JP2004201749A - 光音響信号検出ヘッドとこれを備えた検出装置 - Google Patents

光音響信号検出ヘッドとこれを備えた検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】組織内部の光吸収体を高感度かつ高分解能に、しかも、短時間の内に検出する。
【解決手段】光源から導かれた光を試料内部に向けて射出する光射出部9と、該光射出部9の周囲に配置され、試料内部の光吸収体から発せられた音響信号を検出する3以上の音響検出器10とを備え、一の音響検出器10に隣接する2つの音響検出器10が、相互に交差する方向に隣接するように、相互に間隔をあけて配置されている光音響信号検出ヘッド2を提供する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、生体内部の吸収体の分布を計測する光音響信号検出ヘッドおよびこれを備えた検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内部の吸収体の分布を計測する方法として、光音響トモグラフィーが知られている。この光音響トモグラフィーは、光を測定対象に入射させ、測定対象における光吸収によって発生した応力波を計測することにより組織の光吸収情報に関連した断層画像を得る手法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この光音響トモグラフィーにおいては、一過性の応力波を発生させるために、音波の速度に対して光パルスが短いことが必要であり、短パルスのレーザ光が用いられる。組織内で散乱により拡散された光は、組織内の吸収体により吸収され、圧力波を発生する。発生した圧力波は、組織表面に配置した音響トランスデューサにより検出される。検出されるのは、圧力波の時間、振幅および波形である。圧力波の時間は検出からの距離、振幅は吸収量にそれぞれ対応しているので、これにより、奥行き方向の吸収量の分布が測定される。
【0004】
検出器で組織表面を走査し、測定を繰り返すことにより、組織の断層画像が得られる。画像のコントラストは照射した光の波長に対する吸収係数に関連したものとなる。高い分解能を持った断層画像を得るためには、高い指向性を有する検出器を用いる必要がある。音響トランスデューサは音波の入射角に対し敏感な応答特性を示すため、そのまま用いてもある程度の横分解能を得ることができる。
【0005】
数10μmレベルのより高い分解能を得ることを目的として、リング型の圧電素子を用いたシステムが開発されている(例えば、非特許文献1参照。)。このリング型の検出器は、音波の干渉を利用することにより検出器の指向性を高めたものである。すなわち、リングの中央軸から発生した信号は、振幅の山がリング全体に同時刻に到達するので強い信号として検出することができるが、中心軸から外れた位置において発生した信号は、打ち消すように干渉することもあり、弱い信号として検出されるという性質を利用したものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−219105号公報
【非特許文献1】
ロイ・ジー・エム・コルクマン(Roy G.M. Kolkman)他3名著,「フォトアコースティック モニタリング アンド イメージング オブ ブラッド ベッセルイン ティシュー(Photoacoustic Monitoring and Imaging of Blood Vesselsin Tissue)」,プロシーディングズ オブ エスピーアイイー(Proceedings ofSPIE),2002年,4618巻,p.76−80
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光音響トモグラフィーは、光学同調断層撮影(OCT:Optical Coherence Tomography)や共焦点顕微鏡などとは異なり、音波を検出することで光の散乱の影響を受けずに生体深部の情報を得ることを特徴とした方法である。このため、生体深部で発生した音波がもつ情報を高い分解能で検出するためには、検出器側に音波の指向性をもたせることが必要である。一方、リング型の検出器は、音響信号が干渉する性質を用いることで高い指向性をもたせているが、以下のような欠点を有する。
【0008】
第1に、光音響信号の検出器としては、PVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)等の圧電素子が用いられることが多く、圧電素子は数10MHzの高周波においても感度を有しているために、光音響信号の検出に適したトランスデューサである。しかしながら、角度をなして入射する成分に対する感度は大幅に低下する性質がある。中央に孔が空いていない通常のトランスデューサでは、検出器にごく近い部分からの信号を検出する場合にも問題はない。しかし、リング型の検出器では、リング中央の検出器に近い部分からの信号は、リングに対して角度をなして入射してしまうために、感度が極端に低下する。このため、組織にごく近い部分からの信号の計測は困難である。
