JP2004202000A - ストリング - Google Patents

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Yoji Honda
洋二 本多
Akihiro Kozuka
晃弘 小塚
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Abstract

【課題】長期に亙りストリングの摩耗を抑制でき、しかも、良好な打球感が発現できるストリングを提供する。
【解決手段】芯糸2として直径1.05mmのナイロンモノフィラメントを1本使用し、外層糸4として直径0.1mmのナイロンモノフィラメント16本を前記芯糸2の周囲に螺旋状に巻回して、同時にナイロン系の接着剤を用いて固定し、直径1.25mmのストリング芯成分を得た。この芯成分に、微細炭素繊維6として、平均繊維径が200nm、平均繊維長さが10nm、アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)が50であり、熱伝導率が15℃の温度状態下で1500W/(m・K)の特性を示すカーボンナノファイバーを2重量%含有せしめた熱溶融ポリウレタンを用いて、常温でコーティング処理を行いストリングを得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テニス、バドミントン、スカッシュなどのラケットに用いられるストリング(ガットとも称される)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のストリングとしては、鯨筋や羊腸などの天然繊維から成るものが使用されていた。このような天然繊維から成るストリングは、優れた反発特性を有すると共に、ボール打撃時のフィーリング特性に優れる。しかし、量産性に乏しく、又、湿気の影響を受け易いため耐久性に劣るという不具合があった。
【0003】
近年では、このような天然繊維から成るストリングに替わり、耐水性、耐久性及び、量産性に優れた安価な合成樹脂製のストリングが一般に使用されるようになっている。このような合成樹脂製のストリングとしては、モノフィラメント単糸又は、芯糸となるモノフィラメントの周囲にそれを取り囲むように外層糸と称される細いモノフィラメントを巻き付け、表面コーティング樹脂により接着して成るモノフィラメントタイプと称されるストリングや、糸径が極めて細い単糸の集合体から成るマルチフィラメントの束を集束し、表面コーティング樹脂により接着して成るマルチフィラメントタイプと称されるストリングなどが一般に多く知られている。
【0004】
かかるストリングを構成しているフィラメントとしては、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などが使用されており、中でもとりわけ引張り強度、反発性、耐久性などの面で優れているポリアミド樹脂が一般に多く使用されている。又、前記表面コーティング樹脂としては、耐久性の面で優れるポリアミド樹脂や耐候性の面で優れるポリウレタン樹脂等が多く使用されている。
【0005】
ところで、ストリングはラケットの打球部に比較的大きな張力で張設されるものであるが、繰り返しボールを打撃すると、縦方向に張設されるストリング(縦ストリング)と横方向に張設されるストリング(横ストリング)との交差部分が、摩耗して折損するという問題がある。
そのため従来では、このようなストリングの摩耗を防止するための耐久性向上対策が種々講じられている。
【0006】
例えば、ストリングの表面に、シリコンオイルやワックス等の平滑性油脂を塗布することによってストリング表面の摺動性を高め、縦ストリングと横ストリングとの間に生じる摩擦抵抗を低減し、摩耗を防止するように改良されたストリングが一般に知られている。
【0007】
又、合成繊維モノフィラメントの単繊維からなる芯糸に複数本の合成繊維モノフィラメントを巻着して接着剤により一体的に固着してなるガットにおいて、前記接着剤中に適量の炭素粉末を含有させることにより、耐摩耗性を向上せしめるように改良されたガットが特許文献1に提案されている。
【0008】
又更に、ストリングの耐摩耗性を向上せしめるために、ストリングの表層を成す合成樹脂層にウィスカーを含有せしめる提案も種々知られる。
【0009】
例えば、合成樹脂モノフィラメントよりなるガット主体の外周を被覆する合成樹脂層に、繊維径が0.2〜0.5μmで、平均繊維長さが10〜20μmに設定されたチタン酸カリウムウィスカーを含有せしめる提案が特許文献2に開示されている。
【0010】
