではなく、それらと同効の施設、あるいは、温度及び暗闇条件、湿度条件、遮光条件を所定のレベルに維持できる施設であれば、その種類、規模にかかわらず、同様に使用することができる。
本発明では、上記養成株及び/又は廃株を上記栽培施設内に設置する(伏せ込む)時期を調節することにより栽培施設におけるアスパラガスの萌芽状況を制御するが、これらの技術は、本発明者らの研究により、上記栽培施設におけるアスパラガスの萌芽状況に周期があり、この萌芽時期を利用することでアスパラガスの萌芽状況を任意に制御できることが分かったことを基礎として確立されたものである。すなわち、異なる萌芽周期を有する複数の株を所定のローテーションで組み合わせて設置することにより、限られた圃場(栽培施設)において、所定の周期で連続的にアスパラガスを萌芽させることが可能となる。この場合、ローテーションの時間間隔は、生産・出荷計画に合わせて任意に設定すれば良く、ローテーションの具体的な方式は特に制限されない。本発明では、上記方法で萌芽させたホワイトアスパラガスを所定の萌芽周期に合わせて収穫することができ、それにより、年間を通じてホワイトアスパラガスを出荷することが可能となる。
本発明者らは、研究の過程で、周年の収穫をするために、株養成を行った異なる株によるローテーションを組んで設置する方法を種々検討した結果、1月から12月の萌芽を確認した。しかし、施設内でのローテーションを可能にするためには、従来の覆土をして栽培する方法では、膨大な敷地面積及び施設容量を必要とすることとなり、現実的でない。このため、本発明では、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株を利用し、施設として、例えば、横坑(トンネル)施設を利用することにより、覆土した中で栽培するのと同じ遮光条件とするとともに、コンテナを利用することにより、伏せ込み(設置)作業及び栽培作業の簡便化が図られ、育成状況の把握及び管理を容易にし、かつ収穫作業を簡便にすることを可能にした。株養成したアスパラガスに、遮光された状態で、一定の温度と水分を与えれば、ホワイトアスパラガスが萌芽することは周知の事実である。
しかし、アスパラガスの株を前述した施設に自然のまま設置した場合、萌芽の方向性が定まらず、曲がりが多く、頭部も丸みが強くなり、商品としての形状が悪く、品質及び価値が低減するという問題が生じる。本発明では、このアスパラガスの形状及び品質上の問題を解決し、かつローテーション作業の効率化を図るために、コンテナに堀り上げた株を入れる方法をとり、株からの萌芽に重量を掛けて下から突き抜ける力を出すことにより、曲がりと丸みをとることに成功し、商品歩留りの向上を実現した。また、株からの萌芽に重量を掛けるために、キノコの栽培施設から廃棄物として処理されるオガクズ、コーンコブ等の培養土に着目し、株にのせたところ、土のように石などの異物が含まれることによる予想外の萌芽障害ということもなく、作業効率も向上するという効果を確認することができた。
また、糖度試験をしたところ、本発明の方法で生産されたホワイトアスパラガスの糖度は、従来のホワイトアスパラガスの旬といわれる4月には8〜10度、国産では生産されていない9月でも6〜7度であり、露地栽培に比べて2〜3度高く、品質も均一であるという結果を得た。なお、最適茹で時間をみても、本発明の方法で生産されたホワイトアスパラガスの茹で時間は、グリーンアスパラガスより長く、露地ホワイトアスパラガスより短い時間ですみ、露地ホワイトアスパラガスと比べて、品質的にも経済的にも高い評価が得られた。特に、露地ホワイトアスパラガスでは、料理する際に、外皮を削ぎ落とすが、本発明により得られるホワイトアスパラガスは、外皮が軟らかいため、そのまま料理の食材として扱うことが可能である。これにより、外皮に含まれる機能性成分のサポニンを外皮と共にそのまま摂取できるが、このことは、栄養学的にも重要である。