【0009】
第2に、測定する対象によって必要とされる深さ情報の範囲や信号波形の特性が異なる。リング型の検出器を用いてその信号を高感度かつ高分解能に検出するためには、リングの半径が異なる検出器を用いる必要がある。そのために、測定対象が異なる場合、もしくは、測定したい場所が異なる場合には、その測定対象や測定場所に適したリング半径を有する検出器を用いなければならないという不都合がある。
【0010】
第3に、光音響トモグラフィーは、生体内部における患部等を色素等によって着色して検出する等、吸収体の場所を探し出して画像化する技術に適用できる。リング型検出器を用いた光音響トモグラフィーは、生体深部に存在する吸収体の位置を高い分解能で探し出すことができる優れた方法である。しかしながら、検出器を固定した状態では、一次元的な情報しか得られないために吸収体の位置を把握することが困難である。このために、検出器を組織表面上において闇雲に走査させる必要があり、位置を探し出すのに時間がかかるという問題がある。
【0011】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、組織内部の光吸収体を高感度かつ高分解能に、しかも、短時間の内に検出することができる光音響信号検出ヘッドとこれを備えた検出装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、光源から導かれた光を試料内部に向けて射出する光射出部と、該光射出部の周囲に配置され、試料内部で発生した音響信号を検出する3つ以上の音響検出器とを備え、1つの音響検出器に隣接する2つの音響検出器が、相互に交差する方向に隣接するように、相互に間隔をあけて配置されている光音響信号検出ヘッドを提供する。
【0013】
この発明によれば、光源から導かれた光が光射出部から試料内部に向けて放射されると、その光が試料内部の光吸収体によって吸収され、該光吸収体から音響信号として発せられる。試料内部を伝達されてきた音響信号は、試料表面に配置されている音響検出器により検出される。音響検出器は、光射出部の周囲に3つ以上配置されているので、各音響検出器において検出した音響信号を合成することにより、リング型の音響検出器と同等に高い指向性を有する検出を行うことが可能となる。
【0014】
この場合において、各音響検出器には、個別の音響信号が検出されるので、個々の音響信号の計測時間の差を演算することにより、光音響検出ヘッドを固定したままで、信号源である試料内部の光吸収体の方向を特定することが可能となる。その結果、光吸収体からの音響信号の測定に最も適した位置に光音響検出ヘッドを迅速に配置することが可能となり、高感度かつ高分解能の検出を迅速に行うことができる。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記音響検出器が、1点を中心とした円周上に周方向に間隔をあけて配置されている光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、複数の音響検出器が配置された円の中心位置の試料内部に配されている光吸収体をリング型の光検出器と同様に、高感度かつ高分解能に検出することが可能となる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記周方向に交差する方向に前記音響検出器を移動させる移動機構を備える光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、移動機構の作動により、各音響検出器を周方向に交差する方向に移動させることによって、試料内部に配されている光吸収体の深さ方向の検出範囲を変化させることが可能となる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記音響検出器が、前記中心の位置を変化させることなく円の半径を増減させるように移動させられる光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、移動機構の作動により、複数の音響検出器を移動させてもそれらの配置される円の中心位置が変化しないので、光音響信号検出ヘッドを試料表面に固定したままで移動機構を作動させることにより、深さ方向の検出範囲を変動させて、感度を調整することが可能となる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記音響検出器が、1点を中心とした複数の同心円周上にそれぞれ周方向に間隔をあけて3以上配置されている光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、各円周上の3以上の音響検出器を作動させることにより、リング型の音響検出器と同等の高感度および高分解能の測定が可能である。