又、ポリアミド系合成繊維より成るマルチフィラメントタイプのラケット用ストリングにおいて、表面樹脂コーティング層にホウ酸アルミニウムウィスカーを含有せしめる提案が特許文献3に、更に、ナイロンモノフィラメントより成るモノフィラメントタイプのラケット用ストリングにおいて、表面樹脂コーティング層にホウ酸アルミニウムウィスカーを含有せしめる提案が特許文献4に開示され公知となっている。
【0011】
【特許文献1】
実公昭59−4680号公報
【特許文献2】
特公平2−56110号公報
【特許文献3】
特許第2921560号公報
【特許文献4】
特許第3025431号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように従来より知られるストリングにおいては、以下のような欠点を有するものであった。
【0013】
即ち、ストリングの表面に、シリコンオイルやワックス等の平滑性油脂を塗布するものにあっては、前記平滑性樹脂がストリングの表面から容易に除去するという問題があり、長期に亙ってストリングの摩耗を防止できるものではなかった。
【0014】
又、特許文献1に開示されるように、複数本の合成繊維モノフィラメントを固着する接着剤中に炭素粉末を含有せしめるように構成されたガットにあっては、前記炭素粉末が接着剤を補強するフィラーとしての役目を果たし、ガットの摩耗をある程度抑えることができるものの、前記炭素粉末を構成する炭素繊維自体の繊維径が、通常5μm〜10μm程度と大きいため、前記炭素粉末がガットの表面に露出するとガット表面の平滑性がなくなり、摺動性が悪くなる(摩擦抵抗が増す)という問題があり、ガットの摩耗を十分に抑制できるものではなかった。
【0015】
一方、特許文献2に開示されるように、ガット主体の外周を被覆する合成樹脂層に、チタン酸カリウムウィスカーを含有せしめるものにあっては、前記炭素粉末を用いる場合と異なり、前記チタン酸カリウムウィスカーの繊維径は極めて細く、又、その平均繊維長も短いため、ガット表面の摺動性を高める(摩擦抵抗を少なくする)ことができる。しかし、前記チタン酸カリウムウィスカーは熱伝導率が低く(5〜30℃(実施際にガットが使用に供される温度)の状態下で5.0〜6.0W/(m・K))、放熱性に劣るため、ガットの交差部分に発生する摩擦熱が放熱されず、該交差部分領域に集中的に蓄積され易い。その結果、前記摩擦熱の蓄積によって、前記チタン酸カリウムウィスカーを含む合成樹脂層が溶融し比較的簡単に摩耗してしまうという問題があり、長期に亙ってガットの摩耗を抑制することができない。
【0016】
又、前記チタン酸カリウムウィスカーが含有されることによってガット自体の熱伝導率が低下してしまうため、ボール打撃時に生じるガットの振動が熱エネルギーとして消費され難く、この結果、ガットの振動減衰性が劣ってしまい、良好な打球感が得られ難くなるという不具合もある。
【0017】
更に、特許文献3や特許文献4に開示されるように、ポリアミド系合成繊維より成るマルチフィラメントタイプのラケット用ストリング、或いは、ナイロンモノフィラメントより成るモノフィラメントタイプのラケット用ストリングにおいて、表面樹脂コーティング層にホウ酸アルミニウムウィスカーを含有せしめるように構成されるストリングにあっても、上記特許文献2と同様に、ストリング表面の摺動性を大幅に高める(摩擦抵抗を少なくする)ことができるものの、前記ホウ酸アルミニウムウィスカー自体の熱伝導率が低い(5〜30℃(実施際にストリングが使用に供される温度)の状態下で4.0〜6.0W/(m・K))ため、ストリングの交差部分に発生する摩擦熱が放熱され難く、前記ホウ酸アルミニウムウィスカーを含む表面樹脂コーティング層が前記摩擦熱の蓄積によって簡単に摩耗してしまうことが予測され、長期に亙ってガットの摩耗を抑制することが難しい。
【0018】
又、前記ホウ酸アルミニウムウィスカーが含有されることによってストリング自体の熱伝導率が低下するため、打球感が悪化するという不具合もある。
【0019】
そこで本発明は、このような従来の問題点に鑑み、長期に亙りストリングの摩耗を抑制でき、しかも、良好な打球感が発現できるストリングを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のような構成とした。
即ち、本発明の請求項1に係るストリングは、芯糸となる合成樹脂製モノフィラメント又は、合成樹脂製マルチフィラメントの周囲に、表面コーティング樹脂層が配置されて成るストリングにおいて、前記表面コーティング樹脂層に、炭素六角網面の結晶が円筒形に巻かれる単層構造或いは、多層構造を成し、その中心部に微細な中空部を有する結晶素材であって、熱伝導率が5〜30℃の温度状態下で1000〜3000W/(m・K)の範囲内にあり、且つその繊維径が10〜300nmの範囲内に設定される微細炭素繊維が混入されていることを特徴とするものである。
【0021】