本発明によれば、温度管理及び湿度管理可能な遮光された施設に、アスパラガスの株を所定のローテーションで伏せ込むことにより、年間を通じて露地物と比べて、糖度が高く、外皮が軟らかく、高品質の生食用のホワイトアスパラガスを安定して栽培することが可能である。また、従来、労働集約的農業であったホワイトアスパラガスの栽培が、年間計画をたてて作業分散することが可能となり、栽培及び収穫作業の簡便化と収穫時の重労働の軽減が可能となり、労働対象者を拡大することができる。更に、グリーンアスパラガスの産地は、改植時に廃株を提供することにより、連作障害の解消になり、より品質の高いグリーンアスパラガスの栽培に寄与できるという副次的な効果も得られる。なお、本発明と同一の方法を、例えば、ショウガ等の地下茎やウド等の根株を利用して実施することが可能であり、本発明は、ホワイトアスパラガスの他に、ウドやその他の軟白野菜類の栽培にも同様に適用することが可能である。
本発明により、1)露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株を利用した新規ホワイトアスパラガスの生産方法を提供することができる、2)施設を利用することで、従来法のような多量の覆土をしないでホワイトアスパラガスを栽培することができる、3)露地物と比べて、糖度が高く、外皮が軟らかく、そのまま生食可能で、栄養価の高い、高品質の生食用ホワイトアスパラガスが得られる、4)周年、均一、かつ高品質のホワイトアスパラガスを市場に供給できる、5)コンテナ栽培とすることにより、連作障害の問題がない、6)上記株を所定のローテーションで配置することにより、計画生産が可能である、7)従来法に比べて栽培の作業効率の向上及び収穫時の重労働を軽減することができる、8)露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び廃株を有効利用できるので、グリーンアスパラガスの連作障害の解決及びその再利用を促進できる、9)グリーンアスパラガスの生産とホワイトアスパラガスの生産をリンクさせることで新しい農産物の生産及び出荷システムを構築することができる、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
露地栽培のグリーンアスパラガスの廃株としては、長野県内のグリーンアスパラガス作付け面積約2000haの廃株(約10年で改植したもの)を利用した。また、養成株としては、4年間養成した株(1株当たり1m2 弱)を利用した。上記養成株及び廃株を随時抜根し、コンテナ(1m2 弱)にのせ、その下部に目土を入れて、これを横坑(トンネル)施設(間口×高さ×奥行き=6.9m×5.0m×730m)内に引き込み、配置した。横坑(トンネル)施設は、年間を通して一定温度(16℃前後)、湿度90%前後、暗闇(遮光条件)に維持されていた。コンテナに収容した養成株及び廃株の表面に覆土としてキノコ栽培に使用した培養土を使用し、覆土を少なくして、数cm程度で施し、養成株及び廃株からの萌芽に重量を掛けた。この状態で栽培して、アスパラガスの萌芽状況を調べた。その結果を図1に示す。図1に示されるように、アスパラガスの萌芽状況に周期があることが確認された。
そこで、随時株の抜根を行い、上記と同様に、横坑(トンネル)内に引き込み、複数の株(A〜Dグループの4種類の養成株及び廃株)を所定のローテーションで組み合わせて配置し、萌芽周期を制御して栽培した。その結果を図2、及び図3に示す。これらの図に示されるように、所定の周期で連続的にアスパラガスを萌芽させることができた。図2、及び図3は、上記随時の株の抜根、横坑(トンネル)内配置、萌芽周期の栽培のコントロールにより、萌芽状況の調整と収穫・出荷時期の調整ができることを示すものである。
上記実施例1の方法と同様にして、上記養成株及び廃株を随時抜根し、コンテナ(1m2 弱)に収容し、コンテナの下部に目土を入れ、これらを横坑(開口×高さ×奥行き=6.9m×5.0m×730m)施設内に持ち込み、配置した。横坑内の暗闇で上記株の表面に数cmの少ない覆土(キノコ栽培した培養土)を施し、株からの萌芽に重量を掛け、コンテナで2ヶ月の収穫に基づく所定のローテーションで伏せ込み、上記方法と同様にして、所定の周期で連続的にホワイトアスパラガスを萌芽させた。それにより、均一、かつ高品質のホワイトアスパラガスの収穫・出荷を達成した。得られたホワイトアスパラガスは、従来品と比べて、糖度が2〜3度高く、外皮が軟らかく(そのまま生食可能)、生食用として好適な特性を有することが分かった。