また、音響検出器からの信号をそれらが配列されている円毎に合成することにより、実質的に各音響検出器を円周方向に交差する方向に移動させたのと同様に、深さ方向の検出範囲を変化させることが可能となる。すなわち、内側の円上に配されている音響検出器からの信号のみを合成することにより、比較的浅い位置に配されている光吸収体を感度よく検出することができ、信号を合成する音響検出器が配されている円を外側に切り換えて行くに従って、高感度に検出できる検出範囲を深い方向に変更していくことが可能となる。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記円の接線方向に配される軸線回りに前記音響検出器を揺動させる揺動機構を備える光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、揺動機構を作動させることにより、音響検出器を、該音響検出器が配列されている円の接線方向に配される軸線回りに揺動させることが可能となる。音響検出器が、圧電素子のように垂直に入射される音響信号に対して高い感度を有するものである場合に、音響検出器を揺動させて、光吸収体の方向に向け、高感度の検出を行うことができる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1に記載の光音響信号検出ヘッドにおいて、前記音響検出器が、間隔をあけた複数点を中心とした複数の円周上にそれぞれ周方向に間隔をあけて3以上配置されている光音響信号検出ヘッドを提供する。
この発明によれば、各円周上の3以上の音響検出器を作動させることにより、リング型の音響検出器と同等の高感度および高分解能の測定が可能である。また、音響検出器を作動させる円を切り換えることにより、実質的に、単一のリング型の音響検出器を、円の配列方向に移動させたのと同様に機能させ、ヘッドを固定したままで、試料表面を順次走査させることが可能となる。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の光音響信号検出ヘッドと、該光音響信号検出ヘッドの前記光射出部に光を供給する光源と、各音響検出器から出力された音響信号の比較結果に基づいて、試料内部の光吸収体の位置を特定する位置特定手段と、複数の音響検出器から出力された音響信号を合成して得られた検出結果を表示する表示部とを備える音響信号検出装置を提供する。
【0022】
この発明によれば、光音響信号検出ヘッドを作動させることにより、光源から発せられた光を試料内部に向けて照射して、各音響検出器において音響信号を検出する。この状態で位置特定手段を作動させることにより、各音響検出器から出力された音響信号が比較され、その比較結果に基づいて、試料内部の光吸収体の位置が特定される。そして、特定された光吸収体の位置に基づいて、該光吸収体を検出するのに適した位置に音響検出器を配置するとともに、その位置において複数の音響検出器により検出された音響信号を合成することにより、高感度かつ高分解能の検出結果を表示部に表示させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態に係る光音響信号検出ヘッドおよび光音響信号検出装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置1は、図1に示されるように、光音響信号検出ヘッド(以下、検出ヘッドという。)2と、該検出ヘッド2に光を供給する光源3と、検出ヘッド2により検出された音響信号を処理する信号処理部4と、該信号処理部4において処理された検出結果を表示するディスプレイ5と、検出結果を記録する記録部6とを備えている。
【0024】
検出ヘッド2は、図2に示されるように、検査を行う者が把持するグリップ部7を備えるとともに、試料A表面に接触させられるグリップ部7の先端面8に、試料A内部に向けて光を照射する光射出部9と、試料A内の光吸収体Bから発せられた音響信号を検出する音響検出器10とを備えている。
【0025】
前記光射出部9は、グリップ部7内を通過してきた光ファイバ11の端面により構成されている。該光射出部9は、グリップ部7の略円形の先端面8の略中央部に配置されており、グリップ部7の先端面8が試料A表面に接触状態に配置されることにより、試料A表面に直接、あるいは、超音波ゼリー等を介して間接的に密着させられるようになっている。光ファイバ11は、例えば、コア径が100μm以上のマルチモードファイバである。
【0026】