又、請求項2は、前記請求項1に係るストリングであって、芯糸となる合成樹脂製モノフィラメント又は、合成樹脂製マルチフィラメントの周囲に、外層糸となる複数の合成樹脂製モノフィラメント或いは、合成樹脂製マルチフィラメントが接着剤層を介して固着配置され、且つその周囲に表面コーティング樹脂層が配置されて成るストリングにおいて、前記表面コーティング樹脂層及び/又は、前記接着剤層に前記微細炭素繊維が混入されていることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施例のストリングの構成説明図、図2は、図1のA−A線端面説明図を示す。
【0023】
即ち、本実施例のストリング1は、合成樹脂製モノフィラメントから成る芯糸2と、該芯糸2の周囲に接着剤層3を介して螺旋状に巻回固着される複数本の合成樹脂製モノフィラメントから成る外層糸4と、該外層糸4の周囲を覆う表面コーティング樹脂層5とから構成されるモノフィラメントタイプのストリングであって、該ストリング1の表層を成す前記表面コーティング樹脂層5に、微細炭素繊維6が混入されて成る構成を有する。
【0024】
前記微細炭素繊維6は、例えば、気相成長法、アーク放電法、レーザーアブレージョン法、プラズマ合成法等の方法によって生成され、炭素六角網面の結晶が円筒形に巻かれる単層構造或いは、多層構造を成し、その中心部に微細な中空部を有する結晶素材であって、ナノメートルオーダーの繊維径を有する非常に微細な炭素繊維素材から成る。かかる微細炭素繊維6としては、カーボンナノファイバー或いは、カーボンナノチューブ等が使用される。
この種の微細炭素繊維6は、優れた摺動性を有し、ストリング1の表層を成す表面コーティング樹脂層5中に混入させた場合、ストリング1表面の摺動性を大幅に高める(摩擦抵抗を大幅に低減させる)ことができる。又、前記微細炭素繊維6は熱伝導率が他の公知素材と比較して極めて高く、ストリング1の交差部分で生じる摩擦熱を該交差部分以外の周辺部へ素早く分散させ放熱させることができる。これにより、前記摩擦熱による表面コーティング樹脂層5の摩耗を予防できる。又更に、ストリング自体の熱伝導率が高められるため、ボール打撃時に生じるストリング1の振動が熱エネルギーとして消費されるようになり、この結果、ストリング1の振動減衰性が高まり、良好な打球感を得ることが可能となる。
【0025】
前記微細炭素繊維6は、その繊維径が小さいもの程、優れた摺動性を発現し、且つ熱伝導率が高くなる傾向にある。本実施例では、ストリング1に適したものとして、その繊維径は、10〜300nmの範囲内、とりわけ20〜200nmの範囲内に設定し、平均繊維長が2〜30μm、とりわけ5〜20μmの範囲内にあるものが使用される。又、熱伝導率は、5〜30℃(実施際にストリング1が使用に供される温度)の状態下で1000〜3000W/(m・K)の範囲内、とりわけ1500〜2000W/(m・K)の範囲内にあるものが使用される。
【0026】
上記において、前記微細炭素繊維6の繊維径の上限値を300nmに設定したのは、前記繊維径がこれよりも大きくなると、ストリング表面に良好な摺動性を持たせることができなくなると共に、熱伝導率が低くなり放熱性が劣ってしまうからである。又、下限値を10nmに設定したのは、前記繊維径がこれよりも小さくなると、取扱いが難しくなり、表面コーティング樹脂層5中に斑なく均等に含有させることができず、ストリング1の品質にバラツキが生じる恐れがあるからである。
【0027】
又、前記平均繊維長の上限値を30μmに設定したのは、前記平均繊維長がこれよりも大きくなると、ストリング表面に良好な摺動性を持たせることができなくなると共に、表面コーティング樹脂層5中に均等に含有させることが難しくなるからであり、又、下限値を2μmに設定したのは、前記平均繊維長がこれよりも小さくなると、取扱いが難しくなるからである。
【0028】
前記熱伝導率の上限値を3000W/(m・K)に設定したのは、現在知り得る微細炭素繊維6において、前記繊維径の設定範囲の中で得ることのできる上限値がこの値であるからであり、又、下限値を1000W/(m・K)に設定したのは、熱伝導率がこれより小さくなると、摩擦熱が分散し難くなるため、ストリング1の摩耗を長期に亙って抑制することができなくなると共に、ストリング1の振動減衰性が劣ってしまい、良好な打球感が発現できなくなるからである。
【0029】
又、前記微細炭素繊維6の使用量は、前記表面コーティング樹脂層5中に、0.5重量%以上、10重量%以下の範囲内、とりわけ1重量%以上、5重量%以下の範囲内で混入されることが好ましい。
種々の実験結果から、前記微細炭素繊維6の使用量が0.5重量%よりも少ないと、ストリング1の耐摩耗性及び、振動減衰性を十分に高めることができず、又、10重量%よりも多いと、表面コーティング樹脂層5中に均等に混入させ難くなるという問題が生じると共に、前記10重量%を境として、これよりも多く微細炭素繊維6を使用してもストリング1の摩耗特性に良好な評価は得られなかった。