(1)材料及び方法
材料のアスパラガスは7年株を用いた。2カ月おきに抜根し、本発明の方法により、横坑に伏せ込み、覆土をしない生食用ホワイトアスパラガスを生産した。伏せ込み1週間後に、萌芽したばかりの5cm程度の長野県規格L級細(25cm長の若茎で15〜30g程度)のアスパラガスに、1cmごとにマジックで線をつけて、1週間後にそれぞれの長さを計測した。圃場で栽培しているグリーンアスパラガスの7年株を対照とした。上記試験を若茎12本で行った。
(2)結果
ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスに比べて伸長が遅く、年間を通じて一定の伸長であった。ホワイトアスパラガスは地表面から2cm程度まではほとんど伸長せず、若茎頭部の伸長率が大きかった。一方、グリーンアスパラガスは全般に伸長率が大きく、1週間ではホワイトアスパラガスの3〜8倍程度の伸長となった。ホワイトアスパラガスと同様に、基部より頭部の伸長が大きかったが、グリーンアスパラガスでは、地表面から1cmの部分の伸長は少なかったものの、2cmの部分も伸長した。
横坑が温度16℃湿度90%程度の気相中という一定の環境条件にあることにより、ホワイトアスパラガスの伸長が遅いこと、若茎の基部(地表面から2cm程度)は伸長せず、頭部だけがゆっくりと伸長すること、それにより、横坑では、露地栽培のホワイトアスパラガスに比べて、年間を通じて類似した品質の生食用ホワイトアスパラガスを生産できること、が示された。
(1)材料及び方法

上記実施例3と同様に本発明の方法により生産したホワイトアスパラガスについて、ポリフェノール、フラボノール、ルチン、アントシアン、Brix、アスコルビン酸等について分析した。比較として、グリーンアスパラガスについても分析した。
(2)結果
ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスに比べて糖度が高い(Brix:5.6〜7.4)ことが分かった。ホワイトアスパラガスのポリフェノール、フラボノール、アントシアンの含有量は、グリーンアスパラガスに比べて低く、ルチンは含まれていなかったが、本発明の方法により生産されたホワイトアスパラガスは、糖度が高く、また、サポニンのプロトディオシンが高濃度に含まれている可能性があり、同時期のグリーンアスパラガスと区別される成分上の特徴があることが分かった。
(1)材料及び方法
年間200ha程度のアスパラガスの改植株を利用して、露地長期どり栽培の4年株及び7年株を一定の間隔で1年間抜根し、暗所に伏せ込んで、ホワイトアスパラガスの収量を検討した。
すなわち、それぞれ2カ月おきに抜根し、横坑に伏せ込み、覆土をしない生食用ホワイトアスパラガスを生産した。また、6月抜根、8月抜根については萌芽以降抜根まではグリーンアスパラガスとして露地長期どり栽培で生産した。更に、対照として、立茎をせずに萌芽以降連続して収穫した区(連続収穫区)、露地長期どり栽培の10月抜根区及び12月抜根区を設けた。調査は収量(総収量及び長野県規格25cm長の調整収量)、本数、品質等について慣行により行った。試験区は1区3株3区制、及び1区50株1区制とした。
(2)結果
ホワイトアスパラガスの収量は、いずれも4月抜根が最も多く、抜根が遅くなるにつれて減収した。一方、グリーンアスパラガスの収量は、抜根が遅くなるにつれて増収した。4年株の4月抜根及び8月抜根の収量をみると、ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスの合計収量が同程度であり、グリーンアスパラガスを収穫した分だけホワイトアスパラガスの収量が少なくなったと思われる。また、7年株の8月抜根区のホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスの合計収量は、連続収穫区、10月抜根区、12月抜根区のグリーンアスパラガスの収量と同程度であった。4年株、7年株とも立茎前後の6月抜根では収量が少なく、この時期の抜根はホワイトアスパラガス生産にとってもグリーンアスパラガス生産にとってもメリットが少ないと考える。