前記音響検出器10は、例えば、PVdF圧電素子であって、前記光ファイバ11の端面を中心とした円周C上に複数、図2に示す例では、4個、周方向に等間隔をあけて配置されている。各音響検出器10は、相互に交差する方向に隣接するように配置されている。すなわち、これらの音響検出器10は、2次元的に配置されている。したがって、例えば、図2に示す例では、第1の音響検出器10−1と第2の音響検出器10−2とを結ぶ線と、第2の音響検出器10−2と第3の音響検出器10−3とを結ぶ線は交差するようになっている。あるいは、第1の音響検出器10−1と光射出部9とを結ぶ線と、第4の音響検出器10−4と光射出部9とを結ぶ線は交差するようになっている。
【0027】
各音響検出器10は、直径約200μm、厚さ約9μmの円板状に形成されている。各音響検出器10の検出面は、試料A表面に接触させられるグリップ部7の先端面8と同一平面内に配置されている。また、各音響検出器10には、音響信号を検出することにより得られた電気信号を伝達する配線12が接続されている。
【0028】
前記光源3は、例えば、Qスイッチ型Nd:YAGレーザであって、第2高調波が532nmのものである。光源3は、前記光ファイバ11の他端に接続され、該光ファイバ11を介して光射出部9からレーザ光Lを照射することができるようになっている。
【0029】
前記信号処理部4は、例えばコンピュータにより構成されている。信号処理部4には、前記音響検出器10から引き出された配線12が接続されている。各音響検出器10からの電気信号は、図示しないプリアンプで増幅された後に、各配線12を介して個別に信号処理部4に送られるようになっている。
信号処理部4は、比較部13と判断部14と合成部15と画像処理部16とを備えている。また、信号処理部4には記録部6が接続され、検出結果を記録できるようになっている。
【0030】
前記比較部13は、各音響検出器10からの信号の大きさを比較、あるいは差を演算するようになっている。前記判断部14は、比較部13における演算結果に基づいて、検出すべき光吸収体Bがいずれの音響検出器10に近いかを判断するようになっている。
前記合成部15は、各音響検出器10からの出力信号を合成するようになっている。前記記録部6は、合成部15からの出力信号を、検出ヘッド2の位置情報と対応付けて記憶することができるようになっている。
【0031】
前記画像処理部16は、合成部15あるいは記録部6から出力された信号を画像化してディスプレイ5に出力するように構成されている。また、画像処理部16は、前記比較部14により演算された各音響検出器10からの出力信号の比較結果に基づいて、感度の高い検出を行うための検出ヘッド2の移動方向を指示する表示をディスプレイ5に出力するようになっている。
【0032】
このように構成された本実施形態に係る光音響信号検出装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置1を用いて、試料A内部の光吸収体Bを検出するには、作業者が、検出ヘッド2のグリップ部7を把持して、光射出部9と音響検出器10とが配置されている先端面8を試料Aの表面に密着させる。試料Aの表面には、必要に応じて超音波ゼリー等を塗布する。
【0033】
この状態で、光源3からレーザ光Lを供給するとともに、信号処理部4およびディスプレイ5を作動させる。光源3からレーザ光Lが発せられると、レーザ光Lは光ファイバ11を通して光射出部9に至り、該光射出部8から試料A内部に向けて発せられる。試料A内部に血管瘤等の光吸収体Bが存在する場合には、該光吸収体Bによってレーザ光Lが吸収されることにより、光吸収体Lから音響信号が発せられ、試料A表面に配置されている音響検出器10により検出されることになる。
【0034】
音響検出器10により検出された音響信号は、電気信号に変換されて、合成部15において合成される。合成された電気信号は、各音響検出器10により得られた信号が干渉した信号である。したがって、合成部15から出力される電気信号を画像処理部16において画像化し、ディスプレイ5で見ることにより、音響検出器10が配置されている円Cの中心軸S上における試料A内部の所定深さ範囲に配される光吸収体Bを高い感度で検出することができる。また、合成された電気信号を、検出ヘッド2の位置と関連付けて記録部に複数記録しておくことにより、検出作業終了後に、各位置の検出結果を比較して見ることができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係る光音響信号検出装置1によれば、各音響検出器10において検出された音響信号が、比較部13に送られ、比較演算される。例えば、対角位置や隣接位置に配されている2つの音響検出器10からの電気信号の大きさを比較することにより、その比較結果に基づいて判断部14において、いずれの音響検出器10が光吸収体Bに近いかが判断される。また、全ての音響検出器10からの電気信号の大きさを比較することにより、どの音響検出器10が光吸収体Bに近いのかについて判断することが可能となる。
【0036】
そして、判断部14から画像処理部16に対して、どちらの方向に検出ヘッド2を移動させれば、光吸収体Bを高い感度で検出することができるのかについての指示を示す信号を送ることにより、ディスプレイ5上にその指示を表示することができる。