【0030】
本実施例のストリング1を構成する芯糸2及び、外層糸4は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン6−12等のポリアミド系合成樹脂から構成される。又、前記芯糸2に外層糸4を固着する接着剤層3としては、ポリアミド系合成樹脂が使用される。
更に、前記表面コーティング樹脂層5としては、前記外層糸4との接着性に優れたポリアミド系合成樹脂や、耐摩耗性、耐候性に優れたウレタン系合成樹脂等が好適に使用される。
【0031】
尚、上記のように本実施例では、そのストリング1の構造として、合成樹脂製モノフィラメントから成る芯糸2と、複数本の合成樹脂製モノフィラメントから成る外層糸4と、該外層糸4の周囲を覆う表面コーティング樹脂層5とから構成されるものを例にとって説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばこの他、図3に示すように、前記した外層糸4を省き、合成樹脂製モノフィラメントからなる芯糸2の周囲に表面コーティング樹脂層5を被覆した構造のストリング11や、図4に示すように、合成樹脂製モノフィラメントからなる芯糸2の周囲に、複数本の合成樹脂製マルチフィラメントから成る外層糸41を配置し、その周囲に表面コーティング樹脂層5を被覆した構造のストリング12或いは、図5に示すように、合成樹脂製マルチフィラメントからなる芯糸21周囲に表面コーティング樹脂層5を被覆した構造のストリング13であっても良い。
【0032】
更に、本実施例では、前記微細炭素繊維6をストリング1の表層を構成する表面コーティング樹脂層5のみに混入させる例を示したが、図6に示すように、前記ナノスケール素材6を接着剤層3中に混入させることもできる。この場合、ストリング自体の熱伝導率がより一層高まり振動減衰性が大幅に向上する。
【0033】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、以下の実施例1〜2と、比較例1〜4のストリングを用意した。
【0034】
(実施例1)
芯糸2として直径1.05mmのナイロンモノフィラメントを1本使用し、外層糸4として直径0.1mmのナイロンモノフィラメント16本を前記芯糸2の周囲に螺旋状に巻回して、同時にナイロン系の接着剤を用いて固定し、直径1.25mmのストリング芯成分を得た。
この芯成分に、微細炭素繊維6として、平均繊維径が200nm、平均繊維長さが10nm、アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)が50であり、熱伝導率が15℃の温度状態下で1500W/(m・K)の特性を示すカーボンナノファイバー(昭和電工株式会社製(商品名:VGCF−Hタイプ)を2重量%含有せしめた熱溶融ポリウレタンを用いて、常温でコーティング処理を行いストリングを得た。
【0035】
(実施例2)
上記実施例1のストリングの成形過程において、芯糸2の周囲に外層糸4を巻回固着せしめる接着剤中にも前記微細炭素繊維6を3重量%含有せしめたストリングを得た。
【0036】
(比較例1)
基本的なストリングの構造は上記実施例1、2と同様としながら、前記微細炭素繊維6を省いた構造のストリングを比較例1として用意した。
【0037】
(比較例2)
実施例1の微細炭素繊維6に替え、平均繊維径が7μm、平均繊維長さが1400μm、アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)が200であり、熱伝導率が15℃の温度状態下で8.0W/(m・K)の特性を示す炭素粉末(東レ株式会社製(商品名:トレカ)を2重量%含有せしめた熱溶融ポリウレタンを用いて、コーティング処理したストリングを比較例2として用意した。
【0038】
(比較例3)
実施例1の微細炭素繊維6に替え、平均繊維径が1μm、平均繊維長さが50μm、アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)が50であり、熱伝導率が15℃の温度状態下で5.3W/(m・K)の特性を示すチタン酸カリウムウィスカー(大塚化学株式会社製(商品名:テイスモD)を2重量%含有せしめた熱溶融ポリウレタンを用いて、コーティング処理したストリングを比較例3として用意した。
【0039】
(比較例4)
実施例1の微細炭素繊維6に替え、平均繊維径が0.8μm、平均繊維長さが20μm、アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)が25であり、熱伝導率が15℃の温度状態下で5.6W/(m・K)の特性を示すホウ酸アルミニウムウィスカー(四国化成工業株式会社製(商品名:アルボレックス)を2重量%含有せしめた熱溶融ポリウレタンを用いて、コーティング処理したストリングを比較例4として用意した。