ホワイトアスパラガスのBrixは4月抜根で最も高く、グリーンアスパラガスに比べてBrixは年間を通じて高かった。ホワイトアスパラガスは最初に太い(1茎重が重い)ものが萌芽し、2週間程度で1茎重は半分程度になり、その後漸減した。若茎は4月抜根が最も太く、6月抜根、8月抜根では最初の萌芽でも1茎重で4月抜根の半分程度の重さ、すなわち4月抜根の2週間後程度の太さであった。以上から、ホワイトアスパラガスを生産する場合、特に改植株を利用する場合には、転流が終了し、貯蔵根に養分が蓄えられた秋から春にかけて抜根するか、その時期に抜根できなければ翌秋回しにするのが良いことが分かった。
以上詳述したように、本発明は、ホワイトアスパラガスの周年安定生産方法に係るものであり、本発明により、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株を利用した新規ホワイトアスパラガスの生産方法を提供することができる。施設を利用することで、従来法のような多量の覆土をしないでホワイトアスパラガスを栽培することができる。露地物と比べて、糖度が高く、外皮が軟らかく、そのまま生食可能で、栄養価の高い、高品質の生食用ホワイトアスパラガスが得られる。周年、均一、かつ高品質のホワイトアスパラガスを市場に供給できる。コンテナ栽培とすることにより、連作障害の問題がない。上記株を所定のローテーションで配置することにより、計画生産が可能である。従来法に比べて栽培の作業効率の向上及び収穫時の重労働を軽減することができる。露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び廃株を有効利用できるので、グリーンアスパラガスの連作障害の解決及びその再利用を促進できる。グリーンアスパラガスの生産とホワイトアスパラガスの生産をリンクさせることで新しい農産物の生産及び出荷システムを構築することができる。露地栽培のホワイトアスパラガスに比べて、年間を通じて類似した品質の生食用ホワイトアスパラガスを生産し、提供できる。
萌芽状況に周期があることを示す実験結果である。 複数の株を組み合わせて一定のローテーション(時間間隔)で設置したときの萌芽パターンを示す。 複数の株を組み合わせて他の時間間隔で設置したときの萌芽パターンを示す。

Claims (9)

  1. ホワイトアスパラガスに代表される軟白野菜類を周年安定して生産する方法であって、(1)軟白野菜類の株を所定の箱体容器に収容する、
    (2)上記株を、所定の温度及び暗闇条件の栽培施設内に伏せ込み、軟白野菜類を萌芽させる、
    (3)上記株を伏せ込む時期を調節することにより、栽培施設における萌芽状況を制御する、
    (4)上記(1)〜(3)により、周年安定した軟白野菜類の萌芽を実現する、
    ことを特徴とする軟白野菜類の生産方法。
  2. 軟白野菜類が、ホワイトアスパラガスであり、アスパラガスの養成株及び/又は廃株を、所定の箱体容器に収容する請求項1に記載の生産方法。
  3. 栽培施設が、所定の温度及び暗闇条件を有する施設である請求項1又は2に記載の生産方法。
  4. 箱体容器として、一定の容積を有する複数のコンテナを使用する請求項1又は2に記載の生産方法。
  5. 養成株及び/又は廃株の表面を、キノコ栽培廃棄物又は該廃棄物を含む土で覆い、株からの萌芽に重量を掛ける請求項2に記載の生産方法。
  6. 温度16℃前後及び湿度90%前後の気相中でホワイトアスパラガスを萌芽させる請求項2に記載の生産方法。
  7. 異なる萌芽周期を有する複数の株を所定のローテーションで組み合わせて伏せ込むことにより、所定の周期で連続的にホワイトアスパラガスを萌芽させる請求項2に記載の生産方法。
  8. アスパラガスの養成株及び/又は廃株が、露地栽培のグリーンアスパラガスの養成株及び/又は廃株である請求項2に記載の生産方法。
  9. 請求項2から8のいずれかに記載の生産方法で萌芽させたホワイトアスパラガスを所定の萌芽周期に合わせて収穫し、出荷することを特徴とするホワイトアスパラガスの収穫・出荷方法。

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