【0037】
その結果、検査作業者は、ディスプレイ5上に表示される試料A内部の状態を画像により確認するとともに、判断部14から供給される検出ヘッド2の移動方向指示に従って、検出ヘッド2を移動させることにより、より高い感度で試料A内部の状態を検出することができる。
【0038】
このように、本実施形態に係る光音響信号検出装置1によれば、同一円周上に間隔をあけて複数配置された音響検出器10により検出された音響信号を合成して表示あるいは記録するので、リング型の音響検出器と同様に、高い感度で分解能の高い検出を行うことができるという効果がある。さらに、各音響検出器10において個別に検出された音響信号を比較するので、光吸収体Bの配されている方向を特定することが可能となる。その結果、高感度かつ高分解能に検出を行うことができる検出ヘッド2の位置を、無闇な走査を行うことなく迅速に見いだして、検出作業の効率を向上することができるという効果を奏する。
【0039】
なお、上記実施形態においては、グリップ部7の先端面8に配置される音響検出器10の数を4個として説明したがこれに限定されるものではなく、3個以上の任意の数の音響検出器10を採用することができる。また、4個の音響検出器10を、光射出部9を中心とした同一円周上に配置したが、これに限定されるものではなく、1つの音響検出器10に隣接する他の2つの音響検出器10が相互に交差する方向に隣接するように配置されていればよい。すなわち、同一直線上に全ての音響検出器10が配されないようにすればよい。
【0040】
また、作業者が検出ヘッド2を把持して移動させることにより、試料A表面を走査させる例を説明したが、検出ヘッド2を任意の移動機構(図示略)に取り付けて、自動的に走査させることにしてもよい。
また、複数の音響検出器10が配置された円Cの中心に、単一の光射出部9を配置したが、これに代えて、円C内に複数の光射出部9を配置したり、円C外に他の光射出部9を配置したりしてもよい。
【0041】
次に、この発明の第2の実施形態に係る光音響信号検出装置について、図3を参照して説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置は、検出ヘッド20において第1の実施形態に係る光音響信号検出装置1と相違している。なお、第1の実施形態と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態においては、検出ヘッド20は、その先端面に、光射出部9と、該光射出部9を中心とする円Cの円周上に周方向に間隔をあけて配される3個の音響検出器10と、これら音響検出器10を移動させる移動機構21とを備えている。
【0042】
前記移動機構21は、例えば、図3に示されるように、検出ヘッド20の先端面を構成する円板状のベース22の中心から放射状に延びる3本の直線溝23と、これらの直線溝23に沿って各音響検出器10を移動自在に取り付けるスライダ24と、これらのスライダ24を直線溝23に沿って移動させる駆動機構とから構成されている。駆動機構は、ベース22の中心にあけられた光ファイバを貫通させる貫通孔25の周囲に回転自在に支持された第1のギヤ26と、該第1のギヤ26に噛み合う駆動ギヤ27を備えたモータ28と、3組のスライダクランク機構29とから構成されている。各スライダクランク機構29は、前記第1のギヤ26の周囲のベース22に固定されたピン30回りに回転自在に取り付けられ、第1のギヤ26に噛み合う3つの第2のギヤ31と、該第2のギヤ31に固定された第1のアーム32と、該第1のアーム32の揺動端に設けられたピン33と前記スライダ24に固定されたピン34との間を接続する第2のアーム35とを備えている。
【0043】
3個の音響検出器10は、ベース22中央の光射出部9を中心とした円周C上に、等間隔をあけて配置されている。これら音響検出器10を駆動させる3個のスライダクランク機構29は、上述したように、ベース22中央の第1のギヤ26にそれぞれ噛み合っているので、第1のギヤ26の駆動により同期して駆動させられるようになっている。その結果、これらの音響検出器10は、直線溝23に沿ういずれの位置に配置されても、ベース22中央の光射出部9を中心とした円周C上に配置されるようになっている。
【0044】
このように構成された本実施形態に係る光音響信号検出装置の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置によれば、各音響検出器10を直線溝23の所定の位置、例えば、光射出部9に対して最も外側の位置に配置して、光源3および音響検出器10を作動させることにより、試料A内部の光吸収体Bから発せられる音響信号を検出する。この場合に、各音響検出器10において得られた音響信号を合成することにより、大きな半径寸法のリング型音響検出器と同様の高感度かつ高分解能の検出を行うことが可能となる。