【0040】
これらの実施例1、2と、比較例1〜4のストリングについて、以下のような摩耗試験を行った。
即ち、図7に示すように、試料となるストリングAに、これと同一の試料であるストリングBを掛け渡し、該ストリングBの一端に重さ10kgの錘7を固定して垂下させると共に、多端をプーリー8を介してモーター9の回転軸に固着される連結片10の先端に回動自在に連結し、モーター9の回転により振幅10cm、毎秒1往復の運動を行わせ、互いに摺接したガットA、Bが摩耗により切断するまでの回数を計測した。この時の計測結果を以下の表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004202000
【0042】
又、上記の試験に付け加え、これらのストリングをラケットフレームに250Nのテンションで張設して実打試験を行った。この実打試験では、一般のアマチュアプレーヤーを対象にして、実際に、実施例1、2と、比較例1〜4のストリングを張設したラケットフレームでボールを打撃し、その際、プレーヤーが体感した打撃時の打球感(プレーヤーの手に伝播する振動の抑制効果)を評価した。この時の結果を以下の表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 2004202000
【0044】
このような試験結果より、本実施例1、2のストリングでは、比較例1〜4のストリングに比し、耐磨耗効果が大幅に優れると共に、ボール打撃時の振動減衰性が高く、良好な打球感が得られるものであることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、合成樹脂製モノフィラメント及び/又は、合成樹脂製マルチフィラメントから構成されるストリングにおいて、表面コーティング樹脂層及び/又は、接着剤層に、炭素六角網面の結晶が円筒形に巻かれる単層構造或いは、多層構造を成し、その中心部に微細な中空部を有する結晶素材であって、熱伝導率が5〜30℃の温度状態下で1000〜3000W/(m・K)の範囲内にあり、且つその繊維径が10〜300nmの範囲内に設定される微細炭素繊維が混入されていることにより、ストリング表面の摺動性を大幅に高める(摩擦抵抗を大幅に低減させる)ことができる。又、前記微細炭素繊維は熱伝導率が極めて高く、ストリングの交差部分で生じる摩擦熱を該交差部分以外の周辺部へ素早く分散させ放熱させることができるため、前記摩擦熱による表面コーティング樹脂層の摩耗を予防できる。更に、ストリング自体の熱伝導率が高められるため、ボール打撃時に生じるストリングの振動が熱エネルギーとして消費されるようになり、この結果、ストリングの振動減衰性が高まり、良好な打球感を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のストリングの構成説明図。
【図2】図1のA−A線端面説明図。
【図3】その他の実施形態に表すストリングの構成説明図。
【図4】その他の実施形態に表すストリングの構成説明図。
【図5】その他の実施形態に表すストリングの構成説明図。
【図6】その他の実施形態に表すストリングの構成説明図。
【図7】ストリングの摩耗試験方法を表す説明図。
【符号の説明】
1 ストリング
2 芯糸
3 接着剤層
4 外層糸
5 表面コーティング樹脂層
6 微細炭素繊維
7 錘
8 プーリー
9 モーター
10 連結片
11 ストリング
12 ストリング
13 ストリング
21 芯糸
41 外層糸

Claims (2)

  1. 芯糸となる合成樹脂製モノフィラメント又は、合成樹脂製マルチフィラメントの周囲に、表面コーティング樹脂層が配置されて成るストリングにおいて、前記表面コーティング樹脂層に、炭素六角網面の結晶が円筒形に巻かれる単層構造或いは、多層構造を成し、その中心部に微細な中空部を有する結晶素材であって、熱伝導率が5〜30℃の温度状態下で1000〜3000W/(m・K)の範囲内にあり、且つその繊維径が10〜300nmの範囲内に設定される微細炭素繊維が混入されていることを特徴とするストリング。
  2. 芯糸となる合成樹脂製モノフィラメント又は、合成樹脂製マルチフィラメントの周囲に、外層糸となる複数の合成樹脂製モノフィラメント或いは、合成樹脂製マルチフィラメントが接着剤層を介して固着配置され、且つその周囲に表面コーティング樹脂層が配置されて成るストリングにおいて、前記表面コーティング樹脂層及び/又は、前記接着剤層に前記微細炭素繊維が混入されていることを特徴とする請求項1記載のストリング。
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