【0045】
また、各音響検出器10において得られた音響信号を比較することにより、光吸収体Bの存在する方向を判断することができる。したがって、検出すべき光吸収体Bを迅速に探し出すことが可能となり検出の効率を向上することができる。
【0046】
この場合において、音響検出器10どうしが最も離れて配置されているので、これらの音響検出器10により得られる合成信号は、試料内部の比較的深い領域に配される光吸収体Bに対して感度が高い。しかしながら、比較的浅い領域に配される光吸収体Bに対しては感度が低い。
【0047】
そこで、移動機構21を作動させ、音響検出器10を直線溝23に沿って半径方向内方に移動させる。具体的には、モータ28を作動させることにより、3組のスライダクランク機構29を作動させる。すなわち、モータ28から駆動ギヤ27、第1のギヤ26および第2のギヤ31、2本のアーム32,35を介してスライダ24に駆動力が伝達され、3個のスライダ24およびこれらに取り付けられた音響検出器10が、それぞれ直線溝23に沿って放射方向内方に移動させられる。
【0048】
これにより、3個の音響検出器10が配列されている円の半径寸法が縮小されるので、比較的小さい半径寸法のリング型音響検出器と同等に機能し、試料A内部の比較的浅い領域において高感度かつ高分解能の検出を行うことができる。この場合に、音響検出器10が直線溝23のいずれの位置に配置されていても、それら音響検出器10が配列されている円Cの中心位置は変動しないので、干渉を利用した検出ヘッド20全体としての指向性の高さは担保されている。
したがって、移動機構21を作動させて音響検出器10の位置を移動させることにより、試料A内部の比較的深い位置から比較的浅い位置までの広い領域にわたって、高い感度で検出を行うことができる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、音響検出器10を3個としたが、これに限定されるものではない。また、音響検出器10を移動させる移動機構21として、スライダクランク機構29を有する構造を採用したが、これに限定されるものではなく、他の任意の駆動機構を採用できる。
【0050】
次に、この発明の第3の実施形態に係る光音響信号検出装置について、図4を参照して以下に説明する。なお、既に説明した構成と同一の構成については共通の符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置は、光射出部9を中心とした2つの同心円C,C、上に周方向に間隔をあけて4個ずつ、合計8個の音響検出器10を配列したものである。各音響検出器10には、該音響検出器10から、音響信号に対応する電気信号を個別に取り出すことができるように配線12が接続されている。
【0051】
また、信号処理部4の合成部15は、内側の円C上に配置されている4個の音響検出器10からの出力信号と、外側の円C上に配置されている4個の音響検出器10からの出力信号とを別々に合成することができるように構成されている。他の構成については第1の実施形態に係る光音響信号検出装置1と同様である。
【0052】
このように構成された本実施形態に係る光音響信号検出装置の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置によれば、各音響検出器10からの出力信号を比較することにより、光吸収体Bの存在する方向を迅速に検出できる点は、上記第1および第2の実施形態に係る光音響信号検出装置と同様である。
【0053】
本実施形態に係る光音響信号検出装置においては、まず、外側の円C上に配置されている4個の音響検出器10からの出力信号を合成する。これにより、試料A内部の比較的深い位置に配されている光吸収体Bを高感度に検出することができる。次に、内側の円C上に配置されている4個の音響検出器10からの出力信号を合成する。これにより、試料内部の比較的浅い位置に配置されている光吸収体を高感度に検出することができる。したがって、段階的にではあるが、試料A内部の深さ方向に広い範囲にわたって光吸収体Bの高感度の検出を行うことができる。
【0054】
本実施形態によれば、第2の実施形態におけるような複雑な移動機構21を設ける必要がなく、低コストに製造できる。また、可動部がないので、故障も少なく、耐久的な使用が可能である。
【0055】
なお、本実施形態に係る光音響信号検出装置においては、2重の同心円C,C上に音響検出器10を配置したが、3重以上の同心円上に配置してもよい。このようにすることで、試料A内部の深さ方向の広範囲にわたる検出を行うことが可能となる。
また、各円C,C上に4個の音響検出器10を配置したが、これに代えて、3個または5個以上の音響検出器10を配置してもよい。
【0056】
次に、この発明の第4の実施形態に係る光音響信号検出装置について、図5および図6を参照して説明する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置は、移動機構40において第2の実施形態に係る光音響信号検出装置と相違している。なお、既に述べた構成と同一の構成には共通の符号を付して説明を簡略化する。
【0057】
本実施形態に係る光音響信号検出装置の移動機構40は、図5および図6に示されるように、グリップ部の先端面8を構成する円板状のベース41の中心孔42に、該中心孔42の接線方向に沿って配される軸心43回りに揺動可能に取り付けられ、それぞれ音響検出器10を保持する3枚の保持プレート44と、該保持プレート44をベース41に対して引き上げる方向に付勢するバネ45と、保持プレート44の先端を図示しない駆動源によって押し下げる方向に押圧する押圧部材46とを備えている。押圧部材46の中央には、光ファイバ11を貫通させる貫通孔が設けられている。なお、図5,図6は原理説明図であり、実際には、上記機能を達成するように、適宜構成要素が選択される。
【0058】
3枚の保持プレート44は周方向に等間隔をあけて配置されており、これら3枚の保持プレート44にそれぞれ取り付けられている3個の音響検出器10も、光射出部9を中心とした円周上に等間隔をあけて配置されている。
【0059】
このように構成された本実施形態に係る光音響信号検出装置によれば、検出ヘッドの先端面8を鉛直下方に向けた状態、すなわち、下側に配される試料Aの上面に密着させた状態で、押圧部材46を光ファイバ11の先端方向に向けて移動させることにより、該押圧部材46に当接している保持プレート44の先端が押し下げられる。その結果、保持プレート44とその下面に取り付けられている音響検出器10の角度が水平に近づいていく。
【0060】
各音響検出器10は、その表面が正対している方向、すなわち、各音響検出器10の中心線10aを中心とした所定領域からの音響信号に対して感度が高い。したがって、各音響検出器10は、その角度が水平に近づくにつれて、その感度の高い検出領域を下向きに変えていく。一方、周方向に等間隔をあけて配置されている3個の音響検出器10からの出力信号を合成部15において合成する合成信号を用いる場合には、各音響検出器10の中心線10aが交差する地点を中心とした所定領域Pからの音響信号に対して感度が高い。したがって、本実施形態の光音響信号検出装置によれば、光ファイバ11の中心軸S上に配される試料A内部の所定深さの領域Pからの音響信号を高い感度で検出できる。そして、全ての音響検出器10の角度が水平方向に近づくにつれて、感度の高い検出領域Pは、光ファイバ11の中心軸Sに沿って試料A内部の深い領域へと移動していくことになる。
【0061】
例えば、最初に押圧部材46を押圧して、保持プレート44を押し下げておくことにより、試料A内部の深い領域における光吸収体Bを高い感度で検出した後に、押圧部材46への押圧力を低減することによってバネ45によって保持プレート44を引き上げる。これにより、徐々に浅い領域における光吸収体Bの検出を高い感度で行うことが可能となり、深さ方向の広い範囲にわたって光吸収体Bを検出することができる。
【0062】
次に、この発明の第5の実施形態に係る光音響信号検出装置について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態の検出ヘッドを先端面側から見た図である。この実施形態において、既に述べた構成と同一の構成には共通の符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態に係る光音響信号検出装置は、図7に示されるように、一方向に間隔をあけて一列に配置された複数、例えば、30個の光射出部9と、これら光射出部9を中心とした円周上に間隔をあけて配置された複数、例えば、6個の音響検出器10とを備えている。隣接する2つの光射出部9の周囲に配置された各6個の音響検出器10の内2個の音響検出器10は、共用されるようになっている。他の点については、第1の実施形態に係る光音響信号検出装置と同等である。
【0063】
このように構成された本実施形態に係る光音響信号検出装置によれば、検出ヘッドを試料A表面に密着させた状態で各光射出部9からレーザ光Lを試料A内部に向けて照射し、各音響検出器10により個別に音響信号を検出する。この場合において、信号処理部4の合成部15においては、まず、第1の光射出部9を中心とした円C上に配置された6個の音響検出器10からの出力信号を合成して出力し、次いで、第2の光射出部9を中心とした円C上に配列された6個の音響検出器10からの出力信号を合成して出力し、以下同様にして順次合成出力する。
【0064】
その結果、本実施形態に係る光音響信号検出装置によれば、検出ヘッドを試料A表面において、光射出部9の配列方向に移動させることなく、光射出部9の配列方向に交差する方向のみに移動させるだけで、第1の実施形態に係る検出ヘッド2を試料A表面上を2次元的に走査したのと同じ効果を得ることができ、検出効率を向上することができる。
【0065】
なお、本実施形態に係る光音響信号検出装置においては、光射出部9を一方向に一列に配列したが、これに代えて、2次元的に配列することにしてもよい。このようにすることで、検出ヘッドを全く移動させることなく、試料A表面の2次元的な走査を行うことができる。また、この場合には、光射出部9の周囲に、半径の異なる複数の同心円上にそれぞれ複数の音響検出器10が配されることにもなるので、第3の実施形態と同様に、合成する信号を選択するだけで、試料A内部の深さ方向に広い範囲にわたって高感度の検出を行うことが可能となる。
【0066】
また、隣接する光射出部9を中心とした2つの円周上に配置された一部の音響検出器10を共有することとして、音響検出器10の数を低減したが、これに代えて、共有させることなくそれぞれの光射出部9の周囲に配置することにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る光音響信号検出ヘッドとこれを備えた光音響信号検出装置によれば、一直線上に配置されない3以上の音響検出器を用いて、リング型の音響検出器と同等の高感度かつ高分解能の検出性能を達成することができるとともに、各音響検出器からの出力信号を個別に比較することにより、試料内部に存在している検出すべき光吸収体の存在方向を容易に特定することができる。その結果、光吸収体を迅速に探索して検出効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る光音響信号検出装置を示す概要図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る光音響信号検出ヘッドを示す斜視図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係る光音響信号検出ヘッドの先端面の構造を示す正面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態に係る光音響信号検出ヘッドの先端面の構造を示す正面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態に係る光音響信号検出ヘッドの先端面の構造を示す正面図である。
【図6】図5の光音響信号検出ヘッドの先端面の部分を示す縦断面図である。
【図7】この発明の第5の実施形態に係る光音響信号検出ヘッドの先端面の構造を示す正面図である。
【符号の説明】
A 試料
B 光吸収体
C,C,C,C,C,C
L レーザ光(光)
1 光音響信号検出装置
2 検出ヘッド(光音響信号検出ヘッド)
3 光源
5 ディスプレイ(表示部)
9 光射出部
10 音響検出器
14 判断部(位置特定手段)
21 移動機構
43 軸線
44 保持プレート(揺動機構)
45 バネ(揺動機構)
46 押圧部材(揺動機構)

Claims (8)

  1. 光源から導かれた光を試料内部に向けて射出する光射出部と、該光射出部の周囲に配置され、試料内部で発生した音響信号を検出する3つ以上の音響検出器とを備え、
    1つの音響検出器に隣接する2つの音響検出器が、相互に交差する方向に隣接するように、相互に間隔をあけて配置されている光音響信号検出ヘッド。
  2. 前記音響検出器が、1点を中心とした円周上に周方向に間隔をあけて配置されている請求項1に記載の光音響信号検出ヘッド。
  3. 前記周方向に交差する方向に前記音響検出器を移動させる移動機構を備える請求項2に記載の光音響信号検出ヘッド。
  4. 前記音響検出器が、前記中心の位置を変化させることなく円の半径を増減させるように移動させられる請求項3に記載の光音響信号検出ヘッド。
  5. 前記音響検出器が、1点を中心とした複数の同心円周上にそれぞれ周方向に間隔をあけて3以上配置されている請求項1に記載の光音響信号検出ヘッド。
  6. 前記円の接線方向に配される軸線回りに前記音響検出器を揺動させる揺動機構を備える請求項1に記載の光音響信号検出ヘッド。
  7. 前記音響検出器が、間隔をあけた複数点を中心とした複数の円周上に周方向にそれぞれ間隔をあけて3以上配置されている請求項1に記載の光音響信号検出ヘッド。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の光音響信号検出ヘッドと、
    該光音響信号検出ヘッドの前記光射出部に光を供給する光源と、
    各音響検出器から出力された音響信号の比較結果に基づいて、試料内部の光吸収体の位置を特定する位置特定手段と、
    複数の音響検出器から出力された音響信号を合成して得られた検出結果を表示する表示部とを備える光音響信号検出装置。
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